🚷32〉─1─64歳独身、月10万円の年金で暮らさなければならず、貯蓄が底をつくのが心配。~No.141 

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 老後生活を左右する問題は、住んで居るところが持ち家か賃貸かである。
 持ち家であれば、修繕やリフォームが必要になる。
 賃貸であれば、毎月の家賃と2年ごとの契約更新が必要である。
 不動産価値であれば、持ち家にはあるが、賃貸にはない。
 高齢者になると、借りられる賃貸物件はなくなる。
 地域的つながりも、持ち家であれば努力すれば維持できるが、賃貸ではほぼ不可能に近い。
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 2022年5月7日 MicrosoftNews All About あるじゃん 編集部「64歳独身、月10万円の年金で暮らさなければならず、貯蓄が底をつくのが心配
 © All About, Inc. 年金生活に不安を抱えている64歳の独身男性。年金額が少なくこの先貯蓄が底をついたらという心配もあるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
 貯金を使い果たし、年金のみになった時が恐怖です 
 皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。
今回の相談者は、年金生活に不安を抱えている64歳の独身男性。年金額が少なくこの先貯蓄が底をついたらという心配もあるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
▼相談者ドルフィンさん(仮名)
男性/無職/64歳
関東/持ち家(一戸建て)
▼家族構成一人暮らし
▼相談内容  65歳からは年金10万円ですが、あまりに少ないので、切り詰めても貯金をある程度切り崩すことになります。固定資産税、火災保険も年間6万5000円ずつかかります。
 長生きすることのリスクがあります。70代前半で死ななければならないかとも思っています。病気にもかかりやすくなって、その出費も増えるかもしれません。貯金を使い果たし、年金のみになった時が恐怖です。年金が少ないのは自業自得ですが、やむをえなかった面もあります(病気などで)。
 自宅を維持して自宅で死にたいのですが、いよいよとなったらリバースモーゲージも考えるかもしれません。しかし、いろいろ制約があるらしいので、できれば使いたくありません。70代になったら年金のみで暮らさなければならなくなる可能性が高いです。それは果たして可能なのでしょうか。
▼家計収支データ
 相談者「ドルフィン」さんの家計収支データ
 © All About, Inc. 相談者「ドルフィン」さんの家計収支データ
▼家計収支データ補足
(1)住宅について
 修繕やリフォームが必要となる可能性はない。また、最終的に誰かに相続する予定なし。
(2)加入保険について
 本人/医療保険(終身、入院5000円、がん特約50万円)=毎月の保険料1万1000円
(3)貯蓄の内訳について
 普通預金400万円、定期預金1600万円。
(4)健康状態について
 メンタルクリニックに病気で10年以上通っていて、現在も通院している。
(5)今後について
 65歳以降、働くことは考えていない。
(6)家族について
 いざという時に金銭的、人的に援助してくれる親類はいない。
▼FP深野康彦からの3つのアドバイスアドバイス1:貯蓄を取り崩しても100歳前後まで大丈夫
 アドバイス2:医療費をどうしたいか考えておくと安心します
 アドバイス3:経済的なことよりもメンタルを含めた健康に留意して

 アドバイス1:貯蓄を取り崩しても100歳前後まで大丈夫
 65歳から年金が10万円程度とのことで、少ないことを心配しているようですが、現在の家計支出を見ますと支出は月額8万6000円とのことなので、じゅうぶん年金収入の範囲で賄えます。
 固定資産税や火災保険などが年間6万5000円プラスしてかかるとしても、月々は年金の範囲でぎりぎり大丈夫です。万が一貯蓄を取り崩したとしても、そんなに大きな額を毎月必要とするわけではないので心配はいりません。
 ドルフィンさんは現在2000万円の預貯金がありますが、たとえば毎月3万円ずつ取り崩した場合、2000万円の貯蓄は55年もちます。月に4万円でも113歳、5万円取り崩しても98歳まで貯蓄が底をつくことはありません。そう考えれば、そんなに心配する必要はないし、リバースモーゲージも考えなくて大丈夫です。
 アドバイス2:医療費をどうしたいか考えておくと安心です
医療に関しては、これからどんな医療を受けたいか考えておいたほうがいいでしょう。病気などで治療を受ける時には「かかる医療費」と「かける医療費」があります。
かかる医療費はどこへ行っても誰でも同じ治療を受けられる、いわゆる保険診療のことです。日本は国民皆保険制度があるので、どんな人も1~3割の自己負担で治療を受けられます。ドルフィンさんの場合、70歳から2割、75歳からは1割の負担になります。また、1カ月に多額の治療費がかかった時には高額療養費制度があるので、一定額以上の費用は健康保険で負担してもらえます。
 一方の「かける医療費」は、たとえば保険のきかない特別な治療法だったり、病気になった時にその病気の名医に執刀してもらうなど保険の範囲を超えた治療を望む場合の医療費です。入院した場合の個室を希望するなど差額ベット代などもかける医療費になります。いざという時にこだわりがあるのなら医療費の支出は別に考えておいたほうがいいでしょう。
 病気がちなことが不安の一つのようなので、医療費にどのくらいかけるのかということを考えておけば、マイホームも持っているので住居費もかからないし、65歳以降働かなくても大丈夫でしょう。
 保険に関しては月1万1000円も払うのちょっとはもったいないですね。終身払いになっているし、家計に占める割合もかなり大きいです。これを共済とか安いものに変更できるなら変更したほうがいいでしょう。
 アドバイス3:経済的なことよりもメンタルを含めた健康に留意して
一人暮らしをされているので、何よりも怖いのが家に一人で引きこもってしまうことです。経済的な部分に関しては、今の生活を守っていれば大丈夫ですから、お金の心配よりも自分自身の健康のことに気を配ってください。ストレスをためこんだり、人とのかかわりがなくなることは健康によくありませんよ。ですから家に引きこもってしまわないように、何でも構わないので社会とのかかわりを持ったほうがいいでしょう。
毎月3万円取り崩したとしても足りなくなることはないのだから、年に1、2回でもいいので、旅行などに出かけてみるのもいいのではないでしょうか? 足腰が弱ってしまわないようにするためにも、外へ出ることは重要です。
 また趣味をみつけてサークルに参加するなど人とかかわりを持つのもいい方法です。仕事はしないとのことですが、もし趣味のサークルに参加するなどが難しいなら、負担にならない程度でアルバイトをするのも一つの考えです。
 シルバー人材センターなどで少しお金をもらいながらボランティアをするのでもいいし、精神的、体力的に無理のない範囲で考えてみてはどうでしょう。どんな形でもいいので、誰かとつながっているということは何かの励みになることも多いですよ。
 持ち家に関してはリバースモーゲージの必要はないですが、相続する親族もいないようなら最終的に遺贈するということを考えておいたほうがいいかもしれません。
