¥36〉─2─外国人観光客目当てのカジノは、円安であれば成功して利益を得るが、円高になると失敗し莫大な負債を子孫に残す。~No.182No.183No.184 @ 

日本版カジノのすべて

日本版カジノのすべて

  • 作者:木曽 崇
  • 発売日: 2014/09/26
  • メディア: 単行本
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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2017年1月29日号 サンデー毎日「幸せな老後への一歩 荻原博子
 凋落カジノ市場に周回遅れで参加させる日本
 先日、仕事で、アメリカのカジノで会計係をしていたという方に会いました。
 『カジノ法案、どう思いましたか?』と聞いたら、『アメリカでは、カジノはすでに斜陽産業。日本は、今からカジノですか?』といぶかしげに言っていました。
 アメリカでも、ラスベガスはカジノの町として発展していますが、全米第二位のアトランティックシティーのカジノは、経営がどんどん悪化していて大変な状況になっています。
 アトランティックシティーには、ドナルド・トランプ次期大統領が1990年に『世界最大のカジノ』と銘打って建てたトランプ・カジノリゾートがありました。最初はマイケル・ジャクソンなどを宣伝に使って、上客も多く繁盛していたようですが、『カジノは儲かる』といういうことで乱立したために客が減り、従業員をリストラしたことで労使紛争が起きてサービスが低下、客が減って施設のメンテナンスもままならなくなり、トランプ氏は何度も破産を申請。ゲームでの勝率も落ちてさらなる客離れが進み、ついにトランプ氏の手に負えなくなりました。その後、経営者が次々と変わり、青息吐息でやったのですが、ついに昨年10月に完全閉鎖に追い込まれました。
 ちなみに、アトランティックシティーは、78年にカジノが華々しくオープンし、2006年までは順調に売り上げを伸ばしていたのですが、07年以降客が減り続け、14年には06年に比べて売り上げが5分の1に激減しています。主な原因は、アメリカ東部の各州でカジノが合法化され、乱立したため。
 しかも、アメリカで甘い汁を吸ったカジノ資本が、その後、マカオシンガポール、韓国、マレーシア、フィリピン、ベトナムカンボジアなど次々にアジアに進出し、カジノ乱立で日本のバブル末期のような様相を呈しています。
 そんな中、カジノに振り回されなかったのは日本とタイで、タイでは『米カジノ資本は国に入れない』という国王の見識でご法度に。ですから、日本の扉をこじ開けたことは、カジノ資本には長年の念願が成就したということでしょう。
 もうひとつ、海外のカジノ資本がどうしても日本に来たい理由に、日本にはギャンブル依存症の人が多いということがあるようです。
 厚生労働省によると、現在、ギャンブル依存症の疑いのある人は国内に536万人いて、成人人口の4.8%。男性だけだと8.7%と、ほぼ10人に1人ということになります。他の国の1〜2%に比べると、断トツの多さです。
 もともとギャンブル大国なのだから、こうした人たちをカジノに振り向かせれば難なく客を獲得できると彼らは計算しているよう。
 しかも、日本政府は、公営ギャンブルに甘い。アメリカではカジノに携わる人たちはギャンブル依存症についての専門的な教育を受け、客が自分の生活をギャンブルで破壊しないよう注意しなくてはいけないことになっているそうです。けれど日本では、パチンコ屋に日がな一日いても、『お客さま、そろそろ金額がかさんできますよ』などと注意する店員などは皆無。
 カジノで外国資本を大量に呼び込んで、その後になにが残るのか。これを、『成長戦略』などという安倍政権の気がしれません」
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 カジノを含む大型娯楽施設計画は、大きな負債を生み出した、全国で造られた大型遊園地開業、大型動物園開園、地方空港建設と同じ発想である。
 人口爆発時代の、経済モデル、成功モデル、ビジネスモデルに過ぎない。
 民間の大型遊園地の大半が破産して廃業し、地方自治体の大型動物園は廃園するか規模を縮小し、公営の地方空港は赤字を垂れ流しながらも維持されている。
 大型動物園や地方空港を建設した政治家や官僚は、架空のこうあって欲しいという経済波及効果と売り上げ数値を計画書に書き込んだが、成功したのは最初の数年でそののちは惨憺たる結果をだし、責任を取らず、巨額の赤字ら国民に押し付けて逃げた。
 所詮は、「取らぬ狸の皮算用」に過ぎない。
 始めてから今日までの数十年、現在に残っているのは幾つで、黒字になっているのは幾つあるのか。
 地方空港建設推進の地方自治体や地元選出国会議員達、賛成派の学者や知識人は、地方活性化には必要不可欠の施設であると声高に叫んだが、結果は、悲惨窮まる状況にある。
 カジノを含み大型娯楽施設も、所詮、同じ運命を辿る。
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 アジアに一つしかないカジノであれば成功する可能性があるが、そうではなく幾つも存在する。
