🌁31〉─2─「年金すらもらえない…」老後破産から逃れられない貧しい就職氷河期世代。~No.135 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 2024年1月13日 YAHOO!JAPANニュース THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)「就職氷河期世代の暗黒「年金すらもらえない…」老後破産の現実味
 長らく不況に苦しめられてきた日本社会。アベノミクスによる景気回復の恩恵をまったく感じられないままコロナ禍を経て、厳しい生活を強いられ続けている人々がいます。
 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
 就職氷河期世代、39万人が「正規で働きたいのに…」
 厚生労働省HP『就職氷河期世代活躍支援プラン』によると、「就職氷河期世代」とは、1990年代から2000年代の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代のことを指します。
 1980年代まで、日本は好景気でした。しかし1990年代に入って間もなく、株価・地価が暴落し、バブル崩壊。企業は人件費の節約・削減のため、一気にその門戸を閉めます。何百社と面接を受けてもなお採用されず、非正規雇用を余儀なくされた若者が相次いだのです。
 非正規雇用者が増えた過程について、厚生労働省『労働白書』には次のように記されています。
 “1987~93年の雇用拡大期の状況をみると、大企業ほど雇用増加率が高まり、特に、正規雇用の増加寄与が大きかった。この時期には、大企業による同時一斉的な新規学卒採用の増加がみられ、中小企業の採用活動に支障を与えた可能性もあり、また、この過程で、中小企業における人材確保手段として非正規雇用が定着した面があったと思われる。
 バブル崩壊後は、1993年以降、大企業で入職抑制がなされ、正規雇用は減少寄与を示したが、1993~97年の間は、1~29人規模、30~499人規模では正規雇用者の増加がみられた。しかし、1997年以降は全ての企業規模で正規雇用者は減少し、大企業ほどその減少寄与は大きかった。雇用は非正規雇用で増加し、非正規雇用比率の上昇も大企業を中心に高まることとなった。”
 現在では都合に合わせて「あえて非正規」の選択肢をとる方も多くいます。しかし内閣官房 就職氷河期世代支援推進室の資料『就職氷河期世代の就業等の動向』によると、2022年時点で「不本意正規雇用労働者」は39万人いるということです。
■「日々の生活が不安」…追い打ちをかける「老後破綻の現実味」
 非正規雇用かつ、何らかの理由で短時間労働だったり、勤務先の雇用条件が整っていなかったりする場合、就労していても厚生年金に加入できないことがあります。
 就職氷河期世代の年金問題は、正規社員になれず、厚生年金に加入していなかった期間が長いことだけに留まりません。当時、「年金制度は破綻している。どうせ自分たちの時代にはもらえないのだから、払うだけ損だ」という考えが若いフリーターを中心に流行、実際に国民年金を支払っていなかった層も一定数いたのです。
 厚生労働省年金局が発表した『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、年金の平均受給状況は下記のとおりです。
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●令和4年度末現在における厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給する老齢基礎年金の額を含めて、老齢年金が14万5千円、通算老齢年金・25年未満が6万4千円となっている。
国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は、令和4年度末現在で5万6千円、令和3年度新規裁定者で5万4千円となっている。
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 年金受給額は、現役時代に年金保険料を「しっかり払っていたかどうか」に直結します。様々な原因・理由があれど、指定された金額を納めていないまま老後を迎えると、老後破産をはじめ、かなり厳しい生活を余儀なくされることは間違いありません。
労働年齢の「延長」は救済となるか
 支える側が「支えられる側」になる未来。経済産業省は「老後も働く」という提案を以って、その構図を変えようとしています。
 “高齢者が支え手になれば、無理なく支えられる社会へ
65歳以上を「支えられる側」とすると、2017年に現役世代2.1人で1人の高齢者を支えることに。2065年には1.3人で1人の高齢者を支えることに。
 75歳以上を「支えられる側」とすると、2017年に現役世代5.1人で1人の高齢者を支えることに。2065年であっても、2.4人で1人を支えることが可能。”経済産業省『2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について』(平成30年)
 実際、高年齢者雇用安定法の改正によって、65歳から70歳までの就業機会を確保するための努力義務が新設されました。とはいえ実情を見れば、「嘱託社員になって給与半減」「そもそも会社が再雇用に積極的ではない」という声も聞かれます。
 国が働き続けることを推進している一方で、「働きたくても働けない」世代がいる現実。大きな歪みへの対応が求められています。
 THE GOLD ONLINE編集部
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 2024年1月13日 YAHOO!JAPANニュース THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)「どんどん貧しくなる日本国民…深刻な景気低迷を招いた、まじめな市井の人々の「まさかの行動パターン」【経済評論家が推察】
