🚱22〉─2─人口激減で乗客が減り鉄道事業は大丈夫か。ローカル線のヤバすぎる赤字額。~No.92No.93 

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 2024年4月26日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「日本の鉄道事業は大丈夫か…2040年頃に「通勤・通学定期券客が2割減」の大きな衝撃
 国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。
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 ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。
 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。
 2040年頃、通勤・通学定期券客が2割減
 2022年は、鉄道開業150年の節目の年であった。新橋―横浜間29キロを蒸気機関車が初めて走ったのは1872年10月14日のことだ。以来、鉄道は日本経済および日本人の暮らしの向上に大きく寄与してきたが、人口減少は鉄道事業を開業以来最大の危機に追い詰めつつある。
 東京圏や大阪圏を走る通勤路線も決して安泰ではない。大都市圏も人口が減少局面に転じ始めている。東京都総務局統計部の推計によれば、東京都の人口も2025年に1422万5363人でピークを迎える。運賃収入の永続的な減少は避けられそうにない。
 少子化の加速で若い世代ほど減り方が速いことを考えれば、影響が真っ先に表れるのは子供向け運賃収入や通学定期券収入となる。
 通学定期券客の該当世代がどれくらい減るかは、年齢別人口を比較すれば概(おおむ)ね見通せる。東京都で見てみよう。
 都総務局統計部の「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」(2022年1月1日現在)によれば、高校生や大学生の大半が該当する15~24歳は129万6818人だ。これに対し、「15年後の15~24歳」にあたる0~9歳は105万377人なので19.0%少ない。
 この年齢層の人々がすべて電車通学となるわけではないが、単純に考えれば15年後の通学定期券客は現在より約2割少ない水準となるということだ。
 運賃収入の主柱である通勤定期券客の減少幅も大きい。
 総務省の人口推計(2021年10月1日現在)によれば、勤労世代である20~64歳は6892万4000人だ。0~44歳は5508万9000人なので「20年後の勤労世代」も現在より2割減る。
 むろん全員が大都市圏の通勤定期券客とはならないが、人々の行動パターンがこれまでと大きく変化しなければ2040年には通学定期券客と同じく2割近くは減ることになる。
オフィスの空室率がいまだ高水準
 これにコロナ禍の爪痕が加わる。コロナ禍による鉄道利用者の落ち込みは一時的なものだ。2022年になって「WITHコロナ」が定着してきたこともありかなりの回復傾向が見られる。とはいえ、コロナ禍前の水準に完全に戻ったわけでもない。
 通勤・通学時間帯の混み具合を調べた国交省の「都市鉄道の混雑率調査」によれば、2021年度は東京圏108%、大阪圏104%、名古屋圏110%である。コロナ禍前の2019年にはそれぞれ163%、126%、132%だったことを考えれば、通勤・通学客の回復の道のりは平坦とはいかなそうだ。鉄道会社の経営が受けた傷は思いのほか深い。
 利用客が完全回復しない理由の1つは、テレワークの定着だ。「出社型」に戻す企業もあるが、オフィスの空室率は高水準で、すべてが元通りとはいきそうにない。オフィスビル仲介大手の三鬼商事によれば、東京都心5区(千代田区中央区、港区、新宿区、渋谷区)の2022年10月の平均空室率は6.44%と高止まりしている。「空室率5%」がオフィスの供給過剰の目安とされるが、はるかに上回る数値で推移している。
 爪痕はこれだけではない。通勤・通学定期券客と並ぶ主要な収益源である新幹線や長距離特急電車のビジネス利用者が本格回復しそうにないことだ。出張利用が、コロナ禍とは関係なく減っていきそうなのである。
 コロナ禍が長期化するうちに、わざわざ社員を遠方まで出張させなくとも、オンライン会議で大半は事足りることが広く知れ渡ったためだ。オンライン会議にすれば、出張費の抑制効果が大きいだけではなく、従業員が往復に費やしていた移動時間を他の仕事に振り向けさせることも可能だ。人手不足対策ともなり、企業にとってはダブルのメリットがある。
 一方、出張利用の手控えは鉄道会社にとっては運賃収入の減少を招くだけでなく、直営ホテルや長距離バス、タクシーなどの利用率も下げるだけに深刻だ。
 河合 雅司(作家・ジャーナリスト)
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 4月27日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「知ったら全員驚く…「日本のローカル線」のヤバすぎる赤字額
 河合 雅司
 知ったら全員驚く…「日本のローカル線」のヤバすぎる赤字額
 © 現代ビジネス 提供
 国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。
 ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。
 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。
 ローカル線への大打撃
 人口減少が鉄道会社の経営に与える影響としては、ローカル線の赤字も大きな課題だ。2022年7月に国交省有識者会議がまとめた提言をきっかけとして、廃止に向けた気運が一気に高まっている。
 国鉄分割民営化以来の大きな節目を迎えているということだが、国鉄民営化当時は人口が増えていた。大都市圏までが人口減少に悩む現在とでは環境があまりに違い過ぎる。
 かつてローカル線が赤字を積み重ねてきた大きな要因は、道路が整備されたことに伴うマイカーの普及であった。鉄道利用者の減少に伴って運行本数が減り、運賃が値上げされて使い勝手が悪くなるとさらに利用者が減っていくという悪循環であった。だが、いまは鉄道利用者、マイカー利用者を問わず地域人口全体が減っているのである。
 国交省有識者会議の提言の内容は、輸送密度(1キロメートルあたりの1日平均利用者数)が1000人未満かつピーク時の乗客数が1時間あたり500人未満である場合などを目安として沿線自治体と鉄道会社に国も加えた協議会を設置して3年以内に結論を出すよう求めるものだ。特段、難しいことを言っているわけではない。
 むしろ世間を驚かせたのは、提言に合わせる形でJR西日本JR東日本が公表した区間ごとの赤字額だった。苦境ぶりを伝えるに十分だったからだ。
 49億900万円の赤字区間
 JR西日本は17路線30区間で248億円(2017~2019年度の平均)、JR東日本は35路線66区間で693億円(2019年度)の赤字額だ。
 JR東日本の場合、赤字が最大だったのは羽越本線村上駅鶴岡駅間の49億900万円だ。100円の運賃収入を得るためにいくら費用を要するかを示す「営業係数」では久留里線久留里駅上総亀山駅間が1万5546円もかかっていた。民間企業が抱え込む負担としては巨大すぎる。
 両社はこれまで大都市圏の通勤路線や新幹線が稼ぎ出す利益を「内部補助」として回すことで、何とかローカル線を存続させてきた。
 しかしながら、都市部でも人口減少が待ち受けるだけでなく、コロナ禍によるテレワークの普及で通勤客や出張ニーズの縮小が加わったことで、採算を度外視した大盤振る舞いをこれ以上続けられなくなったというのが本音である。
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