🚷27〉─4─「少子高齢化」「労働力不足」「社会保障制度の存続危機」そして人口激減で「扶養廃止」。〜No.126 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2024年1月10日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「少子高齢化」「労働力不足」「社会保障制度の存続危機」…いずれ「扶養廃止」を“受け入れるしかない”「深刻な現実」
 「106万円の壁」「130万円の壁」対策を講じてまで、労働力の確保や社会保障制度の維持を目指している日本だが、今後は「雇用保険」に関する法改正も予定されている。
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 前編記事『「106万円の壁」と「130万円の壁」対策から見える“想像以上に深刻な”「少子高齢化」の大問題…目を向けられた「専業主婦」のこれから』に引き続き、保険料の改正によって今日本で何が起こっているのか詳述していく。
 社会保険の次は「雇用保険」加入の拡大
 政府は、2028年には雇用保険の加入範囲を拡大するための法改正も予定している。もともと雇用保険制度は、日雇いや短期で季節的に働いている方を除く一般の被保険者の場合、週20時間以上で継続して31日以上雇用される方を加入の対象としている。
 現在、政府内ではこの週20時間以上の加入条件を週10~15時間以上に緩和することが審議されており、その場合の新規加入者は300万~500万人に上るとされているのだ。
 要件緩和の背景としては、以下のような制度や支援の創設のためとされている。

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・加入者増加により財政基盤を安定化させることで、育休明けに時短勤務で収入が減っている従業員向けの新たな給付制度
・子の出生後、最大28日間、手取り収入額の実質10割を支給する制度
・リスキリング(学び直し)中の給付や融資制度の創設

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 しかしこの制度にはまだ課題があり、失業手当の支給要件に「離職前2年間に原則12ヶ月以上の加入期間(1ヶ月に11日以上の出勤が必要)」がある。
 したがって、短時間勤務の従業員を加入対象としても、基本手当の条件を満たさなくなることが予想される。保険料を負担しているのに失業手当は支給されないとなると、不公平感が生じるため、給付側の要件も柔軟に変更することが現在審議されている。
 保険料に関しても負担額は増加している
 雇用保険の保険料は、失業保険の受給者数や保険料の積立金などをもとに毎年4月に見直されるが、2017年以降は一般の事業の場合、被保険者の負担が総支給額の0.3%と比較的低い率で推移していた。
 しかし新型コロナウィルスの流行により、雇用安定事業の一部として実施された「雇用調整助成金」の支給額が多額に上り雇用保険の財源が逼迫したことから、2022年から段階的に引き上げられ、2023年度は0.6%と2年間で倍の水準となっている。
 給与額の約30%を労使で折半負担している社会保険料に比べると目立たないが、実際に雇用保険料は2020年度と2023年度と対比して1.5倍以上保険料が上がっている(2020年賃金額の0.9%⇒2023年度1.55%)。
 また2023年12月19日には、男性の育児休業給付を引き上げる財源として2025年度からさらに0.1%アップするとの報道が流れた。今後、雇用保険料は子育て支援や労働力の確保、リスキリングを背景に財源の確保を目指しながら大胆な改革がなされていくだろう。
3号制度の撤廃と国民総出での国力維持
 2023年5月に労働組合の中央組織・連合が、社会保険制度の考え方について「第3号被保険者」の撤廃も含めて検討することを打ち出し、話題になった。
 国民年金第3号被保険者制度は、専業主婦世帯が多数だった時代に女性の年金権を確保する目的で導入された制度である。そのため、厚生年金の被保険者の配偶者を国民年金の強制適用の対象とし、本人の保険料負担は求めず、本人名義の年金を支給することとした。
 この制度に対しては、働き方の多様化や、女性の社会進出などにともない、他の保険者との間で不公平が生じていること、女性の就業を抑制する要因となっていることなどが批判されてきた。
 3号制度が撤廃や縮小されることとなった場合、1号(自営業者、農業者、学生、無職の方など)、2号(会社員や公務員など)被保険者同様に保険料を納付することとなり、700万人以上とされている3号被保険者の何割かは就業することが予想される。
 そのため、労働力人口の確保と保険料収入の増加を目指す政府としては社会的な反発は避けられないものの、率先してメスを入れたい制度であるといえる。
 少子高齢化により国際競争力の低下、社会保障制度の存続自体が危ぶまれている日本においては、抜本的な制度改革を進める政府方針は受け入れる必要がある。一方で、すでに「租税負担率」と「社会保障負担率」を合計した国民負担率は令和5年度46.8%となる見通しで、現役世代の負担は限界を迎えている。
 今回の制度改革は、その先にある国民総出の国力維持へ円滑にかつ正常に進めるための策の一つであり、社会保障制度という縦軸だけで考えるのではなく構造的な賃上げや、経済対策などをも含めた横軸で考えていくことが必要となってくるのだ。
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 さらに関連記事『「130万円の壁」「106万円の壁」を解決する「根本的な方法」がある』では、「106万円の壁」と「130万円の壁」、2つの壁を打破するための根本的な解決方法を解説しています。
 山本 達矢(社会保険労務士
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