⛲21〉─2─年収800万円以上に対する税制改正で、現役世代の老前破産と年金世代の老後破産が急増する。~No.97No.98No.99 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2017年12月15日号 週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け 藤巻健史
 高所得者の負担増、機会の平等になる?
 ベルリンの壁崩壊直後、モルガン銀行の資金為替部長会議が東ベルリンで行われた。壁は崩壊しても、ドイツはまだ東ドイツと西ドイツに分かれていた。
 東ドイツで泊まったホテルは新装開店で、すばらしい設備。しかしサービスがとんでもなかった。ディナーは前菜、メインディッシュ、デザート&コーヒーのコースだったが、前菜が出るのに1時間、その後メインが出るのに1時間、デザートまでにもう1時間かかった。
 最初は和気あいあいと話がはずんだ我々も、だんだん口数が減った。ウェートレスに文句言っても、サービスという概念が存在しなかった国で育った彼女の反応は予想通り。無言でにらみつけられて終わりだ。
 9時からのディナーは深夜12時過ぎにやっと終わった。この3時間で私は『社会主義とは何ぞや』を身をもって感じとった。
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 政府・与党から最近、高所得の会社員の給与所得控除縮小や、高所得者基礎控除を段階的に減らす、などの所得税改正案がマスコミを通じて漏れてくる。高所得者層の負担増が特徴だ。『金持ちから取れば良い。痛快』と喜ぶ方も多かろう。しかし、そう簡単ではなく、国の方向性にかかわる重要な問題を含む。ただでさえ日本は『結果平等主義』だと思うが、その方向を強めるのか、それとも『機会平等主義』へと向かうのか?という問題だ。
 そもそも、ここで言う高所得者層とは金持ちの話ではない。他の給与所得者より多少多い程度の収入だ。
 米シンクタンク『経済政策研究所』によると、高所得者の代表の米国経営陣は従業員の300倍の報酬をもらっているという。日本ではどれほど差があるのだろうか?正確な数字はわからないが、私の感覚では、せいぜい10倍から数十倍にすぎないと思う。
 格差是正は本当の大金持ちと言えない様なプチ高所得者を引きずりおろすことで達成すべきではない。所得の低い人を引き上げることで達成させるべきだ。
 その大金持ちと言えない人に対して、累進性がすでに十分すぎるほど強う点も問題だ。所得税がどんな収入に対しても定率ならば(たとえば10%)、今回のようなプチ高所得者層の負担増政策は理解できる。しかし、今回の提案は、すでに強い累進性をさらに強めることになる。
 格差是正は重要だが、程度が問題だ。格差是正が極限までいくと『働いても働かなくても手取りは同じ』ことになる。旧東ドイツと同様だ。これではまさに社会主義国家で、だれも働かなくなる。格差がなければないほどよいうという話ではない。資本主義国家において、格差是正金科玉条ではなく、どの程度まで格差を是認するかが重要だ。
 ちなみに米国でも格差是正が進んでいる感覚をお持ちかもしれない。だが、先日下院を通過した税制改革案では、遺産税(相続税)に関して全米で最も裕福な数千人の資産に適用される40%の税率は、即座に課税対象が縮小され、2025年ごろに完全廃止される。
 格差是正どころかの話ではなく、逆の働きである。良い悪いは別として、『なぜか?』だけは考えるべきだろう」
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 中間的高所得者層にとって、人口の激減と経済の衰退で税収が減少し縮小する日本では税負担が増えて住み辛い社会となる。
 日本が向かう少子高齢化社会とは、私有財産・個人資産のない平等な社会、金持ち・資産家が消滅して貧困者・貧乏人だけが残る平等な社会である。
 つまり、貧困者・貧乏人だけを量産する低所得層社会であり、金持ち・資産家など高所得層が国外に逃げ出す衰退社会である。
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 良心に従って、正直に働くと馬鹿をみる。
 法律に従って、真面目に働くと損をする。
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 適当に働き、そこそこの収入で、最低限必要な物以外は買わず、一人でひっそりと、ギリギリの生活ではあるが、自由気ままに生きるのが最良な人生である。
 つまり、物を買わない、物を持たない、物の拘らない、足るを知る充足した生活である。
 低賃金で物を買わない生き方は、共産主義国家の社会主義的生き方である。
 日本の経済界、経営者・企業家も、そうした無欲への心境変化による消費傾向を承知で社員や従業員の給料を上げない。
 それが経済成長不要論である。
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 人口激減・少子高齢化対策に、反宗教無神論・民族否定・天皇制度廃絶のマルクス主義社会主義共産主義)は役に立たないどころが有害である。
