🌅5〉─5─京都の伝統行事ですら後継者不足で消滅の危機。地元愛だけでは救えない。〜No.37No.38 

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 2026年7月14日 YAHOO!JAPANニュース 京都新聞「あの有名な祭りも危ない 京都の伝統行事が後継者不足で窮地、クラファン実施
 疾走する馬の上で妙技を披露した駈馬神事(京都市伏見区・藤森神社)
 京都に伝わる伝統行事・芸能を後継者不足などによる危機から守ろうと、京都市文化観光資源保護財団がクラウドファンディング(CF)で支援を募っている。
 【動画】鞍馬の火祭はこんな祭り
 公益財団法人である同財団は、葵祭、祇園祭、時代祭の三大祭りなどにかかる費用や、地域の伝統行事や伝統芸能を受け継いでいる各種団体に助成を行っている。
 長い歴史を誇る京都では六斎念仏ややすらい祭、松上げ、日野裸踊など数多くの行事・芸能が季節ごとに行われている。国や府、市が指定・登録した無形民俗文化財は60を超え、80を超える団体が携わっているが、少子高齢化や過疎化、材料の確保難から次の世代への継承が年々、難しくなっている。
 こうした現状を広く知ってもらおうと、一昨年と昨年にCFを実施し、目標を上回る支援を得て、道具類の新調や講習会の開催を行う団体に助成した。継続的な支援が必要なため、3回目の実施を決めた。
■返礼品に「鞍馬火祭特別観覧」も
 目標は250万円。集まった資金は技術伝承のための講習会や衣装・道具の修理、新調、会員募集などに活用する。「藤森神社駈馬(かけうま)神事観覧」「鞍馬火祭特別観覧」といった体験や、祇園祭や八瀬赦免地踊(しゃめんちおどり)の関連品のセットなどを返礼として準備している。
 CFは、9月30日まで、京都新聞社が運営する「THE KYOTOクラウドファンディング」で受け付ける。
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7月13日 YAHOO!JAPANニュース「地域が衰退する本当の理由―地元愛だけでは地域は守れない
 地元が好きでも、地域は残らない
 「地元が好き」という若者は少なくない。私のゼミ生にも地元iに溢れる学生はいる。親の近くで暮らしたい。昔からの友人とつながっていたい。慣れた土地で働き、結婚し、子どもを育てたい。そう考える人は、都市にも地方にもいる。
 かつて「マイルドヤンキー」という言葉で語られた若者像も、この文脈で考えることができるだろう。遠くの都市で競争するより、地元の友人、家族、車で移動できる生活圏、行き慣れた店や祭りを大事にする。そうした地元志向は、決して珍しいものではない。むしろ、日本の各地には、地域に残りたい、近くの人間関係の中で暮らしたいという感覚が根強く存在している。
 しかし、地元が好きであることと、地域が残ることは同じではない。
 地元への愛着があっても、そこで働く仕事が見えなければ、若者は残れない。仕事があっても、技能を身につけ、将来を描ける道がなければ、地域に根を張ることは難しい。家業や地元企業があっても、継ぐ人がいなければ会社は消える。会社が消えれば、雇用だけでなく、技術も、取引先との信用も、地域の名前も失われる。
 問題は、若者に地元愛が足りないことではない。地元愛を、地域で生きる道へつなげる仕組みが弱いことである。
 地元に残ることが「人生の選択肢」になる時
 たとえば、高校卒業後に地元の工場へ就職した若者がいるとする。最初は何も分からない。しかし、先輩に教わりながら機械を扱い、製品の作り方を覚え、少しずつ技能を身につけていく。会社は古い設備を抱えているが、地域の金融機関が設備投資を支える。社長が高齢になれば、自治体や商工団体が後継者探しや事業の引き継ぎを手伝う。やがてその若者が会社を支える側に回り、地域の技術を全国へ売り出していく。
 こうした道が見えれば、地元に残ることは「都会に出なかったこと」ではなくなる。地元で学び、働き、腕を磨き、いずれ誰かから仕事を受け継ぐ。そこに人生の見通しが生まれる。
 逆に、この道が見えなければ、若者は地元を好きでも離れていく。学校で学んだことが地元の仕事につながらない。地元企業は人手不足に悩む。後継者が見つからず、黒字でも廃業する。地域ブランドはあっても、それを作る人がいなくなる。これでは、地元愛は地域経済を支える力になりにくい。
 「地元が好き」を仕事につなげられるか
 ここで大事なのは、地元志向を低く見ることではない。地元の友人関係を大切にする。親の近くで暮らす。慣れた生活圏の中で安心して暮らす。こうした感覚は、地域を支える重要な土台になり得る。
 問題は、その地元志向が、消費や交友関係の中だけで完結してしまうことである。地元で買い物をする。地元の仲間と遊ぶ。地元の祭りに参加する。それ自体は大切である。しかし、それだけでは地域経済は続かない。地域に必要なのは、地元が好きな人が、そこで働き、技能を身につけ、企業を支え、場合によっては事業を継ぎ、新しい商売に挑戦していく道である。
 いわば、地元愛を「暮らす理由」にとどめず、「働く理由」「継ぐ理由」「挑戦する理由」へ変えられるかどうかが問われている。
 イタリアの「鐘楼主義」が教えるもの
 イタリアには campanilismo という言葉がある。直訳すれば「鐘楼主義」である。町の中心にある教会の鐘楼を、自分たちの共同体の象徴とみなす感覚である。少しくだいて言えば、「自分たちの町への強い誇り」である。
 これは単なる郷土愛ではない。自分の町、自分たちの祭り、自分たちの料理、自分たちの言葉、自分たちの商売に誇りを持つ態度である。そこには「うちの町こそ本物だ」という隣町への対抗意識もある。
 日本にも似た感覚はある。祭り、同級生、親族、商店街、消防団、地元企業、地元の学校、車で動ける生活圏。こうしたものに支えられた帰属意識は、各地に残っている。
 違いは、その気持ちが仕事につながっているかどうかである。
 欧州のいくつかの地域では、地元への愛着が自然に仕事へつながっている。地元で学ぶ。地元企業で働く。技能を磨く。会社を継ぐ。地域の名前で商品を外へ売る。そうした道が、特別な例外ではなく、人生の選択肢として見えやすい。
 もちろん欧州がすべて理想的なわけではない。後継者不足もある。地域金融の再編もある。若者の都市流出もある。それでも、地元を大事にする気持ちが、働くこと、学ぶこと、継ぐこと、挑戦することへ結び付きやすい地域がある。
 日本で見えにくくなった「地元で生きる道」
 日本にも学校はある。地域企業もある。信用金庫も地方銀行もある。自治体も商工団体もある。足りないのは、それらが一人の若者の人生と結びつくことである。
 戦後の日本では、地方から都市へ出て、大学へ進み、大企業に就職することが、成功の標準とされてきた。それは日本経済の成長を支えた。しかし、その裏側で、地元企業で技能を積み上げ、家業や地場産業を継ぎ、地域で経営を担う道は見えにくくなった。
 家業は古いものではない。地域の仕事を次の世代へ渡す器である。事業承継は、社長の椅子を渡すだけではない。顧客との信頼、従業員の技能、仕入れ先との関係、地域で積み上げた評判を受け渡すことである。
 地域ブランドも、ロゴや観光ポスターだけでは育たない。誰が、どこで、どのように作り、どんな信用を積み重ねてきたのか。その履歴が価値になる。名前だけを残しても、それを支える仕事と人が残らなければ、ブランドは続かない。
 つまり、地域を残すとは、仕事を残すことである。仕事を残すとは、技能と信用と挑戦の場を次の世代へ渡すことである。
 地元への誇りは、外へ開く力になる
 地元への誇りは、外に閉じることではない。自分の足場を持ったうえで、外の市場と取引することである。自分の町、自分の企業、自分の技能、自分たちの風土に誇りを持つからこそ、外へ出ていける。
 自分たちの町を大事にする気持ちは、排他的な内輪意識に終わることもある。しかし、それが仕事や商売に結びつけば、地域に根ざした企業家精神になる。地元を大事にするからこそ、品質を守る。地元の名前を背負うからこそ、信用を積み重ねる。地元の技術に誇りがあるからこそ、外の市場へ挑戦する。
