¥17〉─7─2022年、国内企業の99.7%を占める中小企業。毎年4万件以上倒産に追い込まれる。~No.86 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2022年11月5日 YAHOO!JAPANニュース 幻冬舎ゴールドオンライン「国内企業の99.7%を占める中小企業。毎年4万件以上倒産に追い込まれる、深いワケ
 日本の中小企業の倒産件数は2016年以降、毎年4万件を超えています。中小企業が時代の変化に適応し存続していくポイントは、大企業の下請けから脱却し、主体的に地域創生に介入していくことです。少子高齢化に人口流出…。地方が抱える課題にこそビジネスチャンスが埋もれていると指摘する、「宮崎中小企業大賞」受賞した島原俊英氏が、著書でポイントを解説します。
 日本企業の実に99.7%が中小企業
 中小企業庁の発表によると日本の中小企業数は約358万社にのぼり、総企業数の99.7%を占めています。また従業員数は約3,220万人でこれは日本の雇用全体の約7割を担っていることになります。
 この数字を見ても中小企業が日本および地域の産業と社会を支える極めて重要な存在であることは改めていうまでもありませんが、その多くが苦境に立たされる状況になって久しく、現在も2年以上に及ぶ新型コロナウイルスパンデミックによる消費減退、原油や原材料価格の高騰によるコストアップ、部材調達難に起因する生産活動の停滞、深刻な人手不足、後継者の不在といった、さまざまな要因が重なり厳しい経営を余儀なくされています。
 企業倒産件数としては2008年のリーマンショック後をピークに減少傾向にあるものの、休廃業・解散を選ぶ中小企業は2016年以降毎年4万件を超え、2021年にはコロナ禍の影響も手伝って4万4,377件と2000年の調査開始以降3番目に高い数字が報告されています(中小企業庁中小企業白書・小規模企業白書(2022年版)」)。
 なぜ日本の産業を支えている屋台骨が存続に苦しんでいるのか。その理由は手本となる欧米企業にキャッチアップすることで成長を遂げてきた経済構造から転換できていないこと、そして日本の中小企業の多くが下請けだということです。
 大企業はバブル後、下請けを国内から海外にスイッチ
 日本の中小企業のうち下請けの割合は全体の47.9%となっており、実に半数近くが下請けです(経済産業省「商工業実態基本調査」)。地域別に下請け企業の割合を見ると最も多いのは岐阜県の70.9%で、次いで福井県の63.1%、長野県と山梨県の59.0%、石川県の58.7%となっており、私の会社がある宮崎県は30%ほどとなっています。
 日本の製造業では親企業を頂点として一次、二次、さらに三次と下請け企業が連なるピラミッド型の下請け分業構造が一般的で、親企業である大手企業は下請け企業の専門性の高さや技術力、小回りの利く生産体制を活用して研究開発投資や設備投資負担を抑えています。そればかりか大手企業は下請け企業をもつことで生産のピークに合わせた大きな労働力を抱えずに済むというメリットも享受してきました。
 また下請け側の企業も親企業の営業力や企画開発力を武器にして営業活動を行ったり、自社で高度な研究開発を行わなくても常に安定した受注を確保できるというメリットを享受してきたのです。
 つまりもちつもたれつという関係で相互に補完し合いながらそれぞれが成長の道を歩んできたということであり、このピラミッド型の分業構造こそが高度経済成長期の世界市場において日本の製造業を上位へ押し上げたといえます。
 戦後間もなくの経済復興期から1980年代にかけて日本は内需を中心に市場の拡大が続き、大量生産・大量消費の経済を好調に回してGDP世界第2位へと上り詰めました。それを縁の下から支えたのが下請け企業であり、系列化されたピラミッド型の産業構造で大いに日本全体が潤いました。
 しかしバブル経済崩壊後の国際環境の劇的な変化のもとで、日本の成長を支えてきた下請け分業構造も大きな変化に見舞われました。親企業はグローバルな市場環境のもとで競争力を高めるために、少しでも安く雇用できる労働者を求めて海外の労働市場を視野に入れ、国際的な分業体制の構築に乗り出しました。
 そして従来の下請け企業との固定した分業体制を見直し、より低コストで生産できて利益が確保できるように海外の労働力を求めて舵を切り出したのです。
 親企業からの要求には応じざるを得ない構造に問題が
 それまで40年近く下請け分業構造にどっぷりと浸かっていた中小企業は、親企業の方針転換に対応することができませんでした。従来の親企業と下請け企業の固定された関係の崩壊は見方を変えれば新たな取引先開拓のチャンスともいえるのですが、海外との競争に突然巻き込まれ、親企業から値下げを要求されれば応じるしかできない受け身体質の下請け企業には何もできません。
 そもそも下請け企業には価格の決定権がありません。親企業が受注してきた時点ですでにこの事業でどれだけの利益をどこから確保するのかが決められているため、口を出せない構造なのです。しかもたとえ安過ぎると思っても下請けから離脱する勇気もほかの市場で戦うための機能もありませんでした。
 研究開発や営業・マーケティング能力が乏しい中小企業
 下請けに長年安住していても成長できてきたことから、中小企業は受け身体質に染まってしまいました。より安い価格で同じ品質のものを供給する下請け企業が現れたら、親企業から言われるがまま受注価格を値下げせざるを得ません。
 また親企業からの受注をそつなくこなすだけの下請け企業には研究開発や営業・マーケティングの力を発揮できる人材は育っておらず、自分の目でマーケットを見つめて何が求められているのかを考え、そのニーズをつかんで自らの技術力を活かした製品やサービスを開発するという企業として当たり前のことができないのです。
 ピラミッド型の下請け構造のなかに組み込まれ、親会社の顔だけを見ていた中小企業は縦系列のなかに孤立したまま存在しています。結局、下請け企業はひたすら受け身で親企業からの注文を待つことしかできず、他力本願に待つほかに打つ手はないのです。
 島原 俊英
 株式会社MFE HIMUKA 代表取締役社長
 一般社団法人 日向地区中小企業支援機構 理事長
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