🚷37〉─3─老後生活における「賃貸・持ち家」のメリット・デメリット。~No.160 

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 日本と日本人は、バブル経済黎明期からメディアやアナリスト、教育者や学者の甘い言葉に翻弄されて衰退し劣化してきた。
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 少額の年金では、アパートやマンションの家賃は払えないし、我が家のリフォームや修繕費の役にも立たない。
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 2023年5月11日 MicrosoftStartニュース LIMO | くらしとお金の経済メディア「【年金受給者に聞く】老後生活における「賃貸・持ち家」のメリット・デメリット
 【年金受給者に聞く】老後生活における「賃貸・持ち家」のメリット・デメリット
© LIMO | くらしとお金の経済メディア
 老後が近付くと「持ち家」か「賃貸」どちらに住むべきか、考え始める人も多いかと思います。
 持ち家の場合は、持ち家が資産になったり賃貸料がかからなかったりする一方で、税金や修繕費がかかります。
 賃貸の場合は、引越しがいつでもしやすい一方で、老後のことを考えると設備が整っていないケースも出てきます。
 老後の生活を想定すると「持ち家」「賃貸」共に、上記のようなメリット・デメリットが出てきますが、結局どちらのほうが老後生活に最適なのでしょうか。
 本記事では、年金受給者を対象とした実態調査をもとに、老後生活において「賃貸・持ち家」での後悔や良かった点などを解説していきます。
 「賃貸派・持ち家派」それぞれの満足度も紹介しているので、老後生活でどちらに住もうか悩んでいる人は参考にしてください。
 年金受給者に聞く・定年前と定年後で感じる「持ち家・賃貸」のデメリット
株式会社カシワバラ・コーポレーションは、年金受給者の方を対象に「老後の住まいに関する実態調査」を実施しています。
 調査概要は下記のとおりです。
・調査内容:老後の住まいに関する実態調査 / 大規模修繕に関する実態調査
・調査期間:2023年3月31日(金)から4月3日(月)
・調査対象:65歳以上の年金を受け取っている男女600名
・調査対象内訳:持ち家/マンション、持ち家/戸建て、賃貸/マンション、賃貸/戸建ての各150名
・調査方法:インターネット調査(シグナルリサーチ)
・リリース公開日:2023年4月24日
●持ち家のデメリット
 上記調査の結果、持ち家購入時に懸念していた点として「住宅購入の費用負担が大きいこと」が上位となりました。
 その一方で、老後生活が始まって感じた持ち家のデメリットでは「メンテナンスなど維持費の負担が大きいこと」が上位となり、定年前と後で懸念点に差が生じる結果となりました。
 出所:株式会社カシワバラ・コーポレーションの調査データをもとに筆者作成
 © LIMO | くらしとお金の経済メディア
 老後生活で感じた持ち家のデメリットとして、維持費の負担に次いで「家族構成の変化による間取り余りができた」ことが上位となったことから、子どもが成人して家を出たことで、不要な部屋が増えたこともデメリットに感じている世帯が多いようです。
 また、維持費以外にも固定資産税や火災保険料がかかることも3位にあがっていることから、賃貸料はかからなくても、他の部分で支出はあることがわかります。
 では、賃貸契約時の懸念点や老後生活で感じたデメリットはどうなのでしょうか。
●賃貸のデメリット
 株式会社カシワバラ・コーポレーションの同調査では、賃貸契約時に懸念していた点として「老後も賃貸を払い続けなければいけないこと」が上位となりました。
 また、老後生活で感じた賃貸のデメリットにおいても、「老後も家賃支払いが続いていること」が上位となっており、賃貸における悩みは定年前と定年後でほぼ同じであることがわかります。
 出所:株式会社カシワバラ・コーポレーション「年金受給者に聞く!―老後の住まい&大規模修繕に関する実態調査― 【賃貸vs持ち家】老後生活におけるメリット&デメリットを公開!定年前に気づかなかったデメリットが明らかに!?」の調査データをもとに筆者作成
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 老後生活が始まると、年金や貯蓄から家賃を支払っていく必要があるため、老後も賃貸料を支払い続けることに負担を感じている人も多いのでしょう。
 一方で賃貸契約時の懸念点であった「高齢で契約を更新できないことがある」は、定年後のランキング内に入っていないことから、契約更新のしづらさをデメリットと感じている人は少ないとうかがえます。
 老後生活が始まってから感じた「持ち家・賃貸」に住むメリットとは
前章では、「持ち家・賃貸」それぞれで、定年前の懸念点と定年後に感じたデメリットを紹介しました。
 では、老後生活が始まってから感じた「持ち家・賃貸」のメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
●持ち家のメリット
 株式会社カシワバラ・コーポレーションの調査によると、定年後に感じた持ち家のメリットとして「安定した居住環境の確保」「ローン支払い完了後の出費が抑えられる」が上位となりました。
 出所:株式会社 カシワバラ・コーポレーション「年金受給者に聞く!―老後の住まい&大規模修繕に関する実態調査― 【賃貸vs持ち家】老後生活におけるメリット&デメリットを公開!定年前に気づかなかったデメリットが明らかに!?」
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 老後生活においては、仕事をしていた時よりも家にいる時間が比較的長くなるため、住環境の充実性を感じている人が多いようです。
 また、ローンを完済することで老後資金の負担が減るといった金銭的な面をメリットにあげる声が多い結果となりました。
●賃貸のメリット
 一方で、賃貸においては、定年後に感じた持ち家のメリットとして「持ち家でかかる各種税金がない」「家の修繕費用や手間がかからない」が上位となっています。
 出所:株式会社 カシワバラ・コーポレーション「年金受給者に聞く!―老後の住まい&大規模修繕に関する実態調査― 【賃貸vs持ち家】老後生活におけるメリット&デメリットを公開!定年前に気づかなかったデメリットが明らかに!?」
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 持ち家とは異なり毎月の賃貸料はかかりますが、その分税金負担や修繕費用がかからないのをメリットに感じている人は多いようです。
 また、賃貸の場合は交通機関までのアクセスが良い場所が多いため、車の運転を控えるようになる老後生活において利便性を求める声も多い結果となりました。
 結局どちらがおすすめ?持ち家派の約9割は「持ち家での老後生活」をおすすめと回答
持ち家・賃貸それぞれの定年後のメリット・デメリットを紹介してきましたが、「結局のところ、どちらが良いのか」気になりますよね。
 株式会社 カシワバラ・コーポレーションの調査にて、持ち家派に「老後に持ち家で生活することをおすすめしたいですか」との問に対し、約9割の方がおすすめしたいと回答しています。
 出所:株式会社 カシワバラ・コーポレーション「年金受給者に聞く!―老後の住まい&大規模修繕に関する実態調査― 【賃貸vs持ち家】老後生活におけるメリット&デメリットを公開!定年前に気づかなかったデメリットが明らかに!?」
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 一方で、賃貸派に「老後に賃貸で生活することをおすすめしたいですか」との問いに「おすすめしたい」と回答した人は約6割であり、持ち家派のほうが満足度が高いとうかがえます。
 出所:株式会社 カシワバラ・コーポレーション「年金受給者に聞く!―老後の住まい&大規模修繕に関する実態調査― 【賃貸vs持ち家】老後生活におけるメリット&デメリットを公開!定年前に気づかなかったデメリットが明らかに!?」
 © LIMO | くらしとお金の経済メディア
 老後生活における賃貸の満足度が持ち家と比較すると低い理由の1つとして、「高齢者の住宅難民問題」があると考えられます。
 高齢になると体力的・金銭的な面から引越しがしにくく、バリアフリー化など老後に合った住まいに引っ越せないケースが多いようです。
 また、高齢を理由に賃貸契約を断られる可能性も少なからずあり、株式会社 カシワバラ・コーポレーションの調査では約3.3%の人が「年齢を理由に賃貸契約を断られた経験はある」と回答しています。
 上記の理由もあり、老後生活は持ち家のほうが賃貸よりも満足度が高いという声が多いのだと考えられます。
 実際、国土交通省の調査によると、高齢者の単身・夫婦ともに、賃貸よりも持ち家に住んでいる人のほうが多い結果となっています。
 出所:国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」のデータ調査を参考に筆者作成