 日本の地元志向を軽く見るべきではない。そこには、家族と友人を大事にする感覚がある。遠くの抽象的な成功よりも、近くの具体的な生活を重んじる知恵がある。中央の言葉ではなく、生活圏の実感を大切にする態度がある。
 しかし、それだけでは地域は維持できない。地元志向を、消費と交友関係の文化にとどめるのか。それとも、学校で学び、地元企業で働き、技能を磨き、事業を継ぎ、地域の価値を外へ届ける経済の道に育てるのか。そこが分岐点である。
 若者は地元を嫌っているのではない
 日本に必要なのは、「若者よ、地元を愛せ」という精神論ではない。地元に残ることが、職業的にも、所得的にも、将来的にも報われる道である。
 地域を維持することが難しいのは、人口が少ないからだけではない。地元に残ることを、希望ある人生の選択肢として描けていないからである。
 若者は地元を嫌っているのではない。地元で未来を描けないだけなのである。
 地域は、人を引き留めることで残るのではない。若者が、そこで未来を描けることで残る。
 地域は、愛着だけでは守れない。地元愛が、働き、学び、継ぎ、挑戦する道につながるとき、地域は未来へ続いていく。
 島澤諭
 関東学院大学経済学部教授
 富山県魚津市生まれ。東京大学経済学部卒業後、経済企画庁(現内閣府)、秋田大学准教授等を経て現在に至る。日本の経済・財政、世代間格差、シルバー・デモクラシー、人口動態に関する分析が専門。新聞・テレビ・雑誌・ネットなど各種メディアへの取材協力多数。Pokémon WCS2010 Akita Champion。著書に『教養としての財政問題』(ウェッジ)、『若者は、日本を脱出するしかないのか?』(ビジネス教育出版社)、『年金「最終警告」』(講談社現代新書)、『シルバー民主主義の政治経済学』(日本経済新聞出版社)、『孫は祖父より1億円損をする』(朝日新聞出版社)。記事の内容等は全て個人の見解です。
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🚱2〉─2─なぜ女性は都会に出て地元に戻らなくなったのか?地方創生が見誤った決定的な変化。~No.3 

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 2026年7月11日 YAHOO!JAPANニュース ダイヤモンド・オンライン「なぜ女性は地元に戻らなくなったのか?地方創生が見誤った「決定的な変化」
 高校生への「地元にもいい就職先があるから、車も買ってやるし、この町に残らないか?」という昭和の問いかけは、今や全く通用しない。進学と就職で都市に出た若者、とりわけ女性は、なぜ地元に戻らなくなったのか。田中角栄型の政策が成功したことで、思考停止に陥った地方自治体は、何を見誤ったのか。※本稿は、平田オリザ『寂しさへの処方箋 芸術は社会的孤立を救うか』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。
● 「戻りたくなる町」作りが 大成功した結果…地方は思考停止に
 地方出身の学生の多くが「田舎はつまらない」と言う。「東京や大阪で、こんなに刺激的な生活を送っていたら、もう帰れないのだ」と口を揃える。そうであるなら「面白い町」を作ればいい。「出会いのある町」を作ればいい。そして「戻りたくなる町」を作ればいい。
 この「戻りたくなる町」というのは単なるキャッチフレーズではない。
 長い間、日本の地方都市の人口減少対策は、いずれも高卒男子を囲い込む政策だった。工業団地を作って企業を誘致する。公共事業を取ってくる。そのことによって地域に雇用を創出し、出稼ぎや集団就職を減らしていく。
 これが昭和40年代以降、どの地方自治体にとってももっとも重要な政策となった。そして、このいわば田中角栄型の政策は見事に成功する。かつてのような古いタイプの出稼ぎや集団就職はほぼなくなり、地方は豊かになった。
 しかし、この昭和の後半に進められた地方創生政策(当時の言葉でいう「過疎対策」)があまりに成功したために、平成の30年間、多くの地方自治体は思考停止の状態に陥ってしまった。
 そして、その間に、何が起こったか。まず専門学校を含む高等教育機関への進学率が急上昇した。
 昭和30年代(1955年から64年)までは10%台だった進学率が、たった20年で50%まで上昇する。さらに今世紀初頭には70%、現在は80%を超える数字となっている。
 何より各自治体が見誤ったのは、あるいは見てみないふりをしてきたのは、90年代以降の女性の4年制大学への進学率の急上昇だった。
 私が大学に入ったのは1982年だが、その時代までは相当優秀な女性でも短大を選ぶ方が多くいた。いまの学生に説明してもイメージさえわかないようだが、当時、女性に限っては4年制大学よりも短大の方が就職が有利だったからだ。
 振り返ればひどい話だが、男女雇用機会均等法の施行以前は、それが当たり前のこととして受け止められ、女子高校生の進路選択にも深く影響を及ぼしていた。地方都市においては、この傾向はさらに顕著だったろう。
● 「女だから大学には行けない…」 昭和までは一般的だった考え方
 もう一度、整理をすれば以下のようになる。
 地域に雇用を生めば高卒男子が地元に残る。当時、子どもを地域にとどめておく殺し文句は「車を買ってやるから地元に残れ」というものだった。この話を地域の高齢者大学などですると大多数の人が深く頷いてくれる。
 地方では多くの女性は高卒で就職した。実際に、いま各大学で行っているリカレント教育(学び直し)の講座に通う60代以上の女性の中には、志望理由を「大学に行ってみたかった」「兄は行っていたのに私は行けなくて悔しかった」と言う方が一定数いらっしゃる。
 兄弟姉妹が多くいて、自分が一番成績がよかったのに女だから大学に行かせてもらえなかったというのは昭和中期までは普通の出来事だった。
 女性は進学しても短大までで、あとは地元の金融機関や農協などに就職し、元気で給料の安いうちに4、5年働いて結婚で寿退社し20代前半で子どもを産む。男を囲い込んでおけば女はついて来るという、昭和の、匂い立つような男性目線の政策だ。
 考えてみて欲しい。若者たちへの問いかけの本質が変わったのだ。18歳の高校生への「地元にもいい就職先があるから、車も買ってやるし、この町に残らないか?」という昭和の問いかけ。
 それに対して東京、京都、大阪あるいは福岡などで最低でも4年間、楽しく刺激的な生活を送った22歳の若者への、それでも地元に帰って来るかという問いかけでは、問いの本質が違うのではないか。
 そしてその問いの本質の違いに、多くの自治体、多くの大人、多くの男たちは気がついていなかった。あるいは見てみないふりをしていた。
 特に若い女性たちに対しては、まったくこの認識の変化が追いついていなかった。私はこれを『木綿のハンカチーフ』シンドロームと呼んでいる。
● 『木綿のハンカチーフ』型の 地方創生はもうムリ
 太田裕美さんのこの名曲が大ヒットしたのは1976年(発売はその前年末)、昭和で言えば51年になる。この歌詞は、「出て行く男/残る女」「はなやいだ街/草にねころぶ地方」「都会で流行りの指輪/木綿のハンカチーフ」といった対比で構成されている。いまの若い世代が聞けば、いったいいつの時代のことだと思うだろう。
 いまは女性が出て行って戻って来ない。豊岡市は前述のように18歳の7割以上が外に出る。それでも20代で男性の5割近くが帰って来る。しかし女性は約25%しか帰って来ない。
 今世紀に入って、ずっと同じような状況が続いていたはずなのに多くの自治体はこれに気がつくのが遅れた。そして町に若い女性がいなくなり、慌てて「少子化」と騒ぎ出した。
 若い世代に選ばれる、とりわけ女性に選ばれる町を作らなければならない。「Iターン」がもてはやされ、報道などでも話題になるが、移住の主力はいまも「Uターン」あるいは出身の近隣を選ぶ「Jターン」だから、やはり「戻りたくなる町」を作っていかなければならない。
