🚱11〉─1─新築奨励で空き家が増えてゴーストタウンが拡大する。スポンジ化・空洞化。~No.45No.46No.47 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本人が減少する。
 幾ら異文化異宗教異風習の外国人を移民させて総人口を増やした所で、日本人的な消費活動をしなければ何ら解決しない。
 問題は、労働人口ではなく消費人口である。
 労働人口が増え、住人が多くなった所で、地元の日本人が作った者を買う消費者が増えなければ、待ちの絆、つながりは消滅する。
 町から日本人的消費者がいなくなれば、人が住んでいてもゴーストタウン化する。
 インターネット通販がさらに普及し、世界中の品物が自宅で自由に購入できれば、日本国内の日本人的消費は減少する。
 それは、限界集落・消滅集落の町おこしと言ってられるレベルの問題ではない。
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 全国の空き家は、2020年には全国で約1,000万戸になり、過疎が進む地方ではなく東京や大阪などの大都市圏で爆発的に増えるといわれている。
 同時に、高齢化も地方より大都市圏で深刻化するといわれている。
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 全国の。総務省調査によると、2013年の全国の空き家数は約820万戸で、全戸数の13.5%を占める。
 そのうち賃貸住宅は約430万戸で、空き家の半数以上を占める。
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 2015年の、全国には820万戸以上の空き家があり、空家率は13%を超え、その数、数値は新築の増加と共に増え続けている。
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 2015年9月17日号 週刊新潮 「将来は4割が『空き家』になって日本は荒れ果てる 白石新」
 この頃、ご近所に空き家が増えたと感じないか。それは、あなたの周囲に限ったことではない。不動産をめぐる特殊事情も相まって、わがニッポンには空き家が増え続けているのだ。このままでは日本中が荒れ果ててしまうという聞き捨てならぬ警鐘である。
 日本に空き家が増えている。それもすざまじい勢いで。2013年現在でその数、およそ820万戸。6,063万戸という総住宅数に占める率、いわゆる『空き家率』は年を追うごとに高くなり、ついに13.5%に達した。これは史上最高の数である。調査がはじまった1963年のわずか2.5%にくらべて、いかに日本に空き家が増えたかがわかる。
 『「空き家」が蝕む日本』の著書もある不動産コンサルタントの長嶋修氏は、
 『野村総研の試算では、2040年には40%以上が空き家になる。格差が広がり、かたや住宅密集地、かたやゴーストタウンという状況になってしまいます』
 将来は、2軒に1軒は空き家になってしまいそうな状況だというのである。
 ここまでは日本の住宅全体についての数字だが、共同住宅にしぼると、さらに恐るべき数字があらわれる。ざっと見てみよう。千代田区36%、中央区28%、目黒区27%・・・と、すでにとんでもなく高い空き家率である。東京のこれらの行政区は、住みたい町ランキングなどで、つねに上位というイメージがあるにもかかわずだ。いったいなぜこんなことが起こるのか。
 それを解明する前に、空き家問題にさらされた各地の実情に目をむけてみたい。都内で、親子2代で不動産業をいとなむ30代後半の男性が嘆く。
 『雨戸が閉めっ放しで、夜になって門灯さえ点灯しない家や、ポストの投函口をガムテープで閉じてしまったような家が、郊外はもちろん、都心でも目につくようになってきました。近県に目をむけると、なんだかわからない動物が棲みついてしまっている空き家もあります。この先、少子化や高齢化で空き家がどんどん増えていくのは、火を見るより明らかです』
 では、共同住宅はどうなるのか。東京觥下のある団地の惨状を長嶋氏が描写する。
 『階段の両脇に1戸ずつある集合住宅の場合、入居者のいない階は、踊り場の電気が夜でも消えたままなんですよ。敷地内の街灯をしていることもある。歴史がある分、植栽が立派なのはいいのですが、昼から薄暗くなってしまうところも。夜になるとさらにさびしくて、ずらっとならんだ窓のうち、電気が点っている部屋をあっという間に数えられてしまうほど、入居者が少ししかいないのです』