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とはいえ、居住地の環境や家族構成等によって、選択の基準は異なることが予想されます。
 老後生活のシミュレーションをしておこう
 本記事では、年金受給者を対象とした実態調査をもとに、老後生活において「賃貸・持ち家」での後悔や良かった点などを解説していきました。
 賃貸と持ち家それぞれでメリット・デメリットが存在します。
 リアルな調査結果も参考にしたうえで、老後生活で重要視するライフプランや資金を一度シミュレーションし、どちらにするか検討してみると良いでしょう。
 参考資料
・株式会社 カシワバラ・コーポレーション「 年金受給者に聞く!―老後の住まい&大規模修繕に関する実態調査― 【賃貸vs持ち家】老後生活におけるメリット&デメリットを公開!定年前に気づかなかったデメリットが明らかに!?」
国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」
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🚷33〉─4・D─70歳実質定年制とは死ぬまで働き死んで退職する事である。~No.148 

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 2021年12月6日 YAHOO!JAPANニュース 東洋経済「70歳実質定年で差が開く、シニアの勝ち組・負け組
40代から意識せざるをえない「老後のリアル」
大野 和幸 : 東洋経済 記者
 70歳まで働くのが普通になる今、シニアの勝ち組と負け組はどこで分かれるのか(デザイン:熊谷直美)
 「会社は45歳定年にして、個人は会社に頼らない仕組みが必要だ」――。
 9月上旬に経済同友会がオンラインで開催した夏季セミナーで、新浪剛史サントリーホールディングス社長が唱えた”45歳定年制”は、一部で大きな反発を呼んだ。「要はリストラではないか」など、識者から”強者の論理”にすぎないと反論されたのである。
 もとより、法律(高年齢者雇用安定法第8条)では、60歳未満の定年を禁止している(1998年施行)。参考までに、サントリーHD自身の定年は65歳だから、会社の方針とも矛盾している。
 そして何よりも高年齢者雇用安定法が改正された結果、今年4月から、企業は70歳までの雇用確保が努力義務とされた。つまり、新浪発言とは反対に、働いてもいい年齢はどんどん後ろ倒しになっているのが現実だ。
 シニア、女性、外国人なしで成り立たない
 12月6日(月)に発売された週刊東洋経済12月11日号では「定年格差」を特集。かつて55歳だった定年がだんだん延長され、今春からはついに70歳まで延びた背景とそのインパクトについて、網羅的にまとめている。
 『週刊東洋経済』12月6日(月)発売の12月11日号の特集は「定年格差」。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら
ここまでに至った最大の要因はもちろん少子高齢化だ。15歳から64歳までの生産年齢人口は、1995年の8716万人をピークに下降、逆に高齢化率は28%台を占めるようになった。10人に3人は高齢者なのである。
 働き手が減るばかりで、人手不足が常態化した日本社会では、シニアや女性、外国人なしでは、もう経済が成り立たない。
 長寿化が進み、今や平均年齢は男性が81.6歳、女性が87.7歳。社会保障制度を持続あるものにするため、公的年金(老齢厚生年金)の支給開始年齢は、段階的に60歳から65歳へと延長されている。雇用延長含め、実質定年が60歳のままだと、65歳で年金をもらうまでに収入の”空白期間”が生まれてしまう。つまり雇用延長と年金延長はセットなのだ。
 →次ページ「俺は部長だった」と言う人ほど使いづらい
 これから70歳まで雇用を延長する場合、会社の選択肢は、①70歳までの定年引き上げ、②70歳までの再雇用制度の導入、③定年廃止、の3つに大きく分かれる。定年引き上げや定年廃止のハードルは高く、多くは再雇用制度を採用している。特に定年廃止は、YKKなどごく一部を除いてない。
 雇用延長は正社員としての定年を過ぎた後だから、ほとんどは「嘱託」「契約社員」「アルバイト」などの肩書で残るのが通常。収入は定年時に比べ50%から75%程度の水準に下がり、仕事内容も簡単になるケースが多い。同じ部署で勤める場合、かつての部下が自分の上司となる逆転現象も、往々にして起こる。
 特に大企業の社員はプライドも高く、定年後、いかにモチベーションを保つかは大きな課題だ。会社にそのまま残る以外にも、転職や起業・独立などの選択肢もある。高齢者専門の派遣会社である高齢社の村関不三夫社長は「『俺は部長だった』と言う人ほど会社は使いにくい」と説く。新たな職場に就いても、より謙虚な気持ちで仕事に臨むのが基本だろう。
 次に狙われるのは”働かないおじさん”?
 定年前でも、50代後半には役職定年があり、そこでガクッときてしまう人も少なくない。ましてDX(デジタルトランスフォーメーション)時代を迎え、リモートなどの新たな技術にうまく対応できない中高年が増えているのが実態だ。これ以上”働かないおじさん”を大量生産しないよう、会社自体も今、働く仕組みを大きく変えようとしている。
 その1つがジョブ型雇用。これまでの「人」に仕事がつく日本流のメンバーシップ型雇用から、「仕事」に適した人材がつくよう発想を変えた雇用制度である。給与も年功序列ではなく、その職務(ジョブ)にいくらの値段がつくか、という基準で評価されることになる。すでに日立製作所富士通三菱ケミカルホールディングスなどが導入を表明した。
 ジョブ型だけではない。同一賃金・同一労働などをはじめ、新たな働き方の採用で、これまでの「男性・生え抜き・正社員」が引き上げられる典型的な日本企業の姿は、もはや成り立つまい。思えば新浪社長の「45歳定年」発言も、シニアになって迷わないよう、40代でセカンドキャリアを構築し始めたほうがいいという、正直すぎる正論なのかもしれない。
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 2023年5月10日 YAHOO!JAPANニュース まいどなニュース「人生100年時代といわれるけれど…9割が「老後に不安」 仕事は「働ける限りずっと続けたい」が最多に
 みなさんは何歳まで働きたいと考えていますか? ※画像はイメージです(mapo/stock.adobe.com)
 人生100年時代といわれる昨今ですが、みなさんは何歳まで働きたいと考えていますか。終活に関する情報を発信するメディア『終活瓦版』を展開する株式会社林商会(滋賀県大津市)が、全国の20~60代以上の男女200人に調査をしたところ、最も多かった回答は「働ける限りずっと」でした。また、老後の生活で不安なことは「生活費」が最も多かったそうです。
 【グラフ】何歳くらいまで「働きたい」と考えていますか?…(調査結果を見る)
 調査は2023年4月にインターネットで実施されました。
 はじめに、「何歳からがご自身の老後だと思いますか」と聞いたところ、「65歳~69歳」(43%)が最も多く、次いで「60歳~64歳」(29%)、「70歳~74歳」(18%)と続きました。
 続いて、「老後の生活に不安を感じますか」と聞いたところ、90%の人が「不安を感じる」(不安を感じる51%・どちらかといえば不安を感じる39%)と回答しました。
 具体的には「生活費」(149票)が最多となったほか、「病気・ケガなどの健康面」(131票)、「自身の介護」(81票)、「認知症」(72票)といった回答が挙げられています。
 次に、「何歳くらいまで働きたいと考えていますか」という質問では、「働ける限りずっと」(34%)、「65歳くらい」(21%)、「60歳くらい」(16%)などに回答が集まりました。
 回答者からは、「年金だけでは生活が厳しいため」(60代以上男性)、「社会との繋がりを出来るだけ長く持っておきたいから」(30代女性)、「年金が満額支給される年齢までは働きたい」(40代男性)といった声が寄せられています。
 最後に、「老後の生活が楽しみですか」と聞いたところ、61%の人が「楽しみではない」(あまり楽しみではない42%・楽しみではない19%)と回答しました。
 その一方で、「老後の生活で楽しみなこと」を複数回答可で答えてもらったところ、「旅行」(107票)、「ひとりの時間」(59票)、「家族との時間」(51票)、「友人との交流」(50票)などが上位に挙げられたそうです
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🚷32〉─4・B─年金月30万円は現役時代に月収110万円、年収約1320万円が必要。~No.144 

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 2023年5月6日 MicrosoftStartニュース ファイナンシャルフィールド「年金だけで「月30万円」の収入を得るには? 現役時代の年収はどのくらい必要?
 年金だけで「月30万円」の収入を得るには? 現役時代の年収はどのくらい必要?
