🥓47〉─1─貧困大国ニッポンの幸福度はG7の中で最下位。~No.209No.210No.211 

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 2023年11月20日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「日本人が「幸せ」を感じていない納得の理由…日本の幸福度は「G7の中で最下位」という「意外な現実」
 橘木 俊詔
 日本の共働き世帯数、日本人の労働時間、日本の労働生産性、事業所の開業率……
 現代の「日本の構造」、どれくらい知っていますか?
 『日本の構造 50の統計データで読む国のかたち』では、橘木俊詔氏が少子化、格差、老後など、この不安な時代に必要なすべての議論の土台となるトピックを平易に解説します。
 ※本記事は、橘木俊詔『日本の構造 50の統計データで読む国のかたち』から抜粋・編集したものです。
 何が幸福度を下げているのか
 国連は毎年のように各国の人の幸福度を数値化して発表している。人々に今の幸福度を0(もっとも不幸)から10(もっとも幸福)までの数字で評価してもらい、その平均値を示している。
 もともとの統計は合計156ヵ国が標本ではあるが、表1(※外部配信でお読みの方は現代新書の本サイトでご覧ください)は最高レベルの国々、日本を含むG7に加盟する先進国、アジア・アフリカの諸国のうち、20ヵ国を抜粋した結果である。なお調査は次の6つの指標(一人あたりGDP、社会的支援、健康寿命、人生における自由度、寛容さ、社会の非腐敗度)の総合評価でなされている。
 表1。各国別の幸福度ランキング
 まずは日本に注目してみよう。156ヵ国中の58位なので真ん中の順位よりは高い幸福度であるが、それほど高くはない。先進国の集まりであるG7の国の中では最低順位である。
 なぜ日本がそれほど高くないのか、次の理由を指摘できる。低成長時代にいるので生活の豊かさが感じられない、社会保障に代表される社会的支援の低迷、官僚や政治の世界における腐敗などが原因である。詳しくは『日本の構造 50の統計データで読む国のかたち』で再述する。
 特に幸福度が高いのは、フィンランドデンマークノルウェーなどの北欧諸国である。これらの国は福祉国家として有名であり、福祉制度、社会保障制度の充実ぶりが人々に安心感を与えており、それを高く評価していると考えてよい。
 重要なことは、北欧諸国については、福祉の充実は国民に多額の税・社会保険料の負担を強いるが、国民は負担はしてもそれへの見返りが大きいと、政府を信頼しているのである。他の5つの指標においても高い評価とみなしてよい。
 日本以外のG7の国々は、カナダの9位からイタリアの36位まで高い幸福度にいるので、先進国の経済的な豊かさと自由度の高さを理解できる。国によって6つの指標の貢献度は異なると思われる。例えば、イギリスやアメリカは自由度への評価がほんの少しであるが高く、ドイツ、フランス、イタリアなどは北欧ほどではないが、社会的支援や非腐敗度の評価が高い。
 日本から見て関心の高い国、韓国、ロシア、中国などは、ほぼ日本人と同じ水準の幸福度である。そうである理由も日本と同じと判断できるので、多くを語らない。
 興味のあるのはヒマラヤ山脈のふもとにある小国のブータンである。10年以上前の昔であれば、ブータンはアジアの中では飛び抜けて国民の幸福度が高い国として有名であったが、今や95位にまで低下している。
 ブータンチベット仏教の影響によって、家族のメンバー間の絆が強いことや、信仰心の篤いことが高い幸福感の源泉であった。物質的なことよりも、人々の精神的な結び付きが幸福であると考えられた。しかし、グローバル化と他国の情報の流入により、ブータンの人々は他の国の豊かさを知るところとなり、自分たちの貧困を認識してこのような低い評価になったのである。
 ブータンに関するここでの解釈を側面から支持するのは、アジアやアフリカ諸国は総じて幸福度が低い事実である。国民は貧乏であるし、福祉の充実はないので平均寿命は短く、政治や社会が腐敗していることを、国民は知っているのである。
日本が先進国の仲間入りをしているので、他の先進国と比較して幸福度の低い理由を探究しておこう。
 表2。先進諸国における諸変数の評価
 表2(※外部配信でお読みの方は現代新書の本サイトでご覧ください)はOECDが加盟国を調査して、「Better Life Index」を公表しており、その中から5ヵ国を取り上げたものである。
 この表によると、日本が低い順位を示している項目が何であるかが、一目瞭然である。それらは、住宅環境の貧困さ、所得の高くないこと、コミュニティ活動の低迷、環境問題対策の不徹底さ、政治への市民参加がない、人生に満足していない、ワーク・ライフ・バランスの不充分さ、などに代表される。
 日本人が幸せを感じられるようになるためのヒントが、ここで如実に示されている。日本に関しては、日本人は悲観的な見方をする国民性があるとされることがあり、解釈にあたってはこういう心理面を多少は考慮しておく必要があるかもしれない。
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 本記事の抜粋元『日本の構造 50の統計データで読む国のかたち』ではさらに、教育格差や地域格差、日本の財政や社会保障についてなど、図表を媒介に日本の今の姿を知ることができます。
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 11月21日6:33 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「貧困大国ニッポン」でこれほど貧困者が増えたワケ…「先進主要国」なのに「高すぎる貧困率
 日本の共働き世帯数、日本人の労働時間、日本の労働生産性、事業所の開業率……
 現代の「日本の構造」、どれくらい知っていますか? 
