🎴4〉─7─日本が直面する衝撃の近未来を描く「2040年の未来予測」。〜No.35 

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 2021年3月5日 産経WEST「【エンタメよもやま話】20年後の日本は「けっこう暗い」…衝撃の近未来予測
 日本が直面する衝撃の近未来を描く「2040年の未来予測」
 さて、今週ご紹介するのは、興味深い日本の近未来の姿について語った1冊に関するお話です。よくいわれることですが、1990年代後半以降のインターネットの普及によって、世界の科学技術は過去とは比較にならないスピードで大きく変革。さらに2000年代に入ると人工知能(AI)絡みの研究や技術開発も進み、自動運転車やネットにつながって自ら学習するAI家電など、SF映画の世界がどんどん現実化しています。
 そんななか、約20年後の日本の姿を予想する1冊が話題を集めています。タイトルは「2040年の未来予測」(著者・成毛眞=なるけ・まこと、日経BP、1700円+税)。われわれが直面する近未来の課題について、ポイントをしぼって説明しています。
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 本書では、日本人の生き方を激変させたのは、2008年7月に国内発売された米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」であると明言。われわれの生活水準はアイフォーンの登場以降、大きく変わっていないが、スマホという新しいテクノロジーによって生活様式は根底から変わったと説明し、未来について「これまでの10年よりこれからの10年の方が世界は大きく、早く変わるだろう」と予想します。
 そして、米中が「がっぷり四つに組んで経済の覇権を争うこと」で激しい競争が起き、テクノロジーが飛躍的に発展。われわれの生活様式をさらに激変させるとの見方を示しています。
 「テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする」「あなたの不幸に直結する未来の経済--年金、税金、医療費」など全4章で、日常生活に関わる身近な問題から、地球温暖化といった世界規模のテーマまで、さまざまな視点で2040年の未来を見通しています。
 ただし、読み進めるうちに暗澹(あんたん)たる気持ちになっていきます。なぜなら、著者自身が「本書が示す将来はけっこう暗い」と指摘するように、明るい展望があまりないのです…。
 40年には空飛ぶ車の実用化にメドがつくほか、AIによる医療技術の格段の進歩がオンライン診療の実現を大きく後押しするといいます。さらに、再生医療パーキンソン病アルツハイマー病の治療に効果を発揮。セキュリティーが強固な無人店舗の導入で万引が防止できるなど、テクノロジーのさらなる進歩によって、過疎地の医療問題や教育問題、そして“買い物難民”の解消が図られるといった明るい面ももちろん少なくありません。
 ネットにつながった家電にAIが搭載され「『こんな夜中にチョコレートを食べるんですか?』。あなたがダイエット中だったら、冷蔵庫にこう警告される日はそう遠くないだろう」という、まさにSF映画の世界が展開される楽しい未来も描かれます。
 しかし、物価は上がらず「GDP(国内総生産)の成長率も2030年以降はマイナス成長やほぼゼロとの予測が支配的」ななか、40年の日本は老人だらけになり、政府の債務(日本の借金)は「ぶっちぎりで世界一」。加えて「老人が増え、それを支える若者が減る」わけです。
 また、メディアのあり方についても、テレビは、みんながスマホをいじりながら視聴するので「『ながら』に適したラジオが絶滅せずに生きながらえているのと同じような道をたどるだろう」と予測する一方、面白いテレビ番組はネットフリックスなど有料動画配信サービスを展開するネット企業が製作し、「ハードの『テレビ』自体はなくなる」と明言。新聞に至っては「絶滅危惧種」で「2040年、今のような形で存在している新聞社はほとんどないはずだ」と説明します。
 本書はあえて、こうした暗い未来をズバズバ提示することで、帯に書いてあるように「知っている人だけが悲劇を避けられる」内容となっているのです。著者の成毛氏は、米マイクロソフト日本法人(日本マイクロソフト)の元代表取締役社長。日本の中からではなく、外国人の持つ感情抜きのクールな視点で日本の未来の問題点を極めて論理的にあぶり出しているので、説得力があります。
 実際に読んでみて、いろいろ考えさせられた1冊ですが、個人的には[おわりに]と題したあとがきの一節に、大いに共感しました。
 「(米のグーグルやアマゾンといった)GAFAのような企業が日本から生まれる兆しはまるで見えない。いまだに、産業界では『かつてのウォークマンのように製品を日本企業はなぜ生み出せないのか』と真顔で議論している。ソニーウォークマンが世界を席巻したのは1980年代だ。産声を上げた赤子が中年にさしかかるほどの歳月がたっていることに、どれほどの産業人が自覚的なのだろうか」「…つまり、政治の世界も民間の世界も、とびぬけて優秀な人材が日夜を問わず働いても、世界的ヒット商品のひとつも生み出せないのが実情だ」 (岡田敏一)
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 【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず)1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家。産経ニュース( https://www.sankei.com/ )で【芸能考察】【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。
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