🎴3〉─4─2025年。人口激減で東京モデル「古き良き東京」は終焉し数多くの仕事が消えていく。~No.14 

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 2022年3月13日 MicrosoftNews 東洋経済オンライン「日本人がしがみつく「東京モデル」の悲しい結末 河合雅司×牧野知弘「人口減少で仕事はどうなる」
河合 雅司,牧野 知弘
 © 東洋経済オンライン 東京都の総人口がピークアウトした後、東京圏はどうなるのでしょうか?(写真:まちゃー/PIXTA
 累計90万部超のベストセラー『未来の年表』シリーズの著者で、人口減少問題の泰斗である河合雅司さん。『空き家問題』(不動産協会賞受賞)の著者で、不動産分析の第一人者である牧野知弘さん。2人が東京の、日本の未来について徹底対談しました。まずは、河合さんの説明から──。
 2025年に起こること
 河合雅司(以下、河合):新型コロナウイルスの感染が拡大した当初、東京一極集中に歯止めがかかることが予想されました。テレワークが一挙に広まったこともあり、過密な東京を脱出する人が増えるだろうとの見立てです。
 しかし、実際は東京都への転入超過に終わりました。集まってくるのはヒトだけではありません。資本や投機などのマネーも、巨大マーケットを取り込むべく流れ込んでいます。東京には資本金10億円以上の企業の6割が立地し、外資系企業の86%が本社を置いています。こうして、さまざまなものをのみ込みながら、東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)は3700万人もの人口を抱える世界屈指の人口集積地となったのです。
 ところが、そんな東京に今、大きな転機が訪れようとしています。東京都の総人口が2025年にピークアウトするのをはじめ、東京圏が本格的な人口減少社会へと突入するのです。日本全体の人口が激減し、地方に若者が少なくなってしまったためです。
 変化は人口が減ることだけではありません。地方からの若者の流入が縮小すれば、東京は急速に老け込みます。東京都の80歳以上人口はすでに100万人を超えており、急速な高齢化が予想されます。さらに、若い世代の減少はイノベーションを起こす力や流行の発信力をそぎ、日本経済に深刻な影響を及ぼすでしょう。
 私たちに突きつけられているのは、人口膨張により成功してきた「古き良き東京」を一度捨て去り、人口減少時代に適した「新・東京モデル」へと転換することです。
 前述のように2025年に東京都の人口がピークアウトするわけですから、遅くとも2030年には“激変の入り口”に立ちます。それまでに道筋をつけなければなりません。この数年間が勝負なのです。
 では、現状のまま突っ走ったならば、どんな未来が待っているでしょうか。『2030年の東京』から「仕事はこうなる」を抜粋してご紹介します。
 「東京モデル」の終わり
 河合:日本経済は、2030年になると人口激減の影響が色濃く表れてきます。働く人数が減るということは総仕事量が減るということですので、これまでの人口規模を前提としたビジネススタイルを貫こうとすると、圧倒的な労働力不足に陥ります。これを解決するには、2つのことを同時に達成しなければなりません。
 1つは、成長が期待される分野へと産業構造を集約化していくこと。もう1つは、働くすべての人それぞれのポジションに応じて職能をアップしていくことです。
 大切なのは、1つ目の産業構造の転換です。「AI対応だ、DX(デジタルトランスフォーメーション)化だ」と言っても、それらは手段にすぎません。問われているのは、そうした最先端のデジタル基盤を使ってどのような社会変革を起こし、新しい価値を生み出すかです。日本ならではの成長産業を生み出すことができなければ、それこそ日本沈没シナリオが進むでしょう。
 牧野知弘(以下、牧野):今後、人口減少によって国内マーケットが加速度的に縮むなか、従来のような量的拡大一辺倒での成功は不可能です。たとえ2倍の売り上げをたたき出しても、利益が2倍になっていなければ(利益率が維持できなければ)、労働生産率が下がっているわけですから、それはいいことではなく、むしろ悪いことであると考えなければなりません。そのためには、ジョブ型雇用の促進が求められるわけです。
