🎴3〉─6─団塊の世代と2025年問題。75歳になっても「俺たちが社会の主役」?~No.16 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2023年2月20日 MicrosoftStartニュース 集英社オンライン「団塊による「2025年問題」が目前に。75歳になっても「俺たちが社会の主役」? 団塊世代とはどんな人たちなのか
 団塊の世代が75歳以上となる「2025年問題」が目前に迫っている。このままでは社会保障を巡る世代間対立を招きかねないなか、団塊の世代は今なお「社会の主役」という意識が根強いという。
 団塊の世代が75歳以上となり、医療介護や国・市町村財政の逼迫が予測される、いわゆる「2025年問題」。
 急速な高齢化による人口構造の変化は、社会保障費の増大を招き、現役世代の暮らしに多大な影響を与えるとされる。数々の将来不安を抱える現役世代にとって、「2025年問題」は団塊の世代との利害対立を招きかねない問題でもあるのだ。
 そのためか、団塊の世代に不満を持つ現役世代は少なくない。SNS上には反感の声が数多く書き込まれている。しかしそのときに焦点が当たるのは、社会保障の世代間格差だけではない。
 「独善的で、抑圧的で、自己中心的」――団塊の世代を、そう評する人は多い。なぜ、現役世代との大きなギャップが生まれるのか。それは長期不況が日常の風景だった現役世代の思い込みなのか。団塊の世代の自意識とはどのようなものだろうか。
 団塊の世代が現役世代から疎まれる背景
 「団塊の世代は『俺たちが社会の主役』という自意識を持った世代です。日本の歴史上、そうした特徴を持つ世代は極めて珍しい。それとともに彼らの持つ「封建性」(後述)が、現役時に企業のなかで後輩や部下への強い圧力になりました」(阪本さん。以下略)
 そう話すのは、大人向けマーケティングの研究開発を行う「人生100年時代 未来ビジョン研究所」の代表・阪本節郎(さかもとせつお)氏だ。長年に渡り、大人マーケティングを研究してきた阪本氏は、戦後社会で一貫して「注目され続けてきたこと」が、団塊の世代のメンタリティを形成したと分析する。
 取材に応じた阪本節郎氏。博報堂時代からエルダービジネスに関する研究を続けている
 © 集英社オンライン 提供
 団塊の世代とは、1947年から1949年までの3年間に生まれた男女を指す(広義には1947年〜1951の5年間)。
 当時の年間出生数は260万人以上。2021年の約81万人と比較すると、現在の3倍以上の子供が生まれている。1945年の太平洋戦争の敗戦により、出征していた多くの若い兵士が続々と復員して結婚したことがきっかけとなり、空前のベビーブームが巻き起こった。
 この戦後の一時期における急激な人口増加に着目した作家の堺屋太一が、1976年に出版した同名、「団塊の世代」という小説が、この呼称の由来となった。
 執筆当時、通商産業省(現・経済産業省)の官僚として人口問題に関心を持っていた堺屋は、終戦後に文字通り「塊」のように生まれてきた世代が、戦後社会の構造に大きな影響を及ぼしていると小説の形で指摘した。
 「端的に言って、団塊の世代とは『数の力』でした。団塊の世代は人口が多かったから社会を変えることができたし、その変化を目の当たりにしているから『俺たちが社会を動かしている』という意識を自然と持つようになりました」
 敗戦に沈む日本社会の希望として生を受けた団塊の世代。焼け野原に芽吹いたつぼみのような存在だった彼らは、どんどん数を増やし、戦後の灰色の風景を鮮やかな色で埋め尽くしていくことになる。
 1960年代、日本は「若者文化の国」になった
 団塊の世代の影響力が顕著になり始めるのは、彼らが10代後半を迎える1960年代後半。音楽やファッションなどのポップカルチャーが台頭した頃だ。
 「団塊の世代は日本を『若者文化の国』に変えてしまいました。1960年代半ばから後半にかけて、音楽シーンは歌謡曲や演歌からロックやポップスに移り変わっていきます。たった数年間で音楽の主流が、橋幸夫舟木一夫からザ・スパイダース、フォーククルセダーズ、さらにビートルズローリング・ストーンズに変わってしまったのです。この変化は急激でした。
