🥓22〉─5─国際的「男尊女卑国」日本。男女平等ランキング、日本は156カ国中120位。〜No.109 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2021年5月10日 MicrosoftNews ダイヤモンド・オンライン「国際的「男尊女卑国」日本、世界とズレる大きな理由
 佐藤直樹
 © ダイヤモンド・オンライン 提供 写真はイメージです Photo:PIXTA
 男女平等ランキング、日本は120位
 経済分野117位、政治分野147位
 3月に発表された世界経済フォーラムの「男女格差報告書(ジェンダー・ギャップ指数)2021」で、日本はなんと156カ国中120位(65.6%)だった。
 教育へのアクセスや政治家や閣僚の数、賃金など男女差を比べ、「100%」を「完全な男女平等」として達成度を指数化したものだが、これまでで2番目に悪い数字で、主要7カ国(G7)では最下位、全体でも下から数えたほうが早い。
 対象となった経済・教育・医療・政治の4分野のうち、教育・医療分野はそうでもないのだが、目立って低いのは、経済分野の117位と政治分野の147位だ。
 とりわけ経済分野では、「労働力の男女比」は他国と比べて遜色ないのに、「管理的職業従事者の男女比」が139位、「専門・技術職の男女比」が105位と、かなり低い。
 私も大学で働いていたが、職場で女性の管理職がきわめて少ないのは実感としてよく分かる。
 かなりの「女性差別の国」を
 実感している男性は少ない
 というわけで、2月に森喜朗東京オリンピックパラリンピック組織委員会元会長が辞任に追い込まれた女性蔑視発言、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「組織委にも女性はいるが、わきまえている」を持ち出すまでもなく、じつは国際的には、日本はれっきとした「男尊女卑の国」なのだ。
 これはきわめて深刻に受け取るべき厳然たる事実なのだが、日本がかなりひどい女性差別の国だと自覚できる人は多くない。おそらく、とくに男性にはこのことをリアルに感じている人は、少ないのではないか。
 欧米にはない「世間」に
 埋め込まれた「身分制のルール」
 日本が国際感覚とはとんでもないズレがあるのは、いったいなぜなのか?
 答えは簡単で、それは海外にはない日本特有の人間関係である「世間」に、日本人ががんじがらめに縛られていることにある。
 「世間」があるために差別が構造化されており、女性差別が隠蔽され、きわめて見えにくい構造になっているからだ。
 見えにくい理由の一つは、「世間」に「身分制」があるためだ。日本は先進国のなかでは、きわめて伝統的なものを多く残している唯一の国だ。その代表が「世間」という人間関係だ。
 「世間」は『万葉集』以来1000年以上の歴史があり、日本人は伝統的な「世間のルール」を律儀に守ってきた。なぜなら、「世間を離れては生きてゆけない」と信じており、ルールを守らないと「世間」から排除されると考えるからだ。
 そのルールのなかに「身分制のルール」がある。年上・年下、目上・目下、先輩・後輩、格上・格下、男性・女性などの上下の序列である。
 日本人はこの「身分制」に縛られており、そこに上下の序列があるために、これが差別の温床となっている。
 現在の欧米社会には、日本のような「世間」はない。この違いは言葉の問題を考えると分かりやすい。
 英語では一人称の「I」と二人称の「YOU」は1種類しかない。つまり対話の相手が、友だちだろうが大統領だろうが、タメ口でよい。ところが日本語では、「I」も「YOU」も、「オレ、私、僕、あなた、お前、君…」など山のようにある。
 日本語でこれほど一人称・二人称の使い分けが必要なのは、あらゆる場面でその都度、対話の相手との上下関係、つまり「身分」を考えて、言葉を選ばなければならないからだ。
 英語圏には「世間」はないため、日本のような「身分制」が存在せず、人間関係は基本的に「法の下の平等」のもとにあるから、相手が誰であろうがタメ口でよい。
 「身分制のルール」は合理的な理由がない、いわば「謎ルール」なのだが、「世間」には後輩の先輩への絶対的服従など、この種の「謎ルール」がてんこ盛りにある。
 女性差別もその一つで、「世間」の「身分制のルール」のなかに構造的に埋め込まれている。
