¥25〉─6─国の借金。国債を借金とみなさない理屈のおかしさ。〜No.134 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2022年4月30日・5月7日号 週刊現代「ドクターZは知っている
 国債を借金とみなさない理屈のおかしさ
 3月末から、日銀が『指し値オペ』の実施を繰り返すようになり、ニュースでも目にすることが多くなった。いったい、どういう意味の言葉なのか。
 そもそも、市場への資金供給の調整など、金融政策の目的を達成するために日銀が行う『オペレーション(公開市場操作)』のうち、国債などの証券を購入することを『買いオペ』、逆に日銀が保有する債券を市場で売却することを『売りオペ』と呼ぶ。
 通常の買いオペは買い入れる金額をあらかじめ明示して行うが、指し値オペは決まった利回りで無制限に買い入れ、金利上昇に歯止めをかけることを目指す。制限がない分、通常の買いオペよりも強力な効果がある。
 財務省の資料『国債等の保有者別内訳』によると、昨年の12月末時点で日銀の国債保有残高は約516兆円。国の借金(国債残高)である約1,074兆円のうち、実に5割近くを日銀が保有している格好だ。
 インフレ率2%の達成を目指す黒田東彦総裁の下、日銀はひたすら国債の買い入れを続けてきたが、昨今の指し値オペで、その金額は更に膨らんだ可能性が高い。
 こうした現状のなか、一部識者からは、『日銀は政府の子会社のような組織だから、日銀が保有する国債の分の金額は国の借金から除外できる』という意見が聞かれる。
 日銀が国債を購入した分だけ、国の借金が減る──。そんな旨い話がありのだろうか。
 結論から言えば、これは見当違いだ。以下、単純な例で説明しよう。
 まず、議論を単純化するため、海外の投資家などは国債を引き受けず、国内だけで国債を消化すると仮定する。このケースでは、日銀が『買いオペ』で市場から国債を買い取る場合、売り手は国債保有している民間銀行などの金融機関となる。
 では、民間銀行は何を原資に国債を購入したのか。それは当然、国民が銀行に預けた預金だ。
 『誰かの負債は誰かの資産』であり、A氏がB氏に100万円を貸せば、B氏はA氏に対する100万円の『金銭債務』、A氏にはB氏に対する100万円の『金銭債権』が発生する。これと同様、政府が発行した国債の債権は、預金を通じて間接的に国民が保有している。
 もし日銀が国債を500兆円購入することで、政府の借金のうち500兆円が減少というなら、我々が政府に対して間接的に有していた約1,000兆円の債権のうち、500兆円分の債権も消滅することになるのか。
 『誰かの負債は誰かの資産』という原則がある以上、そんなことはあり得ない。
 消滅する可能性があるとすれば、それは国が500兆円分の課税を行うか、あるいは債権放棄を迫るかの何れかだが、極めて非現実的であることは明らかだろう。
 同時に『金利の支払いがない(か、あるいは極めて少ない)から借金を重ねても問題はない』という理屈も間違っている。
 我々庶民が『金利がほぼゼロだから』といって、分不相応な住宅ローンを借りれば年収の範囲で返済できずに債務不履行に陥るのは自明の理であり、国の場合も同じだ。
 このように身の丈レベルで考えれば当然の『常識』が、国家レベルの財政の話になると置き去りにされていく。なんともおかしな話である」
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 日本の経済・金融・経営などのアナリストやジャーナリストなどの専門家達が、現状を分析し、実態を説明し、将来を予想し、こうした方が良いと推奨した事は、数年から十数年後には破綻している事が多く、極わずかな件数だけが残っている。
 特に、彼らの話を信じて決断し行動して失敗した話はバブル崩壊後の日本では数限りない。
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