🚷9〉─1・B─平成のパラサイト難婚社会、令和の結婚不要社会そして人口激減時代。~No.53 

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 2024年4月3日 YAHOO!JAPANニュース 集英社オンライン「男性は3人に1人、女性は5人に1人が結婚しない社会に…現代日本が「結婚不要社会」となってしまった決定的要因
 パラサイト難婚社会 #2
 現代日本は「結婚不要社会」になるのか
 なぜ日本人にとって、結婚はこんなにも困難になってしまったのか。あらゆる角度からその理由を考察した書籍『パラサイト難婚社会』。家族社会学の専門家である山田昌弘氏によると、親世代との同居もその一因を担っているという。
 【図】年齢別離婚率の推移
 書籍より一部抜粋・再構成し、昭和の時代から劇的に変化した日本社会の構造について解説する。
 「生涯未婚率」の急上昇
 一昔前、子どもに「将来の夢」を訊ねると、「消防士さん」や「看護婦さん」に混じり、「お嫁さん」や「お母さん」という答えが返ってきたものです。
 幼い女子にとって「お嫁さん」や「お母さん」は、日々のおままごとでも登場回数が多い人気の役柄です。日常で一番身近な存在である父母の姿に、将来の自分の姿を投影する子がいても不思議はありません。毎朝出勤するお父さんの姿を見て、またご飯をつくって宿題を見てくれるお母さんの姿を見て、「私(僕)も、将来お母さん(お父さん)みたいな人になりたい」と願っていたあの子どもたちは、今どのような大人になっているのでしょう。
 2021年の末、「生涯未婚率」の急上昇が、日本のメディアを騒がせました。2020年の国勢調査の結果が公表され、日本人男性の28.3%、女性の17.9%が、生涯未婚であるという報道です。今後、男性の約3割弱、女性の約2割弱が、結婚せずに人生を終える実態を、内閣府の「少子化社会対策白書」が提示したのです。
 ちなみに「生涯未婚率」とは、50歳時点で「未婚」の人たちの割合です。厳密に言えば、彼らが「生涯にわたり絶対に結婚しない」とは限りません。ただし50歳で「未婚」ならば、生涯にわたり未婚であり続ける確率が高く、出産もほとんど見込めないため人口動態を考える材料とされているのです。
 もちろん中には、「結果的に55歳で結婚しました」というケースもあるでしょう。ただ数としては少数派となります。何しろ21年度の調査によると、日本人の平均初婚年齢は、男性は31.0歳で、女性は29.4歳です。50歳まで一度も結婚せずにいる人たちが、51歳以降モーレツに婚活に励むというのは、あまりリアルな想像ではありません。
男性は3人に1人、女性も5人に1人は結婚しない
 実際、私の調査でも、同じ50代独身者でも離別者や死別者の方が、未婚者よりも結婚意欲が高く出るのです(2022年科学研究費による調査婚活をしている50代独身者6.8%、うち50代離死別男性14.6%/恋人がいる人、未婚者13%、50代離死別男性23%〈山田昌弘2022「中年独身者の生活実態と将来不安」中央大学社会科学研究所年報26号〉)。
 さて、この「生涯未婚率」ですが、終戦直後の1950年時点では、なんと男性は1.5%、女性は1.4%でした(1900年生まれ相当)。つまり100人いれば、男女共に98人は結婚していた計算です。戦後から高度経済成長期までの日本社会は、国民のほとんどが結婚する「皆婚」社会だったと先に述べましたが、この数字からますます納得できるのではないでしょうか。
 さらに時代を経た1995年時点でも、「生涯未婚率」は男性9.0%で、女性は5.1%です。男性が100人いれば、90人は結婚していたし、女性も100人中、95人は結婚していた計算になります(2024年現在79歳前後)。2000年時点ですら、男性12.6%、女性5.8%であることを見ると(現在74歳前後)、ごく最近まで、日本人の大多数は「生涯一度は結婚するもの」であったと言えるでしょう。
