⛲3〉─2─死後離婚。熟年離婚。妻は、亡き夫と分かれ、相性の悪い姑の面倒を見る事を拒否した。~No.14 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 嫁・婿は、配偶者を亡くすと義理の老父母・舅姑・姻族の介護・面倒を拒否して捨てた。
 自分の人生の為には捨てる勇気も必要である。
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 2017年1月22日号 サンデー毎日「震災後、なぜか増えている」     
 死後離婚という制度
 法務省の『戸籍統計』によると、市町村が受け付けた死亡届は、2006〜15年にかけて20%増えた。同じ間に49%増え、特に震災後の増え方が急激なのが、『姻族関係終了届』だ。戸籍制度を研究する早稲田大非常勤講師の遠藤正敬氏が解説する。
 『民法は、夫婦の片方が死亡した場合、生き残った側が姻族(死んだ側の親や兄弟など)との法律上の関係を終了できるという規定しています。それに基づいて戸籍法は、終了届の手続きを定めているのです』
 民法上の原則は『直系血族及び兄弟姉妹は、お互いに扶養をする義務がある』。しかし、特別の事情がある場合、『家庭裁判所は姻族に扶養義務を負わせることができる』とも定める。終了届を出すことで、その義務を負わずに済む効果があるという。離婚すれば姻族関係を終了することから、同じ効果がある終了届を出すことを『死後離婚』と呼ぶこともあるようだ。
 行政書士の露木幸彦氏は『夫死別後、義父母の世話をどうすべきか』と悩む女性に『終了届という方法があるとアドバイスします』と話し、こう続ける。
 『高齢化拍車がかかる一方、熟年離婚の件数は横ばい。経済的な理由などで離婚をしたくてもできない人が増えているのです。夫婦の関係が悪いほど、夫の死亡後に義父母の介護を拒否したい妻が姻族関係終了届を提出する確率は高まります。〝離婚予備軍〟の増加が、終了届が増える理由の背景にあると思う』
 葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子氏は、墓の相談をするうちに『舅(しゅうと)や姑(しゅうとめ)の介護をどうすればいいのか』と話が広がるケースがあり、終了届の存在を知らせることがあるという。
 『仲が悪いとは限りません。相談者自身が年老いて、経済的、体力的に遠くに住む姻族の世話ができない人は少なくないのです』
 シニアライフアドバイザーの松本すみ子氏は、『今後は加速度的に増えると思う』と予想する。
 『マスコミが取り上げることで終了届を知ってしまったら「我慢することはないんだ」と動き出すでしょう』
 終了届の提出は、必要事項を記入して署名と押印をするだけで簡単だという。(谷道健太)」
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 4月29日号 週刊現代「いま、急増する『死後離婚』
 義父母は捨てられた!
 息子が死んだら 、嫁は財産を持って遁走
 遺産と年金さえもらえば、ハイ、さようなら。
 舅姑の面倒なんか見たくないから、籍を抜く。
 もともとは赤の他人。『縁を切りたい』と言われても仕方がないかもしれない。ただ、これだけは言いたい。だったら財産を置いていけ!──いまこんな問題が全国で頻発している。他人事ではない。
 『もう赤の他人ですから』
 ……
 この数年で急速に広がりつつある、新しいタイプの離婚、『死後離婚』の典型例である。具体的には配偶者を亡くした人が、配偶者の親や兄弟姉妹と縁を切って、介護や扶養の義務を解消してしまうことをいう。その大半は夫を亡くした女性が、舅や姑らとの関係を断ち切るために行われ、逆のパターンはほぼない。
 行政書士中村麻美氏が解説する。
 『わかりやすく表現するために「離婚」という言葉を用いられていますが、法的には死者とは「離婚」できません。結婚したことによって生じる義理の家族関係を姻族関係といいますが、この姻族関係を解消することを死後離婚と呼んでいるのです』
 嫁の本心などわからない
 ファイナンシャルプランナー畠中雅子氏は、『死後離婚に関する相談が急増している』と語る。
 『「夫が亡くなった後、夫の親族と縁を切っても生活できるだろうか」という具体的な相談がかなりあります。
