🌁27〉─4─無職、フリーター、非正規雇用の独身中年の中年破産。~No.111No.112No.113 @ 

老後破産:長寿という悪夢

老後破産:長寿という悪夢

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 老後破綻の悲惨は、今日の老人ではなく、1,000兆円以上の借金さらに増え続ける中で老人となる中高年層である。
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 老人リスクがあるのは、2015年現在の、65歳以上の老人ではなく、64歳から40歳までの中年である。
 下流老人として問題になるのも、今の老人ではなく中高年である。
 中高年こそが、最も危険であり、悲惨な老後を迎える可能性が高い。
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 2015年12月24日号 週刊新潮「急増の『中年フリーター』で空前の『老後破産』」
 少し前まで夢ある子育て世代だったはずの中年の間に、フリーターが激増している。滅入る話は、そこに止まらない。彼らが老後を迎えるとき、一斉に『老後破産』状態に陥って、生活保護費が今の何倍にも膨らみかねないという。日本を覆すような話なのだ。
 ノンフィクション・ライター 白石新  
 フリー・アルバイトを縮めた造語であるフリーターとは本来、少年や青年、いずれにせよ若者を対象として言葉だったはずだが、最近、〝中年〟と呼ばれる世代のフリーターが激増している。
 彼らの収入は月15万から20万円程度と、生活保護受給者とあまり変わらず、家賃と光熱費を払ってしまえば、やっと食べていける程度しか残らない。もちろん、年金を納める余裕などないし、それどころか、健康保険料すら支払っていない。
 そんな人たちが増えているのはなぜなのかそのことは近い将来、想像を上回る『老後破産』社会が到来することを暗示しているのではないだろうか。
 ……
 原点は就職氷河期
 ……非正規雇用の、いわゆるフリーターが目立ちはじめたのは1990年代半ばごろのことだった。以来、その数はふえつづけている。
 厚生労働省によると、雇用者に占める非正規雇用者の割合、すなわち非正規雇用率は、80年代半ばには十数%だったものが、今年は40%近くまで達している。いまや、この国の労働力の5人に2人、実に2,000万人以上が非正規雇用者というのが実情なのだ。
 労働経済のジャーナリストの小林美希氏によると、
 『80年代後半、自由な働き方を示すものとして〝フリーター〟という言葉が誕生する一方、労働者派遣法などが改正され、企業が責任を負わずに簡単に労働者を確保できるようになりました。その後、折からのバブル崩壊で、93年大学卒業組からはじまる、いわゆる〝就職氷河期組〟がどっと社会に出ました。彼らが不本意ながら非正規雇用で就労した結果、非正規雇用者は爆発的に増えたのです』
 それから、およそ20年が経過したが、
 『景気は回復せず、〝失われた10年〟が〝失われた20年〟になるとともに、フリーターたちは中年世代にさしかかっています。彼らの多くは、老後を考えて生活を変えたくても、いまの職場から動けないという状況におかれている。休んで収入がストップしたら、生活が立ち行かなくなるからです。ほかの可能性を考える精神的な余裕もなくなっています』(同)
 ……
 『実家の両親は、僕に結婚してほしいと思っているみたいなんですが、いまは交際している女性もいないし、結婚なんてまったく考えていません。この仕事をやめて、ほかになにかがあるという気もしませんね』
 そこまで語って、馬場さんはぽろっと漏らした。
 『〝日本は厳しいな〟とはおもいます』
 生活保護費が19兆円に!?
 たしかに、日本の状況は日に日に厳しくなっているが、そのことは、中年フリーターの増加と軌を一にしていると言っていい。
 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、35歳から54歳までの非正規雇用者(女性は既婚者を除く)の数は今年、273万人を超えた。これは大阪市の人口を若干上回る数字である。前出の小林氏はこう指摘する。
 『デフレが続いているかぎりは、彼ら中年のフリーターも、たとえギリギリであっても、衣食住をまかなって生活を維持することができます。しかし、一度物価が上昇すれば、たちまち立ち行かなくなります。それに、いまは働いているからなんとか生活できていても、老後になればすぐに限界が訪れます。たとえば、健康保険料を払っていないから、体調を崩してもなかなか病院に行かない。症状が悪化してようやく医者にかかったときには、自己負担の医療費が大きくのしかかってくる。年金も払っていないから受給できません』
 その結果、どうなるのかと言えば、
 『将来、生活保護などの社会保障費が、爆発的に増えることになってしまうと思います』(同)
 まさに『老後破産』へと向かってひた走っている感のある中年フリーター。これまで時代に翻弄されてきた彼らだが、将来、『老後破産』を迎えるようになった時、日本の社会保障費はいったいどれほど嵩むことになるのだろうか。小林氏はこう予想する。
 『2008年に政策研究機関であるNIRA(総合研究開発機構)が発表したレポートでは、今後、就職氷河期世代が老人になった際には、生活保護に必要な予算が、約17兆から19兆円にのぼると試算されていました。非正規雇用の人々が現状のまま放置されつづければ、実際にそのくらい、あるいは、それ以上のコストがかかることになってしまうでしょう』
