🌁51〉─1─ベトナム人技能実習生は2級市民扱い。過酷な重労働は地獄並み。~No.248 

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 いい日本人が1割。わるい日本人が3割。中間で我関せずの日本人が6割。
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 日本は、同じような失敗を何度も懲りずに繰り返す。
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 2018年11月18日14:00 gooニュース withnews「「誰でもできる」教えられた技能は「除染」だった ベトナム人実習生が見た日本の地獄
 「外国人技能実習制度」が問題になっています。本来の目的は日本で働きながら技能を身につける「途上国への技術移転」。けれどその実態は、農業や漁業、建設など人手不足の現場で、日本社会を支えるために働いています。一方で「実習先」によっては、地獄を見る実習生もいます。働ける3年の間、日本での実習の明暗を見た、とあるベトナム人青年の思いをたどりました。(朝日新聞機動特派員・織田一)
 「日本に行けば……」ハノイの街角で見た夢
 9月21日夕、1人のベトナム人の若者が東京・羽田空港から帰国しました。グエン・ドク・カインさん(25)。外国人技能実習生として来日し、東北地方で3年を過ごしました。
 「初めての日本でした。楽しいこともあった。不安になることもあった。3年は早かったな」。そう振り返って、ベトナムに向かう飛行機に乗り込みました。
 カインさんと私が初めて会ったのは3月。「全統一労働組合」(東京・上野)から、「東京電力福島第一原発事故に伴う除染作業を強いられた外国人実習生がいる」と聞いて、引き合わせてもらいました。
 身長170センチの細身で、髪を金髪に染めた青年。スマホで撮った作業の写真を見せながら、たどたどしい日本語で話してくれました。
 始まりは1枚のポスターでした。
 3年前の2015年3月。ハノイの街角。高校を卒業し、建設業で働いていたカインさんは、そのポスターから目が離せませんでした。
 「日本に行けば稼げる。行きたい人は連絡して」
 技能実習生は現地の「送り出し機関」と呼ばれる人材派遣会社を通して、日本に来ます。カインさんが見つけたのは実習生募集のポスターでした。
 派遣会社は、出発前に、日本の実習先(企業)が求める技能や日本語を教えます。その代わり、高額の授業料や手数料をとります。カインさんは「160万円払った」と言います。約100万円を銀行から借りました。「稼げると思ったし、日本にも関心があった」
 説明ないまま送られた「誰もいない町」
 カインさんはその年の9月、ベトナム人男性2人と東京・羽田空港に降り立ちました。実習先は盛岡市の建設会社。「建設機械・土木」の実習という名目でした。
 しかし、最初の作業現場は福島県郡山市で5カ月間、住宅地の土壌をはぎ取ったり、側溝を洗ったりしたそうです。
 7年前の3月11日、東日本大震災が発生。東京電力福島第一原子力発電所が大きく損壊し、放射性物質が約50キロ離れた郡山市に流れました。
 カインさんに割り当てられたのは、放射性物質が付いた可能性があるものを取り除く「除染」と呼ばれる作業でした。
 実習生の受け入れ窓口である監理団体の代表からは「仕事は簡単。だれでもできる」としか説明されませんでした。「私は日本語はできなかったし、通訳もいなかった」。もちろん「除染」の話は出ませんでした。
 その後、岩手県釜石市に移り、住宅解体工事などをしました。16年9月には再び福島県に。避難指示区域だった同県川俣町で、国直轄の建物解体工事に従事しました。
 スコップで落ち葉などを集めました。このとき心が騒いだと言います。
 住民の姿が見えない町。マスクをつけないと仕事場に近づけない。
 「特別手当」を渡されたとき、さすがに「親方、これは何ですか」と聞いたら「危険手当だ」と返されました。驚き、「どんな危険があるんですか」と食い下がると、「嫌なら帰れ」の一言で話を打ち切られたそうです。
 「何かおかしい」。不安が膨らむ中で、それでも約4カ月、働き続けたと言います。
 「分かっていたら、絶対日本に来なかった」
