🚱22〉─1・A─日本から「路線バス」が消える日。ほぼすべての事業者が「赤字」の衝撃。~No.91 

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 2024年4月11日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「日本から「路線バス」が消える日…ほぼすべての事業者が「赤字」の衝撃
 日本から「路線バス」が消える日…ほぼすべての事業者が「赤字」の衝撃
 © 現代ビジネス 提供
 国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。
 ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。
日本の地方で「未来都市」が実現?
 以前、朝の情報番組 「グッド!モーニング」で地方発イノベーションの可能性が取り上げられた。
 「世界一自動運転が進んだ街」として紹介されたのは、人口2万4000人の茨城県境町。ここでは、「自動運転バス」が1日18便運行し、「未来都市」が実現しつつあるという。
 運転席がない自動運転バスは時速20キロで4キロの走行し、役場や病院、銀行、学校、道の駅など回る。遠隔監視システムを使って自動運転バス3台を監視しており、これまでに事故はないとのことだ。
 2年前から定期運行し、累計1万2000人が利用。「病院とか銀行お金をおろすのに、こういうのがあると助かる」といった町民のコメントも紹介された。
 ここに、日本の未来の姿があるのか——。
 番組内で、この自動運転バスのサービスを提供するBOLDLY代表取締役社長兼CEOの佐治友基氏は、当初から「巨大IT企業を意識していた」「ニーズの最先端はアメリカや中国よりも日本の田舎にある」「日本での成功を世界で横展開できる」と語っていた。
 その言葉のとおり、ドイツなど海外からも視察もあることや、年間約7億円の経済効果を生んでいることなどが紹介された。
 ローカルでは「多極集中」がより重要に
 少子高齢化時代、地方・ローカルにこそイノベーションの可能性があるのか。
 『未来の年表 業界大変化』著者の河合雅司氏は「みんなで力を結集してやっていくという意味でも、地方の方がやりやすい。少子高齢化が逆にステップアップするチャンスになる」と語る。
 『未来の年表 業界大変化』では、乗り合いバスの赤字の実態や地域の商圏人口(周辺人口)を維持する必要性について解説している。
 〈国交省の「2022年版交通政策白書」によれば、2020年度は乗り合いバス事業者の99.6%が赤字であった。同年度の廃止キロ数は鉄道が146.6キロメートルに対し、路線バスは1543キロメートルだ。路線バスの廃止キロ数は2010~2020年度の累計で1万3845キロメートルに及ぶ。〉(『未来の年表 業界大変化』より)
 乗り合いバス事業者は「99.6%が赤字」という衝撃的な現実があるものの、自動運転バスに置き換えが起き、地方の商圏で経済効果を生み出す可能性がある。
 『未来の年表 業界大変化』の第2部では、「『多極分散』ではなく『多極集中』で商圏を維持する」ことの必要性・重要性を解く。
 〈人々がバラバラに住むことで商圏人口が著しく縮小したならば、企業や店舗は経営が成り立たなくなり、撤退や廃業が進む。民間サービスが届かなくなればさらに人口流出が速まり、ますます企業や店舗の撤退、廃業が加速するという悪循環となる。
 「多極分散」では行政サービスや公的サービスもコストパフォーマンスが悪くなり、国家財政や地方財政が悪化する。やがて増税社会保険料の引き上げにつながり、国民の可処分所得が低下するのである。
 国交省の資料によれば、全国の居住地域の51.0%で2050年までに人口が半減し、18.7%では無人となる。社会インフラや行政サービスを維持するには、ある程度の人口密度が必要なのである。〉(『未来の年表 業界大変化』より)
 過疎化・無人化がますます進む地方で、少子高齢化を逆転の機会とできるか。まずは、「多極集中」を徹底するしかない。
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🚷19〉─4─結婚したくてもできない男性が増加中。もう止められない日本の少子化~No.93 

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 日本をダメにする最大の原因は、中華儒教や西洋キリスト教の影響を受けた男性上位・男尊女卑・女性蔑視であった。
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 2024年4月11日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「結婚したくてもできない男性が増加中…もう止められない日本の少子化「深刻すぎる現実」
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 国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。
 ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。
※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。
 少子化傾向は反転できるのか?
 「2030年代に入るまでのこれから6年7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」――そう意気込む岸田首相の「異次元の少子化対策」で、この国の人口激減問題は解決するのだろうか。
 累計100万部を突破した『未来の年表』シリーズの著者で人口減少問題の第一人者である河合雅司氏が、以前BS-TBS「報道1930」に出演した際、政府の少子化対策の「大いなる誤解」を指摘した。
 それは、出生率が上がったとしても、出生数は減っているという事実だ。
 実際、2000年から5年ごとの出生率はを見ると、2015年くらいまで若干上がっている。一方で、出生数は106万人から100万人に減り、2022年の出生数が80万人割れとなったことも記憶に新しい。
 そもそも子どもを産みうる女性がいない
また、25歳〜39歳の女性人口の減少は少子化の決定的な要因である。2000年に1292万人だったのが、2020年には959万人と、26%も減少しているのだ。さらには、2046年には711万人(2021年の0〜14歳人口)という数字も出ている。そもそも子どもを生む女性の数が減っているのだから、出生数が減るというのは当然の帰結なのだ。
 25年後までの未来はすでに決定しており、出生数の減少は最低でも100年は止まらない――。河合氏は次のように述べた。
 「少子化の理由は、政策の間違いだけではなく、子どもを産みうる女性の数が激減期に入っているだけです。政策が効果を上げて率は上がっても数は減ります。今の対策はスピードをゆるめるくらいの効果しかありません。
 総理は少子化の傾向を反転させると言っていますが、これは政治的なスローガンであって、出生数減を前提にどのような社会をつくっていくかのが大事になります。出生数の減少は20年後の労働力人口の減少とイコールなので、働く人が減りマーケットが縮んでも、日本の豊かさをどう維持していくかを考える必要があるのです。
 出生数の減少は、政府の低位推計に近い進み方になっています。このペースでいくと、出生数がたった20万人の時代もやってきます。政府がやった感だけ出す少子化対策子育て支援策を打ち出しても、社会が縮んでいくでしょう」
 では、何をすべきなのか?