 ここ数年、生活保護の給付総額は年間3兆円台だから、その増加ぶりは、すさまじいばかりだ。17兆円といえば、先ごろ新規に上場した郵政3社の時価総額と、ほぼ同額であるが、それ以上に、日本の一般会計予算の5分の1に近い金額だといった方が、より衝撃的かもしれない。それほどの巨費が、単年度の生活保護費として必要になるというのだ。しかも、それらはまさに、中年フリーターたちの、〝老後破産対策費〟と呼ぶべきものなのである。
 『希望が、ない』
 ……
 『1ヶ月で十数万円稼げる中年フリーターは、実はまだ勝ち組なんです』
 そうかたるのは、一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊秀氏である。不登校ニート、引きこもりから貧困問題まで、長年、子どもや若者の支援活動に従事してきた田中氏は、中年フリーターに接して、こう実感するという。
 『ようやく仕事に就けても、時給800円程度のアルバイト。グローバリゼーションのなかで、一度この流れにはまってしまったら、もう正社員にはなれないし、月収が手取り15万円を超えたらラッキー、という人々が、非正規雇用者のなかにはかなりいます』
 このような流れを変えるべく、行政も取り組みはじめてはいる。たとえば東京觥は、今年から『東京しごと塾〜正社員就職プログラム〜』を開始した。30歳から44歳という、まさに中年フリーター世代を対象に、3ヶ月の職務実習を経験させ、正社員として働けるようにうながす、という支援活動である。
 それに対して、前出の小林氏は、
 『企業にとって、非正規雇用の労働力はメリットが大きく、大幅に控えることはできませんが、その一方で、雇用の分かれ目が人生の分かれ目になっているのが現状ですから、行政が乗り出して正社員化をうながすことは必要でしょう』
 と、一定の評価をしながら、続けてこうも言う。
 『こうした支援に積極的に参加できるのは、おそらくなんらかの方法で、自ら現状を打開できるような人が多い。ですから、むしろこうした取り組みに挑めない人を支援する方法がないかぎり、中年フリーターが減るようなことにはならないと思います』
 このままでは中年フリーターと、彼らが行き着く将来の『老後破産』は、増える一方にならざるをえないのか。冒頭の高田さんが『不安は、ないです』と言って言葉を濁したことに触れたが、彼の言葉は、実はこうつづいていた。
 『なんというか、本当に不安は、意外なほどないんです。ただ、それ以前に、希望が、ない』
 その言葉を、田中氏はこう読み解いた。
 『いまの若者は、たとえ低収入でも幸福感をおぼえている人が多い。一方、バブルの時代に、それを享受していなくても、少なくとも空気に触れた経験がある人たち、つまり、主として就職氷河期世代の中年フリーターは、いまの日本を見て絶望してしまうんです』
 激増する中年フリーターたちは、こうして絶望しながら『最後は国のセーフティーネット』という流れに逆らえずにいる。このままの状態がつづけば、彼らはそう遠くない将来、具体的にはあと20年もすれば、一斉に『老後破産』状態に陥ることになるだろう。
 だが、そうなったときに、『希望』は中年フリーターのみならず、この国に暮らすあらゆる人たちの前から失われてしまいかねない。だからこそ、いま国家が、政治家が急いで取り組むべきは、中年フリーター対策なのである」
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 2016年1月3日・10日号 サンデー毎日牧太郎の青い空白い雲
 ……
 年の瀬、かなり年下の『後輩』とサラリーマンの街、東京・神田で飲んだ。当方の奢りである。
 『先輩!阿倍の「新3本の矢」、おかしいですよね。あれは「矢」ではない。「的」じゃないですか』
 と幾分、酩酊している。アベノミクスの『3本の矢』は 第一の矢(金融政策)、第二の矢(財政政策)、第三の矢(成長戦略)の組み合わせで『デフレ脱却』の的を射る!と説明された。
 しかし、新3本の矢の『GDP600兆円』『出生率1.8』『介護離職ゼロ』は〝手段〟でなく、〝目標〟だ。後輩が『矢ではない。的である!』と言うのも理解できる。
 『しかもですよ。出生率1.8はインチキだ!結婚した夫婦が産む子供の数はすでに増えている。少子化の原因は、子供を産まないのではなく、僕のように結婚できないやつがいるこらですよ。少子化の原因は、結婚できない非正規労働者にある!』
 確かにパート、契約社員派遣社員など、正社員以外の労働者の割合は、今年40%に達した。
 いわゆる『中年フリーター』は2000年に150万人ほどだったが、今や273万人。正社員と非正規労働者の年収差は約2倍。00年初めの『就職氷河期』に大学を卒業したものの、就職先がない。正社員になれず、非正規でやって来た若者が『夢も希望もない人生』を味わっているのか?
 ……
 安倍内閣の重なる暴走に腹が立ったが、一番ショックだったのは、当方と同い年の71歳が新幹線で焼身自殺した事件だった。東海道新幹線『のぞみ』の先頭車両で、男がガソリンをかぶった。逃げ遅れた女性1人が死亡、28人が重軽傷を負った。男は黒焦げだった。指紋と運転免許証で身元が判明。周囲に繰り返し『年金の受領額が少ない』『保険料や税金が高い』と〝怒り〟をぶつけていた。
 『命の綱』の年金は生活保護水準以下の12万円しか支給されなかった。いわゆる『下流老人』だった。
 他人事ではない。当方も『下流』に近い存在だが、今、現実に結婚できない(経済力のない)若者が、いつか『下流老人』になる。いや、すでに『下流中年』なっている。
 格差が激しすぎるだった。同じ労働をしながら差別されるなんて・・・」







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