¥3〉─2─円安より怖い! 日本経済の“時限爆弾”。~No.7 

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 2022年4月22日06:00 MicrosoftNews SankeiBiz「円安より怖い! 日本経済の“時限爆弾”
 © SankeiBiz 提供 「異次元緩和」という破廉恥な文言を振りかざし、金利を徹底的に押し下げ、物価を上昇させる一方で、円安を誘導する(Getty Images)※画像はイメージです
 ウクライナ情勢の影響と称して、円安が止まらない。日銀が必死で支えようとしても焼け石に水で、それは日本経済という大型船が沈没していく予兆のように見える。全ての元凶は、「アベノミクス」にある。
 辞めない理由は何か
 「デフレ脱却!」を掲げ、経済通でも金融通でもない安倍晋三元総理が、自身が「抜擢した」日銀総裁とともに始めた経済政策は、「異次元緩和」という破廉恥な文言を振りかざし、金利を徹底的に押し下げ、物価を上昇させる一方で、円安を誘導する――。
 多くの専門家が、「そんな無茶をしたら、日本経済は破綻する」と警鐘を鳴らしても、どこ吹く風だった。本来、双方に独立性を持ち、場合によれば総理の意向にも背くことこそが、日銀総裁の使命だが、安倍-黒田の関係は、蜜月ではなく「一蓮托生」関係で、強引に「アベノミクス」を推し進めた。
 © SankeiBiz 提供 いずれ膨らみに膨らんだ「借金」というバブルは弾け、日本丸は沈没していく(Getty Images)※画像はイメージです
 この2人が「絶対安全!」と太鼓判を押した理由があった。国家財政が悪化を辿っても、国債を乱発し、その多くを日銀が買っていたのだ。そして、株価維持のためにあろうことか、日銀が東京株式市場の主要株を買い続けたのだ。
 その結果、数字的には日本経済は復活した、ことになった。
 だが、黒田総裁が長きにわたって誘導してもさして動かなかった円の値段が、短期間で暴落し、今度は下落が止まらないというのだから、情けない限りだ。
 安倍晋三が去り、菅義偉が辞したにもかかわらず、黒田総裁はなおもその座に止まっている。既に在位は10年にも及ぶ。本来であれば、安倍が総理を降りた段階で、一緒に辞めるべきだった。しかし、菅政権は、実質安倍政権の付録のような政策を行っていたために、黒田総裁は継続した。さすがに、岸田内閣成立で終わりかと思ったら、今なお総裁は交代しない。
 そして、今なお黒田総裁は、就任以来の政策を固持し、日本経済を迷走させ続けている。
 彼が辞めない理由は何だろうか。
 おそらくは、彼の後始末を誰もやりたくないからではないか。
 私のような経済や財政の「外野」から見ても、円安ショックなんて、まだまだ序の口にすぎない。自由主義経済の雄など喧伝しながら、日銀が東京株式市場の株価を買い支える恒常的なPKO(Price Keeping Operation)が続き、日本の実体経済と株価が乖離し続けている。
 景気が良くなった、給料が上がった、生活が楽になったという実感がないのに、財界や経済アナリストは、「アベノミクス」に高い評価をしている人たちが多い。だが、それはまやかしの数字のトリックに過ぎないのではないか。
 「アベノミクス」によって動き始めた国家破綻
 何もかもを嵩上げし、落第点ばかりが続いている数字を誤魔化しているツケをいつか払わなければならない。そもそも株価が下がれば、国家の財源がなければ、日銀が札を刷って買えばいいなど、まともな国家なら笑止千万でしないことを、黙殺してきたツケだ。
 コロナ禍で異常な財政支出を3年も続けたあげく、ウクライナ情勢では、「先進国の義務」として何度も、支援金を捻出している。
 借金まみれで、孫の代まで身動きが取られないような時に、こういう想定外の出費が生まれるものだが、国にも日銀にも危機感は薄い。
だが、いずれ膨らみに膨らんだ「借金」というバブルは弾け、日本丸は沈没していく――。それは、不見識な小説家の妄想ではなくなりつつあり、いつ起きてもおかしくない瀬戸際に来ている気がしてならない。
 「アベノミクス」によって動き始めた国家破綻という時限爆弾を止める努力を、政財界が一丸となって回避する行動を今すぐとってほしい。
 真山仁
 小説家
 企業買収の世界を描いた『ハゲタカ』で小説家デビュー。経済小説だけでなく、最先端の再生医療につきまとう倫理問題など、現代社会の光と影に迫った数々の作品で知られる骨太の社会派作家。」
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¥3〉─1─1ドル=150円。円大暴落と暗い未来予測。~No.6 

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 アメリカが唯一の大国と言われる理由は、他国に頼る事なく輸入せず自国内だけで食糧、物資、エネルギーを自給できるからであり、もし足りないものがあれば北米、中米大陸、カリブ海で他国の妨害を得ずに手に入れる事ができるからである。
 アメリカは、地理的条件での地政学、地経学から唯一侵略されない絶対安全国家である。
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 2022年4月23日号 週刊現代ウクライナ戦争
 長期化のルーブル並みに売られて
 止まらない円大暴落
 1ドル=150円の日本で起きること
 すでに半世紀ぶりの円安水準に落ち込んでいるのだという。このままでは海外旅行にさえ行けず、外国人に買い叩かれるだけの『貧しい国』になってしまう。生活を守るために、できることはまだある。
 富が海外に流出していく
 ロシアによるウクライナ侵攻以来、日本円の暴落が止まらない。4月13日には1ドル=126円を突破。ロシアの通貨ルーブルは侵攻前の水準に値を戻しつつあるが、円は対ドルで約9%も下落したままだ。
 実に約20年ぶりの円安水準だが、事態はさらに深刻だ。経済学者で多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏が解説する。
