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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
現代日本のグラック企業にとって、極一部の管理職以外の会社役員から一般社員までの従業員は使い捨てである。
現代日本では、忠臣蔵は通用しないし、流行らない。
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2022年7月19日05:00 MicrosoftNews 現代ビジネス「「日本の部長の年収はタイの部長より低い」という現実 日本の賃金水準がここまで悲惨になったワケ
値上げラッシュが勢い付く中で、われわれの生活への不安を抑えるためには、賃上げが欠かせない。
ところが、経済協力開発機構(OECD)によると、日本の2021年の平均賃金はドル換算で4万ドル強に過ぎない。これは加盟36カ国のうちデータが集計できている34か国の中で24位という低い水準だ。主要7カ国(G7)では最下位。韓国の4.5万ドル弱にも遅れをとっている。
© 現代ビジネス photo by gettyimages
振り返ると、1991年。日本の実質賃金はフランスと英国を上回り、G7の中でまだ5位に付けていた。韓国の1.6倍近くを誇っていた。だが、1995年にフランスに、そして1999年に英国に抜かれた。以後、G7では「最下位」が日本の指定席だ。さらに2013年には韓国にも抜かれてしまった。
なぜ、日本は「世界から取り残され、賃金が伸びない国」になってしまったのだろうか。今週は、その原因と処方箋を考えてみたい。
広い意味で、日本で名目賃金や実質賃金が上がらない理由としては、以下の6つが言われてきた。
第一は、かつて日本的経営の核のひとつとされた「終身雇用」制度だ。「終身雇用」は、解雇権の乱用を抑える最高裁判決などがあって1975年頃に確立したとされるが、単に従業員の安定的な雇用を保障したものではない。
むしろ、「賃金の上昇を抑えてでも、安定的な雇用を守る」という考え方が根強いものだった。このことは、日本にもともと賃金が上がりにくい風土があったことを意味している。
逆に言えば、賃金が上がらないことへの不満があっても、そのことを口にせず、労働者が黙々と同じ会社に長く勤めることが美徳とされがちだった。この風土は、「終身雇用」制度が崩壊した後も、日本の労働市場に色濃く残っている。
内部留保を優先する企業体質
第二は、1990年に株式市場から始まったバブル崩壊によって、1990年代後半にかけて不良債権問題が深刻化した銀行が、企業に行っていた融資の強引な回収、つまり“貸し剥がし”に走ったことである。
そのため、企業は稼ぎを賃金に回さず、内部留保、すなわちお金を企業内に溜め込むことを優先する体質に陥った。後述する「労働分配率」が低い国になったのだ。
第三は、そういう企業の賃上げ嫌いを許容する労働法制の見直しがあったことだ。端緒は小泉純一郎政権時代に行われた「労働者派遣法の改正」だ。これにより、非正規雇用が解禁され、拡大していく道が開かれた。
最初は賃金の低い若年層や女性の非正規社員の割合が増え、次いで定年を迎えた団塊世代の正社員が非正規に転換するケースも増え、賃金そのものが低下するケースが拡大した。
© 現代ビジネス
ある種の「既得権」だった正規雇用の安定や賃金にも影響を及ぼすようになっている。以上の3つが主に、名目賃金が上がらなかった、もしくはあがりにくかった原因である。
30年続いたデフレ経済
第四の要因は、少子高齢化・人口減少に伴う現役世代の減少だ。社会保障費負担は、名目賃金が雀の涙ほど伸びたとしても、社会保障費の負担増加によって食い潰されて実質的な賃金水準を押し下げる元凶となった。
第五は、この30年来、脱却できなかった「デフレ経済」である。モノの値段が下がり売り上げが伸び悩む中で、企業は、人件費を含むコストを抑制する経営を貫いてきた。少し考えればわかることだが、賃金が伸びなければ、消費者は消費を手控えるので、物が売れない、値上がりしない「デフレ経済」は深刻化、一段と賃金が伸びない悪循環を招いてきた。
第六としては、足もとで顕著な輸入物価の上昇である。新型コロナウイルス感染症の危機から立ち直り始めた米国などを中心に需要が回復する中で、ロシア軍によるウクライナ侵攻が起きて、穀物や化石燃料の国際市況が高騰。
折からの円安も重なり、交易条件が悪化して輸入物価が高騰した。日本国内でも広範な値上げラッシュを誘発して、近年ようやく実現しかけた賃金のアップでは追いつかず、庶民の生活を圧迫しているのである。
では、どうしたら良いのだろうか。
急場しのぎとしては、無理を承知で残業して労働時間を増やして収入を増やそうと考える人がいるかもしれない。しかし、全体の賃金を押し上げるためには現実的とは言えないし、そもそも多くの労働者が歓迎する選択肢ではないだろう。
「労働生産性」がカギ
結局のところ、対策としては、時給、もしくは単位時間当たりの賃金を上げることに尽きるはずである。