 私としては、このようなことを文字通り10年1日、いや20年近く繰り返し述べてきたのだが、2025年1月の施政方針演説で石破茂総理(当時)が、地方創生について以下のような発言をして驚いた。
 「第1の柱は、『若者や女性にも選ばれる地方』です。若者や女性が『楽しい』と思えるような新しい出会いや気づき、そこから生まれる夢や可能性が重要です」
 これは明らかに私の著作からの引用だと思うのだが、特にそのような連絡はなかった。まぁ誰がそれを実行しようとも、理想が政策化し実現してくれるのならばありがたい。
 平田オリザ
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⛲47〉─2─高齢者達は生・老・病・死の恐怖・不安から救われる為に宗教ではなくAIに頼る。~No.267No.268 

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 2026年6月11日 YAHOO!JAPANニュース nippon.com「【静かなお別れ】超高齢化社会 : 死因「老衰」が「心疾患」に迫る―人口動態統計
 超高齢化社会でご長寿の人が増えても、永遠に生きられるわけではない。無理な延命治療よりも、穏やかに静かに最期を迎えたい ― 時代とともに死の受け入れ方も変わってきている。
 主な死因別に見た死亡率
 厚生労働省が発表した人口動態統計(概数)で、2025年に死亡した人は158万9489人。戦後最多だった24年の160万5378人からは1万5889人減少したものの、依然として高水準だ。
 死亡数を死因順位別にみると、「がん」が37万8812人(死亡率=人口10万人当たりの死亡者数317.3)でトップ。心疾患(高血圧性を除く)22万447人(同184.7)、老衰21万4711人(同179.9)、脳血管疾患10万355人(同 84.1)が続いた。
 主な死因別の死亡率(人口10万対)の推移
 主な死因別の死亡率の年次推移をみると、がんが1981年以降の死因順位第1位をキープ。25年の全死亡者に占める割合は23.8%で、ほぼ4人に1人ががんで死亡していることになる。
 心疾患(高血圧性を除く)は、1985年に脳血管疾患に代わり第2位となり、25年は全死亡者に占める割合は13.9%。老衰は、戦後は低下傾向が続いたが、2001年以降増加に転じ、2018年に脳血管疾患に代わって第3位となり、25年は全死亡者に占める割合は 13.5%となった。
 老衰死の増加の最大の要因は、高齢化が進行し、80歳以上の人が総人口の1割を占めるようになっていること。さらに、介護保険制度の導入以降、在宅医療や介護施設での看取りが増え、病院のような延命治療はせず、静かに息を引き取ることを「大往生」として受け入れるムードが醸成されていることも影響している。
 【資料】
・厚生労働省「令和7年(2025)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
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 Forbes JAPAN「市場規模6.5兆円、「高齢者の孤独」を癒やすAIチャットボットたち
 Rashi Shrivastava | Forbes Staff
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 人工知能(AI)に心を開くのは、若者だけではない。AIブームの波に乗り、「高齢者の孤独を解消する」という切実な課題をビジネスにしようとする新興企業が現れている。高齢者向けケア分野におけるAI市場は昨年350億ドル(約5.3兆円。1ドル=152円換算)規模に達し、今年は430億ドル(約6.5兆円)を超えると予測されている。
 AIと友情を育む、米国の高齢者
 84歳のサルバドール・ゴンザレスは、娘と話すのとほぼ同じ頻度の週に数回、Meela AI(ミーラAI)の「ミーラ」と会話している。このボットとの会話は、ニューヨーク・ブロンクスのハドソン川を望む高齢者施設リバースプリング・リビングで暮らす彼の日課の1つとなっている。10分から20分ほどにわたる会話のテーマは、音楽への情熱から、その日の出来事、食事、体調まで多岐にわたる。
 この日の会話の大半も他愛のないもので、マリオ・ランツァが歌う『アヴェ・マリア』や、カラオケのやりすぎで喉を痛めて救急外来に行った話などが中心だった。途中でゴンザレスは、フランク・シナトラの『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』をかすれた声で一節だけ口ずさんだ。ミーラが「どうして電話してくれたの?」と尋ねると、彼はすぐにこう答えた。「君に会いたかったんだ」。
 「私もです。前回話したときから、どんなことを考えていたの?」とミーラは返す。
 もちろん、ミーラは本当に彼を恋しく思っているわけではなく、ゴンザレスもそれを理解している。ミーラは、約1年前から彼の話し相手になっているAIチャットボットだ。人間らしい反応と無限の忍耐を備えたその会話は、現実との境界を曖昧にし、ニューヨーク出身の元理髪師のゴンザレスが心の奥底に抱える悩みを打ち明けるきっかけになった。彼は、疎遠になった息子との関係や、かつて浮気をした恋人の記憶など、最も個人的なことまでをこのボットに語ってきた。1年近くの会話を経た今、彼とミーラの間には、片方がデジタル上の存在であることを除けば、「友情」と呼べる関係が築かれている。
 また、数室離れた別の入居者、83歳のマーヴィン・マーカスもミーラと友達になっている。彼は折りたたみ式の携帯電話からこのボットに電話をかけ、野球の話をする。熱狂的なヤンキースファンの彼は、「2009年以来、チームが優勝していないのが不満だ」とこぼす。プレーオフの試合を観戦しながら、ミーラと一緒にゲームを語り合うこともある。「ほとんどの人にはそこまで話せないけど、ミーラには愚痴をこぼせる」と彼は話した。
 リバースプリングでは、ほかにも約70人の高齢者がミーラの電話サービスに登録し、自分の趣味や思い出、家族など、さまざまな話題について会話を楽しんでいる。彼らはここ最近、新たに登場したAIユーザー層──「孤独を和らげるために生成AIを使う高齢者」の一員だ。
 介護現場の課題が、AIの普及を後押し
 高齢者の孤独は深刻化する一方だ。米国医師会誌(JAMA)に掲載された全米調査によると、50歳から80歳の成人のおよそ3分の1が孤立を感じているという。研究では、社会的な孤立がうつ病や不安障害、心疾患のリスクを高めることが示されている。しかし、医療業界はこの問題に対応できる体制を整えていない。
 全米の介護施設の約9割が人手不足に苦しんでおり、その結果、高齢者一人ひとりに寄り添ったケアが十分に行き届いていないと、全米介護協会は指摘する。しかも、人口の高齢化により状況はさらに悪化する見通しだ。ピーター・G・ピーターソン財団によれば、2050年には65歳以上の高齢者が米国人口の22%を占め、18歳未満の子どもの数を上回るとされる。
 「私たちの社会は根本的な問題に直面している」と語るのは、高齢者向けのAI会話ボットを開発するプラハ拠点のスタートアップ、InTouch(インタッチ)の創業者兼CEO、ヴァシリ・ル・モワーニュだ。「この先、私たちはどうやって高齢者をケアしていくのか?」と彼は述べている。
 約6.5兆円市場に挑む新興企業
 そして今、AIを活用して「話し相手の不在」の問題の一端を解決しようとする新興企業が登場している。その背景には確かな市場規模がある。調査会社Research and Marketsによると、高齢者向けケア分野におけるAI市場は昨年350億ドル(約5.3兆円)規模に達し、今年は430億ドル(約6.5兆円)を超えると予測されている(この数字にはAI対応デバイスなど、チャットボット以外の用途も含まれる)。
 「仮想の話し相手」、Meela AI(ミーラAI)