 『国際決済銀行が発表する「実質実効為替レート」は円の総合的な実力を示すものですが、これが約50年ぶりの低水準になっています。つまり、日本円は70年代前半と同じくらいの実力しかないということです』
 かつては『有事の円買い』と言われ、市場の危機が高まると円が買われたものだった。リーマンショック東日本大震災のときでさえ、円高に振れた。日本円は『安全資産』として存在感を際立たせていたのである。
 しかし、ウクライナへのロシアの侵攻が長期化しているのにもかかわず、円は売られ続けている。みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏がこう分析する。
 『現在の円安には2つの理由があります。1つは米FRBが利上げをしているから。日銀が金利上昇を抑え込んでいる日本と米国の金利差が拡大し、円売り・ドル買いの流れが続いています。
 もう一つが日本の貿易赤字が拡大していることです。資源の乏しい日本はその大半を輸入に頼っていますが、ウクライナ侵攻もあり、エネルギー価格が高騰してしまいます。燃料や原材料を高い値段で海外から購入せざるを得ないのです』
 貿易赤字は今年1月に2兆1,911億円、2月に6,682億円となり、日本の富は海外へどんどん流出している。
 『財務長官が円安に対して「急激に変動することは望ましくない」と牽制しましたが、日銀総裁は金融緩和の継続を明言しており、何の意味もありません。1ドル=150円程度の円安は十分にあります』(為替ストラテジストの高野やすのり氏)
 現在の円の実力は70年代前後と同程度であることは前述した。これが1ドル=360円の固定為替相場制だった時代と同じくらいの実力へとさらに低下していくという。
 シグマキャピタル・チーフエコノミスト田代秀敏氏が言う。
 『それはつまり、私たちの生活が、70年代初頭の水準に引き落とされてしまうことを意味します。当時、海外旅行ができたのは、一流のプロ野球選手や芸能人など一握りの人だけでした。いまはコロナ禍で海外に行けないだけと思っているかもしれませんが、コロナ禍が明けても、一般人は物価が高すぎて海外にいけないという事態になっているかもしれません。
 仮に行っても、現地で普通の食事をすることすら高く感じるはずです。たとえば、米国のマクドナルドのビッグマックは5.81ドルですが、1ドル=150円で円換算すれば、871.5円。国内での価格は390円ですから、単純計算で約2.2倍です。海外で気軽にファーストフードを食べることすらできない。そんな惨めな時代になってしまうのです』
 それでも70年代当時の日本は若者が多く、明日はもっと成長していくという希望が社会にあった。インフレと同時に、賃金は上昇していません。
 『米国では、3月の消費者物価指数が8.5%の伸びを見せるなど歴史的なインフレが続いています。それと同時に賃金も上がっている。ところが、今の日本ではまったくと言ってほど、賃金が上がっていません。これ以上、円安が進めば、日本人の購買力は諸外国に比べてどんどん下がっていく』(前出・唐鎌氏)
 電気代も電車賃も上がる
 日本人の財布に追い打ちをかけるのが、資源価格の高止まりだ。
 『ガソリンはいま政府が1リットルあたり25円を上限に補助金を出しているため、1リットル174円程度で済んでいますが、補助金がなければ2,000円近いわけです。さらに円安が進み、1ドル=150円という水準になれば、1リットル240円程度にまで上昇するでしょう。
 しかしこれで終わらない。原油液化天然ガス(LNG)は長期的に上昇傾向にあるからです。いまは1バーレル=100ドル程度の原油も、戦争の長期化で150ドルに近づくことが懸念されています』(経済産業研究所コンサルティングフェローの籐和彦氏)
 ウクライナ戦争前、世界は地球温暖化対策のための『脱炭素』一色だった。将来的に化石燃料の使用が減少するなかで、原油や石炭、LNGをすぐに増産する資源国はほとんどない。化石燃料の供給が増えないのに、ウクライナ戦争の影響で需要は急増しているのだから、エネルギー価格が上がるのは当たり前だ。
 『原油が1バレル=150ドル、為替が1ドル=150円になれば、電気料金のさらなる値上げは確実です。……
 公共交通機関の値上げも始まります。山手線の初乗り運賃は140円ですが、これが200円になり、現在は約1万4,000円の東京から新大阪までの新幹線代が2万円台になったりすることもありえます』(藤氏)
 世界中に買い叩かれる
 日本人にとって物価が高くなっても、外国人にとって円安の日本はただの『物価が安い国』だ。
 『今後は日本の不動産、たとえば住環境のいい都内の一等地の物件や、北海道のニセコなどの有名リゾートのスキー場などは世界中の投資家がバンバン買っていくでしょう。高度な技術を持つ中小企業なども簡単に買収されるようになって、企業防衛もできなくなる。今回の円安は限度を超えており、日本経済の衰退を加速させる』(慶應義塾大学ビジネススクール准教授の小幡績氏)
 円の大暴落と原油価格の高騰は止まらず、物価が急激に上昇していくにもかかわらず、日本人の収入は増えない──。あまりにも暗い未来予測だが、できることはある。円安とインフレに強い銘柄に投資し、少しでも資産を守ることだ。
 ……」
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 米ドルは、断トツの信用を持った世界市場における基軸通貨である。
 アメリカは、軍事力と経済力そして通貨力で、世界の食糧・物資・エネルギーを支配し、金融・経済、情報・サービス、インターネット、運輸、輸送、その他の各種サービスを動かし、海上・上空・陸上の安全をアメリカ軍が保障している。
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 日本が大国になれない理由は、食糧・物資・エネルギーを自給自足できず必要量を海外市場から米ドル建てで購入し、金融・経済、情報・サービス、インターネット、運輸、輸送、その他の各種サービスをアメリカに頼り、海・空・陸各輸送路の安全をアメリカ軍に依存しているからである。