 番組では、「多死社会」対応策をすべきではないかという話題に。2040年の年間死亡者数は168万人、出生数は74万人、生まれる人より亡くなる人の数が100万人近く多い未来がやってくる。
 そのときの社会はどうなっているかといえば、火葬場不足、消費激減、社会保障費増加、自治体消滅、人材不足、労働人口不足、介護難民……日本全国で課題が山積している状態になるだろう。
 河合氏の見解――。
 「人口減少で『多死社会』になると、社会が混乱し、経済が縮小し、若い世代が社会に希望が持てない状況だったら、もっと子どもを産まなくなります。
 『低出生率の罠』と言われるものがあるんですが、出生率が低い状況が続くと子どもがいないことを前提に社会が形成されるようになります。すると、子育てコストが高くなり、ますます子どもを産み育てることが『損』という価値観が蔓延していきます。
 子どもの未来を考えると、明るい未来が見えなくなるわけです。そう考えると、最大の子育て支援策は経済です。政府が、人口減少でも経済成長できるというメッセージを出さないと、多くの人が不安で子どもを持とうと思わないでしょう。
 決まった未来でもう一つ厳しいことを言うと、30年後の30歳人口は今の7割ほどになります。そうなると、自衛隊や警察官が機能しなくなります。目の前の日常生活のありとあらゆることが崩れていくのです」
 結婚したくてもできない…
 番組では、海外事例も取り上げ、ドイツが出生率を反転できた理由を紹介。ドイツはフィンランドなどの政策を参考に、女性が働きやすくなるように3歳以下を対象とした保育施設を拡充や両親手当の導入・拡充をおこなった結果、出生率が回復(2021年1.6)した。
 両親手当は、給料の3分の2を国が支払うしくみで、一人が取得する場合は最大で12ヵ月(上限25万円)、夫婦ともに取得すれば最大14ヵ月取得でき、男性も50%が取得しているという。
 河合氏は日本とドイツの状況の違いを指摘した。
 「日本の少子化は、結婚が阻害要因になっています。つまり、結婚をしたくてもできない状況があります。
 他方でドイツがなぜうまくいったのか。出生率が伸びた時期には、経済、若者の雇用の状況が良かったからです。そこが日本との最大の違いでしょう。
 日本で男性の子育て参加の文化を根付かせることも大事ですが、それ以前に、結婚したくてもできない人をどうサポートするかに力を入れた方がいいと思います」
 「少子化対策において言うと、飛行機に乗れなくて困っているのに、機内サービスばかり充実しても……というような感じです。
 また、一番の少子化対策は、政府も企業も『日本には未来がある』というビジョンを出していくことです。それがないと、どんな対策も焼石に水で終わるでしょう」
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⛲38〉─8─「おひとりさま」の男性はなぜ早死にしやすいのか。孤独死の4割は60歳未満。~No.234No.235 

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 2024年4月8日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「おひとりさま」の男性はなぜ早死にしやすいのか?科学が明らかにする「孤独」「孤立」の死亡リスク

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 生涯独身の男性の平均寿命は、67歳……。こんなショッキングなデータが存在するのをご存じだろうか? 近刊『老後ひとり暮らしの壁』の著者で、遺品整理・生前整理などの事業を手がける山村秀炯氏が、「おひとりさま」の男性が早死にしやすい科学的理由と、「結婚する」以外の解決策を提示する。

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 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ”
 科学的に解明されてきた孤独の死亡リスク
 「孤独・孤立が寿命を縮める」といわれています。
 NHK健康チャンネルによれば、死亡リスクを増加させる要因として、肥満、過度の飲酒、喫煙などと並べて「孤立(社会とのつながりが少ない)」を挙げています。なんと、この4つの中で、「孤立」が最も死亡リスクを上げてしまうというのです。
 NHK健康チャンネルの元ネタになっているのは、アメリカのブリガムヤング大学のジュリアン・ホルト・ランスタッド教授による2015年の論文です。
 同教授は、148の研究、30万人以上のデータをメタ分析して、死亡リスクの上昇率は、「社会的孤立」で29%、「孤独感」で26%、「一人暮らし」で32%と結論付けました。
 社会的なつながりが少なくて、孤独感を感じていて、ひとり暮らしであると、そうでない人に比べて死亡リスクは約1.9倍になってしまうのです。
 同教授の以前の論文では、孤独であることの死亡リスクは、「1日たばこを15本吸うことと同等」であり、「アルコール依存症であると同等」であり、「運動をしないことよりも高く」、「肥満の2倍高い」とされています。
 喫煙や飲酒は定量的なデータですが、孤立かそうでないかのボーダーラインはどこにあるのでしょうか。
 同研究によれば、「社会的孤立」は客観的な他人との接触率で、「孤独感」は主観的な感覚でした。つまり主観的には「ひとりでいて幸せ」と感じていたとしても、実際に他人との接触やコミュニケーションが少ない場合は死亡率が高まっていたのです。
 孤独感が身体に「炎症」を発生させる?
 なぜそのようなことが起きるのか、都内でメンタルクリニックを経営する精神科医・江越正敏先生は次のように考えています。
 「孤独が寿命を縮めるという論文は珍しくありません。2012年のカリフォルニア大学の研究でも、60代以上の高齢者において孤独が死亡率を1.7倍高めることが報告されています。また、2014年のシカゴ大学のカシオッポ博士の研究でも、孤独感が交感神経の緊張の増加、炎症制御の低下、睡眠の減少を引き起こすと報告されています」
 「孤独感というのは純粋に身体に影響するのです。別の研究では、孤独により、全身の炎症が強まるとの報告があります。炎症とは、風邪のときに喉が赤くなって、痛みを感じる状態のことです。風邪を引いて喉が痛くなっても数日すれば痛みや赤みは引きますよね。これを炎症が引いたと表現します。
 風邪による炎症は一時的ですが、孤独による炎症はずっと続いてしまいます。孤独が続くと体がずっと風邪を引いているような状態になってしまうので、うつや認知症、心臓病など様々な病気を引き起こしてしまうんですね。他の研究においても、孤独によって心臓病やうつ病が引き起こされるといわれています」
 孤独が健康に害を及ぼすというのは、生理学的にも事実らしいということ。
 孤独研究の第一人者であるカシオッポ博士は、孤独感は睡眠不足や血圧上昇を招き、ストレスホルモンであるコルチゾールの上昇や、免疫細胞の遺伝子レベルでの変化などを引き起こすとしています。
 「原因不明の痛み」は孤独感からきている?
 江越先生によれば、独身または離婚した人は、結婚している人に比べて孤独スコアが高く、それはうつ病の発生確率と正の相関関係があるそうです。
 孤独スコアは性別、年齢、社会経済的地位とは無関係とされているのですが、一方では、女性より男性のほうが孤独感を感じやすいとする研究もあります。
 これは精神科医として様々な患者さんとお話しする中での実感でもあるそうです。
 一般に、男性のほうが孤独について周囲に伝えることが苦手であり、男性が孤独であると周囲に助けを求めると、女性の場合よりも話を聞いてもらえなかったり、非難されやすかったりするからです。
 みずほリサーチ&テクノロジーズが2022年に行った調査では、ひとり暮らし高齢男性の15%が「2週間内の会話が1回以下」だったとされています。これは女性の場合の3倍の割合です。
 ですから、独身でひとり暮らしの中高年男性は最も孤独を感じやすく、身体的にも精神的にも病みやすいと自覚しておいたほうがよいのです。
 女性に比べると、男性のおひとりさまはメンタルを病んでクリニックを受診する確率が圧倒的に多いそうです。
 江越先生のクリニックで最もよく見るのは、未婚の独身男性。彼らは頭痛、腹痛、腰痛、あるいは胸が痛いとか、目が痛いなどの症状を訴えるのですが、原因は心にあります。心の奥では「結婚したいけどできない」ことに無自覚に悩んでいて、それを表立って口にできないために身体症状として表れてしまうのです。
 痛みがともなうので最初は内科を受診するものの、これといった原因が見つからず、不定愁訴として精神科を紹介されるパターンが多くあります。
 人間は不快なことを我慢し続けていると、コルチゾールが増えて、最終的に痛みや炎症が発生するようにできています。それが前頭葉神経細胞を不活化させて、うつ病になるのではないかと考えられています。
 ですから、いま原因不明の痛みがあるという方は、それはもしかすると「孤独感」からくるものかもしれません。もちろん女性であっても同じです。
 「結婚すること」だけが解決策ではない
 江越先生はその解決策として、最も手っ取り早いのは「結婚すること」だといいますが、手段はそれだけではありません。
 そもそも、おひとりさまにはそれぞれの事情があります。結婚したくない人もいれば、すでに離婚したり配偶者に先立たれたりして、再婚する気がない人もいます。
 ここで注目したいのが「孤独」と「孤立」という言葉の使い分けです。