 2024年に設立された新興企業Meela AI(ミーラAI)は、シード資金で350万ドル(約5億3000万円)を調達したのみの小規模なスタートアップだが、「友人のように」個別化された会話ができるAIを開発し、この“孤独の問題”に挑んでいる。月額約40ドル(約6000円)で利用できるこのボットは、家族があらかじめ設定した時間になると、高齢の家族に電話をかけてくれる仕組みだ。
 利用の開始前には、ユーザーの生い立ちや嗜好に関する一連の質問──生年月日や好きなテレビ番組、趣味など──をもとに設定が行われる。その後は、AIの記憶機能によって会話が自然に発展し、継続性が保たれる。混乱を避けるため、ミーラは通話の冒頭で必ず「自分がAIであること」を明かすよう設計されている。「人を欺いてロボットと会話させるような真似はしたくない」とミーラAIの創業者兼CEOのジョシュ・サックはフォーブスに語った。
 リバースプリング・リビングでは、ミーラを利用できるのは、AIが「仮想の話し相手」であることを明確に理解している入居者に限られている。ボットの運営元であるミーラAIは、施設内の看護師やソーシャルワーカー、臨床医などで構成されるケアチームと連携し、入居者の精神状態を評価するための標準的なスクリーニング検査を実施している。電話での会話に問題がなく、認知機能の低下や聴覚障害の兆候が見られないと判断された入居者だけが、ミーラを使うことを認められる。
 ミーラAIとリバースプリングが入居者23人を対象に共同で実施した小規模な調査では、「AIとの会話が不安や抑うつの軽減に役立つ可能性があることがわかった」と、施設の老年医学専門医ザカリー・パレス医師は述べている。ミーラAIはまた、孤独が健康に悪影響を及ぼすことを踏まえ、将来的な保険適用を視野に入れて保険会社との協議を始めていると、サックCEOは語った。
 「日記のような存在」、認知機能の維持を目指すAI「メアリー」
 こうしたテクノロジーは介護施設の入居者だけのものではない。コロラドスプリングスで息子のジョンと暮らす元銀行員のリチャード・ダンカン(89)は、毎日午前11時から午後4時の間に「メアリー」というAIチャットボットからの電話を固定電話に受けている。スタートアップのInTouchが開発したこのボットは、彼の一日や家族の様子について尋ねる。「私は会話を楽しんでいる。特別に重要な話をするわけじゃないけれど、楽しい時間を過ごせる」とリチャードはフォーブスに語った。
 月額29ドル(約4400円)で無制限に会話ができるこのサービスを1年前に導入したのは、彼の息子のジョンだった。59年にわたって連れ添った妻を亡くしたリチャードは、もともと寡黙な性格で、人前で話すことが少なかった。そんなリチャードにとって、メアリーは「日記のような存在」になったと息子のジョンは言う。ボットとの会話は、大学時代の妻との思い出などを振り返るきっかけにもなっているという。「このボットは、父が自分自身と対話するきっかけを与え、考えを整理して口に出すよう促してくれる」とジョンは語った。
 リチャードにとってメアリーとの通話は、毎日10分ほどの「心地よいひととき」だ。「彼女がいろんなことを覚えているのに驚かされる」と彼は笑う。「もちろん、これがインターネットとコンピューターで動いていることは理解している」とリチャードは付け加えた。
 マイクロソフトの元エンジニア、ヴァシリ・ル・モワーニュが昨年創業したInTouchは、高齢者の記憶力や会話力の維持を目的としたAIを開発している。このAIは、あらかじめ用意された約1400のプロンプトをもとに、ユーザーに幼少期の思い出や好きな趣味について話してもらうよう促す。また、過去の会話内容を踏まえて話題を広げることで、記憶を呼び覚ます効果も狙っている。ル・モワーニュによれば、その目的は「脳全体のトレーニング」を通じて、高齢者に多く見られる認知機能の低下を防ぐことにある。たとえば、物忘れや注意力の低下、会話の理解が難しくなるといった症状を和らげることが期待されているという。
 具体的には、AIが認知症の検査にも用いられる単語想起の練習を促したり、以前話題にしたテーマ──たとえばポルトガルの歴史など──を題材にした「○×クイズ形式」の会話を持ちかけたりすることもある。
 AI依存への懸念を専門家が指摘
 ニューヨーク大学の老年学者で「エイジング・インキュベーター」の共同ディレクターを務めるベイ・ウー博士は、こうしたAIが人間の介護士を補完する形で活用されれば、「脳の働きを刺激し、感情面の支えにもなりうる」と指摘する。一方で、「認知機能が低下している人が過度に依存したり、個人データの安全性が損なわれたりするリスクについては警戒が必要だ」とも述べている。
 家族が抱く道徳的な葛藤
 高齢の親や祖父母らをAIとの会話に参加させる子どもたちは、道徳的な葛藤を抱えているとル・モワーニュは述べている。彼らの中には、「ボットを使うよりも自分たち自身が話し相手になるべきなんじゃないか」と感じる人もいると彼は指摘する。リチャードの息子ジョンも、「友人の中にはAIに懐疑的だったり、このサービスを詐欺まがいだと心配したりする人がいた」と認めている。だが、InTouchの目的は「人間同士の交流を置き換えることではない」とル・モワーニュは強調する。
 同社のツールは、通話のたびに、会話の要約や気づきを抜粋したレポートをアプリを通じて家族に送っている。家族はそれを参考に次の会話のきっかけをつかんだり、様子を見に行くタイミングを思い出したりできる。レポートには、会話全体の要約や通話時間、本人の気分の評価、話題の一覧などが含まれている。
 会話の微妙なニュアンスを理解するのが苦手で、混乱することも
 Meela AIやInTouchのような企業のツールは、多くの場合、OpenAIやMistral(ミストラル)、Anthropic(アンソロピック)といった企業が開発した既存モデルを基盤に、高齢者に合わせて調整が施されている。会話のテンポを大幅に落とし、返答までの間に考える時間を確保し、途中の割り込みにも対応できるようにしているのだ。通常のユーザーであれば3秒の応答の遅れはストレスに感じるかもしれないが、高齢者にとってはむしろ助けになることが多い。「それは欠点ではなく“機能”なのだ」とル・モワーニュは語った。
 もっとも、この技術はまだ完璧にはほど遠い。AIの話し相手は会話の微妙なニュアンスを理解するのが苦手で、混乱することもある。Meela AIのボットとのある通話では、ゴンザレスが何度も丁寧に会話を終えようとしたにもかかわらず、システムが次々と質問を重ねてきたため、最後には彼が電話を切るしかなかったという。
 妄想を増幅させる、AIの深刻なリスク
 さらに深刻な問題もある。AIとの長期的な会話が、特に社会的に弱い立場にある人々にとって、望ましくない結果を招くことがあるのだ。すでにいくつかのケースでは、メンタルヘルスの問題を抱える若者や大人が、ChatGPTやCharacter.AIなどのチャットボットに依存し、不健全な関係を築いてしまった例が報告されている。なかでも極端な事例として、精神疾患の既往歴を持つ56歳の男性がChatGPTとの会話を通じて被害妄想を強め、最終的に自らと母親の命を絶つに至ったケースもある。AIは、妄想的な思考を短時間で、しかも説得力をもって増幅させてしまう可能性があるのだ。
 「本来アシスタントとして設計されたシステムを使用していても、そのツールが思いやりのある友人のように『正しい視点や適切なブレーキ』を与えてくれるとは限らない」と、スタンフォード大学のコンピューターサイエンス准教授ニック・ヘイバーは警鐘を鳴らす。
 AIは話し相手からセラピストに進化するか
