🌁48〉─1─学校の多様化。増加する外国にルーツを持つ学童達。~No.221No.222No.223 ㉛ 

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 少子高齢社会で日本人の子供が減少し、増える外国人移民で外国人の子供が増加する。
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 2023年2月27日 YAHOO!JAPANニュース 東洋経済education × ICT編集部「地域格差が深刻、「外国ルーツを持つ子ども」の教育で教員が果たす重要な役割
日本国籍あるかないかは関係ない、問題の本質
 過去にはブラジルやペルーなど南米から、近年はベトナムなどアジアから。社会情勢に応じて各国の就労者を集める日本だが、定住した彼らが子どもを育てるための環境はまだまだ整っていない。国内の人口は減少し難民の受け入れも求められる昨今、移民とその子どもを排除することはもはや現実的ではないはずだ。多様なバックグラウンドを持つ子どものために、一人ひとりができることは何か。外国にルーツを持つ子どもの教育の状況を調査してきた、東洋英和女学院大学講師の山本直子氏に聞いた。
 さまざまなトラブルが認識されやすい「移民の集住地」
 「国内で就労する外国人の増加とともに、日本の学校に通う外国人の子どもが増えています。外国人の集住地では日本人住民とのトラブルも起き、20年ほど前にはゴミ出しのルールや騒音トラブルでメディアに取り上げられることもよくありました」
 こう語るのは、東洋英和女学院大学の国際社会学部で教える山本直子氏だ。2010年ごろから東海エリアや北関東の外国人集住地で、地域の学校と子どもを対象にしたインタビュー調査などのフィールドワークを行ってきた。近年では全国の自治体が持つデータを比較・分析する研究プロジェクトにも参加。さまざまな側面から外国ルーツを持つ子どもの生活の実態を追っている。
 山本直子(やまもと・なおこ)
 東洋英和女学院大学国際社会学部国際コミュニケーション学科専任講師。2019年、慶応義塾大学大学院博士課程修了(社会学)。日本語教師のボランティア活動をきっかけに移民の生活に興味を持ち、社会人経験を経て大学院へ進んだ。東京都立大学 子ども・若者貧困研究センター特任研究員、慶応義塾大学非常勤講師なども務める。
(撮影:尾形文繁)
 「私が最初に調査をした愛知県の豊田市では、1989年に出入国管理及び難民認定法入管法)が改正されたことで、ブラジルなど南米からの労働者が急増しました。受け入れあっせん業者が借り上げた公営団地では、居住者の約半数が自動車工場で働く外国人でした」
 こうした移民の集住地では、山本氏が述べたような「トラブル」も目立った。だがそれは裏を返せば、地域の問題が認識されやすいということでもあった。山本氏は言う。
 「豊田市には、外国にルーツを持つ子どもの教育についての意識・関心の高い教員が集まるようになっていました。知識のない教員への研修や自治体の制度もどんどん整備されて、彼らの学校生活をサポートする体制が整っていったのです」
 例えば学校から保護者への書類にふりがなをつけたり、三者面談には通訳を同席させたり、また子どもの日本語力に応じた取り出し授業なども行われている。
 「学校の3割程度を外国人が占めるような状況で、ノウハウが蓄積され、教員も彼らがどんなことに困るかという予測がつくようになりました。病院や公的施設も多言語への対応に取り組むなど、自治体の努力も大きい。地域に日系ブラジル人コミュニティーができていることもあり、外国にルーツを持つことによる孤独は比較的感じにくいと思います」
 だがそのコミュニティーの存在は、時としてデメリットにもなると山本氏は続ける。
 「学校からドロップアウトしてしまう子どもも一定数いるため、それが悪い意味でのお手本になるという面もあります。不登校を経て非正規雇用になり、しかもすぐ辞めて職を転々とする――。一度踏み外したときの転落の仕方は想像もつかないほど早く、深いところまで転がり落ちてしまう。彼らがつながることのできるセーフティーネットが少ないことは、これからの課題の1つだと思います」
 圧倒的マイノリティーになる「非集住地」での問題は
 集住地に対して「非集住地」の状況はどうか。上の2021年度のグラフでは、外国人の集住傾向を示す「5人以上」という学校が約2300校あるが、いちばん多いのは「1人」の学校だ。さらに調査対象の子どもの在籍数が「4人以下」の学校が全体の7割を占めており、耳目を集めやすい集住地よりも、実際は非集住地の事例が多いということがわかる。
 「学校に1人だけ外国にルーツを持つ子どもがいるような場合、子ども本人が日本語を覚えて困難を乗り越えていくことがほとんどです。つまりは子どもの努力に任せきりの状態ということ。彼らは普通の学級に何の支援もなく存在していて、いじめられたり、孤立していたりするケースも少なくありません」
 山本氏は地域による「ケアの格差」が非常に大きいと指摘する。
 「豊田市のような手厚い自治体から、進学などで近隣の自治体に出たとき、途端に何のケアもなくなって戸惑う子どもや家族も多くいます。子が親の通訳をせざるをえない状況も頻発し、彼らをヤングケアラーにさせているのです」
 非集住地では問題が認識されにくい。知識がない教員の下では、見逃される問題は枚挙にいとまがない。例えば、母国で初等教育を受けていた子どもは、語学力に左右されない算数ならできると思われがちだ。だが必ずしもそうではないし、答えが合っていても、そこに至るプロセスが違うと子どもを叱る教員もいる。これにはすべての子どもが傷つくだろうが、外国ルーツを持つ子どもにはよりダメージが大きいと山本氏は言う。母国で受けてきた教育を否定されることで、「自分の国の教育は劣っていたのではないか」と感じてしまうからだ。
 国語の指導にも注意が必要だ。山本氏は「日本の学校では日本語力を重視しすぎて、それができれば万事解決とする傾向があります。そして彼らの抱える言語以外の悩みは『個人の問題』と切り捨てられてしまう」と苦言を呈する。
 「一見問題なく日本語の会話ができる子どもでも、学習言語として複雑な概念を理解するには至っておらず、学力以前のところで理解を阻んでいることも。こうした例は非常に多く、これは外国にルーツを持つ子どもの教育における不可欠な知識です」
 看過されやすい現状の課題はほかにもある。今度は、日本国籍を持っているか否かで子どもを見てみよう。
 「外国にルーツを持つ子どもは学校を離れやすいのですが、中でも外国籍の場合、小学校や中学校の『中退』が発生しやすい。『国に帰ります』と言われてしまえばそれまでで、自治体も追うことはできません。でも実際は日本にとどまっていて、引きこもりになっていたというケースもあるのです」
 日本国籍を持っていたとしても問題はある。文部科学省の調査などは基本的に外国籍を持つ子どもを対象にしているため、国籍によってはその実情をすくい上げることができなくなるからだ。
 「例えば父親が日本人で日本国籍を持っていても、ほぼ母子家庭の状態で、日本語力に困難を持つ子どももいます。でも彼らのルーツへの配慮が、日本国籍があることによって薄れてしまうのです。とくにアジア系移民で、外国ルーツであることが見た目にわからない子どもならなおさらです」
 「困難の本質は国籍ではない」子どもに寄り添った声かけを
 「日本人の保護者が『公立の学校は外国人の子どもが多いから、自分の子どもは私立へ進学させたい』と言う声をとてもよく聞きます。でも本当の問題は国籍や出身そのものではなく、それが理由で引き起こされている貧困であることもあります。そして貧困は、さらにたくさんの問題を引き寄せてしまうもの。どの国の出身でもどんな経済状況でも、子どもたちが可能性を断ち切られてはいけません」
 前述のグラフを引用した文科省の調査では、2021年度の日本語指導が必要な中学校卒業者の進学率は89.9%。全中学生等の進学率は99.2%だ。「ほぼすべての人が進学する中で、1割が進学しないというのは数字以上に深刻なこと」だと山本氏は語る。もし自分の教室に、外国にルーツを持つ子どもがいたら、教員はどうすればいいのか。
 「今、学校の先生は本当に忙しいと思います。この問題は教員がすべてを背負うべきことではないし、学校の中だけで何とかできることではありません。でも子どもたちとつながる場所は学校しかないことも事実なので、子どもたちを地域や支援につなぐ役割を果たしてもらえたら。本来なら、学校に1人でもそうした子どもがいるなら、ソーシャルワーカーや専門知識を持つ担当者が学校を巡回する必要があると考えています」
 この問題の最前線ともいえるエリアでフィールドワークをしてきた山本氏は、国の支援制度にも不足を感じている。
 「これまでの取り組みは、自治体単位やボランティアの尽力で進んできたことが主で、全国一律での施策はまだまだ弱いのが実情です。だからケアに地域格差が生まれてしまうわけですが、活用できる支援制度を知らない先生もいると聞きました。まずは自分の自治体にどんな制度があるかを調べることも必要です」
 山本氏が挙げる「教員がすべき最も重要なこと」は、彼らに寄り添う声かけと、個を認める姿勢を持つことだ。
 同氏がインタビューしたある子どもは、英語圏の出身ではなかったが、教員に「英語の発音がきれいだね」と褒められたことで自信がつき、英語力を生かした入試方式で難関大学への進学を果たした。自分のルーツを強みと捉えて、外資系に就職した例もあった。またある子どもは、信じがたいことだが教員から「ばかなんじゃないか」などと罵倒され、「ああ、もう学校には行けない」と勉強への意欲をなくしてしまったという。
 「日本人のクラスメートが外国ルーツの子どもを受け入れられるかどうかも、教員の指導の結果だと思います。前向きに勉強を続けてこられた子どもに話を聞くと、『先生に認めてもらえた』という経験を語る子どもが実に多いのです」
 (文:鈴木絢子、注記のない写真:fizkes / PIXTA
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 2023年4月30日8:02 YAHOO!JAPANニュース 東洋経済education×ICT「増える「外国にルーツを持つ子ども」学校での課題 少人数指導や取り出し授業は日本人にも利点が
 全校児童の8割が外国籍の時代を経て、少人数指導を確立
 写真:東洋経済education × ICT
 古くから「国際都市」として成長してきた横浜市だが、1980年代以降には公立の学校の多様化が進んだ。国際情勢や法改正の影響で、中国やベトナムなどから多くの人々が同市に移り住み、「外国にルーツを持つ子ども(※)」が地域の学校で学ぶようになったためだ。小・中学校合わせて外国にルーツを持つ子どもの在籍数は1万1303人、そのうち日本語指導が必要な子どもは3297人に上る(2022年5月時点、横浜市教育委員会による)。長く彼らの指導に当たる横浜市上飯田小学校の菊池聡氏に、その状況を詳しく聞く。
※本記事中では、外国籍および外国につながる子どもの総称として用いる
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 現在は横浜市上飯田小学校に勤める菊池聡氏。宮城県出身で、過去の自身を「元は体育担当で、バリバリの学級担任志向でした」と振り返る。最初に赴任した小学校には海外経験の豊富な教職員が多くおり、その影響を受ける形で香港の日本人学校へ。2004年に帰国して「国際教室を担当してほしい」と言われたときは、外国にルーツを持つ子どもを取り巻く状況についての知識もなかったという。
 「対象の子どもがどれぐらいいるのかも知らなかったし、当時はその重要性や責任もわかりませんでした。『何をするんだろう?』と思いながら引き受けたのを覚えています」
 だが以来20年、複数の小学校を経験しながら、国際教室担当一筋に情熱を注ぎ続けている。
 菊池氏が帰国当初から10年間勤めた同市立飯田北いちょう小学校(14年にいちょう小学校と飯田北小学校を統合して開校)は、全児童の8割近くが外国にルーツを持つ子どもで占められていたこともあったほどの超国際的な学校だった。
 「インドシナ難民の定住促進センターが近くにあったことや、近隣の自動車工場が外国人労働者を受け入れたことなどから、1980年代後半から90年代初頭にかけて、外国籍の子どもが一度に10人単位で増え続けた時期があったそうです。先輩教員の苦労も大きかったと思いますが、私が前身のいちょう小に来た際には、外国にルーツを持つ子どもの指導のための加配がすでに行われていました」
 2014年、同校と隣接する小学校との統合に合わせて、菊池氏は、毎日の国語科と算数科の学習で徹底した完全少人数指導体制を整えた。同年の法整備によって「日本語指導が必要な児童生徒を対象とした『特別の教育課程』の編成・実施」が正式に認められ、日本語力や学力に応じた取り出し授業や少人数指導も行えるようになった。
 「授業の目標はもちろん、子どもが内容を100%理解することです。でもいきなりそれは難しいと感じるなら、まずは80を目指すグループで学ぶ。それでも厳しそうなら、60を目指してやってみる。そうした姿勢で選べるよう、国語と算数は3から4つのグループに分けました。グループは日本人も外国にルーツを持つ子どもも関係なく、事前のプレテストの結果でクラスを決めたり、子ども自身がクラスを選択したりしていました」
