🧣29〉─1─親の子供虐待と子供殺し。大人の児童虐待と虐待死。~No.89No.90No.91 @ 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 よい日本人は1割、わるい日本人は3割、中間で優柔不断で付和雷同する曖昧な日本人が6割。
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 子供は、大人の犠牲になる。
 年金は、政府が勤労世代から徴収した税金から支払われる。
 老人が受け取る年金は、若者達が支払っている。
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 大人による、子供への犯罪。
 子供の中での犯罪。
 高校生が中学生を、中学生が小学生を。
 強い者が、当然の如く、弱い者を襲う。
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 日本人は、子供や女性など弱者には優しくないどころか、反撃されない事が分かっているだけに狂暴になって襲いかかる。
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 日本の子供は、殴る蹴るの虐待を受けても絶対に親の事を悪くいわず、親からそうされるのは自分が悪いからだという自責の念が強い。その為に、抵抗もせず我慢して虐待を受け入れている。
 子供は、「親にはそうする事情があるんだ」と自分に言い聞かせ、見ず知らずの他人には本当の事を話さない。
 その結果として、何も罪がない子供は、生きる楽しみを味わう事なく、幼い命を奪われる。
 チップ・ウォルター「人の子供は無力で生まれてくる。生後すぐに歩ける動物とは違い、長期間、保護されないと生きていけない。この長い幼少期に人は教育を受け、環境の変化に対峙できる順応性や社会性を学べる」(『人類進化700万年の物語』)
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 2000年から12年まの間に、学童の減少に伴い全国で5,796校が廃校となった。
 バス路線は、地域の人口減少と運転手不足から全国で毎年約2,000メートルが廃止されている。 
 1961(昭和36)年 日本は、「一人は皆の為に、皆は一人の為に」という、マルクス主義的平等思想に基づいて国民保険・皆年金制度を始めた。
 戦後日本は、GHQ内のマルクス主義者や日本官僚内の革新官僚・転向組官僚(隠れマルクス主義者)によって、戦前までの民族主義的日本を破壊しながら敗戦後の日本を造り変えてきた。
 戦後経済は、革新官僚による統制経済としての1940年体制で、集団護送方式、株式会社日本であった。
 資本主義的財閥の解体、特権階級としての華族制度の廃止、民族宗教(祖先神・氏神の人神信仰)の影響力を弱め衰退させる為の皇室の解体。
 戦後社会は、45年8月革命として緩やかなマルクス主義的意識への大転換が行われた。
 「集団から個へ」という空気が、戦後教育で子供達に植え付けられ、日本的閉鎖された世間は世界的開放された社会に変容した。
 民族的伝統的家・家族・家庭は崩壊し、「大家族から核家族へ」と移っていった。
 社会の絆や人のつながりが意図的に断絶され、孤立、孤独、無縁が広がった。
 その流れが、過度の人権を主張し、死んだ被害者より生きている加害者を守ろうという人々に受け継がれている。
 彼らは、人権を守った加害者が再犯しても責任を取らず、又、命が大切として被害者を無視して加害者の人権を守ろうとする。
 現代日本は、依然としてヤルタ・ポツダム体制下にある。
 その象徴が、憲法九条の日本国憲法(平和を哀願する奴隷的憲法)であり、靖国神社参拝問題であり、日本領土北方領土の不法占拠問題である。
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 昭和36年当時、平均寿命は70歳に届いていなかったし、祖父母・父母・孫と3世代が同じ敷地・同じ屋根の下で生活する大家族であった。
 勤労世代が多く、軍隊が解体され徴兵制がなくなった為に、働き手は安心して仕事に打ち込めた。
 そして、人口の爆発で、労働人口と消費人口が増えた。
 商品を作って売り出せば飛ぶように売れ、売り切れて在庫がなくなっていた。
 各企業は、自社製品を消費者に買って貰うべく、他社製品との差別化をはかる為に高機能製品を開発していった。
 買い物客は、買いたい商品が売り切れるや、入荷するまで待つしかなかった。
 当時の買い物客は、売り上げ統計数を示すだけの単なる消費者ではなく、商品を愛好してくれる大事なお客様であった。
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 国民皆保険・皆年金制度発足時は、人口爆発もあって一人の年寄りを約10人が支え、少ない年金を大家族が補って助け合った。
 親戚・親族も近くに住んでいて、伝統的隣保互助の精神で助け合った。
 子供は、社会の宝、先祖からの賜り物として、大家族で大事に保護され、世間から厳しく躾けられて一人前の大人に成長した。
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 現代では、一人の年寄りを勤労者3〜4人で支えている。
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 2025年には、団塊の世代が75歳を迎え、後期高齢者が2,179万人に膨れ上がる。
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 人口減少に入り子供数が激減するや、50年後には1〜2人の勤労者が一人のお年寄りを支える事になる。
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 社会が変化し、日本人の意識が変わらなければ、最悪の事態に陥ると一人の勤労者が1〜2人の年寄りを支える事になるかも知れない。
 悲惨な状況を生きる事になるのが、今の20歳以下の青少年である。
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 年寄りだから、大事にされる資格があるのか?
