🚱17〉─1─人口激減による百貨店の生き残り戦略としての統廃合。~No.66No.67No.68 @ 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2016年10月7日 読売新聞「セブンHD そごう・西武3店譲渡
 関西圏 阪急阪神と業務提携
 流通大手のセゾン&ホールディングス(HD)と、阪急阪神百貨店などを傘下に持つエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングは6日、資本業務提携すると発表した。セゾン&アイ傘下の百貨店、そごう・西武の関西の3店舗をH2Oに譲渡するほか、両者が株式を持ち合うことが柱だ。
 対象の店舗は、そごう神戸店(神戸市)、西武高槻店(大阪府高槻市)、そごう西神店(神戸市)。時期については1年以内をめどとしている。
 そごう・西武個人消費の低迷や消費者の『百貨店離れ』で苦戦が続いている。関西の店舗を手放し、今後は西武池袋本店(東京觥豊島区)、そごう横浜店(横浜市)など、首都圏の店舗に改装費用などを重点的に投じる考えだ。
 一方、両社は約57億円分の株式を持ち合う。セブン&アイはH2O株の3%、H2Oはセブン&アイ株0.1〜0.2程度を取得するとみられる。
 提携ではこのほか、大阪、京都など2府4県のセブン─イレブンで、H2Oのポイントサービスを導入したり、阪急阪神百貨店の商品を受け取れるようにしたりする。セブン&アイにとっては、関西で主力のコンビニエンスストア事業の強化を図る狙いがある。
 記者会見したセブン&アイの井坂隆一社長は『西日本ナンバー1の百貨店と組み、補完し合うことが理想と考えた』と述べた。
 H2Oは、関西を中心に百貨店や総合スーパーなどを展開しており、今回の提携で富裕層が多い神戸エリアなどでの事業を強化する。
 セブンHD 首都圏注力
 そごう・西武 3店撤退
 旗艦店 テコ入れ
 百貨店事業立て直し
 セブン&アイ・ホールディングスは、阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)と資本提携し、不振が続く百貨店事業の立て直しを急ぐ。百貨店業界は個人消費の低迷や訪日客の『爆買い』の沈静化で、業績悪化が鮮明になっており、今後、不採算店の閉鎖などが広がる可能性もある。
 ……
 少子高齢化や消費低迷・・・ 
 再編進む大手 
 少子高齢化個人消費の低迷を受けて、国内の百貨店大手は2000年代以降、経営統合資本提携などで再編を進めてきた。
 03年に経営統合した西武百貨店(当時)とそごう(当時)は、06年にセブン&アイが完全子会社化して傘下におさめた。08年には、当時の三越伊勢丹が統合して、業界最大手の三越伊勢丹ホールディングスが発足した。大丸松坂屋を傘下に持つJ・フロントリテイリング、高島屋エイチ・ツー・オーリテイリングも含め。百貨店業界は大手5グループに集約された。
 店舗閉鎖の動きも進み、1990年代には300店を超えるまで膨れあがった店舗数は、現在は約230店舗にまで減少している。それでも、『ユニクロ』などの衣料品専門店やインターネット通販が台頭し、消費者の買い物の選択肢が大きく広がる中、主力のアパレル衣料を中心に販売不振が続いている。
 流通業界に詳しい日本経済大学の西村尚純教授は『幅広い品ぞろえで客を集める従来の百貨店では、時代の変化に対応できない』と指摘する。」
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 10月7日08:34 産経ニュース「セブン最終益60%減 8月中間 流通2社とも不振
 イオンとセブン&アイ・ホールディングスの流通大手2社の平成28年8月中間連結決算が6日、出そろった。個人消費の低迷や総合スーパー(GMS)事業の不振で、イオンは7年ぶりに8月中間期で最終赤字に転落し、セブン&アイも最終減益だった。
 セブン&アイが6日発表した8月中間期の連結最終利益は、前年同期比60・4%減の334億円だった。不振のイトーヨーカ堂そごう・西武で不採算店舗の資産価値を引き下げたことなどにより、880億円の特別損失を計上したことが響いた。
 売上高は4・3%減の2兆8661億円、本業のもうけを示す営業利益は5・2%増の1814億円だった。また、29年2月期の連結業績予想も下方修正し、最終利益が期初予想より920億円減の800億円とした。
 一方、イオンもドラッグストアや金融事業は好調だったが、主力のGMS事業の不振が響き、8月中間期の最終損益は53億円の赤字(前年同期は21億円の黒字)に転落した。流通大手2社のGMS事業は、専門店やネット通販に顧客を奪われた。消費者の節約志向も強まり、構造改革は不可避だ。(黄金崎元)」
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 10月7日15:19 産経ニュースセブン株急落5%安、H2Oは3%高と明暗 東京株終値は5日ぶり反落39円安
 7日の東京株式市場は小幅反落した。日経平均株価終値は、前日比39円01銭安の1万6860円09銭。値下がりは5日ぶり。
