⛲48〉─1─賃金が安い日本の老後に期待していた団塊の世代の残酷すぎる現実。~No.269No.270No.271 

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 2022年12月 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「年収100〜200万円で長い老後を生きることはできるか…賃金が安い日本の「厳しすぎる現実」
 現代新書編集部 の意見
 〈年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%、80代就業者の約9割が自宅近くで働く――。〉
 9万部突破のベストセラー『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。
 年収は200万円台、持ち家が正解、月10万円稼げばOK…意外と知らない「定年後の真実」
 © 現代ビジネス
 「管理職」に就く人はほぼいない
 定年前のキャリアを見ると、当然ながら管理職に就く人も出てくる。
 〈部長職の構成比率は、50代前半で26.6%、50代後半で26.9%と50代でピークを打った後は急速に減少し、60代前半には8.8%、60代後半には2.7%までその数を減らす。
 (中略)
 課長職の年齢構成をみると、60代前半でその職に就く人の比率は2.9%、60代後半は0.5%となる。50代後半以降、多くの人は役職定年や定年を経験して役職をはく奪される。〉(『ほんとうの定年後』より)
 60代で管理職という人はほとんどいないという現実がある。
 また、定年後には、現場仕事やフリーランスで働く人が多いため、管理するだけの能力は役立たなくなる。
 年収300万円以下が大半になる
 当たり前だが、収入は大きく減少する。
 〈60代前半では平均収入は357万円で、上位25%所得は450万円、収入の中央値は280万円となる。
 60代後半に目を移すと平均額は256万円まで下がり、上位25%所得は300万円、中央値が180万円まで下がる。
 定年後の就業者の収入の実態を探っていくと、300万円以下の収入の人が大半であることがわかる。〉(『ほんとうの定年後』より)
 「小さな仕事」が必要不可欠
 このように、定年後の仕事やお金については、データからおおよその実態が見えてくる。
 〈データの分析によって、平均的な家計において定年後に本当に稼ぐべき額は月10万円程度であることだったり、キャリアの中で人は仕事に対する意義を見失うタイミングがあり、多くの人は50代でその転機を経験することなどがわかる。〉(『ほんとうの定年後』より)
 〈定年後の仕事の実態を丹念に調べていくと浮かび上がってくるのは、定年後の「小さな仕事」を通じて豊かな暮らしを手に入れている人々の姿である。
 さらに明らかになるのは、このような定年後の「小さな仕事」が必要不可欠なものとして人々の日々の暮らしの中に埋め込まれており、かつそれが実際に日本経済を支えているという事実である。〉(『ほんとうの定年後』より)
 定年が迫り、役職定年を迎える頃、これからの職業人生において何を目標にしていけばいいのか迷う経験をする人は少なくない。
 多くの人は、50〜60代で仕事自体や仕事に対する価値観が大きく変わる。
 そうしたことを理解したうえで、長い老後に備えておきたい。
 年収は200万円台、持ち家が正解、月10万円稼げばOK…意外と知らない「定年後の真実」
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 2023年1月3日 YAHOO!JAPANニュース 幻冬舎ゴールドオンライン「「生活保護受給者」の半数は65歳以上の高齢者…老後に期待していた「団塊の世代」の残酷すぎる現実【FPが解説】
 「老後は安泰」といわれていた団塊の世代が定年を迎えた現在、蓋を開けてみると「生活保護受給者の半数は65歳以上の高齢世帯」という非常に残酷な現実が待っていました。現役時代に懸命に働き、日本経済の発展に大きく貢献した彼らの現状をみていきましょう。
 年金月20万円でも、生活は苦しい
 1947年~1949年生まれの人は「団塊の世代」といわれます。第一次ベビーブームの世代で、戦後、一生懸命働いて日本を大きく成長させてくれた世代でもあります。半面、日本の経済を大きく成長させ、収入がどんどん増える時代を生きてきた世代の人も現在は、70歳を超えています。
 公的年金で将来は安泰と思われて、貯蓄もほとんどしていないという人もいたのかもしれません。現在の生活保護世帯のうち65歳以上の高齢世帯は、生活保護受給者の半数を超えている状態です。厚生労働省が令和4年6月3日に公表した「生活保護制度の現状について」では、令和4年3月時点の生活保護受給世帯数のうち夫婦とも65歳以上の高齢世帯は91.3万世帯、生活保護受給世帯全体の56%と半数以上が65歳以上の高齢世帯となっています。長寿化となっても生活が苦しいのでは辛いものです。
 日本では、以降もお金に関する教育はほとんど行われなかったことで、現代の若い世代もお金に関して正しく理解している人は少ないのかもしれません。2021年の総務省の家計調査(家計収支編)では、65歳以上世帯の収入は約20万円、支出は約22万円となっています。2019年に話題になった老後2,000万円不足するという話題と比べると、少し不足分は減少していますが、これは、新型コロナウイルス影響で支出が減っていることも考えられ、今後、経済が正常化したときには、再び支出が増える可能性もあるのではないでしょうか。