 さらに家計の中で一つアドバイスするなら、健康に過ごすために食費をもう少し使ってもいいのではないかと思います。多少支出が増えても貯蓄が底をつく心配はないですから、健康のためにお金を使うのも大事なことですよ。
 それと病気になった時の医療費の心配があるのであれば、「限度額適用認定証」をもらっておくといいですね。それがあれば多額の医療費がかかった時にいったん支払ってから高額療養費の還付してもらうのでなく、限度額までしか払わなくて済むのでちょっと安心できるのではないでしょうか。
 ご心配しているよりもドルフィンさんの置かれている状況は悪くないので、あまり悲観的にならずにこれからの時間を元気に過ごしてほしいと思います。
 相談者「ドルフィン」さんから寄せられた感想
 先生の助言に助けられました。私は独身のまま死ぬことになりますが、学生時代は素敵な人もいました。社会に出てからはいい出会いもなく、かえって女性の怖さを身に染みて感じるようになりました。
 私は母子家庭で育ちましたが、母との生活に強いストレスを感じ、人とは暮らせないなと思ってきました。私は孤独ですが、一番辛いのは集団の中の孤独であり、ただ単に一人でいることには辛さを感じません。一人でいることで満ち足りているのです。
 私は男女の愛情が長く続くとも考えませんし、共に生活し成長していくことにも魅力を感じませんでした。子どもも欲しいと思ったことは一度もありません。私の趣味は読書や創作や映画やドラマ鑑賞です。そのために高価な最新のテレビを買いたいと思っているのですが分不相応かなとも思っています。
 半年に一作、小説を書くことが生きがいでした。もちろんプロの作家にはなれませんでしたが、今はネットのサイトもあるのでそこに書かせていただいています。書くからには常に良いものをと考えていますが、それがなかなか評価に結びつかないのもこの世界です。
 医療保険は持病のある人向けの保険にしか入れなかったので高いと思ってきました。ところが最近、大腸ポリープと足の怪我をして手術代と3週間ほどの入院費を保険から支払うことができました。これからが必要になるのかもしれません。
 人との付き合いが楽しいものだとは私も分かっております。でも根本的に人の心は怖いものだと思っていますので、これからは浅い付き合いができればなと思っています。ほどほどの付き合いがいいのかなと思っています。
 長々と書いてすみません。毎月の出費をこれまで通りに抑えていけば後期高齢者以降もなんとか生活していけるのが分かり、安心しました。ありがとうございます。
 教えてくれたのは……深野 康彦さん
 マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。
 取材・文:堀内玲子」
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¥25〉─6─国の借金。国債を借金とみなさない理屈のおかしさ。〜No.134 

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 2022年4月30日・5月7日号 週刊現代「ドクターZは知っている
 国債を借金とみなさない理屈のおかしさ
 3月末から、日銀が『指し値オペ』の実施を繰り返すようになり、ニュースでも目にすることが多くなった。いったい、どういう意味の言葉なのか。
 そもそも、市場への資金供給の調整など、金融政策の目的を達成するために日銀が行う『オペレーション(公開市場操作)』のうち、国債などの証券を購入することを『買いオペ』、逆に日銀が保有する債券を市場で売却することを『売りオペ』と呼ぶ。
 通常の買いオペは買い入れる金額をあらかじめ明示して行うが、指し値オペは決まった利回りで無制限に買い入れ、金利上昇に歯止めをかけることを目指す。制限がない分、通常の買いオペよりも強力な効果がある。
 財務省の資料『国債等の保有者別内訳』によると、昨年の12月末時点で日銀の国債保有残高は約516兆円。国の借金(国債残高)である約1,074兆円のうち、実に5割近くを日銀が保有している格好だ。
 インフレ率2%の達成を目指す黒田東彦総裁の下、日銀はひたすら国債の買い入れを続けてきたが、昨今の指し値オペで、その金額は更に膨らんだ可能性が高い。
 こうした現状のなか、一部識者からは、『日銀は政府の子会社のような組織だから、日銀が保有する国債の分の金額は国の借金から除外できる』という意見が聞かれる。
 日銀が国債を購入した分だけ、国の借金が減る──。そんな旨い話がありのだろうか。
 結論から言えば、これは見当違いだ。以下、単純な例で説明しよう。
 まず、議論を単純化するため、海外の投資家などは国債を引き受けず、国内だけで国債を消化すると仮定する。このケースでは、日銀が『買いオペ』で市場から国債を買い取る場合、売り手は国債保有している民間銀行などの金融機関となる。
 では、民間銀行は何を原資に国債を購入したのか。それは当然、国民が銀行に預けた預金だ。
 『誰かの負債は誰かの資産』であり、A氏がB氏に100万円を貸せば、B氏はA氏に対する100万円の『金銭債務』、A氏にはB氏に対する100万円の『金銭債権』が発生する。これと同様、政府が発行した国債の債権は、預金を通じて間接的に国民が保有している。
 もし日銀が国債を500兆円購入することで、政府の借金のうち500兆円が減少というなら、我々が政府に対して間接的に有していた約1,000兆円の債権のうち、500兆円分の債権も消滅することになるのか。
 『誰かの負債は誰かの資産』という原則がある以上、そんなことはあり得ない。
 消滅する可能性があるとすれば、それは国が500兆円分の課税を行うか、あるいは債権放棄を迫るかの何れかだが、極めて非現実的であることは明らかだろう。
 同時に『金利の支払いがない(か、あるいは極めて少ない)から借金を重ねても問題はない』という理屈も間違っている。
 我々庶民が『金利がほぼゼロだから』といって、分不相応な住宅ローンを借りれば年収の範囲で返済できずに債務不履行に陥るのは自明の理であり、国の場合も同じだ。
 このように身の丈レベルで考えれば当然の『常識』が、国家レベルの財政の話になると置き去りにされていく。なんともおかしな話である」
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 日本の経済・金融・経営などのアナリストやジャーナリストなどの専門家達が、現状を分析し、実態を説明し、将来を予想し、こうした方が良いと推奨した事は、数年から十数年後には破綻している事が多く、極わずかな件数だけが残っている。
 特に、彼らの話を信じて決断し行動して失敗した話はバブル崩壊後の日本では数限りない。
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🚷36〉─1─日本の政治家が少子化問題を解決できない理由。~No.155 

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 2022年4月29日 MicrosoftNews NEWSポストセブン「「人口減少」過去最大に 日本の政治家が少子化問題を解決できない理由
 © NEWSポストセブン 提供 人口減少で「シャッター通り」が増えた(時事通信フォト)