その方策としては、「労働分配率」と「労働生産性」の引き上げを検討する余地がありそうだ。
が、このうちの「労働分配率」の引き上げは、前述のように”貸し剥がし“が低下の原因になったように、時々の経済状況と経営者マインドに大きく左右される問題である。岸田内閣は、賃上げした企業を税制優遇することで企業に賃上げをさせようとしているが、実現は容易ではない。
というのは、現下の状況は、米国の中央銀行である連邦準備理事会(FRB)がインフレ退治のための利上げを加速する中で、来年にかけては米国や日本の景気悪化が必至とみられており、決して先行きの見通しが明るいとは言えないからだ。
持続的な賃上げを図る意味でも、最後に残る選択肢は、労働生産性の上昇を促すことになる。
労働生産性は、需要に依存して決まる側面もあるが、単に需要の拡大を待つのは神頼みのようなものである。
企業が自助努力で労働生産性を上げるためには、設備の拡大と高度化による資本装備率上昇と、ビジネスモデルの高付加価値化がカギとなる。
つまり、企業による積極的な設備投資やビジネスモデルの開拓で新たな需要を掘り起こすことによって、労働生産性の引き上げを実現できるのである。経営者の腕が試される部分と言えるだろう。労働組合もそうした方向で経営にプレッシャーをかけることが期待される。
ただ、従業員が自身の賃金を上げるためには、一人一人の努力が必要だ。企業が求める人材は2極化している。結果として高収入を得られる人材と、低賃金しか得られない人材に分かれていることを見逃してはならない。
その意味で、興味深いのは、経済産業省が今年5月に公表した「未来人材ビジョン」という報告書だ。ヒントになることが書かれているので、いくつか紹介しておこう。
まず、求められる人材だ。これまでは「注意深くてミスがないこと」「責任感やまじめさ」が重視されたが、これからは「問題発見力」「的確な予測」「革新性」が重要だ。
一人一人が自分を磨く必要
エンジニアのような職種の需要が増える一方、事務・販売従事者といった職種に対する需要は減る。
さらに、AIやロボットで代わりがきく職種では雇用が減少するが、そうでない職種や、新たな技術開発を担う職種では雇用が増加する、といったことが書かれている。
要するに、会社任せではなく、一人一人が自分を磨かないとダメ。磨かない人は賃金があがらないどころか下がるし、下手をすれば、仕事そのものがなくなることになりかねない、ということだろう。
仮に企業がIT環境を整備すれば、ボールは従業員の手に移る。従業員は与えられた環境に積極的に適応して経費や事務報告にかかる時間を減らす一方で、もっと稼げる営業に特化するとか、自身の価値やスキルを高めるために社外に学びや研鑽の場を求めることが求められる。
応えられなければ、より高い賃金を得るどころか、雇用を守ることさえ覚束なくなりかねない。逆に、そういう環境を整備しない企業には、従業員として見切りをつけることも必要かもしれない。
日本企業は昇進が遅い
海外では一歩早くそういったことが当たり前になっている。生涯を通じて、自身を高め続けなくてはならない厳しい時代なのである。
© 現代ビジネス 企業年金は過渡期を迎えており、正しい知識が求められている Photo/gettyimages
その海外との違いにも触れておこう。「未来人材ビジョン」には、管理職への昇進と結果としての年収の差についてこんな風に書かれている。
「日本は(中国、インド、タイ、アメリカなどと比べて)課長・部長への昇進が遅い」「日本企業の部長の年収は、タイより低い」と。
そこに記されたグラフによると、日本の部長の年収が1600万円前後なのに対して、タイが2000万円、アメリカやシンガポールが3000万円弱であることが読み取れるのだ。
そして、すでに「日本は、高度外国人(つまり優秀な人材)から選ばれない国になっている」としている。その証左として、OECDのデータをもとに「高度な人材を誘致・維持する魅力度ランキング」という指標を算出。
トップ10はオーストラリア、スイス、スウェーデン、ニュージーランド、カナダ、アイルランド、アメリカ、オランダ、スロベニア、ノルウェーの順で、日本は遠く及ばず、25位に甘んじているという。
一方、「未来人材ビジョン」は、「4割以上の企業は、『技術革新により必要となるスキル』と、『現在の従業員のスキル』との間のギャップを認識している」と指摘。「海外留学する日本人が減っている」ことや、「海外で働きたいと思わない新入社員が増えている」こともマイナスで、企業や従業員の競争力が落ちたとしたうえで、結果として「日本の国際競争力は、この30年で1位から31位に落ちた」と危機感を訴えている。
まとめると、労働生産性の向上には、企業が設備や人に投資することはもちろん、個人も学ぶだけでなく所属企業の収益拡大に寄与することが重要だ。一人でも多くの人の奮闘に期待したい。」
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