 河合:企画・開発部門を東京に集中させ、地方に工場を建設して雇用を生み出すモデルは“一億総中流”という幻想を創出し、大量生産を可能にしました。それによって日本は高度経済成長を実現しましたし、働く側も終身雇用、年功序列賃金といった安定雇用を享受してきました。
 しかし、「集積の経済」の成功体験があまりに強かったものだから、多くの工場が海外に移転し、小売業やサービス業が中心となって以降も、東京一極集中がむしろ加速しました。現在の東京は過去の成功体験の余熱で“飯を食っている”状態です。この余熱はあと10年ほど続くかもしれず、私は危惧しています。現在の人口規模を前提とした「東京モデル」を意識の中から早急に捨て去ることが必要です。
 河合:2030年の労働環境を考えてみましょう。2030年に25歳となるのは110万9000人、35歳は125万9000人、45歳は141万人、55歳は184万3000人と、完全な逆ピラミッドです。もちろん、これがそのまま各企業の従業員構成にスライドするわけではありませんが、かつてのピラミッド型に戻すことは無理でしょう。
 従業員構成のピラミッドが壊れると、年功序列による賃金制度がもたなくなります。給与水準の高い中高年が組織に占める割合が大きくなりすぎて、総人件費が膨張するからです。若年層の減少を、定年延長などによって穴埋めしようという企業も増えれば、なおさらです。総人件費を薄切りにせざるをえなくなります。すると、早い段階で昇給カーブが抑え込まれる若い従業員ほど割を食います。結果として、生涯賃金にかなりの差がつくことになり、不満がたまります。
 年功序列が維持できなくなると、終身雇用も崩壊します。長く勤めていても給与が上がるとは限りませんから、よりよい条件を求めて職場を移る人が増えるでしょう。各職場で世代交代が行われづらくなるわけですから、組織の新陳代謝が進まず、「馴れ」やマンネリが起こるようになります。年功序列も終身雇用も、つねに社会に一定規模の若年層がいるから成り立つ仕組みなのです。
 さらに、雇用の偏在も懸念されます。若年層の絶対数が減るのですから、成長産業やリーディングカンパニーが若くて有能な人材を囲い込み、そうではない企業・職場は思うように人材を確保できなくなるかもしれません。
 日本企業が成長しない理由の1つに、日本人全体のスキル不足があります。人口が減っていくのですから、個々人のレベルアップを図らなければ、生産性は上がりません。
 それは雇用の流動化と表裏の関係にあります。能力が上がれば、もっと給与の高い仕事に就きたいと思うのが当然で、転職が活発化するからです。このように、日本社会全体として個々人の能力を向上させながら雇用の流動化が進む状況を作っていかないと、いつまで経っても成長分野が育ちません。
 これまでの仕事を棚卸しし、自身の職能に気づく
 牧野:私は大学卒業後、銀行(第一勧業銀行、現みずほ銀行)→コンサルティング会社(ボストンコンサルティンググループ)→不動産会社(三井不動産)と渡り歩いてきましたが、自身の職能が1本でつながっているのは、自ら能力、そしてジョブ機能を磨き続けてきたからです。
 能力と言うと、きわめて高い水準をイメージしがちですが、自分の「得意なこと」「できること」であり、それはこれまでこなしてきた仕事を棚卸しすることで、わかります。要は気づくか、気づかないかです。
 河合:雇用の流動化に関しては、副業・兼業の広がりが背中を押すきっかけの1つとなりそうです。本業に生かしたいとか、家計の足しにしたいという動機で始める人も多いですが、その経験はスキルアップにつながります。転職にまで発展しなくとも、定年後の再就職において有利に働くことでしょう。
 企業にとっては、副業・兼業はDXを推進するにあたって労働生産性の低いベテラン社員を減らす体のいいリストラ策となっている側面もあります。日本では、簡単には従業員の首を切ることはできません。企業の本音としては「副業・兼業を認める代わりに給料を抑えます。それが嫌なら自発的に辞めてください」ということです。
 (次回のテーマは「街、住まいはこうなる」です)」
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