🌁9〉─3・B─日本企業は目先の事ばかり見て、本末転倒を日本各地で行っている。~No.28 ⑤ 

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 現代の日本企業には、斬新的リノベーションも破壊的イノベーションもできない。
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 2023年9月30日 YAHOO!JAPANニュース Forbes JAPAN「目先のことばかり見ていないか? 日本各地で起こる「本末転倒」
 二条城 二の丸御殿 台所・御清所でのアーティスト高木由利子の展示(Photo by Kenryou Gu)
 日本の企業が世界に出るとき足りないものは何か? そのひとつがコミュニケーション、つまり伝える内容や伝え方だとしたら、どうすれば乗り越えていけるのか?
 未開拓の日本の可能性を世界と繋ぐことをミッションとするKitchen & Companyの代表・中道大輔がナビゲートするPodcastVISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。
 Vol.53配信のゲストはKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 共同ディレクター 仲西祐介。KYOTOGRAPHIEのミッションは、まだ光があたっていない才能あるアーティストの情報を世界に発信すること。仲西が目指すのは、本当に良いものが認められ、本当に必要な情報が得られる世界だ。
 中道:今回はKYOTOGRAPHIE共同代表の仲西祐介さんをお迎えしています。仲西さんは1968年福岡県生まれで、現在は京都在住。ミュージックビデオ、映画、舞台、コンサート、ファッションショー、インテリアなど、さまざまなフィールドで照明演出を手がける照明家です。
 2013年に写真家のルシール・レイボーズさんとKYOTOGRAPHIEを立ち上げ、ディレクションを担当。2022年には下鴨神社で行われたヴァン クリーフ&アーペルのエキシビション"LIGHT OF FLOWERS 花と光”のクリエイティブディレクターを手がけられています。
 そして2023年のKYOTOGRAPHIE京都国際写真祭では、ルシールさんとともに、ボーダレスミュージックフェスティバル「KYOTOPHONIE」という新しい挑戦をスタート。まず、照明家の仲西さんが写真祭を始めるところまでを紐解いていければと思います。
 仲西:最初はテレビの演出をしていたのですが、視聴率がどんどん重視されるようになり、そのなかでものづくりをすることに疲れてしまって。そのタイミングで阪神大震災を経験して、そういうことがバカバカしくなり、仕事を辞めて世界中を旅することにしました。
 次は何をやろうかと考えていたところに、たまたま照明が足りないということで声をかけられて。照明は初めてでしたがやってみるとだんだんできるようになったんです。食べるためにコマーシャルの照明をしながら、自主制作映画や舞台など、アンダーグラウンドなカルチャーの照明をやっていました。
 コマーシャルとアンダーグラウンドという、ふり幅のある中に身を置いているなかで、本当に才能のある人が認められずに、企業とうまく付き合える世渡り上手な人が認められていることに矛盾を感じるようになりました。
 そんなときに、今度は東日本大震災が起きたんです。これで大きな価値の変換が起きて、本当に良いものが認められる世界になるのではないかと期待したのですが、意外とそういう変換は起きなくて。それでもう自分たちが才能ある人たちに光を与えるような変換を起こすしかないと。
 さらに福島原発事故が起きて。海外メディアがいち早く放射能の危険性を報じているのに、日本のメディアは報道するのがちょっと遅かったことに衝撃を受けて。ああ、人の命より企業の立場を優先するのかと。そういう忖度をするメディアしかないのは本当に危ない。
 国とか企業とか個人のへだたりなく、みんなに関わる問題をオープンに話せる新しいメディアを作らないといけない。世界共通のいろいろな問題をみんなで考えていくようなメディアにしたいと思って、アートフェスティバルを立ち上げました。
 東京以外の場所で
 中道:僕は東日本大震災のときにBBCを見ていたので、放射能の件を日本のメディアが取り上げないことを「あれ?」と思いました。企業の立場を優先して、報道しなければならない本質の部分が抜けるのは、さきほどの視聴率の話にも通じますよね。
 ですが、アートフェスティバルをやろうと思っても、そんなに簡単にできるものではないですよね?