 また、ファッションでは男性の長髪やジーンズが登場し、女性の間ではミニスカートが流行します。現在に繋がる若者文化が団塊の世代を機に一気に広がっていったわけです」
 団塊による「2025年問題」が目前に。75歳になっても「俺たちが社会の主役」? 団塊世代とはどんな人たちなのか
 © 集英社オンライン 提供
 たしかに、団塊の世代は芸能や文化のパイオニアを数多く輩出している。
 お笑いでは北野武(1947年)や高田純次(1947年)、音楽では矢沢永吉(1949年)や井上陽水(1948年)、細野晴臣(1947年)、作家では村上春樹(1949年)、北方謙三(1947年)、沢木耕太郎(1947年)。
 そのほか、テリー伊藤(1949年)、糸井重里(1948年)、鈴木敏夫(1948年)、萩尾望都(1949年)、弘兼憲史(1947年)など、テレビ、広告、アニメ、漫画の各ジャンルを切り拓いてきた第一人者が名を連ねる。
 現代の若者にも愛されるポップカルチャーの基礎は、団塊の世代が「数の力」を背景に築き上げたといっても過言ではない。
 また、大量の若者の出現は社会の慣習やライフスタイルも大きく変えた。その象徴が「恋愛結婚」だった。
 「団塊の世代が成人を迎える1960年代後半に、恋愛結婚と見合い結婚の割合が逆転しています。見合い結婚は封建的な古い日本社会の象徴です。それまでは『結婚したら好きになるわよ』と言われて、お見合いで一度会っただけの男性と結婚する女性も少なくなかった。それが団塊の世代で恋愛結婚が主流になり、恋愛や家族の形が変わっていきます。
 『デート』や『ラブホテル』という名称が一般化するのもこの頃です。この変化は女性の意識の変化にも繋がります」
 団塊による「2025年問題」が目前に。75歳になっても「俺たちが社会の主役」? 団塊世代とはどんな人たちなのか
 © 集英社オンライン 提供
 阪本氏は「団塊の世代を語るうえで女性の存在は見逃せません」と話す。1970年には「anan」(平凡出版、現・マガジンハウス)、翌年には「non・no」(集英社)が創刊され、初めて「女性誌」というジャンルが誕生した。それは従来の「主婦誌」「婦人誌」とは全く異なり、若年女性向けのファッションやライフスタイルを紹介し、「アンノン族」を生み出す。
 その背景には「妻」や「母」という役割から抜け出し、主体的に恋愛や消費を楽しむ新たな時代の女性像があった。この頃を境に女性の大学・短大への進学率が上昇。1986年の男女雇用機会均等法の施行など、女性の地位向上の土壌を作っていった。
 バブル景気、平成不況…
 なおも社会を牽引する団塊の世代
 1973年のオイルショックをきっかけに高度経済成長は終焉を迎え、バブル景気に向けた安定成長期に入る。若者時代を終え、徐々に社会の中核を担い始めた団塊の世代だが、中年にかけても社会や消費の中心であることに変わりはなかった。
 団塊による「2025年問題」が目前に。75歳になっても「俺たちが社会の主役」? 団塊世代とはどんな人たちなのか
 © 集英社オンライン 提供
 「その後も団塊の世代が作り上げた文化は数え切れません。例えば、現在のグルメ文化は1980年前後のラーメンブームに端を発していますが、その中心を担ったのは当時30代だった団塊の世代でした。
 また、1979年に日本で初めて発売された本格的乗用ワゴン車も、団塊の世代が形成した『ニューファミリー』がメインターゲット。乗用ワゴン車の普及は、山や川へのキャンプを流行させ、現在のキャンプブームに続いています。
 さらに1970年代に深刻化した公害問題は、専業主婦になった団塊の世代の女性たちの環境意識を高め、詰め替え洗剤の発売や『無印良品』の登場へと繋がりました。SDGsなどに見られる環境問題への関心は、団塊の世代が原点だといえるでしょう」
 現在、日本中を席巻するK-POPブームも、団塊の世代が重要な役割を担ったと阪本氏は言う。
 韓国カルチャーの流行に火をつけたのは、2002年に放送が開始された韓国ドラマ「冬のソナタ」がきっかけだが、このとき主演俳優のペ・ヨンジュンに熱狂し、「ヨン様ブーム」を牽引したのは、当時50代後半の団塊の世代の女性だった。
 団塊の世代は、先行世代に比べて子供の自主性を重んじる傾向が強いため、母子間の関係が良好で、親子で同じ趣味を共有する「友達親子」も多い。この関係性が娘世代への韓国カルチャーの浸透を後押しし、K-POPブームの土台を築いた。
