🧣29〉─4─目黒女児虐待死事件。助けられなかった大人達。~No.98No.99No.100 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 よい日本人は1割、わるい日本人は3割、中間で優柔不断で付和雷同する曖昧な日本人が6割。
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 少子高齢化による人口が激減する日本は、児童に対する陰惨でおぞましい虐待や虐殺が多発する社会になってきた。
 それが分かっていながら大人達は防ぐことができない、無力な社会となってきている。
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 2018年6月27日 産経ニュース「【目黒女児虐待】結愛ちゃん「声なきSOS」 《あなたのことをしり、まいにちあなたのことをかんがえています。どんなにかなしかったか つらかったか いたかったか》
 27日午後、事件の捜査本部が置かれた警視庁碑文谷署近くの円融寺の祭壇には、船戸結愛ちゃんに宛てて警視庁に寄せられた手紙や、現場のアパートに供えられたぬいぐるみ、花束など数百点が供養のために集められた。「捜査は今日で終結。多くの人の思いが天国の結愛ちゃんにも届いたと思う」。捜査幹部はそう語り、ピースサインをした笑顔の結愛ちゃんの遺影に静かに手を合わせた。
 幼い命を救う機会は、何度も見逃された。結愛ちゃんが以前に住んでいた香川県では2度、結愛ちゃんがアパートの外に出されているのが見つかったものの、県の児童相談所の判断は「一時保護」。東京に転居し、虐待はさらにエスカレートしたが、都内の児相は今年2月の家庭訪問の際に母親に面会拒否されて結愛ちゃんが衰弱している状況を確認できなかった。
 結愛ちゃんが最後の力を振り絞って救いを求めたのは、自分を愛してくれるはずの両親だった。《あしたはもっともっとできるようにするから》《もうおねがい ゆるして ゆるしてください》。1冊の大学ノートに覚えたてのひらがなで綴られたメッセージは、数々の悲痛な事件に対峙(たいじ)してきた捜査員の心をも揺さぶった。「彼女の最後のSOSを、伝えなくてはいけないと思った」。文章を公開した理由を、捜査幹部はそう打ち明ける。
 結愛ちゃんのメッセージはメディアやインターネットを通じて波紋を広げ、大きなうねりとなって社会を動かしつつある。都は虐待防止のプロジェクトチームを発足。政府は関係省庁の連絡会議を開いて再発防止策の協議を始め、児相の実態調査にも乗り出した。
 これまでも過去の教訓を元に再発防止を叫びながら、悲劇は繰り返されてきた。児童虐待防止法児童福祉法の改正で、児相による強制的な家庭への立ち入りが簡素化され、一部の自治体では児相の情報を警察と全件共有している。必要なのは、子供の命を救うための措置をためらわないことだ。(緒方優子)
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 7月7日 産経ニュース「【安倍政権考】地方ができて、なぜ政府ができない? 児童虐待情報の「全件共有」問われる覚悟
 児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議で発言する安倍晋三首相(左手前)=6月15日、首相官邸(春名中撮影)
 東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=が両親から虐待を受けて死亡した事件を受け、政府が児童虐待防止でどんな対策を取るかに強い関心が集まっている。児童虐待問題に取り組む団体などは、児童相談所(児相)と警察の間での虐待情報の全件共有を求めている。高知県など一部の自治体がすでに始めている取り組みだが、政府は及び腰だ。
 安倍晋三首相(63)は6月15日の「児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議」で「子供の命を守るのは私たち大人の役割だ。政治の責任において、抜本的な対策を講じる」と述べたが、こうした決意も看板倒れで終わってしまうのか…。
 「もうパパとママにいわれなくてもしっかりとじぶんからきょうよりもっともっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします」
 「ほんとうにもうおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおします」
 「これまでどれだけあほみたいにあそんでいたか あそぶってあほみたいなことやめるので もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいぜったいやくそくします」
 結愛ちゃんがノートに残した文面だ。わずか5歳の子供が、これほど許しを請うところまで追い込まれていたことに愕然(がくぜん)とする。
