⛲16〉─2─キレる老人、暴力る老人、万引き老人は、病的な「脳の劣化」で自制心や恥辱を失っている。~No.57No.58No.59 @ 

暴走老人! (文春文庫)

暴走老人! (文春文庫)

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 借金を残して年金を貰う暴走する老人。
 借金を残され年金が貰えないキレる若者。
   ・   ・   ・   
 病院で我が儘に暴れる老人。
 看護婦の体を触るスケベ老人。
 治療代を踏み倒して逃げる患者。
 注意されて、逆ギレする老人。
 老人とは弱者であると居直る老人。
 歳を取った事は特権であると傲慢になる老人。
   ・   ・   ・   
 2015年 60代以上の老人による犯罪件数が急増して、未成年者の検挙数を越えた。
 不良化したキレ易い老人の多くは、長生きをして、更にまだ生きていく月日に戸惑い、「生きる意味も生き甲斐も見失った」と漏らしている。
 新郷由起著『老人たちの裏社会』。
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 2014年12月12日 週刊ポスト「新たな社会問題
 暴力、セクハラ、マナー違反・・・若者たちから注意を受ける情けなさ
 『老人の品格』はどこへいった?
 古今東西、老人は『敬われる存在』とされてきた。それは、星霜を重ねた『人生の大先輩』は智恵や見識、分別を備えて若い世代の手本となるからである。ところが我が国では最近、老人が若者から眉をひそめられることが少なくない──。
 2人連続の『駆け込み乗車』
 金融機関に勤める30代会社員A氏は外回りの途中、東京を東西に貫く中央線で運よく座ることができた。次の取引先訪問に備えて資料をカバンから取り出して読み始めたが、その席が悪く。
 『60代後半か70代と思われる女性グループが、私の横や向かい側に点在して座っていて、大声で喋っていたんです。目の前の通路には立っている人何人かいるのに、それを飛び越えるように話していて・・・。しかも会話の内容も嫁の悪口や近所の噂話で、聞くに堪えませんでした』
 電車内で携帯電話を使って大声で話す、ドアの脇を占領して人が乗り降りしようとしているのに一歩も動かない、そんなマナー違反を目撃することも増えたように感じる。
 少し前は、公共の場で配慮ができない存在といえば『若者』が定番だった。
 『最近の若いもんは』とはいつの時代も年配者が若者の姿を憂えていう言葉だったが、いまは分別をわきまえているはずのシニア世代が『最近の老人たちは』と若者から眉をひそめられる。
 『目撃談』が圧倒的に多いのは、冒頭のように公共交通機関でのマナー違反だ。20代の電子部品メーカー社員の男性は、朝のラッシュ時にこんな経験をした。
 『駆け込み乗車してきたおじいさんが、電車のドアに挟まったんです。痛そうだったので最初は心配していたのですが、ドアが開いてとたんに、後ろにいた友達と思しきおじいさんいに「今なら乗れるぞ!」と声をかけた。すると今度は2人目がドアに挟まったんです』
 出勤を急ぐ周囲のサラリーマンたちは冷ややかな視線を浴びせていたが、当人たちは『乗ってよかった』と満足げだったという。
 座席をめぐる〝争い〟は老人たちの出番が多い。
 ……
 歩道では、自転車のベルをけたたましく鳴らして子連れの親子をどかせながら走る老人。
 ……
 病院でも我が物顔に振る舞う老人は少なくない。
 ……
 そのような『周りを気にせず我が道をゆく』タイプの高齢者がなぜ増えたのか。
 社会学者で甲南大学准教授の阿部真大氏は『個人の性格だけではなく、社会の変化が背景にある』と、こう分析する。
 『マイペースな行動をするシニアが増えた背景として、「世間体」を気にしなくていい世の中になりつつあるということがあると考えられます。
 かって祖父・祖母から孫までが一つ屋根の下で暮らしていた時代は、「子供が見ているから、しっかりしたおじいちゃん、おばちゃんでいなくてはならない」という意識を強く持っていた。子供が世間に迷惑をかけるようなことをしたら、叱るのは祖父母の役目でもあった。公園や道路で近所の子供が悪さをしていたら「やめなさい」と諭すのも高齢者だった。
 しかし、核家族化が進み地域のつながりが希薄になった今は、そういった意識を持たなくても良くなった。社会的背景が「周囲が見えない」「配慮ができない」シニアを作ってしまった面がある』
 妊婦を立たせて自分が座る
 老人たちの『品格』を失った行動には、ツイッターなどネット上で、多くの若者から厳しい指摘が投稿されている。
 ……
 そうした若者たちの声は、ネット上にとどまらない。時には現実社会で直接ぶつかり合うこともある。
 北関東にあるスーパーに勤務する30代女性が語る。
 『いつもスーパーの出入り口に一番近いところにある障害者用駐車場に車を駐めるおじいさんがいるんです。
 見たところ体が不自由には見えないし、時には孫を抱きかかえている。
 先日、障害者マークを貼った車が来た時にもそのおじいさんが先に駐めていたので、見かねて「そちらは障害者の方の駐車場です」と注意したら、「私は高齢者だ。障害者と同じようなもんだ」「常連客に向かって文句をいうのか」と言い返されました』
 都内のスーパーでも、〝逆ギレ事件〟は起きた。
 ……
 公共の場が、『老人vs若者』で一触即発になったケースもある。
