🌄6〉─1─円安の日本は貿易立国ではなく観光立国である。~No.20 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2024年6月26日 YAHOO!JAPANニュース ビジネス+IT「もはや「貿易立国ですらない」日本、サービス収支に見る円高実現を阻む「ある要因」
 円安圧力がジワリと高まっている実態を読み解く(Photo/ Shutterstock.com)
 円相場の動きは金利動向だけでなく、経常収支の動向からも読み取ることができる。外国為替市場の中長期的な趨勢を見通す観点からは、むしろ金利よりも重要であるかもしれない。実際、日本の経常収支の動向を項目別に長期観察すると、変貌する日本経済の実態が如実に表れている。かつて日本は貿易立国として、経常収支の中で貿易収支が大幅な黒字を続けていた。これが中長期的な円高の力学となっていたが、2000年代後半からは構造変化が生じているようだ。今回は、国際収支統計を手がかりに、円安圧力がジワリと高まっている実態を読み解いてみよう。
 【詳細な図や写真】図表1:国際収支統計の内訳(出所:日本銀行『国際収支関連統計:項目別の計上方法』などをもとに筆者作成)
 為替市場で重要な「経常収支」の動向とは
 前回見たように、現在の外国為替市場で強く意識されているのは日米の金利差だ。昨年12月まで11回の利上げを続けた米国では、政策金利のレンジが5%台半ばにまで高まっている。この先、景気の過熱感が弱まってくれば、利下げに向かうとの予想が大勢だ。
 一方、「金利のある世界」に向かいつつある日本は、少しずつ利上げが進むと見込まれている。つまり、今後は日米の金利差が縮小し、ドルを売って円を買う動きが強まると考えられる。それゆえ、今後は円安から円高へ反転すると見立てられるわけだ。
 ただし、外国為替相場は金利だけで動くわけではなく、経常収支の動向も重要だ。経常収支は金融収支と並ぶ国際収支の大きな項目で、経済の実態を如実に映し出すため、その推移から外国為替市場への中長期的な影響を読み取ることができる(図表1)。
 リーマンショックがきっかけの「収支変化」
 国際収支は一定期間の対外的な経済取引(フロー)を表す。このうち金融収支には、経営を目的としたM&Aや工場建設などの「直接投資」と資産運用のための「証券投資」などが含まれる。証券投資は、金利の動きに反応した動きが起きやすい取引の典型だ。
 他方、経常収支は大きく「貿易・サービス収支」と「所得収支」から構成されており、前者には自動車など財の輸出入(貿易収支)と国境を越えた輸送や旅行などサービスの輸出入(サービス収支)が、後者には日本企業の対外資産から得られる利子や配当などの受け取りが計上される。いずれも実体経済の動きを反映した取引と言える。
 図表2を見るとわかるように、リーマンショック前までの日本は貿易・サービス収支の黒字が経常収支に大きく貢献していた。輸出(受取)が輸入(支払い)を上回っていたのだ。この構造では、従業員の給与や納入業者への支払いに充てるべく、東京外国為替市場でドルを売って円を買う取引が活発になる。
 また、輸出で獲得した外貨の一部は、対外資産として債券(たとえば米国債など)で運用されるようになり、さらにプラザ合意後の1980年代後半からは、海外直接投資によって米国やASEAN諸国に工場や販売拠点を整備する動きが広がった。
 こうした日本経済のグローバル化によって、海外の事業活動で得る利子や配当などの一次所得も着実に増加した。つまり、リーマンショック前までの日本経済は「貿易・サービス収支」と「所得収支」のツートップ体制で、経常収支の黒字が増加傾向を続けていたのだ。
 それらは、いずれもドルを売って円を買う力学(円高圧力)となっていた。ところが、リーマンショック以降この構図は大きく変わり始めた。
 日本はもはや「貿易立国ではない」と言えるワケ
 リーマンショックが起きた2008年の「貿易・サービス収支」は1.9兆円と2007年の9.8兆円から大幅に減少した。このうち「貿易」の輸入は前年比9.1%増の7.2兆円だったのに対して、輸出は「需要が蒸発した」と形容された世界的な景気後退が響いて、製造業で生産停止が相次ぎ、前年比3.1%減の7.8兆円となった(図表3)。
