🚷21〉─1─婚活しても結婚できなのには科学的証拠がある。現代の進化論。〜No,97No.98No.99 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2019年4月25日号 週刊文春「臆病者のための楽しい人生100年計画
 どうして男女の欲望はすれ違うのか?
 面倒な話は後回しにして、まず左ページの図①をご覧いただきたい。女性が魅力的だと思う男性の年齢を『見える化』したものだ。
 左の列が女性の年齢で、それぞれの年の女性がもっとも魅力的だと思う男性の年齢が右側にある。対角線(点線)は男女の年齢が同じラインで、20歳の女性が20歳の男性に、50歳の女性が50歳の男性に魅力を感じるとしたら、この線上に数字が並ぶことになる。
 図を見ればわかるように、20代の女性は自分よりすこし年上の男を魅力的だと思い、30代になると同い年か、すこし年下を好む。
 転機は40歳で、好みの男性の年齢は対角線を離れてほぼ垂直に下がっていく。ここから50歳手前までの女性はかなり年下(40歳前後)の男性に魅力を感じるが、49歳と50歳ではまた年齢に近い男性を好むようになる。
 この結果に女性の読者の多くは納得するだろうが、男性にはちょっとショックかもしれない。『女性の(年齢にかかわらず)年上の男性を好む』というのがこれまでの常識だったからだ。
 では次に、ページをめくって図②を見てほしい(驚かせようと思ってわざとこうした)。
 これは、男性が魅力的だと思う女性の年齢を『見える化』したものだ。
 図の右側が大きな空白になっているのは印刷ミスではない。20歳の若者だろうが、50歳のシニアだろうが、男性が魅力的だと思う女性の年齢は20歳と21歳にかたまっていて、25歳を超えることはないのだ。
 女性の読者はこの結果に愕然とするのではないだろうか。男性はおそらく心あたりがあるだろうが、『いくらなんでもここまでは・・・』と思うかもしれない。
 悪い話を先にすると、これは1年間に1,000万人が利用する婚活サイトのビッグデータを解析したもので、街頭アンケートの類(たぐい)とはちがって、学術的にもきわめて正確だと評価されている。良い話は、この婚活サイト(Okキューピット)の利用者がアメリカなどの北米のひとたちだということだ。とはいえ、日本の男だってこんなものだろうと私は思うが。
 もちろん、すべての男が小娘(失礼)にしか興味がないわけではない。そこで詳細を見てみると、興味深いことに、20代前半の若者の一部は30代半ばの女性、20代後半の一部は40代前半の女性に魅力を感じている。
 さらに興味深いのは、この『熟女志向』が30歳を過ぎると消失することだ。それ以降、男性の興味の大半は20代の女性に集まり。年上でもせいぜい30代ばまでだ。これをわかりやすくいうと、『30歳以上の男にとって、35歳以上の女は存在していないも同然』ということになる。
 広がる年齢ギャップ
 女性の読者は、きっとここで『男ってバカだなあ』と思っただろう。10歳も20歳も年上の『おっさん』と(カネづるとして)つき合ってくれるのはキャバ嬢くらいしかいない。
 ……
 最初の2つの図は、さまざまな言動から魅力的だと感じる年齢を解析したものだ。本当の気持ちというより、たんなる願望のこともあるだろう。だが図③は、男性が実際にメッセージを送った女性の年齢をビッグデータにして解析したものだ。ウソや冗談で『つき合ってください』なんてメールは送らないだろうから、これはきわめて説得力の高い『証拠(エビデンス)』だ。
 これまでも、『女性は年上の男性が好き』『男は若い女性が好き』という漠然とした『常識』はあった。しかしこれだけでは、『40歳を過ぎると女の関心は年下の男に移る』とか、『男は5歳刻みで口説く女を変える』などということはわじゃらない。それを解明したのがビッグデータで、たんなる経験則ではなく『根拠のある主張』だ。この連載では、個人的な思い込み(私はこんな体験をした)ではなく、つねに『証拠』を示すようにしたい。
 『35歳を過ぎた女は結婚がむずかしくなる』といわれる。そしてエビデンスは、この理由を明快に説明する。