 手取りは12万円程度でした。でも、働かざるを得ない理由がありました。日本に来るため、銀行から借りた100万円超。ベトナムの平均年収で、数年分を返済しなければならなかったからです。それに、実習生は自由に勤務先を変えることもできません。与えられた仕事をこなすしか道はなかったのです。
 17年に入り、福島県飯舘村山形県東根市仙台市と転々とした後、3月にまた川俣町で約2カ月間、建物解体作業をしました。直後に、知りあったジャーナリストから「除染は危ない」と忠告され、初めて放射能のリスクを知りました。11月22日、寮を飛び出し、支援者が運営する郡山市の保護施設に身を寄せました。
 「危険な作業だと分かっていたら絶対に日本に来なかった」。そう私に悔しがったカインさん。インタビューを受けた18年3月、上野公園で外国人労働者の支援集会に参加し、ステージ上で「告発文」を読み上げました。
「郡山で除染の仕事をしました」「自分の体がどうなってしまうのか、とても心配です」
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 途上国の若者らに日本の技術を学び、母国に持ち帰って経済発展に役立ててもらう。技能実習制度はそんな「国際貢献」の看板を掲げて1993年に始まった。しかし、現実は、最長3年(現行5年)の期間限定、低賃金の単純労働者として扱われているのがほとんど。  実習生として働くことができる職種は農業や建設、食品製造などの77に限られている。その中に「除染」はない。
 技能実習生を受け入れる企業は、実習生に技術を教える計画書を国に認めてもらう必要がある。法務省は7月、この計画と異なる作業をさせ賃金の不払いもあったとして、カインさんを受け入れた会社に5年間の実習生受け入れ停止の措置を発表した。  しかし、除染作業に従事させたので処分されたわけではない。全統一によると、問題の建設会社は「土木作業の一環だった」「機械作業に付随する仕事だった」と開き直った。なお、この会社は4月には解散の準備に入っていたという。
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 刻々と迫る帰国の期限
 17年11月に駆け込んだ郡山市のシェルターは2階建ての民家でした。同じように実習先から身を寄せたベトナム人実習生男女12人と共同生活をしました。昼間は寝て、夜はテレビでサッカー観戦と、たまに日本語の勉強、という日々。
 「みんなで家族のことや給料のこと、いろんなことを話した」。手持ちタイプのマイクでカラオケを楽しんだりもしました。
しかし、焦りは募る一方でした。
 技能実習生として日本で働くことができる期間は最長3年。保護施設に来た時点で、カインさんに残された滞在期間は1年を切っていました。
 「みんな、自分の将来を心配していた。このまま帰国することになるのかな、と。働かずに時間を過ごすのが本当にもったいなかった」
 事態が動いたのは、カインさんが3月に東京・上野公園で告白のスピーチをして間もなくでした。新聞やテレビが「除染実習生」と大々的に報じ、国も重い腰を上げました。
 「除染作業は技能実習の趣旨にそぐわない。これからは除染作業を含む実習計画は認めない」と発表しました。
 日本で技術を身につけ、母国の経済発展に役立ててもらうはずの技能実習。でも、除染作業は一般的に海外で行われている業務でもなければ、ましてやベトナムでは稼働している原発もありませんでした。
 カインさんの告発が、「国際貢献」をうたう制度のひずみをさらけ出しました。」
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 11月16日 産経新聞「不足145万人、効率化でも…政府「最大34万人」根拠提示
 政府は16日の衆院法務委員会理事懇談会で、今後5年間で最大34万5150人とする外国人労働者受け入れ見込み数の積算根拠を示した。5年後の平成35年度までに14業種で145万5千人の労働力が不足するが、機械化促進による生産性向上や国内人材の確保で人手不足の解消を図り、それでもなお最大約34万人の人手不足が生じると説明した。
 14業種で最多となるのは、5年間で最大6万人の受け入れを見込む介護業。厚労省の試算によれば5年後に30万人の労働力が不足する。このうち、介護ロボット導入支援などで約2万人分に相当する業務の効率化を図る。さらに高齢者や女性の就業促進、離職防止などで20万人以上の国内人材を新たに確保する。この結果、5年後に不足する労働力を最大6万人と試算した。