 かって、購入するには大変な倍率をのりこえなければならなかったはずの団地が、こうしてひっそりと静まりかえっているのだ。
 空き店舗が増えた商店街が〝シャッター通り〟と呼ばれるようになって久しいが、それがいま、都内でも増えているという。先に不動産業者がため息をつく。
 『1階の店舗をやめたとしても、住宅として入居者がいた建物には、人の気配がただよっていたものです。そういう住民がいたから、大規模開発も避けられたのですが、いまは、そうした住宅からどんどん人がいなくなっているんです。すると生活音もたたず、生活のにおいがしなくなるんです。ほんとうに人けがなく。真のシャッター通りはこれから続々と増えていくはずですよ』
 もはや、日本の津々浦々、いたるところにゴーストタウンが生まれかねない状況なのである。
 家賃に無頓着な富裕層が
 そもそもの話だが、生活がいとなまれていない家が空き家になることで、どのような不利益が生じるのだろうか。住宅ジャーナリストの山本久美子氏が語る。
 『一軒家の場合、植栽が伸び放題になって、景観がそこなわれるが第一段階です。植栽の問題は、人や動物がひそみうる死角が、町の中にうまれることにもつながります。また、住宅は手入れをしなくなった日から劣化がはじまり、間もなく天候次第で瓦が飛ぶような事態になる。こうなると近隣に直接的に迷惑が生じます。さらに、空き家だとわかると、忍び込んだり住みついたりする人ができくるし、落書きや、ゴミの不法投棄の対象にもなる。でも、なにより恐いのは放火で、そうなると生死にかかわってきます。たった1軒の空き家でも、ほうっておけば、その一角から街全体が荒れてしまうんです』
 空き家によって町が荒廃するメカニズムは、聞くだに恐ろしい。
 だが、それにしても、先に挙げた千代田区36%、中央区28%、目黒区27%という都心の共同住宅の空き家率は、どう理解すればいいのだろうか。それは全国空き家率ランキングの第一位である山梨県の22.0%や、第二位の長野県の19.8%をはるかに上回るのである。長嶋氏はこう説く。
 『これらの多くは投資用のワンルームマンションです。新築時には満室でスタートし、いまは老朽化して入居者が減っているのに、賃料を下げないです』
 ……
 家賃に無頓着な富裕層が空き家に対して無関心であることが、さらに問題を悪化させているのだ。
 このように日本の空き家問題は、急激な少子高齢化から、所有者がマンションを意味も無く放置していることで、さまざまな理由がからみあっているが、
 『なによりの要因は、日本独特の住宅市場、不動産事情にあるんです』
 と、長嶋氏はあらためて強調する。実は、驚くべきことに、空き家率が上昇しているのにもかかわず、住宅の新築件数は、いまもなお増加の一途をたどっているのである。
 需要がないのに新築ラッシュ
 『日本の人口は08年をピークに減少し、むこう100年で100年前の水準まで急減する。一方、高齢化率は年々上昇しています。にもかかわず、政府の景気対策は住宅着工を重視しており、これでは空き家は増える一方です』 (同)
 たしかに、住宅の新築による経済波及効果は大きい。木材や鉄骨などの資材はもちろん、工事に携わる人員に支払われる工賃や、設備機器の導入など、投資に対して2,11倍もの波及効果があるといわれる。だからといって、人口が減少し、住む人間が減っているのに、新築住宅を増やしてどうするというのか。
 ……
 『将来、29.1%の自治体が少子化で消滅するというデータもあります。住宅余剰の状態が、そう簡単に改善されることはない』
 住むに適さないエリアが
 ……
 住宅を所有する人すべてが、空き家問題を自分のこととしてとらえる必要があるというだろう。
 明治大学の川口太郎教授(都市地理学)が言う。
 『空き家が820万戸で空き家率13.5%、という数字があまりに大きく、空き家問題が突然浮上したかのような印象をもたれがちですが、問題は昔から存在していた。今回の5年前の調査でも空き家率は13.1%ありました。60年代に地方から東京圏に出てきた世代がいっせいに退職し、彼らが将来のことを考えるようになって、ようやく身近な問題としてとらえられるようになったのです』