 対ドル円相場は円安基調が強まっている。未明に104円台をつけ、その後は103円台後半で値動きしていたが、午後3時ごろには103円90銭台と再び円安に振れた。
 日経平均株価は終日軟調。3円安から78円安の間で値動きした。前日までの4日間で449円上げたことで、利益確定売りが出た。材料不足で大きな値動きはなかった。
 東証株価指数(TOPIX)の終値は、前日比3.32ポイント安の1350.61。
 前日経営改善策を発表したセブン&アイ・ホールディングスの株価は急落し、終値は前日比5.1%値下がりした。同社と資本業務提携を発表したエイチ・ツー・オー リテイリングは逆に3.0%の値上がり。」
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 10月7日17:42 産経ニュース「高島屋の木本社長「H2Oとの協力変わらず」 セブンとの提携後も 業績は下方修正
 高島屋の木本茂社長は7日、提携関係にあるエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングが6日にセブン&アイ・ホールディングスとも資本業務提携したことに関して、「H2Oとの資本業務提携の関係は変わらず、引き続き商品開発などで協力していく」と語った。同日都内で開いた決算会見で述べた。
 高島屋とH2Oは20年に経営統合を目指して提携し、相互に株式を10%ずつ持ち合った。その後、経営統合は断念し、持ち合う株式の比率も約5%ずつに引き下げたが、お歳暮などの商品を共同開発するといった提携関係は維持していた。
 木本社長は共同開発商品の売上高が、今年度は両社合計で前年度比3割増の70億円強になるとの見通しを示した上で、H2Oとの提携について「成果は出ている」と強調した。
 同日、高島屋は今期(29年2月期)の連結業績予想を下方修正し、売上高が前期比0・5%減の9250億円(従来予想は9530億円)、最終利益は16・1%減の200億円(同240億円)になる見通しだ、と発表した。
 株価低迷で宝飾などの高額品の売り上げがマイナスとなるほか、「節約志向が加速している」(木本社長)ため、衣料品の売り上げなどもさえない。円高傾向のため、円換算の海外売上高が目減りするのも響く。
 訪日外国人向けの売り上げはプラスを維持するものの、高額品から消耗品に売れ筋が移っていることから、1人あたりの単価は下落しているという。」
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 10月19日 産経ニュース「【ニュースの断面】爆買いしぼんだ国慶節 百貨店は原点回帰の店作りを
 国慶節商戦を展開した近鉄百貨店本店=9月28日、大阪市阿倍野区 
 中国の国慶節(建国記念日)に伴う大型連休で、大阪の主要百貨店も訪日客でにぎわった。ただ今春以降は、中国が外国で買った商品の輸入(持ち込み)に対する関税を引き上げたことや、円高が進んだことから、ピーク時の「爆買い」の勢いはない。訪日客のニーズや消費行動も大きく変化し、各店は次の一手を探っている。
 訪日客の免税売上高は、ブランド衣料や時計・宝飾品など高額品の販売でブレーキがかかった。昨年、大阪の主要百貨店では免税売上高が毎月のように前年を上回ったが、今年は前年割れが目立つ。
 百貨店関係者の中には「取扱件数は減っていない」と楽観的な見方もある。例えば化粧品は、美容部員がきめ細かくカウンセリングする日本の販売スタイルが受け、定番の人気商品になっている。
 ただ、先行きは不透明だ。
 日本の百貨店は高品質な商品を豊富に揃えて訪日客を獲得。各店はこぞって免税カウンターの増設、通訳スタッフの増員、決済システムの拡充などに取り組んできた。しかし品質や品ぞろえの差別化は飽和しつつあり、さらに集客力を高めるのは容易ではない。
 一方で関西国際空港から入国する訪日客数は高水準を保ち、小売業界には依然として追い風が吹く。今後は日本人客と同様に、地道なファン作りに努めてリピーターを確保することが重要だ。
 阪急阪神百貨店の荒木直也社長は訪日客について「高品質を求める顧客に、しっかりとした商品政策で応えていきたい」と話す。特需を過ぎた今、原点に戻った百貨店らしい店作りが問われている。(大島直之)」
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 11月21日 産経ニュース「【経済インサイド】老舗百貨店・三越伊勢丹が凋落の危機 「爆買い」頼みのツケ?成長の青写真描けず  
 インバウンド(訪日外国人)による「爆買い」終了で、老舗百貨店の三越伊勢丹ホールディングス(HD)が苦境に立たされている。衣料品や宝飾品の販売も振るわず、三越千葉店、三越多摩センター店の閉店に続き、地方4店の縮小を検討。ついに屋台骨の三越日本橋本店、三越銀座店、伊勢丹新宿本店の旗艦3店でも客離れを招いている。
 「今のビジネスモデルで良いとは思っていない」
 三越伊勢丹HDの大西洋社長は8日に都内で開いた9月中間の決算会見で、マイクを使っても、聞き取りにくいほど小さな声で力なく、こう語った。