 森・元組織委会長の「わきまえている」発言が意味しているのは、まさに「女性は身分をわきまえろ」という「身分制のルール」のことに他ならない。
 ただしこの発言だって、「たかがあの程度のことで、なぜ辞める必要があったのか?」と思った人は、とくに男性に多いのではないか。
 女性差別だという実感がまるでないのは、そもそも「世間」自体が「身分制」という差別構造を持ち、女性差別がそのなかに見事に埋め込まれ隠蔽されるために、きわめて見えにくくなっているからだ。
 夫との間で「母子関係」まで
 背負うことを求められる妻
 日本の「世間」で、女性差別が見えにくい理由がもう一つある。
 たとえば、歌手で俳優でもある武田鉄矢さんは、3月にテレビ番組「ワイドナショー」に出演した際、西洋に比べて日本が「男性優位社会って言われていますけど、そんな風に感じたことはありません」と断定。夫婦関係を念頭に、「やっぱり日本で一番強いのは奥さんたちだと思いますよ」と発言している。
 どうだろうか。これを聞いて共感する男性は少なくないのではないか。
 やっかいなのは、夫婦関係において「日本で一番強いのは奥さん」と思い込んでいる人間に、社会関係におけるジェンダーギャップを指摘しても、まるで実感をもてないのではないかということだ。
 つまりここには、夫婦関係と社会関係において一種の「ねじれ」があり、夫婦関係では、男性より女性のほうが一見「強い」ようにみえる。しかし、この「ねじれ」は表面的なものにすぎない。
 たとえば昨年6月、お笑い芸人の渡部建さんの不倫問題が起きたときに、妻で女優の佐々木希さんがインスタグラムで、「この度は、主人の無自覚な行動により多くの方々を不快な気持ちにさせてしまい、大変申し訳ございません」と、「世間」に謝罪したことは記憶に新しい。
 じつは、夫の不祥事を妻が「世間」に謝罪しなければならないのは日本特有の現象なのだが、「世間」が謝罪を要求するのは、夫に対して妻は母親としての「監督責任」があると考えるからだ。
 つまりここにある夫婦関係は、相互に独立した個人としての男女関係ではなく、非対称の依存関係としての「母子関係」である。
 この点で最近、心理学者の信田さよ子さんが、日本のDV加害者の男性の特徴について、面白いことを指摘している。
 すなわち、北米の男性の場合、妻への嫉妬がDVの引き金になっている例が多いのに対して、日本では妻が他の男性に惹(ひ)かれることなど考えもしない例が多いという。
 ようするに、「日本の男性は妻を女性としてではなく、『自分を分かってくれる存在=母』としてとらえている」ことがDVの根底にあるのではないか、というのだ。
 もちろん「母子関係」がすべて悪いわけではない。しかし、夫婦の関係で「自分を分かってくれる存在」といった「母子関係」を要求される女性にとってみれば、それは強制であり抑圧でしかない。
 夫婦関係では女性は男性より「強い」ように表面上見えるが、ここにあるのは、一方的に「母親の役割」を強制されるいびつな女性差別の構造なのだ。
 とくに男性にとって、この差別的構造はきわめて自覚しにくい。
 女性役員比率と業績に相関関係
 見方や考え方の多様化で活性化
 では、たとえば企業での男女差別や格差をなくしていくにはどうすればよいのか。
 職場も一つの「世間」である以上、そこでも女性差別が構造化されている。
 この状況を変えるには、日本では差別が見えにくい構造があることをよく自覚し、すみやかにジェンダーギャップを埋める具体的な方策を講じる以外にない。
 BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)の報告書(2017年)によれば、日本企業における女性役員の割合は、ノルウェー36%、フランス30%、イギリス23%、アメリカ・ドイツ・オーストラリア19%などと比較して、わずか3%と著しく低い。
 興味深いことにこの報告では、東証一部上場904社を調査し、「日本企業の女性役員比率と企業業績には相関関係が見られる」と結論づける。
 つまり女性役員を増やすことで企業業績が上がる。それは、「ものの見方や考え方が多様化することで、企業が活性化し、イノベーションが加速する」からだという。
 当然といえば当然の話だ。
 これは一つの例だが、政治のかかげる「女性活躍推進」がレッテル詐欺にならないためにも、女性の管理職を増やすなどの実効的な手立てを、躊躇(ちゅうちょ)することなく実施することが必要だ。」
   ・   ・   ・