 これが「貿易・サービス収支」に大きく影響し、黒字が7.9兆円も激減したのだ。その後、2010年には復調の兆しも見られたが、2011年にマイナスに転じてから5年連続で赤字が続いた。ちなみに、旧統計に遡って、「貿易収支」が赤字になったのは1963年以来48年ぶりのことだ(国際収支統計と定義が異なる貿易統計で見ると1980年以来31年ぶりの赤字)。
 東日本大震災によるサプライチェーンの混乱で、輸出が再びマイナスになったことに加えて、原子力発電所の稼働停止に伴う火力発電所向け原油輸入の急増などが影響したと見られる。それ以来「貿易・サービス収支」は赤字基調が続いていて現在に至っている。
 このように俯瞰(ふかん)すると、リーマンショック以降の日本は、もはや貿易立国として外貨を獲得してきた従来型の構造にはないと言える。つまり、貿易面からは、輸出で稼いだドルを売って円を買う力学(円高圧力)よりも、輸入の支払いのため円を売ってドルを買う力学(円安圧力)が働く構造に変貌しているのだ。
 サービス収支に見られる「大きな構造変化」とは
 東日本大震災からの復興が進む中、「貿易収支」は2016年から2021年まで6年連続で黒字を維持した。とはいえ、資源が乏しい日本の貿易収支は、輸入に依存している資源価格の動向次第という脆弱性があり、国際情勢が緊迫した2022年以降は再び赤字基調だ。
 それでは「貿易・サービス収支」のもう1つの柱である「サービス収支」の動向はどう推移してきたのだろうか。サービス収支は、大きく「輸送」「旅行」「その他サービス」で構成されるが、全体としては現統計で遡れる1996年以降一貫して赤字が続いている(図表4)。
 ただし、サービス収支の項目別内訳を見ると、この間に見られた日本経済の大きな構造変化が映し出されている。ポイントは「旅行」と「その他サービス」だ。1990年代の旅行収支は大幅な赤字であったが、次第に赤字幅が縮小し、2010年代半ばからは黒字に転じている。
 インバウンド観光との「ある関係」
 この構造変化は、日本人の海外旅行と訪日外国人によるインバウンド観光の実態を如実に示している。旅行サービスを財の貿易に置き換えると、日本人が海外旅行をする場合は「輸入」に該当する。海外で商品を買って日本に持ち帰ることを考えると理解しやすいだろう。
 他方、訪日外国人が日本で財を購入する場合は、相手が海外から日本に商品を買いに来てくれるわけで、日本の生産者にとっては「輸出」に該当する。
 その恩恵は、形のある財(商品)だけではなく、レストランでの食事やタクシーの利用などにも及ぶため、従来は非貿易財と考えられてきたサービス取引が自動車などの財と同様に貿易財化することになる。訪日外国人という国境を越えた人の往来は、貿易効果が及ぶ領域の拡大をもたらすのだ。
 日本では、小泉政権下で訪日外国人によるインバウンド観光の振興策が強化されるようになった。2003年1月の施政方針演説や同年4月に取りまとめられた「観光立国懇談会」報告書を契機にさまざまな取り組みが開始され、2006年には観光立国推進基本法が成立した。
 2008年10月の観光庁設置や2012年3月の観光立国推進基本計画の閣議決定により、訪日外国人によるインバウンド観光の振興は重要政策の1つに位置付けられたと言える。
 円高が「一筋縄ではいかない」ワケ
 こうした政策の成果が、内訳別に見た「サービス収支」の推移に鮮明に表れているわけだ。長い間、日本人の海外旅行(=輸入)が訪日外国人のインバウンド旅行(=輸出)よりも圧倒的に多かったため、「旅行収支」は赤字が続いていた(前掲図表4)。
 ところが、2000年代後半からは、赤字幅の縮小傾向が鮮明となり、2015年以降は一転して黒字が定着している(コロナ禍で黒字幅は一時減少した)。
 こうした旅行収支の構造変化は、当然ながら外国為替市場にも影響する。日本人が海外旅行をする際は、円を売ってドルを購入するため、外国為替市場では円安の力学が働く。一方、訪日外国人はドルを売って円を買うため、円高の力学となるのだ。
 旅行収支が赤字基調から黒字基調に転換したことで、旅行収支の面では円高圧力が続くことになるわけだ。ただし、「サービス収支」の動向をつぶさに見ると、それとは正反対の力学も生まれており、一筋縄ではいかないようだ。
