🌁38〉─3─日本人富裕層は子供の教育の為に日本を脱出する。~No.161 

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 2023年11月8日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「オワコンの国「日本」を脱出する富裕層、実はいま「子供の教育」のための海外移住が増えている……!
 10月15日、「2ちゃんねる」開設者で実業家のひろゆきこと西村博之氏がXを更新し、日本で経済的に豊かな層では、子供たちを海外で暮らせるようにする親の動きがあると指摘した。発言のなかで「(日本は)長期的にオワコン傾向だと考える割合が、結構高いんだろうな」と続けていた。
 外務省の調査によると、長期滞在者と永住者を合わせた海外在留邦人数の推計推移は、1989年には58万6972人であったのが、2022年には130万8515人と2倍以上に増えている。
 特に、富裕層が海外へ移住する理由としてよく言われるのが、日本政府が資産に対する課税強化を行ったことだ。所得金額が4000万円を超える人の所得税率は45%、また2015年の税制改定により相続税は最高で55%の税率となり、OECDに加盟している先進国のなかでは4番目に高い税率とのことである。
 こうした高い税率に辟易して国外逃亡する富裕層も多いと言われるが、実際のところ、どういった事情で海外に移住するケースが多いのだろうか。富裕層が海外移住する目的や日本社会における影響について、多くの日本人の海外移住をサポートしてきた株式会社アエルワールドの大森健史氏に解説していただいた。(以下、「」内は大森氏のコメント)
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 何度かあった「海外移住ブーム」
 まずは日本から海外へ移住する人の割合はどのような変化があるのか聞いてみた。
 「海外移住する方々は年々確実に増えています。私が運営する会社は2004年に創業しましたが、この約20年間のうちに何度か海外移住ブームが起こっていました。
 第一次ブームは、2004年から2006年あたりまでに起こった海外に長期滞在をするロングステイブーム。第二次ブームは、2011年に起こった東北大震災の影響で、原発事故への不安から海外移住する人が増えたこと。
 そして、最近の海外移住ブームの契機となったのがコロナ禍です。どこにも行けず、お金の使いどころがなかった経済的に豊かな人たちのストレスが、コロナ禍が終息してきた現在、海外移住の流れに繋がっていると考えられます。何かに投資したいという潜在的に溜まっていた欲望が、コロナ禍によってより顕著になったのではないでしょうか。
 また、コロナ禍が始まってから、世界で株価が上昇し資産インフレが起きたことで、海外に資産運用の拠点を移す人が増えたことも一因です。コロナ前の2018年から2022年の当社の売り上げの推移を見ると約2.5倍伸びています」
 どんな国が人気?
 震災やコロナ禍など不安定な情勢や資産価値の変動によって、海外移住を選択する人が増えているとのことだ。では、海外移住先としてどんな国が人気なのだろうか。
 「現在移住先として人気な国は分散していて、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど欧米系の国々や、タイ、フィリピン、シンガポールなど東南アジアの国々、そしてドバイです。コロナ禍前までは、日本からも近く税金も安いシンガポールが特に人気でしたが、ここ最近では、円安の影響と不動産価格の上昇によって、シンガポール都心部の家賃は80平米から90平米で、80万円から100万円と高騰してしまいました。
 また、去年まではドバイとポルトガルが人気の移住先で、当時の都心部の家賃は80平米から90平米で約40万円と比較的リーズナブルでした。しかし現在では、シンガポールと同じく不動産価格が上昇し、同じ広さの物件でもおよそ80万円から90万円と一気に高騰していて、倍以上の家賃となっているようです。そういった円安と世界的な物価高の背景から、現在では特にお得な移住先となる国はないので、結果的に分散化しているのではないかと考えられます」
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 「子どもの教育」のため移住する富裕層
 では、海外移住する人のなかでも、資産が1億円以上の富裕層はどういった目的から海外移住することが多いのか、解説していただこう。
 「富裕層の方々が海外移住する主な理由は子どもの教育のためです。海外移住組に多い年齢層はだいたい30代から50代で、家庭を持っている方が多いです。経済的に余裕があると、結婚して子どもを持つ人の割合も高くなる傾向がありますが、そういった経済的に豊かな家庭では、昨今のグローバル化の影響により、子どもの教育に関して日本以外の環境に視野を広げる人が増えました。やはり子どもにネイティブな英語を身に付けさせたいという親御さんが多いのでしょう」
 最終的には帰国するケースがほとんど
 海外移住する富裕層の目的は「子どもの教育」が大半とのことで、冒頭で紹介したひろゆき氏の発言は的を射ていたようだ。
 増え続けている富裕層の海外移住だが、富裕層には実業家や医者などエリート層の割合が高いと推測できるだろう。そうした人々が日本から出て行ってしまうことで、日本社会にどんな影響があるのだろう。
 「海外移住者は増えてはいますが、そこまで大きな影響はないと考えています。実は海外に永住する割合は多くなく、一時的に移住しても最終的には日本に帰国するというケースが大半だからです。
 先ほど富裕層の海外移住の主な理由が、子どもの教育のためだと解説しましたが、英語教育に関して、日本は先進国と比べて遅れを取っていますが、生活面では日本のほうが暮らしやすく優れていることもあります」
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 暮らしやすさという魅力
 「逆に海外の富裕層が日本に移住するケースも多々ありますが、それはクオリティの高い商品やサービスが安く手に入るという暮らしやすさに惹かれるからなのです。ですから海外に移住する日本の富裕層は、子どもの教育という目的を終えれば、再び日本に戻って生活するパターンが多いので、日本から富裕層が全くいなくなるということはないでしょう。
 また海外移住する富裕層は、日本での事業をいったん終えてから移住したり、移住先からリモートワークで日本の仕事をしていたりする方が多く、海外に拠点を移したとしても日本の産業にはあまり影響はないと考えられます。海外から帰国した後は、ビジネスを始める方もいますし、日本での仕事に戻る方もいらっしゃいます。富裕層が海外移住することで、日本にとっては政府の税収が減るというデメリットはあるかもしれませんが、それは一時的なものにすぎません」
 日本は教育やビジネス面以外では必ずしも“オワコンの国”ではなく、暮らしやすさという魅力もあるようだ。
 長期的に見れば日本にとってメリット
 日本から海外に移住する人たちが増えることで、日本社会に特にマイナスとなるような影響はないとのことだが、逆にメリットとなることはあるのだろうか。
 「海外移住する方々が増えることは日本社会にとって長期的なメリットになると思います。子どもの教育のために移住し、のちに日本に戻ることは、すなわち世界に通用するような人材を日本に持ち帰ってきてくれるということ。
 海外で過ごすことで養われた価値観やさまざまな経験を日本に戻ってから生かして活躍する若い世代が増えれば、それは日本社会を元気づける大きなメリットだと言えるでしょう。
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 ですから経済的に余裕があり、海外で暮らすことに興味がある富裕層の方々には、海外移住を積極的にしていただき、たくさんの経験を持ち帰って日本で生かしてもらいたいです。日本人の海外留学自体が減少しており、そのことが問題視されていることもあるので、むしろ日本国内にとどまっていることのほうが、日本社会が停滞していく原因になるのではないでしょうか。私はそんな富裕層のチャレンジに期待しています」
――富裕層が海外に移住することは、日本が本当に“オワコン”になることを防ぎ、国として再成長していくカギになるのかもしれない。
 (取材・文=瑠璃光丸凪/A4studio)
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