 10代の女子大生はこんな体験をした。
 『大きなお腹の妊婦さんが優先席に座っていたのですが、そこにあとから乗ってきたおばあさんが「臨月近いんでしょ、座ってたらお産が重くなるよ」と声をかけたんです。妊婦さんは「立っていると辛いんで・・・」と応えたのですが、「そんなんじゃ元気な子を産めないわよ!」と妊婦さんを一喝。結局自分が座ってしまいました』
 この女子大生は自分が座っていた席を妊婦に譲り、高齢女性に対して『自分が座りたかっただけじゃないですか』と噛みついた。すると隣の関係ない高齢男性から『お年寄りにその言い方はなんだ!』と横槍が入り、別のサラリーマン風の男性が『いや、この子がいっていることは間違ってはいない』と返して車内が緊迫した雰囲気になったという。
 前出の安部氏はこう指摘する。
 『戦後の厳しい時代をくぐりぬけてきた世代と、今の若い人とは価値観が違って当然。「私が妊婦だったときはこうだった」「自分はお年寄りを大切にしてきた」という思いがあるから、シニアが若い人とコミニュケーションをとると、そのギャップにストレスを感じることになる。それがいわゆば被害者意識を増大させ、「弱い立場なんだから、ちょっとくらいいいじゃないか」「先輩のいうことは聞くべき」という感情になって、品格を欠いた発言をしてしまうのでしょう』
 鉄道員への暴力は老人がトップ
 『主張』がエスカレートして、単なる『文句ばかりいうお年寄り』になっているケースもある。
 都内の家電量販店ではこんな事例があった。
 孫に野球ゲームを買い与えた高齢男性。ところが孫はうまく操作できず、友達にホームランを次々打たれてしまって、見ていられないほどかわいそうだ、という〝クレーム〟を入れてきた。初めは若い店員が対応していたが、埒が明かずフロアのリーダーにバトンタッチ。そうした理由では返品もできないし対応もできないというと、『そういうことじゃない。仕事とはどういうものか知っているか。君たちは若いからわからないかもしれないが、サービス業とは、客の気持ちに寄り添ってどういすればいいか考えるものだ』と説教になり、それは延々と続いた。『仕事とはこうだ』『客商売とはこうあるべきだ』というのが、一部の高齢者の常套句になっている。
 アミューズメント施設に勤務する30代女性が語る。
 『70代と思われる男性から、「うちの孫は半年前から貯金をして、ようやくおたくの遊園地に遊びに来るとができた。それなのに雨が降ってアトラクションに乗ることができない。どうしてくれるんだ」というのです。「その分、なにかしら別のサービスを考えて客を楽しませるのが君たちの仕事だろう」と・・・』
 大手旅行会社勤務の30代女性Bさんは高齢の女性客から、『旅館のカニ雑炊に海苔とネギが入っているはずなのに、入っていなかった。パンフレットの写真と違う。いますぐ入れてほしい』と文句をつけられた。ところが、パンフレットにそんな写真はなく、ふだん自分が雑炊に入れるからそうするべきだというだけだった。Bさんはクレームの中身より、嘘をつかれたことが悲しかったという。『普通に海苔とネギを入れてほしいとってくだされば対応できたのに、「あなたたちは間違っている」といわれると反発したくなってしまう』(Bさん)
 30代介護ヘルパー女性の体験談には驚く。
 『70代男性から食事介助のとき、ずっと太ももの上に手を置きっぱなしにされた。ときどき手が動く。気持ち悪かったですが我慢していると、足の間までサワサワしはじめた。
 同僚の話では、入浴介助のときに勃起した局所を触るように強要される人がいたり、「前のヘルパーさんは胸を触らせてくれたよ」といってまさぐってきた人もいたそうです』
 老人の『主張』は暴力に発展することもある。
 今年9月には大阪市営地下鉄で66歳の男性がICカードをかざしたのに自動改札が開かなかったことに腹を立て、駅員に暴行したとして逮捕される事件が起きた。JR3社や日本民営鉄道協会が発表した13年度の統計によると、鉄道係員に暴力をふるった加害者を年齢別にみると60歳以上が23.4%を占め、5年連続トップになっている。
 企業のクレーム対応のコンサルティングをしている谷厚志氏は老人のわがままな主張にはいくつかのパターンがあると分析する。『独居老人が増えて高齢者同士のコミュニティも崩壊しつつあるため、孤独感を持っている人が増えた。話を聞いてほしいと思うあまり、それが間違った「主張」となって表れてしまう。
 別のパターンとしては「人生の先輩として教えてやっている」「みんなの代表として、私がクレームをつけている」という〝世直し老人〟もいます』
 もちろん、筋の通らない要求や説教を繰り返す老人はいつの時代にもいた。すべてを老人側の責任にするのも正しくない。現在の〝世代間闘争〟の背景には、若者の側に世代間格差への不満があり、お年寄りを敵視する傾向が強いこともある。
 若者たちは、いまの高齢者がバブル経済に浮かれ、国の膨大な借金を作り出したにもかかわらず、高額な年金を受け取る『逃げ切り組』と考えている。一方でシニアには『自分たちこそ戦後の高度成長期を支えた世代だ』という自負がある。 
 加えていえば、近年になって急に『品格のない老人』が増えた理由として、団塊の世代を中心に多くの『今まで高齢者を支える側』だった人たちがこの数年で『支えられる側』にお変わったことが大きいと考えられる。今まで長年にわたって年金保険料などを支払い『今度は我々の老後を支えてもらう番だ』と思うシニアに対し、若者は『彼らのせいで自分たちの生活が苦しくなっている』と感じているのだ。