 © ファイナンシャルフィールド
 年金保険料は納付もれがないようにする
会社員の場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つが、原則として65歳から支給されます。
 老後の生活をできる限り年金のみでまかなうためには、まずは保険料に納付もれがないようにしましょう。また、会社員の場合、源泉徴収制度によって国民年金と厚生年金保険料は天引きされるので、よほどのことがない限り滞納することはありません。
 その場合、老齢基礎年金を2023年度時点で満額の場合、年間79万5000円(月額約6万6250円)受け取ることができます。もちろん、これだけで生活するのは非常に難しいです。そのため、老齢厚生年金の部分で、できる限り上積みをする必要があります。
 年金だけで月30万円受け取るには?
 老齢基礎年金が月額約6万5000円と考えると、残り約24万円(年間で約288万円)を老齢厚生年金でカバーする必要があります。老齢厚生年金は、厚生年金に加入していたときの報酬額(給料等)や加入期間によって年金額が計算されます。
 「年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額」で計算されますが、今回は話を分かりやすくするために、経過的加算金額や加給年金額はないものとします。
 報酬比例部分は2003年3月以前と2003年4月以降の加入期間の場合で計算方法が異なります。2003年3月以前の加入期間の部分は「平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数」、2003年4月以降の加入期間の部分は「平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年3月以降の加入期間の月数」で求めることができます。
 年金額の計算は加入時期によって細かく行う必要がありますが、今回は、加入期間すべてを2003年4月以降の計算式で行います。保険料の未納や免除等はなく、40年間(480ヶ月)問題なく納めたとします。
 今回の場合は「平均標準報酬額×5.481/1000×480ヶ月=288万円」となり、平均標準報酬額は約109万4700円となります。そのため、会社員の全期間の平均月収が約110万円必要です。年収ベースでは約1320万円ですね。
 まとめ
 今回は、年金だけで月30万円の収入を得ることはできるのか、現役時代にどのくらいの年収が必要なのか、解説しました。国税庁が発表している「令和3年分民間給与実態統計調査」の給与階級別分布によると、男女合計で年収1000万円を超える世帯は全体の4.9%でした。
 この数字を見ても「狭き門」ですが、年金だけで毎月30万円の収入をカバーしようと思ったら平均月収110万円くらい必要です。総合的に考えると、老後の生活は年金だけに頼るのではなく定年後もできる限り長く働くなど、複数の収入源を構築していったほうがよいかもしれません。
 出典
 日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
 日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
 日本年金機構 は行 報酬比例部分
 国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-
 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 ファイナンシャルプランナー
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 5月6日 MicrosoftStartニュース LIMO | くらしとお金の経済メディア「年収1000万円でも貯蓄ゼロは約1割。「高所得貧乏」に陥る理由2つ
 年収1000万円でも貯蓄ゼロは約1割。「高所得貧乏」に陥る理由2つ
 © LIMO | くらしとお金の経済メディア
 GWももう終わり。長期休暇を楽しんだ一方で、けっこうお金を使ってしまったというご家庭もあるのではないでしょうか。
 一般的に収入が高ければ貯蓄も多く保有している印象がありますが、年収1000万円以上の世帯でも貯蓄がほとんどないという世帯もあるのです。
 本記事では、高所得貧乏の割合やその理由などを解説します。
 年収1000万円以上の「高所得貧乏」の割合とは
 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」によると、年収1000万円以上の世帯の貯蓄の状況は以下のとおりです。
 出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」をもとに筆者作成
 © LIMO | くらしとお金の経済メディア
 「年収1000〜1200万円未満」「1200万円以上」世帯ともに貯蓄ゼロが約1割います。
 また、貯蓄100万円未満の世帯は年収1000〜1200万円未満の世帯で17.5%、1200万円以上の世帯で15.9%です(金融資産非保有を含む)。
 年収1000万円以上でも、6〜7世帯に1世帯があまり貯蓄がないという結果になりました。
 年収1000万円で高所得貧乏に陥る理由2つ
 世間的に高年収と言われる「年収1000万円」という収入がありながら、高所得貧乏に陥ってしまう理由はどこにあるのでしょうか。考えられる理由を見ていきます。
 高所得貧乏になる理由1.所得に対して支出が多い
 高所得貧乏となる理由の一つに、所得に対して支出が多いという点が挙げられます。
 日本で収入、支出ともに高いと考えられる都市といえば東京都でしょう。
 2021年に公表された国土交通省都道府県別の経済的豊かさ」より、二人以上世帯の食費に家賃、水道光熱費などを加えた基礎支出は東京都が19万9372円で1位でした。
 出所:国土交通省都道府県別の経済的豊かさ」
 © LIMO | くらしとお金の経済メディア
 都道府県別の基礎支出
・東京都:19万9372円
・神奈川県:18万2334円
・埼玉県:17万4889円
・千葉県17万3664円
京都府:16万8695円
 ※世帯はすべて2人以上の勤労者世帯 (単身または経営者等は含まず)。
 ※中央世帯とは、各都道府県ごとに可処分所得の上位40%~60%の世帯。
 ※基礎支出=「食料費」+「(特掲)家賃+持ち家の帰属家賃」+「光熱水道費」。なお、「持ち家の帰属家賃」は全国消費実態調査で推計。
 同資料より、可処分所得から基礎支出を引いた「豊かさ」をみると、東京は42位となっています。
 東京は基本的に年収が高い方が多いものの、基礎支出、特に家賃などの生活費は高いでしょう。
 また生命保険文化センターによれば、私立中学に通う割合は東京都が1位で25.5%となっており、東京都では生活費だけでなく教育費も高くなる傾向にあると考えられます。
 出所:生命保険文化センター「私立中学校に通う割合はどの程度?」
 © LIMO | くらしとお金の経済メディア
 所得が多くても生活費や教育費などがかかり、結果的にお金が貯まらないというご家庭もあるでしょう。
 高所得貧乏になる理由2.収入が増えるとともに支出も増えている
 「パーキンソンの法則」をご存じでしょうか。1958年、イギリスの歴史学者政治学者のシリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した『パーキンソンの法則』の第2法則では、人は「支出の額は収入の額に達するまで膨張する」と説かれています。
 年収が上がっても、その分だけ支出を増やしてしまうとなかなか貯蓄ができません。
 たとえば年収が上がったからといって、教育費や住居費、車、洋服など年収に見合ったものを手に入れようとすると支出が増え、結果的に高所得貧乏になる場合もあります。
 特に年収1000万円以上となればそれに合った暮らしをと考える方もいると思いますが、お金を使うところと抑えるところを考えるべきでしょう。
 高所得貧乏にならないために
 年収1000万円以上の世帯でも6〜7世帯に1世帯が貯蓄100万円未満でした。
 GWも終わるこの時期だからこそ、「収入と支出の差」を比べてみたり、「収入が増えたからとお金を使いすぎていないか」振り返ってみるといいでしょう。
 節約や貯蓄は気付いたときが始めどきです。
 支出を抑える工夫をしたり、わが家は何にお金を使い、何に使わないかを話し合ったりして、長い目で見たマネープランを立ててみてくださいね。
 参考資料
厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
国土交通省都道府県別の経済的豊かさ」
生命保険文化センター「私立中学校に通う割合はどの程度?」
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¥45〉─1─人手不足で大企業の賃金上昇のウラで中小企業は痛めつけられ泣いている。~No.225 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 バブル崩壊後、正社員・正規職員と中小企業・下請け企業は復興と再生を妨げるリスクとして切り捨てられ、前途有望な若者は利益・金儲けの邪魔として見捨てられた。
 それが、未来・将来への夢と希望を潰された氷河期世代である。
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 2023年4月26日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「大企業の賃金上昇のウラで中小企業が泣いている…日本を襲う「絶望の人手不足」と「若者の海外逃亡」の厳しすぎる現実
 中原 圭介
 日本は2023年になって、大企業が相次いで大幅な賃上げを表明し、経済の好循環が生まれそうだと考える専門家が多くなっています。
 これは前編『人手不足で大企業が「いきなり賃上げラッシュ!」それでも日本の景気が良くならないと言える「絶望的なワケ」』でお伝えしたとおりです。
 しかし現実には、それとは異なる事態が進行しています。
 大企業が大幅な賃上げを行う一方で、中小企業の賃上げにも期待が集まっていますが、その中小企業は厳しい条件下で思うような賃上げができないのです。その帰結として、大企業と中小企業の間では、かつてないほどの「賃金格差」が広がろうとしています。