 年長者だがら、優先的権利があるのか?
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 今の子供達が、現代日本、親や大人達の立ち居振る舞いを見ながら学んで成長して、将来の日本を支える。
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 人は、悪に魅力を感じ、悪に憧れ、悪に走りやすい。
 悪に落ちる事を止める為の御為ごかしの綺麗事は、本心・誠意から出た「言霊的」言葉でない限り無意味である。
 自分の都合や自分の主義主張だけの言葉は、心がなく、上辺だけの言葉で力はない。
 子どもは、刺激を求めて悪に染まりやすい。
 問題は、子どもではなく大人にある。
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 現代日本の日本国語・言葉の力は弱り、心に響かない。
 日本国語・言葉の力の衰退は、今後更に進み、そして悪化していく。
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 阪神・淡路大震災東日本大震災などの甚大な自然災害が続発するにつれて、ボランティアなどの助け合いや絆の再発見にって社会が明るく希望に満ちたものになるどころか、世相の悪化によって暗く夢が消えていつている。
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 現代日本には、1,000兆円以上の借金が存在し、年々減るどころか増えている。
 借金を作った大人世代は、返済不能なツケを自分達で処理せず、子供世帯に押し付けて逃げだそうとしている。
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 弱者でも、急増する選挙権と資産を持った高齢者への介護策は進んでるが、減少している選挙権と貯金を持たない児童への保護策は進んでいない。
 政治家にとって、自分を当選させてくれれるのは選挙権を持った高齢者であって、選挙権を持たない児童ではない。
 官僚にとって、税金を納めてくれるのは資産を持った高齢者であって、親に育てられている児童ではない。
 企業家にとって、商品を買ってくれるのは貯金と年金で生活している高齢者であって、親から小遣いを貰っている児童ではない。
 政治家、官僚、企業家が、今、現状を考える時、児童より高齢者を大事にするのは当然である。
 自分が嫌な事や自分に不利な事は、税金を取っている国家・政府、役所・地方自治体が公共サービスとしてやるのが当然だとして考えられている。
 つまり、権利は最大限に要求するが、義務は最小限まで拒否する、と言う事である。
 神道的に「子供は国の宝」として児童を大切にしたのは、個人の権利要求が肥大化した現代の日本よりも、私より公に重きを置いていた戦前の日本であった。
 今の大人は、自分の老後の為に1,000兆円以上の借金を子供や孫に押し付けている。
 子供や孫達は、今の大人が食い散らかした残飯の中から食べられる僅かな食材を探り出し、好き嫌いに関係なく食べて飢えを凌いで生きるしかない。
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 2015年1月16日 産経ニュース 「「親から虐待」半数超 里子・養護施設の子供4万8千人 厚労省調査
 家庭の事情で児童養護施設に入所したり、里親に預けられたりした子供は平成25年2月時点で約4万8千人で、このうち5割超が親から虐待を受けた経験があることが16日、厚生労働省の調べで分かった。親による虐待が入所や委託の主な理由となったケースも4割近くあるなど、虐待被害の割合はいずれも前回調査(20年)を上回り、同省家庭福祉課は「虐待の相談件数自体が増えており、施設側もきめ細やかなケアや家庭的な養育環境が必要だ」としている。
 調査は保護が必要な児童の福祉増進などを目的に原則、5年に1度行われており、児童養護施設乳児院、里親家庭で暮らす子供などが対象。
 調査によると、施設などで暮らす子供は計4万7776人で、前回調査より378人減少。施設別では児童養護施設が2万9979人▽母子生活支援施設6006人▽里親家庭4534人−などだった。