 ところがその後、日本の「生涯未婚率」は急上昇していきます。2010年には、男性20.1%に、女性10.6%になり、2020年には男性28.3%、女性17.9%になりました。2035年には、緩めの推計でも男性29.0%、女性19.2%まで上昇すると考えられています(平成28年版厚生労働白書・生涯未婚率の推移〈将来推計含む〉)。
 現在の状況に鑑みるに、そのスピードはさらに加速するかもしれません。私たち日本人は、男性は3人に1人、女性も5人に1人は結婚しない社会に生きていくということです。
 親子密着型同居 スタイルの功罪
 「一生、結婚しない人がこれだけ増えた!」というニュースは衝撃的ですが、そもそも現代人は、「独身」である期間が、親世代や祖父母世代に比べて、圧倒的に伸びました。
 「結婚しないまま人生を終える人」以外にも、「40歳近くまで結婚しない人」「結婚したけれど、離婚して独身に戻った人」「結婚したけれど、配偶者に先立たれた人」も増加したのです。その理由の一端が、日本人の長寿化にあります。
 大学の講義で、私は小津安二郎監督作品の『晩春』(1949年公開)を紹介することがあります。物語の中で笠智衆さん演じる父親が、原節子さん演じる27歳の一人娘に、結婚を促すために語る言葉があるのですが、その内容に学生たちはどよめきます。
 「お父さんはもう56(歳)だ、もう先は長くない」というセリフです。
 現代の日本社会で「56歳」という年齢が「老い」に結びつくことはほとんどありません。芸能人に限らず一般人でも、今の50代は光り輝いており、生命力に満ち溢れています。むしろ「人生百年時代」において、「50代は人生の折り返し地点」と捉える人も少なくないのではないでしょうか。
 ですが、この映画がつくられた時代は違いました。当時の男性の平均寿命は約60歳だったのです。この物語のお父さんは、決して泣き落とし戦略で娘を結婚させようとしたのではなく、本人のリアルな感覚として「もう自分の人生は長くない」、そう感じていた、ということです(母親はすでに他界しているという設定です)。
 当時は、年金受給前に約半分の男性が亡くなる時代です。今のような年金財政破綻の心配がないと同時に、27歳の娘も「万が一結婚できなかったら、親にパラサイトしよう」などとは思わなかったはずです。
 むしろ「早く結婚しなくては、自分はひとりぼっちになってしまう」という、生活の経済的基盤と心のよりどころを失う焦燥感の方が強かったはずです。それが「皆婚」時代の昭和と、「難婚」社会の平成かつ「結婚不要社会」の令和との最大の違いです。
 今や結婚しないまま30代になり、40代そして50代になっても、実家に同居することは可能です。親が60代、70代、80代を過ぎても健康であることも多くなりました。途中から年金受給も始まります。パラサイトしている子も、給料から幾分かを家計費として納めていれば、親世代も助かるかもしれません。
 中年になった我が子の世話を、高齢になっても続けなければならない親世代の心労も、とめどない子への愛情で解消できるのかもしれません。「子はいくつになっても愛しいもの」「老いては子に従え」の変形が、日本社会特有の親子密着型同居スタイルに継承されているのかもしれません。
 自らは結婚せず「未婚」を選んでも、家に帰れば家族がいる安心感、これは大きいものです。あるいは一度結婚したものの「離婚」となった場合も、「実家に戻る」選択肢があります。日本では、若年で離婚した女性の約半数が実家に戻るという報告もあります。
 自分で選んだ配偶者との関係は解消可能でも、実家に戻れば、血でつながった本物の「家族」がいる安心感。そしてそれを許してきた親世代という構図が、社会のセーフティネットの欠損部分を補い機能し続けている。この実態こそが、日本の「未婚社会」を下支えしている大きな要因となっています。
 図/書籍『パラサイト難婚社会』より
 写真/shutterstock

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 山田昌弘(やまだまさひろ)