 実際、姻族関係終了届の提出数は、05年度には1,772件だったものが、15年度には2,783件に増えています(法務省の戸籍統計)。姻戚関係を終了してまで夫の親族との関係性を断ち切りたいというケースは、よほどの理由があるはず。色々トラブルがあって、疎遠にはなったけれど終了届までは出していないケースはその数倍、数万件はあるでしょう』
 嫁はそれでスッキリするかもしれないが、一方で息子の死後に遺された親としては非常に複雑な気持ちだろう。これまで厳しいことを言ったかもしれないし、迷惑をかけたこともあったかもしれない。しかし、それも家族の一員と思ってのこと。その分、経済的にも協力してきたし、気も遣って生きてきた。嫁として家に入ったのだから、運命共同体じゃないか──そう考えたくなる気持ちもわかる。だが、今時の嫁たちは、そのような義父母の気持ちを理解してはくれない。
 『死後離婚に関しては、女性と男性では受け止め方がまるで違います。女性は自分自身の問題としてリアルにとらえるのに対し、男性は「うちには関係ない」と他人事で片づけようとする。
 死後離婚が増加している背景としては、テレビや雑誌などのマスコミで取り上げられることが増えたこともあります。また、高齢化が進んで、介護の負担が増えてきたことも一因です』(前出の中村氏)
 いまのところは、息子夫婦とそれなりにうまくいっている──そう信じていても、嫁の本当の心のうちはなかなかわからないものだ。『子供がまだ小さいから』『いまは経済的に自立できないから』といった理由で我慢しているだけで、『機会があれば・・・』と絶縁のタイミングを虎視眈々と狙っているかもしれない。
 ……
 だが、そもそも嫁が舅や姑のこちが好きでないからといって、簡単に扶養義務から逃げられるのだろうか。相続問題に詳しい弁護士の理崎智英氏が解説する。
 『夫が先に死んだ場合、民法上はその妻を含む3親等までは両親の扶養義務を負う場合があります。
 しかし実際に扶養義務を負うのは家庭裁判所が妻に「両親を扶養せよ」という審判を出したときの話しです。それがない場合は、嫁が舅や姑の面倒を見たり、扶養したりする必要はありません。しかし、実際には同居している嫁には扶養義務があると誤解している親や嫁が多いのも確かです。
 もし家庭裁判所が妻に扶養義務があるという審判を下したといても、姻族関係終了届を出して、死後離婚をしてしまえば、その審判は無効になります。
 ただし、亡くなった夫のあいだに子がいれば、それは祖父母と親族関係がありますので、子供のほうが扶養義務を負うことになりえます』
 伝統的な家族観から見れば薄情の極み、といえるかもしれない。だが、法律の上では、『嫁はいつでも義父母から逃げたいときに逃げられる』と定められているのだ。
 もし将来、息子の嫁に自分の老後の面倒を見てほしいと考えているのならば、それは相手にとって何の法的義務もないことを、理解しておいたほうがいい。
 財産が別の男のものに・・・
 嫁といっても元はといえば他人。息子の死後まで嫁に面倒を見てもらおうと思わないから、絶縁してもかまわない──たとえ、あなたがそう考えていたとしても、カネの話が絡んでくると、事情はそう単純ではない。
 ……
 なんと世知辛い世の中か。同じ屋根の下で何年も暮らした仲ではないのか・・・。そう嘆きたくなる気持ちもわかる。
 だが、舅姑と嫁のあいだに、古き良き信頼関係が築かれると願うのは、もはや幻想なのかもしれない。
 ……
 役所には女性からの問い合わせがぞくぞく
 死後離婚の手続き、実はこんなに簡単だから
 必要書類はA4一枚
 ……
 死後離婚とは正確にいうと離婚ではない。離婚には夫婦の同意が必要だが、夫がすでに亡くなっている場合、その必要はないからだ。
 手続きするのは本籍地、もしくは住所地の市区町村役場。戸籍謄本、死亡した配偶者の戸籍謄本(死亡記載のあるもの)、認め印(三文判で可)さえあれば、ただちに成立してしまう。
 ……
 姻戚関係を終わらせたことは夫の親族には伝わらない。戸籍謄本をとって調べなければ、絶縁されたことはわからない仕組みになっているのだ。
 夫の親戚との関係を整理したいだけであれば、これで済む。ただし、亡くなった夫との関係を含めてすべてをなかったことにしたいのであれば、もう一つ別の手続きが必要になる。姻族関係終了届だけでは夫婦の戸籍がなくなるわけではないからだ。
 夫が亡くなった後、姻族関係を断ちたいというほどの人ならば、夫の名字お捨てて結婚前の名前に戻りたいと願うだろう。そんな人にとって必要なのが、『復氏(ふくうじ)届』だ。