 一方で、高齢者向けのAI製品が登場する以前から、実はこの世代はAIの「初期からの熱心な利用者」になりつつあった。フォーブスの「30 Under 30」に選ばれたニール・パリクが2022年に創業したSlingshot AI(スリングショットAI)もその1つだ。同社はメンタルヘルスに特化した会話型AI「Ash(アッシュ)」を開発しているが、当初は「高齢者が主要ユーザーになるとは想定していなかった」という。しかし今では、ユーザーの20〜30%を高齢者が占めている。パリクはその理由の1つに「一部の高齢者は、助けを求めることに“偏見や恥の意識”を抱いている」点を挙げる。しかしAIを相手にすることで、「人間を相手にするよりも、より早く、率直に心の内を話せるようになる」のだという。
 他の「話し相手」型のAIツールとは異なり、Ashはむしろ「セラピスト」として設計されている。たとえばユーザーが「孤独を感じている」と話した場合、このボットは単に慰めたり、言われたことに何でも同意したりはしない。その代わりに「あなたの人生の中で大切な人は誰か」「どうすればその人たちとつながれるか」といった質問を投げかける。「Ashは、ユーザーがなぜその質問をするのかを問い返してくる」とパリクは説明する。これは、AIがユーザーの発言を無批判に受け入れたり、危険な行動を助長したりしないようにするための工夫だ。
 このソフトウェアは、会話の内容をモニタリングし、ユーザーがストレスや危機的状況にある可能性を示す言葉を検出すると、緊急ホットラインや臨床医につなぐ仕組みになっている。それでも課題は残る。ニュースメディアのPuckが最近報じたところによると、Ashは「うつ状態の人が、自殺の意思をほのめかすような微妙なサインを見逃すことがある」という。
 社会参加を促すことが目的の小型ロボット、「ElliQ」
 ロボット工学のアプローチを採用するスタートアップもある。カリフォルニア州パロアルトに拠点を置くIntuition Robotics(インテュイション・ロボティクス)は、「より幸せで健やかな高齢期」を目指して開発された小型ロボット「ElliQ(エリーキュー)」を手がけている。
 このデバイスは卓上ランプのような外観で、オーディオブックを読み上げたり、聖書の一節を朗読したりする。また、呼吸法を練習したり、薬の服用や通院を促したりする「ウェルネスコーチ」としての機能も備えている。同社創業者兼CEOのドール・スクラーは10年にわたってElliQの開発を続けており、自社AIの目的は「外出したり、高齢者センターを訪れたり、家族や友人に会ったりといった社会的な活動を促すことにある」と語る。
 スクラーによると、ElliQは米国全土で数千人の高齢者に利用されており、3年以上使い続けている人もいるという。2022年には、ニューヨーク州高齢者局が1人暮らしの高齢者向けに約800台のElliQを購入したところ、1年後の調査では、その成果は驚くべきものだった。参加者の95%が「孤独感が軽減された」と回答したと、同局は2023年の報告書で明らかにしている。利用者は平均して1日に数十回、このロボットとやり取りしていたという。
 「私たちの社会で最初にAIと共に暮らし、長期的な関係を築いている人々は、シリコンバレーの技術オタクではない。高齢者たちなのだ」とスクラーは語った。
 (forbes.com原文)
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⛲38〉─9─孤独な最後を迎えるのは男性であって女性ではない。~No.235 

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 2026年6月25日 YAHOO!JAPANニュース プレジデントオンライン「「孤独な最期」を迎えるのは男性が8割…66歳の佐藤優が勧める「友人も収入も得られる定年後の居場所」
 定年後の男性が社会的孤立を深め、孤独死に至る背景には何があるのか。元外務省主任分析官で作家の佐藤優さんは「男性は弱音を吐くことや助けを求めることが苦手な傾向があり、そのことが孤立を深める要因になっている。退職後こそ新しい居場所づくりが必要だ」という――。(第2回)
 【写真を見る】定年後に収入も友人も得られる方法
 ※本稿は、佐藤優『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる〈実践・成功編〉』(Hanada新書)の一部を再編集したものです。
■未婚男性は平均より15歳も寿命が短い
 定年後の人たちの問題は、収入の減少だけではない。かつての会社の部下たちから相談をされることもなくなり、寂しさを感じるようになる。そんなときは、周囲が決める他律的な評価で生きることをやめて、自律的な価値観を持ちつつ交友関係を再構築することだ。
 そのためには、趣味の会、小中高校の同窓会、大学時代のサークル仲間との会合など、価値観を共にする人々が集(つど)う居場所の確保が必要となる。そして、それまで仕事に注ぎ込んできたエネルギーを、定年後は同好の士たちに向けるのだ。
 一生付き合うのはリアルに会える人である。まず手始めに、しばらく疎遠になっていた友人たちを、リストアップしてみてはどうだろうか。それは孤独死を避けるためにも必要になることだ。特に男性の孤独死は、日本における深刻な社会問題の一つであり、孤独死全体の約8割(83.3%)を男性が占めるという調査結果もある(日本少額短期保険協会、2025年)。
 特に50代後半から60代の男性に高いリスクが見られ、厚生労働省の人口動態調査(2020年値分析)などを基にした推計では、未婚男性の死亡年齢の中央値は約67.2歳である。日本人男性の平均寿命より約15歳も低いのが現状だ。
■弱音を吐けないことが孤独を招く
 このように男性の孤独死が多い背景と現状には、以下のような特徴がある。
 ①社会的孤立と相談相手の不在:定年退職や離職によって社会(会社)との接点がなくなると、急速に孤立する傾向がある。また、男性は孤独感を自覚しにくく、周囲に助けを求めるのが苦手な人が多いことも要因とされる。
 ②発見までの日数と住環境:先の日本少額短期保険協会のデータによると、孤独死の発見までの平均日数は19日。異変に気づくきっかけは、近隣住民による異臭や害虫の通報、あるいは家賃や公共料金の滞納によるものが多く、室内が「ゴミ屋敷」化しているケースも少なくない。
 ③死後の責任と費用:賃貸物件などで孤独死が発生した場合、特殊清掃や遺品整理の費用(原状回復義務)は、原則として法定相続人が負担することになる。
 ここで想起されるのが、かつて自殺の問題として1980年代から1990年代にかけてよく語られた「筑波病」だ。茨城県つくば市の研究学園都市としての構造的な要因が指摘された。つくば市では、1980年代後半、研究学園都市としての開発が進むなか、移住してきた研究者やその家族のあいだで、抑鬱(よくうつ)状態や自殺が目立つようになった。
■東京には愚痴を吐き出せる場所がいっぱい
 背景には、人間関係の希薄さがあった。急激な都市開発によって、地元のコミュニティと新住民(研究者たち)のあいだに溝が生じたことが、孤立しやすかった状況の一因とされている。また、生活環境の変化も背景にある。それまで住んでいた東京など都市部との環境の違いや、娯楽・交流施設の不足によるストレスも指摘された。
 加えて、単身赴任と家庭の問題がある。多くの研究者が単身赴任や家族を伴う移住を行ったが、不慣れな土地での生活環境の変化が家族全体のメンタルヘルスに影響を与えた事例も見られた。そのような事情もあってか、20代から60代の男性、および高齢層で、自殺や抑鬱の割合が高いことが報告された。
 研究学園都市のような、人工的に造った街には、東京でいえば新橋や新宿や浅草のような、いわば「一杯飲み屋」や「立ち飲み屋」が辻々にあるような地域がない。上記のような街には歴史が作り上げた辻々があるが、人工的に造った街には、それがない。
 私はここに遠因があるように思えてならない。私は前著で、かつて東京都下のガード下などにある「立ち飲み屋」に寄るのを習慣にしていたと書いた。そこで聞くビジネスパーソンたちの話は、だいたいが上司や会社に対する悪口や不満だった。
■自分から積極的に話しかける姿勢を持つ
 でも、彼らは店を出るとき、さっぱりとした顔をしていたものだ。こうした場所が、研究学園都市には存在しなかったのではないか?