 つまり、経済大国日本とは中身が空洞の張り子の虎である。
 必要なモノは海外で買えばいい、それが如何に無意味で、他国があてにできない・頼りにならない事がコロナ禍とウクライナ戦争が証明した。
 つまり、先進国の一員だと自惚れていた現代日本人が如何に馬鹿で愚かである事が白日のもとに晒された。
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 現代日本で安心する為に何の根拠もない綺麗事の誤魔化しが流されているが、それは江戸時代に磔獄門で処刑される囚人が馬に乗せられ引き回しの上で刑場につれられていく時に口ずさむ虚勢の「引かれ歌」に似ている。
 つまり現代の日本人は、今そこにある深刻な不都合な現実を見ない、不快になる気に食わない事実から目を逸らし、ウソでも虚構でも実現しなくても安心できる言説を信じ込もうとしている。
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 昔の円安は、人生50年時代の人口爆発で若者が多く老人が少なく、日本国内で生産した優秀なメイド・イン・ジャパンの日本製品を安価で大量に外国へ輸出して外貨を稼いでいた。
 将来は明るく、未来には夢も希望も溢れ、強欲となって高額な土地、家、自動車、その他を無理しても購入した。
 今の円安、今後の円安は、人生100年時代の人口激減で老人が多く若者が少なく、外国の工場で現地人労働者を使って生産した日本製品を海外で売るが、それでも中国・韓国・その他の製品に売り負けしている。
 将来は暗く、未来には夢も希望もないか少なく、低欲で無駄な物は買わないし、買っても数を減らして購入している。
 昔の円安では国内で生産して外国に売る日本製品があったが、今の円安、今後の円安では国内で生産して外国に売る日本製品がない。
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 現代日本には、老いさらばえて昔ほどの競争力も生産性もない。
 経済成長を否定するシニア世代や世界で一番・ナンバーワン・オンリーワンを否定する大人は、本気で若者、子供、孫その先の世代の事など考えていない。
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 コロナ禍で、日本の競争力や技術力が途上国並み・三流国並みに落ちている事が明らかとなり、将来、先進国から脱落する危険性が見えてきた。
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 諸物価高騰と円安の日本が生き残るには、新たな経済成長を目指し、一人一人の生産性を上げ、外国で売れる日本製品(メイド・イン・ジャパン)を作って輸出して外貨を稼ぐしかない。
 経済成長否定論者では、三流国並に衰退した日本を救えないし、貧困化を深める日本人を助けられない。
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 現代の日本人は、国際認識力・英語会話力・金融力・経済力があるとしても、農業神話(稲神話・天皇神話)に基づいた民族的な歴史力・文化力・伝統力・宗教力そして技術力がない。
 その証拠に、「コメはわが国で唯一、自給可能な穀物である」という虚構・ウソを信じている。
 歴史的事実として、米が自給できているのは、現代日本人がコメを食わないからであって、もし日本人が戦前の様にコメを食べる様になれば一気に米不足に陥る。
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 戦後の日本は、アメリカに依存し、アメリカ経済に寄生して生きている。
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 アメリカは大国であったが、日本は小国でどうあがきもがこうとも大国にはなれない。
 リベラル派・革新派そして一部の保守派、左翼・左派・ネットサハ、右翼・右派・ネットウハらによる反米は、分別なき低能な乳幼児のままごと遊びに過ぎない。
 それは、米ポチの保守でも同様である。
 その厳然たる事実を肌身で痛感していたのが、明治から昭和初期までの昔の日本人である。
 その意味で、国際感覚は現代の日本人よりも昔の日本人の方が優れていた。
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 国際通貨は米ドル貨・英ポンド貨・仏フラン貨などで、日本円貨は通用しなかった。
 日本の貿易で重要であったのが、アメリカとイギリスに貯めた在外日本資産であった。
 アメリカ・ウォール街、イギリス・シティー、オランダ・アムステルダムの金融を支配していたのは、ユダヤ系国際金融資本であった。
 そして、世界の食糧・物資・石油などを支配していたのは、アメリカとイギリスの国際資本であった。
 世界戦略からいえば、食糧・物資・石油は最有力な武器であった。
 輸入国家日本の命綱は、輸出産業で稼いだ外貨を貯めた在外日本資産であった。
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🚷29〉─1─早期退職で年金額が減り老後が苦しくなる。~No.130 

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 早期退職すると、経済が低迷し、景気が悪い時、他人と差別化をはかれる特殊技能、稼げるスキルを持っていないと再就職口がなく無職として路頭に迷う事になる。
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 2022年4月21日 MicrosoftNews All About「早期退職ちょっと待った!年金額への影響は?