 中小企業で賃上げは起こらない…Photo/gettyimages
 © 現代ビジネス
 中小企業を襲う「最悪の事態」
 日本全体の企業数の99.7%が中小企業であり、従業員数の68.8%が中小企業で働いています。中小企業で大企業と同じ水準の賃上げが行われなければ、経済の好循環を達成したとはいえないでしょう。
 現状では、中小企業は過酷な現実に直面しています。
 大企業が商品・サービスに対する価格転嫁を着々と行っているのとは対照的に、多くの中小企業では大企業との値上げ交渉が思うように進んでいない状況にあります。立場的に弱い中小企業ほど、原材料高のしわ寄せが集中しやすい商慣行が未だにはびこっているのです。
 3ヵ月ごとに日銀が公表する短観によれば、中小企業は大企業から厳しいコスト削減を突きつけられる傾向が強いようです。とくにエネルギーや資源の価格が上昇している局面では、大企業との価格交渉ができないので自社の賃下げを迫られるケースが後を絶たないという事実が明らかになっています。
 中小企業の賃上げ原資となる価格転嫁が遅れているなかで、中小企業にも4月以降、大企業と同じく時間外労働の割増賃金が適用されるようになりました。多くの中小企業は事業の存続を考えると、物価高を埋めるほどの賃上げには容易に踏み切れないというわけです。
 大企業と中小企業の格差が拡大している Photo/gettyimages
 © 現代ビジネス
 「賃金格差」はすでに臨界点
 日本商工会議所の調査によれば、賃上げを実施できる中小企業は全体の60%未満にとどまり、賃上げ率は2%程度になる見込みだといいます。足元の物価上昇率は4%台から3%台に低下しているとはいえ、5月上旬まで続く中小企業の労使交渉での賃上げ率は物価上昇分を下回る可能性が高いといえそうです。
 その結果、大企業と中小企業の賃金格差はいっそう拡大することになります。もとより、中小企業の賃上げ率は官製春闘が始まった2014年以降でみても、大企業をずっと下回って推移してきました。おそらく今後は、中小企業の人手不足による倒産増加が避けられそうもありません。
 過去10年を振り返ってみると、生産年齢人口が加速度的に減っているとはいっても、女性や高齢者、外国人の雇用が増えることで何とか人手不足を補ってきました。
 しかしながら、2025年には団塊世代の高齢者がすべて後期高齢者となる見通しですし、外国人も円安による収入の目減りによって、日本で働くモチベーションが低下しています。中小企業にとって未曽有の人手不足が訪れることは間違いなさそうです。
 キシダノミクスはこれからが正念場…Photo/gettyimages
 © 現代ビジネス
 政府は中小を見捨てたのか…
 ひょっとしたら政府は、大企業と中小企業の賃金格差を拡大することで中小企業を淘汰し、生産性の向上を目論んでいるのかもしれません。
 これは私が様々なところで申し上げてきた話ですが、『ケインズの師匠であったケンブリッジ大学アルフレッド・マーシャル教授は、学生たちをロンドンの貧民街に連れて行き、そこで暮らす貧しい人たちの生活を見せたうえで、「経済学者になるには、冷徹な頭脳と暖かい心の両方が必要である』と教え諭したといいます。
 政治家や専門家のなかには「まず中小企業を大淘汰して、生産性の向上を計るべきだ」という主張を展開する人たちが少なからずいます。こういう主張をする人たちは、冷徹な頭脳ばかりが発達してしまい、人としての心や感性が鈍くなっている気がしてなりません。
 仮に中小企業の淘汰が始まるとしたら、真っ先に職を失うのはスキルに乏しい人たちです。そこで政府に求めたいのは、そうした人たちをスキルの取得も含めて再教育し、社会に戻していくシステムを一刻も早く整備しなければならないということです。
 政府にはマーシャル教授の教えを深く心に刻み込んでもらいたいところです。
 さらに連載記事『日本経済を「どん底不況」に陥れる「岸田ノミクス」の危ない真相』では、なぜ日本で経済の好循環が生まれないのか、その深層に迫っていく。
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 4月26日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「人手不足で大企業が「いきなり賃上げラッシュ!」それでも日本の景気が良くならないと言える「絶望的なワケ」
 中原 圭介 
 30年ぶりの賃金上昇率!
 2023年になって、大企業が相次いで大幅な賃上げを表明しています。
 年初に「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが従業員の年収を数%~最大40%引き上げる方針を公表したのを皮切りに、任天堂の基本給10%引き上げ、サントリーホールディングスの7%賃上げなど、あらゆる業種にわたって大企業の賃上げが加速しています。
 また、初任給の大幅な引上げも始まっています。
 三井住友銀行は3メガバンクで横並びだった大卒初任給(2023年大卒から)を25万5000円(5万円増)に引き上げました。その後、三菱UFJ銀行みずほ銀行が大卒初任給(2024年大卒から)をそれぞれ25万5000円(5万円増)、26万円(5万5000円増)に引き上げています。
 春闘で「満額回答」を出したトヨタ経営陣 Photo/gettyimages
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 2023年の春季労使交渉では、トヨタ自動車を筆頭に大多数の企業の経営陣が労働組合の要求に満額の回答を出しました。企業の経営陣が物価高に負けない賃上げを目標と掲げていたため、満額の回答は全体の80%を超えた模様です。
 その結果、今年の春季労使交渉の賃上げ率は1993年以来、30年ぶりの高い伸びになっています。
 賃上げの「切実な理由」
 大企業が大幅な賃上げに動いた背景には、優秀な人材の争奪戦が顕在化してきたということがあります。
 とりわけグローバルに事業を展開する企業では、海外企業になるべく劣らない賃金を払うことによって、できるだけ多くの優秀な人材を確保しようとしているのです。
 それに加えて、国内では人手不足が深刻化しているため、大幅な賃上げをしなければ人材が他社に逃げられてしまうという厳しい現実もあります。とくに近年では、賃金をなかなか引き上げない企業は新卒学生から見向きもされない傾向が高まっているというわけです。
 国内でも海外でも人材獲得競争に攻勢をかけるユニクロファーストリテイリング) Photo/gettyimages
 © 現代ビジネス
 それと並行して、雇用者全体の40%近くを占める非正規社員の処遇の改善も進んでいます。ファーストリテイリングはすでに2022年に、国内でのパートやアルバイトの時給を平均で20%引き上げました。イオンは2023年4月から、パートの時給を平均7%引き上げています。
 正規社員と匹敵するパート・アルバイトの賃上げは、国内での人手不足が尋常でない水準にまで達してきたことを裏付けています。世間で物価高が叫ばれているなかで、従来の処遇のままでは従業員を引き留めることができなくなってきている証左といえるでしょう。
 こうした大企業の賃上げは、世間では好感をもって受け止められています。日本が「値上げ」と「賃上げ」を行うことで経済の好循環が生まれようとしていると、考える専門家も少なくはありません。
 しかし、現実には景気の悪循環に陥りかねない事態も同時に進行しているのです。
 その絶望的な中身を後編記事『大企業の賃金上昇のウラで中小企業が泣いている…日本を襲う「絶望の人手不足」と「若者の海外逃亡」の厳しすぎる現実』で詳しくお伝えしましょう。
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🌁53〉─6─「安いニッポン」が外国人労働者から見捨てられ、人手不足が深刻化する。~No.270 

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 2023年5月7日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「「安いニッポン」が外国人労働者から見捨てられる日…人手不足が外国人の力でまったく解決しないワケ
 河合 雅司
 国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になっている。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。
 ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
 ベストセラー『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。
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 大きく足りない外国人労働者
 勤労世代の減少対策では、「外国人労働者を活用すればいいのでは」との意見も多い。経済団体の声に押されて、政府も受け入れ拡大に向けて制度改革を進めてきた。
 だが、経済界が期待するほど増えていないのが現実だ。
 国際協力機構(JICA)の研究機関「緒方貞子平和開発研究所」と日本政策投資銀行グループの価値総合研究所が、経済成長のために今後必要となる外国人労働者数を推計した報告書をまとめた。
 設備投資の見通しや厚労省の年金財政検証を基に今後の経済成長率を1.24%と仮定し、2040年のGDPが2015年比36%増の704兆円に達するという前提だ。
 また、日本の労働力は労働政策研究・研修機構の推計から、女性や高齢者などの労働参加が進んだとしても2040年には2015年より778万人も少ない5853万人になるとし、こうした予測を踏まえて目標となるGDPを実現するのに必要となる外国人労働者数を計算したのだ。
 結論としては、設備投資によって業務の効率化が進んだとしても、2030年時点で419万人、2040年には674万人の外国人が必要となるが、実際には2030年の外国人労働者は356万人、2040年は632万人しか来日せず、それぞれ63万人と42万人不足するとしている。
 厚労省によれば2021年10月末現在の外国人労働者は173万人弱でしかない。このうち日本で技能や技術を身に付けることを目的とした「技能実習」が約35万2000人、留学生によるアルバイトなどの「資格外活動」が約33万5000人を占めている。いずれも数年で帰国することを前提とした働き方だ。そもそも7年後の2030年の不足数を63万人としていることに現実味がない。