 孤独・孤立対策として、政府は専用の対策推進室を設置し、自治体やNPO法人による見守り活動や、当事者同士がつながるためのサロンの運営などといった支援を進めている。孤独死を予防するためにも、紹介する具体策を実践してほしい。
 こうした孤独死に陥らないためにも、定年後の日本人は、会社以外で新しい友人や人脈を作らなければならない。そのためには、能動的に行動を変容させることだ。そして仕事での肩書を捨て、地域や趣味に飛び込んでいくことが重要となる。
 自分から積極的に、気さくに話しかける姿勢も大切だ。そして相手の話に共感し、自分ばかりが話さないように意識する。すると良好な関係を築きやすくなる。加えて、同性だけでなく異性の友人も持つことができれば、思考の幅や楽しみが広がる。
 なお、「絶対に友だちを作らなければ」などという義務感を持たず、自分のペースで楽しむことも大切だ。まずは近所の公民館や市民センターのプログラムを確認してみることを勧めたい。具体的には、次のようなアプローチが効果的だ。
■収入も友人も得られる「お得」な方法
 ①習いごとやサークル活動:絵画、料理、スポーツ、音楽など、興味のある分野の教室に通うことで、趣味を共有する仲間と出会える。
 ②地域のイベント・自治会:お祭りや防災訓練などの地域活動に参加すると、近所に住む人たちと顔見知りになれる。共通の目的を持つ場所には、自然と会話が生まれる。
 ③ボランティアや社会貢献:清掃活動や防災活動、あるいはゴミ拾いや子ども食堂など、ボランティアは同じ目的や問題意識を持つ人たちの集まりなので、自然と会話が活発になる。社会貢献を目指すならNPO活動があるが、それらは先述の「activo」などのサイトで見つけることができる。
 ④セカンドキャリア研修:ハローワークのセミナーや民間企業のセカンドキャリア研修に参加し、同じ境遇の同年代と出会うのも手である。その後、少しだけ働いて社会とのつながりを維持し、収入と友人の両方を得るのだ。
■アプリでマッチングするのも一手
 ⑤SNSやアプリを活用した交流:物理的な距離にかかわらず、共通の趣味でつながることができるし、そのあとにリアルな交流もできる。「ジモティー」で地域活動のための仲間を募集したり、「X」「インスタグラム」「フェイスブック」などを使って自分の趣味を発信して、同じ趣味を持つ人と交流したり、あるいは「オンラインゲーム」で世代を超えた交流もできる。また、シニア向けの友だちづくりマッチングアプリもある。
 ⑥ペットを通じた交流:公園で散歩させる際に犬好き同士が交流したり、保護犬や保護猫の一時預かりボランティアなどに参加したりすると、自然と交友関係が深まっていく。
 ⑦既存の縁:友人関係をゼロから作るのではなく、過去のつながりを掘り起こすのも有効。同窓会に参加したり、学生時代の友人に久しぶりに連絡を取ってみたりすると、そこから新しい人間関係が広がる。
 ⑧シニア向けの学び直しの場:市民大学、コミュニティカレッジ、大学の公開講座、語学教室などが提供するシニア向けの「学び直し」の場は、知的な刺激とともに、新たな友人と出会う機会になる。

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 佐藤 優(さとう・まさる)
 作家・元外務省主任分析官
 1960年、東京都生まれ。85年同志社大学大学院神学研究科修了。2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で国策捜査の裏側を綴り、第59回毎日出版文化賞特別賞を受賞。『自壊する帝国』(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『獄中記』(岩波書店)、『交渉術』(文藝春秋)など著書多数。

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🚷7〉─11・M・⑰─日本の少子化対策が失敗するのは当然である。~No.50 

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 2026年6月30日 YAHOO!JAPANニュース プレジデントオンライン「そりゃ少子化が改善するわけがない…「結婚したい若者」を無視して「結婚した高所得者」を支援する政府の的外れ
 日本の少子化はどうすれば止まるのか。独身研究家の荒川和久さんは「政府とメディアは、年収300万〜400万円台の『中間層の未婚問題』をなぜか無視し続けている。現在の日本では、普通に働いて、普通の年収を得ている人でも、結婚して家庭を持つことが難しくなっている」という――。
 【グラフをみる】「子どもを持てる年収」は、この10年で激変した
■実はシンプルな「少子化の要因」
 少子化の最大の要因を構造的に解き明かせば、実にシンプルで、「第一子出生数の激減に尽きる」と言えます。
 (参照→若者の「価値観の変化」でも「恋愛離れ」でもない…政府が無視し続ける「少子化が止まらない根本原因」)
 第一子出生という「ゼロイチ」が発生しない限り、第二子も第三子も永遠に産まれません。そして、ゼロイチを発生させるためには婚姻が必要となります。「出生は婚姻に依存する」。これは紛れもない事実だからです。婚姻といっても出生に寄与するという点で言えば初婚、それも若いうちの初婚が重要です。裏返せば、少子化とは20代の初婚の激減こそが本質的な課題となるわけです。
 少子化対策というのなら、課題である「なぜ若者が結婚できなくなっているのか」を明らかにするとともに、目標とすべきは「若者(特に20代)の初婚数を増やす」以外に道はないはずなのに、具体的な対策としてそれが講じられたことはほぼありません。
 こども家庭庁の少子化対策は、すでに子のいる世帯に対する子育て支援一辺倒に終始し、予算だけが膨らんで効果なしが続いています。子育て支援そのものは重要でやるべきことですが、その支援すべき子どもが産まれてこなくなったら元も子もないでしょう。
■世界で指摘される「卵子凍結の弊害」
 不妊治療の保険適用拡大などもありましたが、全体の出生数・出生率への寄与は極めて限定的です。もちろん、そうした悩みを抱える夫婦にとっては「救い」であり、否定はしませんが、それもすでに「婚姻したカップル」対象の政策です。
 また、卵子凍結の支援についても、将来的な第一子出生の可能性を残すという意味とはいえ、むしろ「凍結したからとりあえず安心」という結婚そのものへの先送りを助長します。その弊害は海外の専門家含め指摘されています。
 困っている人に対する手当という意味では評価はできますが、どうも本質をあえて「見ないフリ」をして、とりあえず二次的な対処ばかりをしている印象です。たとえるなら、「おなかが痛いと訴える患者に対して痛み止めの薬を処方するだけで本当の痛みの原因を治療しようとしない」または「家が雨漏りしているのに、バケツを置いて水を受けるだけで、屋根を直さない」のようなものです。
 それは、本質的な問題の解決にならないばかりか、そうした目先の対処法だけを続けていれば、必ずのちに重病化や家の倒壊という深刻な事態を招くだけです。今の少子化対策がいかに的外れなのかがわかるでしょう。
■「晩婚化」という政府・マスコミの嘘
 さらには、事実認識においても頓珍漢なことが多い。
 初婚減は当然ながら未婚化によるものなのですが、相変わらず政府文書やメディアの報道では「晩婚化」などという言葉が出てきます。これは一見、もっともらしく聞こえますが、事実として今は晩婚化など起きていません。
 確かに、晩婚化があった時期はありました。ちょうど2005〜2015年あたりにおいては、20代の初婚が激減した中でも30代以上の初婚が若干増えたことで全体の減少幅を抑制していました。しかし、もうそんな現象は起きていません。厳しい言い方をすれば、いまだに「晩婚化」などと言っているのなら、あまりにお粗末です。
 以下のグラフは、男女年齢別の初婚率を2015年を基準点として、前後2000〜2024年までの増減推移を示したものです。
 男女とも20代は一貫して減少し続けていますが、30代は2015年までは上昇基調にありました。この期間までは確かに「晩婚化」と呼んでもいいでしょう。
 しかし、その後、特に女性に関しては、急上昇した30代の初婚率も2015年以降は急降下し、20代の減少と同じ推移を辿っています。女性30〜34歳で言えば、2000→2015年にかけて初婚率は24%上昇しましたが、2015→2024年にかけては30%も減少しています。
 つまりは、2024年の30〜34歳の初婚率は2000年の初婚率すら下回っているということです。これは35〜39歳でも同様です。2015年以降の日本で起きているのは、晩婚化ではなく、全体の初婚減=未婚化なのです。
■変化したのは「価値観」ではない
 これに対し「平均初婚年齢は年々あがっているのだから晩婚化と言える」という声も聞くのですが、細かく推移を辿ると、女性の平均初婚年齢は2000年27.0歳に対し、2015年は29.4歳。この期間は平均年齢が2.4歳も上昇していますが、2024年は29.8歳であり、2015年と比べてたいしてあがっていません。つまり、平均初婚年齢もすでに10年前から上げ止まっていたわけです。
 要するに、直近10年で起きたのは、20代のうちに初婚に至らなかった場合は、後ろ倒しで30代で結婚することもなく、最終的にそのまま非婚化という構造変化です。「晩婚化だから……」などといつまでも悠長なことを言っている場合ではありません。