 このうち「虐待を受けた経験がある」と答えたのは、全体の54・3%(前回50・9%)にあたる2万5947人。児童養護施設に限定すると、59・5%(同53・4%)の1万7850人が虐待を受けており、全体の平均を上回った。
 一方、それぞれの養護問題が発生した理由について尋ねたところ、一般的に虐待とされる「両親の放任・怠惰」「養育拒否」などの合計は37・6%(同33・9%)。両親の精神疾患や入院、死亡のほか、破産などの経済的理由も挙げられた。」
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 9月24日 朝日新聞児童虐待
 司法も防止の手助けを
 虐待を受けた可能性があるとして、児童相談所に警察が通告した今年した上半期の18歳未満の子どもは1万7,000人超と過去最多を更新した。警察が親や養親を逮捕・書類送検した事件数も376件と過去最多だった。
 両親が3歳の次男をウサギ飼育用のケージに入れ、暴行を加えて死亡させた▽父が生後4ヶ月の長女の腹部を殴って死亡させた──。いずれも今年発覚した事件だ。
 虐待の実態は外から見えにくい。近所の人が見かねて注意しても開き直ったり、しつけだと言い張ったりする親もいる。
 虐待が増える背景には様々な理由がある。核家族化や社会とのつながりが希薄になって孤立する親の存在や、貧困による生活不安などから、目の前にいる最も弱い存在の子どもにストレスのはけ口が向かいやすいといった点も指摘される。
 繰り返し虐待事件を起こす親が少なくなのも特徴だ。
 虐待対応の中核は児童相談所が担っている。だが、深刻なケースほど親は児相の介入に反発しがちで、『児相頼み』では解決は難しい。再発を防止するには、司法や学校など複数の機関の連携が不可欠だ。
 高松地裁は昨年12月から、児童虐待で親が送検されたら児相や市町村の担当職員、学校の教師、医師ら事件の関係者に集まってもらう試みを始めた。起訴すべきか判断する前に、意見を聴いてから決めるためだ。
 9ヶ月で扱った事件数は10件。処分保留で釈放され、児相の支援を受けながら立ち直り始めた親もいるという。
 過去に虐待事件を担当した経験から、検察の役割を考えてきたという酒井邦彦・高松高検検事長は『重い刑罰を科しても、親の虐待傾向が収まらない限り再発の危険はなくならない。子や親を取り巻く人たちが情報を寄せ合い、児相の指導につなげる方が子どものためになるはずだ』と話す。
 立場の違う人の間に顔の見える関係ができれば、相談しやすくなる効果もあるだろう。虐待事件の多い都市部で同様のことをするのは難しいかもしれないが、参考になる取り組みだ。
 福岡市と和歌山県では、児相に常勤の弁護士を配置している。子どもの保護など、親権を制限してでも即決すべきケースは多く、家庭内に踏み込む以外、法的な助言が欠かせないのは全国の児相も同じだ。
 虐待対策に特効薬はない。行政の縦割り意識を捨て、社会総がかりで取り組むしかない」
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 9月25日 毎日新聞「『普通の子たち』深夜外出
 『家はつまらない』
 親『ラインあるから大丈夫』
 大阪府寝屋川市の中学1年の男女が遺体で見つかった事件は、山田浩二容疑者(45)の最初の逮捕から1ヶ月が過ぎた。2人は駅前で夜を明かし、早朝に事件に巻き込まれたと見られている。子供の見守り活動をする人々たちにも衝撃を与えたが、深夜に街をさまよう『普通の子』は事件後も後を絶たない。
 今月9日午後10半、大阪吹田市の交差点。小学6年の男児(12)が自転車にまたがったまま、スマホを操作してゲームの遊び方を調べていた。
 幼い頃に母親を亡くした。仕事の都合で父とも離れ、今は祖父母らと暮らしている。人前で話すことが嫌で、夏から登校していないという。日中は友人と会いづらくなり、深夜に出歩くようになった。『(祖父母は)嫌いじゃないけど、家にいてもつまらない』。公園でバスケットボールなどをして過ごすが、自転車をこいで一人で京都へ行ったこともある。
