🥓19〉─2─女性が活躍できる社会で増える乳幼児虐待を隠すブラック保育園。~No.83No.84No.85No.86 @ ⑭ 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 安全はタダはなく、高いからといって安全でもない。
 全てが、自己責任で自己防御という安心できない社会。
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 2017年6月2日号 週刊朝日「親も知らない真性ブラック保育園
 待機児童問題の先に待つ落とし穴
 『てめぇら!』響く保育士の怒鳴り声
 子どもの手足を縛りつけて管理
 規制緩和で増えた悪徳保育園
 職員におむつ販売のノルマ
 人手不足、ダメ人材もクビにできず
 虐待あり、怒声あり、ネグレクト(放置)あり・・・。子どもが健やかに育つはずの保育園で、劣悪な運営実態がたびたび明らかになる。保育士の人材不足、高まる保護者の要求、運営者の利益至上主義など、問題は複雑に絡み合う。日本社会の縮図といえる保育崩壊の現場とは。
 東京都内の河川敷にある広場。保育園児の楽しそうな遊び声をさえぎるように、怒声が突然響いた。
 『てめぇら、とっとと乗りやがれ!』
 声の主は園児を引率する若い女性保育士。外遊びの時間が終わり、散歩用の手押しワゴンに子どもを乗せようとしたときの声だった。
 現場を目撃した女性は耳を疑った。なぜ園児に怒鳴り声をあげるのか。幸いにも女性の子が通う保育園ではなかったが、ひとごとと思えない。
 『保育園でわが子が何をされているかわからない』。そんな思いがよぎった。
 従業員を大切にしないブラック企業だけでなく、園児にきちんと接しない〝ブラック保育園〟が、近年目立つようになった。
 ……
 小さなけがならまだよいが、骨折などの大けがや死亡事故も、保育の現場で起きている。
 内閣府が12日に発表した集計によると、保育施設での重大事故は、昨年1年間で計587件あった。一昨年と比べ約1.5倍に増えている。
 587件のうち、458件が骨折で大半を占める。死亡事故は13件で、年齢別にみると0歳7人、1歳4人、6歳2人。10人は睡眠中の事故で、うち4人は『うつぶせ寝』だった。
 うつぶせ寝の危険性は、これまでも繰り返し指摘されてきた。事故を防ぐガイドラインも作られている。ある保育園関係者は『いまだにそんな事故があるなんて信じられない』と話す。
 東京都内にある事業所内保育所『キッズスクウェア日本橋室町』でも2016年3月、1歳2ヵ月の男児がうつぶせ寝で亡くなった。
 都が設置した検証委員会の報告書によると、施設長は保育経験がまだ浅く、当初は就任を断った。園の運営会社からサポート体制を約束されて引き受けたが、『サポート体制や職員の専門性の向上を支える体制が不十分』だったという。
 ……
 子に目が届かない事故があれば、拘束などで異常な管理をする実態もある。こうしたことが保育現場で起きるのはなぜなのか。
 労働経済ジャーナリストの小林美希さんは言う。
 『知識や経験のある保育士であれば、上司や運営会社に保育環境の問題点を「おかしい」と意見できます。そこで改善策が取られればいいのですが、放置されることもある。そうすると、その保育士は辞めてしまう。保育に責任を持てないからです。園には経験の浅い保育士ばかりが残り、ますます質が下がるのです』
 保育を巡る環境の負の連鎖が、ブラックな実態を招いている。
 保育士、LINEで『辞めていいですか』
 おかずがスプーン一杯の給食や、冷暖房の利かない部屋など劣悪な環境が問題となった、兵庫県姫路市の私立認定こども園『わんずまざー保育園』。園児への対応だけでなく、保育士の働く環境も〝ブラック〟だった。
 ……
 ただ、『これほどひどくないにしても、現場ではよくあること』と保育業界の関係者は打ち明ける。
 他園の勤務経験がほとんどない若い保育士は、過酷な状況も普通と思ってしまう。疑問を感じても口をつぐんでしまうのが実情だ。全国福祉保育労働組合のアンケートでは、保育士の悲痛な声が届いている。保育に高い志を持つ保育士も、ぎりぎりの状況に追い込まれて働いている。
 特に、急激に施設を増やしている園は要注意だと言われている。『保育園を考える親の会』代表の普光院亜紀さんもこう話す。
 『保育士が足りず、事務職員に資格を取得させて現場に異動させる大手保育園もあるようです。保育士になる気のなかった人がわが子と接しているのは、保護者として不安な思いです』
 記者の子が2年半通った大手の認証保育園は、保育士が次々に離職した。『他の園へ応援に出向いている』として、担任が不在となることもたびたび。『親の介護で休職中』とされたはずの保育士の写真が、担任として玄関先に1年間も掲示されるほど、首をかしげたくなる対応が目立った。
 全国保育団体連絡会の実方伸子さんは『複数の県で園を展開する施設で、職員の二重登録が問題になりかした。監査は自治体ごとの縦割りのため、発覚しづらいのです』という。