 体制的に複数グループがつくれない場合でも、1つのクラスに3~4人の教員が入って、一人ひとりを丁寧に見るようにした。また、教室や担当教員をつねにシャッフルするようにもした。これは「できないグループ」の固定化を避け、子どもたちに劣等感を抱かせないための工夫だった。
 少人数指導のメリットは日本人の子どもにとっても大きいものだ。また教員にとっては実質的にチーム担任制が導入されたことになり、学級の問題を一人で抱え込むストレスが軽減されただろう。現在も、同校ではこの少人数指導が続けられている。
教員だけでなく、学校がある地域のすべての人と協働
菊池氏は、国籍もルーツもさまざまな子どもたちが一緒に過ごすことで起こる化学反応を何度も目にしてきた。
 「子どもは教員よりもよくほかの子どもを見ていることもあり、彼らが苦手なことだけでなく、できることもよく知っています。日本語力に課題がある子どもが授業中に困ったときには、率先して手助けしてくれる例がよくありました。彼らに教えやすいように座席もいつの間にか移動していたり、『先生、この子これならできるからやらせてあげて!』と教えてくれたりするのです」
 こうした助け合いは、教室に多様な相乗効果を生む。外国にルーツを持つ子どもはピンチを救ってもらえてうれしいし、相手の状況や気持ちに応じた行動を取ることは、日本人の子どもにとっても大きな学びとなる。
 国籍を問わず、学校全体を巻き込んだ取り組みは授業だけにとどまらない。柔軟な働き方ができる外国人は多くないため、日中には子どもの学校のPTA活動に参加できないケースが多かった。そこで前身のいちょう小学校では、PTAの会合を19時以降に開催することにした。すると外国籍の保護者の多くが関心を持って参加するようになったという。とくに負担のかかるPTA会長を複数人体制にして、外国籍の保護者が担当した年もあったそうだ。共働き世帯が増え続ける昨今、PTAのあり方は全国でさまざまな議論を生んでいるが、こうしたフレキシブルな変化は、日本人の家庭にとってもありがたいことだろう。
 この地域では、日本人もベトナム人や中国人も保育園時代から共に育つため、偏見や差別が少なく、学校でのいじめも起こりにくい。さらに加配の専門教員が複数いる状況は「恵まれている」と言われることが多かった。しかし加配教員が比較的多い飯田北いちょう小でも、外国にルーツを持つ子どもやその保護者も巻き込んで「隣の生活者」として扱わなければ、学校運営そのものが成り立たないのだ。
 「飯田北いちょう小では、多文化共生の地域・学校づくりのためにさまざまな方と協働してきました。学級担任はもちろんのこと、養護教諭や栄養職員、用務員、自治体や地域ボランティアなど、学校がある地域のすべての方々と共に取り組んだのです」
教室で「お客さん扱い」されるマイノリティーの子ども
恵まれているとされる環境では、思いがけない弊害もあるという。
 「教員は通常業務だけでも忙しいので、国際教室担当の教員が多いほうがいいというのもとてもよくわかります。ただこれは私見ですが、専門の担当教員が多いと、学級担任との温度差も生じうるのではないでしょうか。子どもが学校でいちばん多くの時間を過ごすのは自分の教室です。学級担任が『国際教室の担当に任せればいい』と考えてしまうと、子どもにとって教室での時間がつらいものになりかねません」
 例えば現在菊池氏がいる同市立上飯田小学校は、飯田北いちょう小と1キロ程度しか離れていないにもかかわらず、外国にルーツを持つ子どもの割合は全体の7%にすぎない。こうした学校では、彼らはいわば「お客さん状態」で扱われることがあると菊池氏は語る。菊池氏は、自身が過去に見たその例を挙げた。
 「国語の授業で、句点で区切って子ども一人ひとりに音読をさせることがありますよね。そのとき教室には来日したばかりの子どもがいましたが、日本語がわからないことに配慮したのか、教員はその子を飛ばして授業を進めていました。そのほかにも、日直など当番制で回ってくるものはすべて同じ扱いをしていたと聞きました」
 前述のとおり、子どもはほかの子どもを非常によく見ている。日本人の子どもにとっても、外国にルーツを持つ子どもが困っている場面は成長のチャンスなのだ。だが教員が「その子はお客さん扱いしていい」という慣習を作ってしまえば、すべてはそこで終わってしまう。菊池氏も「長くやっている専門教員がいなかったり、加配教員がいなかったりする学校でこそ、どう工夫して子どもを支援していくかが重要だと考えています」と語る。次回は、こうした「外国にルーツを持つ子どもがマイノリティーになる学校」での実例や課題を掘り下げる。
 (文:鈴木絢子、撮影:大澤誠)
 東洋経済education × ICT編集部
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🚷57〉─1─誰も逃げられない「長い老後」の不安な現実。身軽に生きるコツ。~No.218No.219No.220 

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 中高年はやり直しができない世代として、明日を考えずローンを組んで浪費する青少年とは違って、無駄な大金を使わず必要なだけ小銭を小出しにして質素倹約に生きるべきである。
 特に、団塊の世代団塊ジュニア世代は、嘗て、悪知恵を働かして大金を荒稼ぎしたメディアやエコノミストの「経済大国、大量生産・大量消費」の音頭で散々痛い目をの被害を被った被害者である。
 人口激減で少子超高齢社会に突入しようとしている衰退日本で、メディアやアナリスト達は、高齢者を貧困化させる為に高齢者の老後資金をむしり取る為に「浪費しろ」とけしかけている。
 日本の民族史において、メディアやアナリストが煽る「浪費は美徳」とされた時代はない。
 社会問題化した「食品ロス」も、メディアやアナリストが経済繁栄の為には大量生産・大量消費は正しいと子供達を洗脳したからである。
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 2023年4月29日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「どんどん貧しくなる日本で70〜80代はどう生きればいいか…誰も逃げられない「長い老後」の不安な現実
 現代新書編集部
 〈年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%、80代就業者の約9割が自宅近くで働く――。〉
 9万部突破のベストセラー『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。
 年収は200万円台、持ち家が正解、月10万円稼げばOK…意外と知らない「定年後の真実」
 © 現代ビジネス
 定年前、管理職に就く人も出てくる。
 〈部長職の構成比率は、50代前半で26.6%、50代後半で26.9%と50代でピークを打った後は急速に減少し、60代前半には8.8%、60代後半には2.7%までその数を減らす。
 (中略)
 課長職の年齢構成をみると、60代前半でその職に就く人の比率は2.9%、60代後半は0.5%となる。50代後半以降、多くの人は役職定年や定年を経験して役職をはく奪される。〉(『ほんとうの定年後』より)
 60代で管理職という人はほとんどいないという現実がある。
 また、定年後には、現場仕事やフリーランスで働く人が多いため、管理するだけの能力は役立たなくなる。
 「年収300万円以下が大半」という現実
 収入は当然ながら、減少する。
 〈60代前半では平均収入は357万円で、上位25%所得は450万円、収入の中央値は280万円となる。
 60代後半に目を移すと平均額は256万円まで下がり、上位25%所得は300万円、中央値が180万円まで下がる。
 定年後の就業者の収入の実態を探っていくと、300万円以下の収入の人が大半であることがわかる。〉(『ほんとうの定年後』より)
 「小さな仕事」が日本を救う?
このように、定年後の仕事やお金については、データからおおよその実態が見えてくる。
 〈データの分析によって、平均的な家計において定年後に本当に稼ぐべき額は月10万円程度であることだったり、キャリアの中で人は仕事に対する意義を見失うタイミングがあり、多くの人は50代でその転機を経験することなどがわかる。〉(『ほんとうの定年後』より)
 〈定年後の仕事の実態を丹念に調べていくと浮かび上がってくるのは、定年後の「小さな仕事」を通じて豊かな暮らしを手に入れている人々の姿である。
 さらに明らかになるのは、このような定年後の「小さな仕事」が必要不可欠なものとして人々の日々の暮らしの中に埋め込まれており、かつそれが実際に日本経済を支えているという事実である。〉(『ほんとうの定年後』より)
 定年が迫り、役職定年を迎える頃、これからの職業人生において何を目標にしていけばいいのか迷う経験をする人は少なくない。
 多くの人は、50〜60代で仕事自体や仕事に対する価値観が大きく変わる。
 そうしたことを理解したうえで、長い老後に備えておきたい。
 年収は200万円台、持ち家が正解、月10万円稼げばOK…意外と知らない「定年後の真実」
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 4月29日 MicrosoftStartニュース ESSE-online「60代夫婦の「シンプルな暮し方」。服やもの、人間関係を手放して身軽に生きるコツ
 関東地方に住む62歳の専業主婦、ライフさん。YouTubeチャンネル「60歳からの幸せライフ」で、60代のシンプルな暮らし術などを発信しています。そんなライフさんの、手放しても問題なかったものや大人の友達づき合い、インテリア術などをまとめてご紹介します。
 60代夫婦が捨てても困らなかったもの3つ。狭い家がすっきり片づく
 ライフさんのご自宅の玄関。靴箱を処分したら、すっきりした空間に。
 © ESSE-online
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 関東に住む62歳の専業主婦、ライフさん。YouTube「60歳からの幸せライフ」にて、60代のシンプルな暮らし術などを発信しています。
 ライフさんのおうちには、多くの家にある靴箱と洗面台のキャビネットがありません。ご自身で処分したそうです。そしたら狭い空間がすっきりとしました。
 なぜ捨てたのか、代わりにどのような収納をしているか、お聞きしました。
●1:靴箱を処分したら玄関がすっきり。靴は廊下の収納スペースへ
 もともとは、花ビンの位置に木製の靴箱がありました
 © ESSE-online
 上の写真の花ビンの位置には、以前は12足ほどの靴が入る木製の靴箱が置いてあったそうです。しかし夫婦ふたりの靴はすべて収まりきらず、廊下の収納スペースも併用していました。
 次第に廊下の収納スペースだけで事たりることに気づき、靴箱を撤去することに。
 玄関を上がって1つ目の扉(手前の扉)が収納スペース。こちらに靴をしまっています
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 靴を着脱する“たたき”から、収納スペースは徒歩3歩の距離。靴底が汚れたときは、外で払ってからしまうので、廊下に砂汚れが落ちることもほとんどありません。
 「靴箱を処分したら、さっぱりした玄関になりました」と満足げなライフさん。
 夫婦ふたり分の靴を収納。ホームセンターで棚板を購入。サイズを計測し、ノコギリで切って作成
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 収納スペースを靴入れにするために、旦那さんとDIYをして棚板を増やしました。棚板をホームセンターで購入し、サイズを合わせてのこぎりで切って作成したと言います。
●2:洗面所のキャビネットを処分。ドライヤーもお化粧も、リビングですれば暖かい
 洗面所。備えつけのキャビネットを撤去し、すっきりした空間に。来客がないときは、飾り棚に歯ブラシを置いています
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 「洗面台のキャビネットも捨てました」とライフさん。
 もともとは、白い鏡つきの3段キャビネットが備えつけられていて、各自のものを置いていました。しかし子どもたちが巣立つと、一気に収納するものが減り、中がスカスカになってしまいました。そこで思いきって捨てることを決意。
 代わりにホームセンターで購入した、鏡と木の飾り台を自分たちで取りつけ、壁も塗り直しました。
 キャビネットに収納していたドライヤー、スキンケア用品、化粧道具、夫のひげそりは、すべてリビングへ移動。現在はドライヤーやスキンケアはリビングで行っているそうです。
 キッチンに鏡を設置。ライフさんのお化粧や、夫のひげそりはこの鏡で行います。リビングとつながっているため、洗面所よりもエアコンが効き、過ごしやすい場所
キッチンに鏡を設置。ライフさんのお化粧や、夫のひげそりはこの鏡で行います。リビングとつながっているため、洗面所よりもエアコンが効き、過ごしやすい場所
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 リビングと繋がったキッチンに鏡を飾り、ライフさんのお化粧や夫のひげそりはそこでしています。
 不便かと思いきや「リビングやキッチンのほうが、洗面所よりも冬は暖かく夏は涼しいので、髪を乾かすのもスキンケアをするにもかえって快適ですよ。ただメイクに関しては、私が眉と口紅を塗るだけだから、できるのかもしれませんね」とライフさん。
 さらに詳しく知りたい方はこちら!
