🚷3〉─1─経済は人口の波で動き、デフレは解消されない。人口減日本の未来図 藻谷浩介。~No.4No.5No.6 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
  2021年7月30日 朝日新聞「人口減日本の未来図  藻谷浩介
 貯金フェチの社会
 的外れの生産重視
 高齢者の消費増を
 日本経済の停滞の真因は、それまで指摘されていたような円高不況や産業競争力の衰退ではなく、まして財政出動や金融緩和が足りないのでもなく。最大の要因は生産年齢人口の減少である。あれから10年余。その診断は生かされたか。人口減少国家の現在と未来は。
 世界に先駆けて高齢人口減る頃
 子ども増を予測
 ──経済を動かすのは景気の波でなく人口の波だという藻谷さんの発見は今では賛同者も多いですが、2010年の著書発表時には多くの批判があったそうですね。
 (藻谷)『商業統計を調べていて生産年齢人口の減少と消費停滞の連動に気づきました。でも経済学者らは「人口とデフレは無関係」「人口減で供給力が落ちるならむしろインフレ要因」などと反論してきました。真の病因が特定できないと誤った治療法に迷い込む。そう考えて提言したのに、古いセオリーを丸暗記していると眼前の現実が見えなくなるのでしょうか』
 ──同年、日本は中国に国内総生産(GDP)で抜かれ、半世紀近く続いた世界第2位の経済大国の座を失いました。人口減と経済大国からの転落。二つのショックがその後、日本全体に悲観的な空気を広げていったように見えます。
 『世の中に何となく漂った不安な正体を突き止め、指し示すのが狙いでしたが、結果的にショックを助長することになったのかもしれません。でも私は過度な悲観は無用、打つ手はあるとも訴えてきました。たとえば若者の賃上げ、女性就労、外国人観光客の誘致などの内需底上げ策です』
 ──その後もすぐには人口減少問題は政策の焦点にはならず、安倍政権はむしろ『デフレの原因は金融緩和が足りないからだ』という方に焦点をあて、日本銀行インフレ目標を掲げさせて異次元金融緩和をやらせました。
 『人口原因説に最も異論を唱えてきたのがアベノミクスを支持するリフレ論者たちでした。金融緩和で物価や株価を上げれば消費も増える、という彼らの空論を信じ込んだ前首相は異次元緩和を鳴り物入りで行いました。その結果、株価は急騰しましたが、肝心の消費は私の予言した通り、ほとんど増えませんでした』
 ──人為的にインフレを起こすという処方箋は見当違いだと?
 『バブル後の20年間の金融緩和でお金の量が3倍になっても効果がなかったことでそれは明らかでした。本の発行後、小野善康・大阪大特任教授のいわば「貯金フェチ(偏愛)」説を知って理解が深まりました。現役世代は所得を消費に回しますが、高齢富裕層は欲しいものがなく消費より貯金が快感になってしまっている。こうした貯金フェチの人にため込まれてしまうので、金融緩和や財政刺激をしても需要は伸びないのです』
 ──コロナ下でも供給ショックの方は置きませんでした。
 『経済学の祖アダム・スミスの生きた18世紀なら、感染拡大下で働き手が足りなくなり、供給力が落ちたかもしれません。でも今はこんな事態になっても物不足にはならない。ロボットなどの進化によって生産力は補完されました。太陽光エネルギーのような技術革新もあって資源制約も受けにくくなった。人類は巨大な供給力を手に入れたのです。一方で消費が盛んな生産年齢人口が減っているうえ、お年寄りはお金を使わないから、消費数量は減ってしまう』
 ──問題は生産力ではなく、需要をどう増やすか、ですか。
 『需要なき生産は値崩れを起こすだけ。生産を重きに置く経済学の枠組みは時代遅れです。人口成熟下の成長の条件は現役世代の所得が増え、人口当たり・時間当たりの消費額が増えることです』
 ──消費が増えない背景には、将来の増税を懸念させる政府の財政悪化の影響もありませんか。
 『政府が返済計画の立たない借金を積み重ねる姿には、社会の病理を感じます。財政規模は肥大化してきましたが、内需はほとんど増えていません。さらなる財政拡大を提唱している最近はやりのMMT(現代貨幣理論)論者もその事実を見ていません』
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 ──このまま財政を維持していけるとは思えません。
 『日本の経済収支黒字はコロナ禍の昨年も世界3位。これが続いて財政赤字を国内資金で賄えるうちはいいが、戦争や天災など何らかの理由で金利が高騰したら巨大な借金抱えた政府機能は即刻止まります。そうでなくても南海トラフ地震は近未来の発生が想定されていますし、いざ本当に財源が必要な時のための備えが必要です』
 ──いま備えるべきことは?