 外国人労働者は日本をどう見ているか
外国人労働者が日本を選ばなくなってきているのだ。その背景には日本経済の長期低迷がある。
 大きな要因の1つは、日本以外にも外国人労働者を必要とする国が増えていることだ。中国や韓国などでも少子高齢化が進んできている。
 JICAなどの推計には、こうした国々における外国人労働者の需要増の影響が加味されておらず、日本より経済成長率が高い国での需要が増えれば、2040年時点の不足人数は42万人より大きな数字となるだろう。
 要因の2つ目は、外国人労働者が、長く賃金が抑制されてきた日本に見切りをつけつつある点だ。理由としてはこちらのほうが深刻である。
 JICAなどの報告書は、日本への送り出し国について、タイやインドネシア、中国などは減少していくと予想している。一方、ベトナムは2030年まで、ミャンマーカンボジアは2030年以降も大きく増加すると予測している。
 新興国の場合、経済が一定の規模に成長するまでは海外に働きに出る人が多いためだが、日本に労働者を送り出して来た国の経済成長は目覚ましい。2030年以降も来日者が増えると予想されている国々の経済成長が予測より早く、母国での賃金水準も上昇したならば国内にとどまる人はもっと増える。
 外国で働くにしても、少しでも高い給与を得られる国を選ぶのが自然の流れだ。ベトナムなどからの労働者が増えるとの見通しは、日本の思惑通りに進むとは限らない。
 経産省も同様の懸念をしている。同省の資料によれば、2020年末時点の技能実習生の出身国は、ベトナム(55.2%)、インドネシア(9.1%)、フィリピン(8.4%)で約7割を占める。これら3ヵ国の1人あたりのGDPは現在約3300~3900ドルで日本の10分の1ほどだが、日本との差が縮むにつれて技能実習生として来日する人は減少するとの分析である。
 賃金が伸び悩む日本は魅力を失うと見ているのである。「安い日本」は国民生活を疲弊させるだけでなく、外国人労働者をめぐる争奪戦の敗北としてもツケが回ってくるということである。
 これに対し、日本政府は外国人労働者が長期間働ける在留資格や職種を拡大すべく検討しているが、「日本離れ」の原因は滞在期間の長さにあるわけではない。こうした対策はあまり意味をなさないだろう。
 外国人労働者の長期滞在については「実質的な移民」につながるとの反対意見が多く、世論は二分している。
 仮に、大規模に受け入れられる状況になっても、社会の混乱を避けるべく時間をかけて増やす必要がある。だが、そうしている間も日本の勤労世代の激減は続くので、人手不足対策としてはペースが合わず、とても間に合わない。
 外国人労働者の受け入れ拡大どころか、日本人の安い人件費と丁寧な仕事ぶりを求めて中国企業が日本国内に工場を建設し、日本人を雇用する動きも見られるようになった。定年退職した高齢者や主婦パートのよい働き口になっているのだという。
 外国人労働者の来日に過度に期待し、人手として当て込むことはかなり危険だ。もはや勤労世代が減ることを前提として企業活動を機能させていく術を考えなければならないのである。勤労世代の減少規模を考えると、従業員1人あたりの労働生産性の向上を図るほうが賢明である。
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¥44〉─1─世界の「コンテナ輸送」において、「日本」は優先される存在ではなくなっている。~No.222No.223No.224 

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 2023年4月28日MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「日本に「コンテナ」がやってこない…じつは世界の海運会社にとって、日本はもう「経済規模3位の特別な存在」ではなくなっていた
 飯田 一史
 米中貿易摩擦、コロナ禍、ロシア・ウクライナ戦争によって物価に影響がある/あったのみならず、さまざまなモノが日本に入ってこない事態が起こり、物流への関心が高まっている。工業製品から食料品まで、仕事から生活まで身近な存在であるコンテナ物流の現在の課題と今後日本が取り組むべきことについて、『コンテナから読む世界経済 経済の血液はこの「箱」が運んでいる!』(KADOKAWA)を著した海運経済学、国際物流を研究している松田琢磨・拓殖大学商学部国際ビジネス学科教授に訊いた
 世界のコンテナ輸送量における日本のシェア縮小の加速は望ましくない
――あとがきにあった「欧米へのコンテナ輸出では中国はもちろん、韓国やベトナムやタイ、インドよりも日本のシェアは小さくなっています。(中略)いまや世界の海運会社や企業にとって、日本は選択肢の一つに過ぎません。コロナ禍における世界でのサプライチェーンの混乱に際して、日本において空コンテナの輸送が遅れたのは、輸送量における日本のシェアが低いこと、日本発着輸送で得られる運賃のシェアが小さいことが大きな理由の一つ」という部分が印象的でした。このまま輸送量における日本のシェア低下が進行すると安定した物流が難しくなるということでしょうか?
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 松田 安定した物流自体は可能だと思います。仮にアメリカ西岸と日本の港を直接運ぶ便が廃止されたとしても、韓国の釜山など国外の港を利用すれば、時間はかかるかもしれませんが、荷物を運ぶことはできます。ただしその場合、運ぶまでの時間も多くかかるようになりますし、発着する港も変える可能性があるため、安定した物流を行うための前提条件が変わってきます。
 輸送量における日本のシェア低下が進行すると、大きな船が日本に寄る理由がなくなりますから、大きな船で直接日本からモノを輸出入する前提での物流業務は難しくなります。目下、それを防ぐために政府でも港湾政策や産業政策をどうするかを検討していますが、それによって現在の課題がどこまで解消できるか気にかかるところです。
 近年、サプライチェーンの混乱を受けて私のところに取材に来た記者やディレクターの方に、海運やコンテナ輸送の事情、国際物流における日本の立場を話すと「どうして日本にコンテナがやってこないんですか」――高い品質の製品を輸出し、経済規模でも世界第3位の豊かな国に、なぜモノがやってこないのか、という反応が結構あるんです。「日本が巨大な工業製品の輸出国である」という認識からアップデートできていない人が意外と多くいるのではないかと感じています。しかしそうではないんですね。2005年から2022年まで、世界のコンテナ輸出量が約2倍に増えた一方で日本の輸出量はほとんど変わっていません。世界の中での輸出シェアは低下していますし、日本はコンテナ輸送でアジアの中で唯一輸入超過の国なのです。すでに時代は変わっているという前提で捉えていく必要があります。
――逆に言うと、貨物量が多い地域・航路は経済的に勢いがあると思っていいのでしょうか。
 松田 因果関係は逆ですが、そう捉えていいと思います。コンテナ輸送はモノを運ぶ需要を受けてから発生する「派生需要」なので「経済的に勢いがあるから貨物量が多くなる」のですが、相関関係として「貨物量が多いと、経済に勢いがある」という見方はできます。近年、ベトナムやタイ、インドから欧米に向かう荷物が増える傾向がありますし、輸出国側として経済的に注目される地域であることは間違いありません。
 大きなインパク
――コンテナ輸送サービスは輸送方法が標準化されているゆえに他社との差別化が難しく、荷主は基本的に運賃で海運会社を決める。そういう運賃下落圧力があるなかで海運会社が利益を出すには量をこなすしかない、だから海運会社からすれば貨物輸送量が多い港をよく使うし、少ないところは敬遠する、という理解でよろしいでしょうか。
 松田 海運会社は価格競争にならざるをえない側面があり、「量をたくさん運ぶ」が基本的に重要です。ですので、一般論としては貨物の発着量が多い港、また、コンテナの箱の管理の問題があるため、貨物の出入りの量がバランスしているところが望ましい。コンテナの空箱を運ぶ費用は海運会社が自分で負担しないといけませんから。
 ただ、輸送量自体が少なくても、ある程度黒字が出せれば選ばれます。たとえばそれほど大きな港ではなくても、海運会社にとって望ましい運賃で年間契約している常連のメーカーの工場が近くにあって荷物の積みおろしが確実に発生する、といった場合ですね。
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――もし日本の港が壊滅的にコンテナ輸送に使われなくなった場合、最悪どうなりますか。
 松田 前提として、日本全土で壊滅的な戦争や天災でも起こらない限り、日本からコンテナ港がすべてなくなるようなことはないとは思います。世界の港を見る限り、日本よりも人口が全然少ない国でもコンテナ港は成立していますし。
 あくまで仮定の話になりますが、思考実験としては面白いかもしれません。日本はエネルギーや穀物以外の相当部分のモノ輸送をコンテナでの輸出入に頼っています。ですからコンテナ輸送が使えないと、たとえば自動車をはじめとする工業製品やその部品の輸出、あるいはみなさんがスーパーやホームセンターで買っているような日常的な消費財の輸入が滞ります。輸入でパッと思いつくものを挙げれば電化製品、百均ショップで売っているような文房具や小物類、冷凍食品、居酒屋さんで出てくる焼き鳥用の鶏肉やバナナ、アボカド、ファストフード用のポテト、ワイン……等々ですね。そうしたモノがなかなか日本に来なくなり、製品の入手や物価にも影響を及ぼすでしょう。
 港でコンテナ輸送が行えないということを、港で使われているコンテナ輸送のための施設が使えなくなると考えてみてもいいでしょう。その場合、港で見られるキリンのようなガントリークレーンやコンテナヤード内にある門型クレーンが使えないことになるでしょう。あれがないと普通のクレーンや輸送機器で荷物を運ぶことになります。すると荷物を安定させながら船との間で積み下ろすのに今の数十倍の時間がかかり、また、人手も必要になります。参考までにお伝えすると、横浜港など日本の港ではコンテナひとつを1分台で積み卸ししています。ですから万が一今のコンテナ輸送の仕組みが使えなくなればモノの迅速な輸出入が難しくなりますし、インパクトは大きいと思います。
 地方港からの輸出を盛り上げていくためには?