 前出の安部氏が指摘する。
 『若者に尊敬されて当然と考えている高齢者は、例えば「電車では席を譲ってもらうのは当たり前」と思っている。それに対し、若者たちは「元気な逃げ切り組のくせに都合のいいときだけ老人ぶって」と感じる。そこに大きな断絶があるからこそ、「老人の品格がなくなった」と公然と指摘されるようになったのではないでしょうか』
 年金などの社会保障の問題、高齢者の再雇用増加に伴う若者の就職難といった問題は、単純に勝ち組』『負け組』と線引きできるものではない。いつの時代が『楽』で『得』だったかも人により評価は大きく違う。しかし、だからこそ多くの時代を見て経験してきた老人は、節度と品格を見せて全世代の範となってもらいたいところだ」
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 藻谷浩介「残念だが日本では、インフレ期待の高まりこそが消費を減らすだろう。国民の4人に1人が65歳以上で、15〜64歳人口(生産年齢人口)が毎年1%ずつ減少している、世界最先端の人口成熟社会だからだ。個人金融資産の過半を有する高齢者にとって貯蓄は、将来受けるかもしれない医療介護サービスの引当金であり、資本勘定(内部保留)ではなく負債勘定に属している。インフレになれば彼らは、それ以上の率で貯蓄積み増しを図ろうとあがくだけだ。彼らの欲しいのは家や車や食品ではなく、『老後の安心』という無形のものなのだから。
 人口成熟を田舎の話だと勘違いしてはいけない。国立社会保険・人口問題研究所の都道府県別予測では、オリンピックまでの足元10年間に、東京都の65歳以上人口は21%も増え、64歳以下人口は4%減る。東京都の住宅の9軒に1軒が空き家なのは、こういう状況も弁(わきま)えずにマンション供給を増やしたからだ」
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 2015年1月15日 朝日新聞「報われぬ国 負担贈の先に
 第3部 療養不安 
 仕方なく『老健わたり』
 『3ヶ月ごと判断』3カ所転々 介護老人保健施設
 介護の現場の一部で、『老健わたり』と呼ばれる高齢者がいる。自宅で暮らすのは難しく、特別養護老人ホーム(特養)にも入れない。仕方なく介護老人保健施設老健)を渡り歩く人たちだ。
 ……
 特養・自宅行けず 入所長期化
 施設長は『帰れるのは、介護する人がいたり経済的にゆとりがあったりという条件がそろった人たちが多い。逆に、老健から出た後の整っていない高齢者も多い』と指摘する。
 『在宅復帰』促す厚労省
 厚生労働省は来年度の介護報酬改定でも、高齢者の『在宅復帰』の割合が高い老健にはより高い介護報酬を払うようにする方針だ。老健には自宅で療養できるような支援を求めていくという。
 老健でつくる全国老人保健施設協会の東憲太郎会長も『いま入所している高齢者を追い出そうとしているわけではなく。ベッドを少しでも空けて、在宅療養する人がショートステイなどで利用するニーズにもっと応える努力をしなければならない』と話す。
 厚労省は施設への介護報酬がふくらむのを抑えるため、在宅での介護を重視している。老健からの退所を促すのもその一環だ。
 しかし、老健のなかにも『在宅復帰は幻想だ』という声がある。老健を出ても行き先が整っていないという現実があるからだ。
 特養は都市部を中心に施設や職員が足りず、入居待ちの高齢者が多い。有料老人ホームに入ろうにも月に数十万円以上かかる。
 一人暮らしだったり家族の負担が重くなったりして、自宅に戻れない人も多い。実際に、老健から自宅へ帰る高齢者は約3割にとどまっている。
 厚労省は退所の難しい高齢者本人と家族に老健の次の行き先の希望を尋ね、昨年10月に結果をまとめた。
 通常の老健では、本人は『意思表示が困難・希望なし』が37.6%、『このまま老健』が23.6%、『自宅』が22.5%、『特養』が5.6%だった。
 家族は『このまま老健』が50.9%で、『特養』が33.4%で、『自宅』は4.3%しかいなかった」
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 老人は、ますます生きずらい世の中になっている。
 家族における老父母への面倒が、日常生活や家計費を圧迫している。
 若い世代は、増える老人達の為に安月給に重税を課せられ、乏しい生活費から家族を持ち子供を育てる事が絶望的となりつつある。
 年寄りもさることながら、日本を背負って立つ青少年の未来は救いようがないほどに暗い。
 老人となりつつある大人達が子供達に残せるのは、将来への希望や夢ではなく絶望と悲嘆のみだけである。
 今の大人達には、深刻な事態を解決する有効な打開策が思いつかず、青少年達の為に行動を起こそうという気はなく、自分の老後しか関心がない。
 何時の時代でも、子供は大人の犠牲になり、大人が残す負の遺産を押しつけられる。
 今の大人は、解決能力がないだけに、「発つ鳥跡を濁さず」ではなく「発つ鳥跡を濁す」である。
 戦前・戦中・戦後を命辛々生き抜いた老人には罪はなく、戦争とは無関係の1975年頃成人して大人となった世代に問題があった。