 中央大学文学部教授。1957年、東京都生まれ。1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専門は家族社会学。「パラサイト・シングル」「格差社会」「婚活」などの言葉を世に広めたことでも知られる。著書に『希望格差社会』(筑摩書房)、『新型格差社会』『結婚不要社会』(いずれも朝日新書)、『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』(光文社新書)など多数。

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4月3日 YAHOO!JAPANニュース 集英社オンライン「60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率は3割に。異常な難婚社会の背景にある「日本独自の親子関係」
 結婚した3組に1組が離婚し、60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率が3割に届こうとする日本。その理由の遠因に1986年に施行された労働者派遣法があると指摘しているのが、社会学者の山田昌弘氏。最新著『パラサイト難婚社会』より一部抜粋・再構成し、日本の若者を苦しめる非正規雇用の拡大について論じる。
 パラサイト難婚社会 #1
 非正規雇用が多くの若者を苦しめてきた
パート・アルバイト・有期契約・嘱託社員・派遣社員など、様々な形態がある「非正規雇用者」ですが、平均年収は決して高くありません。
 国税庁の「民間給与実態統計調査」(令和3年版)によると、非正規雇用者全体の平均年収は198万円(正規雇用者全体の平均年収は508万円)ですが、そのうち男性は平均年収267万円(正社員は545万円)に対し、女性の非正規雇用者の平均年収は162万円(正社員は302万円)です。この数字は決して現代日本社会で生活する上で十分な金額とは言えません。
 1986年に施行された男女雇用機会均等法で、正社員として働く女性は増え、「おひとりさま」人生を選択できる女性は増えました。
 しかし、同時に雇用が不安定な非正規雇用者も、これ以降増加していくのです。男女雇用機会均等法施行と同年にスタートした労働者派遣法は、当初の「一部の限られた技能を持つ13業務」から、1996年には「26業務」に拡大し、1999年には「26業務以外も可能」になりました。従来の日本型雇用では、若い女性たちも正社員として企業は雇用してきましたが、そうした職能は派遣社員などでも代替可能でした(もっともそれまで正規雇用されてきた女性たちも、20代半ば頃には寿退社することが暗に求められていましたが)。
 2022年6月分の所定内給与額で比較。ただし、一部の労働者(特に短時間労働者)の賃金は、所定内実労働時間数の長短により大きな影響を受ける場合がある。[出所:厚生労働省
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 2022年の給与所得者数は、5078万人(対前年比1.2%減、60万人の減少)で、1人当たりの平均給与は458万円(対前年比2.7%増、11万9000円の増加)となっている。[出所:国税庁長官官房]
 2000年以降に、非正規雇用者が続々と生まれるのと時を同じくして、日本社会において格差が広がり始めました。企業から、「期間限定」「いつでも契約を切れる」安易さを理由に非正規雇用された若者たちは、目の前の「単純作業」をこなすだけの日々で、「仕事上のステップアップ」や「ボーナスや福利厚生」もなく「給与アップ」も「昇進」もないまま、人生でひとところに留まり続ける長期の足踏みを余儀なくされたのです。その中には大量の女性たちもいました。
 本来なら、近代社会になり、仕事を持つ女性が増えることで、日本でも「親や夫に依存しない人生」を選ぶ女性が増えるはずでした。しかし、日本経済の停滞と同時に広がったこの非正規雇用という〝新しい雇用形態〞が多くの若者の人生設計を狂わした、と述べたら言いすぎでしょうか。
 欧米でも「職の二極化」が起こり収入格差が広がりましたが、欧米ではそれ以前からすでに女性の社会進出が当然のこととなっていました。しかし日本では、男女雇用機会均等法で正社員で働き続ける道が開けたのと同時期に非正規雇用化が進んだのは、皮肉としか言いようがありません。