 綱川 揚佐(ファイナンシャルプランナー社会保険労務士、年金アドバイザー)
 業績が厳しくリストラを余儀なくされる会社もあるでしょう。退職金の上乗せと引き換えに早期退職を募るという方法も一般的ですが、早期退職によって将来の年金額が思わぬところで減ってしまうこともあります。そんな落とし穴についてご案内します。© All About, Inc. 業績が厳しくリストラを余儀なくされる会社もあるでしょう。退職金の上乗せと引き換えに早期退職を募るという方法も一般的ですが、早期退職によって将来の年金額が思わぬところで減ってしまうこともあります。そんな落とし穴についてご案内します。
早期退職で年金額が減るって本当?
 残念ながら、早期退職で年金額が減る可能性があるのは本当です。
 将来受け取る年金は、老齢厚生年金と老齢基礎年金とに分かれていますが、それぞれについて見ていきましょう。
 老齢厚生年金の年金額は、年金をもらい始めるまでの平均の給料と加入月数によって決まります。例えば2年早く早期退職をすれば、加入月数が24カ月減ってしまいますので、再就職しないことを前提とすると年金額は当然減額となります。
 老齢基礎年金の年金額は、20歳から60歳になるまでの保険料納付月数で決まります。退職後60歳になるまで国民年金保険料を納付すれば、こちらは変わらずに済むことになります。付加年金というオプションを付ければ、増額させることも可能です。ただし、退職後収入が減って保険料の免除を受ければ多少なり減額となりますし、未納のままとしてしまうとさらに減ってしまいます。
 配偶者の年金まで視野に入れると、さらに減額の可能性があります。厚生年金加入者が配偶者を扶養に入れていた(第3号被保険者)場合、退職によって配偶者は第3号被保険者ではなくなりますから、配偶者の分も国民年金保険料を支払わなくてはならなくなります。支払えない場合は免除を受けたりすることになりますが、配偶者の年金もそれにつれて減ってしまうことになります。
 また、早期退職によってご自身の厚生年金保険料の支払いがなくなるということは、そのまま配偶者が遺族年金を受け取ることになった場合の遺族厚生年金の額にも影響します。早期退職の年金額への影響は、決して少なくはない、といえるかと思います。
 ただし、1~2年程度早く退職したからといって、大幅に年金額が減少してしまうのは考えにくいところです。年金は40年以上もの長期間をかけて形作っていくものだからです。
 厚生年金の加入月数にはいくつかの「境界線」がある
 上でご説明したとおり、年金加入期間の多少の変動で年金額が大きく変わる事例はそれほど多くはありません。
 しかし、加入月数が減ることによって、厚生年金の年金額への影響がもう少し大きくなる以下のケースも考えられます。
・加給年金が受け取れなくなる
・長期特例に該当しなくなる
 ひとつずつ見ていきましょう。
▼加給年金が受け取れなくなる場合加給年金は、一般的には配偶者の扶養手当といえるものです。金額は年額約39万円で、一般的にはご自身が65歳から、配偶者が65歳になるまで(要件に当てはまった場合)、受け取れます。受け取るためには厚生年金に原則として20年(240カ月)以上加入している必要があります。
 240カ月以上加入している人は誰でももらえるわけではありませんが、早期退職によって厚生年金の加入月数が240カ月を下回ってしまうと、もらえたはずの加給年金をもらい損ねる可能性があります。配偶者との年の差によっては、総額100万円以上もの違いが出てしまうこともあり得ることになります。
▼長期特例に該当しなくなる場合長期特例は、特別支給の老齢厚生年金が受け取れる人(男性・公務員等共済組合加入の女性は昭和36年4月1日以前生まれ、一般の厚生年金加入の女性は昭和41年4月1日以前生まれ)限定ですが、44年(528カ月)以上厚生年金に加入し、その後厚生年金の資格を喪失した場合に、通常は受給できない定額部分(年額約78万円)が65歳まで受給できる、という特例です。加給年金の条件も同時に満たせば、受給できます。
 このまま順調に勤務を続ければこの特例を使うことができる人でも、早期退職によって加入月数が減った結果、特例に該当しないことも考えられます。年金の受給開始が64歳とすると、総額で最大約117万円(定額部分78万円+加給年金39万円)が受けられなくなります。
 早期退職をすることで、厚生年金の加入月数が上に見てきたような240カ月、528カ月といった月数の境界線を下回ってしまう場合、かなりの金額を失うこともあるので、注意が必要です。
 年金受給開始までをどう乗り切るかが問題
 問題は年金だけではありません。退職から年金受給までの収入をどうするのかが一番大きな問題となります。
 早期退職に応じた場合、雇用保険(失業給付)は会社都合での退職となると思われますので、330日(20年以上勤務した45歳以上60歳未満の場合)受給できます。しかし、そのあとは個人年金等の備えがなければ、退職金や貯蓄の取り崩しでしのがなくてはなりません。
 別の職場に就職することはできるかもしれませんが、現在の待遇で再就職ができるとは限りません。厚生年金に加入できれば上でご説明したような境界線をまたがずに済むかもしれませんが、厚生年金に加入する条件での就職に失敗した場合のリスクを負うことになります。
 60歳になっていれば年金を繰上げ受給するという選択肢もとれなくはありませんが、年金が生涯減額されてしまいますので、人生100年時代といわれる昨今、有利な手段とはなかなかいいにくいところです。
 早期退職は避けるべきなの?
