🥓29〉─1・B─“お願い蔓延社会”で増殖する「考えない日本人」が戦後教育の成果である。~No.137No.138No.139 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 考えない日本人、もの言わない日本人、指示を辛抱強く待つ日本人、逆らわず口答えしない日本人、言われた事だけそつなくこなす賢い日本人、俗に言う所の「金太郎飴的人材」の増産を願ったのは、1980年代頃の日本企業、経営者・企業家であった。
 当時の政治家や官僚、メディア、学校教育は、バブル経済で勢いがあった経済界の要望に従い、便利に使える大人しく素直で正直な木偶の坊的人材として子供達を育てるべく教育を施し、そして社会に送り出した。
 その結果が、2000年代以降の衰退して復活できず低迷の歯止めをかけられない惨めな日本である。
 つまり、保身に走った結果の自業自得で、誰が悪いわけでもなく、陰謀論など関係なかった。
 若者の間からイノベーションが起きず、世界的なベンチャー企業が生まれないのも、当たり前の事であった。
 現代日本人は、忠臣蔵の忠誠心という表面だけを理解してその奧にあった真意が読めなかった。
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 現代日本人は「楽をしたい為に進化・進歩・変化しない」を企業風土にして、事なかれ主義、前例主義、会議史上主義(責任回避、責任転嫁)、先送り主義、減点主義、他、を定着させた。
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 2022年7月12日 MicrosoftNews 文春オンライン「“お願い蔓延社会”でひそかに増殖する「考えない日本人」の行く末
 コロナ感染者数は最近では再び増勢に転じているとはいえ、重症者や死者数がかつてほど深刻ではなくなっているせいもあってか、世の中ではあまり話題にされず、一見すると日本社会は平穏を取り戻しているようだ。
 だが、2年以上にわたって蔓延したコロナ禍は最近の日本社会、日本人の特性を炙りだしたともいえる。「お願い」だ。
 曖昧な「お願い」に従う日本人
 コロナ禍では感染を防ぐという意味合いで、多くの「お願い」が発出された。法の問題もあって日本では欧米のような命令、罰金のような強い措置が取りにくいという背景もあるが、曖昧な投げかけである「お願い」に日本人はよく従ってきた。
 そして「お願い」に忠実な日本人に対して今でも政府、自治体、公共交通機関などでは相変わらずこの「お願い」を連呼し続けている。
 電車のホーム上、階段では様々な「お願い」が繰り返し放送される。「感染症対策のためマスクを着用願います」「マスクは鼻と口を覆うように」「車内での会話は控えめに」「座席の向かい合わせはご遠慮ください」に加えて「テレワークの推進」「時差出勤のお願い」である。以前から鉄道会社では、「ホームの黄色い線の内側をお歩きください」「スマートフォンを見ながらの歩行はおやめください」など安全上の理由での「お願い」を続けてきた。最近ではこれらに加えて「危険を察知したときは非常用ボタンを押してください」「エスカレーターでは歩行しないでください」など「お願い」のオンパレード状態だ。いずれも1つ1つは言わないよりも「言っておいたほうが良い」内容だが、これらを1日中駅や車内で連呼し続けるのは、聞いているほうでは「お願い」を聞くだけで疲れてしまうほどの分量だ。
 JRの一部の駅などではさらにエスカレートして「お年寄りや体の不自由な方に、どうしましたか? と声掛けしましょう」などといったマナー指導まで加わり始めた。そして最後の締めのセリフが「みなさまのご理解、ご協力をお願い申し上げます」というテンプレだ。
 続々と登場する新しい「お願い」
 この夏はさらに新しい「お願い」の登場だ。猛暑による節電の「お願い」だ。以前のように冷房温度28度のような規制値こそ設けてはいないようだが、エアコンの温度は控えめに。電気はなるべく使わないように。ここが出番の都知事小池百合子さんは「冷蔵庫内の温度を上げて節電しましょう」ときた。これもご理解、ご協力しなければならなそうだ。
 天気予報もおせっかいだ。感染症対策に加え、熱中症対策、水分補給、日差しを避ける日傘の携行、洗濯物の乾きやすさ、服装に至るまで思いつく限りの指示ではないただの「お願い」「アドバイス」を繰り返す。こんなことは自分で考えればよい内容ばかりだ。今後も猛暑が続くと、すでにいくつかの自治体では始まっているが、今度は節水の「お願い」が連呼されるだろう。