 男性の非正規雇用者は、「自分の所得では妻子を養うことはできない」と自信と希望を失い、女性の非正規雇用者は、「やはり夫は正社員でないと、将来において生活がままならない」実感を強め、より人生が豊かになる「結婚」でなければ、しない方がマシだと思うようになりました。結果として、「未婚」状態に置かれる若者が増大していったのです。
結婚した3組に1組が離婚し、60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率が3割に届こうとする日本。その理由の遠因に1986年に施行された労働者派遣法があると指摘しているのが、社会学者の山田昌弘氏。最新著『パラサイト難婚社会』より一部抜粋・再構成し、日本の若者を苦しめる非正規雇用の拡大について論じる。

 パラサイト難婚社会 #1
 未婚が示す経済的な社会課題
 「おひとりさま」は、精神的自立と経済的自立が不可欠であることをここまで述べてきました。では、この二つの要素のどちらか、あるいは両方が得られない未婚者はどうなるでしょう。
 未婚で親と同居していても、経済的・精神的に自立している場合は、「親と同居している」とシンプルに言うことができます。しかし、「仕事」は持っていても、稼いだ額の大半を自分の趣味や成長のために使い、基本的な食費や住居費・ガス・電気・水道代などを親頼みにし、さらに炊事洗濯など身の回りの家事の多くも親に依存している場合は、「パラサイト・シングル」と私は定義してきました。
 「パラサイト・シングル」は、精神的基盤と経済的基盤の多くを親に依存して生活しています。それを可能にしたのは、主に団塊の世代を中心とした親世代の特殊事情がありました。
 この世代には、成人後も子の面倒を見る「経済的ゆとり」があり、かつ我が子に対する「献身的愛情」がありました。これは他の世代は、仮に望んでも得られなかったものです。特に重要なのが前者です。「子への献身的愛情」があっても、先立つものがなければ否が応でも子どもを自立させないとなりませんが、団塊の世代はそれが可能だったのです。
 戦後の経済復興の中で、「今日よりは明日、明日よりは明後日」と豊かに成長していく時代を肌感覚で経験してきたこの世代は、子どもにより良い生活空間や環境を与え続けることができました。自分たち自身が幼い頃は、テレビや冷蔵庫もない暮らしを経験してきたのに、我が子に対してはテレビも冷蔵庫も、ましてや自家用車もある生活を準備できる。
 それどころか自宅には子ども専用の部屋を備え、複数の習い事をさせ、お小遣いやお年玉やクリスマスプレゼントまで与えることができました。ボーナスが出れば、季節ごとの家族旅行を楽しめ、生活レベルの向上を家族皆で実感できたのが、この時代でした。
 60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率は3割に。異常な難婚社会の背景にある「日本独自の親子関係」_3
 もちろん個人差、家庭差はあったでしょう。当時も生活困窮世帯は存在しました。でも、社会全体が好景気に沸いている時代には、仮にどんなに貧しくても、「これから生活が良くなるだろう」と希望を抱けるものです。
 仮に現在お金がなくて貧しくても、5年後、10年後はそうとは限りません。給料は年々上がっていくし、頑張って子どもを育てていけば、我が子は少なくとも自分よりは良い生活を送れるはずだと「夢」を描くことができたのです。
結婚した3組に1組が離婚し、60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率が3割に届こうとする日本。その理由の遠因に1986年に施行された労働者派遣法があると指摘しているのが、社会学者の山田昌弘氏。最新著『パラサイト難婚社会』より一部抜粋・再構成し、日本の若者を苦しめる非正規雇用の拡大について論じる。

 パラサイト難婚社会 #1
 「未婚」問題が極めて
 日本独特の社会現象になっている