 外食業は、農林水産省の試算では5年後に29万人の労働力が不足する。だが、調理の機械化などに取り組み、5年で約12万人の労働力を省くことができる。さらに、24時間営業の中止や転勤がない地域正社員制度の導入で、子育てや介護を理由に離職した社員らの復職や離職率改善につなげ、約12万人の国内の労働者を確保する。それでも不足する最大5万3千人を5年間で受け入れる必要があると見込む。
 受け入れ見込み数は、野党の求めに応じ、政府が14日の衆院法務委の理事懇に示した。14業種の合計で初年度の31年度に最大4万7550人、35年度までの5年間で最大34万5150人と説明した。」
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 11月18日 産経新聞「自民・岸田氏、優秀な人材「国際社会で争奪戦」 外国人労働者受け入れ
自民党岸田文雄政調会長は18日、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法などの改正案について、早期成立を目指す考えを強調した。富山市の党会合で「全国で深刻な人手不足が問題になり、国際社会では優秀な人材の争奪戦が始まっている。日本も外国人材を受け入れる制度を作るべきだ」と述べた。」」
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 11月20日 goo withnews「「まるで2級市民」通勤経路も別々…フィリピン人技能実習生の本音 来日を後悔?「とんでもない」
 【#となりの外国人】
 この10月、全世界で30万人を雇う日本有数のグローバル企業、日立製作所から解雇通告を受けたフィリピン人技能実習生が、労働組合に入って団体交渉に打って出ました。賃金補償の獲得が第一の目的でしたが、背景には実習内容への強い不満がありました。この数カ月、多くの実習生を取材してきて感じたのは、厳しい生活の中でも、なんとか明るく過ごそうとするたくましさでした。(朝日新聞名古屋報道センター記者・前川浩之)
 「日本人に管理されている」
 団交に訴えて出たのは、新幹線や英国の高速鉄道車両などを作る日立の笠戸事業所(山口県下松市)で働く実習生たちです。工場には約270人のフィリピン人実習生がいて、全従業員約1800人の約15%を占めています。
 途上国の若者に日本の技術を伝えようというのが「技能実習制度」ですが、人手不足の業界を支える安い労働力となっている実態もあります。制度上、勤め先や住まいを変える自由はありません。仕事を失うことを恐れるため、取材に応じてくれるのは匿名が条件の場合ばかりです。
 実習生は毎朝、工場の近くにある寮から自転車で出社してきます。一斉出勤の姿は壮観です。自転車の前かごには、もれなく3けたまでの大きな番号札が付いています。
 実習生によると、自転車は、実習先の紹介のほか、生活相談や実習状況の監査もする「監理団体」から貸し出されているもの。番号札は自転車を管理するためで、実習生と日本人従業員とは通勤経路も分けられているそうです。
 「番号付きの自転車なんて恥ずかしいけど、毎朝決まったルートで整然と出勤しないといけないんだ」と実習生の一人、Aさん(23)は話します。
 実習生たちは「けさは○○番がトップだったね」と、競輪に例えて冗談をよく言い合うそうです。“競輪遊び”に興じる理由について、Aさんはこう言いました。
 「僕たちは日本人に管理された『2級市民』のようなものなんでしょう? だから、とにかく明るく、笑う」
 生活費は毎月「1万円」
 寮は、下松市役所そばの川沿いにある5階建てと3階建てのアパートです。登記簿などによると、日立の社有地に建っています。実習生の話では、5階建てのかなり「古い寮」は1部屋に5人、その隣の3階建ての「少し新しい寮」は1部屋に6人ずつ住んでいます。
 「寮費」として、毎月光熱費込みで1人2万円を給与から差し引かれるそうですが、地元でアパートを経営する女性は「相場の倍近い」と指摘します。実習生たちは「電気やガスの請求書を見せてほしいと監理団体に頼んだのに、見せてくれない」と不満を口にします。
 実習生が日立と結んだ契約書によると、実習生の時給は山口県最低賃金(輸送用機械器具製造業)に5円足した888円。残業をすると月給は約15万?18万円になり、所得税や年金保険料、寮費などを引かれると、手取りは約9万?12万円です。