 「孤独」というのは「寂しい」という心理状態です。一方、「孤立」というのは他者との接触やコミュニケーションが少ないという物理状態です。
 この「孤独」や「孤立」を解消できるのであれば、結婚にだけこだわる必要はありません。
 たしかに結婚して家族を持てば日常生活における「孤独」や「孤立」は解消されるかもしれません。子どもが生まれれば、単純につながる人数も増えますし、社会的なつながりが嫌でも増えていくこともあるでしょう。しかしひとり暮らしであっても人間関係や社会的なつながりは作れます。
 ちなみに、フランスでは1999年以来、結婚数は減少を続けています。これは同年にパックス(PACS)という事実婚を認める契約制度が作られて、結婚せずに事実婚のまま子どもを作っても、不利益がほとんどなくなったからです。
 また、2004年に離婚の手続きが改正されて簡単になってから、フランスでは離婚数も増えています。恋愛の国フランスでは、いずれお互いに新しい相手が見つかって離婚するのであれば、最初から正式な結婚ではなく事実婚でよいと考える人が増えているのでしょう。
 結婚するということは、相手から「死ぬまであなたと一緒に暮らしたい」と承認されることですし、自分の家庭という所属先ができて、愛情を受け取ることができます。
 しかし、人によっては配偶者からいつも文句を言われるなど、想定していたような承認を受け取ることができず、家に帰りたくないからと夜遅くまでバーやスナックでお酒を飲んでいる人も少なからず存在します。家庭が安らぎの場所ではなく、所属感よりも責任やプレッシャーを感じてしまう人もいるのです。
 山村 秀炯(株式会社GoodService代表)
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 2024年3月25日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「孤独死」の4割は「60歳未満」の現役世代だった…発見までに時間がかかる「おひとりさま」の悲しい現実
 山村 秀炯株式会社GoodService代表
 近年、社会問題となっている「孤独死」。死後何日も発見されないケースでは、目を覆うばかりの凄惨な状況に……。近刊『老後ひとり暮らしの壁』の著者で、遺品整理・生前整理などの事業を手がける山村秀炯氏が、自身が経験した現場のリアルな様子と、「おひとりさま」がこのような最期を迎えないための方策を教える。
死後数日で現場は凄惨な状況に……
 とある「おひとりさま」の話をさせてください。
 その方は30代の男性で、独身で賃貸アパートの2階でひとり暮らしをしていました。
 まだ若いのですが肥満体質で、糖尿病と高血圧をわずらっていました。
 その病気が原因で自宅で亡くなったのですが、救急車を呼ぶこともなくひっそりと亡くなったので、誰にも気づかれないままに何週間も経過してしまいました。
 仕事はしていたのですが、どうやら毎日オフィスに出勤するような働き方ではなかったようで、連絡が取れなくなっても自宅まで訪ねる人がいなかったようなのです。
 普段からきちんと連絡するようなタイプでないと、特に若い男性の場合は、衝動的に旅に出るなんてこともあるだろうと、それほど心配もされません。
 人間は生物なので、亡くなってから数日でご遺体が腐り始めます。
 それが夏場だったりすると、何週間も経つうちに体が溶けて体液が床を汚します。
 虫が湧いて、ひどい悪臭を発します。
 最終的に下の階の天井に染みと臭いが出てきて、大家さんにクレームが入り、ご遺体が発見されました。
 こうして、大家さんから部屋を借りるときの保証人になっていた親族に連絡が入り、その親族から私のところに「遺品整理」のご依頼がありました。
 「おひとりさま」は発見まで時間がかかる
 自宅での変死となると警察が来て捜査をするのでご遺体そのものを見ることはなかったのですが、体液による汚れと臭いと虫の群れは、私が訪問したときにも残っていました。
 再び人に貸せるように徹底的に臭いをなくしてほしいという大家さんの希望で、遺品整理と特殊清掃を行いました。体液が下の階にも浸食していたので、下の階の人には一時的に引っ越していただきました。
 床を広げると亡くなった場所から3メートルくらいの範囲まで体液が広がっており、広範囲に悪臭の元があって、すべて洗浄した後にコーティングをしていく作業を行いました。
 下の階も同様に天井を一部解体して、コンクリートの隙間から垂れていた目地のコーティングなどを行い、遺品整理と特殊清掃を合わせて費用は何十万円にものぼりました。
 いかがでしょうか。このように、おひとりさまの場合は、亡くなってから発見されるまでに時間がかかってしまうこともあります。常に連絡を取り合う家族や友人がいないと、なかなか気づいてもらえないのです。
 故人が仕事をしていれば職場の人が異変を察知したりします。それもなければ近隣住人が異臭に気づいたり、あるいは郵便受けにチラシや新聞が溢れかえっているのをきっかけに、管理人に発見されたりします。
 孤独死した方が発見されるまでの平均日数は、18日だそうです(一般社団法人日本少額短期保険協会孤独死対策委員会「第7回孤独死現状レポート」2022年)。
 「孤独死」の4割は60歳未満の現役世代
 遺体は夏場なら1~2日、冬場でも数日で腐敗が始まります。もし自分の遺体が腐敗してしまうとしたら、いい気分はしません。
 孤独死が「死の瞬間にひとりである」こととするなら、ある程度は仕方のないことだと思います。
 本当に問題となる「孤独死」は、死後に何週間も発見されず、ご遺体が腐敗してしまうなど、故人の尊厳がおかされるケースです。この場合、ご遺体のあった場所なども汚損されてしまうため、その部屋の所有者などにも迷惑がかかることになります。
 そのため、賃貸住宅を提供している都市再生機構(UR)は、死後1週間以内に遺体が発見されたケースは孤独死の統計に含めないとしています。実際、「孤独死」の4割以上は、死後3日以内に発見されています。
 また、厚生労働省自治体は、本当に問題なのは自宅で看取られずに亡くなる孤独死ではなく、社会的に孤立している単身者が自宅での死後に長期間発見されないことだとの考えから「孤独死」ではなく「孤立死」という言葉を積極的に使用しています。
 また日本少額短期保険協会孤独死現状レポートによると「孤独死」の平均年齢は61~62歳で、平均寿命よりも大幅に短いことも問題視されています。「孤独死」の4割は、60歳未満の現役世代なのです。
 この理由として、「孤独」であることが寿命を縮めているのではないかと考えられています。
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¥50〉─1─「日本がダメなら海外へ」は通用しない。~No.240 

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 2024年4月3日 YAHOO!JAPANニュース THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)「「日本がダメなら海外へ」は通用しない…元・味の素マーケティングマネージャーが教える、海外ビジネスでの“勝ちパターン”
 「つくれば売れた」時代は過ぎ去り、いまや「絶対に買いたいものはあまりない」時代。従来の考え方で商品を開発し販売しようとしても、かつてのようなヒットを望むことはできません。モノを売るには、今日において求められるマーケティングを考える必要があります。中島広数氏の著書『グローバルで通用する「日本式」マーケティング術』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、今回は「グローバルマーケティング」の歴史と変化を見ていきましょう。
 ネット普及により、グローバルマーケティングの概念が変わった
 『1からのグローバル・マーケティング』(碩学舎)によると、国を超えたマーケティングは、第二次世界大戦後の1950年代にアメリカではじまっています。
 当初はアメリカ企業がヨーロッパや日本などに輸出をするにあたってマーケティングの考えを適用し、「輸出マーケティング」という形で展開されます。そこでは国内と海外という異なる環境によってマーケティングがどう異なるのかに関心が集まり、環境論的アプローチが重視されます。
 その後、1970年代に入ると、多国籍企業化したアメリカの巨大製造業が主役となり、単に輸出を行うという段階を超え、多数の国に生産と販売の拠点を持つ、企業の国際マーケティングが展開されます。その際、課題となったのが本国と進出した国の間、また進出した多数国間でのマーケティングの標準化・現地化などです。
 さらに進んで1990年代には、欧米の企業に加え、日本の多国籍企業も、世界的な生産・販売拠点の配置を終え、全地球的な視野で全体の調整や統合を考えるグローバルマーケティングが展開されることになります。
 そして2000年代に入ると、先進国市場の成長に限界が見えはじめる一方、中国やインド、ロシア、ブラジルをはじめとする新興国市場の可能性が注目されるようになり、先進国中心のマーケティングから、全地球的な規模のマーケティングへと変化してきます。
 こうした流れは今も同様で、日本式グローバルマーケティングにおいても、
(1)日本国内でまずヒットする
(2)海外に輸出される
(3)現地化する
(4)多国化する
(5)世界規模に広がっていく
 というサイクル自体は、今後も同じサイクルが続くと思います。しかしながら、大きな変化の1つは、「情報が一気に世界中に広がる」という点です。