 総務省は先ごろ、昨年10月1日現在の日本の総人口が、前年比で64万4000人減の1億2550万2000人になったと発表した。減少幅は過去最大で、日本の人口減少がますます加速していることを印象づけた。なぜ人口減少=少子化問題は解決の糸口が見いだせないのか。世界的経営コンサルタントとして活躍し、各国の経済アドバイザーを歴任してきた大前研一氏が、この日本が直面する難問について解説する。
 【図表2点】2021年の出生数「75万人ショック」を表わすグラフほか
  * * *  
 日本の少子化は今、ものすごい勢いで加速しています。いわゆる第一次ベビーブーム(1947〜1949年)というのは、戦争が終わって、兵隊さんたちが戦場から日本に帰ってきて、子供がたくさん生まれたことがきっかけです(図表1参照)。そのあとに、その方々から生まれた子供たちが結婚・出産の適齢期になって、第二次ベビーブーム(1971〜1974年)が起こりました。
 そして、今度はその第二次ベビーブーム世代の子供たちが適齢期になったら生まれるだろうと思っていた第三次ベビーブームは、結局到来しませんでした。つまり、この時期にはもう世の中が変わってしまっていたわけです。この時点で政府は、後述するような大胆な少子化対策を実施しておくべきだったと思いますが、結果的にはこの流れを変えることはできないまま、今に至っています。
 1人の女性が一生の間に何人の子供を産むかという統計で、「合計特殊出生率」というものがあります。世界的な比較でもこの数字を使っているのですが、日本は2019年の統計で「1.36」となっています。理屈から言えば、子供の親は2人ですから、出生率が「2」以上でないと人口は維持できません。それが、今は1.36ということですので、今後ますます人口減少が進むのは確実ということになります。
 人口=国力の低下ほど深刻な問題はない
 さらに、日本の場合には、もう1つ大きな問題が出てきます。
 国立社会保障・人口問題研究所は、日本の出生数についての将来推計を発表しています(図表2参照)。ところが2019年、つまり、新型コロナウイルス禍に襲われる前の時点で、「86万人ショック」というのがありました。人口問題研究所の推計に比べて予想以上に早く86万人になってしまったのです。さらに、2020年は84万人、2021年(推計)は75万人と、新型コロナの影響もあって、出生数が激減しました。もともと人口問題研究所の推計では、出生数が75万人になるのは2039年頃と考えられていました。したがって、18年も前倒しで出生数が減ってしまったことになります。
 少子化の問題は、この2年で一気に加速したわけです。政治家にとって、これ以上深刻な問題はありません。人口というのは、国力です。人口が減っているということは、GDPも上がらないし、人々の胃袋は増えないし、そもそも警察や消防、自衛隊など、国や地方の社会基盤を支える人材がいなくなるということです。
 しかも、介護や看護といった仕事をするのも比較的若い人ですから、この将来の人口が減るという問題以上に重要な問題はないはずですけれども、これに真剣に向き合って有効な解決策を提案している政治家はいません。
 政治家が関心を持っているのは、いま目の前の政治アジェンダだけで、そんなことをやっているとあっという間に選挙が来てしまいますから、オリンピックをどうするかとか、新型コロナ対策はどうするかといった話に終始して、本来なら5年10年かけていろいろ準備して進めなければいけない問題に取り組もうというような政治家はいません。今の政治家たちの政策の時間軸というのは、おそらく数か月程度ではないかと思います。
 しかし、私が近著『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』で詳述したように、この問題の根本的な解決なしには日本の“老衰”はいつまで経っても止まりません。
 少子化を加速させる4つの要因
 もともとこの問題の背景には「未婚・晩婚化」という著しい傾向が出ていることがありますが、未解決のままとなっています。男性で生涯一度も結婚しない人が24%を超え、女性で一度も結婚しない人も14.9%に達しています。2019年の婚姻件数は59万8965組で、ピークだった1972年と比べると半分近くに減っています。また、初婚の平均年齢が上昇していて、男性は30.1歳、女性が28.3歳となっています。
 もう1つ大きな問題として、配偶者がいる女性の出生率が低下しつつあります。もともとは、結婚した女性が産む子供の数は2人というケースが多く、理想の家族構成を聞いても子供2人という答えが多くを占めていました。そのため、有配偶者の出生率は2.0台を維持していたのですが、それが2015年に1.94と2を切るようになりました。
 これは結局、結婚していない人が増えているということと、もう1つは晩婚化が進んだことによって高齢出産が増え、年齢的に2人目の子供を産むことができなくなっていると考えられます。
 また、男性の長時間労働が慣行となっているため、夫が育児参加する率が低く、女性の「ワンオペ育児」が問題になっています。「ワンオペ」というのはコンビニでの就労などで問題になったように、人手が足りずに店員1人だけで働かされているということですが、女性のワンオペ育児というのは、育児、家事に加えて共働きで働いているというケースも出てきています。そうなると、とてもじゃないけれどやっていられないということで、子供2人なんてどだい無理だとなってしまいます。
 3つ目は、出産・育児支援制度の不備が挙げられます。たとえば、OECD平均ではGDPの2.34%を家族問題に使っていますが、日本はその平均を下回っています。加えて待機児童の問題や不妊治療の所得制限などがあって、出産・育児のために国が全面的に支援するという形にはなっていないと言われます。
 さらに、もう1つ大きな問題が戸籍制度です。結婚していないカップルの場合、子供が生まれても戸籍に入れられずに「非嫡出子」という扱いになる恐れがあって、妊娠しても結婚していないから子供を産めないとか、産んでも父親の戸籍に入れられないから可哀想だということになります。
 かてて加えて、新型コロナ禍によって、結婚の件数も大幅に減っている上、妊娠の届け出というのが、前年に比べて5.1%減っています(2020年1〜10月)。つまり、新型コロナ禍で感染リスクを懸念して、結婚・妊娠・出産を控える動きが目立ってきているというのが4つ目の要因です。
 感染リスクという意味では、里帰り出産が難しくなったということも挙げられます。日本の場合には、出産に際して、奥さんのほうの実家に帰って、出産やその後の育児を奥さんの親などに手伝ってもらうという人も多いのですが、新型コロナの影響で、東京や大阪などから地元に帰省するのはやめてほしいと言われるケースがあるそうです。そういった話も、この時期に妊娠・出産を控える方向に影響しています。
 それから、子供を産める年齢層の女性たちがいわゆるパートやアルバイトといった非正規雇用で働いている場合、新型コロナ禍での業績悪化でレイオフ(解雇)や一時帰休の対象になって、出産・育児をしているどころではない状況に追い込まれているということもあります。
 こうしたマイナスの要因に対して、役人や政治家が有効な対策をとれていないということは非常に大きな問題だと思います。
 ※大前研一『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』(小学館)より一部抜粋・再構成」