 首相も関係閣僚会議で「わずか5歳の結愛ちゃんが死の間際、どんな思いでノートにあの言葉をつづったのか。虐待を受けながらも両親の思いに応えようとする幼い心の中を思うとき、私は本当に胸が潰れる思いであります」と語った。この思いを共有しない大人はいないだろう。
 結愛ちゃんのように虐待の犠牲になる子供は増える一方だ。児相への児童虐待相談件数は平成28年度は12万件超で、5年前に比べ倍増した。虐待で失われた幼い命は年間80人に上る。
 ところが、寄せられる情報は予防に活用されていない。子供虐待などの問題に取り組むNPO法人「シンクキッズ」代表理事で弁護士の後藤啓二氏によると、児相のほとんどは警察に情報を提供せず、抱え込んでいる状況だという。「救えたはずなのに命を救えなかった事件が過去10年で150件あった」と指摘する。
 結愛ちゃんも救えたはずの命だった。結愛ちゃんの虐待は香川県で発覚していた。だが、1月に東京に引っ越した後、児相から家庭訪問を受けるも、母親が拒否したことによって結愛ちゃんとの面会は実現しなかった。放置された結愛ちゃんは3月に死亡した。後藤氏は「児相が面会を拒否されたときに警察に電話一本さえすれば、警察官が家庭訪問し、結愛ちゃんを救うことができた」と悔やむ。
 警察は、自分たちが持つ情報を児相に提供するが、児相は警察と情報をほとんど共有しない。児相側は、情報が共有されると、児相への相談や通報を躊躇(ちゅうちょ)する人が増え、虐待防止に逆効果になると主張する。警察側も、あらゆる情報を寄せられても対応に困るという。
 児相側の主張は親の側に立ったものに聞こえ、警察側の主張は警察の都合の問題に聞こえる。児相を管轄する厚生労働省警察庁の縦割り行政の弊害の側面もあるが、全件共有に消極的な官庁同士の思惑が一致したような感も否めない。いずれも、第一義的に守るべき子供のことを置き去りにした主張ではないか。
 こうした官僚組織の主張を退けてでも、やるべきことをやるために政治的な決断をするのが時の政権の責務だ。首相は「政治の責任において抜本的な対策を講じる」と決意を示したが、政府内は全件共有に難色を示す雰囲気が漂っている。
 全件共有は一部の自治体ですでに行われている。高知県は10年前に児相が把握しながら起こった虐待死を受け、警察や教育委員会などの関係機関との情報共有がされている。このほか、愛知県や茨城県などでも始め、今後、埼玉県や岐阜県なども始めるという。
 後藤氏によると、愛知県の大村秀章知事(58)は3月、後藤氏の前で担当部長に対し、なぜ全件共有をやっていないのかただした。
 部長「児相によると、虐待には程度があって、警察と連携する必要がないものもあるので、全件情報共有は必要ないと言っています」
 大村氏「1回家庭訪問しただけで緊急性は低いなどと断定できるはずはないでしょう。子供の命を最優先で、関係機関が幅広く連携するよう検討してください」
 全件共有は知事の指示でできる話なのだ。
 驚くのは、結愛ちゃんを含む多くの虐待事件によって子供の命が失われた東京都の対応だ。3月の都議会で都は「全件共有の必要なし」との答弁をしているという。都を動かすためにも、政府の強い対応が求められているのは言うまでもない。
 愛知県などの自治体のトップが決断できているのに、政府のトップである首相が決断できない理由はあるのだろうか。月内にも開かれる関係閣僚会議で首相が打ち出す対策を注視したい。 (政治部 田北真樹子)」
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 7月8日 産経ニュース「【新聞に喝!】「児相に期待できない」となぜ書かない 虐待死事件の「嘆き記事」はもうごめんだ 作家・ジャーナリスト・門田隆将
 船戸結愛ちゃんが暮らしていたアパート前に供えられたメッセージや花=6月7日、東京都目黒区(吉沢良太撮影)
 ああ、またか。そんな怒りを感じるのは私だけではないだろう。「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」という痛ましい文章を残して逝(い)った船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)虐待死事件そのものではなく、その新聞報道に対して、である。〈悲痛な心の叫びを忘れまい〉(読売)〈SOS届かず〉(毎日)〈悲劇は繰り返されてきた〉(産経)…と新聞各紙には“いつもの”嘆き記事が並んだ。
 ウサギ飼育用のカゴに監禁されて死亡し、遺体を川に流された3歳男児の東京都足立区・うさぎケージ虐待死事件(平成27年発覚)のときも、山中から男児(3)の白骨死体が見つかった大阪府堺市・虐待死事件(28年発見)のときも、同様の記事が並んだものである。虐待死事件のたびに、新聞は同じ論調を掲げ、識者のコメントを紹介し、事件を「嘆いてみせる」のだ。
