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2017年7月16日 産経ニュース「【日曜講座 少子高齢時代】外国人労働者 東京一極集中の助長要因に 論説委員・河合雅司
日本人住民の伸び鈍化
政府による「東京一極集中の是正」のかけ声もむなしく、その流れは止まらない。総務省の「住民基本台帳に基づく人口動態調査」(2017年1月1日時点)によれば、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県)は3631万2851人で前年比17万2039人増だった。
だが、詳しく分析すると変化に気づく。日本人住民は前年比0・28%増の3536万696人となり増加傾向に変わりはないが、その勢いが落ちたのだ。伸び率で0・03ポイント、伸び幅にして8789人の減である。
これは、東京一極集中の流れに陰りが見えてきたということだろうか。
1都3県それぞれに要因をみると、出生数と死亡者数を差し引きした「自然増減」はいずれもマイナスだ。反対に、転入者と転出者の差である「社会増減」はいずれもプラスであった。
東京圏から地方圏への流れは大きくなっておらず、自然減を社会増で穴埋めし、人口増になる構図が相変わらず続いている。
こうした数字を見る限り、「東京一極集中の流れが止まってきた」というより、地方に住む若者の絶対数が少なくなって「東京圏に流入し得る人口が減ってきた」と考えたほうがよさそうである。
東京都の人口は2025年にピークを迎え、減少局面に転じると予想されている。日本人住民の伸びの鈍化は、むしろその予兆といえよう。
全都道府県で外国人増
今回の調査結果には、もう一つ特徴が見られる。ここ数年、増加傾向にあった外国人住民が前年比7万1934人増と急増したのだ。率にして8・17%増という高い伸びを記録した。
頭打ちとなった日本人住民を補い、東京圏の人口増加を押し上げたのである。
外国人住民が増えたのは東京圏だけではない。すべての都道府県で増加している。増加幅が最も大きかったのは東京都の3万7304人で、愛知県の1万5506人が続いたが、最も小さかった秋田県でも58人増えた。
地方では、人口減少対策として外国人に期待する声もあるが、大半の道府県では、外国人が増えてもそれ以上に人口減少が進み、“焼け石に水”になっているということである。
一方、外国人住民の総数でみると、東京都の48万6346人が最多で、2位は愛知県の21万7218人。最少は秋田県の3637人。人口の多い都道府県ほど外国人住民も多い傾向が読み取れる。
実はこれらの数字は、外国人の大規模受け入れの難しさを物語っている。
当然ながら、多くの外国人は自分にとって魅力的な仕事が見つかる場所を目指す。人口の多い都道府県に外国人が集まるのは、そこに仕事があるからだ。
安倍晋三政権は外国人労働者の受け入れに積極姿勢をみせているが、東京圏の一極集中を助長させる要因ともなるということだ。
地域ごとの計画が必要
今回の調査では、東京都の人口に占める外国人住民の割合は3・59%にすぎないが、受け入れ規模が大きくなれば、東京圏への集中がより顕著な数となることだろう。
問題はそれだけではない。地方の若者が東京圏へと転出するというのは、そこに満足し得る職場が少ないことが大きな要因だ。若者の流出によって地域の人口が激減すれば、そこで暮らす人々の生活は成り立たなくなる。
それは外国人住民にとっても同じことである。政府は永住権の取得要件の緩和を進めているが、永住権取得者が多くなれば、日本国内で働ける場所に移動する人も増えるだろう。
地方で就職した外国人が家族も含めて東京圏へと移り住む流れができれば、ますます東京一極集中は加速する。
地域の活性化のために外国人の受け入れを推進したはずが、結果的に東京一極集中が進み、地方のさらなる衰退を招く悪循環が懸念される。
こうした状況に陥らないためには、東京圏以外での外国人受け入れ計画をしっかりと立てることが求められる。
すでに働いている外国人がどのような仕事に就いているのか。その仕事は、その地域にあって今後どれぐらいの需要があるのか。
地域の経済規模を無視し、人口規模を増やさんがために受け入れ拡大をするならば、かえって地域の衰退を早めることとなる。」
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