 帰宅が午前0時を過ぎても、祖父母に注意されたことはない。『今回の事件でちょっと怖くなった』と言うが、『僕は朝まで一人で外にいることはないから大丈夫』と強がった。今後も夜の外出はやめないという。
 ……
 警察庁によると、昨年は42万9,943人の未成年が深夜徘徊で補導された。NPO法人『子どもとメディア』(福岡市)の古野陽一専務理事(54)は『今の子はスマホで24時間友達とつながっている。昼夜の区別があいまいになり、夜の外出に抵抗がない』と指摘している。『ラインのやりとりで子供の行動を把握しているから夜に外出させても大丈夫』という母親も多いという。
 家庭内の問題から繁華街をさまよう子供もいる。……」
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 10月9日 朝日新聞「全国の児童相談所(児相)が2014年度に対応した子どもの虐待は8万8,931件で、過去最多を更新した。
 数はあくまで児相が関わった件数だ。児相が知らないまま、虐待死が刑事事件になるケースなどを考えると、事態はもっと深刻だとみるべきだろう。
 虐待から子どもを救う取り組みを強める必要があることは、論をまたない。加えて、虐待に至る前で必要な取り組みにも、力を入れる必要がある。
 13年度の虐待に伴う死亡・重症事例を分析した厚生労働省専門委員会の報告書は、虐待の発生と重篤化を防ぐために、妊娠から出産、子育てまでの切れ目のない支援が必要だとしている。死亡事例の多くで、地域とのつながりが希薄だったとの実態も浮かび上がっている。
 4月に始まった子育ての新制度では、家庭や子ども支援の実施主体として市町村を位置付け、子ども・子育て会議を置くことにはった。行政のほか有識者や保育、教育の事業者、子育ての当事者やNPOの関係者らがメンバーになり、子育て施策に関する地域の中核としての役割が期待されている。この会議で虐待の予防を重要テーマと位置づけ、地元の現状や必要な対策、現状でどこまで対応可能か、何が必要かを話し合ってはどうだろう。
 虐待の背景には、親の孤立がある。子育てに悩む親からの『SOS』を早くつかむために妊娠から子育てまで、一つの窓口で継続的にサポートする取り組みも始まっている。
 厚労省は今年度、そんな拠点を150市町村に設置する。母子手帳を渡す際に『頼る人がいない』『経済的に不安』といった状況がわかれば、利用できるサービスを紹介し、利用を促すことができる。
 親が立ち寄る集いの場を設けるNPO法人も全国にある。集いに出てこれない親向けに、研修を受けた子育て経験者が自宅を訪れ、一緒に食事を作って食べたりおしゃべりをしたりする活動もある。
 こうした取り組みを広げていくことで、親の孤立を防ぐとともに、虐待の芽も摘むことができるのではないか。
 両親の不和や離婚、死別。非正規労働など不安定な雇用。貧困と不十分な教育。親の孤立も子どもへの虐待も、背景には様々な要素が入り組んでいる。
 だからこそ縦割りを排して、官民が協力する取り組みが不可欠だ。その中心に子ども・子育て会議を位置づけたい」
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 弱者への虐待・殺人は、幼少期に親から受けたが虐待が原因。目に見えない所で家庭崩壊や親子の断絶が進行している。
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 2016年2月25日 週刊文春「子育ては『社会化』すべき! 尾木のママで(尾木直樹
 川崎市で、当時中学一年生だった、上村遼太君が殺害された事件から1年。2月10日の判決公判でリーダー格だった少年Aに懲役9年以上13年以下の不定期刑が言い渡されました。ボクがこの事件で知りたかったのは、どうして少年Aのような、無慈悲で人の心を解さない人間が育ってしまったのかという、彼の生い立ちについてでした。
 実は、今回の裁判で新真実が明かされたんです。Aは両親から日常的に暴力を受けていました。悪いことをすると、父親には6時間近くも正座をさせながら殴られたり、冬に裸同然の姿で外に出されたり。母親にもベルトやハンガーで叩かれたというのです。これはもうすさまじ『虐待』いです!