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🚷31〉─1・C─50代の会社員は、年金を「満額」ではもらえない。~No.137No.138No.139No.140 

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 2022年4月28日 MicrosoftNews 東洋経済オンライン「50代の会社員は、年金を「満額」ではもらえない 大学時代に国民年金「未加入」だった残念な世代
 大野 和幸
 © 東洋経済オンライン 現在50代の会社員は、学生時代に国民年金に未加入だった人が多いため、老齢基礎年金を満額では受け取れない(写真:USSIE / PIXTA
 毎年1回、自分の誕生月に届く「ねんきん定期便」。ここで久しぶりに年金の存在に気付く人も多いだろう。
 ねんきん定期便には、これまでの年金加入期間や保険料納付額、さらに老齢年金の種類と見込み額などが記されている。会社員で50歳以上であれば、現在の加入条件のまま60歳定年まで継続した前提で、65歳でもらえる老齢基礎年金と老齢厚生年金の見込み金額が書いてある。
 そこで今、50代半ばの会社員であれば、ひとつ、気付く人もいるはずだ。「老齢基礎年金が満額に足りない」とだ――。
 1991年4月から学生も国民年金に強制加入
 新卒で会社に入社してから、厚生年金の保険料を納めてきた(=給与から天引きされてきた)のに、なぜこんなことが起こるのか。
 それは大学生時代、国民年金(基礎年金)への加入が任意だったため、多くの人が保険料を納めていないからだ。未加入であり、未納とは異なる。
 国民年金は現在、20歳以上60歳未満のすべての人に、加入する義務がある。学生も同じで保険料を納めなければならない。ところが、国民年金の”強制加入”の制度がスタートしたのは、1991年4月から。つまり、それ以前に学生時代を過ごした人は、任意加入であった。保険料を納めていないことが、60歳になっても、満額の40年間(480カ月間)に足りない原因となったのである。
 ちなみに強制加入となった現在では、収入が少ない大学生などの場合、学生納付特例制度を使えば、納付が猶予される。猶予を受けると、10年以内に追納すると、将来の年金には影響ない。
 実例を挙げよう。強制加入が始まった1991年4月、新卒の22歳で入社した社会人は、今年54歳。制度改正前の20歳から大学卒業までの2年間、国民年金に未加入だった場合、60歳定年まで保険料を納めても、38年間(456カ月間)にしかならず、40年間(480カ月間)には24カ月分足りない。
 年金額は毎年改定されるが、2022年度の老齢基礎年金額は、40年間保険料を納めた場合、満額(1人分)で年77万7800円だ。国民年金保険料を1年間支払うと年金は約2万円増えるので、保険料が2年分不足する場合、年金は年約74万円となり、満額より4万円近く少ないのである。
 制度上、生まれた年で差が付くのは、割に合わない。では、何か方策はないのか。
 まず考えられるのは国民年金への「任意加入」制度だ。
 加入期間が満たず、老齢基礎年金を満額もらえない人は、60歳以上65歳未満の間、最長5年間か480カ月間に達するまで、任意に加入して未納の保険料を納め、国民年金を満額まで増やせる。納める保険料は月1万6590円(2022年度)で、納付は口座振替。24カ月分なら、計約40万円の保険料を納めると、65歳から満額の年77万7800円の老齢基礎年金を毎年もらえる。
 また満額に近づけるものではないが、「付加年金」で年金を増やすやり方もある。
 毎月の保険料に加え、月400円の付加保険料を納めると、国民年金プラス付加年金を受け取ることができる。例えば、付加保険料は60歳から月400円を5年間(60カ月間)、計2万4000円を納付すると、65歳から年1万2000円(200円×納付月数60カ月)の付加年金を毎年もらえる。2年目で、元手の2万4000円を受け取る計算になり、3年目から純増に転じる。
 ただし、難点がある。これらは厚生年金には加入していないことが利用する条件だ。ここが会社員にはつらいところだろう。
 定年後も働き、厚生年金に加入し続ける
 現実的な解として取りうるのは、同じ会社で定年後も再雇用されて嘱託社員などで働き続け、「厚生年金に加入し続けること」。会社員の場合、最長70歳になるまで厚生年金に加入でき、「経過的加算額」が老齢厚生年金に上乗せされる。
 経過的加算額の計算式は、単価などかなり複雑なので、ここでは省く。端的に言えば、60歳以降に納めた厚生年金保険料は、老齢基礎年金には直接反映されないものの、その分が老齢厚生年金に加算される。基礎年金の満額年77万7800円に足りない分を埋めてくれるわけだ。
 いずれにしても、現在50代の会社員は、大学時代に未加入だった国民年金(基礎年金)の足りない分について、「今さら間に合わない」などとあきらめることはない。以上のような方策を活用すれば、年金を少しでも増やすことができる。
 週刊東洋経済4月23日号『年金の新常識』特集で、受給開始年齢の繰り上げ・繰り下げ問題をはじめ、さまざまな角度から年金を取り上げた。ぜひとも参考にしてほしい。」
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⛲19〉─1─40歳、年収が200万円ダウン。教育費と老後資金が心配。~No.89No.90No.91 ⑩ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2022年4月26日 MicrosoftNews All About「40歳、年収が200万円ダウン。教育費と老後資金が心配
あるじゃん 編集部
 © All About, Inc. 皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、大幅減収の危機に直面している40歳の会社員の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。
減収になると教育資金や老後資金が用意できません
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、大幅減収の危機に直面している40歳の会社員の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。
▼相談者しんたろうさん(仮名)
 男性/会社員/40歳
 神奈川県/持ち家マンション
▼家族構成妻(41歳/専業主婦)、子ども2人(5歳/幼稚園、9カ月)

▼相談内容勤務先の業務課題が厳しくなり、降格になりそうです。担当している仕事も尻つぼみで、これまでのような残業、休日出勤もできず、手取り年収300万円程度に落ちるかもしれません。
 下の子どもが5歳になった頃から、妻もパートで働く予定(年収60万ほど)なので、子ども2人の高校までの教育費は確保できそうですが、大学資金と老後資金の確保が……。
▼家計収支データしんたろうさんの家計収支データは図表のとおりです。
 相談者「しんたろう」さんの家計収支データ© All About, Inc. 相談者「しんたろう」さんの家計収支データ
▼家計収支データ補足
(1)車両費「8万500円」の内訳
 クルマ、バイク(各1台)の駐車・駐輪場代、ガソリン代、保険料の他、月割りにした税金、車検費用の合計。
 また、通勤にかかるガソリン代は別途「通勤手当4万7000円」が支給されているので、実質の自己負担は4万3500円。