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 2015年4月2日 週間文春「敬老精神がアダとなり
 あなたの隣の『高齢者ストーカー』
 ここ10年で4倍に増えたという60代以上のストーカー。自分には無縁と思う人も多いかもしれないが、『お年寄りだから』と少し優しく接しただけで勝手に思いを寄せられ、付きまとわれるケースが多発している。
 ……
 警察庁統計では60代以上のストーカー行為者の増加が著しく、平成25年度の認知件数(1919件)は10年前(473件)の約4倍と、他世代(1.7〜2.6倍)と比べて急伸ぶりが目立つ。70歳以上も全体の2.5%を占めて直近5年間で倍増し、数字の上ではストーカー行為者の約10人に1人が60歳以上となる格好だ。
 『「人生でやり残したことは恋愛だけ」と口にする高齢男性は大変多い。そして、恋愛をしたい願望の心底には、まだプレイヤーとして現役でいたいとする若さへの執着も潜んでいます』と、『「ストーカー」は何を考えているか』の著者で、NPO法人『ヒューマニティ』理事長の小早川明子氏が前置きして続ける。
 『彼らによく見られる特徴は、女性の親切や思いやりを「自分への好意」と勘違いして、「こうあって欲しい」妄想を織り交ぜて自己本位のストーリー化を進めてしまうこと。このため、若い世代では交際上のトラブルから発展する「破恋型」ストーカーが8割方なのに対し、シニア世代では交際にも至っていないのに、勝手な思い込みを「裏切られた」と逆恨みして行動をエスカレートさせる「拒絶型」が大多数です』
 ……
 『人生のタイムリミットを自覚した一部の高齢者は「自分を受け入れてくれる異性さえいれば幸せになれる」と、捨て身で誰かに縋りつこうとする。ただし、そうした人たちには「自分の人生の責任は自分で取る」という、生きる上での大前提がすっぽりと抜け落ちてしまっているのです』」
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 2015年5月8日・15日合併号 週刊ポストビートたけし キレイゴトもタテマエも捨てちまったほうが楽しい
 『〝よくぞ死んでくれた〟といわれる不良老人がいいんだっての』
 『守るもの』がないほど強い
 ……
 『次の世代』なんて関係ない
 中高年が生きにくい理由は、体の無理が利かなくなったとか、自由になるカネが少なくなったとかいろいろあるんだろうけど、実は精神的な問題が大きいんじゃないかと思うんだよな。
 今の中高年は総じてマジメだから、みんな『年相応に家族や世間から尊敬される存在でなければならない』って考えてる気がする。歳を取れば当然のことかもしれないけど、その意識が自分たちの首を絞めてしまってるんじゃないかな。
 『尊敬されたい』って考えには、大きな落とし穴があってさ。『尊敬できる老人』かどうかを評価するのは、自分たちよりも若い世代なんだよな。だから、社会的に尊敬できる老人、模範的な老人であろうとすることは結局のところ『若い世代に気に入られるかどうか』になってしまう。そうなると、何をしようにも『大人気ない』『いい歳してみっともない』って話になっちまう。この先何十年も生きられるわけじゃないのに、そんな窮屈な思いをする必要はないだろってさ。それは若い世代への『媚び』になりかねないんだよ。
 だからすべての中高年にいいたいんだけど、職場でも、近所のコミュニティでも『いいジジになろう』なんて考える必要ない。
 ……
 オイラにいわせりゃ、中高年と若者の利害なんて常に相反するもので、世代が違うヤツ同士は戦っているのが当たり前。『理解し合いましょう』と『手と手を取り合いましょう』かなんてキレイゴトばかるいうから、世の中がおかしなことになっちまうんだ。
 ……
 オイラは常々いってるんだけど、『未来の子供たちのために』と『子孫にツケを残すな』かなんてキレイゴトを並べるヤツは、とにかく疑ったほうがいい。そういうセリフを吐くヤツには『それじゃ、お前はひひじいさんの顔や名前を知ってるのか』って聞いてみたくなる。オイラなんて自分のじいさんの顔すら知らない。自分たちが先祖のことなんて微塵も考えたこともないのに、自分たちが後の世代のことを親身に考えるなんて、まったくリアリティがないどろってね。
 気になってるのは自分の生きている間の生活だけなのに、いかにもひ孫やらに気を遣っているような大嘘をつくんじゃねェって思っちまうんだとな。
 ……
 だから、カネや財産だって子供に残さずに全部使いきっちゃったほうがいい。その代わり若い世代にはまったく頼らないし、世話にならない。少々やせ我慢だって、そのほうが堂々と生きられるよ。若いヤツラだって親世代からの援助が期待できないとなりゃ、もっと自立するんじゃないか。
 まァ、実際には介護の問題とかを考えると『そんなに一人で強くは生きられない』って意見もありそうだけど、必要以上に子供に媚びたり手厚い援助をしても、キチンと面倒をみてくれるとは限らないんでね。やっぱり『不良老人』のほうが楽しいと思うんだよな。
 オイラがガキの頃は、普段は『ジジイ・ババア』と罵っていても、もんなが年寄りとの付き合い方を心得ていて、若者は黙って席を譲るのが当たり前だったんだよ。育ちは悪いし、言葉は下品でも『行儀』はいい。そんな時代だった気がする。