 たとえば、日本で何が売れているのかについては香港人も中国人もすぐに調べられるし、知ることができますから、日本で売れていない商品を輸出しようとしても、それは不可能です。彼らが欲しいのは日本で売れている、日本のナンバーワンであり、もしそうであれば今日のように情報が一気に広がる時代には、東京も上海も北京も香港も台北の消費者も、同じような情報を得て、同じような購買行動を起こす可能性が高いのです。
 少し前に、日本でもタピオカミルクティが流行しました。これは元々は台湾のものですが、ミルクティー自体は香港でも飲まれており、少なくとも台湾や香港で流行すると、それが中国大陸や日本にも伝わり、ほぼ同時進行のような形で流行するという現象が起きています。
 では、なぜこんなことが可能なのかというと、情報の伝わり方ももちろんありますが、もう1つの理由はそれぞれの国が豊かになり、自国の通貨が強くなったこともあります。日本と台湾、香港と中国では、食べたり飲んだりした時のお金の価値がほぼ同じくらいになったことで、それぞれの国でヒットしたものが、ほとんど時差なく輸出され、受け入れられやすくなったという理由もあります。
 その意味ではマーケティング活動のセオリー自体に大きな変化はありませんが、インターネットの普及によって情報の伝わり方が早くなったことと、元や台湾ドル、香港ドルなどの価値がそれなりに上がり、購買力が高まったことが、私たちより上の世代のマーケティングの常識とは大きく変わってきたというのは頭に入れておくことが必要になります。
 「日本がダメなら海外へ」は通用しない
 [図表1]アンゾフの成長マトリクス
 このように企業にとって世界、特にアジア市場は非常に魅力的な市場となりつつあるだけに、ぜひとも海外市場へと打って出たいところですが、その際に参考にしたいのが「アンゾフの成長マトリクス」と呼ばれるフレームワークです。
 経営を取り巻く環境が大きく変わる中、企業が成長を続けるためにはどのような成長戦略を取ればいいのか、そのヒントとなる考え方が「アンゾフの成長マトリクス」です。考案者のイゴール・アンゾフは、「戦略的経営の父」と呼ばれる、ロシア系アメリカ人の経営学者ですが、その業績の中で最も有名なものの1つです。
 これはビジネススクールでも必ず取り上げるものですが、既存製品、新市場、既存市場、新製品という軸があって、エリアを広げるか、新しいものをつくるか、というどちらから行くかを検討するものです(図表1)。
こうした検討をするにあたって注意しなければならないことの1つは、「日本でダメだから海外に行くか」という、安易に海外という新市場への進出を考えてしまうことです。
 少し考えれば分かることですが、たとえば味の素が日本の食品メーカーのナンバーワンだからと海外に出たとして、そこには日本国内とは比較にならないほどの手強い敵がいるということです。たとえば、海外に行けば、味の素の10倍以上の売上を誇るネスレや、4倍以上の売り上げを誇るユニリーバがいるわけで、安易な気持ちで海外に出たらとんでもないことになるというのが理解いただけると思います。
 同様の話ではトヨタ自動車の元社長・張富士夫さんによると、トヨタは日本国内では圧倒的なシェアを誇っており、アメリカでもかなりのシェアを持っているわけですが、では他の国ではどうかということでかつてヨーロッパの街角に立って通る車を見ていたら、トヨタの車はほとんどなかった。つまり、世界シェアや売上の巨大さだけで判断すると間違いを犯す、というのです。
 2023年の春に上海出張に行った時、私も中国の街角に立って、通る車のメーカーを見ていると、確かに日本車は驚くほど少なくなり、テスラや中国のBYDといった電気自動車メーカーの車が急速に増えていることに気づかされました。世界ナンバーワンの自動車メーカーであるトヨタでさえ、このように日本を出れば十分なシェアがとれない国があるのですから、「日本がダメなら海外へ」と考えている経営者は、海外に行き、その目で「何が売れているか」を見ておく必要があります。
 成長するうえで「新規市場開拓」はとても魅力的ではあるのですが、安易な海外進出はより手強い敵や市場を相手にすると知ることも大切です。
 はじまりはヒット商品、それを生み出すのがマーケティング
 では、アンゾフが言うところの「新製品開発」はどうでしょうか。
 マーケティングの4Pというと、
(1)Product(製品)
(2)Price(価格)
(3)Promotion(プロモーション)
(4) Place(流通)
 となりますが、特に大切なのは「並列の4Pではなく、独創的なProductを」という考え方です。
 私が理想とするマーケティングは次のようなものです。
 「『こういうものがあったら、このような行動が起こるのではないか』という仮説とかアイデアが、情熱とセットになった時、それは仕組み化して事業化できる。今までに見たことがない商品が世に生み出されることによって、新しいバリューチェーンをつくり出す。これが本来のマーケティングである」
 その最も良い例がコカ・コーラです。コカ・コーラは元々エイサ・キャンドラー一族が経営していましたが、1919年にロバート・ウッドラフの父親が買収、ウッドラフに経営を任せたものです。当時のコカ・コーラは借金だらけの厳しい経営を強いられていましたが、ウッドラフは本格的にはじまったモータリゼーションの波に乗るべく幹線道路沿いの看板を買いまくり、コカ・コーラの商標のついたカレンダーやナプキンを全米中にばらまきます。
 さらに第二次世界大戦中には、コストを度外視してどの戦地でも兵士が5セントでコカ・コーラを買えるようにあちこちの戦地に工場をつくります。結果、戦場では数々のコカ・コーラにまつわる伝説が生まれ、コカ・コーラのブランドは、世界一の投資家ウォーレン・バフェットが「一生持ち続けたい」と惚れ込むほどのものになったのです。
 同じく圧倒的なブランドをつくり上げたのが日本の任天堂です。同社は元々はトランプや花札を製造するだけの会社でしたが、1949年に弱冠22歳で3代目社長となった山内溥さんが日本初のプラスチック製トランプやウルトラハンドといったアイデア玩具をヒットさせることで徐々に変貌を遂げ、83年のファミリーコンピュータの発売、85年のスーパーマリオブラザーズの世界的ヒットにより爆発的に成長しています。
 両社ともそれまで世の中になかった製品をつくり、その独創的なプロダクトを広くお客さまに届けるために新しいバリューチェーンをつくり上げています。アップルの創業者スティーブ・ジョブズも、iPhoneiPadなど次々と世界的大ヒット製品を生み出すことで同社を時価総額世界ナンバーワンの企業へと成長させています。こうした企業を見るにつけ、すごい会社をつくるためのはじまりはヒット商品であり、それを生み出すのがマーケティングだと私は考えています。
 成長マトリクスの縦横両方をやり続ける
 [図表2]海外ビジネスでの勝ちパターン(味の素社の二次元展開)
 ヒット商品を生み出し、日本国内で成功し、そして海外進出でも「アンゾフの成長マトリクス」的な成長を続けているのが、私が所属していた味の素です。
 味の素の場合、既存商品がうまみ調味料『味の素』で、それを『ほんだし』にするのが、アンゾフで言う「新規製品×既存市場」です。『味の素』から『ほんだし』に行って、『クックドゥ』に行って、カップスープに行って、冷凍食品に進んだのが日本事業の例です。
 そして1950年から60年にかけて、先人たちの苦労によって日本からタイ、フィリピン、インドネシアと、うまみ調味料を世界に広めていく、つまり、「既存商品×新規市場」となります。
 グローバルマーケティングの本には、味の素の成功の歴史はうまみ調味料を世界に売ったことだと書いてありますが、現実にはそれだけで1兆円企業になることはできません。
 味の素の成功は「アンゾフの成長マトリクス」の、まさに縦と横の両方をやり続けたからこそなのです。
 日本の企業の中で縦と横の両方をやっているところは案外少なくて、横はできても縦はできないとか、縦はできても横はやりたくないといったところが多いと感じています。しかし、世界に目を向ければ、コカ・コーラは縦も横もやっていますし、両方やっている企業は多く、その点では味の素の先人たちは偉大だったなと思います。
 さらに言えば、味の素の場合は現地に行って、日本の商品を売るだけでなく、現地の味の素がそれぞれの国で横の展開にとても注力しているという特徴があります(図表2・3)。
たとえば、タイにARH社という味の素アセアン地域統括社というのがあります。最近では、その会社がリーダーシップを発揮してパキスタンに新規事業参入を果たしました。その際、何を売るかというと鶏の唐揚げ粉です。私たちの感覚からすると、「なぜ」となりますが、この製品をつくって大成功を収めたのがインドネシアの味の素です。
 インドネシアというのはイスラム(ハラル)文化圏で、ラマダンという断食月の時、夜、ものすごい量の鶏の唐揚げを食べるという習慣があり、鶏の唐揚げ粉がとてもよく売れています。
 一方、パキスタンも国民の97%がイスラム教徒というイスラム文化圏ですから、インドネシア市場で成功体験のある鶏の唐揚げ粉でパキスタンへの新規参入を図るというのがARH社の方針となったわけです。
 つまり、グローバルマーケティングというのは、最初にヒット商品があり、それを海外に輸出して広める活動があるわけですが、次には現地化をしてそれぞれの国に普及定着させたあとは、それぞれの国や地域において『アンゾフの成長マトリクス』が言うところの「縦と横への展開」を行うことで初めて真の成功を手にすることができるのです。
