¥27〉─2─官僚の天下り先。商工中金の不正融資問題。~No.143No.144No.145No.146 @ ⑰ 

「天下り」とは何か (講談社現代新書)

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2017年5月6日 産経ニュース「【主張】商工中金の不正 公的金融の意義問い直せ
 商工組合中央金庫商工中金)による大規模な不正融資が発覚した。
 支店ごとの融資目標を達成するため、融資先がその条件を満たすように書類を改竄(かいざん)していた。悪質極まりない。
 商工中金はいわゆる政府系金融機関の一つだ。民業補完に徹する立場を大きく逸脱し、事業拡大が目的化していた。
 存在意義を誇張し、完全民営化を逃れようとしたと疑われても仕方あるまい。公的金融のあり方を根幹から揺るがす事態である。
 深刻なのは、組織的な隠蔽(いんぺい)工作が行われたことだ。融資を実行した支店のみならず、監査などを行う本店も不正のもみ消しを指示していた。口先だけの再発防止など信じられない。抜本的な組織改革が不可欠である。
 不正の舞台となったのは「危機対応融資」という制度だ。震災や景気低迷などで、業績が悪化した中小企業が対象だ。融資を伸ばすため、相手の業績を悪く見せて融資の必要性が高くなるよう、審査書類を書き換えていたという。
 商工中金によると、不正融資は35支店816件に上り、総額は約200億円に達する。支店ごとに融資目標が割り当てられ、本部も書類の差し替えなどに加担していた。組織挙げての不正である。
 経済産業省財務省が共管する商工中金は、完全民営化が議論されていたが、一昨年の法改正で当面は政府が株式保有を続けることになった。完全民営化を逃れる理由に、危機対応融資の維持が使われていた疑いは濃厚だ。
 第三者委員会の調査報告が「特定の人物の指示はなかった」と結論づけたのは首をかしげる。調査対象は全体の1割強にすぎない。全店規模で詳細に調査をやり直し、経営陣の関与を含め不正融資の全容解明を急ぐべきである。
 不正融資の責任を取って、経産省出身の安達健祐社長らが役員報酬を自主的に最大3割カットすることを決めた。処分として手ぬるい印象は否めない。
 所管官庁は再発防止に向けた組織見直しを求めるなど、厳しい措置をとる必要があろう。
 緊急時に民間では難しい融資にあたる、公的金融の役割は否定しきれるものではない。だが、民業圧迫を避けるため、さらなる合理化に踏み込むべきだ。不正融資問題を、政府系金融機関のあり方を改めて考える契機とすべきだ。」
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 5月25日号 週刊文春経産省天下り
 商工中金なんてもういらない
 『ウチだったらトップが即辞任ですよ』
 大手銀行の幹部がこう驚きを隠さないのが、9日に経産省財務省金融庁の三省庁から業務改善命令を受けた政府系金融機関商工中金の不正貸出だ。
 不正の温床となったのは、2008年のリーマン・ショックを機に創設された『危機対応業務』。業績が悪化した中堅・中小企業に運転資金を貸し出す制度だが、該当しない顧客も、融資対象になるように資料を改竄し、貸出を水増ししていた。
 不正は全国35支店で計816件見つかり、99人の関与が確認されている。
 『危機対応業務は、国から利子補給が受けられ、損害担保も付くことから補助金を騙し取る詐欺行為に近い』(メガバンク幹部)
 なぜ、不正が蔓延したのか。
 『半年に一度、開催される支店長会議で「割当」と呼ばれる資料が配布され、危機対応業務についても事実上のノルマが設定されていた』(商工中金関係者)
 達成度合いによって人事評価が決まり、賞与や昇格に響いた。このプレッシャーが不正に走らせた直接の要因とみられている。だが、理由はこればかりではない。
 『完全民営化を葬りさるために、危機対応業務で存在感示す必要があった』(同前)
 というのは、商工中金は中小企業向け融資がメインということもあり、歴史的な役割を終えたとの指摘が多かった。そのため、2015年までの完全民営化が決まっていた。
 『しかし、リーマン・ショック東日本大震災の危機対応を理由に、政府系金融機関として生き残った』(同前)
 だが、政府の信用をバックにした民業圧迫との批判も根強かった。
 『商工中金が、破格のレートで取引先を奪いにくるケースが増えていた』(地銀幹部)
 なりふり構わず生き残りに走ったのには理由がある。
 『商工中金のトップには通産省(現経産省)の事務次官経験者が天下ってきた。天下り先として、つぶすわけにはいかない』(経産省関係者)
 現社長の安達健祐氏も元経産省事務次官だ。その安達氏は、役員報酬の一部自主返納で居座りを決め込む。
 官僚による官僚のための商工中金はもう要らない。
 (ジャーナリスト・森岡英樹)」
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 9月22日 産経ニュース「商工中金 企業体質の甘さ露呈 不正融資の調査でお粗末な実態
 不正融資問題を調査する職員が過去に不正に関与していたと22日に発表した商工中金。お粗末な内部調査の実態が発覚したことで、企業体質の甘さが改めて露呈したといえる。コーポレートガバナンス企業統治)の欠如は明らかで、経営責任のみならず、安達健祐社長らOBを送り込んだ経済産業省監督責任も問われることになる。
 「全容解明がしっかり行われるのを重視する。調査の完了時期は、多少の変動はあり得る」。世耕弘成経済産業相は22日の記者会見で、国の危機対応融資以外にも不正がある可能性が浮上したことについてこう述べ、商工中金に徹底した調査を求めた。
 政府が5割近い株式を持つ商工中金小泉純一郎政権時代に民営化が決まり、その後、株式会社化された。しかし、リーマン・ショック東日本大震災などで政府系金融機関の重要性が高まり、完全民営化が先送りされた経緯がある。
 今回、国の制度融資で不正を繰り返した上、それさえも隠そうとする隠(いん)蔽(ぺい)体質が露呈したことは、政府系金融機関の信頼を揺るがしかねない。先送りされた民営化議論が、再燃するのは必至だろう。(飯田耕司)」
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 10月13日 産経ニュース「商工中金、ほぼ全店で不正 数千件、経営陣退任不可避 2回目の業務改善命令へ
 商工中金本店=東京都中央区
 商工中金の不正融資問題に関する社内調査で、ほぼ全店で書類改ざんなどの不正が見つかったことが13日、分かった。職員数百人が関わり、不正は数千件に上る見込み。経済産業省財務省金融庁は5月に続き2回目の業務改善命令を出す方針。企業体質の変革に向け、安達健祐社長ら経営陣の退任は不可避の見通しだ。
 関係者によると、全国100店舗の大半で書類の改ざんが疑われるケースがあった。一部には書類の保管期限を過ぎ、不正か事務的なミスなのかを判断するのが難しい事例もあるという。商工中金は来月にも社内調査の全容を発表し、再発防止に向けた対策を公表する。経産省などは処分に加え、不正があった公的制度「危機対応融資」を見直す。制度が適用される「危機」の認定を厳格化し、公的制度で融資する範囲を絞る考えだ。」
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天下りの真実

天下りの真実

  • 作者:市村 浩一郎
  • 発売日: 2010/04/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)