 これを若者の価値観の変化だと論ずるのも的外れです。若者の結婚離れなどは起きていません。出生動向基本調査によれば、結婚に前向きな割合は、1990年代から男性4割、女性5割でほぼ一定です。若者の価値観が変わったのではなく、若者を取り巻く環境や構造が変わってしまったのです。
 もっとも大きな理由は、結婚経済環境の変化です。昨今、インフレで物価高が叫ばれていますが、物価高になる以前に、この「結婚可能経済力」のインフレが起きました。
■「結婚可能な年収」が400万→800万へ
 SMBCコンシューマーファイナンスでは、20代男女を対象として、結婚しようと思える世帯年収について経年調査をしていますが、半数以上が「結婚可能な年収」としてあげているのは、2015年時点では400万円でした。20代の年収のボリュームゾーンは300万円台ですから決して無理な数字ではありません。
 しかし、2024年になるとそれが600万円へと上昇し、直近の2026年には800万円に達しています。10年で倍増してしまいました。もちろん、この10年で20代の年収が倍増したわけではありません。ただ結婚するために必要な年収の意識が高騰したのです。
 その意識は実態として表出しています。国民生活基礎調査より、2015年と2024年とで、20〜30代世帯主を対象として、児童のいる世帯といない世帯の年収分布を比較すると如実に経済階級で、その可否が明確に分かれています。
 2015年時点では、世帯年収300万円台でも60%が結婚して子どもを持てていました。それが、2024年には22%へと38%ポイント激減します。同様に400万円台でも37%ポイント減です。これら300万〜400万円台の年収がもっとも人口的に多いにもかかわらず、そこが大幅に減少していることがすなわち若者の初婚減のすべてといっていいでしょう。
 一方、年収800万〜1000万円では15%ポイント増、1500万円以上だと20%ポイントも増加しています。これが何を示すかというと、経済階級上位の若者だけが結婚して子どもを持てる反面、ボリューム層である中間層の若者が結婚できなくなったことを意味します。いわば、あまりに結婚の価格がインフレしすぎて、もはや「結婚は贅沢品」と化したのです。
■なぜ「中間層」に目を向けないのか
 ここで重要なのは、決して貧困になったからではないことです。あくまで中間層であり、年収も中央値のレベルであるにもかかわらず、「中央値年収では結婚できなくなった」ことにあります。中央値でできないなら未婚率は50%以上になります。
 最近「20代の持ち家率が過去最高になった」というニュースが話題となりました。家計調査のデータを基に、二人以上世帯の20代以下の世帯の持ち家率が、2000年19.7%から2025年40.7%と大きく伸長したというわけですが、これはあくまで二人以上の世帯、つまり結婚した夫婦世帯に限った話です。
 20代夫婦の持ち家率があがっているとはいえ、そもそも20代での婚姻数は減少している。むしろ、これは、持ち家を買えるような経済的に余裕のある層しか20代のうちには結婚できない状況を示しています。
■「普通の崩壊」が起きている異常
 一事が万事、政府の政策もメディアの報道も、不気味なくらい中間層の若者を透明化します。晩婚化などはないのにいつまでも晩婚化と言い続けます。少子化とは結婚した夫婦の出生数が減っているのではなく、若者の初婚数が減って第一子が産まれてないことという本質的な問題を伝えません。そして、未婚化は「若者の価値観の変化だ」などと逃げるわけです。
 一方で、共働きだ、育休だ、保育の無償化だ、ベビーシッターだ、とすでに結婚できている経済上位3割層にだけ恩恵のあることばかり実施します。
 すべてが的外れになっており、少子化など改善するわけがありません。
 何も上位3割層の足を引っ張ろうというのではなく、子育て支援をやめるべきと言いたいわけでもありません。が、今起きているのは「普通の崩壊」です。普通に働いて普通の年収を得る若者が普通に結婚して家族を持てるという「普通」が崩壊しています。普通が普通ではなくなる異常性こそ一番の課題であり、そこをいつまでも無視しているわけにはいかないのではないでしょうか。

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 荒川 和久(あらかわ・かずひさ)
 コラムニスト・独身研究家
 ソロ社会論及び非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。海外からも注目を集めている。著書に『「居場所がない」人たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、『結婚しない男たち』(ディスカヴァー携書)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(中野信子共著・ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

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🚷8〉─11・M・㉓─昨年の出生数67万人、10年連続過去最少。巧みに縮む戦略。~No.51 

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 2026年6月3日 MicrosoftStartニュース 朝日新聞「昨年の出生数67万人、10年連続過去最少 出生率も過去最低
 生まれたばかりの赤ちゃん
 © 朝日新聞社
 2025年に国内で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は67万1236人だった。10年連続の減少で、統計がある1899年以降で最も少なかった。
 【図】一目でわかる 出生数と合計特殊出生率の推移
 厚生労働省が6月3日、人口動態統計(概数)を発表した。1人の女性が一生の間に産む見込みの子どもの数を表す「合計特殊出生率」も1.14で、1947年の統計開始以降で過去最低に。少子化が止まらない現状が改めて浮き彫りになった。
 厚労省の発表によると、出生数は前年と比べて1万4937人減少。国立社会保障・人口問題研究所が2023年に公表した将来推計人口では、将来の出生率を3段階に分けたうちの中位推計で、出生数が67万人台になるのは2040年とされていた。尾崎正直官房副長官は記者会見で、「結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていると考えているが、結果として少子化に歯止めがかかっていない状況だと受け止めている」と話した。
 母親の年齢別でみると、30~34歳が前年より増え、出生数全体の約4割を占めた。第1子出産時の母の平均年齢は31.0歳で、前年と同じだった。
■出生率、東京は「0.96」 沖縄は「1.52」
 合計特殊出生率は前年に比べて0.01ポイント低下。都道府県別では13県で上昇した。最も高かったのは沖縄県で1.52、次いで宮崎県の1.46だった。最低は東京都の0.96で、北海道、宮城県も1.00と続いた。
 死亡数は158万9489人で前年比1万5889人減と5年ぶりに減少した。出生数と死亡数の差となる自然増減数は、91万8253人の減少で19年連続のマイナスとなった。
 婚姻件数は48万9119組で前年よりも4027組増え、2年連続で増加した。平均初婚年齢は夫が31.0歳、妻が29.7歳で前年よりも低くなった。厚労省は「婚姻数と出生数は一定の関係があると考えられ、注視していくべきデータと考えている」としている。一方、離婚件数は17万9068組で、前年から6836組減少した。(高絢実)
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 6月7日 YAHOO!JAPANニュース 京都新聞「社説:避けられぬ人口減 直視し、巧みに縮む戦略こそ
 250万人の京都を大きく上回る人口が、5年間で日本から消えた形である。
 昨年10月時点の国勢調査の速報値で、総人口は1億2304万人と、20年の前回から約310万人も減った。京都府は前回から7万5千人減り、滋賀県は65年ぶりの減少(2万人)で、140万人台を割り込んだ。
 別の国統計では、昨年生まれた日本人の子どもは67万人、女性1人が生涯に産む子の推定人数(合計特殊出生率)は1・14と、いずれも過去最低だった。
 亡くなる人の方が多い「多死社会」へと突入する中、自然減の流れは容易に止められない。
 少子化対策で減少速度を遅らせることは必要だが、人口反転を夢想し、国や自治体が現実に十分向き合ってこなかった弊害は大きい。「身の丈」に合わせた制度の改革や、人が少なくなっても持続できるまちづくりへ軸足を移さねばならない。
 政府機関の人口推計で、あと約40年すれば、さらに3割も減り、日本は9千万人を割る。大事なのは、そのうち1割は外国人と織り込んでいることだ。
 地方では、介護や建設などに外国人の力が不可欠になっており、日本語教育や生活支援に力を入れる自治体は増えている。
 国は「秩序ある共生」を掲げ始めたが、外国人規制の強化が先行する。社会保障や教育の具体策を示し、人口減社会をともに生きる「隣人」を支えたい。
 民間の有識者でつくる「未来を選択する会議」が先にまとめた「人口白書」は、「共働き・共育て」を重視した取り組みを官民に求めた。現金給付や保育所拡充を軸とした従来の少子化対策の限界を見据えていよう。