 中島 広数
 freebee株式会社 代表取締役
 元・味の素マーケティングマネージャー
 1998年から2018年まで味の素株式会社にて海外事業・海外営業・国内外マーケティング業務に従事(中国に4年間、タイに2年間の駐在経験有り)。2011年には「Cook Do」事業担当となり、5年間の担当期間中に「Cook Do きょうの大皿」の事業開発を含めたロングセラーブランドのリ・ブランディングによる大幅事業拡大を手がけた。
 2018年に味の素社を卒業し、事業コンサルティング・新事業/新商品開発・マーケター人材育成を主業務とするfreebee株式会社を創業・代表取締役に就任。現在6期目。日本語・英語・中国語・広東語の4ヵ国語話者。
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🚷9〉─1・B─平成のパラサイト難婚社会、令和の結婚不要社会そして人口激減時代。~No.53 

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 2024年4月3日 YAHOO!JAPANニュース 集英社オンライン「男性は3人に1人、女性は5人に1人が結婚しない社会に…現代日本が「結婚不要社会」となってしまった決定的要因
 パラサイト難婚社会 #2
 現代日本は「結婚不要社会」になるのか
 なぜ日本人にとって、結婚はこんなにも困難になってしまったのか。あらゆる角度からその理由を考察した書籍『パラサイト難婚社会』。家族社会学の専門家である山田昌弘氏によると、親世代との同居もその一因を担っているという。
 【図】年齢別離婚率の推移
 書籍より一部抜粋・再構成し、昭和の時代から劇的に変化した日本社会の構造について解説する。
 「生涯未婚率」の急上昇
 一昔前、子どもに「将来の夢」を訊ねると、「消防士さん」や「看護婦さん」に混じり、「お嫁さん」や「お母さん」という答えが返ってきたものです。
 幼い女子にとって「お嫁さん」や「お母さん」は、日々のおままごとでも登場回数が多い人気の役柄です。日常で一番身近な存在である父母の姿に、将来の自分の姿を投影する子がいても不思議はありません。毎朝出勤するお父さんの姿を見て、またご飯をつくって宿題を見てくれるお母さんの姿を見て、「私(僕)も、将来お母さん(お父さん)みたいな人になりたい」と願っていたあの子どもたちは、今どのような大人になっているのでしょう。
 2021年の末、「生涯未婚率」の急上昇が、日本のメディアを騒がせました。2020年の国勢調査の結果が公表され、日本人男性の28.3%、女性の17.9%が、生涯未婚であるという報道です。今後、男性の約3割弱、女性の約2割弱が、結婚せずに人生を終える実態を、内閣府の「少子化社会対策白書」が提示したのです。
 ちなみに「生涯未婚率」とは、50歳時点で「未婚」の人たちの割合です。厳密に言えば、彼らが「生涯にわたり絶対に結婚しない」とは限りません。ただし50歳で「未婚」ならば、生涯にわたり未婚であり続ける確率が高く、出産もほとんど見込めないため人口動態を考える材料とされているのです。
 もちろん中には、「結果的に55歳で結婚しました」というケースもあるでしょう。ただ数としては少数派となります。何しろ21年度の調査によると、日本人の平均初婚年齢は、男性は31.0歳で、女性は29.4歳です。50歳まで一度も結婚せずにいる人たちが、51歳以降モーレツに婚活に励むというのは、あまりリアルな想像ではありません。
男性は3人に1人、女性も5人に1人は結婚しない
 実際、私の調査でも、同じ50代独身者でも離別者や死別者の方が、未婚者よりも結婚意欲が高く出るのです(2022年科学研究費による調査婚活をしている50代独身者6.8%、うち50代離死別男性14.6%/恋人がいる人、未婚者13%、50代離死別男性23%〈山田昌弘2022「中年独身者の生活実態と将来不安」中央大学社会科学研究所年報26号〉)。
 さて、この「生涯未婚率」ですが、終戦直後の1950年時点では、なんと男性は1.5%、女性は1.4%でした(1900年生まれ相当)。つまり100人いれば、男女共に98人は結婚していた計算です。戦後から高度経済成長期までの日本社会は、国民のほとんどが結婚する「皆婚」社会だったと先に述べましたが、この数字からますます納得できるのではないでしょうか。
 さらに時代を経た1995年時点でも、「生涯未婚率」は男性9.0%で、女性は5.1%です。男性が100人いれば、90人は結婚していたし、女性も100人中、95人は結婚していた計算になります(2024年現在79歳前後)。2000年時点ですら、男性12.6%、女性5.8%であることを見ると(現在74歳前後)、ごく最近まで、日本人の大多数は「生涯一度は結婚するもの」であったと言えるでしょう。
 ところがその後、日本の「生涯未婚率」は急上昇していきます。2010年には、男性20.1%に、女性10.6%になり、2020年には男性28.3%、女性17.9%になりました。2035年には、緩めの推計でも男性29.0%、女性19.2%まで上昇すると考えられています(平成28年版厚生労働白書・生涯未婚率の推移〈将来推計含む〉)。
 現在の状況に鑑みるに、そのスピードはさらに加速するかもしれません。私たち日本人は、男性は3人に1人、女性も5人に1人は結婚しない社会に生きていくということです。
 親子密着型同居 スタイルの功罪
 「一生、結婚しない人がこれだけ増えた!」というニュースは衝撃的ですが、そもそも現代人は、「独身」である期間が、親世代や祖父母世代に比べて、圧倒的に伸びました。
 「結婚しないまま人生を終える人」以外にも、「40歳近くまで結婚しない人」「結婚したけれど、離婚して独身に戻った人」「結婚したけれど、配偶者に先立たれた人」も増加したのです。その理由の一端が、日本人の長寿化にあります。
 大学の講義で、私は小津安二郎監督作品の『晩春』(1949年公開)を紹介することがあります。物語の中で笠智衆さん演じる父親が、原節子さん演じる27歳の一人娘に、結婚を促すために語る言葉があるのですが、その内容に学生たちはどよめきます。
 「お父さんはもう56(歳)だ、もう先は長くない」というセリフです。
 現代の日本社会で「56歳」という年齢が「老い」に結びつくことはほとんどありません。芸能人に限らず一般人でも、今の50代は光り輝いており、生命力に満ち溢れています。むしろ「人生百年時代」において、「50代は人生の折り返し地点」と捉える人も少なくないのではないでしょうか。
 ですが、この映画がつくられた時代は違いました。当時の男性の平均寿命は約60歳だったのです。この物語のお父さんは、決して泣き落とし戦略で娘を結婚させようとしたのではなく、本人のリアルな感覚として「もう自分の人生は長くない」、そう感じていた、ということです(母親はすでに他界しているという設定です)。
 当時は、年金受給前に約半分の男性が亡くなる時代です。今のような年金財政破綻の心配がないと同時に、27歳の娘も「万が一結婚できなかったら、親にパラサイトしよう」などとは思わなかったはずです。
 むしろ「早く結婚しなくては、自分はひとりぼっちになってしまう」という、生活の経済的基盤と心のよりどころを失う焦燥感の方が強かったはずです。それが「皆婚」時代の昭和と、「難婚」社会の平成かつ「結婚不要社会」の令和との最大の違いです。
 今や結婚しないまま30代になり、40代そして50代になっても、実家に同居することは可能です。親が60代、70代、80代を過ぎても健康であることも多くなりました。途中から年金受給も始まります。パラサイトしている子も、給料から幾分かを家計費として納めていれば、親世代も助かるかもしれません。
 中年になった我が子の世話を、高齢になっても続けなければならない親世代の心労も、とめどない子への愛情で解消できるのかもしれません。「子はいくつになっても愛しいもの」「老いては子に従え」の変形が、日本社会特有の親子密着型同居スタイルに継承されているのかもしれません。
 自らは結婚せず「未婚」を選んでも、家に帰れば家族がいる安心感、これは大きいものです。あるいは一度結婚したものの「離婚」となった場合も、「実家に戻る」選択肢があります。日本では、若年で離婚した女性の約半数が実家に戻るという報告もあります。
 自分で選んだ配偶者との関係は解消可能でも、実家に戻れば、血でつながった本物の「家族」がいる安心感。そしてそれを許してきた親世代という構図が、社会のセーフティネットの欠損部分を補い機能し続けている。この実態こそが、日本の「未婚社会」を下支えしている大きな要因となっています。
 図/書籍『パラサイト難婚社会』より
 写真/shutterstock

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 山田昌弘(やまだまさひろ)
 中央大学文学部教授。1957年、東京都生まれ。1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専門は家族社会学。「パラサイト・シングル」「格差社会」「婚活」などの言葉を世に広めたことでも知られる。著書に『希望格差社会』(筑摩書房)、『新型格差社会』『結婚不要社会』(いずれも朝日新書)、『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』(光文社新書)など多数。