(2)「保険料4万3000円」の内訳
・相談者・妻/生命保険(死亡保障/相談者4200万円・妻500万円)=保険料1万1000円
・相談者/個人年金保険(60歳10年確定、年金額72万円)=保険料2万円
・子/学資保険(満期金180万円、10歳時に支払い終了)=保険料1万2000円
・子/学資保険(満期金240万円)=一時払い済み
(3)将来発生するであろう大きな支出
 教育費以外に、今後の大きな支出として介護資金300万円、リフォーム資金300万円、葬儀代170万円を考えている。
▼FP深野康彦からの3つのアドバイス
 アドバイス1:貯蓄は「できるとき」と「できないとき」がある
 アドバイス2:ドラスティックに支出も見直していく
 アドバイス3:今は教育資金づくりを優先すればいい

 アドバイス1:貯蓄は「できるとき」と「できないとき」がある
 相談者であるしんたろうさんの手取りの年収が540万円。これが300万円程度に落ち込むとなると、200万円超、40%以上の減収ですから、もし本当にそうなってしまったら、家計にとっては危機的状況といわざるを得ません。
ただし、しんたろうさんの場合、救いがいくつかあります。
 まず住宅ローンを完済していること。1600万円というまとまった貯蓄があること。そしてもうひとつが、奥様が専業主婦であり、働くことにより世帯の収入アップの道が残されていることです。
 したがって、状況はきびしいかもしれませんが、悲観することはありません。しっかり管理していけば乗り切れると思います。
そこでまず、現時点ですべきことは年収300万円になっても、毎月の収支で赤字を出さないよう家計を見直すことです。正直、これだけ収入が落ち込むと、そこから貯蓄を捻出するのは難しいはず。
でも、しばらくはそれでも構いません。貯蓄は「できるとき」と「できないとき」があります。
 無理に貯蓄をして、生活費が足りなくなるというのはおかしな話です。少なくとも、状況が改善(妻の収入アップや子どもの小学校入学)するまで、貯蓄はストップしてもいいのです。
 アドバイス2:ドラスティックに支出も見直していく
 仮に年収300万円となった場合、月額は25万円。現在の家計支出が月額32万5000円ですから、単純に試算すれば、毎月7万5000円の赤字となります。したがって、その分、支出を削る作業が必要になります。
 何を削るかは、その世帯が削れるものということになりますが、何にせよドラスティックに見直さなくてはなりません。
 たとえば保険ですが、夫の死亡保障額4200万円は半分に削っていいでしょう。この保険が定期保険か定期付き終身かは判断できませんが、定期部分を減額します。
 また、学資保険のうち、満期金180万円の方は一括払いにしてもいいと思います。掛け金の支払いがなくなるので、毎月のフローを新たに生む上、一括払いにしたことで学資保険の利回りもアップするからです。
 支出費目で気になるのは、趣味娯楽費3万円、家族のこづかい2万円、雑費1万5000円の3つ。それぞれは大きな額ではないかもしれませんが、トータルすると6万5000円。月間支出の20%にあたります。ここは手を付ける余地があると思います。
 また、現在クルマとバイクをお持ちですが、バイクは手放せないでしょうか。車両費の維持費がある程度削減できます。
 アドバイス3:今は教育資金づくりを優先すればいい
 ご心配の教育費について考えてみます。
 進路によって学費は異なりますが、高校までは公立、大学は私立文系とした場合、高校までの学費は毎月の家計で負担するのが基本ですから、事前に用意すべきは4年間の大学費用。1人400万円×2人分(入学金、授業料等)となります。
 学資保険で約半分が用意できます。残り400万円は、手持ちの貯蓄をよほど大きく減らさない限り、十分用意が可能。その意味でも、これまで頑張って貯蓄したことが、今後のマネープランに十分活かされているといえるのです。
 また、相談の中に、「介護費用300万円」「葬式代170万円」とありますが、もちろん、かかる金額を情報として知っておくことは必要でしょう。しかし、今から意識する必要はありません。老後資金も然り、です。
 下のお子さんはまだ生後9カ月。資金には用意する順番があります。何もかも一度には無理なのです。
 今は、減収に備えて家計支出を抑え、手持ちの貯蓄を取り崩さないことが結果的に教育資金づくりにつながるのですから、それを第一に考えるべきです。
 加えていうなら、しんたろうさん自身、収入アップのために転職という選択肢もあっていいのでは。40歳はまだ遅くはありませんよ。
 教えてくれたのは……深野 康彦さん
 マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。
 取材・文:清水京武」
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🚷29〉─2─想定より長生きした場合、老後資金が足りるか心配です。~No.131 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2022年4月23日08:10 MicrosoftNews All About「想定より長生きした場合、老後資金が足りるか心配です
深野 康彦(ファイナンシャルプランナー
 © All About, Inc. 皆さんからのちょっとしたお金の疑問にオールアバウトの専門家が回答します。今回は想定より長生きした場合、老後資金をどう賄うかについてです。
 お金のこと、難しいですよね。コロナ禍もあって、ますますお金を貯めたい、家計を守りたい、と思っている人もいるのではないでしょうか。皆さんからのちょっとしたお金の疑問にオールアバウトの専門家が回答するコーナーです。今回は、想定より長生きした場合、老後資金をどう賄うかについてです。
 Q:想定より長生きした場合、お金が足りるか不安です
 「目標の77歳までの預貯金は貯めているのですが、長生きして90歳まで生きたらどうすればよいでしょうか。お金が足りるのか不安です」(みんみんさん/62歳・無職)
 A:年金だけでは足りない分をどう補うか、考えてみましょう
 基本的に年金は、生きている限り何歳まででももらえますので、それで基本部分を賄い、足りない部分は貯蓄で補うことになります。
 また、一部分を運用で賄うという方法もありますが、現時点で積極的に運用して運用益ですべてを賄うのは、難しいと思います。
 では他にどういった策があるかというと、一つは貯蓄を取り崩すペースを遅くすること、もう一つは働いて収入を少し得るということです。もちろんフルタイムじゃなくても、週3日くらい働いて月数万円でも収入が得られれば、それだけ老後資金を多く準備できますし、貯蓄を取り崩すペースも遅くできますよね。
 以上の点を踏まえ、できれば投資も一部交えつつ、三位一体で考えていくのがいいのかなと思います。
 文:深野 康彦(ファイナンシャルプランナー
 マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。」
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 4月23日12:15 MicrosoftNews プレジデントオンライン「「やっぱり年金だけでは老後生活は破綻する」日本政府がひた隠しにする年金制度の大問題
 © PRESIDENT Online ※写真はイメージです