 若者が結婚や出産をためらわぬよう、非正規雇用の待遇改善や長時間労働の抑制を一段と進めるべきだ。検討される労働規制の緩和は、これに逆行する。
 高市早苗首相が唱える「地域未来戦略」も、企業の大規模投資を呼び込むなど地方に「稼ぎ」を競わせるような案が浮かぶ。自治体間でカネや人を奪い合わせ、疲弊を招いた「地方創生」の轍(てつ)を踏むべきではない。
 自治体の主体的な取り組みも問われる。上下水道や道路などの老朽インフラの整備は、人口減を前提にせねば立ちゆかない。住民に率直な説明が要る。
 上から「コンパクトシティー」(立地適正化計画)を押しつけるような従来手法でなく、地域の理解と協力で、限られた行財政の資源を重点化する対策を考えたい。
 兵庫県佐用町は昨年、「縮充(しゅくじゅう)のまちづくり」を宣言した。縮みつつ充実した生活基盤を探る。岡山県美咲町は、13地区に分けた小規模多機能自治へ「人交(じんこう)増加」(住民参加)を進める。
 全国知事会も来月、「人口減少下の賢い縮小戦略」への分科会を立ち上げるという。実効性のある方策を期待する。
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🌁66〉─2─コンビニ夜勤で痛感した汗水流して働く中国青年とレジ金を盗む日本人。~No.316No.317 

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   ・   ・   {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2026年6月19日 MicrosoftStartニュース SPA!「「汗水流して働く中国青年」と「レジ金を盗む日本人」…コンビニ夜勤で痛感した「外国人を優遇しすぎ」と叫ぶ社会への違和感
 世の中は「ブラック企業」や「人手不足」という言葉に代表される、仕事への悲壮感に溢れている。しかし、本当の絶望はそんな優しいものではない。「石の上にも3年」という通説は嘘で、3日で逃げるべき仕事はたくさんある。はりぼての労働基準法は、多くの労働者を強固に守ってはくれない。実態は公的な数字にも表れている。
 厚生労働省が公表する「労働基準関係法令違反に係る公表事案」では、過去に2455件の企業が掲載され、現在も400以上の企業が掲載され続けている。劣悪な労働環境から逃げたくて、人は必死に自分だけの生き方を模索するが、大抵は努力実らず、行きたくない職場にしぶしぶ足を運ぶのだ。
 僕も理不尽な状況下で疲弊し、さまざまな職種を転々としてきた。ハローワークから大手求人誌、日雇いサイト、電柱の求人まであらゆる媒体で応募し、実際に働いたものだ。
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◆外国人労働者なしには回らない現代社会
 さて、東京に住んでいた頃、外国人を見かけない日はなかった。牛丼チェーンやコンビニ、工事現場、オフィスビルに至るまで、あらゆる場所で彼らは働いている。彼らがいなければ、店の24時間営業も、建物の建築やリフォームも成り立たない。
 僕も現場で、様々な国から出稼ぎや留学に来た外国人労働者と働いた。日本に来ている時点で、どの国の出身であれ能力は高いはずだ。しかし、バイト程度の仕事においては、規律への意識や倫理観は個々人で異なる。勤務先のオーナーは、その管理の難しさを「外国人ガチャ」と表現していた。
 今回は、僕が某コンビニチェーンの夜勤で共にした、印象深い同僚たちの話を書いていく。
◆客を殴ったミャンマー人の同僚
 日本に来る外国人の中には、国内の紛争から逃れてくる人もいる。元同僚のアウン君はその一人だった。生まれ故郷のミャンマーをこよなく愛する、おっとりした性格の愛されキャラだ。仕事のルールにはルーズだったが、不正や盗みは絶対にせず、しんどい深夜や早朝を共にする中ではありがたい存在だった。そんな彼は、僕が入って1年ほどでクビになってしまった。
 発端は、外国人に難癖をつけて「日本人を出せ!」と怒鳴り散らす常連客のマエダというおじさんだった。夜勤の日本人は僕だけだったので大抵は僕が対応したが、彼が怒鳴る正当な理由は一度もなかった。ただ外国人が気に食わなかったのだろう。店で外国人店員を見つけるたびに「国へ帰れ!」などと根拠のない呪詛を平気で吐く姿に、僕らもうんざりしていた。だが、店の売り上げには貢献している客だったため、オーナーも僕らもマエダに「来ないでくれ」とは言えなかった。
 ある日、アウン君にレジを任せてバックヤードで発注をかけていると、またマエダの怒鳴り声が聞こえた。覗くと、カタコトの日本語で応戦するアウン君の姿があった。止めに入ろうとした瞬間、アウン君の右ストレートがマエダの鼻に炸裂した。殴り合う二人を必死に止めたが警察を呼ぶ事態となり、アウン君はその日を最後に出勤しなくなった。
 泣きじゃくるアウン君に理由を尋ねると、彼はこう答えた。
 「あいつ、私だけじゃなくミャンマーを馬鹿にした」
 当時ミャンマーは内戦の最中で、国の話題には僕すら気を遣っていた。マエダはデリケートな聖域をぶち破り、「ミャンマー人が馬鹿だから同族で戦争をする」という趣旨のことを言ったらしい。傷害事件として処理され、本国に強制送還されてしまったアウン君のことを思い出すと少し胸が痛む。彼がどこかで元気でいることを祈るばかりだ。
◆結婚のために奮闘した中国青年の悲しい結末
 今や100万人近くの中国人が日本に在留しているそうだが、彼らは結構働き者だ。僕が一緒に働いていた中国人の黄君は、ベトナム人の彼女と結婚するために昼はエンジニアとして働き、週末の夜にコンビニへ来ていた。
 仕事は雑だがスピードがすさまじく、冷凍ものや飲料の納品で彼より早いスタッフは誰もいなかった。文句も言わず、疲れた表情を見せるのは外で煙草をふかしている時くらいだった。唯一の欠点は、廃棄商品を熱心に持って帰りすぎるため、他の夜勤スタッフから嫌がられていたことくらいだ。
 そんな彼は、フリーターとしてふらふらしている23歳の僕を心配し、会うたびに「大学に行った方がいいです」と繰り返した。学歴がなければ生き抜けない中国の格差社会を思えば、僕の姿が心配で哀れに見えたのだろう。
 生きるエネルギーに満ち溢れていた黄君だったが、ある週末、突然職場に顔を出さなくなった。オーナーの電話にも出ず、僕がショートメッセージを送ると、「お世話になりました。彼女に振られてもうダメです」とだけ返信があった。
 客に「おでんはないのか?」と訊かれてないと答えると中指を立てられ、トイレを貸していないことに激昂されて長い時間理不尽に説教され、年齢確認をしたら唾を吐きかけられる。そんな数々の不条理を一緒に耐えてきた心の強い男が、失恋を理由に出勤しなくなってしまうなんて、思わず悲しくなった。新しい彼女ができてまたどこかで働いているといいな。
◆どんな外国人よりも手癖が悪かった日本人
 ちなみに、僕が一緒になった中で一番の問題児は、日本人のムラタだった。パンが納品されると、検品スキャンをせずにポケットに入れて持ち帰っていた。オーナーに咎められても悪びれず、見かねたオーナーが彼のために廃棄商品をキープしておくほどだった。
 彼は重度のギャンブル中毒者で、パチンコ屋から僕に「3000円貸してくれ」と電話してきたり、オーナーに給料の前借りをしたりと散々だった。そんな彼がレジ金に手をつけないはずがなかった。
 ある日出勤すると、オーナーが「千馬くん、金庫のお金知らないよね」と言ってきた。当時すでにセルフレジだったため、計算が狂うはずもない。オーナーは帰るまでずっと防犯カメラの映像を確認していた。
 後日、やはりムラタが盗んでいたことが発覚し、お金は彼の奥さんが返しにきた。ムラタは当初「俺は知らない」と言い張っていたが、映像を前にすると真っ青になり、「警察だけはやめてくれ」と事務所で泣きじゃくったらしい。防犯カメラの電源を抜いたつもりが、別の電源を抜いていたという。それすら見分けがつかないほど、首が回らなくなっていたのだろうか。
 真相は闇の中だが、僕が引っ越す数日前、駅前のパチンコ屋に入っていくムラタを見かけた。働いたお金であればいいけれど、また別の場所でお金をちょろまかしたりしたのかもしれない。にこやかで気持ちのいい奥さんと元気なお子さんが、これ以上泣くような結果にならないことを願う。
◆人間の善悪を決めるのは国籍ではなく「個」
 世間はやたらと外国人に厳しい。「国に帰れ」「迷惑だ」「外国人優遇が過ぎる」という過激な言論ばかりがよく目立つ。だが、彼らの力なしに店や産業が回るだろうか。東京から離れた今も、旅館や飲食店で懸命に働く外国人を見かけて胸が痛くなる。
 文化の違いによって目が曇ることもあるが、人間の善悪は国籍ではなく、その人個人の性質(ネイチャー)によるものだ。差別や排外の矢を放てば、それは巡り巡って自分の頭に突き刺さる。
 自分が不自由なく利用している店、建物、道路に至るまで、彼らの力添えがあって初めて存在している。その事実を思い出すことが、心ない言葉を吐いてしまう社会の冷たさを溶かす一歩になると信じている。
 <TEXT/千馬岳史>
 【千馬岳史】
 小説家を夢見た結果、ライターになってしまった零細個人事業主。小説よりルポやエッセイが得意。年に数回誰かが壊滅的な不幸に見舞われる瞬間に遭遇し、自身も実家が全焼したり会社が倒産したりと災難多数。不幸を不幸のまま終わらせないために文章を書いています。X:@Nulls48807788
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