 たとえば、ドイツはベルリンの壁崩壊直後から、空き部屋対策を積極的に講じてきた。ひるがえって、日本はそれから30年近くを経て、ようやく空き家問題をわが身の問題としてとらえ、重い腰を上げつつある。
 『住宅は住むための機械である』とはモダニズム建築の提唱者であるル・コルビュジェの残した言葉だが、空き家は壊れて朽ちた機械同様、なにの役にもたたない、のである」
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 2015年10月12日 朝日新聞「新築奨励の見直しを
 日本の住宅市場は明らかな供給過剰だ。人口減時代に入っても毎年100万戸前後の新築住宅が供給され続けており、住宅の総戸数は6,000万戸超と、国内の総世帯数を大きく上回る。
 人口減に転じることはずっと前から分かっていた。ところが、歴代政権は新築に歯止めをかけるどころか、むしろ新築をあおってきた。住宅が建てば、資材が売れたり、雇用が増えたりといった裾野の広い経済効果があるとされる。このため、景気変調や消費増税のたびに、住宅ローン減税などの新築奨励策が大盤振る舞いされてきた。
 住宅用地の固定資産税を安くする特例も、もともとは住宅不足の解消に向けた新築奨励が目的だ。不動産を持っていれば有利になる相続税制も、実需を無視した賃貸アパート建設などを後押ししてきた。
 そのツケが、約820万戸(13年)という膨大な空き家だ。欧米のように中古住宅を再評価して取引する市場は育たず、日本では多くの空き家が放置され、荒れ果てたままになっている。空き家が増えすぎたので、こんどは『実質増税』で持ち主に対応を迫るという。空き家対策も必要だが、人口減を無視した新築奨励策をまず改めるべきだ」
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 2017年3月5日 産経ニュース「【日曜経済講座】空き家・空き地の急増 「都市のスポンジ化」を防げ 論説委員・井伊重之
 かつてにぎわいをみせていた駅前の商店街が周辺人口の減少などに伴ってシャッター通りとなり、街から活気が消えうせる。こんな光景が今、全国で広がっている。こうしたシャッター通りを生み出している大きな要因が空き家や空き地の増加である。
 とくに都市部で空き家や空き地が不規則に発生して空洞化する「都市のスポンジ化」は、都市計画における新たな課題といえる。中心市街地でも個人が相続した土地は、空き地として放置される事例が目立っている。これは都市基盤をスポンジのように弱体化させる恐れがある。
 このため、国土交通省では都市のスポンジ化を防ぐ対策づくりに着手した。これまで開発・整備段階で規制してきた都市計画制度を抜本的に見直して、将来の維持・管理段階まで一定のマネジメントを促すような仕組みを検討することにしている。
 平成25年の住宅・土地統計調査によると全国の空き家は過去最多の約820万戸に達し、住宅全体の13・5%を占めた=グラフ。空き家の中でも賃貸や売却用などを除いた「その他空き家」が約320万戸と5年前に比べて2割近く増加した。これは年10万戸ペースで増えた計算になる。
 ここ数年、老朽化して放置されたままの空き家が社会問題化し、27年には空き家対策特別措置法が全面的に施行された。倒壊の危険や周辺の景観を損なう恐れがある空き家に対し、市町村が所有者に修繕や撤去を指導・命令できる制度だ。
 特措法では自治体の指導などに従わなければ強制執行も可能とした。従来に比べれば大きな前進だが、これはあくまでも緊急避難にすぎず、空き家をめぐる抜本対策とはいえない。
 空き地も広がっている。25年の土地基本調査によると、駐車場や資材置き場などとしても利用されていない空き地は全国で1554平方キロメートルに及び、5年前より3割近く増えた。このうち法人所有分は573平方キロメートルとほぼ横ばいだが、個人所有分は981平方キロメートルと5年前に比べて5割以上も急増した。
 人口減に直面する地方だけでなく、人口が増えている都市部でも空き地が増えている事態は深刻だ。それが都市の機能や魅力を低下させ、さらに新たな空き地や空き家を生み出す悪循環に陥っている。これは全国的な課題だ。
 現行の都市計画法は、都市の開発・整備を前提にして開発が無秩序に進むことを防ぐのが目的だ。開発できる地域を限定し、そこに規制の網をかける手法だが、最近では都市部でも開発どころか、空き地が増殖している。これは都市計画法が想定していなかった事態といえる。