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4月3日 YAHOO!JAPANニュース 集英社オンライン「60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率は3割に。異常な難婚社会の背景にある「日本独自の親子関係」
 結婚した3組に1組が離婚し、60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率が3割に届こうとする日本。その理由の遠因に1986年に施行された労働者派遣法があると指摘しているのが、社会学者の山田昌弘氏。最新著『パラサイト難婚社会』より一部抜粋・再構成し、日本の若者を苦しめる非正規雇用の拡大について論じる。
 パラサイト難婚社会 #1
 非正規雇用が多くの若者を苦しめてきた
パート・アルバイト・有期契約・嘱託社員・派遣社員など、様々な形態がある「非正規雇用者」ですが、平均年収は決して高くありません。
 国税庁の「民間給与実態統計調査」(令和3年版)によると、非正規雇用者全体の平均年収は198万円(正規雇用者全体の平均年収は508万円)ですが、そのうち男性は平均年収267万円(正社員は545万円)に対し、女性の非正規雇用者の平均年収は162万円(正社員は302万円)です。この数字は決して現代日本社会で生活する上で十分な金額とは言えません。
 1986年に施行された男女雇用機会均等法で、正社員として働く女性は増え、「おひとりさま」人生を選択できる女性は増えました。
 しかし、同時に雇用が不安定な非正規雇用者も、これ以降増加していくのです。男女雇用機会均等法施行と同年にスタートした労働者派遣法は、当初の「一部の限られた技能を持つ13業務」から、1996年には「26業務」に拡大し、1999年には「26業務以外も可能」になりました。従来の日本型雇用では、若い女性たちも正社員として企業は雇用してきましたが、そうした職能は派遣社員などでも代替可能でした(もっともそれまで正規雇用されてきた女性たちも、20代半ば頃には寿退社することが暗に求められていましたが)。
 2022年6月分の所定内給与額で比較。ただし、一部の労働者(特に短時間労働者)の賃金は、所定内実労働時間数の長短により大きな影響を受ける場合がある。[出所:厚生労働省
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 2022年の給与所得者数は、5078万人(対前年比1.2%減、60万人の減少)で、1人当たりの平均給与は458万円(対前年比2.7%増、11万9000円の増加)となっている。[出所:国税庁長官官房]
 2000年以降に、非正規雇用者が続々と生まれるのと時を同じくして、日本社会において格差が広がり始めました。企業から、「期間限定」「いつでも契約を切れる」安易さを理由に非正規雇用された若者たちは、目の前の「単純作業」をこなすだけの日々で、「仕事上のステップアップ」や「ボーナスや福利厚生」もなく「給与アップ」も「昇進」もないまま、人生でひとところに留まり続ける長期の足踏みを余儀なくされたのです。その中には大量の女性たちもいました。
 本来なら、近代社会になり、仕事を持つ女性が増えることで、日本でも「親や夫に依存しない人生」を選ぶ女性が増えるはずでした。しかし、日本経済の停滞と同時に広がったこの非正規雇用という〝新しい雇用形態〞が多くの若者の人生設計を狂わした、と述べたら言いすぎでしょうか。
 欧米でも「職の二極化」が起こり収入格差が広がりましたが、欧米ではそれ以前からすでに女性の社会進出が当然のこととなっていました。しかし日本では、男女雇用機会均等法で正社員で働き続ける道が開けたのと同時期に非正規雇用化が進んだのは、皮肉としか言いようがありません。
 男性の非正規雇用者は、「自分の所得では妻子を養うことはできない」と自信と希望を失い、女性の非正規雇用者は、「やはり夫は正社員でないと、将来において生活がままならない」実感を強め、より人生が豊かになる「結婚」でなければ、しない方がマシだと思うようになりました。結果として、「未婚」状態に置かれる若者が増大していったのです。
結婚した3組に1組が離婚し、60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率が3割に届こうとする日本。その理由の遠因に1986年に施行された労働者派遣法があると指摘しているのが、社会学者の山田昌弘氏。最新著『パラサイト難婚社会』より一部抜粋・再構成し、日本の若者を苦しめる非正規雇用の拡大について論じる。

 パラサイト難婚社会 #1
 未婚が示す経済的な社会課題
 「おひとりさま」は、精神的自立と経済的自立が不可欠であることをここまで述べてきました。では、この二つの要素のどちらか、あるいは両方が得られない未婚者はどうなるでしょう。
 未婚で親と同居していても、経済的・精神的に自立している場合は、「親と同居している」とシンプルに言うことができます。しかし、「仕事」は持っていても、稼いだ額の大半を自分の趣味や成長のために使い、基本的な食費や住居費・ガス・電気・水道代などを親頼みにし、さらに炊事洗濯など身の回りの家事の多くも親に依存している場合は、「パラサイト・シングル」と私は定義してきました。
 「パラサイト・シングル」は、精神的基盤と経済的基盤の多くを親に依存して生活しています。それを可能にしたのは、主に団塊の世代を中心とした親世代の特殊事情がありました。
 この世代には、成人後も子の面倒を見る「経済的ゆとり」があり、かつ我が子に対する「献身的愛情」がありました。これは他の世代は、仮に望んでも得られなかったものです。特に重要なのが前者です。「子への献身的愛情」があっても、先立つものがなければ否が応でも子どもを自立させないとなりませんが、団塊の世代はそれが可能だったのです。
 戦後の経済復興の中で、「今日よりは明日、明日よりは明後日」と豊かに成長していく時代を肌感覚で経験してきたこの世代は、子どもにより良い生活空間や環境を与え続けることができました。自分たち自身が幼い頃は、テレビや冷蔵庫もない暮らしを経験してきたのに、我が子に対してはテレビも冷蔵庫も、ましてや自家用車もある生活を準備できる。
 それどころか自宅には子ども専用の部屋を備え、複数の習い事をさせ、お小遣いやお年玉やクリスマスプレゼントまで与えることができました。ボーナスが出れば、季節ごとの家族旅行を楽しめ、生活レベルの向上を家族皆で実感できたのが、この時代でした。
 60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率は3割に。異常な難婚社会の背景にある「日本独自の親子関係」_3
 もちろん個人差、家庭差はあったでしょう。当時も生活困窮世帯は存在しました。でも、社会全体が好景気に沸いている時代には、仮にどんなに貧しくても、「これから生活が良くなるだろう」と希望を抱けるものです。
 仮に現在お金がなくて貧しくても、5年後、10年後はそうとは限りません。給料は年々上がっていくし、頑張って子どもを育てていけば、我が子は少なくとも自分よりは良い生活を送れるはずだと「夢」を描くことができたのです。
結婚した3組に1組が離婚し、60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率が3割に届こうとする日本。その理由の遠因に1986年に施行された労働者派遣法があると指摘しているのが、社会学者の山田昌弘氏。最新著『パラサイト難婚社会』より一部抜粋・再構成し、日本の若者を苦しめる非正規雇用の拡大について論じる。

 パラサイト難婚社会 #1
 「未婚」問題が極めて
 日本独特の社会現象になっている
 しかし、そうした親の愛を一身に背負って育った団塊の世代ジュニアが大人になった頃、日本経済は長引く停滞時期に突入しました。親が与えてくれた豊かさを、今度は自分自身の手でつかまなくてはならない社会人としての始まりの時期。そんな大事な時期に、就職氷河期が始まったのです。
 しかもその責任は、社会のせいというよりは、とことん自己責任論で語られるようになりました。「フリーターや非正規雇用を目指すのは、責任を負いたくない若者の身勝手な事情だろう」と。
 そんな我が子を、豊かさを経験してきた親世代は、突き放すことができませんでした。本来自立すべき成人後も、「あともう少し家にいていいよ」と、自宅に住む(寄生)することを許してしまったのです。
せめてそこでしっかりと家賃相当分や家事労働分の支払いを要求していればともかく、これまで至れり尽くせりで家事も掃除も洗濯も面倒を見てきた親たちは、そのまま我が子の家事労働を請け負い続けてしまったのです。
 60歳を迎えた人の3分の1がパートナーを持たず、男性の生涯未婚率は3割に。異常な難婚社会の背景にある「日本独自の親子関係」_4
 大学卒業時に正社員就職ができず、とりあえずアルバイトや非正規雇用で社会人をスタートした時点では、親も子も「当面の間だけ」と思ったかもしれません。しかし実際には、非正規で社会人をスタートさせた世代が、その後正社員として人生のステップアップを望むことはほとんど不可能であったことは、今では周知の事実です。
 「あと少し、家にいていいよ」「今は不況だから、独身も仕方ないね」と温かい目で見守ってきた子世代が今、壮年となり、中年となり、大量の「未婚者」になっています。厳密に言えば、「壮年親同居未婚者」です。最近では「子ども部屋おじさん」「子ども部屋おばさん」なる言葉まで生まれています。