 日本の年金制度で老後の生活は大丈夫なのか。法政大学の小黒一正教授は「年金財政の健全性をチェックする主な指標として所得代替率という値が利用されているが、この定義にはいくつもの重大な問題点がある」という。フリー編集者の落合龍平氏が聞いた――。
現役世代も他人事ではない年金の大幅引き下げ
 「悪い円安」と「物価上昇」が話題だが、庶民にとって「生活苦」につながる、もう1つの重大な変化が起きているのをご存じだろうか。
 それは「年金支給額の引き下げ」である。
 2022年4月から、公的年金の支給額は0.4%引き下げられている。「マクロ経済スライド」の発動こそ見送られたものの、引き下げはこれで2年連続。しかも、14年の0.7%に次ぐ「大幅引き下げ」だった。
 「年金が下がっても、影響を受けるのは高齢者だけ」
 「高齢者はもらい過ぎだからむしろもっと下げたほうがいい」
 内心そう思っている現役世代も、中にはいるかもしれない。だが、現役世代もいずれは年金を受け取る側になる。年金が減り生活を支えられなくなれば、その「ツケ」は現役世代にもいずれ回ってくる。
 政府の「財政検証」は正しいのかを「検証」
 少子高齢化が進み、年金引き下げが続く中、年金制度が本当に維持できるのか。国民がそう不安に思うのも当然だ。朝日新聞が20年に行った世論調査によると、「年金制度に不安」とした人は、現役世代の72%にも上る。
 年金制度が維持可能かどうかを、5年に1度検証する仕組みがある。それが「財政検証」だ。
 直近の「財政検証」は2019年に行われている。この年、「老後資金2000万円が不足」とした金融審議会の報告書を、当時の麻生大臣が前代未聞の「受け取り拒否」し、大きな話題となった。
 その「19年度財政検証」において、公的年金は今後も持続可能という結論になっている。だが、本当にその説明は正しいのだろうか。
 『2050 日本再生への25のTODOリスト』(講談社+α新書)を刊行した小黒一正法政大教授によると、「財政検証」には「政府による数字のゴマカシ」の疑念があるという。
 「財政検証では、年金財政の健全性をチェックする主な指標として、『所得代替率』という値を利用しています。制度上、『所得代替率』とは、モデル世帯が受け取る年金額が、現役世代(厳密には現役男性)の所得の何パーセントにあたるかという数字として定義されています。所得代替率が50%を割った場合、給付水準や負担のあり方を含めて、制度の見直しを行うことが法律で定められています。
 所得代替率はそうした重要な指標なのですが、この所得代替率の定義が『巧妙』であり、できる限り高い値として算出されるように定義している形跡が見えかくれするのです」(小黒教授)
 モデル世帯」の年金額は上位2割の富裕層
 19年度の「財政検証」では、インフレ率や賃金上昇率などの予測を基にした6つのケースごとに、将来の「所得代替率」をはじき出しているという。
その大部分において、所得代替率は「減少はするものの50%以上を維持」となり、これこそが、政府・厚労省が「公的年金は今後も大丈夫」と主張する大きな根拠となっている。
 しかし、小黒教授によると、その数字の算出方法が問題なのだという。
 「公的年金所得代替率は、『モデル世帯』の年金額を基に算出しています。ただ、この『モデル世帯』の選び方が問題なのです。
 14年度の『モデル世帯』の年金額は、夫が年間約186万円(=月額15.5万円)、妻が年間約78万円(=月額6.5万円)、合計約264万円(=月額22万円)となっています。
 しかし、厚生労働省の『年金制度基礎調査 平成24年』によると、150万円未満の年金しか受け取っていない男性は40.4%もいます。200万~250万円の年金を受け取る男性は19.8%しかおらず、『モデル世帯』といいながら、一部の裕福な世帯を例に挙げて議論しているのです」(小黒教授)
 「夫が終身雇用、妻は専業主婦」はもはやモデルではない
しかも、「モデル世帯」の定義にも疑問があるという。
 「『モデル世帯』とされているのは、『夫は40年間働いたサラリーマン、妻は40年間ずっと専業主婦』という世帯です。しかし、現実を見れば、もはや、これが『モデル世帯』ではないことは明らかです。
 雇用の流動化が進み、年功序列で定年まで働くケースは減っています。また、女性の社会進出も進み、共働き世帯が増えています。
 そんな中、夫が終身雇用、妻が専業主婦という世帯を『モデル世帯』とするのは、現実的に無理があります。もっと現実に即した『モデル世帯』を設定すべきです」(小黒教授)
 「数字のトリック」はこれだけではない。小黒教授によると、そもそも「本当の所得代替率はもっと低い可能性がある」というのだ。
 「所得代替率は、年金支給額が、現役世代(厳密には現役男性)の所得の何パーセントかを示す指標です。所得代替率が50%とは、現役世代の所得の約半分の額の年金をもらえる、という意味です。
 つまり、所得代替率とは、『年金額を現役世代の所得で割ったもの』です。ただ、この計算方法にも、かねてより『重大な欠陥』が指摘されているのです」(小黒教授)
 所得代替率が実際よりも高い数字になるトリック
 「所得代替率」は、図表1の計算によって求められる。分母に「現役男性の平均収入」、分子には「年金の支給額」が入っている。
 ここで注目されるのが、「手取りか総額か」という問題だ。図表1の分母にあたる「現役男性の平均月収」は、「手取り」、すなわち税・社会保険料を払った後の金額が入っている。
 一方、分子の「年金の支給額」は、なんと税・社会保険料を支払う前の金額、つまり「総額」なのである。
 要するに、分母は少なめに、分子は多めにして、割り算の結果がより大きくなるように仕組まれている、ということだ。これでは当然ながら、所得代替率は実際よりも高めに出てしまう。
 問題はこれだけにとどまらない。
 「分母と分子の世帯人数が異なっていることも大きな問題です。分母は『現役男性1人の平均月収』ですが、分子は『夫と妻の2人』になっています」(小黒教授)
 なんと、2人分の年金と、現役世代1人の所得とを比べているという。所得代替率の定義なのだが、これが計算方法としておかしいのは子供でもわかる。こうした「数字のトリック」が堂々とまかり通っているというのは、驚きを禁じ得ない。
 「どう経済成長しても年金は破綻しない」は本当か
 「19年度財政検証」では、将来の経済成長率に基づいて、6つのケースを提示している。今後日本が経済成長すればするほど、公的年金制度の財政的な安定性も増す。
 ただ、もし今後経済成長率が低下すれば、すぐ年金制度が破綻するというのでは困る。そのため、財政検証では、経済成長率が最良のケース(ケースI)から、最悪のケース(ケースVI)まで、6パターンを検討し、そのいずれにおいても年金制度は破綻しないと結論づけている。
 だが、小黒教授によると、この分析も「希望的観測にすぎない」というのだ。
 「6つのケースは、『TFP全要素生産性)上昇率』や『物価上昇率』といった、いくつかのパラメータの組み合わせとして表現されています。
 表は、6つのケースそれぞれが前提としたTFP上昇率と、そのTFP上昇率が過去30年に出現した割合、および、そのTFP上昇率が将来継続する確率をまとめたものです。6つのケースの確率は、図表2の3行目だと思ってください。
 ケースIとIIが出現する確率はほぼゼロ、ケースIIIでも19.1%しかありません。つまり、ケースIやケースIIといった『高成長』ケースが実現する確率はほとんどない、ということになります」