 60代、「合わない友達」を手放して心がラクに。大人のつき合いのコツ4つ
 自宅で友人とお茶を楽しむライフさん
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 ライフさんのYouTube「60歳からの幸せライフ」で多くの方から共感が寄せられたのが、「友人は少なくても大丈夫」という内容を描いた動画。
 ライフさんが友人関係で、手放してラクになったことを伺いました。
●1:生き方が違うなと感じた友達から距離をおいたら、気持ちがグッとラク
 60代夫婦の「シンプルな暮し方」。服やもの、人間関係を手放して身軽に生きるコツ
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 以前は根本の考え方が違う友人とも話を合わせていたライフさん。しかし、だんだん話を合わせることがきつくなってきたそうです。最後はそっと、ライフさんから友人の元を離れました。
 少しずつそうした友人や仲間から離れていったら、周りには「程よい距離感を保ちながら、心地よい会話ができる」人だけが残りました。
 「若いときは“近くにいて、一緒に遊ぶと楽しいこと”を友人には求めていました。しかし年を重ねるにつれて、心地よさを重視するようになりました。もちろん人によって友人関係にはいろいろな考えがあると思います。ただ私の場合は、無理をしたり気を遣わないといけない関係はもういいかなと考えるようになりました」
●2:熱量が同じでない人とのつき合いをやめたら、「私ばっかり」から解放された
 お互いの“好き”の熱量が違う友人に、思いきって連絡をとるのをやめたライフさん。すると「いつも私ばっかり連絡してる?」というモヤモヤから解放されました。
 「大好きな友人がいましたが、いつも私から連絡をとっていました。しかしふと『私がどんなに相手を好きでも、お互いの熱量が同じでないと友人とは言えないかもしれない。相手は私を必要としていないのかもしれない』と思うようになり、連絡をとるのをやめました。コロナで周りとの関係を見直したことも影響していたと思います」
 さらに詳しく知りたい方はこちら!
 62歳のシンプルおしゃれなインテリア術。実際より広い部屋に見せるコツ4つ
 ご自宅のリビングでくつろくライフさん
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 ライフさんから、狭い部屋でもすっきり広く見せる工夫や、あか抜けた部屋をつくる工夫を教えていただきました。
●1:扉をあけたときの角に雑貨を置くと華やかに
 ライフさんのおうちは築25年の2階建ての一軒家で、間取りは4LDK。今はふたりのお子さんが巣立ち、夫婦2人で暮らしています。
 シンプルなのにどことなく華やかさを感じる秘訣は、「雑貨を置く場所」にありました。
 60代夫婦の「シンプルな暮し方」。服やもの、人間関係を手放して身軽に生きるコツ
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 「角に雑貨を置くと、あか抜けた部屋になります」とライフさん。
 リビングの扉から中を撮影したものですが、よく見ると角に雑貨を配置していることがわかります。
 たとえば、部屋の左隅にあるテレビとオブジェ、出窓の左角にはランプ、右角にはサボテンと観葉植物がありますね。
●2:いちばんの華やかポイントは、真っ先に目につく角部分
 「部屋の扉をあけたときに真っ先に見える部分がポイント。ここに雑貨を飾ると部屋の印象が変わりますよ」とライフさん。
 60代夫婦の「シンプルな暮し方」。服やもの、人間関係を手放して身軽に生きるコツ
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 この方法はリビングだけでなく、ほかの部屋にも応用できます。
 たとえば書斎(以前は長男が使用していた部屋)では、奥の壁の角が目がいきやすい場所。ここには義理のお母様が使用していたアンティークランプを飾っています。
 これはライフさんのお気に入り。よく目にする位置にお気に入りのものを置くと、よりごきげんでいられるのだそうです。
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 60代、「重い服」はもういらない。服を手放して軽やかに暮らすコツ4つ
 「服を減らして衣替えの必要がなくなった」というライフさん
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 服を捨てる方法や捨てたことで得たメリットを教えていただきました。
●1:引き出しの中の服を「全部出し」してから整理する
 60代夫婦の「シンプルな暮し方」。服やもの、人間関係を手放して身軽に生きるコツ
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 ファッション好きな人ほど、気がつくとタンスいっぱいに服を溜めてしまいがち。
 ライフさんも、引き出しに服をぎゅうぎゅうに詰めてしまっているときがあったそうです。引き出しをあけると、「まるでびっくり箱のように、ボンっと中身があふれてしまうこともあった」と言います。
 「引き出しの中身が多い人には、一度、中のものを全部取り出してから整理を始めることをおすすめします」とライフさん。
 「自分も覚えていないような服がないかを確認する作業が大切なんです」
 面倒ですが、そのひと手間でタンスの中身を片づけやすくなるとのこと。
 全部出しすることで、後戻りできない「整理しなきゃいけない状況」にするのも、整理のコツです。
●2:「重い服」を捨てたら、軽やかに活動できるようになった
 60代夫婦の「シンプルな暮し方」。服やもの、人間関係を手放して身軽に生きるコツ
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 ライフさんは還暦を過ぎた頃から、衣類や小物の重さが気になるようになったと言います。
 思いきって重くて厚みがあるコートを手放し、軽いものにチェンジ。すると、長時間のお出かけがラクになり、満足度が上がったそうです。
 「最初は、軽くて薄いダウンジャケットでは寒さは乗りきれないのでは? と不安がありました。しかし実際着てみると、想像よりも暖かいんですね。今ではすっかりお気に入りです」とライフさん。
 薄手のアイテムを重ね着することで、少ないアイテムで暖かく過ごせます。
 ライフさんがこれらの経験をYouTubeチャンネルでお話をしたところ、視聴者のみなさんからたくさんの共感の声が寄せられたそうです。
 ほかにも重い肩掛けのバッグは娘さんに譲り、軽く両手が自由になるリュックタイプに変更したところ、とても活動しやすくなりました。
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🥓13〉─3─姑が放つ「度を超えた無神経な発言で号泣する妊活妻。~No.46 ⑧ 

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 2023年4月13日 MicrosoftStartニュース FORZA STYLE「「度を超えた無神経...」39歳の妊活妻が号泣。姑が放った「人として言ってはいけない一言」
 高倉瞳(仮名・39)は、例年31日に夫の実家に帰省している。夫はテレビマンで年末年始は、仕事詰めだ。
 「本当はのんびり1人で過ごしたいんですけど、寂しいでしょと言われて、断りきれず……。ここ数年は夫を置いて、先に帰省をしています」。
 夫が帰省してくるのは2日の夜。実質2日間は、瞳は夫の家に単身乗り込むことになる。
 「夫の両親がすごく嫌というわけではなかったんです。おうちはとても広くて、泊まる部屋はちゃんとしたゲストルームだし、食事も美味しいお取り寄せばかり。義理の妹とその旦那様もいい意味で普通の方なので」。
 ところが昨年から、少し状況が変わったという。
 「あなたたちは、まだなの?」妊活をまるでノルマ扱い!帰省で泣いた39歳妊活妻と、時代錯誤な鬼姑の末路。
 ©︎gettyimages
 「義理の妹に子どもが生まれたんです。男の子、私にとっては甥っ子ということになります。夫の両親はそれはそれは喜んでいて……」。
 この新たな命の誕生の裏で瞳はひっそりと傷ついていた。実は3年以上、不妊治療を続けているのだ。
 「漠然と結婚して、数年したら子どもができて……そんな風に思っていたので、できないことにまず、とても傷つきました。みんなの当たり前が私にはないんだって」。
 できないことを受け入れるのに時間がとてもかかったという。
 「夫とは、子どもはいなくてもいいと話してきました。でも実際、周りに子どもができはじめて、その姿を見るとやっぱりいいなという気持ちが芽生えてきて、不妊治療をしてみることにしたんです」。
 瞳は治療を始めれば、すぐに子どもができると考えていたという。
 「あなたたちは、まだなの?」妊活をまるでノルマ扱い!帰省で泣いた39歳妊活妻と、時代錯誤な鬼姑の末路。
 ©︎gettyimages
 「実際はそんなに甘いものではありませんでした。精神的にも肉体的にも結構つらくて……。それでも子どもができれば頑張れたと思うのですが、なかなかできず、先が見えない戦いにすっかり落ち込んでしまっていたんです」
 そんな中でも義理の妹の妊娠、出産だったのだ。
 「正直、すごく羨ましかった。なんの苦労もなく、子どもができて……。もちろんわかっているんです。苦労がないってわけじゃないって。でも治療をしてもできない私と治療をしてないのにできる義理の妹、一体何が違うんだろうって……」。
 そして、今年の帰省で瞳はさらに傷つくことになる。
 「義理の妹がまた妊娠したんです。1歳になったばかりの甥っ子は、3ヶ月後にはお兄ちゃんになるそうです」。
 お正月の食卓の会話はすべて甥っ子が中心。みなが彼をちやほやし、義理の妹を労った。
 「居心地は悪かったですね。でもそれは私の問題です。子どもにも義理の妹にも罪はありません。ですから、ぐっと堪えていつも通り、いい嫁を演じていたんですが……」。
 姑のある一言で、突然瞳に話題がうつったという。
 「『瞳さん子どもはいつできるの?』『あなたたちはまだなの?』って。多分、私顔が凍りついていたと思います。義理の妹と舅が必死にフォローを入れていましたが、明らかに場の空気が張り詰めた感じでした」。
 男女関係のトラブルに詳しい、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏が語る。
 「ハラスメントという概念すら持たない年配の人たちは、たしかに一定数存在します。マタハラという言葉は一般的ですが、未だに地方には『子供ができないのは、先祖供養が足りないから』と信じ込んでいる人もいる。一度傷つけられた心は簡単には戻らない」
 次回では、さらに豹変して瞳を責めぬく姑のさらなる仕打ちと、瞳の反撃を詳細にレポートしていきたい。
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🚷4〉─1・B─日本人は深刻な日本人消滅カウントダウン開始を深く理解しない。~No.7 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 日本の激減する人口を回復させる最善の方策は、日本人を日本民族ではなく日本国民に組み換える事である。
 日本人の証明を、雄のY染色体から雌のX染色体に切り替え、日本民族を捨てる事である。
 日本民族が消滅すれば、日本から民族主義は消える。
 それが、反宗教無神論・反天皇反民族反日本の戦後民主主義教育が目指してきた理想国家である。
   ・   ・   ・   
 戦後民主主義教育を受けて育った現代の日本人は、皇国史観・愛国教育を受けた昔の日本人とは違って、民族中心神話を頼りに生きてきた日本民族に対する愛着は乏しい、もしくはない。
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 2023年4月27日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「深刻な「日本人消滅」カウントダウン開始…「100年後に5000万人以下」になる「この国の衝撃的未来」
 河合 雅司 によるストーリー • 13 時間前
 国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になっている。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。
 ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。
 各業種・職種に何が起こるのか? ベストセラー『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。
 シリーズ最新作『未来の年表 業界大変化』は12月15日発売!
