¥19〉─3─人口激減と銀行破綻時代。メガバンクが地方から消える日。~No.95 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2018年2月2日13:00 産経ニュース「【銀行「破綻」時代】メガバンクが地方から消える日、みずほ全国で100店削減へ
 顧客が銀行の支店を訪れる機会も少なくなっている
 みずほフィナンシャルグループが1万9000人の人員削減を計画するなど、メガバンク3行に他の大手行分を含めると7万人程度の削減が予想される。大手銀行がスリム化を急ぐのには、3つの要因がある。(夕刊フジ
 1つは人工知能(AI)に代表される機械による代替可能性だ。ATMやネット取引の普及などで、有人店舗がどんどんなくなっているのがその証拠だ。かつては難しいと思われていたAIによる自動運用についても、銀行本体も顧客向けも、既に実用化されている。
 2つ目は「対面」ないし「行員による」営業の喪失だ。以前はこれが基本だったが、現在では電話、ネット、ダイレクトメールなどに中心が移り、行員でない外部受託者が顧客に対応する時代となっている。
 法人向けは個人と違い、対面が基本だとの反論もあろうが、そもそも行員が顧客を訪れなくなっている昨今、言い訳にしか聞こえない。
 そして3つ目が外部環境の変化だ。とりわけマイナス金利と、国際金融規制「バーゼル規制」が脅威といえる。
 マイナス金利については地域金融機関だけの問題と理解されることが多いが、メガなど大手行も相当困っている。かつてのように余資をとりあえず日銀に預けたり、国債購入に充てたりというわけにはいかなくなっているのだ。
 バーゼル規制も3段階目に入り、資産評価が厳しくなるため、銀行はかつてのように、地銀株を含む「政策投資株」を持ちにくくなっている。ちなみに米銀はこうした政策投資株はほとんど保有していない。これが最近の地銀再編にも影響を与えている。
 人員削減で、より高度なサービスを提供することになる(はずの)銀行本体はよいとして、減らされる行員や支店はどうなるのか。店舗は廃店されればそれまでだが、何か補完策は打ち出されるのだろうか。
 みずほは全国で100店舗減らすと発表したが、これには地方店も含まれる。前身の1つである日本勧業銀行の時代から地方店数は多く、即廃止することには顧客から相当な反発があるだろう。
 ならばどうするか。おそらく地銀や第二地銀、信用金庫、信用組合などに店舗売却あるいは業務譲渡するだろう。同じことは三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループも考えているだろうから、地方からメガバンクの看板がなくなる未来はすぐそこにある。
 ■津田倫男(つだ・みちお) フレイムワーク・マネジメント代表。1957年生まれ。都市銀行外資系銀行などを経て独立。企業アドバイザーとして戦略的提携や海外進出、人材開発などを助言する。近著に『2025年の銀行員 地域金融機関再編の向こう側』(光文社新書)、『銀行員は第二の人生で輝く 出向・転籍を巡る12のストーリー』(ボイジャープレス、電子書籍)など。」
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 2月2日22:23 産経ニュース「【検証エコノミー】3メガ銀を襲う「大リストラ時代」 未来の姿は…「脱・銀行」に情報産業化
 「支店長ポストが減る。これからは出世競争がもっと厳しくなる」「地方の支店はどうなるのだろう」
 あるメガバンクの中堅行員は深いため息をついた。多くの銀行員にとって、支店長は最初にあこがれるポストだ。実力と人脈、運があれば、役員への道も開ける。
 これまでなら50歳前後で支店長に昇格し、「一国一城の主(あるじ)」になる。ターミナル駅に近い店舗であれば、100人規模の行員を従え、個室を与えられる。昼間は融資担当者が運転する車で地元企業を回り、夜は会食、週末はゴルフ−。
 だが今後、銀行の店舗は減り姿形も変わっていく。コンサルティング特化型店舗では生体認証やテレビ電話を取り入れ、少人数で切り回す。30代前半の支店長が誕生するなど、典型的な支店長像は崩れだした。
 日銀の大規模金融緩和による超低金利の継続と、ITと融合した新たな金融サービス「フィンテック」の進展で、銀行はビジネスモデルの転換を迫られている。集めた預金を企業に貸し出したり、運用したりして、利ざや(貸出金利と預金金利の差)で稼ぐだけでは生き残れない。
 3メガにも構造改革を迫る荒波が押し寄せている。計約3.2万人分の人員・業務量削減や店舗網見直しに着手した。「安定した職」を選んだはずの銀行員も将来不安を感じている。
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 従業員を4分の1減らすなど最も踏み込んだ構造改革を打ち出したのは、みずほフィナンシャルグループ(FG)だ。経費率の高さと収益力低下への危機感から、10年先を見据えた改革に踏み切った。佐藤康博社長は「今後は金融の情報産業化が進む」と繰り返す。
 同社では、銀行と証券の2種類の名刺を持つ社員がいる。みずほ証券公開引受部の「IPO兼職チーム」に所属する6人もそうだ。融資担当者から「新規株式公開(IPO)を狙う顧客企業がある」と連絡が来ると、まず銀行員の立場でその顧客を訪問。コンサルする段階になると今度は証券会社の立場で対応する。
 2枚の名刺の秘密について、同チームの広瀬信之次長は「証券会社になじみがない経営者でも銀行員なら相談しやすいと感じていただける」と解説する。平成28年にはみずほ証券がIPOの主幹事を18件取り、トップに立った。うち7件は兼職チームが持ってきた。