 ここまで見てきたように、年金額についてだけ見ると、早期退職はプラスに働くことは少ないといえますが、早期退職はしてはいけないこととは限りません。
会社が早期退職を募集するような場合には、退職金の上乗せ、給与の補償、減額となる年金の補填、再就職のあっせんなどの条件が付くことがあります。これらの条件と、受けられなくなる年金などを比較して、プラスとなるかどうかが早期退職を検討する際の一つのポイントになるかと思います。
 また、将来の年金が減ると、税金などが減るというメリットがある場合もあります。また、お金では買うことができない「時間」ができるという点も重要ですね。
 経済的な側面と、その他の事情を検討して、プラスになると判断できれば、早期退職を選択するのはもちろんアリかと思います。
 人生100年時代、ハッピーな老後を過ごすために少しでもプラスになる選択をしていきたいところですね。
 文:綱川 揚佐(ファイナンシャルプランナー社会保険労務士、年金アドバイザー)
 金融機関在職中に1級FP技能士を取得後、社会保険労務士や年金アドバイザーも取得。年金記録確認第三者委員会勤務を経て、社会保険労務士・FP事務所を開業。法人向けの労働相談や、多数の年金相談業務等を行う。
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🚷33〉─1─年金制度改正。公的年金70歳支給の足音。~No.145 

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 2022年4月17日 MicrosoftNews マネーの達人「【年金制度改正】近づく「公的年金70歳支給」の足音 ポイント3つと損益分岐点
 4月から、年金制度が変わっています。
 ポイントは3つ。
 ポイント3つと損益分岐点© マネーの達人 提供 ポイント3つと損益分岐点
 年金制度改正ポイント (1)
 1つ目は、60歳から65歳未満の「在職老齢年金」で、年金がカットされる上限が変わりました。
 今まで、働いて厚生年金に加入しながら給料をもらっている人は、60歳から65歳未満だと、給料と年金を合わせて28万円を超えると、超えた年金の一部がカットされました。
 この上限28万円が47万円に引き上げられ、60歳を超えて働く人は、給料と年金を合わせて47万円を超えなければ、年金がカットされることはなくなりました。
 年金制度改正ポイント (2)
 2つ目は、65歳を過ぎて会社で働く場合、65歳から70歳の年金が少し増えます。
 今までは、65歳以降に厚生年金に加入して働き続けても、収めた保険料が年金額に反映されるのは、厚生年金をやめるか、70歳になってからでした。
 それが65歳からは、払った保険料が毎年年金額に反映され、年金が毎年少しずつ増えるようになりました。
 年金制度改正ポイント (3)
 3つ目は、75歳までなら、自分の都合で年金をもらい始める時期を選べるようになりました。
 年金の「繰り下げ受給」は、女性の方が有利かも
 年金は、基本的には65歳からもらいますが、望めば60歳から75歳の間でもらうことができます。
 65歳よりも早くもらう「繰り上げ受給」では、1か月もらう時期を早めるごとに支給額が0.4%下がることになりました。
 いっぽう、65歳より遅くもらう「繰り下げ受給」は、受給を1か月遅らせるごとに年金支給額が0.7%増えます。
 60歳と65歳から年金をもらう損益分岐点は80歳で、65歳と70歳で年金をもらう損益分岐点は81歳。
 日本の男性の平均年齢は81.64歳ですから、平均年齢くらい生きるなら、いつからもらってもあまり損得はないということになります。
 ただ、65歳からもらうのと75歳でもらうのの損益分岐点は86歳なので、平均年齢よりもかなり長生きしないと損をしそう。
 ちなみに、女性の場合には、男性よりも6歳ほど平均年齢では長生きで、生命表を見ると2人に1人は90歳くらいまで生きているので、75歳支給でもいいかもしれません。
 5月には、企業型確定拠出年金iDeCoも変わります
 4月に変わる3つのことのほかに、5月からは、企業型確定拠出年金(DC)の加入年齢が70歳未満、iDeCoの加入年齢が65歳未満と、それぞれ5歳引き上げになります。
 さらに10月からは、いままで「従業員数501人以上」に適用されていた、パートの社会保険の適用が、「従業員101人以上」に適用されることになり、約45万人が、厚生年金や健康保険に加入することになっています。
 さらに、2024年10月からは、「従業員51人以上」への適用が拡大されていく予定です。
 年金の支給は減額、医療費の自己負担も増える
 そのいっぽうで、年金の支給額は減っていて、21年度が0.1%減、22年度が0.4%減となっていて、どんなに物価が上がっても、働く人の給料が減っている現状では、もらえる年金も減っていくという現実を突きつけられたかたちになりました。
 しかも、10月からは、75歳以上の医療費の自己負担が1割から2割に増えます。
 単身世帯では年収200万円以上、高齢夫婦世帯では320万円以上がその対象になりそうで、厚生労働省の資産では、75歳以上の5人に1人が該当するようです。
 年金70歳支給で、影響が大きいのは40代以降