 たしかに、旅行収支が黒字化したことを受けて、2010年代の半ばから後半にかけて「サービス収支」の赤字幅は縮小傾向を示していたが、2020年ごろから赤字幅が拡大傾向にあるのだ。もちろんこれはコロナ禍で訪日外国人旅行者が急減したことも一因だ。
 だが、それ以外にも赤字の拡大要因が潜んでいる。輸送収支は赤字続きだが、赤字幅は数千億円から1兆円程度でほぼ一定だ。問題は「その他サービス」にある。そして、これには経済の「デジタル化」と「グローバル化」(情報化のグローバル化)が深く関係しているようだ。
 次回はこの点を掘り下げていこう。
 〔参考文献一覧〕
 執筆:九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦
   ・   ・   ・   
 6月26日 MicrosoftStartニュース FinTech Journal 金融の未来を見通す情報メディア Powered by ビジネス+IT「なぜ「異常な円安」が続くのか? 原因は日米金利差? そんな“簡単ではない”深刻問題
 連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
 タグをもっとみる
 この数年間の急速な円安は、日米金利差の急速な拡大によるものだ。ただ、この説明だけでは不十分であり、なぜ日銀が金利を上げられないかを明らかにする必要がある。ここで注目すべきは「自然利子率」である。これを読み解くと、日本が行き着く最悪のシナリオが考えられる。
 執筆:野口 悠紀雄
 なぜ日銀は利上げを実行できないのか
 (Photo/Shutterstock.com)
 <目次>
 たった数年で「急速に貧しくなった」
 日銀の金融緩和が円安を招いた
 円安の原因は「金利差」以外にあるのか?
 もう金融政策では「コントロールが難しい」ワケ
 日本が行き着く「最悪のシナリオ」
 たった数年で「急速に貧しくなった」
1ページ目を1分でまとめた動画
 日本円は、この数年間で急激に価値が低下した。2021年秋ごろまでは1ドル105~110円の間で推移していたのだが、2022年3月から急速に減価し、2022年10月には150円に近づいた。その後円高になったが、再び円安となり、150円を超える円安が続いている。
 これが日本に深刻な問題をもたらしたことは間違いない。輸入物価の高騰により、国内物価が高騰した。日本人の購買力が著しく減少し、海外の高価なものを買えなくなった。そして、留学できない、外国からの労働者が日本に来ない、などの問題が発生している。日本は急速に貧しくなったのだ。
 一体なぜこのようなことが起きたのか? その原因は何か? ここから抜け出すにはどうすれば良いのか? それとも、これは一時的な現象に過ぎないので、あまり深刻に考える必要はないのか?
 日銀の金融緩和が円安を招いた
 円安の原因は日米間の金利差だ。2022年春から円安が進んだのは、米国が政策金利を急速に引き上げ、日本が追随しなかったので、日米間の金利差が拡大したためだと説明される。
 画像
 円安の原因が金利差だけでは説明できない理由とは
 (Photo/Shutterstock.com)
 たしかにそのとおりである。この説明は正しい。ただし、これだけでは不十分だ。
 金利差が円安をもたらすのは、「円キャリー」と呼ばれる取引による。これは投資資金を円で借りて調達し、それをドル資産に投資する取引だ。これによって金利差分だけの利益を得られる。
 ただし、将来時点で円高が進めば、円資金を返却するときに損失が発生する。したがって、利益を得られるためには、将来円高にならないことが必要だ。
 日本銀行は、2022年12月まで金融緩和策を見直す予定はないと明言していた。また2023年4月から総裁が交代して金融政策の正常化に取り組むとしたが、当面は金融緩和を継続するとした。これは、円キャリー取引の利益を保証したようなものだ。このために、円キャリー取引を誘発し、円安が進んだのだ。
 日米金利差によって円安が生じ、そして円安が問題をもたらしているのであれば、「日銀が金利を上げることによってそれに対処する」のは、当然、必要とされることのように思われる。
 しかし、問題はそれほど簡単ではない。
 円安の原因は「金利差」以外にあるのか?