 小学校受験に定評のある東京都目黒区の私立保育園『駒沢の森こども園』などを経営する、角川キッズラボ代表取締役角川慶子さんはこう話す。
 『保育園の経営は、賃料や冷暖房費など固定費がかさみます。必要コストを削ったり、保護者の送り迎えの荷物を最小限にとうたい、オプションサービスで稼いだりする園が多いのです』
 オプションとは、園が有料でタオルや紙おむつなどを用意すること。保護者はかさばる荷物を持ち運びせずに済む。ただ、サービスが過熱すると、職員の疲弊につながる。
 認証保育園に子どもが通園中のある母親は、閉園間際に子どもを迎えに行ったときの保育士の姿が忘れられない。山積みのおむつを前に極大ペンを握りしめ、園児の名前を一心不乱におむつに書いていた。保護者が買った紙おむつの管理という新たな仕事が増え、現場の保育士がますます忙しくなっていた。別の母親は『職員室におむつなどのノルマ表があった』と話す。
 過酷な環境で定着せず、人が育たない。こうした人材不足は園を経営する側にも悩みのタネだ。
 前出の角川さんが嘆く。
 『LINEで「今日、辞めていいですか」とメッセージを送ってくる若い保育士もいます。特定の子を溺愛し、「OOちゃんは白いご飯が苦手だから」と偏食すら許す保育士には、注意しながらため息が出ました』
 かつて複数の保育所を経営した男性も『苦労して保育士を雇っても辞められると補助金が削られる。だから、明らかに向かない保育士でも解雇が難しい』と打ち明ける。
 増える利益優先の保育園と、そのカラク
 『保育園落ちた日本死ね!!!』
 昨年2月、ある母親のブログの書き込みが話題を呼び、待機児童問題が国会も巻き込み大論争となった。
 保育所は10年の約2万3,000から16年には約3万1,000と増えている。それでも、施設が増えると子を預けたい保護者も増え、待機児童数は減らない。
 保育所を増やす方針として、00年代に新規参入への規制緩和が進んだ。保育所は増えた一方で、質が十分保たれず、現場のブラック化を招いている面がある。全国福祉保育労働組合の小山道雄・副中央執行委員長はこう話す。
 『規制緩和によって、保育を福祉事業でなく利益事業と考える企業が次々に参入しました。保育園は一般に、支出の約7割が人件費。しかし、一部の株式会社は5割を切る。国や自治体から補助金をもらっても人件費に充当せず、利益を捻出しているのです』
 介護、出版、パチンコなど異業種から続々と新規参入した。もちろん、株式会社だからといって、必ずしも保育士に劣悪な環境を強いているわけではない。ただ、利益を求める圧力が高まりやすいのも実情だ。
 都内で社会福祉法人の保育園を経営する男性は言う。
 『全国チェーンの株式会社の保育園は、補助金と保護者からの利用費など年1億円の収入があると、1,000万円ほどを運営会社に本部管理費として支出します。運営会社に入ったお金まで、監査する自治体の目は届きにくい、利用料金と税金が、ブラックボックスの中に消えていくのです』
 資金を運営会社に還流する方法は、ほかにもある。
 『英語の授業や給食事業などをグループ会社に丸投げして、さらに数千万円支出する。原価は外部からわかりません』(同)
 前出の角川さんも、給食の受託企業の営業マンからこんな売り込みを受けた。
 『昼の給食とおやつをセットで、1食100円で提供します。それを500円分の食事として園児に出してはどうでしょうか』
 そんな安価な食事では、何が入っているかわからない。角川さんは、もちろん断ったという。
 保育士の平均月収は約22万円。全職種平均より10万円以上安い(平成28年賃金構造基本統計調査)。園児の命を預かる仕事なのに低水準で、16年の参議選で与野党の争点にもなった。給与は近年上がる傾向だが、それでも15年から約4,000円アップにとどまる。
 保育士に十分な賃金を払えるように、国や地方自治体は運営費の約7割を人件費に充てることを想定し、補助金を支出している。しかし、対応は施設によってまちまち。待遇改善あ進まぬ一因になっている。
 保育士の使命感につけ込む経営者もいる。
 『ほとんどの保育士は、子どもを育てることにやりがいを感じています。サービス残業や休日出勤など劣悪な環境で働いても、「子どもを置いて保育園を辞めるのか」と言われると、我慢して働き続ける。パワハラやセクハラに悩みながら働く人も多い。そんな性格を利用する経営者もいる』(前出の経営者男性)。
 保育園への保護者の要望は、年々増えている。
 『アレルギー対応の食事、夜間や休日の保育だけではなく、おむつ教育やしつけも保育園に求められます。近所づきあいが少ない都市部では、親が地域から孤立している。子育てをアドバイスする人が近所におらず、保育園の親同士のネットワークが頼り、保育園問題は、社会の〝ゆがみ〟を映す鏡なんです』(前出の元経営者)
 前出の小林氏は『新規参入が増えたのは、自治体としてはコストを抑えられてありがたい。ただ、保育所というハードは増えた一方で、質を支える人材育成が進んでいません』と指摘する。
 保育園選び、HPうのみにせず施設見学を