 血の繋(つな)がりがない33歳の父親に結愛ちゃんがどれほど虐待を受けていたかは、最初の一時保護、そして2度にわたる父親の傷害容疑の書類送検、その後の病院による児童相談所への通告(痣(あざ)の発見)でも明らかだった。それでも東京に引っ越した一家に、品川児童相談所は及び腰で、家庭訪問した際、母親に「関わらないでください」と言われると退散し、警察への情報共有も怠り、最悪の事態を迎えたのだ。
 私は、同様の事件はこれからも起こり続けると思っている。なぜなら「児相の職員を増やせ」「専門性のある職員をもっと」と、同じ意見が“いつものように”叫ばれるだけだからだ。
 新聞はなぜ問題の本質を突かないのだろうか。それは、「もはや児相には期待できない」ということだ。児童虐待防止法には、児相による自宅立ち入り調査も認められており、その際、警察の援助を求めることもできるようになっている。だが、児相はそれを活用しない。なぜか。
 それは職員の能力と意欲の問題であり、一方で「プライバシー侵害」やら「親の権利」を振りかざす“人権の壁”への恐れがあるからだ。子供を虐待死させるような親は、人権を盾に抵抗し、あらゆる言辞を弄して子供への面会を拒む。この壁を突破して子供の命を守るには、逆に、児相に「案件を抱え込ませてはならない」のである。
 警察を含む行政組織が全情報を共有し、例えば“街の灯台”たる交番のお巡(まわ)りさんが、絶えず訪問して子供の顔を確認するようなシステムを構築しなければならない。
 しかし現実には、児相や厚労省は職員の増員を求めるのに必死で、虐待情報の共有に否定的だ。彼らにとっては、自らの権限拡大の方が大切なのだ。こうしたお役人の言い分に目を眩(くら)まされているのが、小池百合子都知事であり、安倍晋三首相にほかならない。新聞はなぜここを突かないのか。どれほど犠牲者が出ようと他人事(ひとごと)のような“嘆き記事”をいつまでも読まされ続けるのはご免こうむりたい。
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【プロフィル】門田隆将
 かどた・りゅうしょう 昭和33年高知県出身。中央大法卒。作家・ジャーナリスト。最新刊は、『敗れても敗れても 東大野球部「百年」の奮戦』。」
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 10月3日 産経ニュース「目黒の虐待死 児相が危険性記録せず 事件の検証公表
 東京都目黒区で3月、両親から虐待されていた船戸結愛(ふなと・ゆあ)ちゃん=当時(5)=が死亡した事件で、結愛ちゃんが以前に住んでいた香川県児童相談所(児相)が、虐待が疑われる事態を把握しながら、危険性を判断する記録を残していなかったことが3日、厚生労働省の専門委員会がまとめた検証結果で分かった。児童への危険性を判断するための「リスクアセスメントシート」などに記録することが虐待対応の手引き(平成17年通知)に定められており、厚労省は「手引き違反」と認識している。
 香川の児相は、転居先の東京の児相に対して、けがの写真など客観的な資料を引き継いでおらず、東京側が結愛ちゃんへの危険性を判断する機会を失ったことも判明。政府は7月、事件を受けて児相の体制の強化や、児相間の引き継ぎは対面で行うことなどの緊急対策を決定し、虐待死の防止を目指している。
 専門委は、事件の社会的反響を受けて、前倒しして異例の検証を実施。東京と香川で現地調査も行い、関係機関7カ所から聴取した。
 検証によると、平成28年8月から、警察官が結愛ちゃんの傷やあざを確認するなど虐待を疑い、児相が2回、一時保護していた。しかし児相は父親に対して指導を十分行えず、父親の転居を理由に指導自体も解除した。
 香川から東京の児相への引き継ぎについては、結愛ちゃんの虐待の内容や、危険性の評価が不明確だったと認定。口頭での補足説明も十分ではなく、認識のずれが生じたと指摘した。
 東京側は母親から2度にわたって結愛ちゃんの確認を拒否されたこともあり、緊急性の高いケースと判断できなかった。母親との関係構築が優先され、結愛ちゃんを現認できないうちに事件が起きた。検証では「子供の安全確認が最優先。速やかな立ち入り調査などの検討が必要」とした。
 ■目黒の女児虐待死事件 東京都目黒区のアパートで今年3月、5歳の船戸結愛(ゆあ)ちゃんが両親から十分な食事を与えられず、父親から暴行を受けた数日後に死亡。警視庁は傷害容疑で父親を逮捕し、6月に保護責任者遺棄致死容疑で再逮捕する際に母親も逮捕した。結愛ちゃんが「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」との文章を残していたことも明らかにした。結愛ちゃんが以前住んでいた香川県では平成28年から2度、児童相談所が一時保護していたが、転居後の関係機関の連携不足が指摘されていた。」
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