¥25〉─3─大人が、子孫に残す「負の遺産」。~No.127No.128No.129 @ 

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 2016年5月19日号 週刊新潮「おっぱいがほしい!
 男の子育て日記2016 樋口毅宏
 『子供を持って初めてわかること』というのは、確かにある。
 話には聞いていたが、子育てがここまでハードだとは思わなかった。
 とんでもない重労働。
 僕と妻は、我が家でいちばんエラい王様に仕える奴隷だ。
 水道橋博士が以前、3人のお子さんを育てる奥様のことを、『育児奴隷』と喩えたいた。
 僕は長い間、『いくら大変だとはいえ、自分の子供を育てているのに、奴隷というのは言い過ぎでは・・・』と思っていた。
 失礼しました。博士のおっしゃる通りでした。
 生まれてから最初の一ヶ月は、ふたりとも記憶にない。
 座ったままあやしても機嫌が悪いため、立ちながら抱っこすることになり、万年腱鞘炎、筋肉痛になるなんて、赤ん坊が生まれるまで知らなかった。
 『ヒザを柔らかく使う』って、野球のショートだけだと思っていたよ。
 ベビーベッドをレンタルしたものの、そばにいないと眠らないため、結局親子3人、ベッドに川の字で寝るようになった。
 寝返りは打てない。赤子が真横にいることを意識しながら、眠りにつく。
 しかも2、3時間ごとに赤子は泣く。ヘタしたら1時間もしないうちに。そのたびこちらは起きて、オムツを替えて、ミルクを与える。昼夜逆転というより、1日の境目がなくなった。
 赤ん坊が泣く理由は大まかに分けて3つ。
 ・おなか減った。
 ・オムツ替えろ。
 ・眠い。寝かせろ。
 『泣く子と地頭には勝てない』。現代では地頭はどうか知らないが、前者はその通りだ。恐らく、永遠に変わらないだろう。
 どうにか寝てくれるとホットする。
 どんなに泣いて振り回されても、赤ん坊の笑顔で報われる。何事もなかったようにスヤスヤ眠るわが子に向けてつぶやく。
 『寝ている間がいちばん可愛いよ』
 そういえば、親が同じことを言っていたなあと思い出す。
 この歳になってようやく、親に感謝する気持ちが湧き上がった。
 自分を作家デビューさせてくれた恩人、白石一文の『僕のなかの壊れていない部分』で、主人公の恋人の父親がこう言う。
 『親というのは、一段低級な生き物なんです』
 娘が少しでも人生に苦労をしないで済むなら、他の子供が犠牲になっても構わないという。
 これの究極とも言えるものが、古代ユダヤヘロデ大王だろう。『マタイ伝』によると、預言者から『ベツレヘムに新しい王が生まれた』と告げられた大王は、2歳以下の幼児をすべて殺害させた。
 マリアは災いから逃げるために、馬小屋でイエスを産み落とした。
 究極の親バカと言えるが、現代でも権力がある親なら同じことをするに違いない。
 敬愛するつかこうへいは『娘に語る祖国』でこう書いていた。
 『娘よ、私にとっておまえが故郷です』
 どれもこれも、いまはよくわかる。とても沁みるほどに。
 一文(かずふみ)くん、ありがとう。きみは僕の幼い教師です」




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誕生を待つ生命 母と娘の愛と相克

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