 30代の女性には、自分と同じくらい年齢の男性にもっとも魅力を感じている。35歳だと、30代半ばの男性を好ましいと思う。 ところがそのとき、35歳の男は自分より5歳若い女性にせっせとメッセージを送っている。そしてこの行動は40歳まで変わらないから、男と女の好みはどんどん開いていく。
 40歳を過ぎると、男女の好みの違いはさらに極端になる。45歳の女は自分より5歳若い男を好むが、当の40歳の男は30歳の女を口説こうとしている。この大きな年齢ギャップを埋めるのは容易でないだろう。
 婚活マーケットの特徴は、年齢が上がるにつれて、恋愛や結婚で『市場』から抜けていく男女が出ることだ。こうして同世代の『恋愛対象プール』は細っていくが、恋人のいない若い男女が新たにマーケットに参入してくる。しかしこのとき、20代の男性は同世代の女性にしか関心がないが、20代の女性は、一定の条件を満たせば、年上の男とつき合ってもいいと思っている。
 この『男女の非対称性』によって、年配の女性の婚活はきわめて不利になる。男性がコンタクトを取る女性の割合を比較すると、20歳の女性に興味を持つ男性が100人いるときに、50歳の女性に興味を持つ男性は9人しかいないのだ。
 誤解のないようにいっておくと、これは婚活市場において、男が圧倒的に有利で女性が不利だということではない。婚活サイトは、独身の男と女をマッチングさせる。男女がほぼ同数だとするなら、どちらかの性が一方的に有利になることは数学的にあり得ない。
 それでもあえていうなら、婚活に有利なグループはある。それは『20代前半の女性』と『社会的・経済的に成功した男性』だ。要するに『若い女とカネのある男はモテる』という話で、これも誰でも知っていることだる。
 若さの市場価値
 エビデンスが示す『不都合な事実』は、すべての男の関心が若い女性に極端に偏っていることだ。婚活サイトの性格上、ここでは20歳以上になっているが、年齢の制限がなくなれば、男の欲望の対象が10代の女性にまで広がっていくことは間違いない。
 このことから、若い男女の『市場価値』が大きく異なることがわかる。
 思春期から20代半ばまでの女性は、あらゆる年齢の男から注目を浴びる。それに対して若い男性は、同年代の女性からしか関心を持たれない。すなわち、若い女の価値はものすごく高く、若い男の価値はそれほどでもない。
 ニュース番組の『年配の男性キャスターと若く魅力的な女性アシスタント』という組み合わせが典型的な性差別だとして繰り返し批判されている。これは欧米も同じで、#MeToo(ミートゥー)運動が広がったあともこの『悪習』を変えることができない。なぜなら、視聴率が落ちでしまうから。
 女性は自分と同年代の男性に魅力を感じるから、メインターゲットとなる女性となる女性視聴者の年齢にちかい男性キャスターの方がいい。それに対して男性の視聴者は、若い女性にしか関心がない。これが、『年配の女性キャスターに若い男性アシスタント』の組み合わせが極端に少ない理由になっているのだろう。
 こんな事をわざわざいわなくても、若い女性は自分の『市場価値』を正確に理解している。なんといっても潜在的な『顧客』は人口の半分、世界中に40億人ちかくもいるのだ。他のどのような『商品』も、これほど大きなマーケットの持っていない。経済的な価値を持つこの性的魅力は『エロティックキャピタル(エロス資本)』と呼ばれる。
 だがこのとてつもない大きな資本には『賞味期限』があり、10代半ばからの10年間が最大で、その後は急速に縮小していく。もちろんこれも、女性ならみんな知っていることだろう。
 こうして、かぎられた期間に自分のエロ資本を最大限に活用しようとする若い女性が世界中で大量に登場した。その目的は経済的な利益(パパ活やギャラ飲み)かもしれないし、有名になって自己実現すること(地下アイドルやユーチューバー)かもしれないが、世の中を驚かす奇妙な現象の数々は、エロ資本が特定の年齢層の女性に集中していることから経済学的に(ほぼ)説明できるだろう。
