🥓20〉─3─「見えない」女性のひきこもり。根っこに「毒親」「親ガチャ失敗」による生きづらさ。~No.89 

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 現代日本団塊の世代団塊ジュニアを中心とした男社会で、女性や若年層などの社会的弱者を犠牲にして衰退して行く社会である。
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 2022年11月6日11:30 YAHOO!JAPANニュース AERA dot.「「見えない」女性のひきこもり 根っこに「毒親」「親ガチャ失敗」による生きづらさ〈AERA
 19歳の頃からひきこもるショウコさん(30代)。ひきこもるようになったのは、生きづらさを感じたから。今も、人と関わって裏切られる怖さがあるという(写真:ショウコさん提供)
 「家事手伝い」や「専業主婦」という言葉で、見えない存在とされてきた「女性のひきこもり」。死にたい、将来が不安……。様々な生きづらさを抱える女性たち。ひきこもる原因の一つに、「親との関係」も見えてきた。親はどうすればいいのか。AERA 2022年11月7日号の記事を紹介する。
【図】女性の生きづらさの理由はこちら
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 今年6月、人口約70万人の東京都江戸川区が独自に行ったひきこもり調査が注目を集めた。
 昨年7月から今年2月にかけ、約18万世帯を対象とした調査で、7919人がひきこもり状態にあると判明した。年齢別では40歳代が最多の1196人、次いで50歳代が1155人、30歳代が968人と働き盛りが多い。ひきこもりの期間は1~3年未満が28.7%と最多で、次いで10年以上が25.7%となっている。そして、男女別では女性が3684人(51.4%)と、男性の3461人(48.3%)より多いことがわかったのだ。
 ひきこもり経験者らでつくる一般社団法人「ひきこもりUX会議」共同代表理事の恩田夏絵さん(36)は、女性のひきこもりは、女性が長年置かれた立場が影響して、より可視化されにくかったのではないかと話す。
 「日本では『家事手伝い』や『専業主婦』という言葉で、女性は家にいるものだという社会通念がありました。そのため生きづらさを感じて家にいても、『見えない存在』であり、『ひきこもりではない』とされてきたのだと思います」
 同会議では、ひきこもる女性等の居場所として女性限定の「女子会」を2016年6月から開始し、今年9月までに全国で170回以上開き参加者は延べ4700人以上になった。恩田さんは、「女性には安心して話せる場が少ない」と指摘する。
■ひきこもりの根っこに「毒親」「親ガチャ失敗」
 「『見えない存在』として扱われていたこともあり、長らくひきこもり当事者は男性が多いと考えられてきました。当事者会などの集まりでも男性参加者が多くなることがほとんどです。また、DVやセクハラなどの被害を受け、男性に苦手意識を持っている女性も少なくありません。女性が安心して話せる場所が少ないのは、当事者が抱えている苦悩の一つだと思います」
 女性が抱える生きづらさは、様々だ。
 19歳のころから実家にひきこもる、関西地方に住むショウコさん(30代)は将来の不安について話す。
 「今は身のまわりのことを母親にしてもらっていますが、このまま両親が年をとったら私はどうなるのだろうと。将来のことを考えると、不安で死にたいと思う時があります」
 取材を進めると、ひきこもりの根っこに「親との関係」を抱えている女性が少なくないことがわかった。「毒親」「親ガチャ失敗」──。そう語る当事者の女性は何人もいた。
 首都圏に暮らす女性(20代)もそんな一人。中学生の頃から断続的にひきこもっている。きっかけは、幼少期の親からの精神的虐待にあった。
 小学生の時にいじめに遭い不登校になると、親は登校を強く促し、勉強ができないと責め立てた。中学になると自室にこもるようになった。最近は少しずつ外に出られるようになったが、こう話す。
 「親から自由になって、自分の人生を生きたいです」
 生きづらさを抱える人たちに、先の恩田さんはこう声をかける。
 「私にとって、自分のタイミングで動きはじめるということはとても重要でした。しんどくて仕方がない時は、まずは休むことに集中してほしいです。周りや社会から追い立てられるような言動やプレッシャーがあるかもしれませんが、しっかりと心や身体を休めながらエネルギーをためて、自分自身が一歩踏み出してみようと思うタイミングを待つことが大切かなと思います」
■親の自己満足の「よかれ」が子どもの生きる力を奪う
 自身も母親との関係でひきこもり経験のある、ひきこもりUX会議共同代表理事の林恭子さん(56)は、生きづらさの背景には「親のエゴ」も大きく影響していると指摘する。
 「勉強にしろ、習い事にしろ、しつけにしろ、どの親も恐らく子どものために『よかれ』と思いやっています。しかし、それは、親が自分の価値観を子どもに押しつけているだけかもしれない。子どもにすれば、存在を否定されていると感じるかもしれません」
 同会議が19年に実施した「ひきこもり・生きづらさについての実態調査」では、生きづらさの理由に「母親との関係」と回答した女性は51.8%、「父親との関係」と答えた人も44.9%いて、半数近くが親との関係から生きづらさを感じていると答えた。
 特に母親と娘では、互いの距離の近さが問題になる。林さんの場合「私の言うことを聞いていれば間違いない」が母親の口癖で、それに口答えするなど考えたこともなかったという。林さんは言う。
 「親が絶対的な存在である子どもは、親の期待に応えようと一生懸命がんばります。しかし、無理を重ねた結果、心が壊れひきこもる人は少なくありません」
 親のコントロール下にいた子どもは、自分の意志で行動した経験がないため、自分が何をしたいのか何が好きなのかを考えたことがない。ひきこもっていた人の自己肯定感が低いことの理由のひとつにもなる。林さんは、「親に気づいてほしい」と話す。
 「子どもはどんなに小さくても人格がある一人の人間です。それを最大限に尊重し、むやみやたらに土足で踏み込むのは、たとえ親であってもしてはいけない。親は子どものために『よかれ』という言葉が頭をよぎったら、立ち止まってほしい。その『よかれ』が本当に子どものためか、自分の満足のためではないかと考えてください。気づけば、接し方も変わると思います」
 ひきこもり当事者とその家族でつくるNPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」理事の池上正樹さん(60)は、まず親が動き出すための支援が重要だと説く。
 「親も時代とともに生きてきて、成功体験や自信に裏打ちされた価値観を子どもに向けているのだと思います。その意味では、ひきこもりは時代がつくり出したものとも言えなくはありません。しかし、親が若かった頃は経済も右肩上がりで頑張れば報われる時代でしたが、今はそうではありません。親はよかれと思い言っていることも、子どもにとっては強要となり、生きる力を奪うことになっています」
 かといって、親もこれまで築いてきた自身の価値観を変えるのは難しい。池上さんは、疲弊している親への当事者家族が集まる「家族会」や講演会などに足を運べる支援づくりが必要と言う。同連合会のホームページでは、全国にある家族会の情報を掲載している。
 「認識が違っても、親御さんは子どもの潜在力を信じて見守ってほしいと思います。新しい時代の中で、お子さんたちは生きようとしていることを親御さんが受け入れ理解していくことが大事です。そして子どもには、感謝の言葉をかけてほしい。洗濯物を取り入れてくれたり、花に水をあげてくれたりした時は『ありがとう』と。返事はないかもしれませんが、ちゃんと届いています」(池上さん)
 (編集部・野村昌二)
 ※AERA 2022年11月7日号より抜粋」
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