――今後、日本離発着の輸送量、シェアを維持するために必要なこと、できそうなことは何でしょうか。
 松田 現状、世界のコンテナ輸送において日本のシェアは小さく、「選ぶ立場」にない点は明確に認識すべきです。日本の港はシンガポールのように近隣国の港を結ぶハブ港ではないのが現状です。選ばれ続けるためにはそもそもの日本経済がやはりある程度盛り上がる必要があり、日本の経済力があってこその荷動き量になります。
 また、多くの地方港では、荷動きを増やすために地域経済の振興を図って輸出を増やすことが必要です。つまり地域の産業と港湾が連携して政策や対策を練ることが求められます。たとえば、国内ではそれなりに使われている商品を生産していても輸出はしていない中小企業も地方には多く存在します。地方港を盛り上げ、輸出を増やすためにも、地方にある輸出できる品物をとりまとめ、地銀などが旗を振って輸出の仲介をやるとか、地方の品物を海外で売るためのマーケティング活動を展開して販路を広げるといった施策が必要でしょう。もちろん、一社一社は量的にはそれほど多くはならないと思います。「塵も積もれば山となる」でやっていかないとなりません。いきなり「熊本に半導体工場が新造されます」のような大きな話はなかなかないでしょう。
 「製造業大企業の工場を誘致して地方経済を盛り上げる」と言っても、「海外で作るより日本の人件費が安いから」だけが理由になるようなものは日本社会のために目指すべき未来ではないだろうと思います。
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――様々なモノの売上高に対する海上の物流コストの割合は実は決して大きくなく、したがって物価に与える影響は軽微であるという話が本にありました。だからこそ、日本企業がこれまでしてきたような「一社単位でのサプライチェーン最適化」を追求するよりも、地域の事業者が連携して工場などから近い港を積極的に共同利用するほうが、短期的には若干コストが割高についたとしても、中長期的に見れば安定したコンテナ物流が維持できる可能性が高く、そちらを選んだ方が地域ないし日本の全体最適につながるので望ましい、言いかえると一社一社が従来通り自社の「効率」を最優先にすると全体としての物流の「安定」を損ないかねない、というご提案と受け取りましたが、この理解で合っていますか。
 松田 そうですね。そのためにフィジカル・インターネット(パケット交換の仕組みを物流に適用し、モノの輸送・仕分・保管を変革し、持続可能な社会を実現するための新しい物流システム)など新しい技術を採用しながら、地銀や地元事業者が地域の物流をとりまとめ、体制を構築していくことで安定した物流につなげられるのではないかと思います。
 また、「安定」を考える場合、自分の地域だけで完結するのではなくて、何かあった場合に備え、近隣の2、3の港を使うというかたちで地域同士が連携するのも良いと思っています。現状、多くの地方港は「週1回しか釜山行きの便がない」などの状況にあり、安定した輸送を行うためには便数的には足りていなかったりしますから、小さい荷物をまとめて運ぶ際のコーディネーションが難しいです。ですから、「何曜日はこの港を使う」といった使い分けもありえます。加えて先ほど言った、これまで輸出されていなかったモノが増えていくことでさらなる安定輸送につなげられると思っています。
<【後編】じつはもう世界の「コンテナ輸送」において、「日本」は優先される存在ではなくなっているという「衝撃的な事実」>では、さらに韓国や中国と日本の関係について、コンテナ輸送の観点から引き続き松田琢磨教授に話を訊く。
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 4月28日 「じつはもう世界の「コンテナ輸送」において、「日本」は優先される存在ではなくなっているという「衝撃的な事実」
 飯田 一史
 米中貿易摩擦、コロナ禍、ロシア・ウクライナ戦争によって物価に影響がある/あったのみならず、さまざまなモノが日本に入ってこない事態が起こり、物流への関心が高まっている。
 工業製品から食料品まで、仕事から生活まで身近な存在であるコンテナ物流の現在の課題と今後日本が取り組むべきことについて、<【前編】日本に「コンテナ」がやってこない…じつは世界の海運会社にとって、日本はもう「経済規模3位の特別な存在」ではなくなっていた>に引き続き『コンテナから読む世界経済 経済の血液はこの「箱」が運んでいる!』(KADOKAWA)を著した海運経済学、国際物流を研究している松田琢磨・拓殖大学商学部国際ビジネス学科教授に訊いた。
 韓国の海運会社の再編が進んだ場合、日本にも影響が予想される
――釜山港など、近隣国と日本の航路の関係はざっくりどんなものだと思えばいいでしょうか。
 松田 外国と日本の間を行き来するコンテナ貨物の約1割は釜山を経由しています。ですから、日本の輸出入の拠点となっていることは否めない事実です。国内では政策として「釜山より京浜・阪神」に力を入れていますが、釜山は無視できる存在ではありません。とくに九州、日本海側の地域の人にとっては重要な海外への窓口になっています。
 日本には47都道府県で約60のコンテナ港があり、それらの港の多くは釜山とつながることで国際路線を維持している面があります。日本として港湾政策をどうするかなどの問題をとりあえずおくと、各地方が釜山との定期航路を維持するのであれば、なんらかのかたちで、輸入貨物の方が多いインバランス(不均衡)の解消を図っていかなければならないでしょう。
――2010年代の再編を経て、世界的なコンテナ海運会社は9社に集約されたものの、下位企業を中心とした再編もあるやもとのことでしたが、こういう再編は日本にどのように関わってくる可能性がありますか。
 松田 一番再編の可能性が高く、日本にもっとも影響が考えられるのは韓国の海運会社です。韓国には十数社の中小コンテナ海運会社があります。韓国トップのHMMは世界的なコンテナ会社の一つとして欧州航路や北米航路にも航路を就航させていますが、それ以外は中小企業が多く、韓国とベトナム、韓国と中国、韓国と日本など短い航路に数隻ずつ出しているという会社が多いんですね。それら中小企業は先に述べたような日本の各地方港と釜山を結ぶ航路を持っています。日本と釜山を結ぶ航路はほとんど韓国船社が運営しているのです。これに対して韓国政府は「集約したほうがいいのでは」との認識を持っているようです。
 もし合併して大きい会社になると「大きい船でたくさんの荷物を運んだ方が経営効率がいいから、この港は飛ばそう」「この港は小さくて大きい船が停まれないから飛ばそう」という話になりかねない。言いかえると、今のように釜山との間のコンテナ船が日本の地方港にちょこちょこ寄って戻っていく行動を望ましいと思わなくなる可能性があります。韓国における海運会社の集約については、2016年の韓進海運の倒産後、話が一度盛り上がり、一部協力の動きが出たもののその先が続かず、立ち消えになっています。どの会社も経営のハンドリングをほかの会社に奪われるのはイヤだということです。ただ、いつかは動きとして出てくるかもしれません。
――コンテナに関して直近の注目トピック、動向にはどんなことがありますか。
 松田 大きなもののひとつは環境対策ですね。海運業も環境対応、温室効果ガス排出削減が求められており、コンテナ船も重油に代わる燃料をどうするかが課題です。本命が見えない中で過渡的・中間的なものとして比較的温暖化ガスの排出量が少ないLNGを燃料に使ったものなどが使われていますが、代替案の本命はまだ決まっていない。会社によっては特定の燃料を推すかたちで船の入れ替えを進めていますが、どう転ぶかに関しては不確実性が高いです。いずれにしても環境投資はコストがかさみます。
 一方で、コンテナ船の運賃は非常に下落しています。今はコロナ前とさほど変わらない運賃で、しかし物価上昇と原油価格等のコスト上昇があり、今言った環境投資もしないといけないわけですから、コロナ前よりすでに苦しい状況です。
 大型船を中心に環境対応船への入れ替えが始まっておりますが、中小船や中小企業の対応はまだこれからです。とはいえ、小さい船を扱う小さい会社は環境対応しなくて良い、とはなりません。そのときに運賃が低い状況だと、体力のない中小海運会社がコスト的に環境対応しきれずに再編、ということも起こらないとは言えないですね。
 対中リスク上昇とコロナ禍によってサプライチェーンに対する考えが変わった?