 ところが今じゃそういう感覚は過去のものだ。年寄りが目の前に立っていても、『ここはシルバーシートでも優先席でもないんだから』と譲る気すらないヤツが少なくない。シルバーシートでありうがなかろうが、年寄りが目の前に立ったら若い者は席を譲るに決まっているだろうとオイラは思う。だけど現実は、社会が『お年寄り』だの『シルバーシート』だの歯の浮くような言葉で老人を社会の片隅に追いやっているんだよな。その本質に気がつかなきゃいけないんだと。
 もう世の中がここまで来ちまうと、老人は若いヤツラの親切を期待するんじゃなく『親切なんて受けてやるもんか』と思ったほうがいいね。電車やバスで席を譲られたって『オレを年寄り扱いする気か!』『お前なんかよりよっぽど足腰は強い』って断った上に説教しちゃうというね。たとえヒンシュクを買ったとしても、そんなジジィのほうが味があるんじゃないかって思う。
 ……
 まァ、『不良老人』を目指すってことは、一種のやせ我慢なんだよ。やせ我慢でもしない限り、世の中に迎合せずに生きるのは難しいんだよな。
 何を恥ずかしいと思うかはそれぞれの勝手だし、恥ずかしくさえなければどんどん世の中に流されて迎合すればいい。だけどオイラは若い世代に媚びるより、バカにされてでも自分の好きなように生きるほうがいいと思うんだっての」
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 2015年10月29日号 週刊文春「78歳が喫茶店員にフラれて脅迫
 増加する老人ストーカーの背景
 老いらくの恋か、今月、警視庁北沢署は結婚を断られたことに腹を立てて脅迫したとして、東京觥世田谷区の無職、石坂登容疑者(78)を逮捕した。脅迫された相手は、年の差約半世紀の20代女性、警視庁担当記者が呆れ気味に話す。
 『自宅近くの世田谷区内にある喫茶店で、働いていた店員の女性を見初めたようです。石坂容疑者はこの店の常連客で、通い詰めているうちに女性も自分に好意を持っていると勘違いしたのだと。「結婚してほしい」などと書いてある熱烈なラブレターを路上で手渡したのですが、気味悪がった女性は封も切らずに返却。そこで、容疑者は激高して「ぶっ殺してやる!」と脅迫したようです。手紙で結婚を申し込むというのは古風なのかも知れませんが、フラれてキレるというのでは、馬鹿な若者と変わりません』
 だが、若者以上に直情径行、〝暴走〟する高齢者による犯罪が昨今は増えているという。
 『今回の事件も広く捉えればストーカー犯罪といえます。実は、ストーカー犯罪は比較的若年層によるものとみられてきましたが、
20年ほどは高齢者のストーカーが急増しているのです』(同前)
 警察庁の統計では、平成15年に90人だった70歳以上のストーカーは26年には654人と7倍以上に激増。同時期にストーカー全体の相談件数が約1万2,000件から2万3,000件と2倍未満にしか増えていないのを見ても、〝暴走老人〟の増殖ぶりが窺える。高齢世代に突然訪れた〝春〟は何を物語るのか。
 ……
 時代背景も無関係ではない。
 『いまの高齢者は恋愛を謳歌された大正生まれではなく、余裕のなかつた昭和の戦中・戦後世代が中心。雑誌に乗せられるような高齢者は、実は若い頃に遊んだ経験のない人が多く、暴走しがちなのかもしれません』(出版関係者)
 石坂容疑者がどんな雑誌を読んでいたのかは定かではない」
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 2015年10月号 新潮45「新郷由起 若者を潰すろくでもない老人たち
 問題行動の原因は委縮した脳にある
 社会ルールを無視し、周囲の迷惑を顧みず自由奔放に振舞う高齢者たち、彼らの脳は『前頭側型認知症』の可能性がある。
 発情老人
 『びっくりしたよねぇ。「この人、痴漢です!」ってOLっぽい女の人が男の手を掴み上げて叫んだ時は。だって、70は超えている感じのジイサンだった』
 朝の通学時、バスの車内で痴漢告発の現場に遭遇した2人の女子高生(埼玉/17歳・18歳)が苦笑しながら話す。
 『何か怪しい感じはあったけどね。ジジィのくせに目がギラギラしてて、きょどってた(=挙動不審)し。あの激混みの時間にわざわざ乗って来る年寄りなんてそもそも珍しいのにさ』
 ……
 彼女らがいぶかしく言う。
 『ジイサンでも発情するの? 性欲って中年までじゃないの?』
 『普通は年取ると、いい人になるんじゃないの? 違う?』
 高齢者の一般刑法犯、検挙人員は平成10年あたりから急伸し、法務省犯罪白書』における年齢層別に比較した検挙数では、他の層を抑えて今や65歳以上がトップだ。
 罪名別検挙人員の推移でも、『遺失物等横領』以外の『殺人、強盗』『損害、暴行』『窃盗』は右肩上がりの傾向にあり、今や万引き検挙者のおよそ3人に1人が高齢者となっている。
 性犯罪での認知・検挙数も急増し、『わいせつ』では、65歳以上の検挙件数が平成15年で総数169件だったのに対し、同24年では376件と、10年間で2.2倍になった。
 都内で私鉄駅に勤務中の鉄道員が嘆息する。
 『痴漢で捕捉される高齢者もいますし、キレて罵声を浴びせたり、酔っているわけでもないのに「馬鹿にした態度を取られた」などと激高して車掌をどついたり、駅員をステッキで殴るなど、トラブルを起こす高齢者は珍しくありません。とにかく、元気で体力もある。それでいて絶対に自分の主張を譲らないので、若者よりむしろ対応に手を焼くんです』