 保育園の質を保つために実施されているのが、行政による監査。保育士の配置人数や衛生、安全面などを丸1日かけてチェックする。ただ、人員が十分でなく、手が回らないのが実情だ。
 東京都の場合、18人の職員が約4,000施設を担当する。昨年度に実施されたのは566施設で、全体の約15%。施設側が必要書類をそろえられるよう、実施の約1ヵ月前に通告される。このため、『実態はザルに近いのでは』(前出の角川さん)と疑問の声もある。姫路市認定こども園『わんずまざー保育園』のずさんな運営は、抜き打ちの監査で発覚している。
 ……。(本誌・永井貴子、西岡千史)」
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 6月1日 産経ニュース「待機児童ゼロ、首相が新計画 保育受け皿22万人整備「今度こそ終止符」
 安倍晋三首相は31日、東京都内で講演し、希望しても認可保育所などに入れない待機児童の解消に向けた「子育て安心プラン」の概要を発表した。平成30年度から3年間で「待機児童ゼロ」を達成するため、新たに22万人分の保育の受け皿を整備し、さらに10万人分を34年度までに追加して、5年間で計32万人分の受け皿確保を目指す。
 首相は、現行の「待機児童解消加速化プラン」に基づき「29年度末までの5年間で53万人の受け皿がつくられる見込みだ」と強調。現計画の「29年度末までに待機児童解消を目指す」との目標は3年先送りされることになるが、「今度こそ待機児童問題に終止符を打つ」と述べ、新計画の実現に意欲を示した。」
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 規制緩和によって異業種が金儲けの目的で保育事業に参入し保育施設を乱立させた為に、正規の教育を受けた職員や保育経験者が不足し、経験不足の職員や不適格者が採用され保育現場に配置されている。
 規制緩和によって利益目的の異業種が参入して、守るべきものを守らず破壊し崩壊させているのは、福祉事業だけでなく農業など多方面に見られ、人口激減の日本社会を蝕んでいる。
 良心的異業種が資金難で撤退すれば、欧米系及び中国系外国資本の融資を受けた異業種が参入して来る。
 保育の場や教育の場が、グローバル化の潮流で、利益第一の強欲資本主義に呑み込まれていく。
 規制緩和は、パンドラの箱である。
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 かつて農業の規制緩和で、異業種の農業参入により農業の株式会社化が話題になって事がある。
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 食糧・資源・エネルギーを自国で賄えない「砂の経済大国」日本に残されているのは、人のみである。
 人を世界に通用する人材に育てる以外にに日本の生きる道はない。
 優秀な人材は、過去の民族が培って叡智を先天的に持って産まれてくるのではなく、産まれた家庭、育つ地域の環境及び国家の状態、学ぶ学校と友達によって後天的に作られる。
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 金儲け目的の学園経営者や似非教育者が、現代日本で増えている。
 人口激減で減少した乳幼児を待ち受けているのが、利権・利益・金儲け目的のブラック保育園などの保育施設である。
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 誠意を持って保育を行っている良心的保育園もあるが、人材不足と経営難、さらにモンスター保護者の苦情で追い詰められつつある。
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 保育への意欲や志を持った真面目な保育士もいれば、金儲けだけで保育士資格を取ったブラック保育士もいる。
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 日本の将来に明るい話、希望を持てる話は、極端に少ない。
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 昔は子供は、「国の宝」として大切にされ、国の為、社会の為、人の為になるような立派な大人にするべく育てられた。
 現代の子供は、金・利益・利権を産む「便利な御宝」にすぎない。
 あたかも、鶏舎の狭苦しい檻に閉じ込められて卵を産まされる雌鳥のようなものである。



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ブラック化する保育

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ルポ 保育崩壊 (岩波新書)

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