 実習生はここから母国の家族に仕送りをしています。来日の際に親戚から借金した人が多いためです。母国では監理団体と提携する訓練学校に通わなければならなかったため、その学費の借金・十数万?30万円も抱えています。こちらも毎月1万?1万5千円ずつの返済があります。
 残る生活費は毎月「1万円」という実習生は珍しくありません。寮の部屋で炊飯器でご飯を炊き、缶詰などをおかずに食卓を囲みます。実習生のBさん(26)は「日本のお米はおいしい」。
 実習計画認められず解雇へ
 今回、団交に至った背景には、そもそも実習内容への不満がありました。
 笠戸事業所の実習生は主に配電盤や制御盤を作る「電気機器組み立て」や、手作業の「溶接」の技能を習得するのが目的です。しかし、車両への窓やパイプの取り付けといった、目的の技能とは違う作業ばかりさせられている――と実習生たちは主張しています。
 法務省や国の監督機関「外国人技能実習機構」は7月、目的外の作業をさせてきた技能実習適正化法違反の疑いがあるとみて笠戸事業所へ実地検査に入りました。日立は「結果はまだで、不正と認定された事実はない」と取材に説明しています。
 国側は日立側を行政処分するかどうか検討中のため、笠戸事業所の実習生について入国2年目以降の実習計画を認めていません。そのため、実習生たちは日本での在留資格を失うことになり、日立は9?10月、実習生40人に解雇を通告しました。
 そのため、実習生たちは「そもそも日立がいいかげんな実習をしていなければ、こんな事態にはならなかった」と訴え、個人加盟の労組に加入し、団交を求めたのです。
 来日を後悔?「とんでもない」
 団交の結果、年内は日本に滞在中なら毎月約10万円の賃金補償を得られることになりましたが、日立は年内に在留資格の更新が来る59人についても11月に解雇を通告しました。日立広報・IR部は「実習生が従前と同様に実習が実施できるよう、最大限努力していく」とコメントしています。
 帰国まで寮費の引き去りや借金返済は続くため、最近は「1日1食」に削っていると話す実習生もいました。そんな彼らに「日本に来たことを後悔していないか」と聞くと、「とんでもない」と笑います。
 日本のアニメが字幕なしで分かるようになった、生活は楽ではないが日本の治安はすばらしい、技能があれば母国で職につけるかも――。
 とても前向きで、たくましい印象を受けました。
 外国人労働者の受け入れ拡大のために国会で議論が続く「新たな在留資格」についても感想を聞いてみました。技能実習を経験していれば「一定の技能がある」として、無試験でこの新しい資格での再入国が可能になるとされています。
 Cさん(24)はこう答えてくれました。
 「日本に労働力が必要なのは実感したし、日本がより開かれる国になるというのは外国人にとって悪くない話。ただ、お金ほしさの強欲に悪用されないか心配だ。外国人でもきちんと権利が認められるような仕組みにしてほしい」
 もし、あなただったら?
 肌の色が違ったり、生活習慣が違ったりするため、実習生に対して距離を置く人がいるかもしれません。でも、実習生たちは日本人が敬遠しがちな工場労働をこなし、少ない給与から所得税なども納めています。日本社会を支えているのは紛れもない事実です。
 特に日立の実習生たちは「技能」を学ぶという点に意識的で、母国の大学を卒業した人も多く、実際に会うと流暢に英語を操り、快活に話します。日本語もよく勉強していて、監理団体から課される漢字ドリルなどの「宿題」も一生懸命こなしています。
 母国フィリピンは海外労働者からの送金の規模がGDPの1割にもあたる「出稼ぎ」大国。日本に来たのも「技能実習」に期待して「技術者としてキャリアアップしたい」との思いからです。
 もし、あなたが「キャリアを夢見て就職したら、聞いていない仕事だった」という状態になったらどうでしょうか?
 実習生は国境こそ越えて来ていますが、日本人の社員同様、同じ日本の企業で働いていることには変わりはなく、彼らの「契約にない仕事をさせられた」との思いは理解できるのではないでしょうか。日本社会の一員である実習生の声に耳を傾けるべきだと強く思います。」
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