 日本国内に、1ヵ所だけに限定してつくるのなら何とか利益を上げるかもしれないが、複数つくれば確実に失敗する。
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 かって、吉田茂マッカーサーに、日本側の官僚や学者が出しと報告書の数値が間違っている事に不満を漏らした時、「正しかったらアメリカとは戦争しなかった」と答えた。
 何時の時代でも、日本側が公表する報告書の数値は希望的な「こうあって欲しい」といういい加減な絵空事の数値に近く、客観的科学的現実的合理的な数値ではない。
 官僚が、政治家が推進しているカジノを含む大型娯楽施設建設に反対しないのは、将来、数多くの施設関連企業ができ、そうした企業を天下り先として確保する為である。
 その構図は、赤字でも続けている地方空港や地方競馬と似ている。
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 カジノを含む大型娯楽施設も同じ運命を辿り、その巨額の赤字というツケを人口激減世代に押し付けられる。
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 何時の時代でも、負のツケは今を生きて死に大人・老人ではなく、明日を生きる若者・子供に押し付けられる。
 カジノを含む大型娯楽施設推進の大人達は、巨額の負債を国民に押しつける時にはこの世には生きてはいないか、大金の退職金を懐に入れて引退し悠々自適な老後を送っている。
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 カジノを含む大型娯楽施設は、どう工夫を凝らしてやった所で「金太郎飴」で、世界中のカジノ施設と代わり映えのいない内容・風景となる。
 そこに日本流の「おもてなし」など通用しない。
 カジノの差別化とは、勝ったときの取り分、レートの高さである。
 それを支えるのは円安であり、円高になると外国人観光客相手のカジノは成立しない。
 訪日中国人観光客による爆買いはわずか1年〜2年で終了し、爆買いを期待して巨費を投じて売り場を拡大した百貨店や大型量販店は巨額の負債を抱えた。
 所詮は、賭博・博打の寺銭・あぶく銭である。
 真面目に働いた金ではなく、カモにした善良な外国人旅行者から小遣い銭を巻き上げて懐に入れようという、「濡れ手に粟」のヤクザ・マフィア・暴力団的な発想である。
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 犯罪者は、博打・賭博・ギャンブルで庶民から生活費を巻き上げ、暴力的な借金の取り立てを行い、返済できなければ家や家財道具、田畑や農産物、商売道具や売り物商品など奪えるモノは全て奪い、それでも足りなければ若い女房や幼い娘を連行して人買いに売って返済金にあてた。
 貧困層をさらに苦しめたのが、賭博・博打・ギャンブルであった。
 日本人は、ギャンブル依存症になりやすい性質を民族的に持っているがゆえに、賭博・博打・ギャンブルに溺れると身の破滅・家族の悲惨に陥りやすい。
 博打・賭博・ギャンブルによる人間性崩壊は、大陸人には持ち合わせていない、日本民族が特有に持つ遺伝子(DNA)といっても言い。
 ギャンブルに免疫を持つ大陸人が利用する大陸のカジノを想定して、ギャンブルに免疫のない日本にカジノを持ち込むと、確実に失敗する。
 日本人の遺伝子(DNA)と大陸人の遺伝子(DNA)は、人種・民族の優劣・上等下等に関係なく、人間としての性質・性格が異なる。
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 なぜ、大陸人の遺伝子(DNA)がギャンブル依存症になりにくいのか、自然災害が少ない果てし無く続く大地に生き、カネの困ればカネのある豊かな国や地域へ自由に出稼ぎして働き大金を貯めれば済むからである。
 日本民族日本人の遺伝子(DNA)がギャンブル依存症になりやすいのは、逃げ出せない自然災害多発地帯日本列島に住んできたからであろう。
 自分を追い詰める依存症になりやすいのは、開放的に自由に逃げ出せる性格より、閉鎖的に閉じ込められ逃げ出せない性格の方であろう。
 もし、日本人がギャンブル依存症から解き放されるとすれば、日本に絶望して可能性を信じて世界に飛び出し、思うがまま、勝手気ままに、お気楽に、自分の才能と特技を生かしながら世界中を歩き回る事である。
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 徳川幕府は、「悪銭身に付かず」として、騙されやすいお人好しの日本人とその家族を博打・賭博から守るべく厳しく取り締まっていた。
 公権力は、貧困の為の人身売買的な売春業は必要悪として許したが、博打・賭博・ギャンブルは完全悪として禁止した。
 こと賭博・博打・ギャンブルに関して、グローバル化の掛け声で暴走する現代日本に比べて、ローカルで民族にこだわった徳川幕府の方が常識を持って真面であったといえる。
 

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