 犯罪心理学的には、虐待を受けて育った子は、共感能力が欠如したまま人格が形成されてしまうと言うわけです。相手の気持ちになることができず、人の心の痛みもわからない。そう考えると、今回の事件のおぞまし過ぎる所業の背景がみえてきます。
 子どもに虐待をする親が、実は自らも幼少期に虐待を受けていたというのはよく耳にする話。このような『暴力の連鎖』は、今、世界中で問題になっています。日本も例外ではなく、虐待の件数は増加の一途。2014年度は年間8.8万件を超える虐待が報告されている。
 その一因として、核家族化が進み、地域のつながりが薄れたことにより個々の家庭で育児の『私物化』が進んだことが挙げられます。子育ては本来公的な性格を伴うもの。相次ぐ虐待から子ども達を守るため、子育てに行政が積極的に介入・支援すべき、いわば〝子育ての社会化〟が必要な段階にきているのかもしれません。地域の目を光らせ、社会全体で子どもを守る。そうできなければ、またいつ同じ悲劇が繰り返されてもおかしくありません」
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 8月5日 読売新聞「虐待10万件超 児相悲鳴
 人手不足『被害防げぬ』
 全国の児童相談所(児相)が2015年度に対応した児童虐待が初めて10万件を超え、過去最多を更新した。急激なペースで増加する虐待に追いつかず、児相の人手不足は深刻だ。『このままでは重大な虐待被害を防げない』との指摘もあり、厚生労働省は職員増員や専門職の配置など態勢強化を急いでいる。
 職員1人で130件
 『リスクが増大した際、即座に対応できなかった』
 奈良市の4歳女児が14年4月、虐待で意識不明の重体となった事実を検証した奈良県有識者会議は、事件を防げなかった要因の1つに、児相の態勢の脆弱さを挙げた。
 同県は、虐待を主に担当する児童福祉司1人あたりでみた対応件数が、全国で最も多い71件で全国平均(35件)の2倍だ。事件が起きた奈良市などを管轄する中央こども家庭相談センターの担当職員は、1人あたり平均で約130件も受けている。
 住民や学校などから通告が入ると現場に急行して子供の安全を確認するほか、リスクのある家庭の訪問や施設で暮らす子供との面会など、連日、朝から夜まで予定が埋まる。
 管内では10年と12年に虐待死事件が起き、今年4月には2歳男児が衣装ケースに閉じ込められて窒息死する事件が発生。笹川宏樹所長は、『態勢強化が必要なのは確か。児相だけで全てに対応するのは難しく、市町村との役割分担を進めたい』と話す。
 専門職配置
 児相に配置される児童福祉司は15年4月時点で全国に2,934にんおり、10年間で1.5倍となったが、対応件数はそれを大きく上回る3倍に増えた。自治体間の格差も大きく、福祉司1人あたりの対応件数が50件超の自治体も。厚労省は今月中に政令を改正し、人口規模で決めている福祉司の配置基準について、対応件数が多いほど手厚くする仕組みを導入する。
 今春の児童福祉法改正にも児相の態勢強化が盛り込まれ。保護者との法的トラブルに対応できる弁護士や、子供のケアにあたる保健師・医師の配置も義務付けられた。15年度から独自に弁護士を配置している名古屋市は、『福祉司の精神的な負担軽減につながっている』と話す。
 児童虐待問題に詳しい才村純・関西学院教授は『児相の職員数は、国際的な水準の数分の一に過ぎない。このままでは、虐待死を防げず、職員を数倍に増やすなど抜本的な対策が急務だ』と指摘している」
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 9月17日 産経ニュース「子供の虐待死、26年度は44人 0歳児が過去最多61%
 虐待を受けて死亡したり、虐待死が表面化した18歳未満の子供は平成26年度、前年度より8人多い44人に上ったことが16日、厚生労働省の専門委員会が公表した検証結果で分かった。0歳児の占める割合が過去最多の約61%で、このうち生後すぐに死亡したケースが半数超だった。
 専門委委員長の山縣文治関西大学教授は「子供を養育する意思が低いと考えられる『望まない妊娠』など、母親が問題を抱える割合は高い」と指摘。こうした母親は妊娠段階で公的機関に行かないことが多いため、相談窓口をどう充実させるかが課題とした。