 立て続けの改訂ですが、こうした状況を一言でいうなら、「国は、なるべく健康で働けるだけ働いて、稼ぎながら長生きしろ」と言っているということです。
 「人生100年」と煽るのも、そうした意図があるのでしょう。
 そして、その向こうには、公的年金の70歳支給が待ちかまえています。
 今は、その地ならしといったところでしょう。
 70歳から年金支給ということになっても、50代は、ダイレクトにその影響は受けないかもしれません。
 なぜなら、70歳支給になっても、すぐに65歳からもらえた年金が70歳からでないともらえなくなるという可能性は低いからです。
 前回、60歳支給から65歳支給に支給年齢を引き上げた時には、まず老齢基礎年金を徐々に65歳に近づけ、老齢基礎年金が65歳になった後で老齢厚生年金を徐々に引き上げていくという方法をとりました。
 そして、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方が65歳支給になるまでに、約30年かかっています。
 もし、同じように手順を踏むなら、50代の年金については、まだそこそこにもらえるはずです。
 大きな影響を受けるとしたら、40代以降。
 真剣に、老後資金を考えていく必要がありそうです。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)」
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⛲17〉─5─下流老人に絶対にならないための3つの対策。〜No.78 

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 2022年4月2日 MicrosoftNews All About「下流老人に絶対にならないための3つの対策
 © All About, Inc. 一億総活躍社会と言葉が踊る裏側には、下流老人という陰うつな言葉もあります。健全で明るい老後を送るためには、もう小手先のきれいごとではいけません。本質的な3大対策を、具体例とともにご案内します。
 真っ当で骨太な老後対策とは?
 これからの日本の高齢者の暮らしぶりに、「下流老人」というキーワードで警鐘を鳴らした藤田孝典さんは、「年収が400万円の人でも、将来、生活保護レベルの生活になる恐れがある」と語っています。もはや、小手先の対応ではどうにもならないのだそうです。
小手先でない、真っ当で骨太な老後対策を考えてみました。テーマは、健康、人脈、資産です。
1. 健康のためなら何でもする!
 老後の貧困を決定的にするのは、やはり健康問題です。健全な心身が保てなくなって働けない、病気で治療や投薬のお金がかかる、自分は健康でも家族の介護で働けない、だからお金が残らないという状況に陥るとやっかいです。
ですから、健康のためになら、何でもできることはするという覚悟が必要です。
 具体的には、生活習慣の改善と病気予防があります。生活習慣の改善のポイントは、悪いもの(有害な飲食料)を摂らないこと、規則正しい生活をすること、そして定期的な運動をすることです。病気予防のポイントは、健康診断やがん検診などを欠かさず受けること。
 最近では、それ以外に遺伝子検査で自分の先天的な身体のリスクを知るということも手軽に行えるようになっています。
 インターネットで検査機関を探して、口内の粘膜や爪を送ることで、検査レポートを受け取ることができます。転ばぬ先の杖こそ、お金がかかっても持つべきツールです。自分だけが強健でも不十分です。自分と配偶者、家族が健康であるように、できることはすべてやらないと。
2. 頼れる友人を作っておく
 他人との交流は、人に生きる勇気と知恵を与えてくれます。また、健康やお金の面で、困難な局面に陥っても、周りの人のアドバイスや協力で、そこから抜け出すこともできます。
 頼りになる友人や知人は貴重な財産ですが、それは老後の生活においても変わることはありません。定年後のために、できれば仕事とは別の、プライベートな人脈を充実させておきたいものです。
 頼りになる人材を作れる人は、その人自身が頼られる人です。エゴから人脈を作るという発想ではなくて、利他の精神で自分が役に立てる人材になるところから頼りになる人脈は生まれます。他人が何をしてくれるかではなくて、あなたが他人のために何をできるかを考えて、ご自身を磨いてください。
3. お金があればなんとかなる
 健康でなくても、人脈がなくても、お金があれば、生活困窮になることはありません。お金が切り札ではありませんが、お金は、生活の最低ラインを守ってくれます。そのためには、若い頃から投資(資産運用)の知恵を身につけて、財産形成に励まないといけません。
 具体的には、次の3つを実践しましょう。
1. 収入の1割は使わない、貯金する
2. 貯金の半分は、投資する
3. 投資したお金は、老後まで使わない
 たとえば、いま40歳の人が毎月6万円を強制貯蓄して、その半分の3万円を投資して、もし6%で運用できれば、65歳時には元本の1080万円は3000万円には増えているはずです。これが、長期複利運用の力です。
 このくらいのことができれば、下流老人になる心配はいりません。元気で楽しみな老後を、今から創っていきましょう!
