🌁10〉─2─口先だけで「人を大事にしないブラック会社」が今後陥る苦難。〜No.30No.31 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 ブラック化した日本企業では、人材とは必要な時に集め、必要なくなれば手放す消耗品の事である。
 つまり、日本企業は社員・従業員の事など真剣には考えていない。
 人をモノ扱いするブラックな現代日本では、武士・サムライの忠臣蔵は存在しないし、百姓や町人の浪花節は通用しない。
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 2021年10月4日 MicrosoftNews 東洋経済オンライン「口先だけ「人を大事にしない会社」が今後陥る苦難 人的資本経営、ISO30414の大波がやってくる
 高城 幸司
 © 東洋経済オンライン 社員を「人財」と呼ぶ会社が増えていますが、その実態とはーー?(写真:マハロ / PIXTA
 わが社の社員は何にも代えがたい存在なので「人財」と呼ぶ。人事部は人財開発部と命名して、社員の活性化に取り組んでいる――。
 先日、そう語る製造業の人事部長に話を伺いました。人材という言葉はご法度で、すべて人財と記載するように社内でルール化しているのだそうです。
 ネットで調べると、今同じように社員を「人財」と呼ぶ企業は少なくありません。こうした傾向は2000年あたりから少しずつ増えてきたように思います。では、本当にそれだけ大事な存在として扱っているのか?
 具体的に話を聞くと、育児休業の取得拡大や残業削減に取り組むケースは多くあります。その一方で、離職率が高い、従業員満足度調査の点数が低いといった課題が顔を出したりも。発信している内容とのギャップを感じざるをえません。
 実際、社員がさほど大切にされていないのか、不満や離職が増加している”人財企業”の話も耳にします。社員を人財と呼ぶ会社に勤めるSさんは、上司のパワハラに遭い、その状況を人事に相談したにもかかわらず対策をとってもらえなかったと嘆きます。別の会社に勤めるGさんは、ワークライフバランスを重視する方針と聞いて入社したところ、残業や休日出勤が多く、体調を崩してしまったとのこと。
 発展途上で、努力している最中の会社なのかもしれませんが、社内外にアピールするならギャップを埋めるべきでしょう。
 入社してから“人財ギャップ”に驚くことも
 転職で“人財ギャップ”に驚く人も後をたちません。エン転職の調査では約8割の転職経験者が入社後、風土・社風・昇給制度・教育体制などでギャップを感じたと回答。たいていの求人には社員を大事にしている姿勢が紹介されていますが、入ったらまったく違っていた――。そんな不満をいだいている人は相当にいると思います。
 例えば、筆者の知人で中堅製造業に転職したDさん。その会社は社員を”人財”と呼んでいました。ところが入社しても、研修は現場で必要な実務関連のみ。社内の移動についても、異動希望をエントリーする仕組みはあっても形骸化していました。さらに人事評価も納得性が低い内容であったため、早々に転職活動を開始。今後こそギャップがないよう、転職後のコメントなどが閲覧できるサイトで次の職場を探しています。
 「ギャップなき人財企業」をめざす取り組み
 ところが、こうした「ギャップなき人財企業」をめざす取り組みが加速しそうな状況になってきました。ひとつは、人的資本経営。もうひとつは、ISO30414です。
 まずは、人的資本経営。これはアメリカの証券取引委員会が財務諸表に記載されていない情報の開示を義務化したことが発端です。この“非”財務情報に人や組織に関するものが含まれるのです。投資の判断材料となりうるレベルで、人材や組織に関する情報を開示するには、本気で社員を人財と考えて、取り組む必要があります。
 そして、ISO30414。ISOは国際標準化機構の略称で、商取引を行うためのさまざまなルールを標準化、規格化している機関。マネジメントシステムに関する規格「ISO9001(品質マネジメント)」などで有名です。ISO30414は人と組織に関する指標を開示することを求めた規格。離職率や一人当たり研修費用、ダイバーシティーなどの取り組みが投資判断で必要との観点から開示が義務化されそうなのです。
 例えば、離職率に関して、情報開示を拒否したり「30%超でさらに上昇中」と開示するなら投資判断ではマイナスに作用します。そこで開示は“望ましい数値”に改善してから行う、ということを企業は考えることになるはずです。
 当面は上場企業が対象になりますが、採用力を強化するために非公開企業でも開示する会社が出てくると思われます。