 全国32の鉄道業者が1年間に発生した暴力行為をまとめた『鉄道係員に対する暴力行為の件数・発生状況について』の統計によれば、昨年度に鉄道係員が受けた暴力行為は800件。そのうち175件が『60代以上』の加害者によるもので全体の21.9%を占め、年代別では5年連続トップとなっている。
 従来まことしやかに囁かれていた『人生経験豊富な高齢者は、加齢と共に温和になって穏やかになる』といった定説は、現実には寓話でしかなくなって来た。ただイタズラに日々を送り、〝老いの美学〟も持たないまま努力や精進も怠って年を重ねただけでは、人格者や人徳者になり得るはずもない。仕事も辞めて社会との接点を欠き、縁者や周囲との人間関係も希薄になって世間体や羞恥心をも失くしてしまえば、実質は野放図に等しい状態となる。これまで封じて来た我欲を抑える外部圧力が解かれ、唯一のハードルは己の規範意識だけとなった生活の中では、突発的な激情や衝動的な欲望にどこまで抗えるかは、まさに自分次第だ。
 老年精神医学に従事する精神科医和田秀樹氏が指摘する。
 『人間の老化とは、生物として〝ある機能〟が落ちること。衝動抑制が悪くなるのもそのうちの一つです。今の時代、単に〝高齢者〟というだけでは敬われません。高齢になっても誰からも尊重されず、敬意も払われないとなれば、「こんなはずではなかった」との置いてきぼり感も強くなる。老いのフラストレーションを発散させる手段を持たなければ、いびつな形で発露するリスクは高まります』
 老い報われない自分、満たされない日常。老化により最も厄介なパーソナリティだけが増幅して表出し始め、社会ルールを守る必要性さえ揺らいでしまえば、自身の本能のまま歪んだ形で自己を〝解放〟してしまう。
 しかしながら、これを『人格』や『気質』だけのせいにして、個人の意識やモラルの低下のみで実態を語るには些か早計な現実がある。
 そもそも触法老人や問題行動に及ぶ高齢者を皆『健常者』として捉える根本の大前提を疑ってみる必要があるからだ。すなわち、言動の司令塔である頭の中=脳内は、果たして正常に機能しているのか、ということだ。
 健常者であればこそ常識外の言動は周囲から奇異にも映り、『年寄りのくせに嘆かわしい』と白眼視される。だが、外から判断し難い様子のまま、脳が異常を来していたとしたら機能不全も起こしていたならば・・・羅針盤が壊れれば、進む方向もまた狂うのは当然の理なのだ。
 前頭葉機能の低下 
 『忍耐強い』はかってお年寄りの専売特許だった。しかし、昨今の高齢者犯罪や問題行動の一連に共通するのは『自らの欲望に忠実』で『自己制御が利かない』事実だ。彼らの思考と行動を司る『脳』には、どのような変化がおきているのか。
 20余年に亘り終末医療に携わる看護師が言う。
 『待合室で「いつまで待たせるんだ!」などと人目を憚らず大声で怒鳴り散らしたり、悪びれることなく会計の順番に割って入るなど、過度に自己中心的な言動が目立って歯止めの利かない高齢者は、たとえ外科など別の目的で通院中の患者さんでも、認知症を疑ってみる必要があります。基本的に正常な判断が出来ていない、常軌を逸した発言や行動が繰り返される人の中には、真因が気性や人格だけではない可能性があるからです』
 一般に『認知症』というと、全認知症患者の6割方を占める『アルツハイマー病』を真っ先に思い浮かべがちだ。記憶障害が代表的な中核症状のため、次第に様々な記憶が失われて行き、時間や場所の感覚、判断力や計画性なども損なわれ、妄想や徘徊、幻覚、感情傷害といった症状も現れる。
 こうした認知症のイメージが先行するあまり、日時や場所、自分の名前や生い立ちといった記憶が鮮明で、日常生活や会話に支障がなければ、多くの場合で認知症を疑うに至らないことが多い。
 しかし現実には、そうした症状が見られない認知症を発症しているケースも数多く潜んでいる実態がある。その最も顕著な例が『前頭側頭型認知症』だ。
 高齢者医療に従事する『あしかクリニック』院長・芦刈伊世子氏が説く。
 『アルツハイマー型と同じく精神変性疾患による認知症ですが、壊れる脳の部位が異なります。アルツハイマー型が海馬や側頭葉全体、頭頂葉にかけて委縮するのに対し、前頭側頭型ではその名の通り、前頭葉や側頭葉外側が委縮します。
 近頃、耳にする機会の増えた「ピック病」や精神症状の重たい前頭側頭型認知症の場合は、抑制の欠如から怒りっぽくなる、暴力的になるなどの性格変化や言語の損害が現れて来る。特定の対象へのこだわりが異常に強くなったり、社会ルールや迷惑を顧みず自由奔放に振舞う。落ち着きや遠慮がなくなり、他者を無視、蔑んだり馬鹿にする態度を取るなどの症状の他、毎回同じことを言う、同じ時間に同じものを食べるといった常同行動が見られる人もいます』
 感情が鈍磨して他人への協調性や共感、感情移入が困難になるといった症状も含まれるが、そのいずれもが〝年寄り〟に見られる多くの特徴とダブるため、単に年を取って『頑なになった』『子ども返りした』現象と区別が非常に付きにくい場合も多い、加えて、
 『厄介なのは、知的機能自体が初期にはあまり落ちないこと。日時や場所といった見当識や体験、その時の感情などのエピソード記憶は比較的保たれるため、身近にいる人も早期には病に気づきにくい』
 と、前出の和田氏が指摘する。
 発症後もある程度の期間は日常生活にはさしたる支障を来さない。が一方で、前頭葉機能が大きく低下することから思考や感情のコントロールが利かなくなり、情動や衝撃の制御も困難になる。