 文:北川 邦弘(ファイナンシャルプランナー
 総合商社、不動産会社等を経て、自分の投資体験から欧米流の資産形成術を学び、2002年にCFP・CPM資格を取得。現在は独立系ファイナンシャル・アドバイザー、NLPラクテイショナー等の人生戦略コーチとして活躍。」
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🚷31〉─1・B─50代で老後資金をあまり準備できない人が、老後貧乏にならないコツ。~No.137No.138No.139No.140 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2022年3月31日 MicrosoftNews All About「50代で老後資金をあまり準備できない人が、老後貧乏にならないコツ
飯田 道子(マネーガイド)
 © All About, Inc. 老後貧乏にならないためには、どのようなことに注意していけばよいのでしょうか? 老後貧乏を回避する3つのコツをお伝えします。
日々の生活に追われてしまい、老後資金の準備があまりできない人もいます。老後貧乏にならないようにするためには、どのようなことに注意していけばよいのでしょうか? 老後貧乏にならない3つのコツを解説します。
【1】老後に、どのような金銭的なリスクがあるのか把握する
 たとえば住宅ローンがある人で、定年退職後にも返済が続いている場合には、老後破綻する可能性が高くなります。その他にも、両親の介護など、金銭的な負担をしなければならないといったことがあるかもしれませんね。
考えておくべきなのは、老後、自分に降りかかるかもしれない金銭的なリスクにはどのようなものがあり、そのリスクを軽くするためには、どのように行動すればよいのかを知っておくことです。
 子どもに援助してもらう、収入があるうちに思い切って住み替える、相続人がいないなら、リースバックを利用して住みながら一時金を得るなどが考えられますよね。
 両親の介護については使える公的制度の漏れはないのかをチェックし、兄弟姉妹がいるときには、全員で負担することを今のうちに考えておいてください。
【2】老後に入る前に、少しずつでも貯金する
 貯金がまったくないから、老後は絶望的だと思ってしまっている人もいます。ただ、現役時代からあきらめてしまうのはナンセンス。今50歳だとしたら、毎月5000円だけ貯めても年間で6万円貯金することができます。
 65歳から年金を受給開始する人であれば、15年間で、90万円貯めることができます。これが1万円なら、倍の180万円です。まさに、継続は力なり。毎月積立をして、余裕があるときにはさらに上乗せをして、200万円を目指してみましょう。
 200万円あっても仕方ない……と思うかもしれませんが、今まで貯金「0円」だった人が200万円ものお金を貯められたことは、素晴らしいことなのです。がんばる価値は大いにあります。
 また、貯金を意識することで、自然に無駄遣いがなくなったり、節約するマインドが生まれたりしてきますので、当初の目標以上の効果が得られますよ。
【3】少しでも長く働く
 セカンドライフは悠々自適に暮らしたいという人もいるかもしれませんが、貯金がある・なしにかかわらず、生きがいを求めて働き続ける人は多くなっています。働いて収入が得られれば、場合によっては年金も繰り下げ受給することも可能になり、結果、年金受給額を増やすことになります。
今は、60歳代の求人もありますので、その気になれば仕事は見つけられます。もちろん、自営するのもアリです。
 「攻撃は最大の防御」という言葉がありますが、お金にも直結します。できるだけ長い期間働いて、貯める機会を増やすことが大切なのです。
 文:飯田 道子(マネーガイド)」
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⛲17〉─4─下流老人と金持ち老人の別れ道!今からできる対策。〜No.77 

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 2022年3月30日 MicrosoftNews All About「下流老人と金持ち老人の別れ道!今からできる対策
 © All About, Inc. 「下流老人」なる表現をよく聞くようになりました。そこで下流老人にならないために、現役時代からできることを考察してみたいと思います。
金持ち老人を目指すならやっておくべき対策
 「下流老人」という表現をよく聞くようになりました。これは、老後を迎えてお金がなくなり経済的に困窮した高齢者、あるいは生活保護を受けざるを得ないほど追い込まれた高齢者のことを指すようです。
 そこで、下流老人にならないために、現役時代からできることを考察してみたいと思います。
 対策1:社会保険に加入しておくこと
 まずは基本中の基本といいますか、受け取れる年金の額を「ぜいたくしなければとりあえず生活には困らない」レベルにすることです。
国民年金の未納問題が取り沙汰されていますが、金額はともかく「生涯もらえるお金」があることは、ひとつの安心材料となるはずなので。
 そこで、個人事業者は国民年金に、サラリーマンは会社の社会保険に加入しておきましょう(正社員ならば給与天引きなので問題ありません)。
 サラリーマンは恵まれています。なぜなら社会保険は労使折半なので、自分の給料から徴収される金額と同じ額を会社が負担してくれるので、倍の恩恵に預かれるからです。夫婦ともに正社員を続ければ、支給額が減ったとしても、そう困らないレベルになるでしょう。
 ただし、個人で仕事をしている人は国民年金だけなので、やはり心もとない。そこで、国民年金基金や付加年金、確定拠出年金、小規模企業共済などに別途加入し、老後に受け取れる年金を増やすのが順当な方法でしょう。