 同時に日本では、大量の「引きこもり」も存在します。かつて「未婚の若者」だったのが、「未婚の壮年」「未婚の中年」となったのと同じように、かつて「中高生」の問題だった「引きこもり」は若者の問題となり、今では「壮年・中年の引きこもり」へと移行しています。
 中には親の年金頼みで高齢の親にパラサイトしてきた「中年引きこもり」が、親の介護が必要な年齢になり、途方に暮れるケースもあります。社会全体の歯車が狂い始める「8050問題」です。
 内閣府が22年11月に行った調査によると、「趣味の用事の時だけ外出する」「自室からほとんど出ない」状態が6カ月以上続いている「引きこもり」状態の人(15歳から64歳まで)は、推計146万人もいる実態も見えてきました。
 もちろんここで、「未婚」と「引きこもり」を乱暴につなぎ合わせるつもりは毛頭ありません。ただ、「おひとりさま」にしろ「パラサイト・シングル」にしろ「引きこもり」にしろ、「未婚」問題が極めて日本独特の社会現象になっていることに注目したいのです。
 また「パラサイト・シングル」や増える「中年引きこもり」に関して言えば、その根底には「成人になっても子を独立させない(できない)日本独自の親子関係」が、ある種の要因になっていることを確認し、かつ「成人しても子が独立できない」理由の多くの部分で、経済的困窮が関係しているのであれば、それは広く日本社会全体の課題として考える必要があることを強調したいのです。
 具体的には、現代社会の産業が製造業からサービス産業・IT産業にシフトしていく中で、働き方が根本から変わっているにもかかわらず、相変わらず「新卒一括採用」と「終身雇用制」に固執してきた企業と政府の責任でもあります。
 新卒時に正社員になれなくても、本人の意欲次第でいつでも再チャレンジが可能な社会にすること、正社員と非正規社員のかけ離れた条件を是正すること、仮に非正規やアルバイトであっても、「家族」に頼らず「個人」が生活していける仕組みを整え、社会的セーフティネットを強化すること、リスキリングやリカレント教育に社会全体で取り組むことなど、できることはたくさんあるはずです。
 図/書籍『パラサイト難婚社会』より
 #2 戦後劇的に変化した「未婚社会」の下支えとは?
 #3 経済的格差への言及無くして、結婚率の低下は語れない
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⛲38〉─5・B─孤独死で事故物件化。家を借りられない高齢者の住まい迫りくる危機。~No.229No.230No.231 

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 2024年3月26日 YAHOO!JAPANニュース 東洋経済オンライン「家を借りられない「高齢者の住まい」迫りくる危機にどう対処する?孤独死で「事故物件化」ほかにもトラブル続出
 お金の有無にかかわらず、高齢者が部屋を借りにくくなっています(写真:maroke/PIXTA
 2023年1年間に生まれた子どもの数は、外国人なども含めた速報値で75万8631人。で、前の年より4万1097人減少と8年連続で、統計開始以来、過去最少になったことが報道されました。 少子化と表裏一体の課題が「超高齢化社会」です。
 医療の発達により、いわゆる不治の病が少なくなり、なかなか「死ねない」時代がもうそこまでやってきています。
 一般的な定年の年を過ぎても長く生きなければならないこれからに備え、何をどのように準備しておけばいいのか――医療、お金、住まい、相続など、さまざまなジャンルの専門家8名の著者による『死に方のダンドリ』(ポプラ新書)から、一部抜粋・編集してお届けします。
 【写真】東洋一のマンモス団地「松原団地」60年経った今
孤独死によって「事故物件化」
 お金の有無にかかわらず、高齢者が部屋を借りにくくなっています。
 いま賃貸物件に住んでいる中高年も10年、20年と経てば高齢者になり、亡くなる可能性が高くなります。孤独死もあるでしょう。
 基本的に、事故物件となるのは自殺や他殺が原因であり、病気などで亡くなった場合は含まれません。ところが、病死であったとしても、発見が遅れてしまって特殊清掃が必要になったりすると、事故物件になってしまいます。
 そうなると自殺や他殺のように告知義務も発生し、次の入居者を確保できにくくなるという問題が生じてきます。孤独死が原因で事故物件になった場合の家主や不動産会社の悩みを紹介します。
 孤独死が発生したが身寄りがなく、ご遺体の対処、滞納された賃料、リフォーム費用などがすべてこちらの負担となった。
 賃料を下げても風評被害でその後の入居者を見つけることができなかった。不動産の売却依頼を受けたが、やはり売れず、苦労した。
 浴室で孤独死が発生。
 死亡翌日に発見され、病死だったことから本来次の入居者への告知義務はないが、入居後に知ることになる可能性が高いため、告知をしている。
 浴槽の交換をして家賃も下げたが、入居希望がなく、ずっと空室のまま。このようなことがあると、高齢者への紹介には二の足を踏んでしまう。
 木造2階建てアパートで高齢女性が浴室で孤独死。原因は心不全。ご子息が母親と連絡が取れないことを心配して入室確認し、死亡が発覚した。
 死後2週間ほど経っていた。残置物は処理業者に依頼して処分。
 しかし、腐敗臭は残ったため、賃貸物件として貸すことが不可能に。他の部屋の入居者も徐々に退去。その後、家主の希望もあって募集はせず、建物は解体して更地に。
 もともと家主は貸さないと言っていたにもかかわらず、死亡した高齢女性がどうしても借りたいと申し出て貸した経緯があったため、家主は今後中高年の単身者には貸さない方針を明確にした。
■事前に知っていたら借りなかった
 病死も、新しい入居者から「前もって知っていたら借りなかったのに」というクレームが来ないよう、家主側は告知しています。しかし、告知したらしたで、次の入居者を確保できなかったり、賃料を下げざるを得なかったりして、資産価値低下につながっています。
 結局のところ、入居者が孤独死すると家主側の負担が非常に大きくなります。そのため、入居者確保が少々困難になったとしても、事故物件化を防ぐために高齢者に貸すのを避けるしか方法がないのです。
 しかし、このような現状は家主にとっても、賃貸を借りたい高齢者にとっても不幸な事態です。
 人は生きている限り、どこかに住まなければなりませんし、生きている人は誰しも必ずいつか死を迎えます。
 人が亡くなった場所をすべて事故物件化していたら、この日本に高齢者の住む場所はどこにもなくなってしまいます。高齢者の増加によって死亡者数が増え、人口が減少していく「多死社会」もすぐそこまで来ています。今後は『死』に対する認識を、日本人は変えていく必要があると私は考えています。
 2018年に行われた調査でも、家主や不動産会社の大半が「できたら高齢者に貸したくない」と思っているという結果が出ています。そこには、賃貸借契約の相続や孤独死に絡む問題以外にも、さまざまなトラブルがあることがうかがえます。
・ 高齢者の認知症が進み、実質面倒をみなければならない
・ 家族が対応しない。言ってもしてくれない
・ 共有部分で失禁・ 糞尿をする(制御できない)
・ 電球を替えられない、テレビが映らない(単なるコンセント抜け)、エアコ
ンのリモコンが反応しない(単なる電池切れ)などの理由で呼び出される
・ 耳が遠く、大きな音でテレビを視聴するため、他の入居者とトラブルになる
・ 室内を片づけられず、汚部屋になる
・ 隣人に金の無心をしたり、被害妄想で近隣や警察に迷惑をかけたりする
・ ボヤ程度だが、火事を起こした
・ 生活スタイルの違いから、隣人と生活音トラブルになる
 一昔前までは家族や親戚が対応していたことを、民間の家主や不動産会社が対応しなければならない状況が起こっているのです。彼らができるだけ高齢者に貸したくないと思うのも、仕方のないことだと思ってしまいませんか。
■本来なら優良顧客の高齢者
 本来なら家主側にとって、高齢者の賃借人はいったん入居すると若い人ほど引っ越しすることが少なく、結果として長期入居してくれる「優良顧客」です。
 しかし、老化が進むとさまざまなトラブルを引き起こす可能性もありますから、入居審査の判断は簡単ではありません。
 若い人もトラブルを起こすことはありますが、家主側の負担が大きい高齢者によるトラブルのほうが数が多いといえます。ところが、トラブルの相手が高齢者の場合、法律だけで事務的に解決できないことも多々あります。
 たとえば、賃借人が家賃を滞納して、話し合いでは解決できなかったとしましょう。そのときは訴訟手続きで明け渡しの判決をもらい、強制執行という手続きで滞納した賃借人を強制的に退去させることができます。
 ただ、高齢者の場合はスムーズに退去させられないこともあります。
 執行官が「この高齢者をここから追い出した場合、その後生きていけるのか?」とためらってしまうと、判決は出ていても執行してくれない場合があるからです。
 こうなると家主は大変です。家賃を払ってもらえないから仕方なく訴訟を起こし、判決をもらって強制執行を申し立てたのに退去させられない。八方塞がりになってしまいます。
 私が出会った明け渡し訴訟の相手方の高齢者は、タイミングを逸して転居できなかった人たちが非常に多いです。
 60代でまだ仕事をしていれば、家賃保証会社の加入だけで部屋は借りられます。ところが70歳を超えてしまうと、高齢者に部屋を貸したくない家主側は、滞納の心配というより亡くなった後の手続きをしてくれる身内の連帯保証人を条件とします。身内はいるでしょうが、頼れる関係ではないのでしょう。
■部屋探しは諦めるしかない? 