 団塊による「2025年問題」が目前に。75歳になっても「俺たちが社会の主役」? 団塊世代とはどんな人たちなのか
 © 集英社オンライン 提供
 戦後の日本社会を振り返ると、その動きには何かしらの形で団塊の世代が関わっている。高度経済成長からバブル景気、平成不況に至るまで、彼らの加齢とともに日本社会の風景も変わってきた。70代になった今もなお「俺たちが社会の主役」という自意識を持ち続けるのも、理解できなくはない。
 「音楽プレイヤーのiPodが流行した2000年代の半ば、ある講演後の質疑応答で手を挙げた団塊男性の話が今でも記憶に残っています。
 『最近、若者の間でiPodが流行、という記事を読んだが、"俺だってiPodを使っているんだ。なぜ、団塊世代のことが書いてないんだ!"』と怒っていました。
 記事に自分たちの世代のことが書いていないからといって文句を言うのは団塊の世代ぐらいです。だから、団塊の世代に動いてもらおうと思ったら、とにかく持ち上げる。特にマスメディアを通じて『あなたたちが主役ですよ』というメッセージを発信すると、彼らは驚くほど前向きに消費行動を起こしてくれます」
 「失われた30年」に青年期や少年期を送ってきた現役世代には、想像しがたいメンタリティかもしれない。しかし、それが団塊の「2025年問題」を考えるうえで、押さえておくべき彼らの特性なのだろう。
 取材・文/島袋龍太
 #2『このまま団塊の世代が「2025年問題」を起こし、現役世代は押し潰されるのか?課題解決のカギは「クロスジェネレーション」にあり』はこちらから
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 MicrosoftStartニュース ビジネス「このまま団塊の世代が「2025年問題」を起こし、現役世代は押し潰されるのか? 課題解決のカギは「クロスジェネレーション」にあり
 団塊世代の「2025年問題」による社会保障の増大が起これば、その負担が現役世代にのしかかるおそれがある。これを乗り越える手段はあるのか。
 阪本節郎
 島袋龍太
 団塊の世代#2
 #1はこちら
 「2025年問題」を巡る社会保障費の増大が、団塊の世代と現役世代に深刻な対立を引き起こしかねない。これを乗り越える手段はあるのか。大人マーケティングの専門家である「人生100年時代 未来ビジョン研究所」の代表・阪本節郎氏は、団塊の世代を「社会保障費の受益者」ではなく「消費者」と捉える視点が、「2025年問題」を乗り越えるカギになると主張する。
 世代間対立の引き金を引くかもしれない「2025年問題」
 太平洋戦争の敗戦から数年後に生まれ、戦後社会の復興、成長、隆盛とともに年を重ねてきた団塊の世代
 同世代の人口が多く、数の力で社会や文化を塗り替えてきた彼らは、70代を迎えた今もなお「俺たちが社会の主役」という自意識が強い。そうした独特のメンタリティと彼らの持つ「封建性」(後述)が現役時に下の世代から疎まれた要因だと、大人マーケティングの専門家・阪本節郎氏は分析する。
 高度経済成長期に日本を若者社会に変えたのだから「俺たちが社会を動かしている」という感覚を持つのは自然なことかもしれない。その意味では、一見、自己中心的にも思える団塊の世代のメンタリティにも、一定の理解を示す必要があるのだろう。
 しかし現在、社会の中核を占める人々は、バブル崩壊以降に少年期や青年期を送ってきた世代だ。とりわけ50代に差し掛かった就職氷河期世代以降は、長期不況が日常の風景であり、社会や経済が右肩上がりに成長する姿をイメージすることすら難しい。
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 数々の将来不安に晒される現役世代には、団塊の世代とは戦後の平和な時代に生まれ、高度成長期には学生運動やヒッピーで自由を謳歌し、40歳前後でバブルの甘い汁を吸い尽くし、リタイア後には莫大な社会保障負担を押し付けてくる、極めて傲慢な「逃げ切り世代」と映りがちだ。
 「団塊の世代は、戦後の端境期に生まれたこともあって『革新性』と『封建性』という相容れない性質を同居させていることが多いんです。この『革新性』は彼らが若者のときに発揮され、『封建性』はその後企業社会に入ってからあらわになりました。
