🎴4〉─3─2040年の社会保障。給付費は190兆円へ。「住まい方」も含めた改革を。~No.23No.24No.25 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2018年6月17日 産経ニュース「【日曜講座 少子高齢時代】2040年の社会保障 「住まい方」も含めた改革を 論説委員・河合雅司 
 給付費は190兆円へ
 高齢者数がピークに近づく2040年度には、医療や介護、年金など社会保障給付費が18年度の約121兆円から最大約190兆円に膨らみ、1・6倍増となる。
 政府が40年度の推計を初めて公表した。
 政府は消費税率10%への引き上げを含めた社会保障・税一体改革を進めているが、これは団塊世代が75歳以上になる「2025年問題」への対応策である。40年に向けては、これとは全く別の改革が求められる。
 これまで政府は40年に向けての社会保障改革を“封印”してきた。消費税率10%への引き上げの先送りが繰り返され、いまだ安定財源は十分に確保できていない。
 消費税率10%も実現しないうちに、税率をそれ以上に引き上げる議論をスタートさせるわけにはいかないという事情があった。
 だが、40年までに残された時間は25年を切り、もはや議論を始めざるを得ないタイミングを迎えた。推計値の公表によって、遅ればせながら議論が始まる環境が整ったといえよう。
 低所得の高齢者が激増
 だが、40年に向けた改革は厳しさが予想される。残り時間が少ないだけでなく、高齢化が進んで“シルバー像”が現在とは大きく変化してしまうからだ。
 高齢者が「高齢化」する。80歳以上は17年には1074万人で総人口の8・5%だが、40年には1578万人で14・2%を占める。
 独居高齢者も増える。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、40年には男性の5人に1人、女性は4人に1人が1人暮らしになる。
 人口減少は地域によって進み具合が大きく異なることから、住民の大多数を高齢者が占める地域も増える。
 190兆円に及ばんとする社会保障給付費の抑制策や財源確保策もさることながら、医療や介護、さらには日常生活を維持するサービスを住民にどう届けていくかが、社会保障改革における大きなテーマになるということだ。
 40年に向けた改革で、もう1つ深刻なのが低所得高齢者の増大である。「就職氷河期」に非正規雇用を余儀なくされ、不安定な雇用のまま50歳近くまで年を重ねてきた人は少なくない。
 こうした人々には年金保険料を払ってきていないケースも珍しくなく、これから保険料を払ったとしても低年金や無年金となりかねない。
 40年頃にはこうした非正規雇用者あるいは就職そのものをしてこなかった人々が高齢者の仲間入りを始める。
 仮に、彼らの老後の生活費をすべて生活保護で賄うならば、膨大な予算を確保しなければならない。
 続かぬ「地域包括ケア」
 政府は40年度の医療福祉分野の就業者数についても試算しており、医療は18年度から19万人増の328万人、介護は171万人増の505万人、その他の福祉分野を合わせ1065万人の就業が必要になると見込んでいる。
 だが、20〜64歳の勤労世代は17年の6997万人から40年には5543万人に減少する。すべての産業で人手不足が続くだろう。福祉分野だけが潤沢に人材を確保できるとは、とても思えない。
 それは、少なくなる人数の中で、どうやり繰りをしていくかを考えざるを得ないということでもある。
 「高齢化した高齢者」の1人暮らしが増えるということは、買い物や通院で外出せざるを得ない人が増えるということだ。他方、公共交通機関や物流の担い手であるトラックドライバーの人手不足は拡大が予想される。
 自治体職員も確保できず、社会の支え手も激減すれば「地域包括ケアシステム」も機能しなくなる。
 こうした状況下で医療や介護サービスを届けようとするには、集住したり、自宅と医療機関などとを直接結ぶスマートハウスを増やしたりするなど、国民の「住まい方」を変えざるを得ない。
 1人暮らしとなった「高齢化した高齢者」の通院の足の確保や生活必需品を各戸に届けるために多大な予算やマンパワーを使うことになるのであれば、そうした課題の解決も含めて社会保障改革のテーマとしたらよい。
 社会保障費ばかり抑制しても、社会保障サービスを国民に届けるために他の費目が伸びたのでは同じである。40年に向けての改革は、社会の激変を十二分に織り込まなければ画餅に帰すこととなる。」


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