 『欲望の抑えが利かなくなるので、お店で食べたい物を見たら盗る、女性のお尻を見たら触ってしまう。それでいて、ちゃんと言い訳するなど賢そうな一面も覗かせるのです。無論、病識──自分が病気だとの自覚はありません』(同)
 原因も治療法もわからない
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 こうした事情から、『前頭側頭型認知症』は現下で認知症患者全体の5%程度と推定されているが、そもそも認知症とすら把握されていない人がどれだけいるか不明のため、その数も含めると総数は未知数と言わざるを得ない。
 実際、高齢の万引き事犯者や、罵倒や暴行が凄まじいなど異常行動の際立った高齢者を診察すると、
 『通常の記憶力を問う認知症テストでは正常の範疇(はんちゅう)でも、脳画像を見ると前頭葉や側頭葉の委縮が中程度見つかるケースがある』(同)
 という。ただし、前述の優香さんの父親のように異常を察知して診察を促す人間が近くにいなければ、また、的確な診断が適わなければ、病識もんしため自他共に気付かず一向に発覚にすら至れないことになる。
 その上、現時点では原因も治療法も見付かっておらず、最終的に寝たきり状態になってから後までも介護に任せる以外にない。そうして看護や介護の現場では、前号で記したような暴力や暴言、セクハラ被害者が続出する構図になる。
 加齢により若干の脳の委縮は不可避でも、損傷なく脳機能が健全に保たれていれば、問題行為に及ぶ可能性は低くなるはずとの仮説は立てられる。
 だが、触法高齢者が増加の一途をたどっているのは紛れもない事実だ。
 今の生活に面白みがない、満たされない残りの人生で失うものもない・・・と開き直り、自暴自棄に等しく、己の我欲を剥き出しにして自ら好んで問題行動を起こす高齢者は確かに実在する。一方で、表面上は健常者でありながら実際には脳の機能障害から自分でも気付かないうちに問題行動に及んでしまう〝隠れ認知症〟の高齢者も併存しているのだ。その程度も割合も、現状では真相が全く不明だが、そうした高齢者が入り乱れて連日、日本各所で法を犯し、社会ルールを無視し、人の迷惑を顧みずに傍若無人な言動に及んでいる。
 被害者はなく寝入りしかない!?
 ここで注視すべきは、こうした高齢者たちから実害を受ける被害者が相次いでいる点だ。冒頭のような交通機関など公共の場では行為自体も目につきやすいが、前号で紹介した病院や一部の介護施設では、被害の内情はおろか、その実態さえ表沙汰になりにくい。
 病気だとわかれば、罪は許されるのか。
 病名させ付けば、戒めを科すことは不可能なのか。
 脳の損壊の事実が認められれば、責任を免れるのか。
 多くの高齢者事業に携わって来た弁護士の星千絵氏が言及する。
 『病院や高齢者施設で被害者が生じた場合は、施設側の責任を問うことが可能なケースもあります。すなわち、「働く人を守る」観点から、施設側が必要な体制をとっていれば、被害が防げたのではないかということです。
 加害者を相手取って法的に争う場合は、平たく言うと、「法律上やってはいけないこと」であるのを判断する能力があったかどうかが問われます。加害者の老人に判断能力がなく、しかも、代わりに責任を負う身寄りなどがなかったり、そもそもお金がなかったりするケースでは、治療費や慰謝料請求も難しい、解決は極めて困難といわざるを得ません』
 頻繁に繰り返される老人たちの万引きで、多大な被害を被っている店舗の損害は計り知れない。高齢男性からレイプ未遂で心身に深い傷を負った元介護職員の女性の未来に誰が責任を負うのか。暴力や骨折は、その全てを『労災』だけで片付けられるのか。度重なる暴言やセクハラ行為により、ケアワーカーがうつ病にまで追い込まれても、『仕方ない』と泣き寝入りせねばならないのか。
 被害は日々、全国数多の現場で続出しているのだ。
 これまで1万人以上のヒトの脳と向き合ってきた脳画像診断医で『脳の学校』代表の加藤俊徳氏は、
 『素因があれば可能性が生まれる。脳の形態的な異常から引き起こされた触法行為は犯罪に問われるのか』
 と問題提起をして続ける。
 『老化現象が進み、気付かぬうちに脳の形が変わることで、本人の善悪の認識や罪悪感の判断基準も変わって来る。となれば当然、法の境界を超えてしまう確立も高まります。では、それが有罪なのか、無罪になるのか。「人生100年」と謳われる時代になり、「法の整備や対策が遅れている」というよりむしろ、急激に加速する超高齢化に社会システムが対応しきれずに「追いついていない」のが実情でしょう。2000年からは特に、高齢者人口は急カーブを描いて上昇し続けています。昨今の高齢者による問題行動や触法行為は、その歪みの中で起こるべくして起こっている総合的な社会問題で、間違いなく誰にでも起こり得ること。これまでの常識や法律の見直しをも要する、難しい時代に突入したとも言えるのです』
 20年後には、国民3人のうち1人が65歳以上の高齢者となり、明日は我が身の現実が控える。将来的に自分が加害者へ転じる可能性がないと誰が言い切れるだろうか」
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 2016年 2014年に於ける高齢者(65歳以上)による傷害・窃盗などの一般刑法検挙者は、20年前の4倍超えで4万7,252人であり、年々増加傾向にある。