 例えば、上の世代に対しては革新的にどんどん反抗しましたが、下の世代に対しては、企業というピラミッド組織のなかで封建的に強圧的な態度で臨む。また、若い頃には理想を掲げるヒッピーにも共感した一方で、中年になってからはサラリーマンとしてバブルの渦に飲み込まれてしまった。
 こうした二重性は時代の変わり目に生まれた宿命ともいえますが、下の世代からは『変わり身が早い』『節操がない』といった批判の的にもなってしまいます」
 こうした世代間対立の引き金を引くかもしれないのが「2025年問題」だ。団塊の世代の全員が後期高齢者の75歳以上となることで、現役世代への社会保障負担が増大するおそれがある。すでに多額の年金や社会保険料に苦しんでいる現役世代に、これ以上の負担を強いれば不満が爆発することもあり得るだろう。
 そもそも「2025年問題」は本当に起こるのか
 こうした世代間の対立は避けられないのだろうか。このまま「2025年問題」が起こり、現役世代は押し潰されるのだろうか。
 代表を務める「人生100年時代 未来ビジョン研究所」で大人向けマーケティングの研究開発を続けてきた阪本氏は、別のシナリオがあり得ると提言する。そのカギは、独自の調査を重ねるなかで見えてきた「新しい大人」の存在にある。
 「例えば、私たちが独自で実施した『理想の大人像』に関する調査では、『既成概念に捉われない柔軟な考えを持った大人でありたい』89.7%、『いつまでも若々しい大人でありたい』85.6%など、70代が全年代中で最も高い割合を示しています。こうした項目でここまでの高い割合を示すという傾向は、従来の高齢者には全くあり得なかった結果です。かつて『新しい若者』を作り上げた団塊の世代が『新しい大人』を作り上げようとしているわけです」
 少年期、青年期、壮年期と新たな文化やライフスタイルを開拓し、根付かせてきた団塊の世代。高齢期においても、先行世代と異なる存在であっても不思議ではない。
 では、こうした団塊世代によって「2025年問題」が実際に起こるのか。これに関しても未来ビジョン研究所では興味深い調査結果が出ている。
 出典:人生100年時代 未来ビジョン研究所調査(2022年3月)
 「団塊の世代が『介護予防行動』をしているのです。介護予防は一般の生活者にとっては比較的新しい考え方です。現在の75歳以上、とりわけ80歳以上では、そういう考え方はなく、漠然とした健康不安のなかで75歳以上となり、転倒などの要因によって要介護になりました。
 しかしながら団塊の世代に介護予防行動について聞いたところ、『新聞や本をよく読む』などの認知症予防や、『適度な運動』『散歩』などの身体介護予防など、何らかの予防行動を実際に行っているという割合が、団塊世代の70代で91%にも上りました。
 そもそも『2025年問題』は、“団塊の世代が上の世代と同じ割合で要介護になる”という前提で計算すると、社会保障費が膨大になって財政が破綻しかねないと、行政やメディアによって力説されたものです。
 しかしながら当の団塊世代はすでに介護予防行動を起こしています。9割が具体的にアクションしているということは、行政やメディアがいう『2025年問題』のようにはならない可能性もあるということです。
 そして介護予防行動は、ジム、ヨガ、ウォーキング、ランニングに関する商品・サービスや、サプリメント、医薬品などの『消費』になります。つまり、ここで、『社会保障費の受益者』から『消費者』への転換が起こるわけです。コロナの第8派もピークアウトし、5類になったこれからが、消費者としての活躍が期待されるところといえます。」
 実際、団塊の世代は健康以外の消費意欲も旺盛であり、「ポストコロナには旅行に出かけるなどの消費をしようと思うか」という調査では、全世代中で最も多く84.7%が「消費をしたい」と回答している。
 こうした、いつまでも若々しく輝いていたい「新しい大人」は、社会保障の恩恵に預かる「受益者」ではなく、経済の活性化を促す「消費者」としてのポテンシャルを秘めていると阪本氏は話す。
 「消費意欲の旺盛な『新しい大人』は経済の活力源にもなり得ます。現在、日本の金融資産は2000兆円を超えるといわれますが、その8割以上は50代以上が保有しています。その人たちが健康を保ちながら消費に前向きになれば、現役世代の“雇用”やいま話題の“給与増”を生み出すことに繋がるでしょう。