 仲西:まず、震災で仕事が全部飛んでしまって、どうやって生きていくのかという状況になったんです。写真家のルシールとは震災前に友人を介して知り合っていました。彼女からフランスの古本屋で見つけた日本の怪談や妖怪の話を写真作品として表現したいと相談されたのです。その時、僕もたまたま小泉八雲の怪談を読んでいたので、やろうと進めようとしたら、東日本大震災が起きました。
 怪談というのは人間が自然に対するリスペクトを失った時にくるしっぺ返しのお話がほとんどだったので、これは何かのメッセージだと感じて。それで作品に仕上げてパリで展示しました。2011年の6月だったと思います。
 ちょうどその時、南フランスのアルルで、世界で最も古くて大きな国際写真祭が開催されたのでオープニングに行ってみたんです。世界中から写真関係者やアート関係者やメディアが集まって情報交換していたのですが、日本人はほとんどいませんでした。震災直後ということもあったかもしれません。僕もいろいろな人から日本の写真家やアーティストについて聞かれました。
 海外の人たちはこんなに日本の情報を欲しがっているのかと思い、帰国していろいろな人に写真祭をした方がいいと言ってみたんです。だけど、フェスティバルは儲からないので、なかなかやる人がいない。でも必要なのだから、ルシールとやってしまおうと。震災で東京一極集中はダメだと感じたので、東京以外の場所でやろうと考えました。
 中道:それで京都で立ち上げられた。京都は外の人間にあまり門戸を開かないという話をよく聞きますけど、実際どうでしたか?
 仲西:京都の人はダイレクトに「ノー」と言わないので最初は受け入れられていると思っていたんですけど、全然そうじゃなくて。京都には独自のルールがありますが、それも教えてもらえない。自分で気づいて理解していくしかない。だんだんわかってきたのは、京都の人たちは長い歴史の中で代々受け継いできたものを守っていくために本当に良いものしか受け入れないということです。
 だけどここ数年、特に東京オリンピックあたりから、古き良きものがすごいスピードで失われています。特に最近は観光客の要望に応えることばかり考えている。自分たちの文化を守っていくことがツーリストを満足させるわけで、ツーリストを満足させるために何かをやるのは本末転倒だと思うんですよね。
 見る人の「意識」を変えたい
 中道:それは日本全体に言えることだと思います。ツーリストが求めているのは、彼らのために用意されたものではない。
 仲西:そこがずれていますよね。一時的な経済効果を狙ったようなことが主流になっていて、目の前のことしか見ていない。それは本当に日本の問題だと思います。
 中道:目先のことに合わせてばかりいて、本当の日本の良さがどんどんなくなり始めていることにものすごい危機感を持っています。
 さて、KYOTOGRAPIEは今年の春に11回目が終わりましたが、これまでにどんな進化がありますか。
 仲西:まだそんなに名前が売れていない日本のアーティストが海外で注目されて、出版が決まったり、展覧会が決まったり、作品が売れたりということが起きています。本当にやってよかったなと思っています。また、社会問題や環境問題など、日本のメディアがなかなか流さないような問題をあえて取り上げています。展示を見た人たちの意識を少しでも変化させることができていればいいのですが。
 中道:スタートした時の大きなミッションがある程度形になっている感じですね。KYOTOGRAPIEは町全体を使った表現の仕方がユニークですよね。
 仲西:京都は建てものが古いですし、襖や障子が多く壁も砂壁なので、そういったものを傷つけずに作品を展示するのがすごく大変です。だけどそういうものを生かした新しい展示方法を模索したことで、KYOTOGRAPIEのオリジナリティが生まれました。アートは美術館やギャラリーで見るもので、わかる人にしかわからない敷居が高いものだと思っている日本人が多いので、既存の建物に展示すればアートが民主化されるんじゃないかと思っています。
 中道:京都では代々受け継がれている美術品やコレクションが家の中に置いてあって、歴史も風習もみんなセットになっていて、意識していなくても展示されているように見える。日本はそういうものを持っているんですよね。
 仲西:そうです。でもその宝に気づいていないんです。
 Forbes JAPAN 編集部
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