 『復氏届を提出すると、婚姻前の名字に戻ることになります。結婚する前の戸籍、つまり自分の両親の戸籍に戻ることになるのです。ただし、すでに両親が亡くなっており、その戸籍自体が除籍されていた場合は、「分籍届」を提出して新しい戸籍を作ることになります』(高草木氏)
 また、自分自身は復氏届で元の戸籍に戻ることはできるが、亡くなった夫のあいだに子供がいて、子供の戸籍や名字を自分と同じものにしたい場合は別の手続きが必要になる。子供を自分の籍に入れるためには、家庭裁判所に子の氏の変更許可申立書を提出し、裁判所から許可が下りたら、役所に入籍届を提出する必要がある。
 嫁に逃げられない方法
 すべての手続きを行うには、それなりの手間がかかることは確かだが、ふつうは大きな障害もなく、すんなりと進む。その気になれば、半日で死後離婚は成立してしまうのである。
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 いまの日本では、『死後離婚』はほとんど嫁側の独断で進められてしまうのである。義父母が納得いかなければ、その後、遺産について裁判で争うことになる。
 ……
 面倒なしがらみが紙切れたった一枚で解消される──義理の親子関係に悩む嫁が飛びつくのは、当たり前かもしれない」
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 5月11日 産経ニュース「夫の墓に入りたくない…「死後離婚」急増 ハンコ1つで完了「姻族関係終了届」、専門家「妻側だけの問題ではない」
 夫婦問題カウンセラーの高原さん
 配偶者の死後、義理の親や兄弟ら「姻族」との関係を解消する「姻族関係終了届」の提出件数が増えている。「死後離婚」とも呼ばれ、大半は夫に先立たれた妻が提出しているとみられる。増加の背景には介護問題や姑(しゅうとめ)との関係悪化などから「姻族との縁を切りたい」との思いが見え隠れするが、専門家は「妻側だけの問題としてとらえてはいけない」と警告している。(夕刊フジ
 姻族関係終了届は配偶者の死後も戸籍上に残される姻族との関係を解消する手続き。提出期限は設けられておらず、市役所で手に入るA4サイズの書類に三文判を押して提出するだけで完了する。姻族には了承を得る必要はなく、通知もされない。配偶者の遺産の相続権は失われず、遺族年金も受給できる。
 法務省の戸籍統計によると、姻族関係終了届の提出件数は2005年度の1772件から14年度の2202件と年々増加。最近はメディアでも「死後離婚」として取り上げられ、15年度は2783件に急増している。
 自身も死後離婚の経験を持つ夫婦問題カウンセラーの高原彩規子さんによると、姻族関係終了届を提出しているのは、ほとんどが夫に先立たれた女性。姻族との関係悪化や義理の両親の介護を避けるためという理由が大半で、「夫の家の墓に入りたくない」との声もあるという。
 男性側からは死後離婚について「女はすごいことをするな」「女は怖い」などの意見が多く聞かれるというが、高原さんは「こうした意見を持つ男性ほど、自分の死後に妻や家族が置かれる状況を考えてほしい」と指摘する。
 高原さんは1994年に結婚したが、夫の不倫問題が発覚し、2008年から別居。夫は離婚に応じないまま、11年に食道がんで亡くなった。
 がん発覚後、高原さんは病院で夫の看病をしたが、死後、入院時の荷物から多数の女性との関係を示す写真やメールを発見。「もう夫の妻として生きていきたくない」との思いから死後離婚に踏み切った。
 高原さんは姻族関係終了届に加え、夫の戸籍から結婚前の戸籍に戻す「復氏届」も提出。さらに家庭裁判所の許可を得て、夫との間に生まれた長女を自分の戸籍に入れる手続きも行った。
 高原さんは「同じ戸籍の中で夫と名前を並べるのは、彼の生き方を容認しているように感じた。死後離婚でけじめをつけなければ前には進めなかった」と振り返る。
 高原さんはこうした経験を生かし、夫婦問題カウンセラーとして大阪で活動。セミナーなどで死後離婚についての情報提供や相談活動を続けている。
 「死後離婚のタネは妻だけではなく、夫婦関係の中にある。妻は家制度の名残で親族の中でも求められる役割が多い。夫は元気なうちに、妻の立場になって介護問題などを自分の親や兄弟と話し合い、将来起こり得るトラブルの原因をクリアにしておくことが重要」(高原さん)
 「立つ鳥跡を濁さず」を心がけたい。」



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