 第一の問題に、金利差以外の要因が円安を引き起こしている可能性がある。仮にそうであれば、金利を引き上げたところで、円安をストップできないだろう。
 この続きは会員限定(完全無料)です
   ・   ・   ・   
 6月26日 MicrosoftStartニュース Record China「日本で外国人価格設定の動き=中国ネット「日本はそこまで落ちぶれた?」「多く取らないと…」
 中国メディアの頭条新聞は25日、日本の観光地で外国人から多く料金を取る動きが出ていると報じた
 © Record China
 中国メディアの頭条新聞は25日、日本の観光地で外国人から多く料金を取る動きが出ていると報じた。
 記事は、日本を訪れる外国人観光客の数が過去最多を記録する中、オーバーツーリズム対策などで一部の飲食店や観光地では外国人の料金を高く設定する二重価格制度が導入されていると紹介。日本の専門家からは「日本はサービスの良さと安心安全を売りにして外国人観光客を誘致してきており、二重価格の設定には違和感がある」との声が出る一方、業界関係者や政治家などから導入を進めるべきとの声が出ていると報じた。
同メディアは「日本の観光地が外国人から多く料金を取ろうとしていることについてどう思いますか?」とのアンケートを実施しており、これまでに760人ほどが回答。「外国人差別だ」は533票、「客を制限するためで理解できる」は202票となっている(残りはその他)。
 中国のネットユーザーからは「そんなことするなら行かないわ」「日本を崇拝しているやつら、出てきてどういうことか説明しろ」「二重価格は貧しい国にのみ存在するという印象。日本は本当にそこまで落ちぶれたのか?」との声が上がる一方で、「中国人はこれ見てどう思っているかな?」「なんていうか、世界中どこも同じ。国内にも二重価格はある」「中国の多くの観光地も地元民は無料」との声や、「良いことだと思う」「多く取らないと円安による損を補填(ほてん)できないでしょ」といった声も出ている。
 先日には兵庫県姫路市の清元秀泰市長が、姫路城の外国人観光客の入場料を4倍にする意向を国際会議で示し、波紋を呼んでいた。(翻訳・編集/北田)
   ・   ・   ・   
 6月26日 MicrosoftStartニュース Record China「日本の観光産業が自動車に次ぐ第2の輸出産業に=韓国ネット「韓国人が日本経済を支えている」
 26日、韓国・亜州経済は「日本を訪れる外国人観光客が日本経済を支える柱になりつつある」と伝えた。資料写真。
 © Record China
 2024年6月26日、韓国・亜州経済は「日本を訪れる外国人観光客が日本経済を支える柱になりつつある」とし、「円安などに後押しされて訪日観光客が過去最多を記録し、自動車産業に次ぐ第2の“輸出産業”に浮上した」と伝えた。
 記事は日本メディアの報道を引用し、「今年1~3月期の訪日観光客消費が年換算で7兆2000億円に達した。主要輸出額と比較すると、昨年17兆3000億円と集計された自動車産業に次いで2位となり、半導体などの電子部品(5兆5000億円)や鉄鋼(4兆5000億円)を上回った」「円安などの影響により訪日外国人(インバウンド)客が急増した。10年で5倍に拡大し、観光が主力産業になったと評価されている」「上昇の勢いは自動車産業を上回った。観光客消費はコロナ禍前の19年(4兆6000億円)から約60%増加。同じ期間に自動車と鉄鋼は約45%、半導体など電子部品の輸出は約40%増加した」などと説明している。
 また「今年3~5月に日本を訪れた外国人観光客の数は300万人を超えた。5月の訪日外国人の4人に1人が韓国人だった」「観光客の消費額も増加した。過去5年間で1人当たりの消費は30.1%増加し、平均滞在期間は6.2日から6.9日に増えた。観光客の消費パターンはこれまでショッピングが中心だったが、宿泊、飲食、交通、ツアーなど娯楽サービスの支出が目立って増加した」「ただし一部では、オーバーツーリズム(観光公害)が社会的問題になっているとの指摘も出ている」などと伝えている。
 この記事を見た韓国のネットユーザーからは「韓国人が日本経済を支えている」「日本にはおいしいものや楽しいものが多い。韓国も観光産業の活性化が必要だ」「東京に行くと外国人と日本人が半々」「日本の観光産業は10年前まで韓国に負けていたのに、今やすっかり先を越されてしまった」「韓国も観光収入が半導体を越える日が来てほしい」「日本の製造業が滅びつつあるということでは?」などの声が寄せられている。(翻訳・編集/堂本)
   ・   ・   ・