🚱24〉─1─魚介類の和食文化消滅の危機。モダンな機能的効率的築地と面白みのない不便な工場建築・豊洲。築地。~No.98No.99No.100 @ 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 政治家や官僚そして学者など高学歴な知的エリート層に、日本民族文化・伝統文化への理解そして愛着心を持たない者が増えている。
 日本の世界常識によるグローバル化によって、日本常識のローカルが減少し滅びようとしている。
 それが、外国人移民促進と皇族減少である。
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 2015年3月10日 日経新聞築地市場(場内)において、15年5月の調査による推定生息数で、500匹のネズミがいる」
 別の試算では、5,000匹から8,000匹のネズミが住み着き、ゴキブリの数は想像もつかないとされている。
 空には、無数のハトやカモメが飛ぶ回り、その糞が大量に落ちていて、衛生面で問題があると懸念されている。
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 2017年6月3日号 週刊現代「アースダイバー 中沢新一
 築地市場
 第22回 築地─新しい魚河岸文化(5)」
 ふたたび移転問題が
 築地市場は銀座に近い絶好のロケーションにあって、大きすぎず小さすぎもしない最適な規模を持ち、外国人旅行客からも熱いエールを送られている、まさに世界一の魚市場である。
 それがいつの頃からか、修理や改修のための予算を計上されないままの状態が続いて、すっかり老朽化が進んでしまった。竣工当時はあんなに若々しく美しかった築地本場(ほんじょう)の建物も、いまではすっかり老人だ。
 こういう場合、最近の世界的傾向としては、リノヴェーションの改修工事をおこなって、近代建築のすぐれた遺産として、現代に蘇らせるという方法がとられる。じっさいに東京駅などはそのやり方で、立派によみがえった。ところが築地市場に関しては、現地において再整備するという意見が退けられ、東京湾に浮かぶ人工島の豊洲へ移転することが、決定されてしまった。しかもそこは、ガス会社が最近まで操業を続けていた土地である。
 私たちは、築地市場がいかにすぐれた魚市場であるかを、アースダイバーの視点で詳しく見てきた。そこでは巨大な『中間機構』が働き続けている。産地から卸売によって市場に運び込まれた魚介類を荷分けしたり、競りにかけたて適正な価格をつけ、漁体をさばき、下ごしらえしたうえで、買出人に売り渡す。入力と出力の間に差し挟まれたこの中間機構が、築地市場では他に類例がないほど、発達している。
 物流は中間機構に委ねられている間ストップするが、そのあいだに品物には豊かな価値づけが付け加えられる。『魚河岸の伝統』と言われているものは、じつはこの中間機構のことをさしている。その伝統は、日本橋魚河岸で生まれ、成長をとげて、築地市場にまで持ち込まれた。日本橋から築地への移転にさいして、この中間機構の担い手である『仲卸』という存在が、まったく無傷だったあらである。
 築地への移転のさいに、仲卸の人数はいっこうに減らなかったし、伝統の職人技もまちがいなく次世代に伝えられた。仕事場は超モダンな建築の中に移ったが、このモダン建築が中間機構=仲卸の仕事を、いっそう充実したものに改良した。モダンを取り入れつつ、伝統も生き延びた。日本橋魚河岸から築地市場への移転は、それゆえ大成功だった。
 たれこめる暗雲
 ではいま目論まれている移転の場合はどうだろう。残念ながら、うまくいきそうな見込みははとんどない。いちばん大きな理由は、豊洲新市場が仲卸の仕事場にふさわしくつくられていないからである。
 新市場の予定地になっているガス工場の跡地には、環状2号線と315号線が直交している。このため市場となるべき敷地は四分割されることになり、築地市場にあるような卸売と仲卸のそれぞれの空間を、スムーズな動線で結ぶ通路をつくることができない。
 仲卸棟は5階建の建物にある。水産仲卸の仕事場は1階の部分で、買出部が3階と4階にあり駐車場が付属している。卸売棟から仲卸棟までは、外周道路によらなければたどり着けない。そこで荷受した荷物を、トラックなどで離れた仲卸棟に運び込む。
 仲卸棟1階で荷分けされた荷はターレに乗せられ、3階4階の買出人のもとに運ばれるのだが、このときターレは、建物の外につくられたループ状の渡り廊下を、登っていかなければならない。築地市場内を自在に動き回ったターレも、狭い渡り廊下の中で一方向に流れていくしかなく、なんとも窮屈である。