 『やることはたくさんあります。たとえば自然エネルギーや国内産の食料・飼料の生産増で自給率を上げ、輸入額を抑える。日本の農業がまだ試していない技術革新の材料はいっぱいあります。降水量、日照量、土地などの条件がそろわない国が多いなかで日本にはすべてがある。現在4割ほどの自給率を6~7割にすることは可能です。生産年齢人口が減ってもAI(人工知能)とロボットによる省力化で』
 ──長寿大国は誇るべきことですが生活資金面で長生きリスクに不安を抱く人が増えています。これも消費を控える要因では?
 『高齢者の多くが金銭面の不安を抱えているのは確かですが、一方で高齢富裕層が膨大な金融資産を抱え込んでいます。持てる高齢者が生涯使わない貯蓄の一部を持たざる高齢者の生活資金に回す。それだけで若者に負担をかけずに事態は改善だきるはずです』
 『年金は現役世代の保険料で今の高齢者の年金原資を賄う「賦課方式」になっています。これを制度通り運用して支給額を減らし、貯金の尽きた高齢者がすぐに生活費を受給できるようにする。そうすれば、受給額が年金より多くなる人も増えます。全体でみれば財政負担は減り、消費は増えるでしょう』
 ──人口減で過疎化がより進めば地方が滅びてしまいませんか。
 『人口減の理由は少子化ですから、むしろ過疎自治体の方が生き残る確率は高いでしょう。2020年までの5年間に0~4歳の乳幼児人口が増えた過疎自治体は100以上ありました。逆に首都圏1都3県は、地方から親世代となる若者を集め続けたにもかかわず5%減です。出生率の低い大都市圏の日本人は生物集団として見れば絶滅に向かう状態です。3人以上産んでも普通に暮らせる職住環境がないと人口は維持できません。東京では無理です。でも数百人規模の過疎集落なら可能かもしれない。コロナ禍の下でも密集度が低い田舎の方が感染リスクが低く、安全・安心な場所でした』
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 ──藻谷さんが提唱していた訪日観光客の誘致はコロナ禍がなければ年間4,000万人が見込まれ順調でした。でもそれは円安のおかげで、日本の安売りだったのでは?
 『16年から為替は円高方向に戻りましたが、訪日観光客はむしろその後急増しました。日本には国際観光地としての絶対的な優位性があります。地図アプリの衛星から見た世界地図で日本と同じ緯度、経度をぐるっと一周してみてください。緑の山と青い海に恵まれた日本がいかに例外的な場所かわかるでしょう。世界から見た日本は四季折々に訪れたい庭園のような場所で、しかもとびっきりおいしい食事までできるのです』
 『問題は客数だけを目標に安売りに走ったことです。コロナが収まれば外国人観光客は黙っていても再び増える。それはデータからも予想できます。19年には豪州人の39人に1人。台湾人の5人に1人が日本を訪問しました。米国(187人に1人)や中国(143人に1人)からも豪州や台湾並みの訪れるようになったら、とても対応できません。東南アジアや欧州からの訪日客だって増えるでしょう。客数目標はもうやめた方がいい。日本経済の付加価値を効率よく高めるため、中長期の滞在客に地場産品をより消費してもらう戦略に転換すべきです』
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 ──中国も7年前、ついに生産年齢人口が減少に転じました。いまは驚異的な成長を見せる中国ですが、近い将来、日本と同様に停滞の道をたどるのでしょうか。
 『中国では高齢者が爆発的に増加しており、少子化も止まりません。20年後遅れで日本を後追いしている感じです。日本や世界が中国の消費に依存して成長するのは早晩難しくなっていくでしょう。日本はかつて労働力不足の穴埋めに日系ブラジル人を呼び集めました。中国も同じように東南アジアに広がっている華僑を呼び集めざるを得なくなると見ています』
 ──そのころの日本派?