 平成バブル崩壊以降、日本経済は30年にわたって低迷を続けています。最近では株価上昇などの明るいニュースはあるものの、インフレの影響等もあり、一般庶民の生活はなかなか楽になりません。日本人は勤勉に一生懸命働いているのに、なぜこのような状況に陥ってしまったのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が推察します。
 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
 みんなが合理的に行動すると、みんなが損する残念な結果に…
 劇場で火災が起きたとき、観客個人にとって最も合理的な行動は、非常口に向かって突進することです。しかし、すべての観客が同じことをすると、非常口で押し合いになり、悲劇が生じます。そこで劇場支配人は「走らないで、前の人の後ろをゆっくり進んで下さい」などとアナウンスするでしょうが、従う人ばかりではないでしょう。なんといっても、各自が合理的に行動しているわけですから。
 このように、ひとりひとりにとって合理的な行動であっても、みんなが同じことをするとみんなが酷い目に遭う、というケースは少なくありません。昭和時代に「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というギャグがありましたが、「みんなで渡ると余計危ない」というわけですね。むずかしい言葉ですが、これを「合成の誤謬(ごびゅう)」と呼んでいます。
 株の世界では、株価暴落の噂が流れるとみんなが一斉に株を売るので、実際に暴落しかねません。そうなると、投資家全員が損をするわけですが、それが解っていても「売り注文を出さない」という選択肢は選ばれないわけです。
 銀行が倒産しそうだ、という噂が流れると、みんなが一斉に預金を引き出すので、本当に銀行が倒産してしまうかもしれません。銀行の「取り付け騒ぎ」です。噂が誤りであっても、みんなが引き出すことで噂が現実のものとなり、多くの預金者が損をするという可能性もあるわけです。日本では預金保険制度があるので庶民は心配無用ですが。
 合成の誤謬のむずかしいところは、事が起きてみないと人々はリスクに気がつかない、というところにあります。火事が起きる前に非常口の少なさを懸念する観客は少ないでしょうし、取り付け騒ぎが起きる前に「取り付け騒ぎで銀行が倒産する可能性」を懸念する預金者も少ないでしょう。
 日本経済、バブル崩壊後の長期低迷は「合成の誤謬」が原因!?
 個人にとって、豊かになるための合理的な行動は、勤勉に働いて大いに稼ぎ、節約に努めることです。しかし、全員が同じことをすると全員が貧しくなりかねません。
 全員が勤勉に働くと、多くの物(財およびサービス、以下同様)が生産されますが、全員が節約に努めると少ない物しか売れないので、売れ残りが生じます。そうなると経営者は従業員を解雇しますから、失業した人は貧しくなってしまいます。
 問題は、解雇されなかった人も貧しくなる、ということです。経営者は従業員に賃下げを要求するでしょう。「賃金を下げる。嫌なら辞めていただいて結構。失業者たちは安い給料でも雇って欲しいと思っているのだから」というわけです。
 そうなると、従業員は「賃金は下がっても結構ですから、解雇はしないで下さい」と頼むことになります。結局、豊かになろうと頑張った全員が貧しくなってしまう、というわけです。
 じつは、バブル崩壊後に日本経済が長期にわたって低迷している原因が合成の誤謬なのではないか、と筆者は考えています。バブル頃までは「豊かに暮らしたい」と人々が考えていたため、大量に生産された物が順調に消費されて行きましたが、バブル崩壊後は人々が老後に備えて貯蓄に励むようになったので、物が売れ残るようになった、というわけです。
 バブル崩壊後の不良債権処理、大蔵省がお目こぼししたワケ
 バブルが崩壊したとき、銀行は巨額の不良債権を抱え込みました。借金で不動産を買ったけれども返済できない、という借り手が多数発生したからです。しかし、銀行はそれを不良債権と認識せず「返済を待ってあげるから頑張って」というだけだったのです。
 不良債権が発生しているのに見ないフリをしているのは、ある意味粉飾決算でしょう。もう時効だから書いてもいいと思います(笑)。さらにいえば、借金が返せないとわかっている借り手からは、担保の土地をとりあげて競売すべきでしょう。
 しかし、そんなことをしたら、銀行の決算が大赤字になり、不安になった預金者たちが一斉に預金を引き出して多くの銀行が倒産したかもしれません。あるいは、日本中の主な土地が競売に出されて、買い手がつかずに不動産価格が暴落して多くの銀行が破産したかもしれません。
 識者たちのなかには「銀行は粉飾決算をやめて、担保を処分せよ」と主張していた人も大勢いました。彼らは合成の誤謬に気づいていなかったのかもしれません。あるいは、気づいていても「正しいことは正しいので、その結果として悲惨なことが起きるとしても実行すべきだ」と考えていたのかもしれません。「正しいこと」と「よい結果を生むこと」が両立しない場合、どうすべきか、むずかしい価値判断の問題ですね。
 さて、当時の銀行には大蔵省が定期的に検査に入っていました。いまの金融庁検査です。彼らはプロですから、容易に銀行の粉飾決算に気づいたはずなのですが、少数の極端な事例を除いては「お目こぼし」をしていたようです。
 これを「監督官庁と業界の癒着だ」と批判している人もいるようですが、筆者は大蔵省を高く評価しているので、もっと高度な政治的判断があったのだろう、と推測しています。
 「大蔵省検査で厳しく粉飾決算を指摘すれば、銀行の倒産が相次いで日本経済が大混乱するだろう。そんなことはできないから、ここは許容範囲ギリギリまで大目に見ることにしよう」という判断です。
 これは、筆者の想像であって、当時の大蔵省の幹部に確かめたわけではありません。確かめたとして、もしも筆者の想像が正しければ、聞かれた人は答えに窮するでしょうから(笑)。
 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。
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 塚崎 公義
 経済評論家
 塚崎 公義
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