 このため、国交省では都市のスポンジ化を防止する観点から、新たな都市計画のあり方を探ることにした。社会資本整備審議会に都市計画制度の抜本的な見直しを検討する小委員会を設置し、有識者らによる検討作業を始めた。今年半ばにも中間報告をまとめる方針だ。
 具体的な方向性はこれからだが、都市開発で行政と事業者が協定を結び、土地利用のあり方や事業撤退時のルールを設ける案などが浮上している。いわば官民で都市マネジメントに取り組むイメージだ。企業にどこまで順守させられるかとの課題もあるが、自治体側の関心は高い。
 政府は26年に住宅や商業・福祉施設などの集約を後押しする改正都市再生特別措置法を成立させた。市町村が住宅を誘導する地域や商業・福祉施設を誘導する地域などをそれぞれ定め、その地域内に立地する場合には国が税制などで支援する制度だ。
 人口減少をにらんだ仕組みだが、現実問題として住宅を一定の地域に集めることは難しいし、新たな空き地や空き家の発生を防ぐ効果も不透明だ。政府はコンパクトな街づくりを呼びかけるが、そこで実際に暮らす高齢者らに移転を促すのは困難だ。
 一方、地方都市では人口減少が進む中で住宅地の拡散が現在も続いている。自治体が土地の用途規制を緩和して地価が安い郊外に住宅が建設され、若い子育て世代などが庭付き一戸建てとして購入しているという。これもコンパクトな街づくりとは逆行する動きであり、何らかの規制が課題である。
 本格的な人口減少社会を迎えた中で今後、都市でも空き家や空き地の急増は避けられない。こうした街の「穴」が不規則に広がる事態を食い止め、効率的な都市機能をいかに維持・発展させられるか。それが日本の生産性向上にも大きく影響しそうだ。」
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 3月30日 産経ニュース「【阿倍野再開発(4)】「夢の街」か「悪夢の街」か 老朽、進む高齢化も…再々開発の声
 昭和62年に開業した「あべのベルタ」(右手前の赤い屋根の建物)と平成23年にオープンした「あべのキューズモール」(中央右)=大阪市阿倍野区
 42年に及ぶ超長期事業は初期に完成した建物の老朽化をもたらし、「再々開発」の検討も迫られている。
 昭和62年、大阪市阿倍野区の再開発地区内で真っ先に開業した「あべのベルタ」(17階建て)。低層階に入る店と約340戸の集合住宅が一体となった複合施設だが、住民によると、築30年となって特に水回りの傷みが激しく、排水管が詰まったり、たびたび水漏れが生じたりするという。
 こうした集合住宅などが阿倍野再開発地区内には29棟(計約3100戸)あるが、いずれも分譲のため、建て替えるにしても区分所有者の合意形成は困難を極めるとみられる上、その費用を住民らが負担できるかという課題もある。
 市はすでに、住宅やビルを民間に売却済みとの認識で、再々開発費を負担することは想定していない。
26・7%が65歳以上
 住民の高齢化も深刻だ。平成22年の市の調査によると、再開発地区内の住民5548人のうち、26・7%を65歳以上の高齢者が占め、市全体の22・7%を4ポイントも上回っている。
 再開発地区内にある市立金塚小学校の児童数は、再開発が始まった昭和51年度には6学年計33クラス、919人もいたが年々減少し続け、平成28年5月時点では計10クラス、231人と約4分の1にまで減った。
 再開発地区で急速に進む少子高齢化。地元選出の元市議は「住んでいる人は年寄りばかりだ。築30年の古い建物にその子供らはなかなか住まないだろう」と語り、「次の世代が外に出ていってしまえば街が継承されない可能性もある」と危機感を募らせる。
開業時活況
 あべのベルタが30年前に開業したころはスーパーや生活雑貨店が目新しく、大勢の客でにぎわったというが、現在はシャッター街が目立ち、寂れた雰囲気が漂う。当時の活況を懐かしむ同商店街振興組合理事長の森田博子(76)はこうため息をついた。
 「みんな夢を見て店を構えたのに、こんな状況になると誰が予想しただろう」
 再開発地区内に広がるゴーストタウン−。そんな悪夢も現実味を帯びる。(敬称略)」
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