 例えば、筆者が長年つきあいのある中堅システム会社のケースです。研修予算は業界平均以下。ダイバーシティに関する取り組みもほぼ未着手。それでも収益改善が課されているので、人事部は予算を増やすことはできませんでした。
ところが社長が、ここにきて「人的資本経営」を標榜すると宣言。状況が変わりました。一人当たりの研修予算を開示するには少なすぎる。今年から大幅に予算を増やすことが了承されたようです。
 人的資本経営をめざす動き
 人的資本経営の開示について、最近の調査で「今後、積極的に行っていく予定があるか」と聞くと「積極的に行っていく」は10.7%、「おそらく積極的に行っていく」は35.7%で、計46.4%でした。来年あたりから人的資本経営をめざす動きが出てくるように思います。
 それでは、ギャップを埋める動きは具体的にはどのように進めていくのがいいでしょうか。会社側としては、社員が何を望んでいるのか?しっかり把握するのがスタート地点だと思います。
 コロナによって働き方の価値観が大きく変わろうとしており、これまでの考え方に縛られることなく、本音や潜在的な声をあぶり出せる仕掛けが必要です。
 例えば、パルスサーベイと呼ばれる高頻度に仕事に対する質問を行う取り組み。何回も「仕事は楽しいですか?」と聞かれると回答を繕うことが難しく、不満を抱いている社員が誰かみえてきます。そのうえで業績が高く不満を抱いている社員は辞めてもらっては困る。こうした社員が職場に対して期待していながらギャップがあることは改善の優先順位が高い。このように狙いを定めて、社員の声を聞く取り組みを行っていくといいでしょう。
 あるシステム開発会社では社員の声を聞いて、勤務形態に柔軟性をもたせるように変更をしていました。もともとは、役員や幹部人材は出社しないと仕事ができないと考えており、コロナが感染拡大しても出社率が高い状況でした。
 背景には勤務形態が10時~17時で固定化されていることがありました。コロナでのイレギュラー対応はするものの、勤務形態は一律をよしとしていたので、若手社員は感染の不安を感じながらある程度は出社しなければならない。さらにコロナ収束後は元に戻すに違いない。他社がコロナをきっかけに柔軟な勤務形態を容認する傾向が高まるなか、離職を考える社員も出てきていました。
 そのタイミングで勤務形態に関するアンケートを行ったところ、若手で業績が高い社員ほど勤務形態の変更を希望していることがわかりました。もし、変えなければ優秀な社員から辞めるリスクがある……と判断して、勤務形態を柔軟に変更したそうです。タイムリーに対応することで、社員は自分が大事にされていると感じてくれるのではないでしょうか?
 一方、社員の側は、こうした動きをどのように捉えたらいいでしょうか。今、会社が社員の声に耳を傾ける機運は高まっているはずなので、そうした機会を逃さず活用しましょう。
 会社に対して改善を求めたい内容があれば、具体的な示唆を伝えましょう。プラスに作用することがいくつもあると思います。例えば、研修に対する意見を求められたら、テーマ別・階層別で行うべき研修をいくつかあげてみる、といったことです。
 さらに行わないと困ること、行うことで得られることを示すと、会社側が検討を進める可能性が高まると思います。
 働きがいがある会社=働きやすいとは限らない
 筆者の知人で商社に勤務しているAさんは、こうしたアンケートでビジネススクールへの派遣の必要性を訴えたところ、翌年から実施され、自分が派遣されることになったとのこと。会社が社員を大事にしている姿勢を示してくれるなら、その流れに便乗してしまえばいいのではないでしょうか。
 学び直しの機会など、人財としての姿勢を示す取り組みは今後も増えていくと思いますので、意見を求められたときに答えられる準備をしておきたいものです。
 一方、気がかりとしては、正直なところそこまで成長意欲は高くなく、のんびり過ごしたい社員からすれば、“過剰なサービス”が提供されることになるかもしれません。
 定期的に職場満足度調査が行われたり、あるいは将来は何をしたいのか?キャリアパスはどのように考えているのか?と頻繁に問われることは「うっとうしい」と思う人も少なくないかもしれません。
 社員を大切にする会社は働きがいがあるかもしれませんが、働きやすいとは限らないということです。働く個人としては、会社の姿勢についてしっかり情報収集しつつ、自分にとって合う会社なのか、冷静に判断する材料として活用する機会にするといいように思います。」
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