 豊洲新市場の『使い勝手の悪さ』は、こと仲卸の仕事現場に集中しているように感じられる。そこは市場におけるもっとも重要な中間機構が活動している場所である。仲卸の仕事場である中間機構は、通常の合理性を超える。超合理的なアルゴリズムで動いている。現代の短期スパンな合理的思考には、それを理解するのがきわめてむずかしい。
 豊洲新市場を建設した現代の技術者たちは、どうやら中間機構の意味や機能を理解できていなかったらしく、むしろ積極的に、中間機構の働きを壊す方向に、図面を引いてしまっている。そこに高い施設使用料金の問題が重なる。さまざまな意味で、豊洲新市場の建物は、市場を殺すというよりも、仲卸の世界を滅ぼす効果を発揮するにちがいない。
 未来の市場、築地
 したがって、豊洲新市場への移転を強行すると、魚市場から中間機構は排除されて、それを担ってきた仲卸という存在も除かれていくだろう。それによって、これまで生き抜いてきた食文化の伝統も味覚の文化も、確実に死んでいくことになる。魚市場の伝統と文化の真の貯蔵庫は、ほかならぬ仲卸の世界せあったからである。
 それゆえもっとも賢明な選択は、築地の現在地に留まって、老朽化した市場の建物を改修し、再整備することによって、築地市場を未来に向けて再生させていくことである。資本主義の未来の姿を考えても、それがいちばん正しい道である。
 IT化、金融化、グローバル化がいまよりさらに進んでいくと、世界中からあらゆるタイプの中間機構が消されていくことになる。お金は国境や民族を超える。国や民族は、そういう貨幣的な世界では、不要な中間機構となっていく。あらゆる商品がコモディティとなり、それらしくつくられたフェイクがあふれる。食の文化も均質化して、どんな料理でも手軽に食べられる反面、ほんものには出合えなくなる。
 そういう時代に、築地市場がクローズアップされてくる。世界の質の高い消費者が求めることになるのは、中間機構を保存して内部にセットしてある、築地市場のような存在だからだ。未来の消費者はすぐれた中間機構が提供してくれる、ほんものの味覚を切実に求めるにちがいない。食はこの世への愛の表明であるから、どんな時代にあっても、人間はそういう愛に充満した、築地市場のような空間を求めるからである」
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 日本各地で、心癒やされる自然風土はおろか、古き良き伝統文化や外国人に絶賛される街並みや家屋が破壊され続けている。
 日本では、グローバル化という欧米化が加速度的な進み、ローカル的な日本風が急速に消滅している。
 より多くの利益・金をもたらす効率の良い欧米風が採用され、わずかな利益や金しかもたらさない非効率の日本風は時代遅れとして切り捨てられる。
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 「日本人は伝統や文化を大切にする」とは、「日本人は歴史が好きである」と同様に詭弁である。
 特に、高等教育を受けた知的エリートにはその傾向が甚だ強い。
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 利権・利益・カネに蟻の如く群がる日本人にとって、自分の得にもならない日本の伝統や文化など関心もなければ興味もなかった。
 世界基準のグローバルを目指す者は、日本基準のローカルに価値を見出さないどころか消滅させる汚物にすぎない。
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 人類史・大陸史・文明史とは、普遍的価値観を広めようとするグローバリズムによって、数多のローカルな民族文化が民族と共に消滅した歴史である。
 日本民族日本人の日本文明・日本文化は、西洋文明や中華文明のようなグローバルではなく、地域限定のローカルにすぎない。
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 日本民族・日本文明・日本文化は、消滅する定めにある。
 それを行うのは、日本人自身である。
 伝統・文化・宗教・食習慣が異なる外国人移民が急増すれば、日本風の滅びは加速度的に進む。
 外国人移民推進派は、その事を十分理解してたうえで外国人移民を受け入れようとしている。


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