 そういえば先週までは参議院議員選挙選挙カーからの「お願い」もあった。国は西側諸国の一員としてロシア制裁を「お願い」され、これに協力している。そしてそのお願いを岸田首相はありがたくも他国にまで出向いて、他国にも加わるように「お願い」を始めた。街を歩くと炎天下の中、自治体の職員さんとおぼしき人たちが、マイナンバーカード発行の「お願い」を連呼している。カードの使い勝手が良いと思えば、連呼しなくても登録は増えるだろう。
 値上げへの「ご理解とご協力」
 経済にも「お願い」が蔓延りだした。物の値上がりだ。企業は円安とウクライナ紛争に端を発した原材料の値上がりに耐え切れず、製品の値上げに雪崩を打ち始めた。テレビやラジオ番組で食料品会社、飲料会社の社長などが苦渋の表情を浮かべながら値上げの「お願い」をはじめた。値上げをなんで「ご理解」「ご協力」いただかなければならないのだろうか。
 電気料金、ガス料金、ガソリン代も、公共交通機関の料金も全部値上げの「お願い」が今後も続いていくことだろう。ご理解、ご協力してもらわなければならないのだ。
 我々国民の生活はどんどん苦しくなる一方だ。円安は輸出型産業を潤す。輸入型産業は打撃をこうむるが差し引きすれば、現状の円安はトクなんだという理屈が展開されている。だが輸出で潤う自動車などの産業は、ほとんどを海外で儲けていて、儲けの多くは日本には還流されず海外にとどまっているから、日本国内が豊かになどならないのだ。
 そして次に来るのは……
 実際に大企業の一部でしか給料は上がらない。年収が上がらなければ、貯蓄もままならない。定年後の老後は危機的な状況に陥る日本人が続出するだろう。国は2004年に「年金100年安心プラン」などと言っていた旗印をいつのまにかおろしてしまい、企業に対して65歳定年をさらに延長して70歳、いや75歳まで働いてもらいましょう、などといった「お願い」を口にし始めた。年金が払えないからもっと働く「お願い」を始めたのだ。
 そして次なる「お願い」は参議院議員選挙が終了したこれからの「黄金の3年」の間に確実にやってくる。増税の「お願い」だ。増税の手法はいろいろあるが、実は最も行いやすいのが国民全体から広く薄くいただく間接税、つまり消費税の増税だ。岸田首相は首相就任当初は金融所得課税を唱え、自民党内部からも猛烈な批判を浴び、あわてて取り下げた。特定の層に負担を求めようとすると、すでに利権社会となっている日本では調整が難しいのだ。ならば、広く国民全体に「お願い」するのが吉だ。きっと我慢強くてまじめな国民はこの「お願い」に「仕方がない」からとか「ほかに選択肢がない」とか言って従ってくれるだろう。
 選挙などには全く関心を示さない国民は、国や自治体、公共機関から発せられる「お願い」に実に忠実である。おそらく現状では多くの国民があまり困っていないからなのだ。だが、これからの日本を取りまく環境は激変する。比較的裕福だった団塊をはじめとする昭和世代が退場していくのにつれて、年金だけでは生活できない国民は増える。収入が伸びない中でのインフレは現役世代の生活を直撃する。やがて上がらざるを得ない金利はバカ高いマンションを夫婦ダブルローンで買ってしまった世帯を苦しめる。
 「考えない」日本人の行く末は
 「お願い」をボーっと聞いて、「考える」ことをしないできた日本人は、これからの環境変化の激しさに呆然とすることだろう。今の幸せはいつまでも続くとは限らないのだ。
 ロンドンで地下鉄を利用すると、こうした「お願い」の類のアナウンスはほとんどない。だが駅構内にはわかりやすく注意事項が掲載されているだけでなくこんな警告ポスターが貼ってある。
 「ロンドン市内の地下鉄駅では昨年3000人が事故を起こし、そのうち152人が重大なけがをしました」
 これだけでエスカレーターに乗るときは注意しなければ、と自然に考えることができるのだ。
 © 文春オンライン ©iStock.com
 なんでも国、お上の指示に従っていればよかった「考えない」日本人。コロナだってこれだけの情報が得られたのだから、そろそろ自分で判断してマスクをはずす、はずさないを決めればよいのではないか。みんなが同じ行動をいつまでも続けていることに日本の未来はないのだ。
 (牧野 知弘)」
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