 © 現代ビジネス
 呑気な人々
 日本が少子高齢社会にあることは、誰もが知る「常識」である。だが、その実態を正確にわかっている日本人は、いったいどれくらいいるだろうか?
 私は仕事柄、国会議員や官僚、地方自治体の首長、経済界の重鎮たちと接する機会が多いのだが、政策決定に大きな影響力を持つ彼らであっても、正確にはわかっていない。
 人口減少問題への対策を担う閣僚からしてそうである。たとえば、地方創生担当相だった山本幸三氏は、「地方創生はまず少子高齢化に歯止めをかけて、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服して、将来にわたって成長力を確保することを目指しております」と語った(2016年8月3日の就任記者会見)。
 だが、残念なことに、「少子化」は止まりようがない。今後の日本社会は、子育て支援策が成果を挙げ、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に出産する子供数の推計値)が多少改善したところで、出生数が増加することにはならないのである(その理由は後述しよう)。
 「高齢化」に至っては、すでにこの世に存在する人が歳を重ねる結果起きるのだから、これに「歯止めをかける」などというのは、何やら“危ない話”(ある程度の年齢に達した人にはいなくなってもらう……云々)を想定しているかとあらぬ誤解を受けそうだ(ただし、山本氏の名誉のために言うならば、「少子高齢化に歯止めをかける」と口にする国会議員、地方議員は数知れない。全国各地の議会や行政の会議で、認識不足や誤解による議論が重ねられ、どんどんトンチンカンな対策が生み出されている)。
 地方自治体職員からも、実に呑気な発言が聞かれる。
 先日、関東のある地方都市を訪れた際(私は全国の市町村から、講演やシンポジウムのパネリストとして頻繁に招かれもする)、「わが市は積極的に子育て支援策に取り組み、近隣自治体から子育て世帯がどんどん転入して子供の数も増えています。小学校の校舎不足に悩むなんて嬉しい悲鳴です」と自慢げに話す自治体幹部と出会った。
 また別の講演先では、「うちの市長は20万都市構想を掲げている。何とか都会からの移住者を増やしたいがどうすればよいか」と、地元財界の有力者が相談を持ちかけてきた。
 これらなどは、現実を見ていない典型例と言ってもよい。数年後には、東京を含めた全ての自治体で人口が減る。日本が消えてなくなるかもしれないといわれているときに、一部の自治体の人口が増えただの、減っただのと一喜一憂している場合ではない。もっと、日本全体の人口減少を見据えた長期的政策を考えるべきである。
 “論壇”の無責任な議論
 かたや、いわゆる“論壇”でも、人口減少への対策に関して実にピント外れな議論が目立つ。典型的なのが、「労働力不足は、AI(人工知能)の応用や移民の受け入れで解決する」とする楽観的な主張だ。
 たしかに、目の前にある人手不足は、機械化や移民による穴埋めで幾分かは対応できるかもしれない。だが、日本の労働力人口は今後十数年で1000万人近くも少なくなると見込まれる。そのすべてを機械や外国人に置き換えることにはとうてい無理があろう。
 最近は、悲観論が語られることを逆手に取ったような論調も多くなってきた。人口減少を何とかポジティブに捉えることが、現実を知らない聴き手にはウケるのかもしれない。「人口減少は日本にとってチャンスだ」、「人口が減ることは、むしろ経済成長にとって強みである」といった見方がそれである。
 もちろん、少子高齢化が進んでも経済成長している国はある(そもそも、戦後日本の経済成長は、人口の伸びによるものではなく、イノベーション〔技術革新〕による産物だったとされる)。
 「人口が減るからといって、豊かな暮らしができなくなるわけではない。生産性を向上させ、同じ労働時間で付加価値の高い仕事を行えるようにすればよいのだ。労働者1人あたりの国内総生産GDP)が伸びさえすれば、個々の所得は増える」──短期的な視座に立てば、こうした見方も成り立つ。私も労働生産性の向上は重要だと考えており、否定するつもりはない。
 ただそれは、人口減少の如何にかかわらず目指すべきことだ。労働生産性が向上すれば、人口減少問題が直ちに解決するわけではないだろう。
 そしてその見方が、気休めのような都合のよいデータをかき集めて、人口減少そのものに全く問題がないかのような幻想を抱かせようとするのであれば、あまりに無責任であり、非常に危うい考えであると言わざるを得ない。
 今取り上げるべきなのは、人口の絶対数が激減したり、高齢者が激増したりすることによって生じる弊害であり、それにどう対応していけばよいのかである。経済が成長し続けたとしても、少子化に歯止めがかかったり、高齢者の激増スピードが緩んだりするわけでは断じてない。
 先にも述べたように、日本の少子化は簡単には止まらない。このままでは、日本という国家が成り立たなくなる。楽観論を声高に語る人々が、日本という国がいかに危ない状況に置かれているかを知らぬわけはなかろう。見て見ぬふりをするつもりなのだろうか?
 われわれは決して楽観論に逃げ込むことがあってはならない。“不都合な真実”であっても目を背けず、それに立ち向かう選択をしなければならないのである。
 シリーズ最新作『未来の年表 業界大変化』は12月15日発売!
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 4月27日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「結婚しない、個性を殺したがる…日本の若者に起きている「深刻な異変」の正体 意外と知らなかった論点・視点
 現代新書編集部 の意見 • 13 時間前
 いま日本はどんな国なのか?
 私たちはどんな時代を生きているのか?
 日本という国や日本人の謎や難題に迫る新書『日本の死角』が刊行される。
 意外と知らなかった論点・視点の数々とは――。
 日本人は「日本のこと」について深く知らないという「意外すぎる現実」 日本はどんな国か、いまはどんな時代か
 © 現代ビジネス
 「個性的」とは否定の言葉?
 「個性的と言われると、自分を否定された気がする」「周囲と違うってことでしょ?どう考えてもマイナスの言葉」「他の言葉は良い意味にも取れるけど、個性的だけは良い意味に取れない」「差別的に受け取られるかも」……。
 どうやらいまの若者たちは「個性的」だと思われたくないらしい。
 〈思いをストレートに口に出すと、周囲から自分だけが浮いてしまう。みんなと同じでなければ安心できず、たとえプラスの方向であったとしても自分だけが目立つことは避けたい。近年はそんな心性が広がっているように見受けられる。
 (中略)
 「個性的であること」は、組織からの解放を求めるには好都合だが、組織への包摂を求めるには不都合である。自分の安定した居場所が揺らぎかねないからである。
 今日の若者たちは、かつてのように社会組織によって強制された鬱陶しい人間関係から解放されることを願うのではなく、その拘束力が緩んで流動性が増したがゆえに不安定化した人間関係へ安全に包摂されることを願っている〉(「いまの若者たちにとって「個性的」とは否定の言葉である」『日本の死角』より)
 コミュニケーションや人間関係が固定的から流動的になるにつれて、若者は場面場面で付き合う相手を切り替えている。
 これは上の世代からはなかなか見えてこない実態だろう。
 なぜ結婚しないのか?
 若者については、結婚しなくなっていることも興味深い現象だろう。
 一体なぜなのか?
 〈少子化対策を熱心に言挙げする人々は、しばしば仕事と子育ての両立難や、若年男性の経済的困窮をとりあげて、「若者は結婚したくても、できない」というリアリティを強調してきた。
 しかし、それは事態の半面でしかない。
 今回は別の角度から、若者が結婚しにくくなっている理由を考えたい。
 それは格差婚、すなわち女性が自分よりも学歴や収入など社会的地位の低い男性と結婚する傾向が少ないままだから、ではなかろうか〉(「家族はコスパが悪すぎる?結婚しない若者たち、結婚教の信者たち」『日本の死角』より)
 『日本の死角』で紹介される調査では実際に日本の下降婚率が低いことも示される。
 いまや出生数80万人割れ、2070年に総人口が8700万という推計も出たばかり。あらためて、山積する日本の論点を整理し、考える機会としたい。
 日本人は「日本のこと」について深く知らないという「意外すぎる現実」 日本はどんな国か、いまはどんな時代か
 © 現代ビジネス
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 4月27日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「日本人は「日本のこと」について深く知らないという「意外すぎる現実」 日本はどんな国か、いまはどんな時代か
 現代ビジネス編集部 の意見 • 14 時間前
 いま日本はどんな国なのか?
 私たちはどんな時代を生きているのか?
 日本という国や日本人の謎や難題に迫る新書『日本の死角』が刊行される。
 意外と知らなかった論点・視点の数々とは――。
 日本人は「日本のこと」について深く知らないという「意外すぎる現実」 日本はどんな国か、いまはどんな時代か
 © 現代ビジネス
 日本という謎の国
 日本とは、いまだ謎に満ちた国である。
 国のかたちや制度が劇的に変わることはなく旧態依然のままで、問題も山積している。
 では、いま何が必要なのか。
 それは、さまざまな謎や論点を正しく捉え、私たちが当たり前だと思っている強固な常識や固定観念をときほぐし、問いなおすことである。
 「なぜ」や「そもそも」からこの国や時代を見ていくことで、事態をより深く理解することができるだろう。
 そもそも日本は「集団主義」なのか?
 なぜ日本はここまで「衰退」してしまったのか?
 なぜ若者は「結婚」しなくなったのか?
 なぜ日本人は「移動」しなくなったのか?
 なぜ日本の学校から「いじめ」がなくならないのか?
 なぜ日本で「死後離婚」と「夫婦別墓」が増えたのか?
 そもそも「差別」とは何か?
 「日本の死角」とも言える論点・問い
 なんとなく「こうなのではないか」という理由が頭に浮かぶかもしれない。
 日本人が集団主義というのは、ルース・ベネディクト菊と刀』をはじめ数々の日本人論で書かれていることではないか──。
 コロナ禍のせいで、日本人は移動しなくなったのだ──。
 しかし、じつは、科学は「日本人=集団主義」を否定しているし、日本人はコロナ禍以前から移動しなくなっている。
 〈科学的な方法できちんと比較をしてみると、日本人は、「世界でいちばん個人主義的」という定評のあるアメリカ人と比べても、特に集団主義的というわけではないのである。
 科学的な比較研究の結果がこう出ている以上、「日本人は集団主義」という「常識」は、間違いだったと考えざるをえない〉(『日本の死角』より)
 〈『移動できる者』と『できない者』の二極化が進んでいる。かならずしも地方から出る必要がなくなるなかで、都会に向かう者は学歴や資産、あるいは自分自身に対するある種無謀な自信を持った特殊な者に限られているのである。
 問題は、そのせいで地方社会の風通しが悪くなっていることである。学歴に優れ、資産を持つ『社会的な強者』だけが抜けていく地方になお留まる人びとには、これまで以上に地元の人間関係やしきたりに従順であることが求められる。
 結果として、地方では『地域カースト』とでも呼べるような上下関係が目立つようになっている。移動の機会の減少は、それまでの人間関係を変え、ちがう自分になる可能性を奪う。その結果、親の地位や子どものころからの関係がより重視される社会がつくられているのである〉(『日本の死角』より)
 私たちは、間違った常識や先入観のもとで問題を思考し、答えを導き出してしまうことがある。
 そうだとしたら、時に答えを出すよりも、私たちが見えなかった・見てこなかった「日本の死角」とも言える論点や問いを掘り下げ、再考することこそが重要である。
 私たちはどんな時代を生きているのか?