 IPOで主幹事を取れば、将来有望な法人客を囲い込める。みずほが創業期から支援し、日本を代表する銘柄となったソフトバンクの成長物語を再現できるかもしれない。
 銀行の顧客基盤を生かし、信託や証券で手数料を稼ぐ戦略に磨きをかける。みずほFGのトップ人事に、その覚悟が表れた。次期社長はみずほ証券社長の坂井辰史氏。銀行頭取を経験せずにトップに立つ画期的な人事だ。
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 2008年秋、世界の金融市場をリーマン・ショックが襲った。米ウォール街では大リストラが行われた。失職したエリートはITの知見が集積するシリコンバレーを目指した。銀行が変革のためITに目をつけたのと、利用者側に新しいサービスを受け入れる素地ができたことでフィンテックが花開いた。コンサル大手のアクセンチュアによると16年の世界のフィンテック投資額は232億ドル(約2.5兆円)に上る。
 日本でも、通信アプリ大手のLINE(ライン)など異業種が続々と銀行ビジネスに浸食。フィンテックという言葉がよく使われるようになったのはこの数年だ。日銀緩和で金利が一段と低下した時期に重なる。
 バブル崩壊後、不良債権処理に追われた邦銀はリーマンの引き金となった高金利証券化商品に手を出さず、いち早く業績を回復した。それに安住したことで、フィンテックの取り組みは周回遅れとなった。国内の預金と貸出金の利回り差が1%以下という環境になって、3メガは重い腰を上げた。
 3メガの構造改革案について、野村証券の高宮健アナリストは「方向性は正しいが、着実な実行と加速、前倒しの実現が株式市場から求められている」と警告する。3メガは人員や店舗を過剰に抱えて生産性が低下する“生活習慣病”を自覚したばかり。出遅れた分、素早く体質改善しなければ、異業種に置いていかれてしまう。
 前倒しで実現できれば、未来の銀行はこんな姿になっているかもしれない−。
 スマートフォンに銀行の通知が来た。「お子さまの誕生おめでとうございます。よろしければ教育資金のご相談に応じます」
 夕食後、タブレット端末を開いた。銀行の自分専用のページに入ると画面に担当者が登場。子育てに生涯かかるお金などを相談した結果、投資信託を購入し、住宅ローンを見直した。
 「自宅に銀行が来てくれるっていいな」。不安は解消し、タブレットの画面を閉じた。(米沢文)」
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 2月3日 産経ニュース「【銀行「破綻」時代】地銀とメガバンクの関係が激変 「親密先」の甘え許されず
 地域金融機関とメガバンクの協力関係は続くのか
 2018年1月現在、地域金融機関を3つ以上抱える県には、北から岩手、山形、福島、千葉、静岡、愛知、富山、福岡などがある。同県連合、あるいは近隣自治体の金融機関との合併の話題が既に俎上にあると推測される。(夕刊フジ
 昨秋、3つの信用金庫の統合が発表された静岡県のように、銀行だけでなく、協同組合組織である信金信用組合の合併も、これまでより多く行われることだろう。
 そうしたなか、地銀とメガバンクの関係が今後、大きく変わる可能性を秘める出来事がある。前回言及した国際的な銀行規制「バーゼル規制」のことだ。
 3段階目の「バーゼル3」がメガに地銀株の売却を急がせている。その事例として、三菱東京UFJ銀行が、保有する三重県百五銀行愛知銀行の株を売却したことが挙げられる。
 三菱UFJは、他の地銀株を5%以下とはいえ多数持っているので、地銀株の完全放出とまでは言えないが、他行株売却の方向性が変わることはないだろう。
 そして三井住友フィナンシャルグループによる大阪市関西アーバン銀行と神戸市のみなと銀行の実質譲渡である。三井住友は、持ち株会社関西みらいフィナンシャルグループに少数株主として残るので完全売却ではないが、2行との縁は薄くなる。三井住友は三菱UFJほど多く地銀株を持っていないが、方向性は同様だ。
 全ての大手行が一致して地銀と距離を置こうとしているのではないが、かつての親密度は望むべくもない。これが地域金融機関の再編にどう影響するか。
 2つの仮説がある。1つは、メガバンクなどが地銀株を売り切り、資本関係をなくすと同時に商売上の協働も減らすという考え方。もう1つは、資本関係がなくなってもメガなど大手が開発する商品やサービスを今まで以上に地域金融機関に売ることで、むしろ営業上の結びつきが強まるというものだ。
 おそらく後者が正しいのだろうが、地域金融機関によっては、組むメリットがないとみなされて、メガなどから距離を置かれるところも出てくるだろう。
 いずれに転んでも、「親密先」と甘えてきた大手行から自立、独立を図る必要が地域金融機関に生じるということだ。
 近隣の弱者救済には興味がなくても、1+1が3になるような統合・合併に強い興味を抱いている地域金融機関はあると推測できる。
 一方で、のみ込まれないために独自の動きをするところも出てくるだろう。金融激戦地で、単独では埋没してしまいそうな地域金融機関も、首都圏、中京圏、関西圏、九州北部圏などに存在する。
 ■津田倫男(つだ・みちお) フレイムワーク・マネジメント代表。1957年生まれ。都市銀行外資系銀行などを経て独立。企業アドバイザーとして戦略的提携や海外進出、人材開発などを助言する。近著に『2025年の銀行員 地域金融機関再編の向こう側』(光文社新書)、『銀行員は第二の人生で輝く 出向・転籍を巡る12のストーリー』(ボイジャープレス、電子書籍)など。」

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