 『主要国で最初に65歳以上人口が増えない時代を迎えます。すでに全国約1,700自治体のうち過疎地を中心に300近い自治体で70歳以上人口が減り始めました。こうなれば福祉予算を減らして、子育て支援に予算を振り向けられるようになります。それで子育て環境が整えば子どもが増え始める。私はそう予測しています』
 (聞き手 編集委員・原真人)」
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デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
人口減が地方を強くする (日本経済新聞出版)
移民が導く日本の未来――ポストコロナと人口激減時代の処方箋
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 消費する労働者=人がいないのに、AIとロボットで製品を作っても売れ残ってデフレになるだけである。
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 人類の歴史、歴史の事実として、何らかの原因で人口減少に陥った民族国家は人口回復ができず滅亡し、民族は死滅した。
 その証拠が、古代文明の死んだ遺跡群であり、古代の民族の多くが絶滅し子孫がいると言っても100%血が繋がっているかたわからない。
 つまり、文明、文化はもちろん国家も民族にも抗いきれない寿命が存在し、寿命がつきれば全てが遺跡という残骸を残して消え去る。
 それが、生命体の運命であり、形あるも宿命である。
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 北米大陸を南北に飛んでいた十数億羽の旅行鳩は死滅した。
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 現代日本で外国人移民(主に中国人移民)が増えている。
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 江戸時代は、人生50年時代で乳幼児の死亡が多かったが緩やかな人口増加期にあった。
 江戸時代の人口は、徳川家康江戸幕府を開幕した1603年頃に約1,200万人だったのが、徳川慶喜大政奉還した1867年頃には約3,000万人に増えていた。
 江戸時代は、人生50年時代で若者多く老人が少なく、幕府や諸大名で政治・経済・外交・軍事など全ての分野で活躍していたのは20代から40代前半までで、30代から隠居して第一線から身を引く者が多かった。
 日本の儒教では、50代過ぎても第一線で権力・権威を振るう者は醜悪な老害として嫌われた。
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 江戸時代は、世界トップ規模の安定した経済と爛熟した文化をもたらし維持したのは人口増加(生めよ殖えよ)策・殖産興業(地場産業育成と地産地消奨励)・農地開墾(食糧自給自足促進)・領内資源開発(原材料確保)であった。
 幕府や諸大名の改革者に、世襲上級武士階級ではなく、世襲下級武士と庶民出身の金上武士や養子相続武士が多かった。
 その代表的人物が、現代日本マルクス主義歴史教育で嫌われている、二宮金次郎二宮尊徳)や田沼意次である。
 商売して金を稼ぐ事を、官学=朱子学儒教世襲上級武士階級は穢らわしいと嫌い、私学=論語儒教世襲下級武士と庶民出身の金上武士や養子相続武士は抵抗なく好んで行った。
 世襲上級武士階級は浪費して巨額の借金をつくり、世襲下級武士と庶民出身の金上武士や養子相続武士は質素倹約で借金を作らず貯蓄を増やした。
 改革派は、貧しく苦しい生活を耐えて生きている庶民を知っているだけに、世襲上級武士階級に嫌われようとも「百姓への重税に頼らない」財政健全策を推し進めた。
 つまり、「将来の豊かさの為に今の貧困を耐える」という質素倹約であった。
 そして、西洋の最新技術を蘭学で積極的に取り入れた。
 大事にしたのは、公平と平等ではなく「信用と信頼」であった。
 結果として、公助や共助のない自助だけのブラック社会であった。
 貧しい庶民の生活は、感情豊に喜怒哀楽で、その中でも特に陽気に「よく笑っていた」。
 改革派による成功は主君である将軍や大名の功績となり、歴史には名君主の善政・仁政として記録された。
 改革に失敗すると、主君の名誉を守る為に改革派の世襲下級武士と庶民出身の金上武士や養子相続武士は斬り捨てられ、上意で切腹させられ、家族は家禄や家屋敷を没収され手荷物だけ持って領外に追放された。
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 江戸時代は、御上の公助や世間の共助のないブラック社会であった。
 江戸っ子は、生きてれば「何とかなるさ」の諦めを粋と気風とし、生きて働いてこその楽しみとして「宵越しの金は持たぬ」の自棄(ヤケ)を信条とし、計画的な貯蓄をせず貧しい生活を送り、「喧嘩と火事は江戸の華」とばかりに騒々しく暴れて生きていた。
 江戸っ子にとって、幕府の御上が振りかざす権力や権威など糞みたいなもので、「御上ご尤も」と従順に素直にお達し=命令を聞いて従う気は更々なかった。
 それが、江戸時代の御用学者やお抱え絵師を嫌う反骨の町人文化であった。
 江戸っ子は、反権力・反権威の落首や瓦版を好んだ。
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 テレビなどの家電製品は、貧しい時代は町の金持ちしか買えなかったが、頑張って働いて普通の家が購入し、給料が増えてゆとりができたら数台買って家族が各自の部屋に置いた。
 日本製家電が、一人に一台として各家庭に置かれ、家電を買う時は壊れた時か新製品が出た時だけとなって売れなくなった。