 『日本の構造 50の統計データで読む国のかたち』では、橘木俊詔氏が少子化、格差、老後など、この不安な時代に必要なすべての議論の土台となるトピックを平易に解説します。
 【図】本文中の図はこちらからご覧になれます。
 ※本記事は、橘木俊詔『日本の構造 50の統計データで読む国のかたち』から抜粋・編集したものです。
 貧困大国ニッポン
 写真:現代ビジネス
 貧困とは文字通り、所得が低いので日常の経済生活に困るほどの状態にいることをさす。貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類の定義がある。
 「絶対的貧困者」とは、人が生きていくうえで、食費、衣服費、住居費、光熱費などのように最低限の生活をするのに必要な金額を設定して、それ以下の所得しかない人を貧困とするものである。
 国によっては、この額を正確に定めて「貧困線」と定義しているが、日本では学問上で計算された統計的な公式の「貧困線」は、今では政府から提出されていない。昔はまがりなりにもそれを計測していたが、今はそれがなされていない。その理由は計測にさまざまな問題があることによる。
 「相対的貧困者」とは、国民の所得分配上で中位にいる人(すなわち所得の低い人から高い人まで順に並べて真ん中の順位にいる人)の所得額の50%に満たない所得の人をさす。
 50%は先進国が加盟する国際機関であるOECDの定義であるが、EU(ヨーロッパ連合)ではもう少し厳しくて、60%を用いている。当然のことながらEUの方がOECDよりも貧困率は高くなる。相対的貧困は他の人々と比較して、どれだけ悲惨であるかに注目している、と考えてよい。すべての国が同じ基準での定義・計測なので、国際比較の信頼性はある。
 図1(※外部配信でお読みの方は現代新書の本サイトでご覧ください)はOECD諸国の相対的貧困率である。加盟諸国の中で日本は7番目に高い貧困率なので、そう深刻ではないと思われるかもしれないが、上位にいる、トルコ、メキシコ、チリなどはまだ中進国とみなすので、ここでは比較の対象としない方がよい。ついでながら発展途上国はもっと貧困率は高く、南アフリカは26.6%、コスタリカは20.4%、ブラジルは20.0%で、生活困窮者の数はとても多い。
 むしろ日本が比較の対象とすべき国は、G7を中心にした先進主要国であり、そのグループの中ではアメリカについで第2位の貧困率の高さである。日本は貧困大国と称しても過言ではない。ついでながらG7の中ではフランスがもっとも低く8%、先進国の中では北欧諸国が6~7%の低い貧困率となっている。
 格差を表す概念としては、貧富の格差、富裕層、貧困層の3つの指標や統計に注目して、それらを検討しているが、経済生活に困るという状態が人間にとってもっとも深刻なので、貧困をもっとも重要な現象と判断する。貧困率の高いことは日本が格差社会であることを象徴していると理解している。
 貧困大国と呼ぶには、貧困率が上昇していることが証拠となる。それを確認しておこう。図2(※外部配信でお読みの方は現代新書の本サイトでご覧ください)は過去30年間の日本の相対的貧困率の推移を示したものである。
 1985(昭和60)年から2012(平成24)年まで確実に上昇している。その後少し(0.7%ポイント)低下したが、今後その低下が続くとは思えない。新型コロナウイルス感染症による不況によって、むしろ増加に転じることが予想できる。
 貧困率の増加率を計算してみると、30年間で30%、年平均で1.0%ほどなので、それほど急激な増加ではない。しかし増加率の大小よりも、水準の高さに注目すべきであって、国際的にも15~16%の水準は異常に高いとみなすべきである。本来ならば貧困者ゼロの世界が理想だからである。
 最後に、なぜこれほどまでに貧困者が増加したのか、重要なものだけをピックアップして箇条書きで提供しておこう。
 1:バブル崩壊後の大不況で、経済成長率が大幅に低下した。これは失業者を生み、かつ賃金率の伸びがほとんどなく、むしろ低下の傾向を示した。
2:大不況は企業経営を苦しくしたのであり、労働費用削減のためにパート、派遣、期限付き雇用、アルバイトといった、賃金が低くボーナス支給のない非正規雇用者を大幅に増やした。いまでは全労働者のほぼ40%が非正規労働者である。
3:法定の最低賃金が低いし、最低賃金以下の労働者もかなりいる。
4:非福祉国家の日本なので、社会保障が充分に機能しておらず、所得維持政策が弱い。
 橘木 俊詔
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