 人口激減・少子高齢化において、人民のインターナショナル(グローバル)を目指す社会主義共産主義に基づく如何なる政策も、民族を死滅させ、宗教を破壊し、民族ゆかりの全てを消滅させる。
 社会主義共産主義が行う人口対策は一つしかなく、それは大量の移民(対象は中国人貧困層)である。
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 「働かざる者、食うべからず」ではなく、「働く者、給料を預貯金せず個人資産を増やさず税金を払え」である。
 それは、敗戦後までの、政府・軍部が戦争をする為に推奨した「給料は預貯金するは美徳」の真逆である。
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 現代日本は、高学歴出身のエリート官僚・役人による御上・お役所社会主義国家である。
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 12月11日 msnニュース 毎日新聞 「「年収850万円超」:所得増税、対象230万人
 所得増税、年収850万円超で合意
 自民、公明両党の税制調査会は11日、それぞれ非公式幹部会合を開き、2018年度税制改正で焦点となっている所得税改革について、増税となる年収水準を年収850万円超とすることを了承した。増税対象者は約230万人となる見込み。14日にまとめる与党税制改正大綱に盛り込み、20年1月から実施する。
 政府・与党の試算では、増税額は年収900万円で年1.5万円、年収950万円で年3万円、年収1000万円で年4.5万円となる。
 政府・自民党は当初、会社員に適用される給与所得控除を一律10万円減額し、年収800万円以上は控除額を190万円で打ち切る一方、すべての人に適用される一律38万円の基礎控除を10万円増やす案を検討。年収800万円超の会社員を増税とする方針だった。
 だが、公明党内で「中間層が増税になる」と反発が強まり、増税対象を絞り込むことにした。修正案では、給与所得控除は年収850万円以上は控除額を195万円で打ち切り、年収850万円超の会社員が増税となる。
 家族に22歳以下の子どもや介護が必要な人がいる場合は、増税対象外とする。政府・与党によると、年収850万円超の会社員は約430万人で、子育てをしている約190万人と、介護をしている約10万人を除く約230万人が増税となる。この増税による税収増は、900億円程度となる見込み。【中島和哉、釣田祐喜】
 主な年収別の増税
 年収     年間増税
 850万円  ゼロ
 900万円  1.5万円
 950万円  3万円
 1000万円 4.5万円
    ※政府・与党の試算」
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 12月22日号 週刊ポスト「歪みゆくニッポンの税制を撃つ
 詐術だらけの2018年税制改正で起きること 
 現役世代は『老前破産』年金世代は『老後破産』の悪夢
 『景気は回復した』とアピールするのに法人税だけ大減税ってどういう理屈だ!
 故・松下幸之助は名高い『無税国家論』の講演でこんな言葉を残している。
 『国事多難なときでも、国民の心情を無視した重税は、国家社会に対する義務観念を弱め、ひいては一般の道義も衰えさせる結果となる』
 目下の税制議論には、〝税の大義〟がどこにもなく、国民をいかに騙して重税するかの詐術ばかりが目立つ。
 これでは人心も国も荒廃するばかりだ。
 中間層を狙い撃ち
 今回の税制改正で狙われるのは中堅サラリーマンと高齢者の所得税だ。
 自民党財務省は『年収800万円』を超えるサラリーマンを≪高額所得者≫と認定し、18年から給与所得控除を縮小する方針を固めた。全国400万人ほどの会社員が増税対象で、年収ギリギリ800万円は年間1万5,000円、900万円なら年間3万円ほどの増税になる。
 『金持ちから取って、低所得者の税金を軽くする』という説明だ。
 経済ジャーナリスト・荻原博子氏が語る。
 『年収800万円は企業の中間管理職で、まさに子育て世代。税金と社会保険料を天引きされて手取りはざっと550万円くらいで、子ども2人を私立の高校や大学に通わせていれば生活はカツカツ。とても余裕などありません』
 政府もそうした反発が出ることは織り込みのようだ。22歳以下の子供を持つ世代には増税分を還付する仕組みをつくるというが、騙されてはならない。安倍政権はこれまでこの中間層を狙い撃ちに負担を増やしてきたからだ。
 税理士の浦野広明・立正大学法学部客員教授に、その金額を試算してもらった。
 妻と子供2人を持つ年収800万円の40代会社員は、5年前と比べて厚生年金保険料が14万8,000円アップ、健康保険・介護保険料が約8万7,000円アップ、民主党政権時代にできた子ども手当の廃止と年少扶養控除の復活見送りで約29万円の増額など、『消費税8%への増税を加えると安倍政権になって負担が年間60万円以上増えています』と指摘する。
 わずか5年で60万円以上もむしり取っておきながら、〝今回は増税を見逃してやる〟とはどの口が言うのか。
 一億総金持ち時代!?
