🌁17〉─1─日本人ドライバーの高齢化と人材不足で運べない時代。北海道の物流危機。~No.62No.63No.64 

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 全ての元凶は人口激減である。
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 2022年9月3日10:00 産経新聞「北海道を襲う物流危機 「運べない時代」の到来か
 北海道と本州を結ぶ貨物鉄道ルート
 「経済の血液」ともいわれる物流に、さまざまな課題が顕在化している。特に年間約5700万トン(令和元年)に上る貨物輸送がある北海道-本州間で「運びたくても運べない時代が来る」と北海商科大学大学院(札幌市)の相浦宣徳(あいうらのぶのり)教授は警鐘を鳴らす。何が起きようとしているのか。
 ドライバー不足深刻
 北海道-本州間の貨物輸送は、9割が貨物自動車専用のRORO船やフェリーによる海上輸送、1割が貨物鉄道だ。いずれもトラックによる陸送部分が加わり、3つの物流モードで成り立っている。ところがそれを支えるトラックドライバーの不足が近年深刻化している。
 厚生労働省労働経済動向調査によると、3年11月時点の全産業平均の欠員率は2・3%だが、トラックドライバーを含む運輸業・郵便業は3・5%。平均年齢も2年時点で全産業平均は43・2歳だが、大型トラックは49・4歳、中小型トラックは46・4歳と高い。労働時間も全産業平均の2100時間と比べて2484~2532時間と長く、労働環境も人材不足の一因になっている。鉄道貨物協会の将来予測では12(2030)年に約27万8千人のドライバー不足が発生すると見通す。
 逆風はそれだけにとどまらない。人材不足をカバーしてきた時間外労働は6年4月から「自動車運転業務における時間外労働の上限規制」が適用され、年間で最大960時間に制限される。ドライバーの数が同じならば、トラック輸送時間そのものが減る可能性がある。
 手荷役作業を伴う農産品などではすでに、一部地域で輸送の受託制限が始まっているといい、人材不足をカバーする自動運転の技術開発や労働条件の改善などが急務だ。
 道産農産物の出荷が本格化している札幌貨物ターミナル駅。北海道と本州間の物流を支える重要な役割を担っている=1日、札幌市白石区(坂本隆浩撮影)
 貨物鉄道2つの問題
 北海道と本州を結ぶ貨物鉄道も、青函トンネルの「新幹線と在来列車の共用走行」と「並行在来線の存廃」という2つの問題を抱える。
 在来線と青函トンネルを共用している北海道新幹線は現在、運行上の安全確保のためトンネル内の最高速度を時速160キロに制限。年末年始など貨物列車の運行が少ない期間に限り時速210キロの高速走行を行っている。
 12年度末には札幌延伸工事が完了する見通しで、その後、旅客ニーズが高まり貨物列車の運行が抑制されるのではないかと危惧する声は少なくない。貨物列車の運行本数が減れば「物流バランスが不安定になる恐れもある」と相浦教授はいう。
 一方、並行在来線北海道新幹線幌延伸に伴い、小樽―函館(新函館北斗駅)間がJR北海道から経営が分離される。このうち小樽―長万部(おしゃまんべ)間は廃線とバス転換が決定。JR貨物の営業線区でもある長万部―函館間は、沿線15市町などでつくる「北海道新幹線並行在来線対策協議会」が旅客輸送のあり方について議論しているが、その方向性はまだ見えていない状況だ。
 相浦教授は北海道の物流を考える場合、輸送バランスの均衡を保つためには鉄道貨物の存在が特に重要とし「もしも長万部―函館間が廃止となれば地域経済は大きな打撃を受ける。その影響は全国各地にも及ぶだろう」と指摘する。
 「北海道の物流は危機的な状況にある」と話す相浦教授=8日、札幌市豊平区の北海商科大学(坂本隆浩撮影)
 海上物流にも高齢化の波
 海上輸送もドライバーと同じように高齢化など人材不足の問題を抱えている。
 国土交通省の統計データによると、昭和49年に7万人超だった船員数は令和元年に約2万8千人まで減少。年齢構成も50歳以上が全体の半数を占める。近年は自動運航システムの開発や荷役の省力化など新技術を取り入れる動きも進んでいるが、成果が出るには時間を要する。
 ドライバー不足の影響は港周辺でも表れている。相浦教授によると、本州の主要港では港からのトラック輸送を断られるケースがすでに出始めているという。時間外労働規制が始まる6年以降に貨物の受託制限が深刻化したり、運賃が上昇したりする事態は避けられない見通しだ。
 物流不安が招く経済の停滞は予想以上だが「業界だけでは解決できない」と相浦教授。「北海道全体で考え、物流ネットワークの変化が及ぼす全国への悪影響を国などに訴える必要がある。残された時間は非常に少ない」と話している。(坂本隆浩)」
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