 しかし、そうした親の愛を一身に背負って育った団塊の世代ジュニアが大人になった頃、日本経済は長引く停滞時期に突入しました。親が与えてくれた豊かさを、今度は自分自身の手でつかまなくてはならない社会人としての始まりの時期。そんな大事な時期に、就職氷河期が始まったのです。
 しかもその責任は、社会のせいというよりは、とことん自己責任論で語られるようになりました。「フリーターや非正規雇用を目指すのは、責任を負いたくない若者の身勝手な事情だろう」と。
 そんな我が子を、豊かさを経験してきた親世代は、突き放すことができませんでした。本来自立すべき成人後も、「あともう少し家にいていいよ」と、自宅に住む(寄生)することを許してしまったのです。
せめてそこでしっかりと家賃相当分や家事労働分の支払いを要求していればともかく、これまで至れり尽くせりで家事も掃除も洗濯も面倒を見てきた親たちは、そのまま我が子の家事労働を請け負い続けてしまったのです。
 60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率は3割に。異常な難婚社会の背景にある「日本独自の親子関係」_4
 大学卒業時に正社員就職ができず、とりあえずアルバイトや非正規雇用で社会人をスタートした時点では、親も子も「当面の間だけ」と思ったかもしれません。しかし実際には、非正規で社会人をスタートさせた世代が、その後正社員として人生のステップアップを望むことはほとんど不可能であったことは、今では周知の事実です。
 「あと少し、家にいていいよ」「今は不況だから、独身も仕方ないね」と温かい目で見守ってきた子世代が今、壮年となり、中年となり、大量の「未婚者」になっています。厳密に言えば、「壮年親同居未婚者」です。最近では「子ども部屋おじさん」「子ども部屋おばさん」なる言葉まで生まれています。
 同時に日本では、大量の「引きこもり」も存在します。かつて「未婚の若者」だったのが、「未婚の壮年」「未婚の中年」となったのと同じように、かつて「中高生」の問題だった「引きこもり」は若者の問題となり、今では「壮年・中年の引きこもり」へと移行しています。
 中には親の年金頼みで高齢の親にパラサイトしてきた「中年引きこもり」が、親の介護が必要な年齢になり、途方に暮れるケースもあります。社会全体の歯車が狂い始める「8050問題」です。
 内閣府が22年11月に行った調査によると、「趣味の用事の時だけ外出する」「自室からほとんど出ない」状態が6カ月以上続いている「引きこもり」状態の人(15歳から64歳まで)は、推計146万人もいる実態も見えてきました。
 もちろんここで、「未婚」と「引きこもり」を乱暴につなぎ合わせるつもりは毛頭ありません。ただ、「おひとりさま」にしろ「パラサイト・シングル」にしろ「引きこもり」にしろ、「未婚」問題が極めて日本独特の社会現象になっていることに注目したいのです。
 また「パラサイト・シングル」や増える「中年引きこもり」に関して言えば、その根底には「成人になっても子を独立させない(できない)日本独自の親子関係」が、ある種の要因になっていることを確認し、かつ「成人しても子が独立できない」理由の多くの部分で、経済的困窮が関係しているのであれば、それは広く日本社会全体の課題として考える必要があることを強調したいのです。
 具体的には、現代社会の産業が製造業からサービス産業・IT産業にシフトしていく中で、働き方が根本から変わっているにもかかわらず、相変わらず「新卒一括採用」と「終身雇用制」に固執してきた企業と政府の責任でもあります。
 新卒時に正社員になれなくても、本人の意欲次第でいつでも再チャレンジが可能な社会にすること、正社員と非正規社員のかけ離れた条件を是正すること、仮に非正規やアルバイトであっても、「家族」に頼らず「個人」が生活していける仕組みを整え、社会的セーフティネットを強化すること、リスキリングやリカレント教育に社会全体で取り組むことなど、できることはたくさんあるはずです。
 図/書籍『パラサイト難婚社会』より
 #2 戦後劇的に変化した「未婚社会」の下支えとは?
 #3 経済的格差への言及無くして、結婚率の低下は語れない
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