 松田 もうひとつ注視していきたい動きとしては、いわゆるチャイナ・プラスワン――中国から拠点を分散・移転させる動き――ですね。現在でも中国発着の荷動き量のシェアは圧倒的ではあるものの、近年では東南アジアを中心にほかの国のシェアが伸びてきています。
 もともとコンテナ貨物は「低・中付加価値帯」で「体積がかさばる」ものを運ぶのに適している手段であって、高級品は飛行機で運びます。中国で経済発展が進んだことによって、生産する品目が中付加価値帯から高付加価値帯へシフトしつつあります。すると輸送される品目がやや高付加価値帯のものにシフトしています。そうなると、家具やアパレルが典型ですが、付加価値が高いとは言えない労働集約型の製品は、人件費を考えるともはや「中国で作らずベトナムバングラデシュなどで作ったほうがいい」となって「これらの国に工場を作ってそこから運ぶほうがいい」という動きになります。その分、中国のシェアが減っているわけです。
 米中関係、地政学的状況を踏まえて、世界的にどのように生産体制が変わっていくかも注目点です。経済発展と人件費高騰に伴う中国からのシフトがそもそもあったなかで、さらに政治的なリスクを鑑みたチャイナ・プラスワンの動きが加速しているため、それが果たしてどこまで進むのか注目しています。
 これは対中に限った動きではありませんが、コロナ禍でコンテナ輸送の混乱があり「あまりに長すぎるサプライチェーンはどうなのか」とか「在庫を持たないサプライチェーンを徹底するこれまでのやり方で本当にいいのか」という議論が出てきました。現状ではサプライチェーンの混乱はだいぶ収まってはいますが、新型コロナウイルスの流行後にロシア・ウクライナ戦争なども勃発し、いつまたどんなかたちでモノの動きが滞ってもおかしくありません。それに備えておくべきではという感覚が各荷主にあると見ています。生産拠点、在庫の持ち方、物流経路などのサプライチェーンがコロナ禍以前に単純にそのまま元通りになる、とはいかず、何らかの形で強靭化を考慮して再構築していくことになるはずです。
 輸送という視点から捉えることが、これからの経済を考えるヒントにもなる
――昨年から今年にかけて『新国際物流論』『日の丸コンテナ会社ONEはなぜ成功したのか?』『コンテナから読む世界経済』と松田先生が関わった書籍が続けて刊行されていますが、改めて、研究者以外の人に対して、コンテナについて知ってもらいたいことはどんなことですか。
 松田 街中でコンテナを積んだ大型トラックが道路を走っていることを見かけるかたも多いと思います。とくに『コンテナから読む世界経済』ではそうなのですが、これらの本を手に取っていただくことで「モノの動きってこうなっているんだな」といったことを考えるきっかけになり、食料品をはじめ日々触れているものも運んでいる身近なものだ、貿易に役立っている存在なんだと知ってほしかったんですね。
 かつてとは貿易のあり方が変わってきており、世界のコンテナ輸送における日本のシェアはすでに大きくありません。新型コロナウイルスの流行のような事象が何か起きた際に、日本は優先されるような立場ではなくなっている。コンテナ輸送の現状は、日本経済が世界の中で置かれている現状を強く反映しています。コンテナ輸送の現状を知ることに加えて、現在の日本経済が世界の中でどういう立ち位置にあるかについても考えるきっかけにもなればと思っています。輸送という観点から捉えることが、経済をどうするかを考える糸口にもなるはずです。
――最近、AIについて巷でまた盛り上がっていますが、AIがいくら発達してもモノを運ばなくていいようにはならないですから、物流の話は重要であり続けるわけですよね。
 松田 一時期「3Dプリンタが普及すれば物流の役割は減るのでは」と言われましたが、仮に3Dプリンタでさまざまなものが作れるようになったとしても、原料や3Dプリンタ本体、あるいはその部品は運ばなければいけません。どれだけ新奇なテクノロジーが出てきたとしても、コンテナ輸送が突然なくなるとは、少なくとも当面考え難い。物流は私たちが生きていく上で否応なく付随してくる事柄であり、日本に住んでいる以上は海運に頼らざるをえません。その重要性を知っていただければ嬉しいです。
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🥓9〉─2─自分を優先して老いた毒親との親子の縁を切って捨ててもかまわない。~No.26 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 子供だからと言って、毒親の犠牲になって不幸な人生を送る責任も義務もない。
 毒親は、我が子を虐げる権利=親の権利はない。
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 2023年5月4日 MicrosoftStartニュース 文春オンライン「「毒親は捨ててもいい」と介護のプロが断言する理由「関わることで破滅するくらいなら、自分の人生を優先していいんです」
 石川 結貴
 「親への憎しみが募る一方だったり、自分が壊れそうになっているのなら、捨てることを考えていい」
 自分を傷つけた親が老いたとき、あなたの人生はどうなってしまうのか? ここでは、要介護状態になってしまった「毒親」との付き合い方を解説。ジャーナリストの石川結貴氏の新書『 毒親介護 』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む)
 もし自分の親が「毒親」だったら、どう付き合うのが正解なのだろう? 写真はイメージです ©getty
 © 文春オンライン
 ◆◆◆
 毒親との付き合い方
 かつて自分を傷つけ苦しめた親、家庭を顧みず自分勝手に生きていた親。そんな毒親が老い、介護や経済的支援などの問題に直面する子世代は少なくない。老いてなお横暴な親に失望したり、一見弱者の親に翻弄されたりする子どもの側は、憎しみや嫌悪、ときに葛藤を覚えている。これからどうすればいいのだろう、この状態がいつまでつづくのか、そんな思いを抱えながら手探りの日々を送る人たちに、いくつかの選択肢と対応方法を挙げてみたい。
 まずは親との関係性についての選択肢、ここには大きく2つがある。「捨てる」と「関わる」だ。
 親を捨てる、別の言い方をすれば逃げるとか、縁を切ることになるだろう。世間一般からすれば「親を捨てるなんてとんでもない」と非難されるかもしれないが、捨てるという選択肢を知っておくのは大切だ。
 介護・暮らしジャーナリストで、遠距離介護を支援するNPO法人パオッコの太田差惠子理事長は、「親への憎しみが募る一方だったり、自分が壊れそうになっているのなら、捨てることを考えていい」と話す。
 「親孝行は美談で語られがちです。介護は人を成長させる、つらいことがあっても乗り越えられる、そんな声は多いし、確かにそれも事実でしょう。けれども現実に、今まさに毒親に苦しんでいる人にとってはきれいごとに聞こえるかもしれません。そんなきれいごとを拠りどころにしてがんばれというのは酷だし、どうしようもなくつらいのなら捨てるという選択を考えていい。毒親に関わることで破滅するくらいなら、自分の人生を優先していいんです」
 太田さんによると、毒親介護でむずかしいのは「見極め」だという。死んでも関わりたくないほどの毒親なのか、少しくらいは助けてやろうと思えるのか、見極めができずに悩む人が多い。気持ちの整理ができない場合にはひとまず専門の相談機関に出向き、親との関係性について率直に伝えるといい。
