🧣27〉─3─弁護士は死刑廃止論者を覆した兵庫の弁護士たち。~No.118 ⑳ 

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 2021年1月28日 産経WEST「「弁護士は死刑廃止論者」を覆した兵庫の弁護士たち
 日本弁護士連合会(日弁連)や各地の弁護士会で死刑制度廃止を求める動きが活発化する中、兵庫県弁護士会(友広隆宣会長)で昨年11月、死刑廃止の決議案が内部の意思決定機関で反対多数になり、否決されたことが分かった。「大半が死刑廃止論者」とのイメージを持たれがちな弁護士だが、決議案に反対した有志は「実態は全く異なる」と訴える。否決の舞台裏を取材した。(桑村朋)
 政治活動と同じ
 「賛成7票、反対9票、棄権4票。反対多数で否決されました」
 昨年11月の兵庫県弁護士会の常議員会で、死刑制度の廃止を求める決議案が議題に上がった。最終決定機関の総会に上程するかどうかの賛否が問われ、全メンバー30人のうち出席者20人で採決されたが、最終的に反対多数で否決された。
 会員の代表者で構成する常議員会は、さまざまなテーマを個別に議論する委員会が作った決議案について協議し、賛成多数なら総会に上程する。通常は形式的な質問があるだけで議案は“素通り”するが、この日は違った。
 「死刑は国家による最大の人権侵害。全ての人の人権を守るのが弁護士会の責務だ」と唱える死刑廃止賛成派。これに対し、反対派は「人権に名を借りた政治活動と同じ。賛否が決して交わらない問題は内部対立を生む。強制加入団体の弁護士会でやるべきではない」と猛反発した。
 普段は数分で終わる議論は1時間近くを要した。結果、決議案は総会に上程される前に常議員会で否決されたが、反対した吉村弦(ゆずる)弁護士は「事前に各方面への協力依頼をしなければ、今頃総会を通っていたかもしれない」と振り返る。
 熱心な廃止賛成派
 実は昨年2月、同じ決議案がすでに常議員会に諮られ、一度は賛成多数で通過していた。だが新型コロナウイルスの影響で総会が中止になり、メンバーが変わった今回、再び審議の対象になったという。
 こうした動きを受け、吉村弁護士ら有志6人は昨年秋、「決議に反対する有志の会」を結成。再び総会に上程された場合、決議に反対なら委任状で態度を明確にするよう、他の会員に働きかけた。テレビでも活躍する北村晴男弁護士(東京弁護士会)も本紙で死刑廃止決議の問題点を論じており、その記事も添えて理解を求めたという。
 兵庫県弁護士会が令和元年12月に行ったアンケートでは、死刑廃止決議に賛成49%、反対44%で賛否は拮抗(きっこう)。有志の会の本郷秀夫弁護士は「賛否は真っ二つ。反対運動などやりたくないが、決議が通れば兵庫県弁護士会の総意のように誤解される。見過ごせない」と語る。
 決議案を検討してきたのは、数年前にできた死刑制度検討協議会(委員会に相当)。メンバーでもある本郷弁護士は「私は反対したが、出席者は死刑廃止派が多く、そうした熱心な方々の声で決まった」と話す。
 一方、吉村弁護士は「死刑は残すべきだと言うと、先輩から『君は人権派じゃない』と言われたという人もいる。先輩やお世話になった人とは異なる意見を言いにくい若手も少なくない」と、弁護士会特有の空気を指摘する。
 同協議会のメンバーは30人以上。だが、通常の会合は5~6人しか出席しないのが通常だ。メンバーではない吉村弁護士は「決議案の存在を常議員会まで知らなかった。そうした協議会があると知らない人もいるのでは」と指摘する。
 廃止賛成派からは「来年度以降もやる」と聞いた。本郷弁護士は「それでは勝つまでジャンケンだ。否決は重大な結果。軽々に蒸し返したり、無理に多数決を取って対立をあおったりすべきではない」と訴える。
 意思表示せぬ弁護士も
 近年、全国各地の弁護士会では、死刑の廃止や執行停止を求める決議案の採択が相次ぐ。日弁連が平成28年の人権擁護大会で、「2020(令和2)年までに死刑制度廃止を目指す」との宣言案を賛成多数で採択したことも関係しているとみられる。
 ただ、全会員の過半数に及ばない票数で採決されるケースも多い。北村晴男弁護士は「一部の賛成で決まったのに投票率などの詳細を明示せず、結果だけ公表する会が多い。これでは全員の総意かのように誤解を与える」と批判する。
 兵庫の否決は「歓迎すべき結果。他の会でも同じ動きが起きてほしい」と評価する北村弁護士。一方、総会に委任状を返さず賛否の意思を明確にしない弁護士も多いとして、「意思表示しなければ一部の活動家の思うつぼ。決議されてからでは遅い」と訴えた。」
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 2月4日 産経WEST「死刑廃止宣言「無効」訴訟 日弁連など争う姿勢 京都地裁
 死刑制度の廃止を目指すとした日本弁護士連合会の宣言が会の目的を逸脱しているなどとして、京都弁護士会(京弁)の南出喜久治(きくぢ)弁護士が日弁連や国を相手取り、宣言の無効確認などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が4日、京都地裁(井上一成裁判長)であり、被告側が争う姿勢を示した。
 被告側の日弁連と国、京弁はそれぞれ請求棄却を求める答弁書を提出。南出弁護士は「強制加入団体の日弁連が弁護士法の目的を逸脱し、多数決で政治的意見を表明することが許されるのか。サイレントマジョリティー(物言わぬ多数派)の声を代弁した訴訟で問いたい」と意見陳述した。
 訴状によると、日弁連は平成28年の人権擁護大会で「2020(令和2)年までに死刑制度廃止を目指す」との宣言案を賛成多数で採択したが、死刑制度の考えは個人で異なり、日弁連が多数決で決める事柄ではないとしている。
 また、京弁は平成24年、死刑廃止の決議案採択を目指したが、反対多数で否決。だが、事実経過をホームページ(HP)で公表せず、死刑廃止を求める会長声明を掲載し続けており、今回の訴えではHP上からの声明削除も求めている。」
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