 『日本の死角』に収録するのは、講談社「現代ビジネス」に掲載された論考である。
 2010年に創刊した現代ビジネスは、月間閲覧数が4億ページビューを超えたことがある日本最大級のビジネスメディアだ。日々、第一線あるいは気鋭のジャーナリストや学者らが、時宜にかなったテーマについて、問題の構造や核心を突く文章を寄せている。
 『日本の死角』では、日本人論や若者の生態、失われた30年、教育、地方、暮らし、差別……これまで何度も語られてきたような問題から最新のテーマまで、シャープかつコンパクトな論考16本を掲載する(初出時から最低限の加筆修正をおこなっている)。どれを読んでも、新しい視点を得られるはずだ。
 いま日本はどんな国なのか?
 私たちはどんな時代を生きているのか?
 これまで意外と見えていなかった日本という国、そして日本人の「謎と難題」を見ていこう。
 つづく「結婚しない、個性を殺したがる…日本の若者に起きている『深刻な異変』の正体」では、なぜ若者は結婚しなくなったのか、若者の人間関係やコミュニケーションはどう変化したのか、上の世代から見えてこない深層に迫る。
 日本人は「日本のこと」について深く知らないという「意外すぎる現実」 日本はどんな国か、いまはどんな時代か
 © 現代ビジネス
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🌁39〉─3・C─日本企業年収300万円台が最多。外資系の平均年収は800万円。~No.164 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2023年 4月25日 MicrosoftStartニュース ファイナンシャルフィールド「【がんばれ日本!】年収300万円台が最多?外資系の平均年収は800万円!?
 © ファイナンシャルフィールド
 300~400万円が一番多い|日本の年収の割合
 同じく国税庁民間給与実態統計調査によると、令和3年度の日本の平均年収は、男性が545万円、女性が302万円です。そのなかでも、300~400万円が914万人(男女計)で、全体の17.4%ともっとも多く、次いで400~500万円が788万人(15.0%)との結果が出ました。
 男女別にみてみると、男性の年収の割合がもっとも多いのは400~500万円の537万人( 17.5%)、女性では100~200万円の497万人( 22.5%)でした。
 55~59歳男性の687万円が一番高い|年齢別の平均年収
 次は、年齢別の平均年収をみてみましょう。同じく国税庁民間給与実態統計調査によると、平均年収が一番多いのは55~59歳男性の687万円でした。男性は年齢を重ねるごとに年収が上がり、定年退職前の55~59歳がピークであることが分かります。
 対して女性は、25~29歳の328万円から、55~59歳まではあまり収入の変化はなく、年齢による差はみられませんでした。女性は、結婚や出産・育児などのライフイベントによって、仕事が制限されることもあるためと考えられます。
 高収入を狙うなら外資系!? 平均年収約800万円
 「外資系」は、年収が高いといわれる職業のひとつです。
 外資系の年収は約800万円といわれており、日本の平均年収よりも高い水準であることが分かります。
 しかし、外資系と一口にいっても、数多くの業界があり、年収もさまざまです。さらに役職によっても、大きく収入が変わります。
 ここでは、外資系の代表的な会社をご紹介します。
●保険会社:アフラックAIGグループ
●IT業界:アマゾンジャパン、Google
●メーカー:P&Gジャパン、ユニリーバ・ジャパン
●製薬会社※:ジョンソン・エンド・ジョンソン__
 上記のほかにも、さまざまな業界や会社があります。
 日本の平均年収は443万円|外資系の業界は年収高め
 日本の平均年収は443万円であり、300~400万円の割合がもっとも多いことが分かりました。
 しかし、年齢や職種によって、年収は大きく変わります。今よりも年収を上げたいと考えている方は、平均年収が高いとされる職種に転職するのもよいでしょう。
 とくに外資系の企業ならば、年収約800万円と高めですので、候補のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
 出典
 [国税庁 標本調査結果 民間給与の実態調査結果 「令和3年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」
 ](https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2021/minkan.htm)
 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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 4月25日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「2025年、ついに上海の平均賃金が日本を越える可能性…日系企業が中国で見向きもされなくなる日がやってくる
 呉 明憲
 「現法トップ」にとっての人材難
 中国に日本企業における社員の呼称は、日本企業ならではの暗黙のヒエラルキーを示している。
・駐在員
現地採用(略称「ゲンサイ」)
・ローカル社員/スタッフ
・ワーカー
 頂点は駐在員。最近は長期化しているが、一般的には3-4年サイクルで、総経理や工場長など現地法人幹部を務める。日本の本社から派遣され、赴任時に任期が決まっている場合が多く、その任期が終わると日本に戻る。任期中に社用で日本に出張する際は「一時帰国」であり、異動等で本社に戻る際は「本帰国」という駐在員用語もある。そのあいだの給料は日本法人水準が保証されている。
 まず、現地採用(ゲンサイ)は、多くの場合、現地中国法人により採用された日本人を指す。駐在員の補佐的ポジションを担う。仕事ぶりが認められ「本社採用」「日本採用」される現地採用日本人も少なからず存在するが、ビジネスレベルの中国語レベルが求められる。
 © 現代ビジネス
 次のローカル社員やスタッフ、ワーカーから国籍が変わる。ほぼすべて中国人で現地で採用された社員だが「現地採用」とはなぜか呼ばれていない。デスクワーク中心で、通訳を兼任するケースが多く、日本人の現地採用より基本給を抑えられる傾向が強い。最近では通訳色が薄いぶん、業務スキルに秀でたローカル社員も増えてきた。
 最下位のワーカーは、主に工場で生産系の肉体労働を担う中国人を指す。ローカル社員やスタッフと比べ、低学歴者が多く、日本語能力もほとんど求められず、賃金も抑え気味の傾向が強い。
――とここまで、あくまで一般論を並べてみた。銀行マン時代に駐在員経験のある私の知るかぎり、中国以外の海外における現地法人も、ほぼ同じ人事システムで運営されているはずだ。
 日本語で読まれる日本在住のビジネスマンが読むメディアでは、ヒエラルキー最上位の「駐在員」視点から語られるレポートが重宝されると思う。拙稿でも、その視点から、ロックダウン解除から1年が経ち、同市最大の露天夜市がリニューアルオープンしたばかりの上海から「人材難」の現状をお伝えしたい。
 「中国版ChatGPT」正解だが待遇の優位性は低下
 いかに中国人をうまく活用するか。中国事業の成功のポイントとして長年語られてきた。しかしながら「なかなかいい人材がとれない」というボヤキは途切れることはない。「駐在員システム」を見直さないかぎり、ミスマッチは減らないのだろうか。そこで今流行の『中国版ChatGPT』に中国語で質問をしてみた。
 日系企業で働くには以下の条件が必要です。
 いくつかのメリットと特徴:
1.言語の優位性:日本語は日本企業の業務言語であるため、日系企業での業務には一定の日本語水準が必要で、滑らかな読み書き、コミュニケーションができることが望ましい。
2.文化適応性:日本企業には独特の文化・雰囲気があり、良好な文化適応能力、日本文化に対する理解と尊重、日本人同僚や取引先と有効なコミュニケーションが取れ、日本の文化を大切にし、日本の同僚とパートナーとの効菓的なコミュニケーションとインターアクションができること。
3.専門スキル:職位に応じて対応する専門技能と知識背景を備え、業務を担うことができる。
 © 現代ビジネス
4.チームワーク能力:日本企業においては、チームワークと集団利益至上の理念が強調され、優れたチームワーク能力があり、チームメンバーと協力して業務を行うことができる。
5.誠実守信.:日本企業は従業員の道徳と職業規範を非常に重視し、誠実、守信と信頼を強調し、良好な道徳品質と職業操守を備える必要。
――そのため、日本語をマスターすることができて、日本の文化を理解することができて、専門の技能を備えて、チームワークが上手で、良好な道徳の品質を持っている人は、すべて比較的に日系企業で勤務することに適している。
 ざっと見るかぎり正しい。日本企業が好む人材として間違ったことは書かれていない。同時に、これだけの条件が求められるわりに、日系企業の待遇面での劣位性が、以前と比べて際立っているといわざるを得ない。
 上海平均賃金が2025年に日本越え
 いい人材を採用する確度を上げるためにはどうすればいいか。良い待遇を提示し、トライ&エラーを繰り返すしかないことが普通に考えられる。
 かといって、日本で人件費が伸び悩んでいる中なか、中国の人件費を気前よく上げられるものなのか。この約20年の動きを見ても、日本の平均賃金はほぼ変わらず、微減さえしている一方で、中国の平均賃金は年々上がってきている。
 2025年、ついに上海の平均賃金が日本を越える可能性…日系企業が中国で見向きもされなくなる日がやってくる
 © 現代ビジネス
 この表を見るかぎり、まだまだ日本のほうが中国よりも平均賃金が大きく上回るが、上海のような大都市になると再来年の2025年には、日本を追い抜くペースで上昇している。しかもこれはあくまで全体平均であり、オフィスワーカーだとこの水準を上回ることは言うまでもない。
 ワーカーや宅配員より高い給与を希望
 「ローカル社員やスタッフが当たり前のように“1万元以上”を要求してきます。先日は(ワーカーのうちベテランの類にはいる)“熟練工”を1万元で引き留めたばかりです。その噂が社内で瞬時に伝わったようで『ワーカーより低い賃金なんて納得できない』と責められました。最近ほぼ毎日、賃金アップの直談判を受けています」(日系精密部品中堅メーカー)
 たしかに上海では、フードデリバリーの配達員やライドシェアの運転手で1~1.5万元(20~30万円)稼ぐことができるようになってきている。
 主力は『農民工』と呼ばれる出稼ぎ労働者だ。同じ待遇ならならもっと稼げる職種へ転職するのは責められない。一昨年はじめて農民工の規模が初めて減少し、高齢化も進展している政府レポート(2021国家統計局「農民工観測調査報告」)が公表されたが、都市と農村が格差の埋まらないから、大都市圏の日本企業における不利な状況は好転しないと思われる。
 日本語人材の草食化
 もともと以前から、日本企業の待遇は「細かい要求が多いわりにケチ。伸びしろもわずか」と人気があるとは言えなかった。くわえて最近では優勝劣敗を地でいく中国地場系企業と比べても見劣りするケースが目立つ。