 政府と厚労省がひた隠しにする「本当の所得代替率
 ところで、日本の本当の所得代替率はどのくらいなのだろうか。
 小黒教授によると、その数字は政府・厚労省の数字よりも「かなり低い」という。
 「分母と分子を『税・社会保険料支払い前の総額』にそろえ、分子を『夫と妻』でなく、『夫1人』で計算してみます。
 分母の『現役男性の平均収入』は、額面で月額43.9万円(年収約527万円)。一方、分子の『年金額』は、夫1人の額面で月額15.5万円です。この結果、所得代替率は、35.3%となります。
 次に、分母と分子をともに『税・社会保険料支払い後の額』で、分子を『夫1人』で計算してみます。
 現役世代の平均収入は月額35.7万円、分子は夫1人が医療などの社会保険料を月1万円支払うとして、月額14.5万円。この場合の所得代替率は40.6%となります。
 いずれも、政府算出の所得代替率より低い水準です」(小黒教授)
 OECDの計算でも日本の所得代替率は3~4割程度
 ちなみに、OECDは加盟国の所得代替率のランキングを発表している。その数字も、小黒教授の主張を裏付けているという。
 「OECD所得代替率は、日本の所得代替率と定義が異なり、ある個人が老後に受け取る年金額が、現役時代の平均年収の何パーセントにあたるかという数字として計算します。実は、この計算方法が世界標準なのですが、OECDの計算では、日本の所得代替率は、税・社会保険料支払い前で35.1%、税・社会保険料支払い後で40.4%と、ほぼ私の計算と一致しています。また、日本の所得代替率OECD加盟国の中でワーストクラスという点にも注意が必要だと思います」
 つまり、現役時代の3~4割程度しか年金がもらえないというのだ。
 より良い年金制度にするために国民全体で議論を
 ただでさえ現役世代の実質賃金は年々減少を続けている。その減った賃金のうちの3~4割で、果たして老後の生活が成り立つのだろうか。
 もっとも、小黒教授によると「政府・厚労省ばかりを責められない」という。
 「所得代替率の計算方法は、法律(国民年金法平成16年改正法附則第2条)で定義されています。厚労省としては『決められた定義の通りにやっている』だけとも言えます。もちろん、この計算方法が本当に国民のためになるのか、より深い議論が求められるべきではありますが。
 より良い年金制度にしたいという願いは政府・厚労省も当然持っています。しかし、政府・厚労省としても、さまざまな問題により、身動きが取れなくなっているというのが現状です。
 高齢世代と現役世代から真逆のニーズを突き付けられ、一方では増税も難しいなど、政府・厚労省は手足を縛られた状態です。根本的な問題解決のためには、国民全体でもっと議論を深め、合意形成を図る地道な努力が必要でしょう」
 年金について、一人ひとりの国民が、そろそろ真剣に考えるべき時期が来ているようだ。

                    • 小黒 一正(おぐろ・かずまさ) 法政大学経済学部教授 1974年、東京都生まれ。97年京都大学理学部物理学科卒業。同年、大蔵省入省、2005年財務省財務総合政策研究所主任研究官、08年世界平和研究所研究員、10年一橋大学経済研究所准教授を経て、15年4月より現職。著書に『日本経済の再構築』『薬価の経済学』『財政学15講』など。 ----------
                    • 落合 龍平(おちあい・りゅうへい) フリー編集者 通信系出版社、新聞系出版社を経て独立。経済・ビジネス・ノンフィクション書籍の編集のほか、ビジネス系WEB媒体の編集を中心に活動。大手WEB媒体を中心にライターとしても活動中。 ----------」

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¥3〉─3─「制御不能な円安」日本企業と家庭にもたらす負担。~No.8 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2022年4月22日 MicrosoftNews 東洋経済オンライン「「制御不能な円安」日本企業と家庭にもたらす負担 大規模な介入があっても下落は止まらない
リチャード・カッツ
 © 東洋経済オンライン アナリスト間では、年内1ドル=130円に達するという予測も(写真:Kiyoshi Ota/Bloomberg
 4月11日に円が20年ぶりの円安水準である1ドル=125円に達した時、アナリストの大半は年末までに130円まで円安が進むだろうと答えた。実際にはたった9日後の4月20日には129円に。円安がどれくらいの速さで、どこまで進み続けるか、またその過程でどれくらい上下するかは定かではない。市場は直線には進まないものだからだ。
 制御不能な円からの逃避が起こるのではないかという不安は、特に参議選が数カ月先に迫っていることもあり、日本政府に警鐘を鳴らしている。すでに、円安が130円まで進んだ場合は財務省による為替介入があるのではないかとの報道も出ている。円安が125円まで進んだ時点でもそのような話が出ていた。
 財務相による異例のコメント
 今までのところ、鈴木俊一財務相は口先介入を試みている。下落の速度が速すぎるという通常のコメントに今やとどまらず、円安の程度が行き過ぎているという異例のコメントを述べるに至っている。
 「企業がまだ十分に価格や賃金を上げていない現在のような状況においては、円安は望ましくない。はっきり言えばこれは悪い円安だ」と鈴木財務相は述べた。円安は日本にとって「全体としてはプラス」だと主張し続けている黒田東彦日銀総裁までもが、今や下落の速度が「急速」すぎると言っている。
 エコノミストはますます黒田総裁ではなく鈴木相の側に付いている。十倉雅和経団連会長は論争に加わってこう述べている。「過去の円安局面においては貿易収支も経常収支も経済もよかったが、現在はそれほど単純ではない」。
 昨年12月に東京商工リサーチが7000企業を対象に実施した聞き取り調査によると、30%近くがこのような円安は経営にマイナスだと回答しており、プラスだとしたのは5%だけであった。円安がマイナスだとした回答者によると、平均107円が最適な円相場だとのことである。
 財務省にできる持続的な効果を持つ対策はほとんどないのが現実だ。為替介入は、為替の動きがファンダメンタルズから大きく乖離したモメンタムを得ている場合のみ効果がある。
 そして実際に、円安が進むペースがあるべき水準を大きく越しているということであれば、協調介入は少なくともしばらくの間はモメンタムを止めるか、場合によってはある程度逆転させることが可能になるかもしれない。
 アメリカ政府が日本政府の対策を支援すればその可能性は高まる。しかし実際には、現在の円安は経済のファンダメンタルズを反映しており、こうした場合は、介入には一時的な効果しかない。
 大規模介入ははっきり言って無意味
 最近の大規模な介入について考えてみよう。2003年1月から2004年3月の間に、財務省は35兆円(2003年の円ドルレートで3200億ドル)という巨額の資金を投入した。これは15カ月分の経常黒字合計の1.7倍の額であった。財務省円高を阻止しようとしていたのだ。しかし、介入後の円は介入開始時より9%高くなった。財務省は通貨投機家を儲けさせただけに終わったのである。
 円の下落の背景にあるファンダメンタルな要因は、アメリカと他のほとんどの国がインフレ対策として金利を上げている一方、日本では日銀が金利を上げないことに固執しているという事実である。