 高齢になれば、兄弟姉妹も高齢なので連帯保証人になれるほどの経済力がありません。そうなると子どもか甥・姪になりますが、そもそも疎遠で交流がないのが大半です。
 そのような背景があるので、身内の連帯保証人を求められてしまうと、この段階でほとんどの人が撃沈。1つめのハードルを越えられず、部屋探しは諦めるしかなくなってしまいます。
 また高齢になると日々の生活で精一杯で、先のことを考えて行動できないようです。
 見たくないのか、自分の収入もいつか減るということをなかなか想像しません。その時のために、あらかじめ安い物件に引っ越そうとせず、問題を先延ばしにしてしまいます。
 さらに今より安く狭い物件に引っ越すためには、当然、荷物も断捨離していかねばなりません。これが2つめのハードルです。
 元気そうに見えても、年を取ると荷物の処分を自分ではできません。誰かの手を借りなければ、断捨離や部屋の片づけは難しくなります。
 結果、安い物件に引っ越すことができず、トラブルに発展してしまう高齢者は後を絶ちません。
 家主側が一度こういったトラブルを経験してしまうと、次から高齢者には貸さないと決めるのは当然の帰結です。結果、高齢者がますます借りられない世の中になっていきます。「貸さない家主が悪い」とは、誰も言えないのです。
 私は今も毎週のように裁判所に通い、複数の賃貸トラブルを解決するために走り回っています。すべて紹介することはできませんが、他にもこのような事例があるということを知っていただければと思います。
 太田垣 章子 :OAG司法書士法人 代表司法書士
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🚷7〉─11・K─2035年、本当の人口激減が「東北エリア」を襲ってくる。~No.50 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 現代日本を動かしている超エリート層と言われる超難関校出の高学歴な政治的エリートと進歩的インテリ達は、人口激減と日本衰退は止められない。
 それは、日本のメディアと教育の実情を見れば明らかである。
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 2024年3月22日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「2035年、本当の人口激減が「東北エリア」を襲ってくる
 人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
 【写真】人生で「成功する人」と「失敗する人」の大きな違い
 100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来の地図帳』は、20年後の日本人はどこに暮らしているのか? 人口減少が10年後、20年後の日本のどの地域を、いつごろ、どのような形で襲っていくのか? についての明らかにした書だ。
 ※本記事は『未来の地図帳』から抜粋・編集したものです。また、本書は2019年に上梓された本であり、示されているデータは当時のものです。
 「限界自治体」が秋田で12市町村も
 2035年、早くから人口減少に転じていた県では、状況が大きく悪化し始める。最も深刻なのは秋田県の27.3%減で、現在の4分の3以下の規模になる。秋田県以外で2割以上減るのは青森県24.0%減、高知県20.9%減、山形県20.2%減だ。続く福島県岩手県も2割近い減少となる見込みで、東北各県での減少が際立つ。
 秋田県の場合、藤里町の46.5%減、上小阿仁村46.0%減、男鹿市45.4%減など、人口が3割以上減る自治体が18に上る。住民の過半数が65歳以上という「限界自治体」も能代市を含め12市町村となる。
 2035年になると、人口が6500人に満たない自治体が453を数える(2015年は323)。国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」(2014年)が、三大都市圏を除いた地域において、主なサービスごとに立地に必要な需要規模を計算している。
 これによると、人口6500人を下回る人口規模になると、銀行や通所介護事業所まで経営が厳しくなる。一般病院だけでなく、遊戯施設、音楽教室、喫茶店といった住民の「楽しみ」を提供してきたサービスもポツポツと姿を消し始めるだろう。
 鳥取県は44万人、山梨県は59万人に
 いまから四半世紀後にあたる2045年になると、日本の総人口は2015年に比べて2067万人ほど減る。それまで増え続けていた65歳以上人口も2042年をピークに減り始めるため、2040年代に入ると日本全体でも毎年95万人ほど人口が減っていく。
 2045年時点で、減少率が最も大きいのは、41.2%も下落する秋田県であると述べたが、青森県も37.0%減、山形県高知県が31.6%減、福島県31.3%減、岩手県30.9%減と、高知県を除き東北地方に3割以上の激減県が並ぶようになる。
 わずか30年で3割も4割も人口が減ったのでは、地域社会の混乱は避けられまい。都道府県の名前を社名に冠した金融機関や新聞社など県外での事業展開がしづらい企業は、根本から経営基盤の見直しを迫られるだろう。
 自治体の業務も困難になる。税収が減ることに伴い、福祉や教育も縮小を迫られ、ゴミ収集や道路の補修といった公共サービスの維持すら懸念されるところが出てくる。こうなると、ますます住民の流出が加速し、人口減少に拍車が掛かる。
 人口が大きく減らない東京都も順風満帆とはいかない。東京都の場合、2045年になっても2015年比プラス0.7%と全国で唯一増えるかのように語られることが多いが、決してそうではない。2030年代後半以降の東京は人口減少社会に突入しているのだ。
 「2045年時点では2015年の水準までは下がっていない」と解釈するほうが正しい。
人口の減り方こそ緩やかだが、高齢化が進むため、東京都がいまの「東京」のまま発展し続けるわけではない。後ほど詳述するが、ビジネス中心、若者の中心の街として発展してきただけに、高齢者の激増対策は困難を極めよう。
 2045年都道府県の人口を実数で見ると、最も小さい県となるのが鳥取県で、44万8529人。高知県も50万人割れし、60万人に届かないのが、島根県(52万8988人)、徳島県(53万5370人)、山梨県(59万8935人)の3県だ。この年の松山市は43万9316人、宇都宮市が48万1029人だから、県庁所在地1つ分ぐらいの規模になる。
 秋田県は下落率こそ最も激しいが、2045年時点でも実数としては60万1649人である。2番目に下落率の大きい青森県も82万3610人だ。山形県は76万8490人、岩手県は88万4518人で、福島県は131万4903人と100万人台を維持する。
 鳥取県は2015年に比べて21.8%減、島根県は23.8%減、徳島県29.2%減、山梨県28.3%減と秋田県青森県に比べて減少率こそ小さいが、もともとの人口が多い東北各県と比べると、実数が極端に少なくなるのである。
 それにしても、人口が60万人にも満たなくなる県と、1360万人を超える東京都や831万人の神奈川県とを横並びにして「47都道府県」と位置付けるのには、無理がある。鳥取県と東京都の人口差は、実に30倍以上に開くのだ。
 しかも同一県内での人口偏在も激しくなる。
 2045年を待つことなく、国政選挙における一票の格差は解消困難となり、都道府県単位で進められる地域医療構想なども行き詰まりを見せるだろう。もっと早い段階で都道府県の在り方を見直さざるを得ないという声が強まるに違いない。
 河合 雅司(作家・ジャーナリスト)
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