 手っ取り早い頼みの綱は、大学時代に日本語を専攻し、中国地場系企業の弱肉強食を嫌う日本語人材ぐらいだろう。ところが――、
 「最近の日本語人材はおとなしいタイプが多い。考え方や仕事ぶりの“お行儀”が良くなってきました。少なくてもがんがん稼ぐタイプではなく、上司に言われたこと“だけ”を忠実にこなす草食タイプです。
 仕事上のプレッシャーを避け、プライベートが第一。家庭では外国語を操る賢いお母さん。高めの給料を得ているから面子も保てる。 
 日本語人材といえば(文系の外国語学習者ということで)女性が多いですから、男性社員が気を遣って気持ちよく働いてもらうのが企業文化になっています。産休と育休を合わせて1年以上のブランクを覚悟しています」(日系機械メーカー大手駐在員)
 大手人材紹介会社サイトで「欧米系外資企業」「営業部長」で検索すると、コンサルタント半導体、精密機器会社が月給100万円以上で募集している。個人スキルよりキャリア、人脈(顧客)重視した雇用スタイル。
 大手人材紹介会社サイトで「欧米系外資企業」「営業部長」で検索すると、コンサルタント半導体、精密機器会社が月給100万円以上で募集している。個人スキルよりキャリア、人脈(顧客)重視した雇用スタイル。
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 もちろん“肉食系”の人材も中国には豊富だ。欧米系中国地場系問わず、高級管理職ポストになると、日本企業の駐在員以上の待遇を得ている人材も少なくない。「駐在員」が軸の日本企業が求めていないだけかもしれないが、中国系求人サイトをとみると月給6万元、8万元、10万元以上といった高待遇の人材募集は珍しくない。
 最近日本ではグローバルで待遇を統一しようという動きが活発な企業もあるが、これは一部大手企業のみにみられる動向で、この水準でオファーできる日本企業はまだまだ少数派だ。
 拙稿の後編『激烈な経済成長を見せる中国で日本企業が人材会社の「お得意様」にされている……そのヤバすぎる「実情」』では、最近のリサーチと私自身の体験談をもとに、人材難の実情をお伝えする。(構成/週刊現代・加藤康夫)
   ・   ・   ・   
 4月25日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「激烈な経済成長を見せる中国で日本企業が人材会社の「お得意様」にされている……そのヤバすぎる「実情」
 呉 明憲
 拙稿の前編『「中国版ChatGPT」に聞いてみた 日本企業が中国で成功するための「秘策」とは』では、日系企業ならではに人事システムが人材難を招いていること、上海の平均賃金が2025年に日本を超える可能性が高いことに触れた。
 後編では、最近のリサーチと私自身の体験談をもとに、人材難の実情をお伝えする。
 人材紹介会社の「上手な」営業
 中国版Chatgptの回答どおり、日系企業は日本語能力を重視する。日本語能力の確認のために、ローカル社員/スタッフ候補の日本語人材面接のとき、日本語で面接するケースは多い。
 しかし貴重な日本人社員の時間を割くほどの効果は上げていない。なぜなら採用理由が「使い方が難しい尊敬語や丁寧語、謙譲語が上手だった」「物腰柔らかで丁寧に話そうとしていた」「真面目そうだ」「感じがいい」と感覚的なのだ。
 日系企業専門の人材紹介会社も、日系企業の採用スキルを妨げる一因となっている。
 さまざまな美辞麗句と自社都合のデータで人材の重要性を説くが、所詮は人材を流動させないと儲からないビジネスだ。
 お客様のためを思い真面目に経営している人材紹介会社も多いが、「商売上手」な会社が存在するのも現実である。採用したローカル社員が早期退職・転職したりすると悪い評判が立つため「2年間は我慢しなさい」と採用前に指導する。そして指導期間が過ぎると「もっと良い職がある」と掌をかえし転職を促す。つまり営業だ。
 © 現代ビジネス
 「慣れあい」は日本本社にばれない
 このあたり、私のような“中国屋”のあいだでは常識なのだが、なぜか日本本社側には伝わっていない。なぜなら需要と供給のバランスが巧妙にとれているからだ。
 A社推薦で採用したローカル社員が早期退職・転職したりすると、さすがにA社に依頼するのは止めようとなりB社に依頼し、B社がダメならC社へ鞍替えする。こうして日系企業は、複数の人材紹介会社を掛け持ちするようになる。
 その一方で、複数の日系企業を掛け持ちするのは人材紹介会社も同様で、さらには人材ほうも複数の人材紹介会社に登録する。まるで狐と狸の化かし合いだ。
 もちろん現法の駐在員が頻繁に外れ人材ばかり引いていたら、本社からお咎めをうける。だが少なくとも1人の駐在員が赴任期間を満了して本帰国する2-3年のあいだは人材紹介会社のせいにして、A社→B社→C社と廻してれば大目玉を喰らうことはない。したがって、現在、上海の日系企業を得意とする人材会社は50社以上あり、初期に大儲けをした勝ち組や市場淘汰された数を含めると100社はゆうに超えるだろう。
 日本語マジック
 私が人材採用関連のコンサルティングを請けるときは、これまで採用した日本語人材からヒヤリングすることにしている。そのとき使うのは中国語だ。日本人総経理から「コンサルタントが面接をしたがっている」と伝えられると警戒されてしまうので、「ちょっと世間話を」とそれとなく誘ってもらう。
 すると「物腰柔らかで丁寧な」日本語を操るローカル社員の雰囲気が、ガラリと豹変するのだ。ついさっきまで総経理の傍らで微笑みを浮かべていたのに、まるで人格が変わったようにマシンガントークで自己アピールをしたりする。
 こういうギャップ現象を、私は“日本語マジック”と呼んでいる。人の本質は母国語を話しているときに出てくるのだ。
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 日本語は業務を行う上でのツールに過ぎない。この前提を忘れてしまいがちなのは、通訳や秘書を使いこなすトレーニングを、駐在員に施していないからだと私は思う。
 例えば、懇意にしているある欧米系流通企業のCEOは、2人の秘書兼通訳を常に雇用している。どちから1人にいつ辞められても良いように、だ。
 「突然の出張や残業にも躊躇なく連れて行きます。週末も休みも関係ありません。中国の休暇スケジュールに合わせていたら、年間1/3しか稼働できませんから。2人をライバル関係にさせておいたほうがパフォーマンスは高くなるし、かえって長続きします」(前出欧米企業CEO)
 この例は、お金に余裕がある企業ならではのやり方だろう。
 ワーカーに日本語教育
 ある日系大手完成車メーカーの生産拠点では、通訳はすべて派遣社員にして年間のべ数百名(最低保証)で契約し、日本語人材を育成対象にしていない。技術者で採用した優秀な社員に日本語を教えるという人事施策を行っている。
 「うちは、優秀な技術系ワーカーに日本語を無償で教えています。日本語検定1級取得者に1,000~2,000元の能力給を付けています。やる気のあるワーカーのほうが日本人技術者の受けがいい。頭より身体で覚えますから。
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 逆に日本語人材への評価はおしなべて低い。技術用語などの語彙や細かいニュアンスが理解できる通訳は稀です。万が一理解できていたとしても、それを中国人技術者にきちんと伝えているかは別問題。癖のある通訳はすぐに替えます」(前出日系大手完成車メーカー幹部)
 人材を育成するにせよ解雇するにせよ、そのどちらも労力が必要で、ときにはトラブル原因になるのが中国ビジネスだ。採用時から、日本と異なる心構えが必要になる好例だと思う。
 「グローバル人材」も悩みの種
 最近は「現地化」の号令の下、現地採用日本人や日本採用の中国人社員を中国現法の管理職に据えるケースが増えてきた。
 いわゆるグローバル化だ。
 代表的な例は、ユニクロ中国の潘寧CEOだ。日本の店舗の販売員からスタートし、いまではグループの上席執行役員を務めている。実績を出しさえすればそれに見合うポジションが用意される。実力面で疑う余地はないが、光と陰でいえば光の部分だ。逆に影の部分もある。
 現地日系企業の日本人総経理から労務コンサルティングの依頼を受けたときのこと――。その総経理はローカル社員から現法トップに上り詰めた中国人だった。
 初対面のとき「うちの会社には何も問題がない」とソファからテーブルに足を投げ出し言いきられたときは面喰らった。
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 そこで同社の日本人駐在員からヒヤリングをしてみると、どうもこの総経理自体の現法での評判は芳しくない。ところがなぜか、日本本社の上層部の受けがいい。そのため、総経理の問題点を日本本社の上層部に訴えても相手にされないという。逆に指摘する駐在員のほうが問題視されてしまうという惨状だった。
 もちろん海外現法に大きな権限を与える現地化は積極的に進めるべきだ。ところがトップを任せるに足る人物でなかった場合はどうなるか。新たな悩みの種だ。
 中国子会社における不正あるいは不祥事は過去に多く発生している。上場企業であれば「第三者委員会報告書」で公表している。これを読むと、現法トップ自身が不正に関わっているケースが少なくない。なかには日本本社側の了解を得たうえで手を染めているケースもある。
 理想とする人材を獲得するために何ができるか。今さらだが、少なくとも、自社内に経験を蓄積するシステムは持っておきたい。そのうえでトライ&エラーを繰り返す。それでもやはりいい人材が取れないということであれば、その時にあらためてぼやこうではないか。(構成/週刊現代・加藤康夫)
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🚷55〉56〉─1─日本は老人が多く若者が少ない「中年独身大国」で「多死社会」である。~No.212No.213No.214No.215No.216No.217 

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 2023年4月25日 YAHOO!JAPANニュース「日本はすでに「中年独身大国」であり、100年前の大正時代より母親の数が減った
 荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
 独身人口5000万人
 メディアは出生数や出生率の話ばかりで「少子化が…」「人口減少が…」と危機感を煽っているが、そんなことは「何十年も前から分かりきっていた当然の話」に過ぎず、今更騒いだところでどうにかなるものではない。
 それよりもすでに、独身者がマジョリティになりつつある事実や、やがて「人口の半分が独身者になる」という決して外れない未来予測については、メディアはあまり報道しない。
 この連載上では何度も同じ話をしていて昔からの読者には「耳にタコ」の話で恐縮だが、2020年国勢調査での日本の15歳以上における独身人口は約4930万人となり、ほぼ5000万人である。これは、日本史上はじまって以来、独身がもっとも増えた最高記録を打ち立てたことになる。そちらついては、過去記事でも詳しく書いている。
 →独身者5000万人。建国以来、史上最大の独身人口となった「ソロの国・ニッポン」
 未婚化が始まったのはいつ?
