¥14〉─1─展望2021。日本は先進国から脱落も リモート化に壁。~No.52 

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 2021年1月2日 MicrosoftNews Reuters「展望2021:日本、先進国から脱落も リモート化に壁=野口・一橋大名誉教授
 [東京 2日 ロイター] - 野口悠紀雄一橋大学名誉教授は、デジタル化が加速するポストコロナ時代には、日本が先進国グループから脱落する可能性があると指摘する。言葉の壁に加え、働き方改革の遅れなどが障害となるという。脱炭素社会に向けては、他国より高い製造業依存の産業構造を高度サービス産業中心に再編する必要があるとみている。
 ロイターとのインタビューで語った。
 <リモート化による国際化加速、言語と働き方の壁>
 リモート化の進展で国境の壁が低くなり、デジタル化が広がるポストコロナ時代。社会の在り方や経済構造はどうかわるべきなのか。
 野口氏は「コロナ禍の中で日本の問題が浮き彫りとなってきた。その問題点を適切にとらえて、次の時代に生かすチャンスとすべき」と指摘。世界の流れとそれに対して日本が取り組むべき課題として2つを挙げた。

第1は、国際化の加速だ。「リモートワークの加速は、世界中で移動することなく会議を開催したり、居住地から離れた場所で仕事をすることを可能とする。国境の壁を取り払う効果がある」とみている。
 しかし、日本には世界のリモート化への壁がある。野口氏が指摘するのが、英語で仕事ができるかと言う言語の問題、そしてオフィスに「居る」ことに価値を置く働き方の問題だ。「日本企業がどこまでリモートワークを推進できるかは、成果主義の導入と不可分で、それができないと、生産性は低いままで、世界から孤立する可能性がある」と懸念を示す。 「現在の日本の生産性はOECD諸国でも下から数えた方が早い位置にいるが、 言葉と働き方の壁を克服できなければ、最下位に転落しかねない」という。
 日本の生産性が低い主因はサービス産業にあるが、リモート化が普及すれば、世界中の人的資源の活用が可能になり、人材不足の解消、通勤時間の短縮などにつながり、生産性が改善できる可能性もある。
 野口氏は、米国が高成長を実現できているのも、すでに20年以上前からインドの人材をリモートワークで活用していることが大きな要因だとみている。
 <デジタル化、政府の個人情報集約に危険も>
 2つ目はデジタル化。リモートでの活動にはデジタル化が不可欠だ。野口氏は、今回のコロナ禍において日本のデジタル化が世界から遅れをとっていることがはっきりしたと指摘。「菅政権もデジタル化推進を重要な政策課題と位置づけているが、問題はそれをどう進めていくかにある」とみている。
 野口氏は「デジタル化には大きな危険が潜む」と指摘する。
 政府はデジタル化の際に必要となる本人確認のIDにマイナンバー・カードを利用しようとしている。野口氏は「国民の全ての情報が政府に集中し、政府が把握する危険をはらむ。マイナンバー・カードは中央集権的に運営されるIDであり問題だ」とみている。
 日本ではかつて住民基本台帳をネットワーク化し、本人確認ができる全国共通のシステムとして構築しようとしたが、情報漏洩への懸念もあり 導入は失敗に終わった。マイナンバー・カードにも同様の懸念がある。
 野口氏は「本人確認IDを分散管理するシステムとしてブロックチェーンを活用すべきだと思う。ブロックチェーンを利用したIDの技術は現在開発中であり、その方向を進めるべき」との考えを示す。
 <脱炭素時代、製造業の比率を下げる必要>
 ポストコロナ時代には脱炭素への流れが世界各国で共通の目標となるが、日本はどう対応していくのか。
 野口氏は「この問題は原発問題と密接にかかわってくる」と指摘。政府は再生可能エネルギーの利用拡大のために風力の推進を掲げているが、「コストや技術の面で現実的には難しい」とみている。しかしそのため、電源構造として原発の比率は高まっていかざるを得ないとの議論には問題があるという。
 「日本の場合、他の先進国と比較して製造業の比率が高い。ただちに原発の比率を高めるとの結論に短絡するのではなく、製造業の比率を下げ、産業構造を高度サービス産業中心へと変える必要がある」との見方を示す。
 特に製造業の中でも基幹産業である自動車産業に関して「自動運転の時代には大きく変わる。ハードウエアを作る産業というよりは、ソフトウエアをいかに開発し、どのようなサービスを提供できるか、という高度サービス産業になっていく」と指摘する。
 実際、米グーグルは自動運転車開発部門のウェイモ(Waymo)において、第5世代の自動運転システムを搭載した車を開発している。
 野口氏は、自動車産業においても、主導権を握るのは自動車メーカーというより、グーグルのような高度サービス産業の可能性があるとみている。
 *インタビューは12月21日に行いました。 (中川泉 編集:石田仁志)」
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