 三木明子(筑波大学准教授)「感情をコントロールする大脳の前頭葉と側頭葉は、加齢に伴って萎縮する。すると、理性的な行動がとれず、感情的あるいは衝動的な行動をとる事があ。ただ、高齢者がキレやすくなる要因はそれだけではなく、リタイヤして仕事や地位など失うものがなくなって抑制がきかなくなっているとも考えられる」 
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 2016年11月13日号 サンデー毎日牧太郎の青い空白い雲
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 これは『自殺の動機』にはなるとしても、罪のない人を道連れにする『動機』にはならない。要するに、キレて判断力がなくなっているのだ。
 キレる老人の事件が急増している。たとえば、たばこのポイ捨てを小学生から注意された75歳の男が、男児の首を絞めた。恐ろしい。宇都宮の自爆老人は、キレて『秋葉原無差別殺傷事件のような事件を起こしたい』とネットに書いた。ただただ、恐ろしい。
 キレる原因を『孤独』とか『貧困』とか、もっともらしくいうけれど、原因は『脳弱』である。
 僕も高齢者だから、脳を使っていない範囲がどんどん増えているような気がしてならない。使わなければ脳の機能が衰える。物事に対する理解力が低下して、常にイライラする。
 物事や言葉を理解するのに関係する『理解系脳』の劣化。また、感情や社会性に関する『感情系脳』の働きが劣化すると、感情をコントロールする部分が縮み、怒りの感情を抑制することが難しくなるというのだ。
 要するに、高齢者は誰もが『脳の劣化』をけいけんしている。
 ……」
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 2017年7月17日 産経ニュース「東武浅草駅で20代男性刺される 64歳の無職男を現行犯逮捕 「腹が立って刺した」
 男性が刺された東武鉄道浅草駅の現場付近を調べる警視庁の捜査員=17日午前0時2分、東京都台東区
 16日午後9時20分ごろ、東京都台東区花川戸の東武鉄道浅草駅構内で、20代男性が男に包丁で腹などを刺された。男性は搬送時に意識があり、命に別条はないという。
 警視庁浅草署は殺人未遂容疑で、同区に住む無職の男(64)を現行犯逮捕。現場付近から凶器とみられる包丁も発見された。男は調べに対して「男性の名前は知らないが、腹が立って刺した」と供述しているという。」
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 2017年8月21日 産経ニュース「【〝キレる〟高齢者】暴行摘発10年で4倍 つえで殴る、小1男児首絞め…… 識者「人は孤立すると攻撃的になるとの実験結果もある」
 高齢者摘発人数
 傷害や暴行などでの高齢者(65歳以上)の摘発人数が、人口増加を上回るペースで急増していることが20日、国の統計から分かった。特に暴行の摘発は10年前から4倍超に激増。些細(ささい)なトラブルから他人に手を出すケースが多発し、火炎瓶や爆弾などで無差別に他人を傷つける重大事件も起きている。専門家は、“キレる”高齢者が増えている背景に、社会の変化に伴う高齢者の「孤立」があると指摘する。
 昨年3月、兵庫県加古川市の公園で、たばこのポイ捨てをとがめられた70代の男が「カッとした」として当時小学1年の男児の首を絞め、暴行容疑で逮捕された。京都府舞鶴市でも同年10月、電話を借りるため市民センターを訪れた70代の男が申し出を断られて激高、つえで男性職員を殴る暴行事件があった。
 さらに同年8月に東京都杉並区の夏祭り会場に火炎瓶が投げ込まれた事件では、当時1歳の子供を含む男女16人が負傷。犯行後に自殺した当時68歳の男は、以前から知人に「サンバの音がうるさい」などと不満を漏らしていた。2カ月後の10月にも、宇都宮市の公園で元自衛官の男=当時(72)=が爆発物で自殺し、巻き込まれた無関係の3人が重軽傷を負った。
 攻撃的な高齢者の増加傾向は統計にも表れている。
 28年版犯罪白書によると、刑法犯全体の認知件数が減少傾向にある一方、高齢者の刑法犯の摘発人数は高水準で推移。特に傷害や暴行などの粗暴犯は右肩上がりで、27年の摘発人数は傷害1715人、暴行3808人と10年前からそれぞれ約1・6倍、約4・3倍に増加した。これは同期間の高齢者の人口増加の割合(約1・3倍)を上回る。
 新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は「加齢によるパーソナリティーの変化は大きく分けて、思慮深く優しくなる『円熟化』と、感情の抑制が利かなくなる『先鋭化』の2つがある。先鋭化では、感情を制御できずに些細なトラブルが暴力につながる」と説明する。
 高齢者が先鋭化する背景には、核家族化や雇用の流動化、年長者を慕い敬う伝統の消失など社会構造の変化があるとされる。激高などの行動は孤立した状況で起こりやすく、女性に比べて変化への順応が苦手な男性で顕著になるという。
 碓井教授は「人は孤立すると攻撃的になるとの実験結果もある。高齢者より若い世代にも同傾向が出始めており、日本の中高年は危機的状況だ」と指摘した。」
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