 なお、確定拠出年金は一般の会社員でも加入できるので(会社の企業年金制度の内容によって変わる)、余裕があれば検討に値します。
 それでも不安な人で資金的な余力があれば、民間の保険(積立型の生命保険や個人年金保険)をプラスしてもよいでしょう。確定給付型の保険は将来インフレになれば目減りするのが欠点ですが、払い込み中は節税になり、確定金額が受け取れるのも安心です。
 対策2:マイホームを買っておくこと
 一生賃貸であれば、年金の中から家賃をねん出しなければならないので、都市部では苦しくなることが予想されます。田舎や地方であれば家賃は激安ですが、車が必要になりますし、運転できない年齢になったときに困る。
 そこで現役のうちにマイホームを買っておくという方法が考えられます。定年退職と同時にローンの返済が終わるようにしておけば、老後の住居費はかなり抑えられます。
 お金がなくても、とりあえず住むところには困らないというのもまた、ひとつの安心材料です。住宅ローンは負債といわれることもありますが、老後の住居費の前払いと考えることもできますから、家計に無理のない金額で買っておくのも手です。
 今は低金利ですし、ローンを組めば通常は団信(団体信用生命保険)に加入しますから、生命保険の代替にもなりえます。
 さらに利便性の良い場所であれば、売ることも貸すこともできるし、リバースモーゲージ(自宅を担保にお金を借り、自分が死んだら金融機関がそのマイホームを売却して資金回収する仕組み)も使える可能性が高まりますから、老後の選択肢は増えるでしょう。
 ただしマンションの場合はそう簡単な話ではなく、修繕積立金は一般的に徐々に高くなりますから、ローンを完済しても、管理費+修繕積立金で結構な金額が毎月かかります。
 また、大規模修繕のために一時金を徴収されるケースもありますし、老朽化しても建て替え問題の協議が難航しているマンションもあり、注意が必要です。
 ローン返済がきつそうだという場合は、「賃貸併用住宅」という方法もあります。これなら家賃である程度の住宅ローンを賄えるので、返済負担が軽減されます。
 対策3:老後も働くこと
 平均寿命の延びとともに健康寿命も延び、65歳はもはや高齢者ではなく、「まだ中年」といった状況になるでしょう。そこで、会社の制度に自分の人生を合わせるのではなく、会社が決めた定年なんて関係なく働くことです。
「老後は働き口がない」と予想できるなら、今から「65歳になっても雇用される人材」になるよう鍛錬しておく。あるいは、起業できるよう副業に取り組んでおくことです。自分で事業をやれば生涯現役も可能です。
 働くことで生活に緊張感があれば、病気になるリスクも低減されることがわかっていますので、老後の医療費負担を減らすことにつながります。
 それに何より「社会との接点がある」「誰かから必要とされている」「人の役に立っている」「自分でお金を稼いでいる」という自尊心は、充実した人生を送る上でも重要なことではないでしょうか。
 対策4:副収入源を作っておくこと
 これは資産運用全般も含まれますが、不動産投資による家賃収入や、投資信託の積立、外貨預金なども考えられるでしょう。
ただし私個人としては、あまり金融商品に依存しすぎないほうがよいのではと考えています。確かに将来インフレになれば、株や投資信託などの有価証券の価格は上昇し、お金が増えるという期待はあります。
 しかし老後を迎え、それらを売却・解約して現金化しなければならないタイミングが、たまたま大恐慌だったら、増えているどころか減っているかもしれません。もちろん反対に、お金が必要になったときが好景気なら、お金が増えているかもしれない。
 というふうに、将来はわからない。景気も自分でコントロールできない。だからあまりそこに依存するのはリスクがあるなあ、というのが私の考えで、私が不動産を中心に資産運用をしているのもそこに理由があります。
 都心の駅近で魅力的な賃料を提示すれば入居者が見つからないという可能性は低いし、売却してもいいし自分が住んでもいい。いろんな出口があってそれが選べるからです。
 対策5:お金のかからない生活スタイルを作ること
 今でも地方に行けば、自給自足生活を送っている人は少なくありません。畑で野菜を育て、ニワトリを育て、地域の住民と物々交換をする。それに太陽光発電で電気を賄えば、スマホの充電もできるし、車も電気自動車なら生活にお金はほとんどかからない。少ない年金でもそう困らない可能性があります。
これが「ムリ」という人は、贅沢病にかかり、欲望が肥大しているだけかもしれません。だって、買うモノなんてそんなにありますか? 服や靴は良いものを選び大事に手入れすれば長く使えるし、スマホだって最新高性能なものを買っても収益にはならない。
 私もそう考え、スーツはもう10年近く買っていないですし、スマホSIMフリーで本体は9800円の海外製。それでも十分で、毎月の携帯料金は2000円台に下がりました。というふうに、現役時代から固定費をミニマムにしておき、それに慣れておく。
 でもそれはケチケチ生活をしようということではなく、「本当に重要なこと」「自分を変革・成長させてくれること」「家族の繁栄に貢献すること」に大胆にお金を使えるよう、可処分所得を高く保つという意味です。
 と、いろいろな選択肢をご紹介しましたが、もちろんこれらがすべてではありません。自分のライフスタイルや志向に応じて、戦略的に方法論を考え選ぶ。それが老後の不安を和らげる一助になると思います。
 文:午堂 登紀雄(マネーガイド)」
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