 もちろん要介護者をゼロにすることはできませんが、『2025年問題』が想定する最悪のシナリオを避けることは可能なはずです」
 クロスジェネレーションで次の未来へ
 阪本氏は、団塊の世代が健康維持に励み、消費者として経済を牽引するとともに、介護や福祉などの労働力を自分たち自身も一部担うことで、世代間の対立や格差を緩和できるのではないかと説く。さらにその際に重要になるのが、年齢を問わず交流して相互理解を深める「クロスジェネレーション」だという。
 「未来ビジョン研の調査で『大人世代が応援することで、自分たちではなく、若者世代から新しい文化が生まれることは望ましい』と答えた団塊世代の70代は、全年代のなかで最も高い88.7%という結果でした。実は『団塊世代は若者世代を応援したい』と思っているのです。
 コロナ後の旅行観光でも『そこで働く若者や女性にプラスなるのであれば旅行観光や飲食をしようと思う』団塊の70代は、全年代のなかで最も高い79.1%で、割引だけでなく『若者支援』になるのなら旅行観光をしたいと思っています」
 出典:人生100年時代 未来ビジョン研究所「いまの70代は“ニューセブンティ”2022」
 「団塊の世代は若者文化を創設した世代ですから、若者と共通した感覚を有していますし、分かり合える余地は十分にあるでしょう。例えば、昨年、お亡くなりになったアニソン歌手の水木一郎さんも団塊の世代ですが、アイドルのももいろクローバーZと親交が深く、たびたびコラボレーションしていました。
 こうしたクロスジェネレーションの機運を、マスメディアなどを通じて広く普及していくのが、『2025年問題』を前にした日本に求められていることだと思います」
 もちろん、「2025年問題」を回避するためには、当事者である団塊の世代自身にも大いに奮起してほしいところだ。
 「現在の日本の最大の社会課題『社会保障費』を解決できるのは、まさに、すでに行動を起こしている団塊の世代なのです。団塊の世代は“自分たちの健康づくりはより若い世代を助けることだ”という気持ちを持ち、彼ら自身の手によって解決できることが望ましいといえます。そうすれば、団塊の世代は人生のファイナルステージで、もう一度『社会の主役』になることができるはずです。
 もしそうなれば、世代間でリスペクトし合いながら社会を支えていく希望の道が、開けるのではないでしょうか」
 2025年まで2年足らず。団塊の世代と現役世代はこのまま衝突への道に進むのか。
それとも、ともに支え合い、苦境を乗り越える道を選ぶのか。
日本社会が岐路に立たされている。
 #1『団塊による「2025年問題」が目前に。75歳になっても「俺たちが社会の主役!?」団塊世代とはどんな人たちなのか』はこちらから
 取材・文/島袋龍太
 阪本節郎 さかもと せつお
 東京都出身。1975年早稲田大学商学部卒業。(株)博報堂入社。プロモーション企画実務を経て、プロモーション数量管理モデル・対流通プログラム等の研究開発に従事。その後、商品開発および統合的な広告プロモーション展開実務に携わり、企業のソーシャルマーケティングの開発を理論と実践の両面から推進。2000年エルダービジネス推進室創設を推進。2011年春、発展的に「博報堂新しい大人文化研究所」を設立。2019年4月 独立し、「人生100年時代 未来ビジョン研究所」を設立、現在、所長。
 島袋龍太 しまぶくろ りゅうた
 1986年生まれ。沖縄県出身。琉球大学卒業後、警視庁入庁。警視庁警察官として、地域部、警務部、刑事部を経験。警視庁時代には事件解決の功労が認められ、警視総監賞を受賞。警視庁退職後は求人広告代理店のコピーライターなどを経て、2019年にフリーライターとして独立。企業取材を中心に活動し、ビジネスメディア記事、PR記事などを多数執筆。年間の取材件数は80社以上、200名以上にインタビューを行う。執筆領域はDX、新規事業、オープンイノベーション、経営戦略、採用など。その他、社会、経済、政治、歴史、思想、文芸批評、ポピュラー音楽、映画、演芸、格闘技、プロレスなどに関心を持つ。趣味は読書とブラジリアン柔術。妻は漫画家の意志強ナツ子。
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