 『うちは800万円も給料をもらってないから』とホッとするのは早すぎる。
 政府は税制改正のたびに所得税増税(給与所得控除縮小)となる高額所得者の〝認定基準〟を引き下げているかだ。
 『給与所得控除はかつては上限がなく、収入が増えるほど控除額は大きくなった。それが13年から控除総額に上限が設けられ、16年からは年収基準が定められて1,200万円を超えるサラリーマンに増税、17年は年収1,000万円、そして18年からは800万円と政府の金持ち認定基準が毎年200万円ずつ下げられています』(荻原氏)
 このペースでいけば、来年の税制改正では600万円、2年後には年収400万円を超えると高額所得者に認定されてしまう。国民の実質所得は減っているのに、増税に次ぐ増税で現役世代がリタイヤする頃には貯金も残らずに『老前破産』に直面し、それでも日本は国民全員が金持ち認定された〝幸せな国〟になる。
 『3年前には消費税増税低所得者の懐にダメージを与えながら、今回は〝金持ちに負担してもらう〟と中間層以上に増税、そして2年後にはまた消費税を上げる。結局、所得格差是正といいながら場当たり的に取りたいところから税金を取っているだけ。本当におかしなやる方です』(荻原氏)
 働く高齢者には〝重加算税〟
 『働く高齢者』も容赦なく増税のターゲットになった。
 政府は人生100年時代だと高齢者に〝死ぬまで働け〟と勧めながら、年金以外に給料など1,000万円以上の所得があれば『公的年金等控除』を引き下げることで増税する。 『給与控除と年金控除の二重に税の優遇を受けている』という理由だ。
 この理屈も甚だおかしい。ベテラン社会保険労務士が語る。
 『それだけの所得がある高齢者は、在職老齢年金の報酬比例部分を全額カットされているはずです。現役時代の給料水準も高いから、おそらく月給も高いから、おそらく月額16万円、年間200万円近い年金をもらい損ねている。この年金減額分を所得税に換算すると、税率20%以上の重加算税を毎年納めているようなもの。〝あなたがたは税を優遇されている〟なんていえないでしょう』
 重加算税を課せられるのは所得が1,000万円を超える人だけではない。
 在職老齢年金の受給額をカットされている働く高齢者全員が、知らないうちに〝所得税の重加算税〟を課せられているといえるのだ。
 前出の荻原氏は『年金増税高所得者に限るというのは方便』と指摘する。
 『10年前、政府が年金控除を大きく減らした結果、年7万円ほどの増税になり、そこで今回は高額所得者の年金だけに増税するのだといって批判をかわしている。サラリーマン増税と同じ手法で税制改正のたびに段階的に増税対象を働く高齢者全体に広げていくでしょう』
 現役世代が老前破産なら、年金世代は『老後破産』の道をまっしぐらである。
 これほど国民に増税で痛めつける一方で、政府は『景気拡大はいざなぎ景気を超えた』といいながら、空前の利益を上げている企業に法人税を大減税しようとしている。
 『持たざる者から、持てる者に再配分する国』
 それが税制改正で目指す国家像なのだ」


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