 「各地域には、高齢者の生活や介護の相談窓口である地域包括支援センターがあります。自分だけでいいので、まずはここを訪ねて親がどんなサービスを利用できるのか確認してください。過去に虐待されていた、親が暴力的、家族関係が悪い、そういう事情があるなら隠さず伝えましょう。その上で親に関わらないのか、それとも何かできるのか、相談員と話し合うことが大切です」
 「捨てる」としたら、必ず行政につないでおく。やみくもに介護放棄をすると保護責任者遺棄罪などに問われる可能性があるからだ。また、自分が親と絶縁すると別の身内に面倒が及ぶこともある。兄弟や親戚には事前の状況説明も必要だ。
 罪悪感を拭いきれない場合は…
 一方で、実務的な問題とは別に感情的な迷いを断ち切れない人も少なくない。老いて弱々しい親、惨めささえ感じさせるような親を本当に捨てていいものか、そんな罪悪感を拭いきれないときには発想を転換する。太田さんはその切り替え方を次のように示す。
 「世の中には子どものいない高齢者がたくさんいる。でも、みなさんふつうに生きてますよね。子どもの世話にならなくても医療や介護は受けられるし、頼れる身内がいない人には相応の行政サービスがあります。つまり、自分が背負わなくてもどうにかなると割り切ってもいいんです」
 子どもがいない高齢者でもふつうに生きている、この事実を心の片隅に留めておく。それは「自分が捨ててもどうにかなる」という気持ちの整理に役立つし、罪悪感を手放すためのひとつの考え方になるだろう。
 太田さんが言うとおり、毒親との関係性はきれいごとだけでは済まない。昨今報道される凄惨な児童虐待事件からもあきらかなように、非情で非道な親は残念ながら存在する。一見立派な親が絶えず子どもの心を踏みにじり、精神的に追い込むことも少なくない。苛烈な暴力や理不尽な支配を受けてきた人にすれば、自身の苦悩の元凶である毒親との関わりなどあまりにつらいものだろう。
 自分の人生を破滅させないために親から逃げる、子どもにはその選択があっていい。そもそも毒親が「子どもに捨てられるようなひどいことをしてきた親」ならば、真に責められるべきは彼らであり、あるいは自業自得とも言えるだろう。
 どこまで関わるか、一線を引く
 もうひとつの選択肢、「関わる」についてはさまざまな形がある。逃げる、縁を切るといった決定的な断絶を望まない場合には、「少しだけ関わる、少しくらいは助けよう」と考えてみる。できれば「少し」の範囲を具体的に決め、あらかじめ一線を引いておくことが大切、そう太田さんは言う。
 「たとえば親が施設入所となったとき、面会には行かないけれど身元保証人にはなるとか、万一のことがあったら葬式だけは出そうとか、自分で自分の関わる範囲を決めておくといいでしょう。地域包括支援センターで相談するときも、ここはやるけれど、それ以外はお願いしますなどというように具体的に伝えてください。また、相談員には子ども側の事情がわかりません。住宅ローンや教育費が大変、失業中、持病がある、そんな事情を話した上で、親との関わり方について相談をすることをお勧めします」
 一方で、関わる範囲を決められないまま親と向き合わざるを得ない人も少なくない。とりわけ毒親に苦しめられてきた人たちは、実家と疎遠だったり、親族との関わりを避けていたりする。親子関係に長い空白があるため、現在の親の健康状態や生活状況を知らない場合も多い。
 そうした状態で、親の急病や入院、生活困窮などの問題が降りかかってくる。関わり方を考える余裕や心の準備のないまま、いきなり介護がはじまる場合もあるだろう。
 「それでも最初の心構えは大事です。昔の親子関係の問題、たとえば親は私にこんなひどいことをしたとか、ずっと親が嫌いだったとか、そういう過去の事情が入ってくるとつらくなる。そこだけは気づいていたほうがいいと思います」
 介護する上で知っておくべき「自分の特性」
 介護する人の支援や相談業務を行うNPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジンの牧野史子理事長は、「介護は勢いだけで手をつけないこと」とアドバイスする。
 突然介護がはじまれば誰しも戸惑うが、親と疎遠だったり、親子関係が悪かったりするとなお混乱してしまう。親の意思や生活状況がわからないまま、とにかくなんとかしなくてはと見切り発車する人もいるが、そんなときは「自分の特性」や「キャパシティー(許容量)」を考えたほうがいい。
 「親のことはわからなくても、自分のことならわかりますよね。だからまず自分の得意や不得意、ついがんばりすぎてしまうとか、落ち込みやすいとか、そういう特性を考えてみてください。その上で自分はこれくらいなら許せそう、ここは無理、そんな意識を持つことが大切です」
 いったいなぜ自分の特性を知っておく必要があるのか、牧野さんは介護に潜む「支配」の問題を指摘する。親のためにがんばらなくては、親には自分しかいない、そんなのめり込みがときに相手への支配につながるからだという。
 とりわけ毒親に悩んできたような人たちは、親に愛されたい、自分を認めてほしい、感謝や後悔の言葉を聞きたい、そんな切なる思いを秘めている。私が取材した事例でも、「(親が)死ぬ前に、ありがとうと心の底から言わせたい」、「お詫びでもお礼でもなんでもいいから言ってもらうために、(介護を)投げ出すわけにはいかない」、そう話した人がいた。
 介護が「生きがい」になってしまう人ほど要注意
 「介護は人の生きがいになってしまうことがあります。要介護者(介護を受ける人)と介護者(介護をする人)の間にカプセルができて、双方が互いに依存しあうのです。親は子どもの世話にならないと生きられない、世話する子どものほうも介護を自分の使命のように捉えてしまう。かつて強者だった親が自分を頼ってくれるのはうれしいことでしょうが、尽くしすぎるのはかえって危ない面もあります」
 かつて親に愛されなかったからこそ、せめて今から愛されるためにがんばりたい、それは無理からぬことだろう。だが、「尽くしてあげている」という思いは「だから自分は報われるべきだ」、そんな感情につながっていく。報われるためには結果が必要、それも自分が満足する結果がほしくなる。
 牧野さんが扱ってきた介護相談の中に、その典型例があるという。親子ではなく夫婦のケースだが、企業戦士だった元エリートの夫が認知症の妻を介護していたものだ。
 「夫は妻を献身的に介護していると誇らしげでした。認知症の進行を止めるためだと言って、妻に算数や漢字のドリルをがんがんやらせる。そうして少しでも問題を解けると、ほら、僕のお陰でこんなにできるようになったと胸を張るのです。でもそれは相手のためというより、自己満足のために強制していることでしょう。夫をエリート息子や几帳面な娘に、妻を老いた親に置き換えると、実はこうしたケースは少なくない。介護によって親を支配する、介護が子どものアイデンティティーになってしまうと、結局は『ほかの人には任せられない』と自分だけで抱え込みます。一生懸命尽くされているのですが、介護をしている方の本音はつらい場合もあります」
 一見献身的な介護にも、思わぬ落とし穴が潜んでいる。捨てるのか、それとも関わるのか、迷いながらもさまざまな角度から考え、必要に応じて周囲の助けを求めることが大切だろう。
 「母が私の首を絞めたり、包丁を突き付けたりするのです」それでも54歳ケアマネジャー女性が「毒親の母」を見捨てなかったワケ へ続く
 (石川 結貴/文春新書)
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