 最近では、円安や資源高により物価も上昇し、支出も増えています。2022年10月の消費者物価指数は2020年を100として、103.7となっています。2011年と比べても約9.7%の物価が上昇しています。
 「物価スライド」から「マクロ経済スライド」となった年金制度
 生命保険文化センターの調べでは、老後にゆとりある生活を送るのにいくらくらいの費用が必要かという調査によると、平均で36.1万円という結果となっています。現役世代のときに、収入が多かった人は生活水準が高い傾向があり、支出の多い生活を続けていると、年金生活になってから生活水準を落とそうと思っても、急に生活水準を落とすことは難しいです。
 さらに60代のうちは、貯蓄を取り崩したり雇用延長やアルバイトをしながら生活するという考えの人もいるでしょうが、年齢を重ねると体力の衰えもあり仕事を辞めてしまおうという人も多く、やはり老後に厳しい生活が待っている人は非常に多いと予想されます。
 年金だけでは生活が厳しくなってきている理由には、物価の上昇だけではなく、現在の年金制度にもあります。日本の年金制度は、2005年4月までは「物価スライド」が採用されていました。「物価スライド」は、物価の変動に連動して年金額が調整されるというものです。
 しかし、2004年の年金改正により、現在採用されている「マクロ経済スライド」となっています。100年安心の年金制度として長期的な存続を目的に作成され、このなかにこの「マクロ経済スライド」も含まています。「マクロ経済スライド」は、日本人の長寿化や年金加入者の変動を考えて、調整を行うという制度で、物価の変動や賃金の変動に連動して年金額の調整を行ったあと、長寿化や年金加入者数の調整を行うスライド調整率をかけて、年金額が決定されることになります。この仕組みによって、物価が上昇しても年金額が物価と同じように増えずに、増える額が抑えられることになりました。
 老後まで時間がある人はiDeCo、ない人は年金の繰り下げ受給を検討
これから老後に対して準備する時間がまだたくさんある現役世代の場合、政府が推進している個人型確定拠出年金(以下iDeCo)の活用などが老後の備えの1つとして考えられます。
 iDeCoは今年、制度改正があり、これまでの70歳までの受け取りとなっていましたが、75歳まで期間が延長されました。掛け金が所得控除の対象となったり、運用期間中の運用益が非課税であったり、受け取り時には、退職所得控除や公的年金控除の対象となるなど、メリットが多くあります。会社員の人などで、退職金や企業年金がある場合には、受け取り方に注意が必要となりますので、どういった方法で受け取るのか前もって考えておきましょう。
 年金生活が目前となってしまい、iDeCoのように長期の時間が必要な制度をもう利用できない場合は、公的年金の繰り下げ受給という方法があります。公的年金の繰り下げ受給もこの度、制度が変更され、75歳まで繰り下げることが可能となりました。繰り下げ受給は1ヵ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増えることになります。75歳まで最大120ヵ月繰り下げた場合は、84%増やすことが可能となりました。
 2021年の家計調査(家計収支編)では、年金受給額が約22万円となっています。仮に7年6ヵ月繰り下げて年金を受け取ると、約35.9万円となります。ただし健康保険料などを社会保険料を支払うので、若干少ない額になりますが、先述したゆとりある老後生活費に近い金額になります。
 まとめ
 昔は年金で悠々老後生活が送られると考える人も多かった時代がありました。それは公的年金も高い水準であったり、企業年金確定給付年金であったりした時代でした。しかし、現在では公的年金の水準は物価に比べ低くなっていることで、年金だけでは暮らすことが難しくなってきています。
 さらに年金制度のマクロ経済スライドにより、今後も世の中の物価に比べ年金の受給水準は減少してしまいます。まだ老後といわれるまでに時間のある人は、早いうちから老後資金の準備を始める必要があり、もう準備する時間があまりないという人は、公的年金の繰り下げ受給も考えておく必要があるのかもしれません。
 これまで繰り下げ受給は70歳までとなっていましたが、制度の改正により75歳まで繰り下げが可能となりました。年金額も最大10年間繰り下げた場合には、84%増やすことができます。75歳から年金を受給したときに不安になるのが、いつまで年金を受け取れるのだろうという寿命についても考えなくてはいけなくなります。
 繰り下げ受給を考えるときには健康状態も考えながら、生活費についても考えていくことが大切です。老後の生活は、体力の衰えもありますので、やはり早いうちから計画的に準備しておくことをお勧めします。
 〈参照〉
・ 資料厚生労働省:「生活保護制度の現状について」
総務省:令和3年度家計調査(家計収支編)
総務省:消費者物価指数(CPI)
 吉野裕一
 FP事務所MoneySmith
 代表
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