 検証結果によると、死亡した子供の年齢別では0歳児が27人で最多。このうち、トイレなどで生後24時間以内に死亡したとみられる乳児が15人いた。次いで3歳児7人(15・9%)、1歳児4人(9・1%)と低年齢児が多く、3歳児以下が39人と全体の約9割を占めた。
 虐待行為の内訳は身体的虐待が24人(54・5%)、食べ物を与えないなどの育児放棄(ネグレクト)が15人(34・1%)など。また、東京都西東京市で26年7月、養父から「24時間以内に自殺しろ」と迫られ、中学2年生の男子生徒が命を絶った事件について、「心理的虐待」による死亡例として初めて認定した。  
 主な加害者は実母が28人(63・6%)と最多。望まない妊娠や、計画していない妊娠だった実母は24人、妊婦健診を受診していなかった実母も18人いた。
 また、児童相談所が虐待の疑いを把握できていなかったケースは全体の約7割を占めており、専門委は「初期対応で見落としなく、児相と市町村が連携を深める体制整備」などを提言した。
 一方、無理心中による子供の死亡は27人だった。」
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 2017年7月27日 産経ニュース「「虐待繰り返していた」1歳児暴行受け重体、母に有罪判決 神戸地裁姫路支部
 兵庫県姫路市で5月、次男(1)の腹を蹴ったとして、暴行罪に問われた同市の無職、小国(おぐに)典子被告(24)の判決公判が27日、神戸地裁姫路支部で開かれ、木山暢郎(のぶろう)裁判官は懲役1年、執行猶予5年(求刑懲役1年)を言い渡した。
 次男への傷害罪で起訴された夫の亮被告(30)も公判中で、次男は意識不明の重体が続いている。
 木山裁判官は判決理由で「全く抵抗できない1歳児を蹴ったのは悪質で、泣きやまないことにいらだったとの動機に酌むべき点はない」と指摘。買い物の際に車内に放置したり、哺乳瓶にコーラ飲料を入れて飲ませたりしていたことを挙げ「長期間、ネグレクト(育児放棄)や虐待をしており、刑事責任は軽視しがたい」とした。
 判決によると、小国被告は5月23日、姫路市の自宅アパートで次男の腹を蹴った。
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 8月17日 産経ニュース「平成28年度の児童虐待12万件、最多更新 「面前DV」や「心理的虐待」半数占める 厚労省まとめ
 全国の児童相談所(児相)が平成28年度に対応した児童虐待の件数(速報値)は、前年度比18・7%(1万9292件)増の12万2578件で、過去最多を更新したことが17日、厚生労働省のまとめで分かった。調査を開始した2年度から26年連続で増加。厚労省は「心理的虐待が増え、警察からの通告が増加している。報道によって学校など関係機関の意識も高まっている」と分析している。
 調査は全国210カ所の児相に寄せられた通報や相談のうち、児相が虐待の疑いが強いと判断し、親への指導や施設入所などの対応を行ったケースを集計した。
 虐待の内容別では、子供の前で配偶者や親族らに暴力をふるう「面前DV」や他の兄弟と差別的扱いをするなどの「心理的虐待」が6万3187件で最多。前年度より1万4487件増えて、全体の51・5%を占めた。
 次いで「身体的虐待」が3万1927件(前年度比3306件増)、育児放棄である「ネグレクト」が2万5842件(同1398件増)、「性的虐待」が1622件(同101件増)だった。
 都道府県別の児童虐待の対応件数は、大阪が1万7743件で最多。東京1万2494件、神奈川1万2194件と続いた。最も少なかったのは鳥取で84件、島根214件、佐賀275件の順だった。
 虐待相談の経路では、警察からの通告が、全体の45%を占める5万4813件で最も多かった。虐待児童本人からは1109件で全体のわずか1%。
 厚労省は27年7月から通報や相談を24時間体制で受け付ける全国共通ダイヤル((電)189)を設けているが、子供も多く利用する会員制交流サイト(SNS)からの受理も検討している。」
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 9月21日 産経ニュース「虐待疑い、初の3万人超え 緊急保護も最多、18歳未満 上半期、全国の警察
