🚷39〉─1─一億総中流消滅。「お金がなくて進学できない」ほどの貧困層が増えたワケ。~No.164No.165No.166 

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 2022年11月1日 YAHOO!JAPANニュース 幻冬舎ゴールドオンライン「世界から妬まれた「一億総中流」消滅…「お金がなくて進学できない」ほどの貧困層が増えたワケ
 コンサルタントである松本繁治氏の著書『壊れたニッポンを治す為の21の処方箋』より一部を抜粋・再編集し、「一億総中流」から一転してしまった日本の現在を見ていきます。
 一億総中流と云われた「過去」
 1980年代、日本は飛ぶ鳥を落とす勢いで成長し、日本人は自信に満ちていた。
 テレビや自動車等に代表されるMade-in-Japan の製品は世界を駆け巡り、仕事で欧米諸国に行けば妬み半分に尊敬され、競争相手として認知されていた。また東南アジアの人達からは尊敬の目で見られ、彼等にとって日本は憧れであり、目標でもあった。そしてアメリカでは『Japan as number one』と云うタイトルの本が出版され、妬みからジャパンバッシングが起こっていた。
 給料も毎年上がり、一億人総中流と云われる中、多くの日本人が幸せだった。仕事は沢山有り、下請け、孫請け、そして孫請けの下請けに仕事を依頼していた状態で、本当に社会全体が浮かれていた。
 一方の現在は、世界の一般消費者に届く日本製品は自動車くらいで、その他の一般消費財は殆ど世界の市場から姿を消した。
 日本製のテレビは海外では高過ぎて殆ど売れず、液晶パネルやソーラーパネル工場は日本には殆ど残っていない。半導体等では現時点では日本のメーカにまだ強みがあるが、完成品の日本製は数少なく、部品を安価な価格で販売しているのが主体だ。日本の製造品の強みの原資となっている工作機械製品も、台湾、韓国、そして中国が年々力を付けてきている。
 この様にB to Bビジネス(企業間取引)の世界でも先行きは決して明るくなく、その地位は年々下がってきている。
 日本製品の地位を維持するために、従業員の給料を据え置きし、非正規社員を増やす事でコストの削減を図ってきたが、その愚かな努力は実らず、多くの一般消費者向けの日本製品は世界から姿を消した。そしてその置き土産の様に、一億総中流が姿を消し、貧困層が増えていった。
 一億総中流時代を社会人として過ごした人達は既に50歳半ば以上になり、50歳以下の人達にとっては噂に聞く昔話になりつつある。
 1990年代半ばからは大学を出ても就職できず、フリーターが増えた。今はそのフリーターは死語に近く、非正規労働者となって安い賃金で働かされている。そして新入社員の賃金もここ30年程殆ど上昇していないが、物価が上昇していない事が唯一の救いである。
 2021年秋の自民党の総裁選挙と衆議院選挙を境に、ここ30年程の停滞を問題視する政治家が増えてきた。しかし、彼等は問題点の本質・根本原因を把握している様には感じられない。今の日本に必要な事は、アメリカの前大統領が言った「Make America Great Again」の様に、「Make Japan Great Again」である。
 これを実現するために改善・改革すべき課題は沢山ある。そのための処方箋を考えていきたいが、その前にもう少し現在の日本が抱える課題にお付き合い頂きたい。
 「金銭的事情で大学進学を諦める」という異常事態
 一億総中流の頃は、子供を持つ多くの家庭が子供を大学や専門学校に行かせる事ができた。少なくとも筆者の高校の同級生の中で、金銭的事情から大学進学を諦めた同級生は殆ど居なかった。
 一部に私立大学はムリだけど、国公立であれば大丈夫と云う家庭もあったが、ほぼ全員が進学希望であった。現在を考えると信じられないくらい、学生にとっては恵まれた時代であった。
 しかし現在の社会は、個人の収入が伸びないだけでなく多くの貧困家庭を生んでおり、その結果、大学等の高等教育への進学を諦めているケースが目立ってきている。また金銭的理由から、高校を中退する生徒も少なからず居る。この様な状況を、社会または国家が野放しにしているのは異常である。
 日本人は昔から子供の教育費を惜しまなかったが、今はそれができない程収入が減ってきている。現在の日本では、親の経済状況によって子供の教育レベルが決まってしまい、教育格差が広まってきている。そしてこの教育格差が収入格差に繋がり、その子供にも波及する教育格差の世襲が起こっており、大きな社会問題となっている。
 基本的には全ての子供が平等に教育を受けられる機会があるべきであるが、現在の日本ではその仕組みができていない。
 因みにアメリカでも日本より先に教育格差が進んだが、その原因は日本とはちょっと違っている。アメリカでは大学の授業料が1980年代から高騰してきた。自分が学生だった頃は、安い州での州立大学の授業料が年間数万円だったのが、その後年間100万円以上必要になった事が原因である。
 一方日本の場合は低収入の家庭が増えた事が大きな原因である。またアメリカでは低収入の家庭の子息向けに、授業料が低い州立大学等が少なからずある事も、日本とは大きな違いがある。この様に大学に行きたくても行けない学生が増えている事は、是非とも解決すべきである。
 これを解決する手段には、社会人の収入の適正化、または授業料の低額化や奨学金等の授業料の支援制度の拡充等がある。

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 松本 繁治
 ルイジアナ州立大学工学部卒、同大学大学院中退。
 日米の製造メーカに勤務後、外資系IT企業や外資コンサルティング企業にてコンサルタントとして10年以上の活動を行う。一時期、家業である製造メーカで経営を支援。
 2009年以降は独立してコンサルティング活動を継続中。
 幻冬舎ゴールドライフオンライン」
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