🌁53〉─6─「安いニッポン」が外国人労働者から見捨てられ、人手不足が深刻化する。~No.270 

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 2023年5月7日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「「安いニッポン」が外国人労働者から見捨てられる日…人手不足が外国人の力でまったく解決しないワケ
 河合 雅司
 国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になっている。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。
 ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
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 大きく足りない外国人労働者
 勤労世代の減少対策では、「外国人労働者を活用すればいいのでは」との意見も多い。経済団体の声に押されて、政府も受け入れ拡大に向けて制度改革を進めてきた。
 だが、経済界が期待するほど増えていないのが現実だ。
 国際協力機構(JICA)の研究機関「緒方貞子平和開発研究所」と日本政策投資銀行グループの価値総合研究所が、経済成長のために今後必要となる外国人労働者数を推計した報告書をまとめた。
 設備投資の見通しや厚労省の年金財政検証を基に今後の経済成長率を1.24%と仮定し、2040年のGDPが2015年比36%増の704兆円に達するという前提だ。
 また、日本の労働力は労働政策研究・研修機構の推計から、女性や高齢者などの労働参加が進んだとしても2040年には2015年より778万人も少ない5853万人になるとし、こうした予測を踏まえて目標となるGDPを実現するのに必要となる外国人労働者数を計算したのだ。
 結論としては、設備投資によって業務の効率化が進んだとしても、2030年時点で419万人、2040年には674万人の外国人が必要となるが、実際には2030年の外国人労働者は356万人、2040年は632万人しか来日せず、それぞれ63万人と42万人不足するとしている。
 厚労省によれば2021年10月末現在の外国人労働者は173万人弱でしかない。このうち日本で技能や技術を身に付けることを目的とした「技能実習」が約35万2000人、留学生によるアルバイトなどの「資格外活動」が約33万5000人を占めている。いずれも数年で帰国することを前提とした働き方だ。そもそも7年後の2030年の不足数を63万人としていることに現実味がない。
 外国人労働者は日本をどう見ているか
外国人労働者が日本を選ばなくなってきているのだ。その背景には日本経済の長期低迷がある。
 大きな要因の1つは、日本以外にも外国人労働者を必要とする国が増えていることだ。中国や韓国などでも少子高齢化が進んできている。
 JICAなどの推計には、こうした国々における外国人労働者の需要増の影響が加味されておらず、日本より経済成長率が高い国での需要が増えれば、2040年時点の不足人数は42万人より大きな数字となるだろう。
 要因の2つ目は、外国人労働者が、長く賃金が抑制されてきた日本に見切りをつけつつある点だ。理由としてはこちらのほうが深刻である。
 JICAなどの報告書は、日本への送り出し国について、タイやインドネシア、中国などは減少していくと予想している。一方、ベトナムは2030年まで、ミャンマーカンボジアは2030年以降も大きく増加すると予測している。
 新興国の場合、経済が一定の規模に成長するまでは海外に働きに出る人が多いためだが、日本に労働者を送り出して来た国の経済成長は目覚ましい。2030年以降も来日者が増えると予想されている国々の経済成長が予測より早く、母国での賃金水準も上昇したならば国内にとどまる人はもっと増える。
 外国で働くにしても、少しでも高い給与を得られる国を選ぶのが自然の流れだ。ベトナムなどからの労働者が増えるとの見通しは、日本の思惑通りに進むとは限らない。
 経産省も同様の懸念をしている。同省の資料によれば、2020年末時点の技能実習生の出身国は、ベトナム(55.2%)、インドネシア(9.1%)、フィリピン(8.4%)で約7割を占める。これら3ヵ国の1人あたりのGDPは現在約3300~3900ドルで日本の10分の1ほどだが、日本との差が縮むにつれて技能実習生として来日する人は減少するとの分析である。
 賃金が伸び悩む日本は魅力を失うと見ているのである。「安い日本」は国民生活を疲弊させるだけでなく、外国人労働者をめぐる争奪戦の敗北としてもツケが回ってくるということである。
 これに対し、日本政府は外国人労働者が長期間働ける在留資格や職種を拡大すべく検討しているが、「日本離れ」の原因は滞在期間の長さにあるわけではない。こうした対策はあまり意味をなさないだろう。
 外国人労働者の長期滞在については「実質的な移民」につながるとの反対意見が多く、世論は二分している。
 仮に、大規模に受け入れられる状況になっても、社会の混乱を避けるべく時間をかけて増やす必要がある。だが、そうしている間も日本の勤労世代の激減は続くので、人手不足対策としてはペースが合わず、とても間に合わない。
 外国人労働者の受け入れ拡大どころか、日本人の安い人件費と丁寧な仕事ぶりを求めて中国企業が日本国内に工場を建設し、日本人を雇用する動きも見られるようになった。定年退職した高齢者や主婦パートのよい働き口になっているのだという。
 外国人労働者の来日に過度に期待し、人手として当て込むことはかなり危険だ。もはや勤労世代が減ることを前提として企業活動を機能させていく術を考えなければならないのである。勤労世代の減少規模を考えると、従業員1人あたりの労働生産性の向上を図るほうが賢明である。
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