 親や保護者から虐待されている疑いがあるとして、全国の警察が今年1〜6月に児童相談所へ通告した18歳未満の子どもは3万262人だったことが21日、警察庁のまとめで分かった。昨年同期より5751人増え、半期ごとの統計がある平成23年以降では初めて3万人を超えた。
 このうち生命や身体に危険があるとし、警察が緊急対応で保護した子どもは1787人に上った。昨年同期より236人増で、この統計を始めた24年以降、上半期では最多となった。坂口正芳長官は21日の記者会見で「児童虐待および子どもの性被害防止対策を一層推進したい」と述べた。
 虐待の内容を見ると、暴言を吐くなどの「心理的虐待」が2万1406人で70・7%を占めた。中でも、子どもの前で家族に暴力を振るう「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」の被害については、24年上半期の2434人から5倍以上に膨らみ、1万3859人に上った。」
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 9月30日 産経ニュース「虐待死の子供27人 半数以上は0歳児、悩む母親 今年上半期
 全国の警察が摘発した今年1〜6月の虐待事件で、死亡した18歳未満の子供は27人に上り、このうち半数以上の15人が0歳児だったことが30日、警察庁のまとめで分かった。死亡事件で摘発された保護者らは27人。母親がわが子を手にかけたケースが多く、育児ノイローゼや思いがけない妊娠で精神的に追い詰められた姿がうかがえる。
 警察庁によると、子供を殴ったり、蹴ったりする「身体的虐待」の摘発者数は、死亡に至った事件も含め全体で計423人。これを子供との関係で見た場合、実父や養継父、母親の内縁の男らが305人で、実母や養継母、父親の内縁の女らの118人を大きく上回った。
 しかし、死亡事件の摘発者27人については、実母が18人で、3人に2人を占めた。ほかは実父が5人、内縁の男が4人で、身体的虐待における摘発者全体とは異なる傾向が浮かんだ。」
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 2018年9月5日 産経ニュース「【主張】虐待過去最多 医療や自治体との連携を
 全国の児童相談所が平成29年度に対応した児童虐待の件数が速報値で13万3778件に上り、過去最多を更新した。前年度比で1割近く増え、統計を取り始めて27年連続の増加である。
 虐待の数が増える一方で児相は慢性的に人員が不足している。政府は7月の緊急対策で、児童福祉司の増員、弁護士や医療職の配置の促進などの体制強化策を決めた。着実に進めてほしい。
 警察と児相が情報を全件共有する、都道府県の動きも加速している。成り立ちも役割も違う機関である。考え方や対応に差があり、摩擦もあろう。だが子供の命を守りきれない現実を見れば、連携をためらうべきでない。何をどう共有するか、子供にとっての最善策を目指してもらいたい。
 この調査とは別に虐待による死亡事例の検証結果も発表された。心中を除くと、28年度に把握された虐待で死亡した子供は49人に上り、32人が0歳児だった。
 生まれてから日が浅いと、児相に情報が届いていないケースもある。児相が扱う10万件超の外側にも、救わなければならない命が多くあるはずだ。
 0歳児の虐待死が多いことは近年、産婦人科の医師らから指摘されていた。従来の対応とは異なるアプローチが必要である。
 加害者の属性を見ると、予期せぬ妊娠、計画していない妊娠が多い。経済力や養育能力に欠ける母子の情報を、どこでキャッチし、どう相談機関につなげていくか。大きな課題である。
 検証結果からは、市区町村の母子保健の担当課や、医療機関との接点があった母子がいたことが分かっている。出産前や出産後のタイミングをとらえて、継続した母子支援につなげていくことが重要である。
 産科の医師からは「虐待リスクのある妊婦は分かる」との声も聞く。妊婦健診が未受診であったり、母子健康手帳を持っていなかったなどのケースだ。
 だが児相に情報を伝えても、対応には温度差があるという。警察だけではなく、周産期医療や市区町村など、母子保健との連携も必須である。そうした重層的な情報共有が、当たり前にならなくてはいけない。
 現場の「感触」を軽んじることなく、細い糸を確実に継続的な支援に結びつけることが重要だ。」
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