 こうした主張を『差別的』と感じる人がいるかもしれない。だがその場合は、『根拠』にもとづいて、より説得力のある解釈を示さなければならない。『いくつになっても若い女のケツを追い回す男はけしからん』と怒っても(気持ちはわかるが)現実は変わらない。
 それと、これは強調しておかなくてはならないが、現代社会にはエロス資本しか持っていない若い女性が(かなろたくさん)いる。そんな彼女たちに『愛は無償であるべきだ(エロスを男にタダで提供しろ)』との道徳を強要するのは『搾取』以外のなにものでもない(奇妙なことは、男性優越主義者だけでなく、一部のフェミニストもこういう主張をする)。アダルトビデオや風俗業を違法にするのは、エロス資本に依存するしかない女性たちから生きる方途を奪う『虐待』だ。
 周知のように、社会的な性差を示すジェンダーギャップ指数で日本は110位と世界最底辺に低迷している。しかしそれにもかかわず、さまざまな調査で若い女性の幸福度は同世代の男性よりずっと高い。とりわけ大卒の若い女性は、日本社会の主流派を形成する『おっさん(壮年大卒男子)』を抑えて、現代日本でもっとも幸福度(ポジティブ感情)が高い。
 これを保守派は、『男が外で働き、女は家で子育てに専念する』性役割分業が日本女性を幸福にしているのだと解釈するだろうが、これには根拠がない。共働きが当たり前の北欧でも、女性の幸福度が下がっているわけではないからだ。
 このパラダイスも、若い女性がとてつもなく大きなエロティックキャピタルを持っていることで証明できるだろう。大きな金融資本(ゆたかさ)が幸福な人生につながるように、大きなエロ資本によって注目(あるいは金銭的な報酬)を得られることが幸福度を上げるのだ(たぶん)。
 『進化』の長い影 
 男と女の欲望はなぜこれほどちがうのか?『現代の進化論』は、『ヒトの脳が、長い進化の過程のなかでそのように〝設計〟されたからだ』と説明する。これに反発するひともたくさんいるだろうが、多くの研究者が半世紀以上にわたって膨大なエビデンスを積み上げており、現時点でこれを上回る説得力を持つ『科学』は存在しない(これからもおそらくないだろう)。
 すべての生き物が後世により多くの遺伝子を残すよう『設計』されてきたとするならば、その目的は『生存』ではなく『生殖』だ。大過なく生涯を終えたとしても、生殖に失敗すれば遺伝子は途絶えてしまう。
 オスがより多くの子どもをつくろうとすれば、限られた資源をメス全員に均等に配分するようなことはしないだろう。それより、妊娠可能な一部のメスに集中的に資源を投入した方がずっと有利だ。
 このようにして、すべて女性を年齢にかかわず平等に扱う『リベラル』な遺伝子は淘汰され、若い女性に極端に好む『差別的』な遺伝子だけが残った。そのように考えれば、50歳になっても20歳のギャルと結婚することを夢想し、現実を突きつけられてもできるだけ女性と交際しようとあがく男の『悲しい性(さが)』が理解できるのだろう。これは『差別』の問題ではなく、進化の過程で生じた男女の『利害の不一致』という問題なのだ。
 『進化』の長い影は、恋愛やセックスだけでなく、私たちの人生のあらゆる場面に及んでいる。この連載では、その不愉快な事実を受け入れたうえで(ほかにどうしようもない)、いかにして『幸福』を手に入れられるかを考えていきたい。」
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 全ての生物は優秀な遺伝子を少しでも多く生き残らせる為に子孫を作るが、本当は、種の生存を目的とした高等戦略ではなく、個体の生理的生殖の為であった。
 進化や進歩は、優秀な遺伝子を持った個体の生殖による増殖で成し遂げられる。
 それ故に、年老いたオス(男性)は若いメス(女性)を求め続けるが、それは性差別ではなく生物として本能、つまり種の保存である。
 生殖機能が退化し繁殖能力が衰退した種は、必然的に絶滅・死滅する。
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 日本人の、男性の精子劣化、女性の卵子老化、生殖機能の退化、繁殖能力の衰退。
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