事実を正確に認識している人はいいのだが、急にこの話を聞いた人は「最近の少子化のせいだ」と思ってしまいがちだが、こんなことは一朝一夕に起きる現象ではない。
 生涯未婚率があがったのは1990年代以降のことで、それは事実だが、だからといって1990年以降に独身者が増え始めたわけではない。
 1990年以降に生涯未婚率が増えたからといって、未婚化原因をすべてバブル崩壊の経済的要因と断じるメディアもあるが、そんな単純な話ではないし、それは因果の時間性を無視した話である。
 そもそも、生涯未婚率とは50歳時の未婚率であって、1990年に50歳だった人の未婚率があがり始めたということは、その対象者が結婚最頻年齢値である20代半ばから後半だった年は、1970年代にあたる。まさに、第二次ベビーブームの真っ最中に、今の未婚化の芽が作られていたのである。
 その後の1980年代は、恋愛至上主義とも言われだが、1985年当時に25歳だった独身男性が2010年に史上はじめて生涯未婚率20%を突破した層(今の丁度還暦世代)である。その後の世代も順調に未婚率を伸ばしている。
 増えているのは中年独身
 「独身人口が増えている」というと勘違いしやすいのだが、若い独身男女の人口が増えているのではない。もはや、若い独身者より中年独身の方が人口で上回っている。独身大国というが、すでに「中年独身大国」となっているわけで、決して「最近の若いのは結婚もしないのか」という話ではないのである。
 かつて若者だった人たちが結婚しなかった(できなかった)がゆえの現状の「中年独身大国」化なのであり、これはやがて、間違いなく「老人独身大国」へと移行する。
 日本の独身人口の長期推移を見ればそれは明らかである。
 20-34歳のいわゆる「若者」の独身人口がもっとも多かったのは、1990~2005年あたりの範囲で、2010年ごろには、若者より中年独身の方が多くなった。すでに、2020年には若者独身人口と、65歳以上の高齢独身人口がほぼ同じになっている。
 2030年頃には、中年独身人口を老人独身人口が追い抜くだろう。これの大部分を占めるのは、かつて既婚者であった夫と死別した高齢女性の人口増加による。
 そして、その間も、若者独身人口はどんどん減り続ける。出生数が減り続けているのだから当然である。今更出生数云々いったところで遅い。人口の構造変化には何十年もかかるのだ。
 グラフでわかる通り、若者の独身人口がマックスだったのは、20年前の2000年頃である。その頃に何があったかといえば、就職氷河期である。結婚どころか仕事を見つけるのも大変だった時期で、そうした雇用環境の影響が大きかった点は否めないが、それだけではない。
 45年前から始まっていた少母化
 「たられば」で2000年当時に何かやっていたら、今の未婚化や少子化は起きなかったか?と言えばそれも違う。この時点でも厚労省の官僚は、現在に至る約25年間の出生数をほとんど誤差なくピタリと予測している。
 →出生数の激減はすでに25年前に誤差なくピッタリ予測されていたという事実
 なぜ1997年の時点で、出生数が減り続ける推計ができたかといえば、もうその頃には「少母化」の傾向が顕著にあらわれていたからだ。
 前掲のグラフに、20-39歳有配偶女性人口の推移を付加してものを見ていただきたい。
 合計特殊出生率は15-49歳の全女性が対象であるが、実際に出産をしているのはその9割が20~39歳の有配偶女性である。その母親となるべき人口が減り始めたのは、1975年以降の第二次ベビーブーム直後からであることがわかる。
 日本でもっとも婚姻が多かった1970年代前半の直後から、若者が結婚しなくなり始めていた。1990年代後半から2000年代前半にかけては、理論上第二次ベビーブームで生まれた子どもたちが結婚・出産をする第三次ベビーブームが起きるはずだった。しかし、それは到来せず、独身人口だけが大きく膨らむ山となった。この山が20年を経て、今「中年独身人口」増となっている。
 改善するには50年以上かかる
 私は常々「少子化ではなく少母化だ」と言っている。一人当たりの母親が産む子どもの数はたいして減ってはいないのに、出生数だけが激減しているのは、そもそも産む母体の数が減っているからである。そして、この「少母化」の潜在的起点は、1975年にある。つまりは、今から45年前から現在の状況が始まっていたのだ。一人以上の子どもを産んだ母親の数でいえば、2020年は100年前の1920年(大正時代)よりも少ない。
 (提供:イメージマート)
 約50年もかけて今の状況が生まれているわけで、これを是正するには少なくとも同じくらいの50年以上を要するだろう。何か予算をつけたくらいで変わるような簡単なものではない。子育て支援を充実させて、今の既婚女性が全員3人産めば少子化は解決できるなどという論法がいかに間違っているかがわかると思う。
 →「2人産んだ母親がもう一人子どもを産めば少子化は解決」などという説の嘘
 同時に、皆婚を実現させていた結婚のお膳立てシステムの崩壊の影響も大きい。1975年以降、20-39歳の有配偶女性人口の減少の推移と、お見合いと職場結婚の減少の推移とは完璧に一致している。
 ちなみに、若者の恋愛率がもっとも高かったのは2000-2005年時期で、若い独身人口がもっとも多かった頃、若者は恋愛を謳歌していた。しかし、もっとも恋愛率が高かった世代が、もっとも未婚率が高い結果になるとはなんという皮肉だろう。
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 「高齢者より独身者の方が多く、若い独身より中年以上の独身が多い」~中高年ソロ国家ニッポン
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 ※記事内グラフの商用無断転載は固くお断りします。
 ※記事の引用は歓迎しますが、著者名と出典記載(当記事URLなど)をお願いします。
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 荒川和久
 独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。
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 「居場所がない」人たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論
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 居場所がないと嘆く前に必要なこととは
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 2022年8月5日9:06 YAHOO!JAPANニュース「「高齢者より独身者の方が多く、若い独身より中年以上の独身が多い」~中高年ソロ国家ニッポン
 荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
 ほぼ3割が高齢者の国
 日本は世界一の高齢国家である。
 全人口に占める65歳以上の割合である高齢化率で比較すれば、2位以下の諸国を引き離しての圧倒的な1位であり、ほぼ3割の高齢化率を誇る。
 ※グラフ上はOECDだけを抽出したが、全地域で見ても日本が1位であることは変わらない。
 WHO(世界保健機関)と国連が定めた高齢化の定義によれば、65歳以上人口の割合が7%超で「高齢化社会」、14%超で「高齢社会」、21%超では「超高齢社会」と呼ばれる。日本はもうすでに2008年には「超高齢国家」となっている。
 失われた30年とともに高齢化
 日本は平均寿命も長く、それゆえ勘違いも多いのだが、日本は決して昔から高齢国家だったわけではない。1980年代までは高齢化率は10%以下で、むしろ米国や欧州諸国に比べて高齢者の少ない国だった。
 それが1990年代以降、一気に他の先進諸国をごぼう抜きにして世界のどこよりも早く超高齢国家となってしまった。奇しくも、「失われた30年」と同期して高齢化が進んだわけだ。
 高齢者がいきなり降ってわいてくるわけではないので、これは戦後~第二次ベビーブームにかけて多く生まれた世代が高齢者となって顕在化したものである。同時に、この戦後から1990年代にかけては、医療の発達などによりきわめて低い死亡率で推移したこととも関連する。いわゆる「少死時代」である。
 今後、間もなく年間150万人以上の高齢者が死亡していく期間が50年続く「多死時代」を迎えるが、同時に出生数の少ない少子化も起きているので、しばらくは高齢化率はあがり続けることになる。最大で4割近い高齢化率になることが推計されている。
 (写真:イメージマート)
 高齢者より独身者の方が多い
 高齢者の割合が増えることとは、自動的に現役世代の割合が減ることであり、生産人口比率が少なくなることを意味する。だからこそ、現役世代への負担が大きくなることで社会保障費などの課題が叫ばれているわけである。
 しかし、高齢化というが、2020年時点の国勢調査段階における高齢人口は約3600万人である。配偶関係別人口は15歳以上で見るのだが、高齢人口と独身人口(未婚に加えて離別死別の独身を含む)を比べてみると、実は独身人口の方が多い。
 独身人口は現役(15-64歳)世代で約3556万人、高齢独身で約1374万人で、あわせて約4930万人である。有配偶と独身あわせた高齢人口全体より1300万人以上も多いのである。むしろ日本は「超高齢国家」である以上に「超独身国家」であるといえる。
 ※グラフ上の数値は万人以下四捨五入
 「未婚化が進行して若い独身者が増えているのだからそうなるだろう」と思いがちだが、もうすでに「独身者=若い」という常識は通用しない。
 実は、2020年の国勢調査段階で15-39歳までの独身人口と40歳以上の中高年独身人口とでは、40歳以上の中高年独身人口の方が上回っている。
 つまり、日本はもはや「高齢者よりも独身者の方が多い」上に、「若い独身より中年以上の独身が多い」国なのである。
 これらボリュームの多い40歳以上の中年独身は今後それほど結婚する見込みはないわけで、いずれそのまま高齢独身となる。また、有配偶の高齢者もいつまでも夫婦ともに長生きするわけではないので、やがてどちらかの死別によって婚歴有の独身となる。高齢者が増える速度以上に独身者が増大するかもしれない。
 もはや高齢者は支えられる側ではない
 「2040年に15歳以上の人口の半分が独身になる」と私が言っているのが決して妄想ではなく、確実にやってくるだろう未来であることがおわかりいただけたかと思う。
 家計調査では相変わらず「二人以上の世帯」という家族単位の集計が重視されているが、もはや日本の消費の半分は独身(単身世帯以外の家族同居の独身含む)によって占められているといっても過言ではない。総務省では以前より「家計から個計へ」の統計指標作りを検討しているが、ぜひとも早急に実現していただきたいものである。
 さて、そうした現状を前提とした場合に、「現役世代VS高齢世代」や「家族VS独身」などのように対立構造を煽ってもあまり意味はない。「少子化では増え続ける高齢者を支えきれない」という危機感もわかるが、もはやいつまでも高齢者が支えられる側だと考えること自体に無理がある。もちろん、病気などで働けない人たちに対する支えは必要だが、それは現役世代の中にも存在する。
 世代や配偶関係というものではなく、「働ける大人たちが子どもを含む働けない人を支える」という有業人口依存指数視点で考えれば、一人が自分以外のもう一人を支えればいいという計算になるのである。
 (写真:アフロ)
 言い方を変えれば、結婚しようがしまいが、子がいようがいまいが、働く人は直接間接にかかわらず、税金を納め、消費によって経済を回すことで、必ず誰かを支えていることになる。
 現状と未来の現実を正確に把握し、そうしたバランスを舵取りすることが、本来政治の役割と言えるのではないか。
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 居場所がないと嘆く前に必要なこととは
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 2022年5月23日9:06 YAHOO!JAPANニュース「独身者5000万人。建国以来、史上最大の独身人口となった「ソロの国・ニッポン」
 荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
 (写真:イメージマート)
 独身、日本史上最高記録だってよ
 「日本は独身の多いソロ社会になる」
 これは、ある意味、私の代名詞的な定番台詞ではあるのだが、それは決して「オオカミが来るぞ」というデマを流しているものではない。事実、そうなるからだ。
 書籍においても、当連載でも、最新の2020年の国勢調査結果に基づく各種データをご紹介しているが、今回は、15歳以上人口の有配偶と独身人口の大正時代からの長期推移をみていただきたい。ちなみに、独身人口とは、未婚だけではなく、離別や死別で独身に戻った人達も含むものである。
 それによれば、2020年不詳補完値による独身人口は約4930万人となった。ほぼ5000万人である。これは、日本史上はじまって以来、独身がもっとも増えた最高記録を打ち立てたことになる。
 独身比率は44%を超えた。
 有配偶人口が2000年をピークに減少しているのとは対照的に、独身人口は1980年代から急速に増加している。未婚人口の増加だけではなく、長寿化による高齢独身の増加もあるからだ。
 「日本はソロ社会になる」が決してデマでも大袈裟でもないことがおわかりいただけるだろう。
 2035年に、独身と有配偶が並ぶ
 ところで、グラフには「不詳除く」と「不詳補完値」のふたつがある。
 なぜ、国勢調査にふたつの指標があるのか?については、以前こちらの記事(【国勢調査】不詳補完値の正式採用により、2020年の生涯未婚率は男28.3%、女17.8%へ)に記した通りなので、ご参照いただきたい。
 その大きな要因は、配偶関係や年齢が不詳である数が年々増加して、誤差の範囲を超える規模になってしまったからである。国立社会保障・人口問題研究所はこの「不詳補完値」を採用した。
 このように、不詳を除く場合と除かない場合とでこれだけ大きな乖離が出てしまうのであれば、今後は「不詳補完値」で見ていくのは妥当な判断だといえる。
 今後、この「不詳補完値」の推移の傾向のままいけばどうなるか、というものを私独自に予測推計してみた。それが以下のグラフである。
 これによれば、15年後の2035年には、有配偶人口と独身人口は約5300万人あたりで同数に並ぶことになる。
 実は、社人研が2018年推計したものによれば、2040年でも有配偶人口5200万人に対して、独身人口は4600万人と、有配偶の方が若干多いものとなっていたが、不詳補完値ベースでいけば、それより先に「独身の方が多い国・ニッポン」が完成してしまうかもしれない。
 (写真:アフロ)
 有配偶人口が減るのは致し方ない。そもそも日本の総人口自体がすでに減少しはじめているのであって、その大きな要因が有配偶人口の多死化にあるからだ。
 長寿国家日本では、昭和~平成にかけて、世界でも稀に見る死亡率の低い「少死国家」であった。とはいえ、不老不死ではないわけで、いつかは天寿を全うする。
 今後は、長生きしてきた高齢者たちが毎年150万人以上50年連続で死んでいく多死時代に突入する。日本の出生は年間約80万人程度だとするなら、生まれてくる数の倍以上死亡者がいることになる。人口が減るのは当然なのだ。
 日本の人口減少は、少子化というよりこの多死化によって加速するのである。
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 いずれにせよ、2020年から2040年にかけての20年間は、日本建国以来のソロ国家となることは必定であり、独身生活者が多い社会においては、社会構造とりわけ消費構造が劇的に変化することは間違いない。
 もちろん、独身者といっても若者と高齢者とでは違う、大都市在住者と地方生活者でも違う。一人暮らし子と独身であっても他の親族と一緒に暮らす大家族生活者とでも違う。しかし、家族が多かった昭和とソロ生活者が増えた令和とでは、その消費構造が一緒であるはずがない。
 顧客は「個客」に変わるのである。そこを見誤らない方がよいと思う。コンビニもファミレスも旅行業界も気付いたところからすでにその需要を喚起しているのは間違いない。
 かつて、消費の主役は家族であり、その財布は主婦に握られていた。それは、明治民法以来たかだか100年しか続いていない皆婚社会だからこそ起きた現象に過ぎない。大量生産・大量消費というマス型消費形態もまた、ほぼ全員が結婚して子をなし、家を持って暮らすという統一的な「人生すごろく」がお膳立てされていたからにすぎない。
 (提供:イメージマート)
 不可避な現実を見ないようにしてどうする?
