⛲41〉─2─餓死母親の息子「無戸籍で助け求められず」。~No.246No.247 ㉑ 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。  
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 2020年12月27日 産経WEST「餓死母親の息子「無戸籍で助け求められず」水と塩で…
 大阪府高石市の民家で9月、住人の高齢女性が餓死し、同居の息子も衰弱して入院した。生活費が底をつき、最後は水と塩だけでしのいでいた親子。いずれも戸籍がなく、息子は「無戸籍だったので助けを求められなかった」と語ったという。無戸籍であることに負い目を感じていたのか。近所の住民ら関係者の話からは、境遇や困窮ぶりを周囲に知られないように暮らしていた親子の姿が浮かぶ。
 「おはようございます。母が亡くなりました」
 近所の自治会長の70代男性宅に息子が訪ねてきたのは秋分の日の9月22日午前8時ごろ。深く一礼し、淡々とした様子で息子が告げた事実に男性は驚いた。
 慌ててはだしのまま女性宅に駆けつけると、1階6畳間のベッドの上に女性があおむけに寝ていた。体はやせ細り、手を腹の上で組んでいた。栄養不足による餓死で死後数日が経過。息子も衰弱しており、入院した。
 女性は長崎県五島列島出身で死亡時は78歳、息子は49歳で学校に通ったことがなく、最近は無職だったとみられる。息子とともに戸籍がなかったが、内縁の夫と3人で暮らしていた。
 「きちっとした性格で、よく家の周りの排水溝の蓋を開けて掃除していた」と近所の住人。人付き合いがよい方ではなかったが、好きな甘酒を手作りし、分けることもあった。平穏な暮らしに影が差したのは平成28年。内縁の夫が死亡し、息子と2人で遺産頼みの生活が始まった。次第に困窮し、今年夏ごろには食べるものもなくなった。
 8月末、女性は金を借りようと知人を訪ねた。しかし、言い出せず、そうめんをもらって帰った。それがほぼ最後の食事だったとみられ、この頃から女性は衰弱して歩けなくなり、息子が看病するようになった。
 女性が以前、「引っ越す」と言っていたこともあり、近所の人たちは家にはもう誰もいないと思っていた。雨戸も閉め切った中で2人きり。女性は自力で水も飲めなくなり、息子が布に含ませて与え、自身も塩で飢えをしのいでいたという。そんな状況が2~3週間続いた。そして-。
 「なぜきづけなかったのか」
 「無戸籍だから助けを求められなかった」。息子は追い詰められた理由をそう語った。2人が無戸籍である理由は分かっていないが、誰かが気づくことはできなかったのか。
 高石市は、女性が亡くなるまで無戸籍の親子の存在を把握していなかったという。女性は周囲に自身らの境遇を打ち明けず、窮状を訴えることもなかったため、行政が親子に関与したことはなかった。
 ただ、夫が亡くなり死亡届が出された際、市は家の相続の関係で戸籍を調べたという。結局、夫の親族が相続放棄をしたが、この過程でも女性らの存在には気づかなかったとしている。
 阪口伸六市長は「行政に相談がなく死亡されたことは残念。今後、こうした事案がないように地域住民の力を借り、関係機関と連携しながら対応したい」とのコメントを出した。
 自治会長の男性は後悔をにじませる。「SOSを出してくれたら何かできることはあったはず。出ていたのかもしれないが、なぜ気づけなかったのか」
  ◇  
 【無戸籍者】 親が出生届を出さなかったなどの理由で戸籍がない人。法務省の把握では全国で約900人とされるが、民間支援団体は約1万人と推計している。出生届を出さない理由はさまざまだが、「離婚後300日以内に生まれた子供は前の夫の子供と推定する」という民法の「嫡出推定」の規定が適用されるのを避けるためというケースが、7割以上を占めるとされる。戸籍がなくても行政サービスや生活保護を受けることは可能。自治体や法務局に相談し必要な手続きを経れば、無戸籍を解消することもできる。」
   ・   ・   ・