 その結果、債券投資家は日本の債券からアメリカの債券に資金を移すことで利益を得ることができる。それが行われると、需要と供給の法則により円安が進むのである。これを悟った為替トレーダーが円安圧力を高めることになる。
 10年米国債と日本国債金利差が1.3%しかなかった9月には、1ドル110円だった。金利差が2.6%に広がった4月19日には、1ドル129円に突入した。実際、2020年初頭以来、円ドルレートと10年国債の日米金利差の間に84%という極端に高い相関が見られる(図を参照)。
 アメリ連邦準備制度理事会は今年中に6回も金利を上げることを発表しているため、投資家は金利差がさらに広がることを知っており、先手を打って円から逃避しているのだ。
 黒田総裁が金利に関する立場を変えるならばある程度の影響があるだろうが、彼はそうしないと断言している。それどころか、日銀は無制限の資金を投入して10年日本国債金利を0.25%以下に維持するとしている。これは、円安が好ましいという考えのためだけではなく、日本が持続的な2%インフレを達成するまでは金利を上げないという誓いのためでもある。
 円安は輸出を促進するという幻想
 為替レートが弱すぎると、強すぎる場合と同様に、国に損害を与える。1ドル=129円はあまりにも弱すぎて全体として国益にならない。
 円安は輸出を促進することによって経済の需要を高めるため全体としては国益となると日銀は主張している。それがひいては生産や投資や雇用を促進するというのだ。このプラスの影響は、消費者が輸入品により高いお金を払わなければならないというマイナスの影響を上回るというのが日銀の見解である。
 ある程度の為替レートの場合はその通りであろう。安倍晋三元首相の任期の最初の4年間には、政府が進みすぎた円高を修正しており、その結果として輸出が促進されると市場は信じていた。そう信じられたことにより円安が進行した。円安が1円進む度に日経平均株価が221円上昇した。
 しかし、最初の4年間が終わった後はその連携は続かなかった。実際、現在では市場は反対の反応を示している。3月30日から4月20日の間、円安が4%進み、日経平均株価も同様に下落したのだ。
 この違いは何に起因するのであろうか。
 第1の原因は、円安が過去と同程度には輸出を促進しなくなったことだ。多くの企業が生産拠点を海外に移していることがその理由の1つである。近年、日本の自動車の3分の2は海外で生産されている。日銀の調査によると、海外生産の多い産業はそれが少ない産業と比較して、1%の円安から受ける輸出促進の恩恵が少ないという。
 「プレミアム感」なくなった日本の電機
 第2の原因は、生産拠点が国内か海外かにかかわらず、日本の電機・機械メーカーの多くがかつての競争力を失っていることである。2008年から2020年の間、世界の電機機器の市場規模は40%上昇したにもかかわらず、日本の電気機器メーカー上位10社のすべてが、世界においては売り上げが停滞している。
 さらに悪いことに、日本の電機メーカーの総売上は30%も下がっている。(自動車以外の)機械セクターでの世界輸出における日本のシェアは、1991年にはアメリカやドイツよりも大きかったのが、2018年にはその2国より小さくなってしまった。この期間に円安が進行したにもかかわらず、そうなってしまったのである。
 結果、かつては優れているという評判によりプレミアム価格を設定することができた日本企業が、今や価格を下げることでシェアを奪い合わなければならない状況に陥った。しかも、ますます大きく価格を下げなければならなくなってきている。
 前述の日銀による調査では2700種類の製品を調べており、2002年から2010年の間では円安に振れた時には86%の製品の売り上げが増加していたことがわかった。2011年から2019年の間ではその割合が72%にまで低下している。残り28%に関してはむしろ、円安はエネルギーや原材料などの不可欠な輸入品の価格を上げることにより輸出に不利に働いた。
 もう少し詳しく見てみよう。10%の円安は製品の売上数を20%上げるだろうか、10%だろうか、それとも5%だけだろうか。
 ほとんどの製品に関しては、円安による促進の程度は、2011年から2019年の間にはその10年前と比較してかなり小さかった。そして、円安が輸出に不利に働いた28%の製品に関しては、円安による売り上げ減少幅は10年前よりひどくなっていたのだ。
 結論としては、日本の輸出業者は鎮痛剤依存者に似ている。同じ効果を得るためだけにますます多量の服用が必要になっていき、その間にも基礎となる健康が損なわれていくのだ。
 輸入への影響、あるいはその欠如
 教科書が教えるところによると、通貨の下落は輸入品の価格を上げることによりGDPをその分上昇させる。これにより、消費者も企業も輸入品の代わりに国内で生産された同じ製品を買うようになる。日本の輸入の構造を見てみると、この理屈が日本の場合には該当しないことがわかる。
 まず、日本の輸入品の約40%は鉱物性燃料や食料や原材料などの品目であるが、それらには国内での代替品がほとんど、あるいは、まったくない。しかも価格が変わっても、国が必要とする食料や石油や鉄鉱石の量はほとんど変わらない。
 円安の唯一の帰結として、日本の企業や家庭は海外の生産者からより高い価格でモノを買わなければならなくなる。これらの商品に関しては、円安は単に収益を日本から海外へと移動させるだけなのである。
 輸入に頼っている食料品をより高い価格で買わなければならないことが、1980年代半ば以来、日本の家庭における食費の割合が増えている理由の1つである。そのためにほかの商品に使う金が少なくなってしまう。食料品に費やす割合は国の発展を示す古典的な尺度である。
 残りの60%の輸入品に関してはどうだろうか。それらはほとんど、化学物質から機械、さまざまな工業部品や玩具に至る工業製品である。結局のところ、これらの製品の60%は海外企業製ではないものの、日本企業の海外支社が生産している。
 例えば、パナソニックのタイ工場で生産された電池や、マレーシア工場で生産されたエアコンといったものだ。ほとんどの企業は、海外で生産している製品と同じ製品、あるいは少なくとも同じモデルは国内では生産さえしていない。
 これら2つの要因の結果、円安になっても日本は多かれ少なかれ、同じ量の輸入品を購入し、より多く支払うことになるのである。
 より多く払って、より少なくしか得られない
 あなたが仕立屋だとして、自分の製品を地元の食料品店を相手に交換しているとしよう。店の人が、よその町の新しい仕立屋はもっといい仕事をするから、あなたのドレス1着と交換する食料品をこれまでの半分だけにすると言ったとする。
 半分しかもらえなくても、まったくもらえないよりはましだ、という理由であなたはその取引に応じるかもしれない。しかし条件は以前より悪くなる。
 円安はこれに似ている。トヨタの自動車を輸出する度に日本がもらえる食料品が減ってきているのだ。トヨタにとってはいいかもしれないが、日本の消費者にとっては好ましくない。それでも円安によりトヨタの輸出が増加し雇用が促進され賃金も上昇するなら、利益がコストを上回るかもしれない。
 しかし、現在の日本ではそれは起こっていない。いかなる経済取引においても利益とコストの両方が常に存在している。かなりの円安のため、利益がもはやコストに見合っていないのだ。」
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