 生涯未婚は男3割、女2割に達しようとしている。いずれそれを超えるだろう。
 誰もが結婚するわけではないし、誰もが子を持つわけではない。一方で、結婚して家族を形成する人達がいなくなってしまうわけでもない。
 事実、現在でも結婚した夫婦は2人以上の子どもを産んでいる。一人の母親が産む子どもの数の比率は1980年代と変わっていないのだ。出生数が減るのは、子を産む対象である49歳以下の人口が減っているからで、少子化は「来なかった第三次ベビーブーム」の時点で確定済みという話は以前にした通りである。
 →出生数が増えない問題は「少子化」ではなく「少母化」問題であり、解決不可能なワケ
 何度も言うが、少子化も人口減少も不可避な現実である。
 よく「推計はあくまで推計だろう。どうにもならないと諦めるのは間違っている。後ろ向きなことばかり言うな」と批判をされる方がいる。
 諦めではないし、間違ってもいない。
 人口動態の推計はほぼ間違わずその通りに推移する。むしろ明らかな現実がそこに迫っているのに、それを見ないことにする姿勢の方が問われるべきだろう。
 もちろん、時期を遅らせるための方策やソフトランディングするために考えることは重要である。しかし、それと目をつぶってしまうこととは別である。
 オオカミはすぐ足元にいるのだ。
 (写真:アフロ)
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¥2〉─2─日本衰退の根本原因は「口先だけのきれい事」である。職場は仕事ができない人を量産する。~No.3No.4No.5 

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 イノベーションもリノベーションもしない日本企業にとって、日本人人材は経営を圧迫するリスクであり、経費削減の為のリストラ要員にすぎない。
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 2023年2月26日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「これが日本衰退の根本原因、なぜ博士号取得は経済的に割りにあわない それは日本企業がイノベーションしないから
野口 悠紀雄  
 日本で博士号取得者が少ないのは、経済的に割りにあわないからだ。それは、日本企業がイノベーションを進めようとせず、高度専門家に十分な給与を払わないからだ。
 日本では学位取得者が少なく、論文数も減っている
 日本の博士号取得者数を人口100万人当たりで見ると、2019年度で120人。これは、他の先進国と比べると、だいぶ少ない(文部科学省 科学技術・学術政策研究所「 科学技術指標2022。学位取得者の国際比較」による)。
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 最も多いのはドイツで315人、つぎにイギリスが313人。
 2008年度からの推移を見ると、日本は減少しているのに対して、フランス、ドイツを除く国は増加している。伸び率が高いのは、韓国、アメリカ、イギリスだ。中国も、伸び率は高い。
 この結果、日本発の論文が少なくなっている。
 「科学技術指標2022」によると、「Top1%補正論文数」(他の論文に多く引用され注目度が高い論文)で、日本は10位で過去最低となった。1位は中国、2位がアメリカだ。イタリア、フランス、インドも日本より上位にある。
 学位取得者数や論文数は、未来における競争力を決める基本的な要因だ。それが上に見たような状態では、日本がこれからどうなってしまうのか、大いに心配だ。
 博士号取得者は薄給
 日本で博士号取得者が少ない基本的な理由は、博士号を取得しても、収入が増えないことだ。苦労して取得しても、それに見合うリターンが得られないのだ。
 博士課程取得者の年収分布を見ると、400万~500万円が約14%と最も多くなっている(男性では400万〜500万円が約14%、女性は300万~400万円が約14%:科学技術・学術政策研究所の「博士人材追跡調査 第4次報告書」2020年実施 )。決して満足できる水準ではない。
 しかも雇用は安定的とは言えない。工学や保健では正規雇用の割合が多数であるものの、人文系では正規雇用は41%でしかない。
 賃金構造基本統計調査(2021年)によると、大学院卒の月収は、年齢計では45.4万円で、大学卒の36.0万円より9.4万円多い。しかし、25〜29歳で比べると、27.9万円と26.1万円であり、ほとんど変わりがない。つまり、学位を取っても、月収が2万円弱しか増えない。
 学位を取るために必要な費用や、その間に放棄した労働所得を考慮すれば、あきらかに採算にあわない。
 政府は「出世払い奨学金」を導入するが……
 こうした事態に対応するため、政府は「出世払い型の大学奨学金」を導入する計画だ。在学中は授業料を徴収せず、卒業後の所得に応じて支払う。
 2024年度の開始に向けて、文部科学省有識者会議が制度設計を進めている。大学院生を対象とし、学部生への拡大も検討する。
 奨学金は確かに重要だ。しかし、在学中はそれで生活できたとしても、就職したあとの収入が十分でなければ、返却できない。だから、出世払い奨学金を導入しても、博士課程への進学率が上昇するどうか、大いに疑問だ。
 日本で博士号取得者が少ない基本的理由は、日本企業が高度人材を評価しないことなのである。
 企業が高度専門人材を使って新しいビジネスを展開し、高度専門家に高い給与を支払うようにならなければ、事態が大きく変わるとは思えない。
 日本企業のイノベーション能力は低い
 では、日本企業のイノベーション能力は、どの程度の水準か?
 イノベーションに関する能力の指標として、「グローバル・イノベーション・インデックス (GII)」がある。これは、国連の専門機関の1つである世界知的所有権機関WIPO)が、米コーネル大学とフランスの経営大学院インシアード(INSEAD)と共同で2007年から発表しているものだ。国の制度や人的資本、インフラ、市場やビジネスの洗練度、テクノロジーに関するデータを基に、各国のイノベーション能力や成果を評価する。
 日本の順位は、2007年には4位だった。しかし、その後低下を続け、2012年に25位にまで落ちた。その後徐々に回復したが、2018年から再び低下傾向にある。2022年には、2021年と同様の13位となった。決して満足できる水準ではない。
 2022年で世界の上位にあるのは、スイス、アメリカ、スウェーデン、イギリス、オランダだ。アジアでは韓国(6位)、シンガポール(7位)、中国(11位)が日本より上位にある。
 日本の評価が低いのは、「創造的な生産部門」だ。具体的には、文化的・創造的サービスの輸出に占める割合や、創造的な商品の輸出に占める割合、オンライン化アプリ製作の国内総生産GDP)に占める割合などの順位が低い。
 日本では自動車や機械など伝統的な産業の生産・輸出がまだ大きな割合を占めており、新しい産業の占めるシェアが低いのだ。
 世界の研究開発支出の上位企業では、2021年に研究開発への支出額が10%近く増加して9000億ドルを超え、2019年の水準を上回った。これを牽引したのは、情報通信技術 (ICT) ハードウェア・電子機器、ソフトウェア・ICTサービス、医薬品・バイオテクノロジー、建設・工業用金属だった。
 日本はとくにソフトウェア・ICTサービスで立ち後れている。
 世界銀行の資料によると、輸出に占めるハイテク製品の比率は、日本は19%でしかないが、韓国では36%にもなる(2020年)。
 これは日本の輸出が自動車に偏っているからだ。自動車は、ハイテク製品とはいえないのである。
 GA+Mの時価総額計は東証プライムのそれを超える
 日本の高度経済成長は、先進国へのキャッチアップの過程だった。そこでは、自ら技術を開発する必要がなかった。先進国で成功している技術とビジネスモデルをそのまま真似ればよかったのだ、
 しかし、21世紀になって急速に発展しているのは、「データ資本主義」とも呼べるものだ。
 その典型が、アメリカのGAFA+Mと呼ばれる企業群だ。
 ここでは、アイディアが途方もない経済価値を生み出している。 時価総額で見ると、グーグル1社だけで1.4兆ドルだ(2023 年2月)。1ドル=130円で換算すれば、182兆円。これだけで、東証プライム時価総額676兆円(2022年12月末)の27%になる。
 グーグルの他にアップル(時価総額2.4兆ドル)とマイクロソフト(2.0兆ドル)を加えれば、5.8兆ドル(754兆円)となり、東証プライム時価総額を超えてしまう。
 こうなるのは、日本企業は、新しい資本主義に対応できないからだ。そのため、高度専門家に十分な給与を払えない。そのため高度専門家が育たない。日本はこの意味で、深刻な悪循環に陥っている。
 これを断ち切るにはどうしたらよいのか? デジタル田園都市構想のような政策で解決がつく問題ではない。リスキリングのために補助金を出しても変わらない。
 台湾の先端半導体企業を日本に招くために多額の補助金を出したところで、何も変わらない。
 補助金も円安も低金利も、新しいビジネスモデルの創出には貢献しない。むしろ安易に利益が上がるために、イノベーションインセンティブをそぐことになる。過去20年間の円安政策がもたらしたのは、まさにこのことだ。
 日本企業のビジネスモデルが根底から変わらなければならない。
 「新しい資本主義」が目指すべきは、まさにそのことなのだが、岸田政権は、それを実現出来るだろうか?
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 4月17日 MicrosoftStartニュース ダイヤモンド・オンライン「「仕事ができない人」を量産する職場の“ざんねんな特徴”とは?
安藤広大
 突然だが、あなたの職場の「仕事ができる人」を何人か思い浮かべてみてほしい。おそらくその人たちには、「数字に強い」という共通点があるのではないだろうか? 
 全国3000社が導入し、大きな反響を呼んでいるマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の近刊『数値化の鬼』は、まさに「数字に強くなる=仕事ができるようになる」という発想で、「数値化」の思考法を伝授する1冊だ。
 本稿では、シリーズ累計70万部を突破している本書より一部を抜粋・編集して、「仕事ができない人」を量産する職場の“ざんねんな特徴”を明かす。(構成/根本隼)
 © ダイヤモンド・オンライン
 仕事の手順を指導すると「成長しない社員」を量産する
 仕事の具体的な手順について、上司から「これが正解だからやれ」と言われても意味がありません。
 新入社員などの場合なら、こういった指示をしてプロセスを管理する必要があります。
 しかし、プレーヤーとして成長する過程で、目標と結果以外は管理されないようにシフトしていくことが求められます。
 最近の多くの企業は、いつまでもプロセスの管理をしてしまっています。小さな目標を設定し、それをクリアしてくれれば、社員たちのモチベーションが上がるだろうと思い込んでいます。
 まさにこれが、いつまで経っても社員や部下が成長しない原因です。
 仕事のプロセスを分解すると、自分で問題解決できる
 そして、あなたがプレーヤーであるのならば、その事実に早く気づくべきです。気づいた人から成長していきます。
 仕事のプロセスを分けて、どこが問題なのかを探しながら、試行錯誤する。これを「自分でやって、自分で解決する」からこそ、勝手にモチベーションが上がっていくのです。
 上司や会社が踏み込む問題ではないのです。
 いつまで経っても部下を子どもや新人扱いするから、モチベーション管理までを上司がやっているのでしょう。
 しかし、それが成長を止めていることに、お互いが気づく必要があるのです。
 (本稿は、『数値化の鬼』より、一部を抜粋・編集したものです)
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