 そして、外国製品の性能が良くなって日本製品との差別化がなくなった時、購入の基準は価格に移っていき、日本製品は価格競争に敗れた。
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 マルクス主義共産主義とは、人口爆発と資本主義経済の拡大で生まれた階級社会で貧富の格差が広がり、富の再配分で階級差別を是正・解消させようという攻撃的積極的イデオロギーである。
 つまり、毎年膨らむ資本家の収入から少しでも多くの給料・利益を人民=労働者階級に還元しようとい事である。
 故に、マルクス主義共産主義は、少子高齢化による人口激減時代では役に立たないどころか破滅的結果をもたらす有害イデオロギーである。
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 日本経済の失敗は、時代遅れのマルクス主義経済学を学んだリベラル派戦後民主主義教育世代とその薫陶を受けた優秀・有能な次世代が実体経済を動かし始めた1990年頃からである。
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 2010年頃から利益優先のブラック企業が増え、若者は社会保障のない低賃金で不安定な非正規雇用臨時雇用で働き、貯蓄もできない、結婚もできない、結婚しても子供を作れないという貧困層が増えている。
 日本経済の衰退で、日本は見えない所で貧富の格差という闇が広がりつつある。
 その原因は、少子高齢化による人口激減で、人生100年時代がさらなる悪化を深化させる。
 有能な策が、外国人移民(主に中国人移民)とされている。
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 リベラル派・革新派そして一部の保守派やメディア関係者は、戦前「生めよ殖えよ」政策のよる人口回復には猛反対し、権利重視から、親は子供の犠牲になってはならない、妻・女性は夫・男性の犠牲になってはならないと訴えている。
 新しい独立・自立したマルクス主義的女性として、家庭を持たない幸せ、子供を持たない幸せ、結婚しない幸せ、という一人の幸せを求めている。
 つまり、「孤独とは束縛のない自由な孤立した幸せである」という事である。
 それは、共産主義、左翼・左派・ネットサハが目指す、石器時代縄文時代からの歴史・伝統・文化・宗教を持った古い自然的日本民族の消滅の道であり、新しい人工的科学的日本国民=日本人民=外国系(主に中国人移民)日本人の誕生の道である。
 つまり、日本国と日本人が死滅・絶滅するわけではない。
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 少子高齢化による人口激減で問題なのは、労働者不足である。
 が、労働者には2種類あって、生産者としての労働者と消費者としての労働者である。
 生産者としての労働者とは、ネガティブ・悲観思考の大人・老人・女性的で、労働で得た賃金を将来の為に計画的に貯蓄と消費に分ける。
 消費者としての労働者とは、ポジティブ・楽観思考の子供・若者・男性的で、労働で稼いだ賃金を欲望のままに見境なしに浪費する。
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 戦後復興・高度経済成長・バブル経済まで、大量生産・大量消費の担い手は消費者としての労働者であった。
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 消費者としての労働者を生み出したのは、若者が多く老人が少ない人口爆発で、人生50年時代であった。
 人口爆発時代は、年間出生率が約200万人であった。
 つまり、総人口8,000万人といっても、人生100年時代と人生50年時代では年齢層比率が違う。
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 日本が向かう人口激減の将来とは、人生100年時代の少子高齢化社会、つまり少生多死社会で、子供・若者・男性的労働者社会ではなく大人・老人・女性的労働者社会である。
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 日本の総人口は、1872年の明治改元時は約3,000万人、1945年の敗戦時は約8,000万人、戦後復興・高度経済成長を経て1980年のバブル経済直前で約1億2,000万人であった。
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 若者多く老人少ない人口爆発では、将来・老後の不安は何もなく、内需は活況を呈し、恐い物知らずで高額で売り出しても飛ぶように売れる為に、大規模投資の大量生産・大量消費であった。
 少子高齢化の人口激減は、将来・老後への不安から低欲・無欲となって内需は衰退し、低額な商品を売り出しても完売できず在庫が増える為に、小規模投資で少量生産・少量消費である。
 つまり、買い手がいなければ作るだけムダなのである。
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 バブル経済まで、アリの如く将来の事を考えて現役を過ごした老人は個人資産を持っているが、キリギリスの如く老後の事か考えず浪費して現役を過ごした老人は個人資産が乏しいかない。
 つまり、青年時代に身の丈に合った・分に応じた・賃金内での生活をしたか、人が軽蔑するような倹約するケチな生活をしたかどうか、借金も財産のうちとしてクレジットカードで多額のローンを組んだかどうかである。
 それは国家でも同じ事で、その証拠が約1,100兆円という返済不能財政赤字・国家の借金で、借金は毎年数十兆円増え続けている。
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