 それもそのはずで、中間決算の発表の場にもかかわらず、この日は2018年度に目指していた営業利益500億円の中期経営計画目標を2年先送りすることを明らかにした。
 要因はいくつかある。一つは爆買いの終了だ。円高や中国政府による輸入品の関税引き上げで、高額品が売れなくなり、一人当たりの客単価が大きく下がってしまった。外国人向けの売り上げは前年同期比で約2割減った。
 さらに追い打ちをかけているのが国内の中間層がモノから体験型消費にシフトし、主力の衣料品が売れなくなってしまっていることだ。大西社長は「中間層の給料が上がらず、通信費や旅行などにお金が使われている」と説明した。消費者の志向の変化の速さに翻弄されているようだ。
 すでに来年3月に三越千葉店、三越多摩センター店を閉店することを決めているが、取り巻く環境は厳しく、さらなるリストラも検討している。この日の会見では伊勢丹松戸店(千葉県松戸市)と伊勢丹府中店(東京都府中市)、松山三越松山市)、広島三越広島市)の4店の売り場面積の縮小や他社との提携、業態転換の検討を明らかにした。
 各店舗の営業利益や債務超過、数年先のフリーキャッシュフローを同社が定めた評価基準に照らし合わせると、この4店が該当しているという。大西社長は「まだ検討段階で正式決定しておらず、閉店ありきではない」と述べ、17年秋から18年度中に結論を出す。
 これまで三越伊勢丹は08年の統合以降、リストラの対象となっていたのは三越の不採算店舗が中心で伊勢丹が閉店したのは吉祥寺店だけだった。ただ、今回は伊勢丹松戸店と府中店もリストラ対象となっている。
 一方、大西社長は会見の席で、管理ポストの削減も示唆した。統合後に管理ポストが増えており、人件費の増加が経営を大きく圧迫しているためだ。
 これまで三越伊勢丹は旧三越と旧伊勢丹で待遇格差があった。旧伊勢丹の賞与が旧三越より2倍以上高く、リストラは旧三越ばかりだった。そのため、「三越出身者の不満が高く、会社が一枚岩になれていなかった」(三越伊勢丹HD関係者)。
 ようやく今夏に賞与格差は解消されたが、管理ポストの削減で、旧三越の社員が割を食えば、新たな火種を残す可能性もある。現在の厳しい局面で、会社が一つにまとまらなければ、構造改革が遅れるリスクも抱える。
 さらに大西社長を悩ませるのが頼みの綱となる旗艦3店の売り上げの落ち込みだ。伊勢丹新宿本店の4〜9月期の売上高は前年同期比5.1%減、日本橋本店が4.2%減、銀座店が8.2%減と振るわない。
 婦人服や紳士服、宝飾品の落ち込みが大きく、中間層の百貨店離れが鮮明となっている。
 この傾向は三越伊勢丹だけでなく、業界全体の問題でもある。ただ、三越伊勢丹は売上高全体で百貨店事業が占める割合が85%と高く、他社よりも厳しい環境にあるのは確かだ。
 一方、大丸と松坂屋を運営するJ.フロントリテイリングは松坂屋銀座店跡に森ビル、住友商事と共同で「GINZA SIX」を来年4月に開業する。松坂屋の看板を掛けず、高級ブランドや体験型消費のテナントを誘致する。オフィスも入居させ、建物の収益の大半は賃貸収入が占める。
 J.フロントの山本良一社長は「これまで50年間で築き上げた成功体験やビジネスモデルが通用しない局面が増えてきた」と述べており、百貨店事業にこだわらず、不動産事業に活路を見いだそうとしている。
 高島屋も新宿の「タカシマヤタイムズスクエア」でニトリにスペースを貸し出す方針を打ち出すなど、不動産賃貸事業に舵を切り始めた。
 三越伊勢丹は老舗ゆえに守るべきものも多いのか、消費者のニーズの変化への対応で2社よりも出遅れ感がある。
 三越伊勢丹傘下の三越は1673年に開業した呉服店越後屋」を起源とし、1904年には「三越呉服店」として日本初の百貨店となった。老舗中の老舗で日本の百貨店の顔ともいえる存在だ。1886年開業の「伊勢屋丹治呉服店」を起源とする伊勢丹も歴史が古く、固定ファンは多い。
 ただ、今はインターネットが普及し、いつでもどこでも安くて良いものを手に入れられる時代に変わってしまった。消費者ニーズの変化は速く、対応が一歩遅れれば、老舗の三越伊勢丹であっても、さらに凋落(ちょうらく)の一途を辿(たど)る可能性さえある。
 大西社長は会見で「将来的には売上高を百貨店が60%、その他が40%の形にしないといけない」と述べたものの、新たなビジネスモデルの具体像を示せていない。
 三越伊勢丹は14年3月期の連結営業利益で過去最高を記録したが、爆買い頼みの側面が否めなかった。それだけに、その急速な失速はダメージが大きい。国内の消費動向の変化を踏まえた新たな成長の青写真を早急に描けるかが老舗百貨店の前途を大きく左右することになりそうだ。(黄金崎元)
三越伊勢丹ホールディングス
 平成20年4月に三越伊勢丹が株式を共同移転し、設立された業界最大手の百貨店グループ。三越伊勢丹をはじめ、地方百貨店も所有する。欧米やアジアでも店舗を展開している。平成28年3月期の連結売上高は1兆2872億円。




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